もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら〜2nd season 海上の誓い〜 作:白だし茶漬け
さて、今回はテネリタス陣営であるセイドの過去を交えた話でもあります。
陣営の中で最も自由であるセイドの過去は果たして……
生まれた時から俺は生き方を決められた。
英雄の家系だからと無条件で助けを求めくる奴らが嫌いだった。それなのに生まれを羨んだり、嫉妬したりする奴はもっと嫌いだった。じゃあ俺はどう生きれば良いんだ?英雄らしく皆に優しくすれば良いのか?それとも普通に生きれば良いのか?まだ年端も行かないガキの頃の俺には、そんな事は分からなかった。
生まれ流れた血には逆らえず、望んでいない生き方を強要される。そんなのはクソ喰らえだ。生きていく内に自由になりたくて、息苦しさから逃れたくて、誰よりも自由を望んで俺は家から……いや、ロイヤルから出ていこうとした。
だけど世はセイレーンが海を支配していた時代。KAN-SENなんて物は勿論存在せず、海に出るのは自殺したい奴か命懸けで物資を運んでる奴だけだ。
だったら歩いて他陣営に行けば良くね?と言うがそうはいかない。全ての陣営は海に囲まれて出来ており、絶対に海を超えなければならない。
海を超える為には結構デカく、セイレーンに対抗出来るような船が必要だ。一応俺の家にそんな船があるが、親父が許すわけが無い。どうしようかと悩んでいて誰いない芝生で寝転がっていたその時、空を飛んでいた2匹の鳥を見てある考えが浮かんだ。
「そうだ、同盟とか組めば良くね? 」
同盟を言い訳にすれば流石の親父でも船を出してくれんじゃね?俺頭良いなって思った。
早速親父とかに近くの陣営、つまりユニオンとの同盟に付いて話した。
だが結果は散々だった。
「ダメだ。認めん 」
「はぁ!?何でだよ!?同盟組まねぇとセイレーンとやって行けねぇぞ! 」
「それは重々承知だ。お前がいない所で話は進んでおり、使者も用意している 」
「話進めてたのかよ……俺一応次期当主だぞ? 」
「責務を放棄しているような奴に話す事は無い 」
「責務?人殺しが責務って言うならお断りだバーカ!! 」
勢いで机を叩き、そのままの勢いで自分の部屋まで戻り、デカいベットの上でふて寝した。
結局話は破談した。この頃から俺と親父の仲は最悪だった。セイレーンがいた恐怖で内紛が結構起こっており、ほぼ物資を求めての内紛だった。他の陣営もこれが結構起こっており、とても同盟を組む暇は無かったらしい。
その内紛で活躍……つまり、誰よりも人を殺ったのが俺の親父、テネリタス5代目当主のロドン・テネリタスだ。
親父はセイレーンが出現する前の時代で重桜に行った経験があり、そこで武士道?を学んだらしくて、ロイヤルなのに重桜の刀と戦闘スタイルで最前線で戦場に向かい、【修羅】と呼ばれているらしい。そのせいで、味方の筈のロイヤルの奴らから少し恐れられている。変な話だけどな。
だがその恐怖が内紛の抑止力となったのかようやく内紛が落ち着き、同盟の使者を用意出来る段階が俺抜きで進められたのがムカつくけどな。
だが、これは逆にチャンスだとも思った。上手くその船に入り込めばこの息苦しさから抜け出せると俺の勘がそう言っていた。だが親父から予定と聞くのは無理だし他の奴らに聞いてもきっと親父の圧できっとはぐらかされる。
「うがぁぁぁどうすれば良いんだ! 」
いい考えが思い浮かばずイラつく中、ドアがノックされた音が響いた。
「セイド?いる? 」
柔らかい女の声……お袋の声だった。お袋はそっとドアを開け、俺を見ると直ぐに微笑んだ顔を向けてくれた。
重桜に咲く桜と同じ色をした髪に、草原の様な柔らかい緑の目、とてもロイヤルの人間とは思えない風貌だが当然だ。何故ならお袋は重桜の人間なのだから。
経緯は知らないが親父と一緒に亡命紛いでここに住んでおり、親父と結婚して俺を産んでくれた人だ。
親父と違って柔らかい態度で人を癒し、率先して貧しい奴に寄付とかするんだからどうしてこの人が親父を慕っているのか永遠の謎だった。
「何だよ 」
「またあの人と喧嘩したって聞いてね。少し心配しちゃって来たのよ 」
「もう心配される歳じゃねえよ 」
「ふふ、ムキになってるのはまだまだ子供の証拠よ? 」
「うるせぇよ。たく……そんで話はそれだけ? 」
「貴方……ロイヤルから出たいのかなって。ちょっとお話したいの。ダメ? 」
ダメという理由は無く、俺はベットから起き上がった。
「まぁな。ここ、息苦しいし 」
「そう…… 」
「なぁ、そういえばお袋って重桜からここに来たんだよな?どうしてロイヤルに来たんだ? 」
陣営から陣営に行く事はこの時代では結構難しい。それ程仲が良いとは言えず、同盟とかの理由が無ければ簡単には他の陣営のに足は踏めず、寧ろその前に殺されてもおかしくない状態だった。
そんな中で重桜からロイヤルに来て今こうして生きてるのは、テネリタスの権力あってこそだ。つまり、俺の親父の力が強かった。だが、親父の性格を好む人なんて、世界にこの人しかいなかった。
「そう言われても……私はあの人について行きたいから…… 」
「だからそれが知りたいんだよ。あんなぶっきらぼうで、無愛想で、無慈悲で冷酷で……人殺しの奴なんて 」
するとお袋は俺の手に自分の手を置き、柔らかくも真っ直ぐな目で俺を見つめた。
「セイドは自分のお父さんは嫌い? 」
さっきとは雰囲気が違い、お袋は真剣な顔で言ってきた。俺は少し考え、言葉を続けた。
「俺は……嫌いだ。だけど凄い人だとは思ってる。だけどな、アンタの事をほっといて、俺たち家族の事なんか眼中に無いってのが……ムカつく 」
「ふふ、優しいわね。セイド 」
「別に…… 」
俺が親父のことを許せないのがそれが原因だった。俺はともかく妻のお袋を無視して戦場にたち、攻めてくる奴を問答無用でぶちのめすアイツは、人殺しの方が好きなんじゃ無いかって思う程だ。
もしそうだとしたら本気で親父の事は許せないし、人としても見ない。だけどこの人はいつまでもいつまでもそんな親父のことを愛していた。
「ねぇセイド。あの人は私達や戦えない人達の為に戦っているの。分かってあげて? 」
「だからって…… 」
「確かに人を殺めるのは悪い事よ。許される事じゃない。だけど、あの人は…… 」
お袋はその後の言葉は言わず、自分の胸の内に留めた。
「ともかく、もしもロイヤルから本気で出たいって思うなら、もう一度あの人と話して。お願い……ね? あの人は今大広間にいるから 」
まるで1生に1度のお願いを使うかの様な必死さだ。こんな必死なお袋は初めて見る。そんな顔を見せられてはお願いを無下にする訳には行かなった。
「……分かったよ 」
「ありがとう、大好きよ。セイド 」
「なんだよいきなり。んじゃちょっと話してくるわ 」
何気ない会話を終えてお袋と別れたが、この時思ってもいなかった。
これが、母親との最後の会話だったなんてな。
屋敷を歩いて大広間の扉を開けると、そこには刀を持った親父がいた。いつも以上の真剣な眼差しは体を切り裂かれそうな程強い事は覚えていた。
「何だ 」
「……同盟の件、俺にやらせてくれないか? 」
「その件は話した筈だ。使者も用意してるとな 」
「なら俺がその使者になる!……やらせて下さい 」
プライドや意地を真っ二つに折り、俺は親父に頭を下げた。不思議と屈辱見たいな気分は無かった。
「俺は世界を見てみたい!もっと色んな所を、色んなやつと会ってみてぇ!頼む! 」
喉が壊れるほど強く、砂漠のど真ん中で水を求めるように渇望した俺は必死に親父に食い下がった。どんな事を言われても良い。俺はこの狭い箱から抜け出して外を見てみたい。いつも飛んでいる鳥が羽ばたくように、自由にってな。
こんな俺を見て、親父は笑ったんだ。嘲笑うとかそんなんじゃなくて、小さい頃に見た優しい顔をした親父の笑顔が、この時はっきりと見たんだ。幻覚じゃない笑顔を見た瞬間、親父は俺に目線を合わせるように片膝をつき俺の肩を叩いた。
「お前がそんな気持ちである事は知っている。だから話を進めて置いた 」
「は、はぁ? 」
「使者を用意していると言っただろ。それはお前の事だ、セイド 」
「…………はぁぁ!?!? 」
喉から手が出る程の言葉がいきなり出てこの時は驚いて広間の壁にぶつける程親父から離れた記憶があった。
「勘違いするなよ。使者になるには条件がある 」
「条件……? 」
「当方と戦って勝て。それだけだ 」
いきなり親父の宣戦布告に断る理由が無く、困惑しながらも屋敷の外に出てすぐの広場で親父との決闘が始まった。辺りには何も無く、この場所には俺と親父しかいなかった。
「決闘内容は簡単だ。当方に1発でもその模擬弾を当てればお前の勝ちだ。逆にお前はこの模擬刀に一太刀でも当たれば貴様の負けで使者の話は無しだ 」
「オッケー。やってやるさ 」
願ってもないチャンスでしかも銃だったら一方的に打ち続けるし、相手は古臭い刀ってていう武器だ。あんな細い等身で突きすらもやりずらそうな武器に負ける訳無いとこの頃は意気込んでいた。
「では始めるぞ、貴様が弾を打つまで当方は動かん 」
「それって先制攻撃してもいいって事か? 」
「構わん 」
もし普通のロイヤルの奴なら空に向かって発砲して正々堂々戦うだろう。だが生憎俺は意地っ張りでずるい奴なんでね、問答無用で先制攻撃をする為に銃を打つ手元を隠して撃つタイミングを悟られないようにした。
どこに当てても俺の勝ちなら、当然狙うのは足元だ。足元ならあまり届かないし、防御しずらい筈だと踏んで俺は親父の右足に向けて模擬弾を放った。弾丸が発射された音と共に模擬弾が親父の足元に向かうと、親父は目にも止まらぬ速さで刀を振り上げた。
素振りかと思って模擬弾の着弾を確認したが、模擬弾が着弾した証拠であるペイントが親父の足についておらず、刀の一部分の少しだけ付着していた。となれば、答えは1つだ。
「あの野郎、弾を斬りやがった……! 」
しかも真っ二つに。有り得ねぇだろ?だって俺は足を狙ったのに親父はそれを読んでたんだからな。そして発砲した瞬間親父が忍者の様な速さで真っ直ぐ俺の元に来た。
「やっべ……! 」
距離を置こうにも親父のとんでもない速度の怖さは今でも覚えている。というか今でもヤバい。鳥よりも早い動きに惑わたり翻弄されたりして足を止めてしまい、早速親父は刀を振り上げた。
風ごと切るような勢いは模擬刀なのに頬を掠め、肩とかに当たれば数ヶ月以上の重症は確定するほどの力なのか風圧だって感じた。親父はこの時、殺意増し増しで俺の事を斬ろうとしていると今更分かったんだ。
「ちょ……!んのやろ! 」
そっちがその気ならとかわしながらもう一丁の銃を向け、今度は喉元に向けて弾丸を放つと親父は軽々と避け、俺の腹に蹴りをぶちまけた。
ぶっ飛ばされてゲロっちまう衝撃な何とか耐えながらも銃は構えはしたが、衝撃で頭がぐらついて狙いが定まらない所を親父はまた襲い迫り、鞭のように刀を振り回してきた。
あれでは銃弾が親父に当たらない。だったら方法は一つ、意識外からの攻撃をするしかない。こんな時の為の奥の手中の奥の手だ。
「くらいやがれぇぇぇ!」
親父に拳を突き上げ、親父はその拳を止めようとしたがそれは大きな判断ミスだ。咄嗟に俺はその拳を引っ込めると、袖の中から俺が隠していた銃が反動で丁度俺の手に入り、流石の親父はこれにはビビり、一瞬動きを止めた。ガンマンてのはこの一瞬で勝負を付ける物だ。
「あばよ! 」
決め台詞と共に引き金を引き、模擬弾が親父の顔面に向かっていく。これは勝ったと確信したが、それはすぐに裏切られた。
親父は人間離れした反応速度で模擬弾を首を傾かせただけでかわし、攻撃は当たらず俺は戦慄した。
(これ避けるの化け物だろっ!)
やばい、無理な体制で撃ったからもう一度撃っても反動を逃がす姿勢じゃない。撃ちたくても撃てず、負けたと悟ったとき、親父は刀を仕舞った。
「は?」
何がなんだが分からないまま地面に倒れ、体を起こそうとすると親父が手を伸ばしていた。
「当方の負けだ。弾を掠められた」
親父の顔には確かに弾を掠めた後があった。
「ロイヤルの騎士道には相応しくない戦い方だが勝ちは勝ちだ」
「そっちこそロイヤルには似合わねぇ戦い方の癖によ」
「ふっ、そうだな。だがそれでいいのかも知れない」
「は?」
「これから先、お前のような奴が必要だ。俺のようにはなるなよ 」
「俺……? 」
親父の【俺】っていう言葉初めて聞いた。いつもは当方とか訳分かんねぇ一人称使ってた癖に、ちょっと驚いた。
「俺は強くなれば何でも守れると思った。だがそうはいかないな。力は時に味方すらも恐怖に落とし込み、離れていく。その事を決して忘れるな。お前は、俺とは違う力の使い方をしろ 」
「……訳分かんねぇよ 」
「まぁ、忘れずに覚えているだけでいい。ここに刻め 」
そう言って親父は俺の胸に指を当てた。
「今から……お前が当主だ。6代目テネリタス当主、セイド・テネリタス。当主として、ロイヤルを頼むぞ 」
親父は初めて……いや、俺が赤ん坊の頃に見せた優しい笑顔を向けてくれた。無愛想で目で人をやっちまいそうな顔だが、本当はあれが親父の本質だと直感で感じた。
親父はそのまま去っていき、今日一日会うことは無かった。
そして、これが生きている内に親父とお袋に会えたのが最後になった。あの最悪な事件のせいで……
___
__
_
「最悪な事件?……それってまさか 」
「そう、ロイヤルで最低最悪の内戦。【ロイヤル・ゲール】だ 」
【ロイヤル・ゲール】……通称【ロドン・カストラ】ても言われており、ロイヤルの最大最悪の内戦だ。だがある1人の男によってその内戦は終わった。その男こそが【ロドン・テネリタス】。だけど【ロイヤル・ゲール】によってロドンは死んだ……って教科書にはあった。
その内戦の中心にいたのは、ロドンであり、ロドン1人で反乱を起こした人物全員を殺った記録があるんだが……まじでこれが信じられない。いくら英雄さんでも、戦争をふっかけられる人数をたった1人で抑えられとは考えにくい。
……人間を超えなければ、話がつかない。
「うちの陣営って結構お固くてな。ユニオンとの同盟に反対する輩が反乱を起こしやがったんだよ。何でも理由は高貴な我らが下等なユニオンと肩を並べるなんて出来ないとか、最初から裏切るつもりだとか色々だ。やべぇだろ? 」
「でも、その時は1個の陣営がセイレーンをどうにか出来る力は無かったんだろ? 」
「あぁ。だが、ロイヤルだけは違う。ロイヤルには俺達が居たからな。俺らだけはギリギリだがセイレーンを撃退出来る事が出来た 」
「いやいや、KAN-SENでも無いのにそんな…… 」
「じゃあ、その証拠を見せてやる。というか、それがこの塔のてっぺんにあるんだ 」
ロドンは曇りのない笑みで、まだまだある螺旋階段の上に指を向けた。
「お前達が知りたい情報がここにはある。セイレーンの正体、メンタルキューブが何なのか、そして……KAN-SEN達が出来た理由と俺達の事についてもな 」
「待て、お前達とKAN-SENが何の関係があるって言うんだよ 」
「にしし、それはてっぺん行ってからのお楽しみだ。ほら、行くぞ 」
ロドンは足を動かし、食らいつくように俺もついていく。まだまだ長い螺旋階段、というかこんな所普通の人間が辿り付けんのかよ……利便性皆無すぎるだろ。
「てか、お前はユニオンに行った後どうなったんだ? 」
「あぁ、そういえば話の途中だったな。ユニオンについた俺は、ある1人の男と出会ったんだよ 」
___
__
_
海を越え波を超え、ようやくユニオンについた俺は持ち前のコミュ力で円満に同盟の件は進んだ〜訳では無かった。逆にぜんっぜん話が進められなかった。
一緒に協力してセイレーンを倒そうぜって言ってるんだぜ?何で断る理由があるの皆目検討がつかない。何だよ資金とか分け前とか、馬鹿じゃねぇのか?搾取とかもしねぇし、攻める事さえ無い。
だけど目の前のジジババはそんな事信じてもくれねぇ。イラついた俺は会談を一緒に来た奴に任せて嫌気をさしてユニオンの街をぶらついた。
そしてそこには色んな発見があった。ハンバーガーとかいうバカみてぇに美味い物。コーラっていう美味い飲み物、そしてとにかく自由だ。うるさいロック音は耳を刺激され、ガンマンの生き様には俺の戦闘スタイルを決められ、賑やかなこの街は俺がいたロイヤルとは何もかも違っていた。
そんな中、出会ったんだ。俺の最高の親友が。
「こんな中でサボりか?ロイヤルの英雄さん 」
「あぁ? 」
芝生でハンバーガーを食ってる中で邪魔してきた銀髪でガンマンのような帽子を被った男は会談に居た男だった。顔は知ってるが名前は知らないから反応に困った。
「おっと、悪ぃな。俺は【カービス・ガイ】。お前を探せって言われてな 」
カービス……この時は知らなかったが、ユニオンでは名の知れた資本家らしい。
「はっ、俺なんか居なくてもどうせ話は進まねぇだろ 」
「そうなんだよな。……まぁ、今日は無理だろうな 」
「だろ?だからもう今日はやーめたってな 」
「ははは、だからこんな場所にいるのか 」
俺がいるのはユニオンの公園だ。何の変哲もなくて、子供が親と一緒に遊んでいる。この光景を見ると心が休まる。それに、こういう広々とした場所でぼうっとしていると、すげぇ開放感があって好きだ。今まで息苦しかった生活から抜け出せた感があって、この感覚が病みつきになりそうな程だ。
「んじゃ、今日は俺がユニオンの案内をしてやるよ 」
「まじか!じゃあ頼むわ! 」
「おう!美味いもんとか楽しいところとか、すっっげぇ可愛い女がいるところまで何でも行かせてやるよぉ 」
「うぉぉ……夢の塊かよユニオン…… 」
早速俺はカービスと一緒に色んな所に連れていかれた。美味い所で美味いもんを沢山食って、銃が目いっぱい撃てる所でスコアを競ったり、夜はちょっとオトナな所に行ったり、目新しいものばかりで世界は変わった。
そして、ユニオンという物を知ってなのか会談も日に日にスムーズに進んでいる。このまま行けば、同盟どころか新たな組織だって作れる可能性だって出てきた。
こうして見ると、俺はユニオンっていうのを何も見ていなかったのを思い知らされた。俺もお堅い連中と変わんないって事か……
そんな事より、今日は一段と会談が弾んでカービスから祝いの酒をと行きつけのバーに行き、美味い酒を飲んで夜を明かそうとした。この時は酔いに酔いまくって路地裏の方にゲロ吐いた記憶がある。
「うぉぇぇ……!! 」
「無理するからだ…… 」
「いや、けど美味くて止められねぇ。もう一杯! 」
「悪いがもう会計済みだ。今日は諦めろ 」
「えぇぇ!?まだ金はあるからもっと呑m」
財布を出したその時、暗闇の向こうから透明の糸のような物の先にあった針が俺の長財布に引っかかっり、財布が暗闇の向こうに溶けてどっか行こうとしたその時、透明な糸の持ち主に向けて持ち前の銃を構えてすかさず撃った。
勿論撃ったのは模擬弾を込めた俺の改造銃だ。自衛用にと思ったがまさか盗難防止に役立つとは思わなかった。発砲音を抑えた弾丸はそのまま暗闇の中にいる者に撃ち抜き、命中した証拠である赤い炸裂が見え、人が倒れる音が聞こえた。
「お前……酔っているのにすげえな 」
「一応ユニオンの英雄……の末裔だからな。さて、泥棒さんの正体はっ……て、こいつ 」
倒れていたのは……年端も行かないガキだった。まだ10行くか行かないぐらい体が小さく、それに来ている服も少しボロボロで体が細かった。
「が、ガキ……?おいおい、俺の弾当たったが大丈夫なのか? 」
「……息はある。大丈夫そうだが 」
俺はこの時まじでホッとした。
「所で……なんなんだこのガキは 」
「多分……スラムの奴だろうな 」
「スラム? 」
「……なぁ、お前はこのユニオンが良いところって思うか? 」
「そりゃあ……いい所だよ。娯楽があって、飯も美味い。ロイヤルよりいい所だ 」
「そっか……明日の会談は無いから、少し朝から付き合ってくれ。見せたい場所があるから 」
カービスは俺の財布を投げ渡し、倒れていたガキを抱えた。
「どうするつもりだ? 」
「この子を親に返しに行く。……いればの話だけどな? 」
「は?だったら俺も…… 」
「いや、酔いが覚めてから見せたい。じゃあ明日、連絡するからな 」
こうしてカービスは、ガキと一緒に闇に消えた。カービスの悲しげな顔を見て俺は酔いが覚めてしまい、少し心残りを引きずりながら部屋に戻った。
その夜は少し、眠れなかった。
そして朝は必ずやってくる。カービスから連絡を受けた俺はいつも通りカービスと出会ったが、この時ばかりのカービスはまるで心に重りを引きずっているように暗く、顔を隠すように帽子を深く被った。
「じゃあついてきてくれ 」
(……どうやら、良いところでは無いようだな )
だが、見て良かった場所でもあった。カービスに連れてこられた場所は、俺がいた煌びやかで広大な街とは違った街だった。
いや、これを街と言ってもいいのかなと疑う程だった。
家は崩れて瓦礫の数が街を支配しており、店はおろか人だって居ない。これではまるで……廃墟の街だった。
「ここはスラム。自由を得た代償に作られた……俺達の汚点だ 」
「スラム……? 」
「あそこにそびえ立つビル、裕福な娯楽はコイツらから搾取して出来た物だ。そして、今でもそれは続いている 」
「どういう事だ……? 」
「俺達がいたシティには何でもある。だが、それがある故に何も無いこの街には衰退の道を辿った。設備が行き届かず、貧困が生まれ、奪い合い、殺し合い、そしてこうなった。この陣営は確かに自由だ。だが、1度でも落ちるとどこまでも落ちてしまう。まるで羽を失った鳥のように、残酷な陣営でもあるんだ 」
「羽を失った鳥のように……か 」
サービスは更にスラムの奥へと案内した。スラムの道中にはボロボロのセーター布団にくるまって寒さを凌いでいる奴が多くいた。
そしてそのどいつもが俺達に向かって強い視線を見せ、隙を見せたら昨日の様に財布を盗ると言っているようだ。
「気をつけろ、この辺は治安が悪い 」
「分かってるさ……こういう所はどんな所でもあるんだな…… 」
「ロイヤルもこんな所があるのか? 」
「いやこういう街は無いが、貧困な奴は多分こっちの方が多い 」
ロイヤルの貧困の格差は酷く大きい。その要因の1つが産まれとの差だ。ロイヤルはとにかく貴族主義が多く、平民を普通に見下す奴が多い。
その為富をほぼ独占しており、安い賃金で働かせている。その為経済はほぼ回っておらず、時代遅れの娯楽やらが充満し、衰退こそはしてないが、このままじゃ時代に取り残されると懸念したのか、今ではその辺が厳しくなって昔よりはマシになっていた。だけどそれでも格差は止まらず、ロイヤルの問題となっていた。
「やっぱりどんな所でもこういう所はあるんだな 」
「あぁ。しわ寄せは必ずどこかに来る。理不尽にな 」
「どうして俺をこんなところに? 」
「知って欲しかったんだ。上辺だけの自由だけじゃなくて、こういう樽の底見たいな掃き溜めもあるんだって 」
「カービス…… 」
「別にこれをどうにかして欲しいって思ってはいない。これは俺……いや、俺達ユニオンがどうにかしなければならない問題だ。だけど、ここにいる人達見たいな人がまた増えたり、しわ寄せがまた押し寄せる様な事は絶対にしないでくれ。それが、俺の願いだ 」
カービスは帽子を脱ぎ、真っ直ぐ俺の目を見た。力強い目を持った顔は、銀髪に良く似合う男の前の顔であり、信念の点った赤い目に憧れた。
「……良い顔じゃねぇか。羨ましいぜ。なんで帽子なんか被ってるんだよ 」
「かっこいいからだ。さ、湿っぽい話はもうこれっきりだ。早く戻ろうぜ 」
「いや……ちょっとだけ、ここを見させてくれ。目に焼きつける 」
「じゃあ付き合うわ。」
この日は一日、カービスと共にスラムを周り、もうこんなことが起きない様に話し合った。そして後日、その話し合いの元会談は更に大きく進んだ。
「……よし、ユニオンは正式にロイヤルと協定を結ぶ 」
「うっし!……っと、ありがとう。これからよろしく頼む 」
思わずガッツポーズを仕掛けたのを既の所で止め、俺はユニオンのお偉いさんと握手を交わした。これでやっと一歩前進し、安堵したのを覚えている。
親父とお袋が死んだという知らせが来るまでは。
_
__
___
「それが……アズールレーンの始まりか? 」
「ま、基礎みたいな感じだ。その後は俺の娘、7代目がうまーいことやって、お前達が知るアズールレーンになった訳だ 」
「意外と……大変だったんだな 」
「そうなんだよー皆自分勝手でな?どう言いくるめようかの勝負だったわちきしょー。ま、カービスのおかげでお互いに有益な協定だったから良かったけどな 」
「へぇ……そのカービスって奴、良い奴だな 」
「……まぁ、な。俺が殺したけど 」
「はっ?……えっ? 」
いきなりやばい事言われたような気がした。親友を……殺した?聞き間違えたかと思ったが、どうやらそんな様子は無く、本気でセイドはそう言った。
「どういう事だよ……? 」
「それは…… 」
しかし答えは聞けず、いきなり塔の壁に銃弾の穴が外から開けられた。セイドは瞬時に俺の頭を抑えて身を隠し、外からの銃撃を避けた。
「艦載機の機銃か。ということは……! 」
負けんじとセイドは撃たれた方向に弾を撃ち込み、外からの敵に向けて牽制した。
「ここじゃやりずれぇ……お前は早く上に行け!そこが最も安全だ!One・Two・Threeの合図で走れ! 」
「っ……分かった 」
この状態じゃ俺は何も出来ない。大人しくセイドの言う事を聞くしか無かった。幸い、最上階まであともう少しだ。このまま全速力で行けば何とかなるか……?
「行くぞ、1……2……3!走れ! 」
セイドが壁にグレネードを撃ち込み、着弾と同時に俺は走る。壁に穴が空いた先には黒い艦載機に乗った謎のKAN-SENがいた。あれは……船を襲ったやつか?だが、確認する暇も無い。とにかく俺は階段を登り、あと数十メートルの螺旋階段を登る。
「よし、あそこまで行けたら…… 」
ドアが見え始めた瞬間俺の足元の階段が崩れ落ち、手を伸ばしても届いたのは何も無い空だった。
「あっ…… 」
「カービスっっっ!! 」
体が宙に浮きながらも沈んでいき、その間世界がスローモーションになっている。必死に手を伸ばしているセイドの腕にも俺の目は届かず、俺はそのまま螺旋階段の渦に落ちていった。そしてその間、一人の後ろ姿が脳裏を過ぎった。
「……すまねぇ、リア 」
どのテネリタスが好き?
-
ロリママ創造者の2代目 ラハム
-
人類最強の天然3代目 アトラト
-
食いしん坊な絶対守護者4代目 シーア
-
武士道と極める騎士5代目 ロドン
-
風のように自由なガンマン6代目 セイド
-
完璧で究極のアイドル7代目 マリン
-
おっとり包容力で全知全能の8代目 ミーア
-
元人間のセイレーン 10代目マーレ