もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら〜2nd season 海上の誓い〜 作:白だし茶漬け
ヤークト・プロイド
世界は混沌と化していた。それはまるで、鍋の中に様々な食材が乱雑に入れられ、掻き混ぜた様な感じだ。
その鍋には綺麗で美しい食材だけではなく、腐った物や汚水までもあり、どうも上手くいかない料理になっていた。
暴動という名の調味料は味の調和を崩し、それを止める為に弾圧という名前の調味料を使えば少しはマシにはなる。
だが、世界は料理と違ってそうそう上手くは行かない。なぜなら、そこには絶対的な料理人と正解がないからだ。
料理は料理人という神にも等しい存在が調理し、自分と振る舞う為の相手に対して美味と感じられるかが問題となる。
そしてその問題には確かな正解がある。
正解は人を安心させ、目指さそうとする指標だ。
だが、世界が1つの料理だとすれば、それは一体誰に食べさせたら良いのだろうか、そして存在したとしてもそれを美味だと感じさせる【正解】はどこにあるのだろうか。
人は無意識にその正解を求め、それに導く人を求めている。
マーレ・テネリタスが世界に向けて宣戦布告をした日から1ヶ月あまりが経とうとした日、テネリタスは着実に全ての陣営を占拠し続けていた。
ユニオン、ロイヤル、鉄血、重桜の4大陣営さえも彼らの侵攻を止められず、押し込まれるように逃げた一般人は、アズールレーンの情けなさに怒りをぶつける日々だった。
そんな人類に紛れ込むように生きる者が1人いた。
彼は誰かを助けたいという優しさから生まれた願いの為に戦い、そしてそのせいで心が壊れてしまう。
皮肉な物だ。誰かが壊れないように戦っていた筈なのに、自分の心が壊れてしまったのだから。
優しさが自分を壊し、優しさが自分を押しつぶし、そしてその優しさで自分を殺した男は、サディア陣営のもう使われていない廃墟である一隻のKAN-SENの献身的な保護によって生きながらえていた。
テネリタスの侵攻によって捨てられた土地にある廃墟の中を清掃し、絹のような白い髪と凛としていながらどこか柔和さと艶やかさを兼ね備えた瞳を持っているメイド服姿のKAN-SENは、今日も心が壊れた彼……元指揮官の天城優海に食事を持って行った。
「ご主人様、昼食のお時間です。今日は食べやすいようにリゾットをお作りしました」
「…………あ、あァ…………」
ベルファストの瞳には車椅子で項垂れている優海が居た。
心が壊れてしまった優海は半ば植物状態の様になってしまい、まともな会話をする事も、歩く事も、料理を食べることも出来なかった。
それでもベルファストは作った少し熱いリゾットを少し冷ます為に息を吹きかけ、少しだけ冷めたリゾットを優海の口元まで持って行くが、優海の口は開かなかった。
こんな行動をベルファストは1ヶ月で何度も何度も繰り返した。もしかしたら何かの拍子で食べてくれるのでは無いかと期待を抱きながら繰り返しては、こんな終わり方をしてしまう。
ベルファストは胸が締め付けられる痛みを感じながらリゾットを傍にある机の上に置き、いつものように点滴を使っての優海の栄養補給を始めた。
「失礼します、ご主人様」
ベルファストは優海の右手首を持ち、点滴の針を打つところにアルコール綿を使って消毒し、しばらくしてからゆっくりと針を打った。
現場の医療関係者以上の手際でベルファストは優海に点滴を打ち終わったベルファストは机の上に置いたリゾットを食べながら、優海の傍を離れなかった。
「ご主人様……」
この1ヶ月だけでは見慣れない程痛々しい姿にベルファストは心を痛めながら、自分を責めた。
自分が至らなかったばかりにご主人様を傷つけ、心を殺してしまった罪悪感だけが胸の内に残った。
だが、別に罪悪感だけで優海をここまで検診的に奉仕した訳では無い。ベルファストは確かな愛情を持って優海に接していて。それだけは絶対的な物であり、否定できる物では無かった。
このまま静かにしていれば、互いの心臓の音が離れていても聞こえる程の静寂が包まれた中、一部始終を見た蛇が声を上げた。
「最初から点滴を用意しているのなら料理なんて作らなければいいのに」
この部屋にあるベッドに横たわっているオロチが無意味な行動を繰り返して続けているベルファストに向けてそう言った。
ベルファストは料理を作る前にいつでも点滴を打てる用意をしている事から、ベルファストは内心では料理を食べられる状態では無いと分かっていた。
だがベルファストは期待せずにはいられなかった。もしかしたら何かの拍子で奇跡が起きて、料理を食べてくれるかもしれない。またいつものように笑って美味しいと言ってくれるあの頃に戻る事を、ベルファストはいつまでも待ち続けるだろう。
「ご主人様は必ず戻ってきます。それまでご主人様を守り抜くのが私の役目ですから」
そう言ってベルファストは優海の伸びてきた爪を見て直ぐさま爪切りを取り、丁寧に爪を切っていく。
ただ爪を切るだけでは無く、ヤスリも使う事でその形を整えて行っている、これではまるで介護だ。
食事も取れず、歩きも出来ず、ましてや意思疎通を取ることも出来ず、ただ呼吸を繰り返すだけの姿はまさに植物同等であり、オロチはとてもじゃないが人間と言えるには疑問を持った。
「こんな状態で生きてるって言えるのかしら。いっその事もう楽にさせた方が良いんじゃない?」
オロチは冗談では無く本気だった。この状況がいつまでも続けられるかも分からず、優海の植物状態を解決出来ぬまま闇雲に物資だけが減っていく状態で現状維持というのも限界が来る。
アズールレーンはセイレーンとの秘密を隠すために、優海を確実に消しに来る。それを考えたベルファストは一旦優海をアズールレーンから離れさせ、追われながらも優海を生き延びさせようとした。
「それでも……私のご主人様はこの人です。主の為なら、私はこの命だって捧げます。オロチ様はいつでも抜け出して構いません」
これに関してオロチは特にこれといった理由も無く、ただ観測するだけだ。
人とは何か、そして人が起こす奇跡はどのようにして生み出すのか、オロチがここにいる理由はただそれだけだ。
味方でも敵でもない、まさに掴みどころの無い蛇がオロチだった。
「あっそ、まぁ私もアズールレーンに最初から居場所も無いし、好きにしなさいよ」
オロチはそのままベッドに寝転がり、ベルファストは感謝を込めて頭を下げた。
「ありがとうございます」
「気にしないでよ。あっ、そういえば今日、新しいアズールレーンの指揮官がこのサディアに来ているらしいわよ」
「新しい指揮官……?」
「そ、鉄血から来た指揮官らしくて名前は確か……『ヤークト・プロイド』だったかしら?」
オロチはサディアで配られていた新聞をベルファストに投げ渡し、ベルファストは一面に飾られた記事を眺めた。
一面に飾られたヤークトという新たな指揮官は、優海と同じ様に優しげな笑顔を持っていたが、黒い軍服を被って他を圧倒しそうな人間とベルファストは感じ、どこか危険な印象を受けた。
「新たな指揮官がサディアに……テネリタスへの反撃となるか……ですか」
「正直、指揮官が変わってもどーにもならないわよ。それにその指揮官、優海よりも成績劣っているらしいじゃないのよ」
「ヤークト・プロイド……ですか」
「や…………ーく、と?」
一瞬2人は幻聴が聞こえたかと思ったが、それが幻聴では無いことを理解したベルファストは希望を持って優海に顔を近づけさせた。
「ご主人様!? 今……今確かに声が……」
「私も聞こえた。このヤークトって名前に反応してるぽいわね」
ヤークトという名前を聞いた優海は指を震えさせていた。
これがどういう感情なのかはベルファストとオロチは分からないが、この1ヶ月無反応だった優海にようやく反応があった事をまずは喜び、ベルファストはあまりの喜びに涙を浮かべた。
「良かった……まだご主人様は……」
「これは……優海の心を取り戻すキッカケになりそうね」
同時刻 サディア領海内 コンパスにて
汎用強襲艦コンパスのブリッジにて、新たな指揮官であるヤークト・プロイドが就任したという情報を耳にしたジンは、苦虫を噛み潰したような顔を浮かべため息をはいた。
「まさかヤークトが指揮官になるなんてな」
「検索、『ヤークト・プロイド』。彼は鉄血出身であり、鉄血上層部の『ブルート』の一人息子。アズールレーン指揮官選別学校では第3席で卒業した優秀な人材です」
ジン達を助けたロボット、JBがヤークトについて検索し、その内容を2人に話したが、そのせいで2人は明らかな不機嫌な顔をした。
「あぁ、優秀だよ。性格はゴミクズだけどな」
ジンは学祭自体の頃のヤークトを思い出してはムカッ腹がたち、何度も座席の肘掛けを叩いて拳と金属が叩く音をブリッジに響かせた。
「その行動やめなさいジン。確かにヤークトが指揮官になると、KAN-SEN達が心配ね……」
「疑問。何故貴方方はヤークトにそこまでの不信感を抱くのですか?」
「……彼、他の子を自殺に追い込んだのよ」
「自殺?」
ジンとリアは思い出すのすら辛い様な顔をして何も知らないJBに話した。
ヤークト・プロイド。指揮官選別学校で第3席、つまり3番目に優秀な人材として卒業し、その後は高い身体能力を活かして上層部の直属部隊に入ったと言われているが、ジン達はヤークトをあまり気にも止めてい無かった……いや、気に止める事すら避けていた為彼の事情は分からずじまいになった。
それ程までに彼の性格は残酷、残虐、傲慢……そんな悪意の言葉を煮詰めた様な性格だった。
彼はとにかく人を人とは思わない性格だった。
自分こそが絶対だと信じて疑わない傲慢さを兼ね備えながらも、人を完全に信じる善人の仮面をいつも付けていた。
ジン達は最初、彼は凄く良い人だと思った。優しげな笑顔と、気取らない性格はリーダーとしての素質を持ちながら生まれたとも思うほどの人望があり、彼こそが指揮官に相応しいと思った人はジン達も含めて多くいた。
だがある日の事、学園内にて突然1人の男が自殺をした事件が起きた。
男は遺書を書き残して自室内で首を吊って命を落とし、誰もが自殺の原因は過度なストレスだと思っていた。
誰もが男の死に悲しむ中、ジンはヤークトが何故か悲しがっていない事に気づいた。
表面上では誰よりも涙を流し、嘆いていたが、ジンにとってどうしてもそれが嘘の様に思えて仕方が無く、好奇心と疑惑からヤークトの素性を探った。
そして辿り着いた答えが、ヤークトの裏表だった。
自殺した男はあまりの成績の悪さに自主退学をしようとしていたが、ヤークトがそれを止めていた。
ヤークトは男を奮い立たせ、四六時中一緒に勉学や訓練に励んでいた。
その甲斐あってか男は自信を取り戻しつつあり、少しづつだが成績が上がっていき、男はもしかしたら指揮官になれるかもとヤークトに言ったその時、彼はまるで天使のような笑みのまま、彼にナイフよりも鋭い言葉を向けた。
「残念だけど、もう指揮官って決まっているんだよね」
ヤークトは、この学園の真実を話した。
男は絶望した。このアズールレーン指揮官選別学校は、ある1人の男を指揮官に仕立て上げる為に作り上げた出来レースなのだと知り、今までの努力が否定され、少しづつ狂い始め、絶望した。
ヤークトはそれを分かっていたかのように彼の絶望した表情を見たのにも関わらず、笑顔を浮かべた。
「おめでとう、君のおかげであのマーレ君は更なる高みへと上り詰めたよ。いや〜やっぱり踏み台が良いと成長も凄いからね」
指揮官になる為にここに来たと言うのに、辛い事があっても指揮官になれるという希望と夢を抱いてここに来たというのに、それが否定された男は生きる気力さえも失った。
真実を言わなければ彼は自殺などしなかった。ヤークトはそれを知ってわざと引き金を引いたのだ。
ジンがこの真実を知ったきっかけは、ジンがこっそりヤークトの自室に侵入して手に入れた、男が遺した本当の遺書が捨てられていたからだ。
遺書は涙のせいで少し濡れている部分があり、この学園に関しての真実と、絶対に越えることが出来ない出生の差について綴られていて、その文字は怒りによって震えながら書いたのか、乱雑に書かれていた。
ジンは後日このことをヤークトに突きつけたが、ヤークトは隠すことも何もせず、真実を話した。
「あれはただの実験だよ。どうしたら人は絶望の淵から僕の言うことを聞いてくれるのか、そしてどこまでするのかをね。いや〜本当に有意義だったよ」
「……イカれてんのかお前?」
「僕は至って真面目さ。指揮官にはこういう洗脳……おっと、他人を説得出来る話術とか必要だろ?」
「そんな事しねぇとお前について行く奴がいないってか? 案外、自分に自信が無い奴なんだな」
「あはは、見え見えの挑発だね。それで? その遺書をどうするの? 皆に見せたとしても、多分信用されないよ? だって、僕は皆から『信頼』されているんだから」
確かにヤークトの言う通り、彼は当時から他人にかなり信用があった。だがヤークトはそれを全く信用していないおろか、実験道具の1つと思っているのか、もしくは体のいい壁か……ともかく、人間と思っていないなは確かだった。
ここで告発をしたとしても、アズールレーン上層部の息子と言う肩書きがヤークトを守り、自分の首を絞めるだけで告発は無駄だと悟ったジンは、直ぐさま本物の遺書をゴミ箱に捨て、ヤークトは物分りのいい子供を見つけた親の様に頷き、笑顔を向けた。
「うんうん、ゴミはゴミ箱に。偉いね、ジンくん」
「じゃあ生ゴミはどう捨てるんだ? 例えばお前のような腐った奴は特にな。扱いが良くないと臭い匂いが移っちまうからな」
ジンは負けじとヤークトに向けてそう言い放ち、お互いの溝は最早埋めようの無いものになった。
「僕も知りたいな。君の様なただ無意味に楽器を鳴らす猿のオモチャの扱いをね」
この時、ヤークト初めてこの場所で怒りという感情を顕にした。
「まぁ……ジンがら聞いた話だとこんな物ね」
「大体あってるぜ。自分が思い通りに動く為の駒を作るのにアイツは躊躇いは無い。アイツが指揮官になったら……多分KAN-SEN達はぶっ壊れると思うぜ」
恐らく、優海をダシに使ってKAN-SEN達を動かそうとはしているとジンは考えていた。
アズールレーン上層部の情報網はどれだけの規模かは知らないが、上層部が優海を見つけるのは時間の問題であり、他人を操る為に使える物は何でも使うのがヤークトだ。
恐らく奴も近々サディアに向かうだろう。
「疑問。現指揮官と接触した場合の対処はどのように考えていますか?」
「そうね……私達はアズールレーンのお尋ね者。接触は避けるべきだわ」
「とにかく優海の保護だな。情けねぇけど、アイツが俺達にとっての希望だからな……」
_現時刻アズールレーン基地にて
ある1人の男が島の残橋にて足を踏み入れた。
潮風が体を通り抜け、風が運ぶ潮の香りがする。
目に見える光景はこの場所の日常だろうか、KANーSEN達が少しばかり辛気臭い顔をしていて、男は乙女の顔が勿体ないと感じた。
今から自分は指揮官としてこのKAN-SEN達を指揮し勝利へと導くという責務が待っていると男は胸を踊らせた。
「さて.ここで合ってるよね? 迎えが来て案内する話だけど」
とりあえず男は周りを見渡すが迎えのKANーSENらしき人影がない。どうしたことか。まさかとは思うが日時を間違えたのかと男は形だけの不安を顕にし、時計を確認すると間違いなく時間はピッタリだった。
「全く、時間通りに来ないなんて酷い物だ」
まぁそれはどうでも良かった。案内が無いのならそれで構わず男は基地の中を歩き、たまたま近くにいたユニコーンに声をかけた。
「やぁ、ちょっといいかな?」
いきなり声をかけられたユニコーンは肩を上げる程驚き、ユニコーンは恐る恐る震えながら男に振り返った。
「……あなた、誰?」
「僕はヤークト・プロイド。新しい指揮官さ」
「新しい指揮官……」
ヤークトはユニコーンをよく観察し、自分を指揮官とは認めないという意志を受け取った。それ程までに元指揮官である優海の事を信頼しているのか、あるいはそういう洗脳をしたのかと優海に対して関心を持つと同時に、簡単に操れるとヤークトは心の中でほくそ笑んだ。
「いやね、僕は友達である優海くんを助けようと思ってここに来たんだよ」
「えっ? それ……お兄ちゃんの本当の名前っ……!」
(お兄ちゃん? そういう趣味で呼ばせてるのか?)
優海にそういう趣味は無いと思うが……呼ばせている姿を想像すると吐き気が出そうな気分にヤークトはなった。
対してユニコーンは優海という本当の名前を知っているという事は、この男はジンと同じ様な友達だと思い込んでしまっていた。
「あの、もしかしてお兄ちゃんの友達……?」
「うん。そうだよ。案内は良いから、ちょっと行きたい部屋があるんだけど……」
ヤークトはユニコーンからあるKAN-SENがいる部屋を聞き出すと、ユニコーンはなんの疑いも無く情報を提供し、ヤークトは礼を言ってその部屋へと足を運んだ。
数分後、周りのKAN-SEN達から度々視線を向けられたがヤークトは気にせずあるKAN-SENの部屋の扉の前に現れ、扉には『エンタープライズ』という文字があった。
ヤークトはノックをしてエンタープライズに声をかけた。
「もしもーし、エンタープライズさんは居ますかー?」
しかし返事は帰って来なかった。……が、微かだか気配は感じ取れていた。
エンタープライズはこの前の戦闘で優海を守れなかった事への責任で塞ぎ込んでおり、この1ヶ月まともに外に出る事は無かった。
こういう時、ベルファストが昔みたいに説得する事をしたのだろうが、そのベルファストは今は居ない。
深い深い深海の様に心を閉ざしたエンタープライズは、優海の名前をずっと呟きながら窓から見える海を眺めていた。
「指揮官……私はもう、戦えない……だが1度でいい、貴方に会いたい……」
その言葉を扉越しで聞いたヤークトは呆れていた。
(ただの兵器があの男をねぇ。しかもセイレーン。人外同士お似合いだ)
だが面倒な前準備が要らない事に手間が省けたヤークトは、早速本題に入ろうとしたヤークトはまずエンタープライズの気を引いた。
「エンタープライズ、君さえ良ければ指揮官を助けてみないかい?」
扉の向こうから知らない男の言葉を聞いたエンタープライズは、まともに動かしてない足を何とか動かし、よろめきながら扉を開け、ヤークトに今の姿を見せた。
灰色の髪は手入れされていない為ボサボサになってしまい、目元には酷いクマができていた。
服もずさんだった。いつものよ黒いマントは部屋に脱ぎ捨てられ、ノースリーブの白シャツもシワだらけでとてもユニオンの英雄とは思えなかった。
あまりにもだらしなく、そしてみすぼらしいエンタープライズにヤークトは優海とKAN-SENの関係に関心を持った。
あのエンタープライズが、たった一人の男を失っただけでここまで衰弱し、たった今発した自分の言葉で希望という確証があやふやで弱者だけが縋る物に、あのエンタープライズが求めている。
これを見せたら人類は落胆するのか、はたまた絶望するのか、ヤークトは興味を持ったが理性を持ってその考えを捨て、救世主の様に彼は笑う。
「こんにちは、エンタープライズ。僕が新たな指揮官、ヤークト・プロイドだ」
新たな指揮官は偽りの笑顔を浮かべ、救いを求める手に差し伸べた。
ベルファストの計画日記
ご主人様に習ってふつつかながら日記を記す事にしました。少しでも反応があれば記録に残し、いつかご主人様を元に戻すきっかけを見つける為に残します。
経過1日目
ご主人様は歩く事と喋る事が出来なくなり、食事も取れない様になってしまいました。栄養補給の為に急遽点滴用具を購入し、暫くはこれが続く事になるでしょう。
それでも……私は戻って来る事を信じています。
我儘が許さるのではあれば、また料理を食べて欲しい限りです。
どのテネリタスが好き?
-
ロリママ創造者の2代目 ラハム
-
人類最強の天然3代目 アトラト
-
食いしん坊な絶対守護者4代目 シーア
-
武士道と極める騎士5代目 ロドン
-
風のように自由なガンマン6代目 セイド
-
完璧で究極のアイドル7代目 マリン
-
おっとり包容力で全知全能の8代目 ミーア
-
元人間のセイレーン 10代目マーレ