もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら〜2nd season 海上の誓い〜   作:白だし茶漬け

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こんにちは、早速ですが皆さんにはアンケート回答にご協力させていただきたいと思います。

内容はこちら!

この話のR-18版ifストーリーを見たいですか?

という点ですね。

見てみたいという意見が多かった場合、幕間の物語みたいな感じで、もしもあのシーンにこういう事があったら?見たいな感じのノリで、一話完結型のお話をしようと思っております。

是非是非ご感想の程お待ちしておりますm(_ _)m

そして!今回でバミューダ海域編は終わりです!果たして、エンタープライズと優海君の関係はどうなるのか?最後までご覧下さい(*¨)ノ


繋がりは決して無くならない

 

 月明かりだけが唯一の明かりの部屋の中、この部屋の主のエンタープライズが月の光に照らされ、白い服や肌がより一層美しく際立っていた。

 

 そんな中、エンタープライズはどこか悲しげで、俺しか拠り所が無いような怯えが感じる目を向けながら黒いコートを脱ぎ、袖の無いシャツのボタンを上から外して行きながらこう言ってきた。

 

「指揮官……私を、抱いてくれ」

 

「えっ……あっ……それって」

 

 有無も言わさずエンタープライズは俺に抱きつき、そのままベッドの上に押し倒され、背中まで腕を回されているから身動きが取れず、エンタープライズの人肌の温森と左耳からエンタープライズの吐息が直で感じてしまう。直前のあの言葉も聞いているせいか、どうしても意識してまい、俺は慌ててエンタープライズに声をかけた。

 

「えと……エンタープライズ。その、あの……抱くって重桜ではちょっと違う意味合いもあって……その、ハグしてって意味だよね?」

 

「違う、指揮官が思っている通りの事だ。私に、指揮官を感じさせて欲しい」

 

 エンタープライズは耳の傍から俺の目を向けるように体を起こし、抱きついていた手は俺の肩を押さえつけられれてしまい、完全にエンタープライズに主導権を握られている状態になってしまった。

 

 エンタープライズの目は本気だった。でも、それと同時に怖がっていた。押さえつけている手も震えているし、目には少しの涙が見え隠れしている。何かを言おうと口を空けると、すかさずエンタープライズは首元に唇を近づけさせた。

 

「指揮官……お願いだ、今だけは……今だけは何も言わないでくれ……」

 

「え、エンタープラ……っっぁ……!」

 

 いきなりエンタープライズは首元に唇を重ねた。誰にも触られていないところ、ましてや唇を……首元にキスをされた俺は、体に電流が走るような感覚に襲われる。

 

 エンタープライズの熱い吐息が首元から全身にかけて巡り、思わず俺はエンタープライズの顔を見てしまう。エンタープライズの頬を赤く染めた昂揚して蕩けた顔と、わざとボタンを空けているから見えてしまう黒い下着とそれを隠す汗ばんだ胸元の谷間が目に焼きつかれ、胸の奥が熱くなった。

 

 呼吸も浅く激しくなり、このままではマズいと逃げ出そうにも逃げ出せ無い。片方の腕が背中に回され、足と足の間にエンタープライズの素足が挟まって思うように動けない。

 

「指揮官っ……指揮官」

 

 耳元の近くで何度も俺の名前を言い、獣のマーキングかのようにエンタープライズは俺の理性を吸い出すかのように唇を重ね、首元を優しく吸った。

 

「貴方が欲しい……」

 

「だめ……だ……ダメだっっ!!」

 

「っ……!」

 

 有り余った理性を力に変え、必死に体を起こし、そのままエンタープライズと対面する形になった。あまりの力の前に流石のエンタープライズも驚いて動きを止め、その隙に俺は肩に掴まれている手を握り返し、エンタープライズと目を向けた。

 

「はぁ……はぁ……え、エンタープライズ……どうしたの? 急にこんな事して、こ、こういうのは好きな人同士でやるべきだとは思うけど……」

 

「…………だ」

 

「え?」

 

「好きだ……私は指揮官の事が好きだ! 愛している! 誰よりも、何よりも……誰よりも貴方の事を想っているっ!!」

 

 目を見開き、溢れる感情をぶつけるようにエンタープライズは涙を一粒流してそう言った。

 声が形となって体にぶつかる衝撃で頭が真っ白になり、俺は思わずエンタープライズの肩から手を退け、エンタープライズはまた俺をベッドに押し倒した。

 

 今度こそもう離さないという意思が感じられ程エンタープライズは強く押し付け、じっと俺の目を見つめながら、涙を流した。

 

 その涙は俺の頬へと落ち、俺はあの時の夜の事を思い出した。

 

 _指揮官、教えてくれ。私はあと……どれ程の敵を倒せばいい? 

 

 エンタープライズが初めて人に弱味を見せたあの夜、あの時もこんな風にエンタープライズに押し倒された。あの時はエンタープライズは混乱していたけど、今のエンタープライズはそうでは無い。自分の意思で、こうしている。

 

「好きだ……好きだ。離したくない。離れたくない。傍にいたい。貴方と共に生きていきたいっ! ……独りにしないで……」

 

 ありったけの感情をぶつけ、エンタープライズは俺を強く抱き締める。無意識に力を強くしているのか苦しく、壊れそうな抱擁で息が苦しい。

 

「え、エンタープライズ……ちょっと……苦しい」

 

「っ、すまない指揮官……でも離れたく無いんだ。もっと傍で貴方の事を感じてたい。だからっ……」

 

「ま、待って待って! どうしたんだよ急に」

 

「怖いんだ! 失うのが!」

 

 溢れるばかりの恐怖心を表すようにエンタープライズは震え、震える体を止めるようにエンタープライズは自分の肩を抱く。

 

「私は……指揮官が来る前の戦闘でヨークタウン姉さんを守れず足を失わせた。オロチの時では皆や指揮官を撃とうとした。事実私は指揮官を撃ち、自分で自分の大切な物を失わせた」

 

「……エンタープライズ」

 

「そしてバミューダでは目の前で姉妹を失いかけた。戦場が、海が私の居場所だと思っていた。だがそれは違った。私の居場所は……貴方だけだ」

 

 するとエンタープライズは俺の右手を動かし……自身の胸に俺の手を抱かせた。

 

 俺の手じゃ少し全部は掴めない程の大きさに、男には無い柔らかくも弾力のハリに思わず手を離そうとするが、エンタープライズはそれを許さず、手を離さずにいた。

 

「感じるか? 私の鼓動を……貴方の事を考えると胸が締め付けられそうにも、暴れるように鼓動が止まらないんだ。指揮官も……そうであって欲しい」

 

 涙まじりの瞳や、エンタープライズの胸に男の性が反応し、俺も心臓が今にも飛び出しそうな程ドクドクと暴れていた。

 

 これ以上は理性が持ちそうにない。今までにない光景で頭がおかしくなり、俺の中の何かが切れそうでもある。

 そんな切れそうな糸を保とうとすると、エンタープライズは自分の目を見せるために左手で俺の顔を添え、顔をあげさせた。

 

「指揮官、お願いだ。私に繋がりを感じさせてくれ。そうすればきっと……姉妹の繋がりが消えても私は戦える。……頼む、受け入れてくれ」

 

 頭と体が葛藤する。頭ではこんなのは間違っていると分かっているのに、体の方はエンタープライズの事をもっと知りたがっていると叫んでいる。

 

 エンタープライズの胸を掴んでいる手も、少しづつだが胸の感触を堪能するかのように少しづつ胸に沈みこむようにして揉んでいる。  

 

 どうする? 今ならまだ戻れる。

 

「……沈黙は受け入れると受け取るぞ」

 

 エンタープライズはチラリと下の方を向き、顔を添えていた手を俺のソコに近づかせた。

 

 もう考えている時間は無い。このままエンタープライズと一緒になるか、それともこういう事は間違ってると言ってエンタープライズの事を説得するかの2択だ。

 

 エンタープライズとの思い出が頭の中に巡ってくる。瞳を閉じ、自分の心と議論を重ねた結果、俺は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダメだよ、エンタープライズ。こんな事しなくても、俺達の繋がりは確かにあるから」

 

 俺はエンタープライズを拒み、近づいている手にゆっくりと重ねる様に置く。

 

 エンタープライズは一瞬この世の終わりを見たかのような目を向け、静かに涙を流してそっと俺の手を掴んでいた手を離した。

 

「…………はは、そうだな。こんなことしても……どうにかなるという訳じゃ無い。分かってはいたんだ」

 

 エンタープライズは力尽きた様に顔を俯むかせ、ベッドのシーツを涙で濡らし続けた。そんなエンタープライズを、俺は優しく抱きしめた。

 

「指揮官……?」

 

「大丈夫、落ち着いて。エンタープライズの繋がりは決して消えないから」

 

 エンタープライズの震えが止まり、エンタープライズと目を合わせる。

 

「姉妹……ううん、家族の繋がりは決して切れないと思っている。俺もさ、家族と離れ離れになってるし、天城母さん……1回は死んでるから。って、1回死んでるっておかしいよな。ははは」

 

 ちょっとした自虐を混じえながらも、俺は話を続けた。きっと、この経験はエンタープライズに必要な物だからと思ったからだ。

 

「俺さ、母さんが居なくなった世界が灰色に見えたんだ。寒くも熱くも無いし、腹も減らない。いっその事死んじゃおうかなって思ったぐらいだ。でも、そんな時でも母さんは俺に繋がりを残してくれたんだ」

 

 そう、あの手紙が無ければ今の俺は居ない。母さんが遺してくれたたった1枚の手紙が、俺を前へと歩きださせてくれた。

 

「『前を向いて歩け』。それが母さんが遺した言葉。だからこそ俺はここまで来れたし、姉さん達と離れ離れになっても大丈夫だった。今でもこうして基地で一緒に戦ったりしてるし。だからきっと、エンタープライズ達だってきっと大丈夫さ」

 

「だが……」

 

「信じられないなら、1回ホーネット達とも話して。喧嘩したままなんだろ? 本音でぶつかり合って向き合うからこそ、見えてくる物や感じるものがある筈だ」

 

「…………」

 

「その様子だと、一回もしてないだろ?」

 

「……分かった。話したみる。本気で……思っていることを」

 

「うん、それが良い」

 

 エンタープライズも落ち着きを取り戻し、いつもの雰囲気に戻った。

 

「……と、とりあえず話は終わった……からさ。その、胸元のボタン、戻さない?」

 

「……シないのか?」

 

「しないよ!! え、まさかの話は続いてる系なの?」

 

「ふふ、冗談だ。……半分な」

 

「それってどういう……」

 

 その一瞬、エンタープライズは俺の頬にキスをした。熱くて柔らかい唇に触れられ、同じことをされたせいなのかほんの一瞬だけホーネットの事も思い出してしまった。姉妹揃って頬にキスって……似てる所、あるんだなぁ。

 

「指揮官を愛する気持ちは本当だ。だが、返事は後ででもいい。その時まで、私は待っている」

 

「え……あ、うん……」

 

「今晩はすまなかった。基地と言えど夜道は危険だからついていきたいが……もし万が一部屋から出る所を見られては指揮官も困るだろう」

 

 確かに、青葉とか赤城姉さんとかに見られたら収集がつかなそうだしなぁ……

 

「わかった。じゃあ1人で部屋に戻るよ」

 

「あぁ、おやすみ。指揮官」

 

「うん、おやすみ」

 

 乱れ掛けている服を直しつつ、エンタープライズを1目見てから俺は部屋に出る。幸い夜だからか人通りも無く、廊下には誰もいなかった。だからといって油断は禁物。もしもここで誰かに見られたりでもしたら指揮官とはいえ不審者扱いになる。

 

 抜き足差し足忍び足と、息を殺してユニオンの寮から出ていき、止めていた息を吐き出した。

 

「ふぅ〜! なんか昔、夜更かしした時の事や長門の所に行った時の思い出すな〜」

 

 夜更かしした事がバレないようにしたり、長門の城にこっそり忍んでいた事とかは後にして……今は明日のエンタープライズとホーネットの事を気になるけど、あの2人なら心配は無いだろう。

 

「……絶対に仲直り、出来るよな」

 

 

 

 

 

 そしてその翌日が経った。

 

 俺はいつも通りに執務室での作業に没頭中だ。抜け出す訳にも、流石に何度もベルファスト達に任せる訳には行かない。ここにいる以上、指揮官としての役目は果たさないとね。

 

「どうなってるかな……エンタープライズとホーネット」

 

 今頃2人は本音をぶつけ合って話し合っているのだろうか。心配は無いと思うけど、やっぱり心配だ。そわそわしている所を

 

「大丈夫ですよ指揮官」

 

「達観してるな、流石長女って言うべき?」

 

「ふふ、まぁそんな感じです」

 

 今回の秘書艦、ヨークタウンが隣で安心してと言わんばかりに微笑んでくれた。ヨークタウンは要領良く執務を捌いており、単純な書類作業だったら向こうの方が上手だった。

 

「なぁヨークタウン。もし2人が和解して、どっちも改造を受けるとしたら……ヨークタウンはどうするんだ?」

 

 ヨークタウンは確か改造には否定的な意見だ。もし一人でも否定的な意見があれば、改造計画は無しという形になるけど……

 

「それが2人の意思なら、私は尊重します」

 

「ということは……改造を受けるって事?」

 

 ヨークタウンはコクリと頷いた。

 

「でもそれってヨークタウンの意思なの?」

 

「……はい、そうですよ?」

 

「嘘、目がこっちに向いてないよ」

 

「お見通しですか。えぇ、私はまだ悩んでいます。力は確かに必要です。ですが、その為には捨てるものがあまりにも……」

 

 ヨークタウンの表情は曇りだしてしてきた。それはそうだ。だけど……

 

「無くなるとは言ってないよ。それに、俺はヨークタウン達の繋がりを信じてる。それは多分、絶対的な力になるから」

 

「指揮官……」

 

「なぁ、今からでもエンタープライズ達の所に行って……」

 

「大変です指揮官っ!!」

 

 ヨークタウンを誘おうとしたらいきなりエセックスが執務室の扉を勢い良く開けた。その表情はかなり焦っており、ここまで全速力で走ってきたのか息を切らしては汗だくになっていた。

 

「え、エセックス!? どうしたの……?」

 

「突然の無礼失礼します! その、大変な事が!」

 

「いやだからその大変な事って何かな?」

 

「に、Ⅱ型の改造図が盗まれました!」

 

「は……はぁ!?」

 

 

 

 

 

 数時間後、研究室にて

 

 Ⅱ型の改造図、つまりホーネットとヨークタウンの改造図が何者に奪われたという事だが……その正体は直ぐに分かった。

 

 研究室には安全の為にセキュリティ方面はかなり厳重になってはおり、この基地に在中している人物は絶対に入れないようになっている。つまり、盗めるのは外部ではなく、内部のKAN-SEN達と俺やジンさんという事になる。それに、監視カメラもあるから、犯人の特定は用意だった。

 

 研究室の主であるリフォルさんは監視カメラの映像を回すと、そこには猫耳で銀髪の少女の姿が何やらPCを操作していた。

 

 間違いない、この子はハムマンだった。

 

「どうやら設計図を盗んだのはハムマンのようだね。設計図のデータを盗んではバックアップまで消してる。こりゃあお手上げだ〜」

 

「まさかハムマンちゃんがそんな事を……一体どうして……」

 

(そう言えば、昨日医務室の所でハムマンの声を聞いたな……まさか、聞かれたのか?)

 

 ハムマンはヨークタウンに対して特別な感情を抱いている。恐らくはヨークタウンの事を思っての行動だと思うが、こんな事してヨークタウンが喜ぶはずが無い。現にヨークタウンは困っているのだから。

 

「とにかくハムマンを追おう。エセックス、基地の皆にもハムマンがいた所を報告するように言って。くれぐれもこの事は秘密ね」

 

「了解です!」

 

 エセックスは全速力でこの場を立ち去り、基地の皆にこの事を報告しに行った。

 

「さて、俺達も行こうか。……と、その前に。リフォルさん、これ本当にハムマンなんですかね?」

 

「ん? 別視点のカメラを見るに間違いなくハムマンだよ? 何か気になる所でもあるの?」

 

「いや、ハムマンにしては随分と手際が良いって言うかなんというか……ハムマンらしくない感じがします。バックアップって簡単に消せるんですか?」

 

「私以外にバックアップファイルに触れたら警報が鳴って、セキュリティシステムが作動する仕組みだよ。……あぁ、なるほどね。まぁ確かに妙な話だよね」

 

「つまり、ハムマンちゃんが設計図を盗むだけじゃ無く、わざわざバックアップも消した行動に違和感を感じるのですね?」

 

 ヨークタウンの言う通りだ。こう言っては何だが、この行動は明らかにハムマンらしくない。恐らくだが何者かの助言が無ければこんな行動はしない。 

 

 だがそうなると、共犯者がいるという事になる。ハムマンに協力しそうな人って……シムス辺りか? でもシムスがこんな事すると言われたら微妙だ。イタズラ者ではあるが、ここまでする奴では無い。じゃあ誰だ……? 

 

「考えても仕方ないな。俺達もハムマンを探そう。ヨークタウン、付いてきてくれるか?」

 

「もちろんです。ハムマンちゃんが行きそうな所に案内しますね」 

 

「助かるよ。じゃあ、行こうか」

 

 俺達も研究室を抜け、ヨークタウンの案内の元、ハムマンが行きそうな所をくまなく探したが、やはりハムマンはいなかった。  

 

 ハムマンの部屋、ユニオン宿舎の近くの木陰、ビーチ、オフニャ宿舎……どこを探しても、ハムマンの姿形は見つけられず、他のKAN-SEN達からの連絡も無い。本当に基地の所にいるのかも怪しいぐらいだ。

 

「ここにも居ない……ヨークタウン、ハムマンが行きそうな所は他にないの?」

 

「すみません、もうこれ以上は……あ、でもあそこなら……」

 

 どうやら他にまだアテはありそうだ。最後の望みを持つべく、ヨークタウンは本館とは真反対の森の方に足を運んだ。この辺はまだ手がつけられておらず、殆どの人が来てないから隠れているには丁度良さそうだ。

 ヨークタウンはこの場所を知っているのか、深い森の中でも楽々と進んでいき、奥にある巨大な木が目立つな場へとたどり着いた。

 

「こんな所あったのか……!」

 

「えぇ。ハムマンちゃんが見つけてくれた秘密の場所です。あそこの木陰にもしかしたら……」

 

 ヨークタウンは広場の中央にある大きな木を指を指すと、その向こうには木の傍で座っていて手にはUSBメモリが握っているハムマンの姿を見つけた。

 

「いた! ハムマン!!」

 

 名前を呼ばれたハムマンは猫耳を差が経つように立たせ、肩も大きく上げると即座にこちらに顔を向けた。

 

「な……何でここが……! って、隣にいるのはヨークタウン姉さん!?」

 

「やっぱりここに居たのね。ハムマンちゃん、どうして設計図を盗むような事なんて……」

 

「こ、これはその……」

 

「貴方の為だって、この子は言ってたわよ?」

 

「この声……まさか……!」

 

 木の上から白髪の長髪に赤い目を持ったKAN-SEN、オロチさんがいつもの笑みを浮かべて登場した。

 

「オロチさん……まさか、ハムマンに入れ知恵してたのって……」

 

「そ、私よ。私だってⅡ型改造計画に1枚噛んでるんだから、バックアップファイルの事やセキュリティなんてちょちょいのちょいって訳よ」

 

「オロチ、ハムマンちゃんに何か吹き込んだの? だとすれば私は……」

 

 ヨークタウンが見た事ない程怒っており、ボウガン状の武器を実体化させて矛先をオロチさんに向けた。

 

「待って待って! 私はただこの子に頼まれてやっただけなの! 私もこんな損な事最初からやるつもりは無いわよ」

 

「ハムマンに? 一体どういう……」

 

「何しろヨークタウンの為。らしいわよ? 私はこの子の根気に負けたと同時に興味を持ったの。最初からこんな事上手くいく訳が無いし、何しろヨークタウンにも迷惑がかかるのよ? それでもこの子はこれをやると聞かなかった……理解し難い感情に、私は興味を持ち、協力したの」

 

 人の事を知りたがるオロチさんらしい言い分だ。だが、嘘をついている様子は無い。ホーネットもそれを分かっているのか、武器を下ろしてハムマンに近づき、ハムマンはUSBメモリを守るようにした。

 

「ハムマンちゃん。それを渡して貰える? それは大事な物なの」

 

「だ、ダメ! これを受けたら、ヨークタウン姉さんは……大切な姉妹の記憶を失う事になるから!」

 

「ハムマンちゃん……やっぱり聞いていたのね」

 

 やっぱり動機は改造計画のリスク絡みだった訳か……

 

「ヨークタウン姉さんにとって、エンタープライズとホーネットは大切な人なのだ! それなのに、それを突きつけるリフォルも指揮官もみんな最低なのだ!」

 

「ハムマン……」

 

「指揮官だって家族の大切さを分かっている筈なのに、どうしてこんなの受けさせる事をするのだ!」

 

「ハムマンちゃん! いい加減に……」

 

「待って、ヨークタウン。少しだけ俺に任せて」

 

 叱りつけるヨークタウンを止め、俺は威嚇しているハムマンに近づき、片膝を付いてハムマンと目線を合わせた。

 

「ハムマン、お前の言う通りだ。こんな辛い選択をさせる俺は最低な人間だと思う。俺だって、家族と離れ離れになったり、記憶とかなくしたからその辛さは分かる」

 

「だったら!」

 

「だけど、たとえ忘れても家族……姉妹だった事実は無くならない。その事実はきっと忘れても力になるから」

 

 俺は、自分で家族の繋がりを断ち切ろうとしていた。だけど、母さんと姉さん達はそんな俺を昔のように変わらず接してくれた。

 

 記憶を失ったどころか、人格さえ変わった俺をそれでも家族として受け入れ、閉じこもっていた俺を救い出してくれた。

 

 俺だけじゃない、ビスマルクとティルピッツも凍りついた絆を取り戻した。家族という事実は、見えないけど確かに強い繋がりなのだから。きっとこれまでも……これからも……ヨークタウン達にとっては力になると俺は信じている。その事をハムマンにぶつけ、思いを伝える。

 

「繋がりは無かった事にはならない。だから信じてみないか? ヨークタウン達の繋がりを」

 

 手の平を上にしてハムマンからメモリを渡す事を期待し、ハムマンはそわそわしていた。どうやら、まだハムマン自身引っかかる所があるようだ。

 説得は失敗と思った矢先、ヨークタウンもハムマンの前に立ち、膝を曲げて目線を合わせた。

 

「ヨークタウン姉さん……」

 

「ハムマンちゃん、ごめんね。貴方に不安な思いをさせて」

 

「よ、ヨークタウン姉さんは悪くないのだ!」

 

「ううん、自分の意思で決められない私も悪いの。私は恐れていたの。信じていた物が壊れる恐怖、そして信じてくれたのに責任を果たせなかった恐怖に、私は怖くて逃げ出していたの」

 

 この時初めて、ヨークタウンの本音が聞けたような気がした。

 

「だけど、もうそれは止める。指揮官の言葉で私も信じてみる事にする。エンタープライズやホーネットの事、そしてこの基地にいる皆の事や……この繋がりを」

 

「ヨークタウン、それって……」

 

「指揮官、Ⅱ型改造計画……受けることにします。これは、私の意志です」

 

 いつも通りの微笑みだが、その目は決して弱くは無い強い目だった。

 

「だからハムマンちゃんも信じて欲しいの。私と、エンタープライズ、ホーネットとの繋がりを。だから……お願い、その手に持っている物を渡して?」

 

「…………はい、分かったのだ」

 

 ハムマンはヨークタウンの事を信じ、USBメモリをヨークタウンに渡してくれた。これで無事に設計図を取り戻す事が出来、この事をエセックスに伝えた。

 

「一件落着って感じ? それにしても、言葉や目だけで良く信じられるわね。データや裏付けとか無いのに。ほーんと、心って言うのは分からないものね」

 

「言葉や想いはデータなんかじゃ分からないものですよ。オロチさんもいずれ分かりますよ」

 

「えー? 私って結局データの寄せ集めで造られた存在だから心なんて無いわよ?」

 

「何にだって心は宿ります。オロチさんだって、ハムマンの行動が気になって協力したんでしょう? 何かを感じたいと思う気持ちがあれば、それは心があるのと言ってるような物ですよ」

 

「ふーん、まぁ私はここでおさらばという事で」

 

「あーちょっと待ってください。ハムマンとオロチさんは、設計図を盗んだという事をしたので、懲罰があります」

 

「ふぇ!?」

 

 俺が意外な事を口にしたのか、3人は驚きを隠せない様子だ。一応指揮官だから、悪い事をしたらそれ相応の罰をさせなければならない。ハムマンはそれを分かっているのか、少し怯えている様子だ。

 

「指揮官……」

 

「大丈夫だよヨークタウン。……ハムマン、君は大事な物を盗んだ。これは凄く悪い事だって分かっているよね?」

 

 ハムマンは静かに頷いた。

 

「だから、それなりにキツーい命令をします。……ハムマンとオロチさんにはこれから1週間長距離輸送任務に就いてもらいます。……改造したヨークタウン達と一緒にね」

 

「! それって……!」

 

「俺にはまだやる事があるし、改造の慣らしも必要だからな。頼むよ?」

 

「わ、分かったのだ! ハムマン、ヨークタウン姉さんと一緒に頑張るのだ!」

 

 ようやくハムマンはいつもの調子に戻り、溢れんばかりのやる気に満ち溢れていた。それとは逆にオロチさんは体が真っ白になったかのようなショックを受けていた。

 

「え、えーと優海? 私、あまりに長時間運用には向いてないって言うか、もっとこう悠々自適に過ごしたいなーって思ってるんだけど、もっと楽な事には……」

 

「ダメです。ハムマンに言われたとは言え、大事な機密情報を盗んだ手伝いをしたんです。これぐらいはやってください」

 

「うぇぇ〜」

 

 オロチさんはそのままだらしなく力を抜いて芝生の上に寝転がった。

 

 ともかく、これで一件落着だ。ヨークタウンも自分の意思で改造を受けると言い、これでヨークタウン、エンタープライズ、ホーネット全員の承諾は得た。後はあの2人が上手くやれば……いよいよⅡ型改造計画の始まりだ。

 

 

 そして、その時はやって来た。

 

 

 

 

 

 

 

 改造計画当日、俺とハムマン、そしてヨークタウン級の3人は、リフォルさんの研究室へと足を踏み入れていた。

 

「それじゃ、今からⅡ型改造計画を開始するよ。……でも最終確認、本当に良いんだね」

 

「はい、私は私自身の意思で強くなりたいと願っています。それに、繋がりは無かった事にはなりませんから」

 

「私も同じ気持ちだよ。皆の役に立ちたいし、2人のことを忘れるつもりもないから!」

 

「あぁ、それに例え忘れても私は2人の事をずっと覚えている」

 

「ちょっと〜! 忘れるつもりは無いんだから〜!」

 

「はは、あぁ。そうだったな」

 

「どうやら、決定のようだね。じゃあヨークタウン、ホーネット。あの部屋の奥に入って」

 

 2人はエンタープライズに一言掛け、笑顔を向けた後リフォルさんに言われた部屋に足を踏み入れた。

 

「それじゃあ、早速始めようか。3時間ぐらいかかるから、研究室の外で待ってて」

 

「うぅ……仕方ないのだ」

 

「大丈夫だよ。じゃあリフォルさん、よろしくお願いします」

 

「最善は尽くすよ」

 

 俺たちは研究室を後にし、ハムマンはそわそわする気持ちや、心配する気持ちが顕になっていた。

 そんなハムマンをエンタープライズはハムマンの震えていた手を添えた。

 

「大丈夫だ。何も心配する事は無い」

 

「エンタープライズ……うん、ありがとうなのだ」

 

 今から何分経ったのだろうか、時間をみるとまだ30分しか経っていなかった。ベンチに座ったまま受ける風が少し冷たく、冷ややかな風が不安を駆り立て、また30分が経ち、1時間が経過した。

 

「……何かご飯とか食べる?」

 

「だったら、ホーネット達の為に何か作るのはどうだ?」

 

「それもそうだな。ハムマンもどう?」

 

「そ、そんな事している暇は……」

 

 するとハムマンのお腹から虫の音が鳴り、ハムマンは赤面してし、恥ずかしがるハムマンを見て頬が緩んでしまう。

 

「な、何見てるのだ! このヘンタイ!!」

 

 ハムマンは俺に正拳突きを喰らわせた。

 

「ぐほぉ……! い、一応指揮官なんだけど俺っ……」

 

「へ、ヘンタイはヘンタイなのだ! フンッ!」

 

「落ち着けハムマン。それよりも、どうするんだ?」

 

「ま、まぁ。ヨークタウン姉さんの為に料理を作るついでにご飯を食べれるならそれも良いかも……しれないのだ」

 

「素直じゃないな。それじゃあ厨房に行こう。新しいレシピも覚えたんだ。指揮官も行こう」

 

「あ、あぁ……でも待って。お腹痛い……」

 

 ハムマンから喰らった痛みが引きはじめ、震えた足を立たせてエンタープライズ達についていく。

 

 ユニオンの厨房に着き初め、エンタープライズとハムマンはエプロンを着ける終えると。エンタープライズが作るのは……

 

「ハンバーガーを作ろうと思っている」

 

「は、ハンバーガー……?」

 

 てっきりサンドイッチとかだと思ったら、まさかのジャンクフードだった。

 

「もちろん重ねて運ぶ訳じゃない。野菜やパティを別々の容器に入れ、食べる直前に重ねたら問題ない筈だ」

 

「なるほど、ベルファストのアドバイスかな?」

 

「まぁな。さて、野菜を切るのと肉を焼くのは私と指揮官がやろう。ハムマンはパンズを頼む」

 

「よーし、頑張るのだ!」

 

 早速皆調理に移り、俺はパティを焼くのに移った。ミンチにされた牛肉を薄く伸ばし、フライパンの上に粗挽きの黒胡椒をまぶす簡単なお仕事だ。

 

 ハムマンもパンズを焼いているし、エンタープライズもアボカドやレタス、トマト等の野菜を小刻みの良いリズムで切っていく。

 

「へぇ、上手いねエンタープライズ。どんどん料理が上手くなっていてる」

 

「ベルファストにしごかれたからな。このくらいはやれる」

 

「昔はご飯なんて食べずにエナジーバーとかで済んでいたのに。それでベルファストにすんごく怒られたエンタープライズがねぇ……」

 

「む、昔の話だ! それよりも、焦げないように気をつけてくれ。指揮官」

 

「はいはい」

 

 フライパンの上で焼き上げられたパティを容器の上に乗せ、これだけでも美味しそうだ。食べたい気持ちを抑えながら、次のパティも焼いていく。

 

「そうだ、指揮官。余裕があればエビとホタテも頼む。姉さんは海鮮も好物だから、それも入れたい」

 

「了解。えーと海鮮は……と」

 

「パンが出来たのだ!」

 

「よし、次も頼む。それとハムマンにはソースの方も……」

 

 エンタープライズの指示の下で次々とハンバーガーの素材が出来上がっていく。ここではエンタープライズが指揮官だなと内心思いながら、大体人数分+お代わり分のハンバーガーの数が出来上がった。

 

「よし、こんなものだな」

 

「よく出来てるのだ!」

 

「荷物は俺が運ぶよ。じゃあ研究室に戻ろうか。そろそろ改造も終わりはずだし」

 

 美味しいハンバーガーが入った容器を持ち、少しの不安と期待を胸に研究室へと戻っていく。

 

「うぅ……どうかヨークタウン姉さんがエンタープライズの思い出を残してますように……」

 

「……」

 

 神様に願いながらハムマンは刻一刻と迫る時間は来た。上着のポケットから携帯の着信音が鳴り、リフォルさんからのメッセージが届いていた。

 

 ﹁改造は終了したよ﹂

 

 簡素なメッセージが着き、数分後、研究室がある建物の扉が開かれた。

 

 その扉には2人のKAN-SENが現れ、その2人は間違いなくホーネットとヨークタウンだったが、どこか雰囲気が違っていた。

 

 ヨークタウンの髪は更に白く、白銀の雪の様な髪になり、ホーネットは髪型こそあまり変わってないが、来ている黒コートがまるでエンタープライズを彷彿とさせるようでもあった。

 

 2人は待っていた俺達を見ると、キョトンとした様な顔をしていた。

 

「えーと……ハムマンと指揮官だよね? それは分かるけど……そこのKAN-SENは誰?」

 

「っ……!」

 

 エンタープライズは帽子を深く被り、この事実から目を逸らそうとしていた。だが、後ろにいるヨークタウンはホーネットの頭を叩いた。

 

「こーら、ホーネット。あんまりからかわないの」

 

「えへへ、ごめんよ〜エンプラ姉。大丈夫、全部覚えているから! 証拠にえーとね……そうそう! エンプラ姉がに指揮官とデートしたらすっごく不機嫌にな……」

 

 得意げにホーネットが話すとその途中でエンタープライズが目にも止まらない蹴りをホーネットの頬に掠め、槍のような蹴りは研究室の壁に少し風穴を開けた。

 

「……それ以上は言うな」

 

「ひぇぇ……ちょっとエンプラ姉、やりすぎで」

 

「良かった……」

 

 エンタープライズはホーネットを抱きしめ、自分との思い出を忘れないでくれたホーネットに涙を流した。

 

「……うん、うん……! 良かった……! 良かった!」

 

 ホーネットもつられて泣いてしまい、こっちも嬉し涙を貰ってしまう。ハムマンもエンタープライズ達の嬉し涙を貰い泣きしてしまい、それを見たヨークタウンは静かに腕を広げた。

 

「うぅ……良かった……良かったのだ〜!!」

 

 泣いたハムマンはヨークタウンに飛びつき、ヨークタウンは優しくハムマンの頭を撫でた。

 

「えぇ。本当に良かった……信じる力って凄いわね。本当に……」

 

(あの輪には入れそうには無いな……)

 

 邪魔してはいけない輪から一歩下がり、繋がりを結び続けられたエンタープライズ達の涙を見守った。

 

 冷たかった風が暖かくなり、その風を追いかけるように3羽の鳥が大空へと翼を並べて飛び立って行った。まるで、あの3人のように……

どのテネリタスが好き?

  • ロリママ創造者の2代目 ラハム
  • 人類最強の天然3代目 アトラト
  • 食いしん坊な絶対守護者4代目 シーア
  • 武士道と極める騎士5代目 ロドン
  • 風のように自由なガンマン6代目 セイド
  • 完璧で究極のアイドル7代目 マリン
  • おっとり包容力で全知全能の8代目 ミーア
  • 元人間のセイレーン 10代目マーレ
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