もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら〜2nd season 海上の誓い〜 作:白だし茶漬け
いや本当にマジでこれはヤバいですね。書いている途中で本当にこれで良いのかという焦燥感があって頻度が遅れていますね。
ですが見ている人がいる限り、私はこの物語を最後まで書き続けますので、良ければ応援の程よろしくお願いします_ _))
車椅子に座っていた男が、廃墟から抜け出そうと車椅子から抜け出すようにして転げ落ちた。
男は顔から瓦礫の地面へと落ちてしまい、鼻から血が垂れ出したが痛みを感じておらず、男は気にせず這いずる様にボロボロになった扉に向かっていった。
男の名前は天城優海。元アズールレーンの指揮官だが、テネリタスの策略によって指揮官の地位を失い、度重なる戦闘によって心が壊れて廃人となった。
食事も取れず、足も動かず、痛みも感じず、もはや生きている価値さえ無いと思えるほどに壊れた。
それはまるで粉々に崩れ去ったステンドグラスの様であり、周りを引きつける美しさは、見るも無惨に、やがては捨てられるような存在だった。
だが、そんな捨てられるような存在に手を伸ばし、献身的な者もいた。
優海が車椅子から転げ落ちた音を聞いて直ぐにその献身的なメイドは優海の元に走り、転んだ優海を見て目を見開き、無意識に呼吸を荒くさせた。
彼女はベルファスト。ロイヤルのKAN-SENであり、ロイヤルメイド隊というもののメイド長だが、今は優海を案じて傍に居る。
そんなベルファストは優海の体を起き上がらせた。
「ご主人様!? どうなさいましたか!?」
ベルファストは聞いても優海は喋れないと分かっているが、どうしても聞かずにはいられなかった。
ベルファストが何度も声をかけても優海は答えず、虚ろな目で扉の奥に続く外の景色を見ていた。
「ぁ……おか……あぁ……!」
優海はベルファストに抱かれながらも、優海は外に出ようと手を伸ばしていた。
しかしベルファストは離さず、優海をこの場に居させようとしていた。
自分の腕から出ていこうと藻掻く優海、それでも離さないベルファスト、意思疎通が出来ないベルファストはそれでも優海の意志を探ろうとしたが、虚しくも優海は必死にベルファスト退かそうとした。
だが、壊れた心の優海は力という力は無く、ベルファストになされるがままに押し負けてしまい、ベルファストに抱かれながらそのまま車椅子へと座らせた。
「……ご主人様、どうなさったのですか?」
「多分だけど、新しい指揮官の事じゃない?」
部屋の外からひょっこり姿を現したオロチは、ベルファストに携帯端末に表示された写真をを見せた。
写真にはサディアのKAN-SEN達と新たな指揮官であるヤークトがサディア鎮守府に足を運んだ画像が表示されており、ヤークトがこのサディアにいる事を表していた。
ヤークトの姿を見た優海はまた車椅子から転げ落ちるように抜け出そうとし、ベルファストはまた優海を受け止め、車椅子にまた座らせた。
だがこれで優海が何に反応して外に出ようとしているのかベルファストは理解した。
「このヤークト様というお方にご主人様は……」
「どうしてか反応している。どうする? 危険だけど接触させる? 」
ベルファストは疲れて俯いた優海を見て少し考えた。
「あぅ……あっ、うっ!!」
ヤークトは間違いなく上層部が派遣した指揮官だ。その指揮官と優海を接触してしまったら、間違いなく上層部はマーレと同じ顔をしている優海を抹殺し、セイレーンとの秘密を隠し続けるだろう。
だが、いつまでも優海をこの状態のままにはいられず、ベルファストは決断をした。
「今からご支度の準備をします。オロチ様も準備の程をお願いします」
「行くのね、あの指揮官の所へ」
「ええ。ご主人様の心を取り戻すために」
姿を見られないようにベルファスト達は十分な変装を施し、優海が乗る車椅子をゆっくりと押した。
_現時刻 サディアにて
「サディアには初めてきましたが、サディア特有の建築物や芸術は素晴らしいですね。特に、テルマエはとても良くて心さえも洗われるようです」
サディアに来たヤークトはサディア名物テルマエに浸かって旅の疲れを癒していた。
テルマエというのは言わゆる温泉みたいなものであり、重桜の物とそれ程変わってはおらず、言ってしまえば大浴場だ。
テルマエの良さに感服し、体から湯気を出しているヤークトを見たサディア代表のKAN-SEN、ヴィットリオ・ヴェネトが誇らしげにしていた。
「お褒めのお言葉光栄でございます。ヤークトさん」
「おや? 指揮官って言わないんですね。指揮官の名前は最高機密ですから」
元々、優海がセイレーンである事を隠すための処置だが、アズールレーンの上層部がテネリタスによってほぼ壊滅状態の為、今はアズールレーンの指揮官が軍事権をほぼ握っている状態だ。
その為特定の人物から機密情報が盛れ出さないために、指揮官の名前さえ機密情報となっている。
「失礼しました。指揮官と言えばあの方なので……」
ヴィットリオ・ヴェネトが少し目をそらすと、ヤークトは彼女がどんな男を思っているのか想像出来た。
(そういえば……彼はサディアのKAN-SENとも交流を深めていたっけ)
ヤークトは指揮官として着任した当日、優海が書いた日記を全て目に通し、記憶した。
優海はアイリス除く全ての陣営のKAN-SENと関係を持っており、人脈の広さにヤークトは感服さえしていた。
「優海くんの事ですね? 分かります。彼は……セイレーンだとしても人となんの変わりもない心がありましたから」
彼は目に見てきた優海の行動を瞳の中で思い出し、語った。
「僕から見ても、優海くんは指揮官に相応しい人物です。出来レースじゃ無かったとしても、彼が指揮官になった事でしょう」
「貴方は、恨んでは無いのですか? 自分の時間を、指揮官に奪われたと言っても過言では無いのに」
「そりゃあ僕は人間ですから、恨んだりはしましたよ。けど、それ以上に納得があったんです。あの子が指揮官に相応しいのだと、不思議と受け入れましたよ」
ヤークトは笑顔を見せてヴィットリオ・ヴェネトにそう言った。
「だから、僕は優海くんをもう一度指揮官にさせようと思っているんです」
ヤークトの考えにヴィットリオ・ヴェネトは足を止めて驚いた。
「今更指揮官を変えた所で君達は僕の言う事は聞かないでしょう。悔しいですけどね」
「では、貴方は本気で指揮官を?」
「そうですよ。だから共に優海くんを助けだしましょう。それが何よりの本心ですから」
ヤークトはヴィットリオ・ヴェネトに手を差し伸べ、信頼と決意の意味を込めた握手を交わそうとしていた。
ヴィットリオ・ヴェネトは一瞬躊躇いながらもその手を掴み、ヤークトと握手を交わした。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「ええ。よろしくお願いします。じゃあ、僕はこれから元老院の方に向かいます。貴方達KAN-SENは元老院が苦手でしょ?」
「ど、どこでそれを……?」
「KAN-SEN達からの愚痴を拾ったので」
ヴィットリオ・ヴェネトは頭を抱え、自分達の上層部嫌いがヤークトにも伝わった不遜さに申し訳なさを抱いた。
「はぁ……分かりました。私がいて話し合いが進まなかったら困りますから、任せます」
ヤークトに知られているのなら無理に隠すことは無いと判断したヴィットリオ・ヴェネトは、ヤークトの心遣いに甘えた。
「お気遣いありがとうございます。では、また……」
ヤークトとヴィットリオ・ヴェネトはその場を後にして別れ、ヤークトはネクタイを少し縛って元老院がいる部屋へと歩いて行った。
「随分と慕われているものだね」
ヤークトは感服していた。指揮官の執務は似たような業種に比べて数倍の仕事量がある。
作戦立案はもちろん、陣営との外交や装備類の確認や新兵器の承認など、自分の時間なんてものは存在しない程にだ。
それでも優海は仕事を終わらせ、あまつさえKAN-SEN達との交流を欠かさずにいたのをヤークトは日記で確認していた。
物好きな奴だとヤークトは優海に対してそう決めつけていた。
KAN-SENは道具であり、兵器である。それが人類にとってKAN-SENの見方だった。
人の形をしているからといい、KAN-SENにも人権があると言い出す人間も少なからずいるが、ヤークトはそれを言う人間の考えが理解出来なかった。
考えてもみてほしい、人よりも強い力を持った人ならざる兵器が自分達に牙を向かない根拠がどこにある?
そうならないように、
良くて
だがその
ならば、もう一度作れば良い。全く同じテセウスの船を
。ヤークトは元老院と呼ばれる、サディア上層部達がいる扉の前に立った。
扉は固く閉ざされており、壁に取り付けられたタッチパネルにヤークトは手をかざし、ヤークトの指紋を機械が読み取ると扉は開かれ、その先には開放感のある清潔な部屋でありながらも、娯楽用品が置かれていた。
チェスや将棋等のテーブルゲームやゲートボールの用具など様々な遊びに関しての物があり、もはや老人たちの遊び場と言っていいものだった。
老人特有の酸っぱい臭いが染み付くこの部屋の中で、ヤークトは顔色一つ変えずに奥にある6人のソファーに座っている老人達の方に歩いていった。
老人達は客が来たのにも関わらず、自分達の優位性を示すかのように窓の外の景色に目を向けていた。
そんなにも自分達が優秀であり、どれ程の地位にいるというのを自覚しての行動だが、失礼と言えば失礼だった。
ヤークトがソファーの前に立ち、ようやく6人の老人達はソファーを回転させて顔を見せた。
「お待たせしました。元老院の皆さん」
ヤークトは誠意を込めた笑顔を向けて挨拶をすると、左端に座っていた人物が声を発した。
「……あのKAN-SENはどうした?」
「ヴィットリオ・ヴェネトの事ですか? アレなら席を外させましたよ。貴方方とは、少々仲が悪かったようなので」
「ふむ……まぁ良い。では、本題に入ろう」
元老院全員がヤークトに顔を向け、いよいよ会議らしい物が始まった。
何故かヤークトの椅子が無いのは嫌がらせなのか、それとも若いから必要ないだろうという老害の考えなのか、ヤークトは気にも止めずに話を聞いた。
「テネリタスがこちらに侵攻する中、セイレーンと共同してテネリタスを殲滅するとの事だが、勝算はあるのか?」
「わざわざそれを聞く為に僕を呼び出したのですか?」
「無論だ。セイレーンとは【出くわした形で】協力してテネリタスと戦うことになる。こちらの被害はどのように考えておるのだ?」
「そう言われましてもね……まぁ、無理ですね。勝てませんよ」
ヤークトの包み隠さない回答に元老院はざわめき始め、啖呵を切るように一人が怒鳴った。
「貴様! それでも指揮官なのか!?」
「現実的に考えて、戦力が違いすぎますよ。あちらは1人で一騎当千の力……その名の通り、KAN-SEN達が1000隻で挑んでも勝てませんよ」
ヤークトは本心を言っていた。
今までの戦闘データを見るに、KAN-SENの中でテネリタスに対抗出来る者は存在しない。
ここまで対抗出来る可能性があるのは優海だけだったが、1人では限界がある他、優海の心は壊れて再起不能状態だ。
たが、KAN-SENでもテネリタスに対抗できる方法はある。
それは【覚醒】と呼ばれる方法だ。
テネリタスが人類に対して宣戦布告をしてきたあの日、エンタープライズの戦闘能力は飛躍的に上昇し、テネリタス1人なら拮抗する程の力を得た。
アレがKAN-SEN達の覚醒ならば、複数のKAN-SENがそうなる事が出来ればテネリタスに勝てるとヤークトは踏んだ。
だが、現状にそれに至る為の引き金は分からず、それを模索していた。だからこそ、ヤークトは勝機がないと言ったのだ。
元老院が隠している物を知らない限りは。
「皆さん、地中海のアレを使わないのですか?」
「なんの事じゃ?」
「ドロイド」
ヤークトがその名を口にした瞬間、元老院の老人達は口を閉ざし、ヤークトに畏怖の目を向けた。
「何故その名を知っている」
「一応指揮官ですから」
ヤークトは当然と言うように朗らかに笑い、老人達にとってはその笑顔は恐怖にもにた感情を与える悪魔の笑顔だった。
それでも、上層部というプライドで意志を保っているのか、リーダー格である真ん中にいる老人が厳格な声を上げた。
「指揮官なんて飾りみたいなものだ。KAN-SEN達を使う為の指揮棒に過ぎない。貴様もそれを分かっている筈だ」
他の老人もリーダーに釣られて他の老人達も大声を出し、やれ駒だと、やれ平民だと言っていた。
まさに誰かがナイフを取ればその場にいる全員がナイフを取る行為だ。それが間違いのテーブルマナーとは知らず。
暴言の嵐にヤークトは立ち向かうように老人達が座る長いテーブルに手を添えるように置いたが、老人達にとっては叩きつけられたかのような圧にも感じられた。
「指揮棒にも奏者という操る者がいないと美しい音の旋律は奏られません」
ヤークトは人差し指を円を描くように動かし、まるで音楽隊を指揮する奏者のように指を空中で躍らせた。
「正直、僕はあの化け物を使って貴方たちがどんなことをしているのか知りませんし興味もありません。僕が知りたいのは、あの地中海にあるもう一つのコロッセオの中に存在する文啓です」
「お主そこまで……」
リーダーの老人の額から脂汗が出るのを見逃さなかったヤークトは、交渉が上手くいく確信持つことが出来て内心ほくそ笑んんだ。
「そこで、取引しませんか?」
「取引……?」
「ええ。上手くいけば、KAN-SEN達も他の陣営も意のままに出来るかもしれませんよ?」
ヤークトは淀みない笑顔を向けながら、悪魔の提案を老人たちに話した。それはまるで、善意だと思い込んで悪意をまき散らす天使のようだった。
老人たちはその提案をワインの嗜むかのように受け取った。
それが甘い毒なの事も知らずに。
どのテネリタスが好き?
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ロリママ創造者の2代目 ラハム
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人類最強の天然3代目 アトラト
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食いしん坊な絶対守護者4代目 シーア
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