もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら〜2nd season 海上の誓い〜   作:白だし茶漬け

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ようやくアニメが再開されました!長かった...天城のあの最後のシーンが声付きで見れて嬉しかった。
さて、お知らせがあります。暫くの間、アニメとの繋がりを保ちつつかつオリジナル展開を考えてる途中の為、筆休めという形でKAN-SEN達との交流を書きます。筆休めなのに小説を書くというのもあれですが( ˊᵕˋ ;) 
そして、交流の表現を細かくしてる為かなりの文字数です。
それではどうぞ。


不抜と良い子と贈り物と

第21話【不抜と良い子と贈り物と】

 

_ねぇ、私と一局指さない?

 

僕が来てもう一年と半年になる。突然、天城お姉ちゃんから将棋の誘いが来た。天城お姉ちゃんから誘うなんて珍しかったから。

でも、正直あまり気乗りはしなかった。理由は簡単で天城お姉ちゃんが強すぎるからだ。負けると分かってるから将棋を指すのも躊躇う。

だけど...天城お姉ちゃんは何だか寂しそうだった。その顔を見て、僕は天城お姉ちゃんと将棋を指した。

 

 

うぅ...どうしよう...

 

現状はこのままだと詰まれる。飛車を取られ、持ち駒も少なくなってきて打つ手がなかった。もう勝負に嫌気がさして途中から適当に駒を動かす。

 

_待ちなさい。何ですか、その駒の動かし方は。

 

突然、天城お姉ちゃんに怒られた。いつもは怒らないのに、今日初めて僕に怒った。いつもとは違うから何をすればいいか分からず縮こまってしまった。

 

_適当に動かしてはなりません。負けてるからといって、勝負を諦めてはなりません。

 

...でも、もう無理だよ...やっぱり天城お姉ちゃんとじゃ勝てないよ...

 

思わず不貞腐れてしまう。天城お姉ちゃんが勝ってるから偉そうな事を言えるんだと主張し、もう投了しようと思った。でも、その投了も天城お姉ちゃんに止められた。

 

_諦めてはなりません。加賀だって、何度も私に負けてるのに何度だって私に挑んでくるわ。だから、貴方も諦めないで。適当に指すのも、投了するのも今回は許しません。

 

確かに加賀お姉ちゃんは負けてもまた天城お姉ちゃんと将棋をしていた。でも、加賀お姉ちゃん見たいに強くはないから...でも、加賀お姉ちゃんは言っていた。その時のことを思い出す。

 

 

_ねぇ?どうしていつも負けてるのに、天城お姉ちゃんにまた勝負するの?

 

_無論だ。強い者を倒す。それが私にとっての生き様だからだ。強く、壁が高いほど血が滾るものだ。

 

 

 

加賀お姉ちゃんはこう言っていた。分からなかった。僕だったら嫌でたまらない。

...でも、もう少し頑張ってみる。考えて、一生懸命に駒を動かす。最後まで指した。でも、結果は負けてしまった。最後までやっても駄目だった。一生懸命やったのに。思わず泣き出しそうだった。

そんな時、天城お姉ちゃんが僕の頭を撫でてくれた。さっきの怒った顔ではなく。いつもの様に温かくて優しい顔だった。

 

_偉いわね。よく最後まで諦めないで頑張ったわね。その気持ちと感覚...忘れないでね...

 

さっきとは別の理由で思わず泣いてしまった。どうして泣いてしまったのか理由はなんとなくしか分からないけど、嬉しかったんだと思う。

 

...もう一回...する。

 

今なら加賀お姉ちゃんの気持ちが分かる気がした。僕はもう一度天城お姉ちゃんと将棋をしたい。

 

_ええ。良いわよ。

 

天城お姉ちゃんはもう一度将棋をしてくれた。今度はちゃんと諦めないで最後まで頑張った。

 

 

 

 

 

 

 

最初は寂しさからだった。彼が来てもう一年と半年...最近は友達が出来たのか、外に遊びに行くことが多くなった。最初は家にずっと居たから、外に行って遊びに行く姿を見て嬉しく思った。だけど、私は外に遊びには行けない身体で一緒に外で遊ぶことは叶わない...だから、寂しさを感じたのかもしれない。

だから将棋をしようと誘った。彼はそれを了承してくれた。

この子と遊べる嬉しさで一杯だった。

でも、途中から彼が考えなしで適当に駒を指すのを見て、思わず怒ってしまった。彼には諦めないことを学んで欲しかった。勿論寂しさから始めたのもある。

だけど、これを感じて欲しかった。いつも加賀が諦めないように、この子も諦めて欲しくなかった。寂しかったことを隠す建前でも、私は彼に伝えたかった。諦めないことの大切さを。

結果、彼は最後まで諦めず駒を指した。涙を堪えながら必死に考えた事が駒を通して伝わった。よく頑張った。そのまま私は彼の頭を撫でた。彼は泣いてしまった。思わず戸惑った。その後、彼からもう一度したいと言ってきた。私は勿論二つ返事で答えた。

 

忘れないでね...諦めない事の大切さを...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その場に高くジャンプしたり、走り回ったり、バク宙やバク転をしてみる。その場から拍手が聞こえてくる。いやいやパフォーマンスじゃないからね?...よし。足に負担はほぼ感じられない。

 

「よし!治ったぁぁ!」

 

完治まで二週間と言われたが、明石が来てくれた...というかここに流れ着いたことにより、工作艦が増え、明石が皆の修理をしてくれ、ヴェスタルが俺の治療に専念出来る時間が多く獲得出来たため、一週間と二日程度で完治した。

 

「あ、あまり無茶に動かないで下さい。」

 

「そうだぞ。まだ治ったばかりだからな。」

 

ヴェスタルとウェールズから、それ以上は辞めろと止められた。

まぁ、いきなりは不味いか...徐々に慣れていかないと...一週間全く足を動かしてなかったから少々違和感がある。だが、少し歩けば大丈夫だろう。

 

「それにしても、たったこれだけの期間とリハビリを少ししてここまで動けるなんて...指揮官のお身体はどうなっているのかしら...?」

 

「...さぁ?何でだろうな...?」

 

うやむやにするようにとぼける。原因は俺だけが知っているが、絶対に知られたくない。

 

「でも、まだ足に少し違和感があるし、リハビリがてらちょっと見回りに行ってくるよ。」

 

俺はその話題から逃げるようにその場に立ち去った。

 

「あ、ちょっと!...もう。」

 

「あの調子だと私の約束は期限切れだな。」

 

「そういえば、そう言ってましたね。どうでしたか?指揮官の初めての秘書艦になった気分は?」

 

「とても有意義だった。また配属したいものだ。秘書艦にな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ...これからどうしようかな...」

 

その場から逃げるために見回りに行くと行ったから何処に行こうかさ迷っている。今は海辺の近くにいる。すると、この前にはなかった建物が一つあった。興味本意で見てみると、そこは明石の店だった。

 

「へぇ...明石って店やるんだな。」

 

「そうにゃそうにゃ。明石は何処へだって商売するにゃ!」

 

「おおお!?ビックリしたぁ!」

 

突然後ろから明石が近づいていた。なんだコイツどっから現れた?

そのまま後ろに下がってしまった。妙に目がギラついてるのは気のせいだろうか。明石はそのまま続ける。

 

「指揮官、取り敢えず中にはいってみるにゃ。面白い物があるかも知れないにゃよ〜?」

 

なんだその怪しい勧誘は。でもどんな物が売っているか見たみたい気持ちが勝り、明石の店にはいる。

中に入ると雑貨や、日用品、機械類、果てには戦術教科書等、幅広い物が取り揃えていた。広場にある店も種類があったが、ここはどこの店よりも種類があった。

 

「さぁさぁ〜買っていくにゃ買っていくにゃ〜!」

 

「いや、確かに品揃えは凄いけど今欲しいものなんて無いけど...」

 

今特別にこれが欲しい!なんて物は無かった。俺はそのまま執務室に戻ろうとしたが...突然入口にシャッターが降りて、店から出られなくなった。

 

「ちょ!?なんじゃあこりゃ!?」

 

「指揮官〜?よくも最初に明石をあんな風に虐めてくれたのにゃ。これは慰謝料やら払う為にここで財布の半分ぐらい使ってもらうにゃ〜」

 

「いやこれ思いっきり悪質商法だろ!?おい出せよ、こっから出せよ!」

 

思いっきりシャッターを壊そうと思いっきりキックするが、うんともすんともビクともしない。本当にこれシャッターか?特別な素材で出来てるっぽいぞ...

 

「ふふふ。そのシャッターは特別にゃ。それっぽっちじゃビクともしないにゃ。」

 

そんなに店が大事なのか?しかし、もう逃げ場ない。というか塞がれた。万事休す。

 

「あの時の報いにゃ!よくも明石の艦を最初自爆ボートにぶつけてくれたにゃ!」

 

「い、いや〜あれは正確には今の俺じゃなくてな...」

 

「指揮官の二重人格はもう知ってるにゃ!でも、指揮官は指揮官のままなのにゃ!どっちにしろうと報いは受けてもらうにゃ!」

 

そう言われると、返す言葉が無い。確かに、報いを受けても良いレベルだった。

 

「分かった...分かったから。じゃあなんか買うから。」

 

「毎度ありにゃ〜!」

 

結局折れてしまい、店の中で買うものを探した。店の中をうろつき、何かめぼしい物は無いかとさがす。すると、目に入ったのは物ではなく、人だ。そこには、意外な子がいた。紫の髪色でポニーテールで全体的に透けて見えるワンピースにいつもぬいぐるみを持ち、今は何故か縮こまっている。

 

「ユニコーンか?大丈夫か?」

 

いつもはイラストリアスと一緒にいるが、珍しく今日は一人だった。

 

「お、お兄ちゃん?突然シャッターが閉じてビックリしちゃって...何か悪いことしたかなって怖くなってここでじっとしていたの...」

 

成程な...あのシャッターが原因で驚いたんだな。いきなりシャッターが閉められたら誰でも驚く。まだ怖いのか、ユニコーンは今でも体を小刻みに震えている。

 

「大丈夫。ユニコーンは悪いことはしてないよ。それより今日は一人なのか?イラストリアスとかはどうしたの?」

 

ユニコーンはいつも誰かと一緒に、主にイラストリアスと一緒にいるイメージがある。現に、俺がユニコーンに会った時はいつもイラストリアスや他の子達と一緒に居たからだ。

 

「えっとね...今日はちょっと欲しいものがあって...だから、今日は一人でお買い物してたの。」

 

欲しいものね...あのユニコーンが欲しがるものなん想像て出来なかった。そうだ。折角だから買ってあげよう。これで明石の店から出られるだろう。

 

「折角だから買ってあげようか?どれなんだそれ?」

 

「だ、ダメ!お兄ちゃんには教えない!」

 

今、反抗期の娘を持つ父親の気持ちが分かった気がした。心がそのまま何かに壊された感覚だ。すっごく痛む。足を怪我した時よりずっと痛い。俺はそのまま膝を付き、四つん這いの体制で落ち込む。

お父さんは子を持つとこんな苦労をするのか...

...あの人はどう思ったのかな。

 

「あ、違うの。お兄ちゃんが嫌いだから教えないんじゃなくて...その...でもお兄ちゃんだけには...教えちゃダメなの...」

 

ユニコーンが落ち込んだ俺を見て、誤解をしてるのだろうと思ったのか。必死に慰めてくれた。やっぱり良い子だこの子。しかし、俺に教えちゃならないのか...女の子は難しいな。

 

「そ、そこまで言うならこれ以上探らないよ。邪魔したな。」

 

まだ心のダメージが残ってるのか、その場でふらついてしまう。

 

「あの...じ、じゃあお店の前で待っててくれるかな?いつの間にかシャッターは開いてるし。」

 

店の出入口を見るとシャッターは開けられていた。しかし、逃げ出す訳には行かない。なぜなら思いっきり明石に見られているからだ。

もし仮にここで店を出ていこうとすれば容赦なくシャッターを閉じるだろう。万が一、出られとしてもまだ目当ての物が見つからずどんどん店の奥に行ってるユニコーンが閉じ込められてしまう。

明石から「この子は人質にゃ。」の目線が伝わってくる。

仕方なく商品を探す。あの外道猫めぇ...

 

「んー、誰かにプレゼントを買ってあげようにも誰がいいかな...」

 

最近お世話になったのはヴェスタルとウェールズだ。しかし、彼女達が喜びそうな物は思い浮かばない。困ったものだ。すると一つの本が目に入った。厚さはそれほど無く。カバーがしっかりしている。

タイトルは『英雄になった貴族』だ。まさかと思い、そのまま本を開き読んでみると、それは俺の性『テネリタス』の英雄談...というか絵本だった。絵本にしてはかなりのページ数があった。

実を言うと俺は『テネリタス』の事は詳しくは知らない。ただ、貴族でありながら英雄であり、それは三代目の『アトラト・テネリタス』から始まったぐらいしか分からなかったのだ。

 

「よし、これにするか。」

 

本を手に取り、レジへと進むと今度は懐かしい物があった。細長い筒で中を覗いてみると美しい景色が目に入ってくる。正体は万華鏡だった。昔、赤城に買ってもらったことを思い出す。あの頃の万華鏡よりもさらに進化しており、この世とは思えない世界が広がる。懐かしく思い、この万華鏡も買っていく。

 

「ふむふむ...絵本に万華鏡...指揮官も意外と子供にゃ。」

 

明石はケラケラと嘲笑った。確かに絵本と万華鏡は子供っぽいかもしれないが...そこまで笑わなくても良いじゃないか?

 

「別に良いだろう。俺の一族に関する本と、懐かしいものだったから。」

 

「なら、この本もオススメするにゃ。こっちの本も『テネリタス』に関連する本にゃ。」

 

「『テネリタス』を知ってるのか?」

 

「流行り物や昔のことを知るのは商売の常識にゃ。」

 

この際だからそれも買おう。俺は勧められた本も買い。ユニコーンを待つために店の前に立つ。暫くするとユニコーンも店から出てきた。どうやら、目当ての物を買ってきたようだ。小さな袋を抱えていた。

 

「お待たせ、お兄ちゃん。何を買ったの?」

 

「えーと、『テネリタス』に関する本と、万華鏡だ。」

 

「万華鏡って何?」

 

どうやらユニコーンは万華鏡を初めてのようだ。試しに万華鏡の筒を一つユニコーンに渡す。

 

「わぁ...!綺麗な筒...」

 

昔買ってもらった万華鏡は筒はそれほど装飾はされてなかったが、渡した万華鏡は筒さえも美しい花形の装飾がされている。

 

「覗いてご覧。凄く綺麗な世界があるから。」

 

ユニコーンは戸惑いながらも筒の中を覗いた。

 

「わぁ...!これ凄い!」

 

どうやら喜んでくれたらしい。昔、初めて万華鏡を見た自分を思い出す。しかし、ユニコーンは万華鏡を見終わると少し、暗い顔をしていた。

 

「...どうしたの?もしかして気に入らなかった?」

 

「ううん。綺麗だったよ。こんな綺麗なもの知ってるんだね...」

 

どうやら、暗い顔は別の要因があるらしいが...聞いても答えてくれなかった。

 

「じゃあさ、お腹空いてきたし、ご飯にしない?」

 

暗い顔を何とかするために時計を見ると昼頃だったので、ユニコーンをご飯に誘う。これで少しは気を紛らわすといいが...

 

「うん。分かった。一緒に食べよう?」

 

俺の誘いを受け、ユニコーンと一緒にご飯を食べに行くことになった。今日は食堂ではなく、広場にある屋台で食べようと提案した。外で食べてると暗い気分が紛れるだろうと考えたからだ。安易ではあるが...

 

「さて、何を食べようかな...」

 

着いたのは良いが何を食べようか迷う。フードコーナーとかでいつもの悩みだ。悩んでいると一人の女性から声をかけられる。

 

「あら?指揮官様にユニコーン?御機嫌よう。」

 

礼儀正しく優雅に挨拶したのはイラストリアスだった。どうやら彼女もここではお昼を食べるそうだ。

 

「そうだ。もし昼がまだなら一緒にどうだ?ユニコーンも一緒だし。」

 

「あら、それはいいですわね。ご一緒させていただきますわ。」

 

「あぁ。ユニコーンも良い?」

 

「うん...良いよ...」

 

またユニコーンは顔を背けてしまった。今度は何か怒ってるような感じがした。女の子ってやっぱり難しいな...

俺は悩んだ末、ハンバーガーにした。二人とも、白い服を来てるので周りに飛ばないような食べ物に限定し、結果ハンバーガーにした。

阻止て何故か二人ともも同じハンバーガーを頼んだ。

大丈夫かな...食べそうなイメージ湧かないんだけど...

俺の分のハンバーガーが出来上がったのかいい匂いがしてきた。そして、流石はユニオン本場と思わせる程の大きさをしたハンバーガーがでてきた。

 

「まぁ、これは...」

 

「ちょっと多いかも...」

 

「二人とも、まだキャンセル出来るらしいぞ。もうちょい小さいサイズを頼んだらどうだ?」

 

二人とも俺の提案を受け入れ、俺のハンバーガーの半分のサイズのハンバーガーを頼んだ。それでも結構大きかった。

 

「あ、でもこれは美味しいな。俺は全部いけるかもな。」

 

「お兄ちゃん...凄い...ユニコーンはこれでお腹いっぱいだよ...」

 

「私ももう限界ですわ...」

 

二人とも俺のようにハンバーガーをかぶりつかずにナイフとフォークを使い丁寧に食べた。俺の知ってるハンバーガーの食べ方じゃない。あ、いやそう言えば一回ハンバーガーを食べた時ナイフとフォークで食べようとしたな。その時ジンからかぶりつくのが美味い食べ方と言われてこのようにかぶりついている。

二人とも苦労はしたが、ちゃんと全部食べきった。

二人ともを待たせるわけには行かないので少しペースを速める。

 

「指揮官様、ケチャップが口元についてますわ。吹きますのでじっとしててくださいね。」

 

ペースを速めたせいかケチャップが口元についしまったらしい。イラストリアスはハンカチで俺の口元についたケチャップを拭いた。

 

「あ、ありがとう。」

 

「ふふっ、指揮官様ったらそんなに急いで食べて、大丈夫ですよ待ってますから。どうぞごゆっくり食べて下さい。」

 

イラストリアスの思わせぶりな行動と顔に内心ドキッとした。

あ、これは勘違いをするパターンだな。ドキドキさせといてそんなこと思ってやったわけじゃないないというパターンだな。知ってる知ってる。

ゆっくりとは言われたが待たせているのでゆっくりは申し訳ないと思い。ペースは早くする。今度はケチャップやら付かないようにしっかりと食べる。

 

「...あ...お兄ちゃん。また口元に付いてるよ。取ってあげる。」

 

「え、あぁ良いよ。自分で拭くから...」

 

「駄目!ユニコーンが拭くの!」

 

ユニコーンの態度に驚き、仕方なくユニコーンに口元を拭かせる。

顔を見ると何だか怒っているようにも見えた。それに、妙に時間をかけて顔を拭いてくれる。

ユニコーンに顔を拭き終わってもらい。残りのハンバーガーを食べる。何とか全部食べきったが、これは晩御飯要らなくなるレベルだなこれは....

 

「ふぅ...何とか食べきったな。ご馳走様でした。」

 

「ね、ねぇ?お兄ちゃん。この後って空いてる...?」

 

ユニコーンから誘われたが、残念ながら仕事がある。仕方がないが行けないことを言うしかない。

 

「ごめん...まだ仕事があるから。」

 

「そうなんだ...」

 

ユニコーンはしょんぼりと顔を下げてしまう。ユニコーンの友達でいつも一緒にいるゆーちゃんも慰めようとしているのかじたばたと手足を小さく動く。しかし、ユニコーンはずっと悲しんでいた。

...悪いことしたな。何とかしないと...

 

「じゃあさ、夜...仕事終わりでも良いなら空けるけど大丈夫かな?」

 

「う、うん!分かった。空けるからね!約束だよ?」

 

さっきとは大違いの笑顔を見せつける。これは死ぬ気で終わらせないとな。仕事のやる気も上がる。今なら終われる気がする。

 

「じゃ、戻るよ。じゃあ夜にまたな。ユニコーン。」

 

ユニコーンの為に速く仕事を終わらせるために駆け足で執務室に戻る。そういえばユニコーンから誘わられるのは初めてだったな。一体どんな用事なんだろう...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、ユニコーン。指揮官様にどんな用事があるの?」

 

「えっとね...これなんだけど...でもお兄ちゃん喜んでくれるかなって...お兄ちゃん万華鏡っていう綺麗な物知ってるから...怖くて。」

 

「その袋の中身を渡すのね。大丈夫。指揮官様はきっと喜んでくださるわ。」

 

「うん...でも、ちょっと心配...」

 

「じゃあちょっと耳を貸して...____」

 

「そ、そんなことユニコーンに出来るかな...」

 

「大丈夫よ。ユニコーンの気持ちは届くはずよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペンを握っている感触がほとんど無い。どれだけ握ったのかは分からない。あと少し、あとちょっとで終わる。最後の一筆が今...

 

「終わったぁぁ!よし、ユニコーンを探そう。」

 

ちょっとの喜びが終了し、急いでユニコーンを探す。しかし...

 

「...腹減ったな...先にご飯にしようかな...?」

 

時間を見ると19時だった。これなら食堂が空いてるはず。昼のハンバーガーで晩御飯は要らないと思ったが、集中しすぎたせいで腹が減ってきた。ユニコーンもご飯を食べてると予想し食堂に行く。

しかし、ユニコーンは食堂にはいなかった。仕方が無いのでここでご飯を食べてから探すとする。

 

「何が良いかな...」

 

やはり、選択肢があると悩む。ここでズバッと決めれる決め手がない。そんな時に一人のKAN-SENがちょいちょいと指をつついてきた。

 

「指揮官指揮官〜だったらカレーが良いよ。美味しいし。」

 

背が低く子供っぽい子がいた。貴族のような服装に金髪...ロイヤルの子かな?会ったことは...ない。

 

「え...とごめん誰だっけ。会ったことなかったと思うんだけど...」

 

「二ヒヒ。私はアバークロンビーだよ!宜しくね。それよりも早くカレーにしてよ!美味しいよ!」

 

やけにカレーを推すなこの子...ロイヤルってカレー人気だっけ...

まぁ、折角だし頼もう。何食べるか決められた事だし。

今日の食堂の担当だろう饅頭達がせっせっと用意してくれている。

前はKAN-SEN達が料理を作っていたが、どうやら饅頭達がやる日もあるらしい。そして、俺の前に出来たてで美味しそうなカレーが出てきた。

 

「おっ、来た来た。それじゃ指揮官私もカレーだから一緒に食べよう!食べよう!」

 

俺はアバークロンビーに連れられ、空いてるテーブルに座った。

怪しすぎる...めっちゃ怪しい...いやいや指揮官がKAN-SENを疑うなんて指揮官失格だな。うん、大丈夫。そう自分に言い聞かせる。

俺はスプーンでカレーをすくおうとすると...

 

「指揮官、あれ何?」

 

アバークロンビーは俺の後ろの方向に指を指した。俺は後ろに振り向くとそこには夜の風景が映し出されていた窓ガラスしかない。

 

「...?何も無いけど。」

 

「あれ〜?まぁいいや。さぁさぁ食べよう食べよう!」

 

アバークロンビーはカレーを頬張り、美味しいのかほっぺたを抑えた。そんなに美味しいのか。アバークロンビーのリアクションで好奇心が生まれ、カレーを一口パクリと食べる。その時、アバークロンビーが少しニヤリと笑ったような気がした。

 

「うん。美味しいなこれ。やっぱりここの食堂は美味しいな。」

 

野菜が均等に切られ、ルーの焦げもない。うん。普通に美味しい。

しかし、気になることが二つある。一つは辛さが無い(・・・・・)こととだ。甘口なのだろうか?もう一つはアバークロンビーの表情だ。まるでどうしてこうならないのだろうという顔だ。

 

「あ、あっれ〜?おかしいな...指揮官、一口ちょうだい〜。」

 

アバークロンビーは俺のカレーからルーだけを取り、そのまま口に運んだ。すると、アバークロンビーは目に涙を浮かべ、口から火が吹く勢いになった。

 

「か、かっらぁぁぁぁぁい!!やっぱり私がさっき用意した激辛カレーだこれ!さっき後ろにふりむかせた時にすり替えたのに!指揮官なんでそんなに大丈夫なの!?」

 

「...え?」

 

そんな事ない。辛くない。一口食べると辛さは感じない。そうだこれは甘口のカレーなんだ。アバークロンビーはきっと大袈裟に嘘をついているんだ。

 

「全く...また貴方ですか。アバークロンビー!」

 

声に初めて気づき、顔を上げる。するとそこにはフッドがいた。彼女もここに食べに来たのだろうか。

 

「フッドおばさん...水!水ちょうだい!このままだと辛くて死んじゃう!」

 

「誰がおばさんですか!それは貴方の自滅でしょう...全く、指揮官が辛いのが得意だから良かったものの...ごめんなさい指揮官、この子はどうにも悪戯好きで...」

 

「...な、なぁ...これ辛いのか...?」

 

「え...?少し失礼します。」

 

フッドはスプーンでカレーを一口運ぶとその瞬間。咳き込んだ。

 

「ゴホッゲボっ!こ、これは...凄まじい辛さですね...指揮官はよくご無事ですね...」

 

...やっぱりそうか。あの時、艤装を使ったから...また...

 

「...ごめん。俺出るわ...ご馳走様...」

 

食欲が失せ、そのまま食堂を出た。そして、わけも分からずそのまま歩き続けた。その時の顔は酷かったのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

俺は海辺の砂浜にいた。俺はいつも嫌なことがあるといつも海を見る。見てると心が安らいで落ち着くからだ...今日は月も出てるから海が月の光で輝いている。

 

「ははっ...今度は辛味が感じなくなったな...ラッキー...辛いの苦手だったからこれで食べられる。あはは...」

 

これで苦手な辛いものが食べられると喜ぶが、やはりそれは虚しく、味覚がまた一つ無くした事の喪失感が大きかった。

最初のあの時で甘味が、次に辛味、また使ったら今度はどれを失うのかあるいは味覚ではなく、目かもしれない耳かもしれないそれが...怖い。

そのまま海を眺めると、一つの足音が聞こえた。音の方向に振り向くと、そこにはユニコーンがいた。どうやら俺を探していたらしい。

そういえば...約束してたな...

 

「お兄ちゃん...?どうしたの?悲しい事でもあったの...?」

 

「まぁ...ちょっとな...」

 

俺は理由を告げず、悲しいことがあった事実だけを話した。ユニコーンはどうすればいいのか分からないのか、あたふたしていた。

 

「大丈夫だよ。隣に来る?」

 

安心させる為、笑顔を振る舞う。多分笑えてない。ユニコーンの顔を見るば分かる。ユニコーンは戸惑いながらも俺の隣に座った。

 

「今日はどんな用かな?」

 

「え...あ、うん。えっとね...これを渡そうと思って...」

 

ユニコーンは一つの箱を俺に差し出した。きっと、明石の店で買った物だろう。

 

「開けていい?」

 

ユニコーンに確認を貰い、コクリと首を縦に振った。開けてみるとそこには丸いドーム状の形をしており、中には海を思わせる液状にまるで星のようなしたものと三日月が中に漂っている。

 

「スノードームの...海バージョンかな?」

 

「うん。足の怪我が治ったお祝いと...覚えてる?私と最初に会った時、一緒にゆーちゃんを探したくれたお礼。」

 

勿論覚えてる。皆と出会って、知って、いい場所も見つけ、そして遅刻してしまった時だ。いい思い出だ。

 

「だからそれは私の気持ち。...どうかな?」

 

渡されたドームを見るとさっきまでの喪失感や悲観さが薄れ始めた。そしてここまでのことを思い出した。今まで沢山辛いことがあった。だが、それ以上に嬉しかったこと楽しかったこと幸せだった事があった。そして吹っ切れた。

 

「ありがとう。ユニコーンのお陰で悩みが消えたよ。」

 

「え...!?え...とユニコーンは何もしてないよ?」

 

「いや、本当に助かった。」

 

ユニコーンを褒めまくると恥ずかしくなったのか顔を赤くし、ゆーちゃんで顔を隠した。その愛くるしさにきっと今度は笑えてるだろう。

 

「うう...でも今なら...えい!」

 

いきなりユニコーンが抱きついてきた。あまりの行動で時間の流れを忘れ、数秒時間が止まった気がした。

 

「ゆ、ユニコーン!?何してるんだ?」

 

「え...とイラストリアスお姉ちゃんがこうすればお兄ちゃんはよろこぶって...」

 

いや確かに嬉しいけど...うーん、女性から抱きつかれるのは慣れて無いなので少し気恥しい。ユニコーンもそうなのか少し顔が赤い。

 

「ど、どうかな?お兄ちゃんは嬉しい?」

 

「あ、あぁ...うん。充分に嬉しいよ。だから、今日は遅いしもう...」

 

「いや。もう少しこうしたい。」

 

しかし、ユニコーンは離れてくれなかった。何かと弁論するがそれでもユニコーンは聞かず、離れなかった。

 

「ほら...良い子だからもう寝ないと...」

 

「あのね...ユニコーンはそんなに良い子じゃないんだよ...?」

 

ユニコーンはそのまま抱きつく力を強め言葉を繋ぐ。

 

「一緒にご飯食べた時に、お兄ちゃんがイラストリアスお姉ちゃんに口を吹いてもらった時、ちょっと嫉妬しちゃったんだ...それに、ウェールズお姉ちゃんがずっとお兄ちゃんの隣にいる時もちょっと胸が痛たかったんだよ...」

 

ユニコーンの気持ちを聞いた。そんな思いをさせたと思うと罪悪感でいっぱいになる。

 

「だからね、あの時のお茶会で何かしてもらうってイラストリアスお姉ちゃん達は言ったでしょ?だから私も...良い子じゃないけど聞いて...『少しだけこうさせて』?」

 

あの時のお茶会の約束をユニコーンはここで使った。

自分は良い子じゃないと言ったが、そんなことは無い。俺の為にこのスノードームを送って、俺の為にこんなことまでしてくれてる。ユニコーンは良い子だ。良い子であろうとしている。だから、応えてあげよう。

 

「分かった。じゃあ少しこうしようか。」

 

俺は、ユニコーンの頭を撫でた。理由はきっと昔にある。俺もこうやって天城さんに抱きついたこともあった。その時、天城さんは俺の頭を優しく撫でてくれた。それの真似をしたんだろう。

 

「えへへ...お兄ちゃんはやっぱり優しいね。」

 

「そうかな...?」

 

「うん。とっても...」

 

俺とユニコーンはそのまま月が浮かぶ海を眺めた。暫く経つとユニコーンが寝息をたてて寝てしまった。ゆーちゃんも同じように寝てしまった。俺は一人と一匹...でいいのか?とにかく一緒に抱え、ロイヤル寮まで歩いた。勿論プレゼントされたスノードームも大事に箱にしまった。ロイヤル寮が見えてくると寮の前には一人の女性がいた。

 

「指揮官様、どうでしたか?ユニコーンの贈り物は。」

 

「あぁ。とても良かったよ。ユニコーンはやっぱり良い子だよ。」

 

「ええ。とっても良い子ですわ。では、あとは私が...」

 

俺はユニコーンとゆーちゃんをイラストリアスに渡した。

ユニコーンは幸せそうな寝顔だった。いい夢でも見てるのだろうか。

 

「では、失礼します。私との約束も忘れないでくださいね?」

 

「その言いぐさはさては...見てたな?お手柔らかに頼むよ。」

 

俺はイラストリアスと別れ、自室へと戻った。そして、スノードームを机の上に置く。スノードームは夜を照らすように少し光っていた。良く出来てるな。

 

「さて、じゃあ日記を書いて寝ますか...」

 

今日のことを日記に付けた。嫌なことも嬉しかったことも今日もあった。俺はその日のことを丁寧に細かく書き、引き出しに入れて引き出しの鍵を閉め、ベットに向かいそのまま寝た。




○月✕日
指揮官に選ばれた。
このまま四年間、様々なことがあった。
血が滲む様なこと、孤独だったこと、許せなかったこと
...仲間が出来たこと。良くも悪くも沢山ある。俺は明後日出発する事になる。
このページも残り少ない...今回は少しサボりすぎたかな...
しかし、全部覚えている。これまでの事を全部...
さて、明日はジンたちがパーティーを開いてくれるそうだ。
だからもう寝よう...

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