もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら〜2nd season 海上の誓い〜   作:白だし茶漬け

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地獄の狼煙

 

 コロッセオ、かつて剣闘士という者達が闘い会う場所であり、今で言うスポーツの様があった。

 

 弾かれあう剣、斬られて飛び散る血しぶきを目にした観客達は盛り上がり、その盛り上がりの為に剣闘士は命懸けで相手を倒そうとしていたのだという。

 

 そんなコロッセオ……正確には、地中海の地下にある鏡面海域のコロッセオのど真ん中で、今のアズールレーン指揮官の優雅で不気味なお茶会をしていた。

 

 差し出された紅茶に一切手を出さず、俺は目の前にいるヤークトという男に目を向けていた。

 

「そんなに警戒しなくても良いじゃ無いですか。どうぞ飲んでください、英雄様のお口に合うか知りませんが」

 

 男は紅茶にレモンのジャムを入れ、マドラーでかき回してそれを飲んだ。

 

 掴み所の無い奴だが、隙が無かった。

 

 彼の周りにはオーロラのような光を纏っているサディアKAN-SENの駒が城に置いてある甲冑の様に動かずにいたが、背負っている艤装はそのままになっており、こっちが動くと同時に動き出すことは間違いない。

 

「その駒は何だ」

 

「ん? あぁ、サディアにはマルコ・ポーロというKAN-SENがあるのですが、それが作ったのですよ。これを使って『新たなサディアを創る〜』とか、言ってましたよ」

 

「『ある』と『それが』……か」

 

 優海とは違い、こいつはちゃんとKAN-SENが何なのかわかっている様だ。

 

 いや、そもそもあいつが異常か。KAN-SENを人と同じように接する馬鹿は少ない、人の形をしていたとしても、本質や造られた目的は変えられないと言うのに。

 

「という事は、ここはマルコ・ポーロの基地なのですか? セイレーンが作る建造物とは異なるので、そう考えましたが」

 

 ミーアさんが話に参加し、ヤークトはそれに応えた。

 

「ええ。ちょっとした取引をしてね。快く頂戴しましたよ〜」

 

「それは、【アイリスの冠】との交換か?」

 

「……そこまで知っているのですか」

 

 ここに来てヤークトの様子が変わり、先程までの飄々とした態度から一変し、顎を引いて肘を机に付け、真っ直ぐこちらに目を向けた。

 

「一応元セイレーンだからな。その冠がどう言ったものなのかも知っている。勿論、ここにあるドロイドの事もな」

 

「…………流石は英雄。一筋縄では行かない」

 

 もうコイツには取って付けたような友好的な仮面は無く、何かを見定めるような鋭い目しか無かった。

 

「何を企んでいる。お前はそれを使って何がしたい」

 

 ヤークトは何も言わず、黙ってこっちを見ているだけだった。

 

 どうにかして気を逸らしたいのか、それとも何かを待っているのか。どちらにしろ、俺達の目的はここにある彫刻室、言ってしまえば駒の量産工場の破壊とドロイドの破壊だ。

 

 恐らくこいつもその事について勘づいているのは間違いないが、何故かそれを止める様な素振りは無いのが不気味だった。

 

「何がしたいか……それはですね」

 

 ヤークトが右手の人差し指でテーブルを小さく叩いたその瞬間、世界が揺れた。

 

「貴方と似たようなものですよ」

 

 瞬間、コロッセオの外の島から黒い巨大な機械が地面から生えるようにして現れた。コロッセオよりも大きくそびえ立つ姿はまるで塔かのように思え、それを支えるかのように白い触手が蠢き、その機械の中心には巨大な深紅の目が俺達を見下ろしていた。

 

「ドロイド……!」

 

 その名を呼ぶとまた1つ、更に1つと無数に空へと舞い上がり、この鏡面海域の空へと溶けるように消えていった。

 

「お前……自分が何をしているのか分かっているのか」

 

「ええ。分かっていますし、そもそもこれからどうなるのかも分かっています」

 

 ヤークトは元の飄々とした仮面を被るかのように性格を元に戻し、その後直ぐに彼の携帯が鳴り、ヤークトは予定通りと言わんばかりににやけ顔を浮かべ、鼻歌を歌いながら電話に出た。

 

「もしもし?」

 

『ヤークト貴様っ!? 何をしているのだ!』

 

 携帯のスピーカーから老人の怒鳴りと震え声が混じった声が聞こえた。

 

 俺に聞かせる為にわざと携帯のスピーカーを最大音量にしているのか? それを聞かせて俺に何をさせたいよか、何を思わせたいのかが分からない。

 

 困惑している俺を見てヤークトは不気味に笑い、紅茶を嗜みながら電話に出た。

 

「何って、なんです?」

 

『ドロイドの事だ! 貴様が何故動かせる!? それに我々サディアの安否は……』

 

「知りませんよ、そんなもの」

 

『なにっ……』

 

「仮にも上層部なんですから何とかしてくださいよ。それが上に立つ者の責任なんですから」

 

『貴様ァァァァ!!』

 

「心配しなくても、KAN-SENやセイレーン、英雄様達が何とかしてくれますよ」

 

『ヤークt』

 

 名前を叫ぶ前に老人達の声が途絶えた。それを意味するのは……

 

「あーあ、運がない人だ。さて、僕も指揮官としての務めを果たしましょうかね」

 

 ヤークトは席を経ち、金色に輝く王冠を指に引っ掛けて回すと、KAN-SEN達は武装を手に持ち、周りにいたドロイド達の赤い目が強く光った。

 

「ミーアさんは早く通常海域に向かって皆さんの援護を。ここは俺一人で充分です」

 

「でもそれじゃ……」

 

「大丈夫。必ず戻ってきます」

 

 心配して俺を援護しようとするのはありがたいが、通常海域にドロイドが出現すふのではあれば話は別だ。

 

 ドロイドの恐ろしい力を抑制するために、ミーアさんの力が絶対に必要だ。

 

 ……ドロイドの侵食に、ミーアさんとマリンさんの浄化が絶対に必要だ。こんな所で居させる訳には行かない。

 

「行けっ! ミーア・テネリタス!」

 

「……分かったわ。必ず帰ってきて、マーレ」

 

 ミーアさんはビットを円型に展開し、簡易型のワープゲートを作ると、ゲートの向こうでは既にドロイド達の大群がサディアに侵攻していた。

 

 ミーアさんは一瞬戻るのを躊躇いつつも、俺の意思を汲み取り、通常海域へと戻って行った。

 

「さて、こっちもやるか」

 

「ええ、どうぞ思う存分戦ってください。英雄様」

 

 ヤークトはそう言い残し、コロッセオと外を繋ぐ門をくぐってコロッセオから消えていき、同時にコロッセオにはサディアKAN-SENの駒やセイレーンに埋め尽くされた。

 

「……こい!」

 

 

 

 

 

 

 _現時刻サディアにて

 

 優海達の前に、銀色のロボットJBが現れた。

 

 セイレーンとも違う異様な存在に天城達はたじろぎつつも、警戒を解かなかった。

 

 赤城と加賀は式神を手に持ち、土佐は刀を構え、ベルファストは短剣を忍ばせ、オロチは1歩下がって全体を俯瞰する立ち位置へと移動し、そして天城は優海の側に寄り添って、優海を守った。

 

「対話。お待ちください皆様。私は敵ではありません」

 

 JBは対話を試みたが、己の存在の異質さを改めて認識したJBは一歩後ろに下がった。

 

 JBが何かする度にKAN-SEN達の警戒は一段と上がり、緊張状態が続いた。だが悠長にしている暇は無い。

 

 こうしている間にも、近くの戦場が広がりつつある。優海を守るその焦りから、赤城達の頭の中には優海を逃がす事だけで埋め尽くされていた。

 

「お前に付き合っている暇は無い! 邪魔をするならお前を破壊する!」

 

 最初に動いたのは加賀であり、蒼炎の式神をJBに向けて飛び立たせた。

 

 攻撃をされたJBはバイザーから攻撃情報を読み取り、瞬時に右手で蒼炎の式神を握りつぶし、手の中で式神を握りつぶした。

 

「なに!?」

 

「提案。お止めください、対話を求めます」

 

「……あの機械は一体」

 

 攻撃を仕掛けず、防衛だけを取って対話を試みるJBに天城はある考えが浮かんだ。

 

「この鉄くず……今度は私で」

 

「腰巾着だけじゃ不安だ。私の刀の錆にしてやる……!」

 

「待ちなさい赤城、土佐!」

 

 攻撃をしようとし体制を天城に止められた赤城と土佐は、今まで過ごしてした天城の叫び声に勝手に体が止まった。

 

 赤城は驚いて天城に振り返り、その真意を確かめた。

 

「何でですか天城姉様!」

 

「あの機械からは敵意はありません。視野が狭くなれば、正常な判断は出来ません。ここからは私が対話します。ベルファストさん、優海を頼みます」

 

「かしこまりました。お気を付けて」

 

「大丈夫。私の考えが正しければ……あの者は敵ではありません」

 

 天城は優海をベルファストに任せ、項垂れる優海を守った。赤城達も天城の言う事に従い、天城の後ろへと下がっていった。

 

 しかし赤城達は警戒を緩めず、JBを睨み続けた。

 

「JBと言いましたね? ジンさんが呼んでいるとの事ですが、当の本人はどこに?」

 

「解答。ここにいます」

 

 JBは自分のバイザーアイに指を指し、JBのバイザーアイが青色からとある映像画面へと移り代わった。

 

 バイザーアイの映像にはブリッジが映し出され、その中にいるジンとリアがいた。

 

『お! 見えた見えた! って、何で天城達がいるんだ? 優海の所にはベルファストとオロチしか居なかっただろ?』

 

『今はそれどころじゃない! そこに居るのなら早く逃げなさい!』

 

「どういう事ですか……ゴホッ! ゴホッ!」

 

「天城姉様!?」

 

 突然天城の咳が激しくなり、その激しさ故の苦しさで倒れ込んでしまった。

 

 赤城が天城の介抱をしようと近づくと、天城の口元に赤い液体が漏れだしていた。

 

 恐る恐る赤城はそれを確かめる為に天城の口元に触れた。

 

 生暖かくぬるりとした感触に、鉄が混じったかのような臭いが赤城の鼻をつくと同時に、赤城は全身の血が抜かれたかのような冷たさが、赤城の目に映る天城の意味を知らせた。

 

「あ……天城姉様……! ゴホッ……!」

 

 天城が吐血して倒れたと認識したと同時に、赤城も吐血し、体の力が抜けてその場に倒れこんでしまう。

 

 そしてそれは、ゆっくりと雪のように降り注いできた。

 

 空がまるで絵の具で塗りつぶすかのように青から赤へと移り変わり、空から赤い雪が降り注いでくる。

 

 雪とは違い、それは冷たさも温かさもなければ、触れている感触さえなかった。まるで、空気が可視化されているようでもある。

 

 雪はありとあらゆる者に触れたその時、異変が起こった。

 

 加賀、土佐、ベルファスト、そして優海も同じ様に吐血し、異様な光景にオロチは珍しく戸惑ってしまう。

 

「これは……まさか」

 

 オロチが何か気づいた刹那、サディアの地が何かに恐れるかのように震えだす。

 

 大きな震えは立ってすら居られず、戦いに巻き込まれなくない人々の逃げ足を掠め取るようだった。

 

 そして1人、また1人と口から血を吹き出し、ウィルスに感染するかのように次々と吐血していくと、サディアの海面から無数のドロイドが現れた。

 

 1体、2体だけでは無く、空を埋め尽くす程の大群にKAN-SEN達は未知の機械に困惑し、テネリタスとの戦闘を止めた。

 

「何……あれ」

 

「怪物……でも、機械の様な感じも……カハッっ……!?」

 

「ゴホッ……! ゲホッ! 何……これ、苦しいぃ……」

 

 アズールレーンのKAN-SEN達の吐血は止まらず、体の内側から溢れ出す痛みを抑えるように暴れ始めた。

 

「っぁぁぁぁぁ!! 頭……痛いっ!」

 

「っ……頭がっ……」

 

「まずいわね、これ」

 

『逃げなさい! この辺り一帯、人体やKAN-SENに悪影響のウィルスが散布されている!』

 

「ウィル……スだと? カハッ……!」

 

 加賀の青色着物が紅く染まり、頭が割れる程の痛みが体を蝕みつつある。だが優海だけは、弟だけは何としても守ろうと体を動かそうとするがまるで氷漬けされているように体が動かなかった。

 

 この場で動けるのは、ロボットであるJBとオロチだけだった。

 

「疑問。何故貴方は動けるのですか」

 

「他と比べて耐性があるのよ。このウィルスを撒き散らしている存在は知っているし。けど、この子達全員抱えて逃げられる程の力は無いわよ」

 

「了解。では船をこちらに手配します。私はKAN-SEN達の援護に向かいますので」

 

「行けるの?」

 

「解答。モーマンタイというやつです」

 

 JBは親指の部位をグッと上げ、バイザーの画面に笑顔のマークを表示させて自分の感情を伝えた。

 

 ロボットに感情なんて無いとオロチは思ったが、ユーモアはあると感心した。

 

「あっそ、じゃあ頑張って」

 

「了解」

 

 JBは助走をつけて対岸へと飛び、足の裏のジェット噴射で戦場へと向かっていった。

 

 ジェット噴射の熱気にオロチは充てられながら、オロチは海中から何かが来ると察知した。

 

 オロチはそれについての抵抗や警戒はせず、「ようやく来た」と心の中で呟き、まず1番重症な天城を抱え、この後来るであろう艦の中に入る準備をした。

 

 同時にオロチの前に、水飛沫を上げながら白い船……コンパスが海上へと姿を現し、オロチは驚いた。

 

 まさかここまで規模や全長が大きい艦だったとは思わなかったのもあるが、それよりも目の前の艦が自分に似ている点に驚いた。

 

 もちろん、艦首に蛇のような形をしていなければ禍々しい部位も無い。だが、使われている技術やコンセプト等は自分と似通っている物があり、それを通じて似ていると感じた。

 

(ふーん……私と同じ技術で造られたんだとしたら、これ作ったのはあの子ね)

 

『オロチね!? 何してるの!? 早くみんなを入れなさい! 中に入って治療するから!』

 

 艦のスピーカー越しにリアの焦った声色がオロチの耳に響く、相変わらず責任感が強いなとオロチは感心しながら、まずは1番重症の優海達を抱えると、同時に倒れていた天城除く赤城達が声を潰しながらも立ち上がった。

 

「あら、皆大丈夫なの?」

 

「こんなの……大丈夫よ。天城姉様と加賀、土佐は任せなさい」

 

「姉さっ……ま、私も大丈夫です」

 

「こっちもだっ、くそっ! 何だこれ……は……」

 

「皆様、早く中へ……」

 

 足を引きずりながらも、全員コンパスの開放的な白い廊下に足を踏み入れた瞬間、オロチ以外の全員が魂を抜けたかのような廊下に倒れてしまい、オロチは優海をその場で一旦下ろしてから赤城達を楽な体勢に直した。

 

 そして直ぐに扉が閉められ、直ぐに海中へと移動した。

 

「ドロイドの感染は空気感染じゃないから、ジン達への感染は無いけど……治療が大変ね」

 

 オロチの結論から言うと、ドロイドのウィルスを抑制又は排除するワクチンや治療薬は存在しないからだ。

 

 ウィルスを抑制するにも、効能を消すにも、まずはそのウィルスの特性や性質を知る必要がある。だが、今蔓延っているウィルスは人類が今まで経験していないもの、つまり未知のウィルスだ。

 

 その為、この世に今のウィルスに対抗する術は無かった。

 

「けど……もし私の予想が正しかったらあるかもね」

 

 ただ、オロチは確信していた。この船にワクチンがある事を。

 

 だからオロチは冷静になり、ジンかリアが来るまでオロチはじっと待ち続け、その時が来た。

 

 オロチは予想通り、リアが切羽詰まった顔をしてこちらに走ってきた。ヒールであるにも関わらず、一生懸命走っている姿に、オロチは心の中で小さく拍手をした。

 

「早いわね」

 

「当たり前よ。こんな緊急事態にのんびりしてられないもの」

 

 リアは急いで優海達のバイタルチェックを行う為、リアに追従していたドローンからコードが6本、それぞれ優海達の腕に貼り付けるように伸びた。

 

 ドローンから伝達された情報を手元の端末でリアは優海達の被害状況を確認し、徐々にリアの顔が曇り始める。

 

「これ……なんなの? 今までのウィルスとは性質が違いすぎる。ワクチンなんかあるわけ……」

 

「ねぇリア、今から言うコードを言うから、その端末で入力してみて」

 

「はっ?」

 

「良いから、言うわよ」

 

 リアの戸惑いを気にしないオロチはリアにあるコードを伝え、リアも戸惑うのを止めてオロチの言うコードを入力した。

 

(何考えてるの……?)

 

 今に始まったことではないが、オロチの考えが読めないリアの心は疑心暗鬼だった。

 

 それでも縋るかのようにオロチの言葉に従い続け、端末を操作し続ける中、リアはその手を止めた。

 

「……何かしら? 見た事ない薬のようだけど」

 

「見つけたわね。それ使えば皆助かるわよ」

 

 オロチは確信的な笑みを零したが、リアからすればそれは危うくもあり、毒リンゴを持った魔女の笑みにも感じた。

 

「ほら、早く使わないと」

 

 パンパンとオロチは手を叩き、リアを急かした。

 

「貴方……前から思ってたんだけど一体なんなの? この艦を見た事あるの?」

 

「見た事ある訳無いじゃない。初めてみたわよ」

 

「じゃあ何でこの薬の事知ってるの!? この薬……まるで今この時の為に用意された物よ。少なくとも、前々から知ってないと説明がつかない」

 

 リアは端末に表示されている薬をオロチに見せ、声を荒げた。

 

「前々から知っているのよ。そのウィルスも、それを出している奴らも。全部」

 

「どうして知らせないの……って言ったら、貴方は聞かれなかったからと言うのでしょうね」

 

 オロチは肯定の意味を持った沈黙を貫いた。相変わらずの態度と今の状況にリアは怒りを抱くことも無く、小さいため息をついて直ぐに行動に移った。

 

「とにかく、この薬を投与すれば問題ないのね?」

 

「ええ。そうよ」

 

「なら手伝いなさい。病人を治すのは、いつも決まって健康な人よ」

 

 リアは端末を操作し、この艦に在中しているドローンを使って薬が保管されている場所まで移動させた。ここからそこまで遠くない距離であり、あと数分すれば薬はリアの元に届くだろう。

 

 この数分間、ただ黙って見ている訳にも行かず、リアはオロチに質問を投げかけた。

 

「オロチ、あの黒い化け物……いや、巨大な機械はなに? いきなり地中海から現れたけど、セイレーンの兵器なの?」

 

「まぁ当たらずとも遠からずって感じね。説明するにしてもちょっとややこしいし、落ち着いたら話すわよ」

 

 オロチの言葉が終わると同時に薬と注射器持ってきたドローンが到着した。

 

 まずは治療が先決だとリアは判断し、ドローンが持ってきた薬と注射器を手に持ち、一番重症な優海から治療を施した。

 

 手首を強く抑えて動脈を浮き出させ、動脈に注射器の針を指し、薬を血管内に流し込む。

 

 1分も経たないうちに優海の治療を施し、次に天城、赤城へと次々に注射器を打っていき、流水の様な手際にオロチは感服した顔を浮かべた。

 

「へぇ〜凄いわね、医者みたい」

 

「こんなの誰でも出来るわよ。……最後にベルファストに打って……貴方も一応使う?」

 

「私は大丈夫。耐性あるように造られたから。それにしても……どうなるのかしらね」

 

「どういう事?」

 

「このままだとサディアにいる人類全員死ぬわよ」

 

 淡々と惨い未来を、オロチは深い笑みを浮かべながらそう話した。

 

 あまりにも自然に、そして他人事のように話した為、リアは一瞬事大の大きさを理解出来なかった。

 

 言葉の文面でようやく事の重大さを理解し、これから起きる恐怖で体の体温が全て奪われるかのような冷たさに襲われる。

 

「……サディアの人類が死ぬ?」

 

「ええ。こればかりは……英雄様に任せるしかないんじゃない?」

 

 赤く染まった海と空、そして鳴り止まない轟音と人々の叫びは、これから起こる地獄の始まりを告げる狼煙となった。

 

 そしてそれを別の場所で眺めている人物がいた。その人物はこれまでの惨状を大型モニターで眺めていた。

 

「さぁ始めよう。人類が進化する為の新たな戦いを……」

 

 

 

WW3(第三次世界大戦)の幕開けだ」

どのテネリタスが好き?

  • ロリママ創造者の2代目 ラハム
  • 人類最強の天然3代目 アトラト
  • 食いしん坊な絶対守護者4代目 シーア
  • 武士道と極める騎士5代目 ロドン
  • 風のように自由なガンマン6代目 セイド
  • 完璧で究極のアイドル7代目 マリン
  • おっとり包容力で全知全能の8代目 ミーア
  • 元人間のセイレーン 10代目マーレ
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