もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら〜2nd season 海上の誓い〜   作:白だし茶漬け

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今回で第3部のプロローグが終わり、次から第一章であるサディアが始まります。

……が、来月から社会人になるゆえ、かなり投稿ペースが遅くなる事を一応伝えておきます。

3月中はそれ程かからないと思いますが、4月から新天地という事なのでかなり不定期になることが予想されますが、是非ともご愛読の方と、感想の程頂けると嬉しく、励みにもなります


息子

 

 アズールレーンには上層部という物が存在する。全ての陣営に置ける最高位に属する物であり、各々が自分の陣営に対して絶対的な権力を持っている。

 

 彼らが指を動かすだけでほぼ全ての武器は彼らの思い通りに動かす事が可能であり、世界の全てを総ていると言っても過言では無い。

 

 そんな上層部だが一枚岩では無かった。ありとあらゆる人物がそれぞれの思惑を持っており、そんな上層部の人間が、まさに一箇所に集まろうとしていた。

 

 集まろうと言っても実際に集まる訳では無い。

 

 アズールレーン上層部の1人、オセアン・テネリタスが自分の書斎の本棚に目を向けていた。

 

 彼は1番右側の本を指にかけた後、そのまま取り出さずに放置し、次はその3つ隣の本を奥に押し込むと、本棚が奥へと移動し、隠されていた通路が開かれた。

 

 ベタな仕掛けだが、これが分かりやすく騙されやすい。

 

 優海も誰も知らない秘密の抜け道の階段をゆっくりとオセアンが歩くと、少し埃まみれになった岩壁の通路を歩いていく。

 

 少し掃除をした方が良いと自分に提案しながら歩くと、そこには様々な機械となにかの実験データを纏めたモニターが壁を埋めつくし、少し大きめのテーブルの上には多数の紙が散らばっていた。

 

 ここは、先代であるミーア・テネリタスが生涯をかけて見つけてきた技術の集まりであり、その中には核分裂という、あの時島を一発で滅ぼした悪魔の兵器の作り方や原理が記されてあった。

 

 しかしオセアンはこれを見に来た訳では無い。オセアンはガラス張りの部屋へと入り、そこには無人のテーブルしか無かったが、オセアンにとってはこれからこのテーブルが埋まる未来が見えていた。

 

 オセアンはいつもの席へと座り、一呼吸置いてから目を閉じた。

 

 目を閉じると、あの時マーレが宣戦布告した姿が脳裏に浮かんだ。

 

 あの時の自分の息子の怒りに満ちた顔は、昔共に過ごした日々が否定されているようにも思え、同時に自分の罪深さが胸に突き刺さった。

 

 今思えば、自分の不甲斐なさがこの世界の混乱を招いた。

 

 あの時自分がセイレーンを止めていたらと考え、後悔だけが積み重ねってしまう。だが、どんな事があっても時計の針は過去へは戻らない。

 

 オセアンは記憶を辿るのを止めて目を開き、現実に目を向けると、無人のテーブルにはいつの間にか空席が少なくなり、3人のホログラムの人間が椅子に座っていた。

 

 いまオセアンに見える人間がアズールレーン上層部だ。

 

 前は多くいたが、テネリタスの襲撃によりまともに動けるのはこの人数だけとなった。

 

『ここも随分と少なくなったのぉ〜』

 

 言葉と裏腹に全く寂しさが感じられない軽い言葉を吐いた女性に目を向けると、女性は金髪の長い髪に、金色の狐の耳と尻尾が生え、白い着物を着こなし、いつでも扇子を優雅に仰いでいる重桜の上層部【妖狐】だ。

 

 オセアンは彼女が苦手であり、出来ることなら目を合わせないようにしていたが、彼女からオセアンの傷口に塩を塗るように話しかけてきた。

 

『これもそちの教育がなっておらんからじゃ。どう責任をとるつもりじゃ、英雄はん』

 

 オセアンは何も言えず、ただ妖狐が行ってきた言葉を噛み締めるだけだった。

 

『無駄な会話をする為にお前はここに来たのか? さっさと本題に入るぞ』

 

 妖狐を止めたのはジンの父親である、べリタス・カービスだった。妖狐はベリタスの威圧的な目線に何とも思わ無かったのか、ただにやけ顔をしながら口を閉じた。

 

『……話を進めるぞ』

 

 一際嫌悪感を抱きながらそう口にしたのは、鉄血の上層部【ブルート】だ。

 

 ウルフカットの銀髪で左目には戦いの負傷した怪我を眼帯を付けており、自分の体よりも一回り大きな緑色の軍服をコートの様に両肩にかけていた。

 

 見た目は男だがブルートは女性だ。だがその事実を隠す為に、彼女は男勝りな態度や性格、そして口調にも気をつけている。

 

『今回我らがここに集まった理由は、テネリタスをどうするかだ。現在、テネリタスの侵攻率は全体の10%に到達しつつある。このまま奴らの侵攻を許せば、半月で全ての陣営は全滅だ。無駄な話をする時間は無い』

 

『同感だ』

 

 ベリタスがブルートの意見に同意し、無駄話をした妖狐に圧をかけた。しかし妖狐はそれでも自分のペースを崩さず、糸目の笑顔を見せた。

 

『別に妾は事実を言ったまでじゃ』

 

『それが無駄だ。それよりもテネリタスの動向についてだ』

 

 ブルートはテーブル中心のホログラムを起動させ、テネリタスが現在の侵攻状況を纏めたデータを見せた。

 

『現在テネリタスはサディアを中心にして侵攻を開始している。現在サディア上層部はその対応に追われ、連絡が途絶しているが……恐らくテネリタスの目的はあそこだ』

 

「コロッセオの地下……」

 

 オセアンが答え合わせするかのようにそう呟き、話はコロッセオの話題へと変わっていく。

 

『サディアにあるコロッセオ地下にはKAN-SENの【駒】を作る装置がある。数でしか優位性を取れない我々にとって、これを守らなければテネリタスの侵攻は食い止められないだろう』

 

『ではそこにKAN-SEN達を集中させ守るというのか? はっきり言って戦力の無駄だ。一時期守ったとしても攻め入られたら防衛する力が無くなる。別の場所に移せないのか』

 

『無理だ。だがKAN-SEN達だけでは戦力不足なのは認める。その為、セイレーンのアビータシリーズも投入する。……その場に鉢合わせたという体でな』

 

『なるほどの〜それなら妾達とセイレーンの関係は保ちつつも、馬鹿な民共はコロッと黙せるという訳じゃ』

 

 妖狐は馬鹿な民衆の姿を思い浮かべているのかケタケタと趣味の悪い笑顔を浮かべ、オセアンは思わず妖狐から距離を置くようにして座り直した。

 

「ブルート君。問題のKAN-SEN達はどうするんだい? 私が指揮するのも良いんだが……」

 

 オセアンはKAN-SEN達のメンタルについて危惧していた。

 

 今のKAN-SEN達は優海を失った事により、統率やメンタルがボロボロになっており、その機能を停止しつつあった。

 

 これではまともに戦えないと踏んだオセアンは、自ら指揮をしようと提案をするが、ブルートから止められた。

 

『いや、貴様ではダメだ。あの男もお前も、KAN-SENを人の様に接している。アレは兵器だ。だから、兵器扱い出来る人物を用意した』

 

「何だって……? それは一体……」

 

『学園の第三席の奴だ。指揮能力だけなら、コネクターよりも優秀だ』

 

 学園の第三席と聞いたオセアンは、その人物を思い出し、咄嗟に椅子から立ち上がった。

 

『待ちなさい! その子は確か……』

 

『確かそいつは鉄血だったな。これに乗じて指揮官という権力も奪うと?』

 

『馬鹿を言うなベリタス。貴様らアズールレーンは信用ならん。やはり、レッドアクシズこそこの星を牽引する御旗だ。毒を以て毒を制し、全てを制する毒を作る。貴様らのような、人類の力という不確定な物に縋る気がしれん』

 

『……ふん』

 

『妾もそやつの言う事に賛同する。人の力などたかが知れとるからのぉ』

 

『話はこれで終わりだ。続きは追って連絡する』

 

『待って下さいブルートさんっ!』

 

 ブルートはオセアンの静止を聞かずホログラムの姿を消した。どうやら退出したようだ。妖狐もすぐさま退出し、残るのはオセアンとベリタスだけとなった。

 

「まさかあの子が指揮官に……どうしたものか」

 

『優秀な奴だから問題ないだろ』

 

「確かに優秀ですが……あの子は危険です。KAN-SEN達が壊れてしまう」

 

『壊れたらまた作ればいい。そのためにKAN-SEN達は……』

 

「KAN-SENは道具では無い!!!」

 

 オセアンは机の一部に亀裂が入るほど力強く机を叩き、オセアンの怒りを初めて見たベリタスは、英雄の威厳をオセアンから感じ、ベリタスは態度を変えずにそのまま黙り込んだ。

 

「……すみません、ついカッとなってしまいました」

 

『お前がそこまで我を忘れるとはな。あの時以来か』

 

 ベリタスが言ったあの時とは、マーレと妻が亡くなった時だった。あの時のオセアンは荒れに荒れ、机の上にあた資料を破り捨てたりしており、自分でも恥ずべき行動だと自負していた。

 

「お恥ずかしい限りですよ。……ですが、彼女たちは道具では無い。生きている人間ですよ」

 

『造られた存在だかな。悪いが、俺は彼女たちをヒトとは思っていない』

 

「『彼女たち』……ですか」

 

 オセアンはその言葉を聞き、ベリタスは笑ったオセアンを見て自分が言った言葉の意味を今更ながら知ってしまい、罰が悪そうに舌打ちした。

 

『チッ……言葉の綾だ。気にするな』

 

 ベリタスは椅子を回して背中を見せ、照れ隠しで顔を見せないようにしていた。どことなく不器用な姿にオセアンは微笑した。

 

「そういう事にしておきましょう。……さて、我々は民衆の暴動をどうにかしなければなりませんね」

 

『そこは自分で何とかしろ。俺達には権力がある。人を掌握するのは、決まって2つある』

 

『2つ……?』

 

『正義感か、力による屈服だ。このどちらかを選ぶかは、お前の勝手だ』

 

 ベリタスはそう言い残して退出していき、静かなテーブルと空間だけが残された。

 

 オセアンは椅子に背中を預け、張り詰めた空気から解放されて深呼吸をして新鮮な空気を取り込んだ。

 

「……さて、私はやるべき事をしましょうか」

 

 オセアンはガラス張りの部屋から出ていき、ミーアの研究室へと再度足を踏み入れると、モニターがある机の椅子に誰かが座っていた。

 

 その人物はボサついた頭に自分の体より一回りも大きいダボダボな白衣を見に包み、メガネ越しで大量の資料を眺めていた。

 

「おや、来ていたんですか、リフォルさん」

 

「退屈な会議は終わったようだね、オセアンさん」

 

 この研究室に来たのは優海の親友の1人、リフォルだった。相変わらずだらしない身だしなみだなとオセアンは思い、彼女はそれを気にしていない様子を見て、どこかベリタスに似た傲慢さえ感じた。

 

 彼女はKAN-SENに関する研究をしており、これまでKAN-SEN達の改造を施し、優海には新たな武装を作った科学者だ。

 

 そんな彼女がここに足を運び、ミーアの研究データを読み漁っていた。

 

「ここには……どうして?」

 

「ちょっと先代の研究データを見にね。しかし凄いね、8代目テネリタスは。何世代の技術やら理論の先取りしている……天才という域を超えてるね」

 

「それは貴方も同じなのでは? ……KAN-SENとセイレーンを作った創造者様」

 

 オセアンが放った言葉にリフォルは反応し、リフォルは手を止めて回転椅子を回して体ごとオセアンに向け、膨れっ面を見せた。

 

「だーかーら、私じゃなくて2人の天才が造りあげたの。私はきっかけを与えに過ぎないんだから」

 

 リフォル・ネロ。彼女はこの世界の人間では無い。セイレーンと同じく、未来から来た人物の一人だ。

 

 彼女自身がセイレーンとKAN-SENを造りあげた訳では無いが、彼女の何気ない一言で2人の博士は新たな命を作った。

 

 KAN-SENを造りあげた1人は創造者、セイレーンを造りあげた1人は審判者とセイレーンから称えられている。

 

 きっかけだが、KAN-SENとセイレーンを造りあげたきっかけを与え、言うなれば【陰の創造者】とも言われている。

 

 だから当然、リフォルの存在はセイレーンにも認知されていた。

 

「随分と楽しそうな話をしているわね。陰の創造者様?」

 

 そんな中、とある女が一人この場にやってきた。

 

 リフォルは背中を向けなくても誰が来たの分かっていた。触手がありながら、海の匂いは一切しない無臭がその存在を確定させ、まるで人類そのものを下に見ている小さな笑みは、どの人類であっても燻る怒りを抑えられないだろう。

 

「貴方までそれ言うの? オブザーバー」

 

 名前を呼ばれた彼女はゆっくりと明かりがある方に移動し、その姿を見せた。

 

「ここになんの用ですか? ここにある研究データは、この時代の人間にとっては価値がありますが、貴方方からすれば紙切れ同然の物です」

 

「そうね。用があるのは貴方よ、オセアン」

 

「私に……?」

 

 まさか自分に用があるとは思わなかったオセアンは少しばかり驚いた。

 

 オセアンは自分がセイレーンに対して何か出来るとは思っていないが、何か裏があるとは確信していた。相手はセイレーン、未来の為なら現在をも犠牲にする存在だ。

 

 セイレーンは未来から来たと言っても、この世界の未来で作られた訳では無い。

 

 セイレーン達にとってはこの世界は言わば実験場、どうなろうが知ったこっちゃないという事だ。そんなセイレーンにオセアンが持ち込んだ話は、オセアンの耳を疑う事だった。

 

「オセアン・テネリタス、セイレーンの指揮官になって見ないかしら?」

 

「なんだと?」

 

「貴方の指揮能力は目を見張る物がある。そう判断したのよ。流石にテネリタス相手に指揮系統が無いとキツイから貴方をスカウトした訳」

 

「……気になったのですが、何故ですか貴方達はそれ程までテネリタスを敵視するのですか? あの人達は、貴方達の敵である【エックス】に対抗出来る筈では?」

 

「強すぎるからよ。確かにあの子達は【エックス】に打ち勝てる可能性がある。けど、その後は誰があの子達を止められるのかしら?」

 

 不覚ながら、オセアンはオブザーバーの言うことに納得を覚えてしまった。

 

 確かにテネリタスを野放しにしては間違いなくテネリタスが世界を支配してしてまう。

 

 マーレの性格からしてこの世界を地獄みたいな事にはならないと考えてはいるが、暴走したマーレが何をするのか分からない不穏分子がある。

 

 それ以前にマーレが起こした行動によって世界は混沌となりつつあり、民衆同士の争いが起ころうとしている。

 

 土地を奪い、食料を奪い合う事だけは何としても避けなければならない。

 

 この原因となる、マーレの侵攻を父親として止めたいという気持ちが次第に強くなっていくオセアンに、この提案は魅力的でもあり、同時に悪魔と契約をするような恐ろしさもあった。

 

 オセアンは戸惑い、軍帽を深く被って考えた。

 

 この決断が果たして本当に正しいのかを。

 

 頭の中でオセアンは数々の自分と対話していた。

 

 上層部としての自分と英雄の家系に生まれた英雄としての自分、そして父親としての自分。

 

 オセアンは何か決断する時、この3人の内誰か一人でも恥じない事でようやく取引を交わすのだ。例えそれが、悪魔であろうと、なんだろうと。

 

 オセアンの頭の中でその1人がオセアンに反論した。

 

 _また自分の息子を手にかけるつもりか? 

 

 オセアンは父親としての言葉に考えを立ち止まらせた。

 

 オセアンは罪を犯した。愛する妻と息子を手放したという、深い罪を。

 

 10数年前、ある島がセイレーンによって破壊された。そこには当時まだ10才程だったマーレとその母親がいた。

 

 セイレーンによってマーレは人間としての命を落とし、最愛の妻と息子を亡くしたオセアンは心に深い傷を負い、同時に自分の弱さを呪った。

 

 アレはセイレーンの独断では無く、アズールレーン上層部が企てた作戦であり、詳細の殆どをオセアンに知らせなかった。

 

 作戦の全容を知った際はもう遅く、オセアンはアズールレーンに対してこの時から不信感を抱くと同時に、セイレーンに対して一切の信用も信頼も無くなった。

 

 そんな永遠に心を許すことが無い存在に指揮官となれと言われたオセアンの心情は、混沌と似た様に渦巻いていていた。

 

 だが同時に、息子を止められる可能性を高められる手段にも考えた。

 

 オセアンの考えでは、もうアズールレーンにテネリタスを止める力は残っていない。

 

 いくら優秀な指揮官を揃えようとも、KAN-SEN達にとって指揮官はある1人の男しか居ないと確信しているからだ。

 

 そして、同時にマーレを止められる唯一の存在だとも考えている。

 

 1人、いや2人の息子を助けるためにオセアンは覚悟を決め、オブザーバーに手を差し出した。

 

「受けましょう。その提案を」

 

「ふふ、じゃあこれからあなたはセイレーンの指揮官よ。宜しく、指揮官?」

 

 オブザーバーとオセアンは、仮初の握手を交わすと、オセアンがオブザーバーにある提案をした。

 

「その前に一つだけ約束があります」

 

「約束?」

 

「二度と人類に危害を加えないで貰いたい。人類はモルモットでは無い」

 

「あら、それぐらいならお易い御用よ。そうなるように全個体と共有しておくから。他に制約はあるのかしら?」

 

「私の指揮は絶対です。この2つを守ってくれるのならもう充分です」

 

「そう、じゃあよろしく頼むわね。指揮官さん」

 

 そう言ってオブザーバーオセアンから手を離し、不気味な笑顔を残しは影に溶ける様に消えていきオセアンは少しの脅威が去った事に安堵の息を漏らし、近くに空いている椅子に座った。

 

 事の一部始終を見たリフォルは、オブザーバーの誘いに乗ったオセアンを見て多少の心配をしていた。

 

「大丈夫なんですか? セイレーンの指揮官なんかになってりして」

 

「えぇ。私はもう逃げません。息子を助ける為に」

 

「それってマーレ? それとも……優海?」

 

 少し意地悪な質問にオセアンは怒りはせず、大人の余裕と言わんばかりの笑顔を見せた。

 

「どっちもですよ。まぁ、優海君からはお父さんとまだ呼ばれてませんがね……たはは」

 

「上層部にはまだ残るんですか?」

 

「ええ。この立場でしか動かせない勢力もあります。私は私で、自分が出来る事をやるだけです」

 

 早速オセアンは民衆の暴走を止める為に動き始め、この地下研究室を去っていった。

 

 オセアンが出ていくのを見送ったリフォルは回転椅子を回して自分の体を回し、オセアンのある言葉を思い出した。

 

「息子……ねぇ」

 

 リフォルは椅子の回転を止め、ある人物のデータがまとめられた机へと向かい、そのデータを読み漁った。

 

 その人物とは、天城優海。

 

 彼がマーレの襲撃によって重桜からロイヤルへと漂流し、彼がマーレ・テネリタスによって育てられていたこれまでの人生が記録されていた。

 

「ここまで大きくなったね……」

 

 ページを1枚めくる度に、リフォルはある感情が大きくなりつつあった。

 

 それが大きくなる度に優海の成長を喜び、同時に傍にいられなかった事に対しての心苦しさも大きくなっていくもの、母性だった。

 

「造るだけ作って育てられないなんて、母親失格だよね」

 

 自虐的にそう言いながら、リフォルは優海のデータをミーアの研究データをコピーし、この研究室から立ち去ろうとしていた。

 

 多分、この地下には二度と来ないだろうと思ったリフォルは名残惜しさも感じながら、階段を上がり、本棚の扉を静かに閉じた。

 

どのテネリタスが好き?

  • ロリママ創造者の2代目 ラハム
  • 人類最強の天然3代目 アトラト
  • 食いしん坊な絶対守護者4代目 シーア
  • 武士道と極める騎士5代目 ロドン
  • 風のように自由なガンマン6代目 セイド
  • 完璧で究極のアイドル7代目 マリン
  • おっとり包容力で全知全能の8代目 ミーア
  • 元人間のセイレーン 10代目マーレ
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