もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら〜2nd season 海上の誓い〜 作:白だし茶漬け
これからもご愛読よろしくお願いいたします!
さて、今日から指揮官の日記がついにKAN-SEN達の交流会になります。後書きでチラッとだけなので細かく描写は出来ませんがよろしくお願いいたします。
第22話【蝉とバスケと秘書艦と】
みんみんと蝉が五月蝿く鳴く。季節はもう夏だった。今僕はある事を確認するために背筋を伸ばして立っている。
_はい、そのままじっとしててね。
家の木の柱にピンと立つ。そして赤城お姉ちゃんが頭の上まで針を進ませ木に切れ込みを入れる。
どう?どれぐらい背が伸びた?
_結構伸びたわね。 ほら、去年はここなのに今ではここ。
切れ込みと切れ込みの間にはかなりの間があった。多分20cmぐらいある。
_一年と半年で凄まじい成長だな。これも高雄の鍛錬のお陰か?
加賀お姉ちゃんが関心したように言う。
_そうね。さて、お勉強の時間にしますよ。
天城お姉ちゃんがパンパンと手を叩き、勉強の時間を知らせる。
天城お姉ちゃんの提案で一日に三時間ぐらいは必ず勉強の時間を設けると言ってきた。でも天城お姉ちゃんは容赦がなく、ウトウトしてると凄く怒るし、日に日に難しくなる。
いーやーだー!!外で遊びたいー!暑いから海とか行きたいー!
そんなことで嫌気がさして駄々をこねる。しかし、天城お姉ちゃんが許してくれる訳も無く。笑っているのに怖い笑顔で向かってくる。
_駄目です。ちゃんと勉強しないといい大人になんかなれません。
赤城、加賀、この子を運びなさい。
__は、はい。
いやー!!助けてよー!赤城お姉ちゃん!
_ごめんね...いくら貴方の頼みでもああなった天城姉様は止めるのは無理よ...
_あぁ...凄まじい覇気を感じる。思わず震えてしまう...
二人はそのまま僕を捕まえ勉強部屋に連れて行く。腕や足をがっちりと掴んでいるのでもう動けない。
_今日は駄々をこねたのでお仕置です。一時間多くしますので覚悟しなさい?
天城お姉ちゃんが怖い。そしてそのまま一時間追加の勉強が蝉の鳴き声と共に始まった...
「ご主人様、今日は執務をお休みくださいませ。」
執務室の前に立ちはだかるのはベルファストだった。通せんぼするように扉の前に立ち、俺を執務室に入れないようにしている。
「休みって...いきなりどうして?」
「この一週間、ご主人様は働きすぎです。普段のお仕事に加え、他の皆様方との交流をし、挙句の果てには夜遅くに明日の分の仕事をなされて...これ以上何をなさるの言うのですか?」
「い、いや〜夜遅くに仕事はしてないよ?」
「ご主人様の部屋で仕事をなさっていて何を言ってるのですか?」
何で知ってるの?え、把握してるの?それはそれで怖いぞ。
「ご主人様の部屋に明かりが着いてましたのでもしかしたらと。」
心の中を読んだかのように、ベルファストは俺の疑問をピタリと答えた。敵には回したくないタイプだ...
「とにかく、ご主人様は今日はお休みください。ご心配無く、書類等の後片付けは私がしておきますので。」
「いやいや、メイド長だから忙しいだろう?それこそ悪いよ。」
流石に仕事を増やすのはマズいと思い。強引にも執務室に入ろうとしたがやはりベルファストに止められた。
「休んでください。」
「分かりましたごめんなさい休みます。」
威圧感が全面にでた笑顔の前には為す術は無かった。俺は仕方なく今日一日は仕事を休むことにした。
「休みと言ってもな...」
いきなり休みになったから予定なんてもちろん無い。しかし、自室に戻って一日ずっと寝るのもなんだか勿体なく感じる。そうこう考えてる内に取り敢えず、近くのベンチに座る。予定を考えてると、声をかけられた。聞き覚えのある声だ。
「あ、指揮官。珍しいね。今日は執務は休みかい?」
ボーイッシュな雰囲気で金髪のサイドテールの髪をした子が来た。クリーブランドだった。今回はモントピリアもいるがあと二人いた。恐らくは姉妹艦だろうが会ったことは無い。
「あぁ、ベルファストに仕事を休めって言われたな。そこの二人は...妹かな?」
「ちゃんと紹介してなかったね。じゃあ妹達を紹介するよ。」
まず紹介してくれたのは頭にサングラスをかけていてフーセンガムを膨らませている子からだ。
「クリーブランド級二番艦のコロンビアだよ。因みにサウスカロライナの方じゃなくて、ボゴタの方のコロンビアだからね。」
どういうことか恐らくは地域の話だろう。コロンビアの地域は二つあり、一つはサウスカロライナ州にあるコロンビア。もう一つはコロンビアの首都のボゴタだ。まぁ、対して気にしてはないけど...
次に紹介したのは髪の下方に小さいツインテールをしている子だ。
「ハロー私はクリーブランド級の四番艦のデンバー。海上の騎士の四人目さ!よろしく!」
「あぁ。よろしく。さて、後はモントピリアだけだな。」
「僕は別に良いだろ...」
モントピリアは知っていはいるがちゃんとした自己紹介はしていない。モントピリアは自己紹介を拒み、俺にそっぽ向ける。
「ちゃんと自己紹介していないからな。お前のこと、ちゃんと知りたいんだ。」
俺は本心のままに言って、折れたのかそのままモントピリアは自己紹介を始めた。
「はぁ...クリーブランド級の三番艦のモントピリアだ。...いきなり背中から蹴ったことは済まなかった。」
「べつに良いよ。気にしてないし。」
モントピリアはまだあのことを気にしていたそうだ。意外と引きずるタイプなのかな?
「さて、これで妹達の紹介が終わったかな。指揮官はこの後予定とかあるの?」
「いや、特にないな。むしろ暇だ。」
「あ、じゃあバスケやろうよ。指揮官とバスケ面白そうだし。」
コロンビアにバスケの誘いが来た。他の子も賛成はしている。
まぁ、モントピリアはちょっとムスッとしているが...
しかし、これは暇つぶしになるだろう。俺はその誘いに乗り、近くのバスケットコートまで移動した。
「そういえばチーム分けはどうするんだ?俺が来たから5人になったけど...」
「んー、これは一人休憩して交代で回すしか無いね。」
俺が来たので五人になり、どうしても一人余る。3対2をしても良いが、バスケは人数の差がとても大きくそれは推奨しなかった。
どうするか迷った時、一人男の声が聞こえた。
「だーかーら!俺はマーレの知り合いだって!ちょっとぐらい会わせろよ!ほら、許可証とかあるし!」
「ですから、それはここの停泊の許可証です〜!基地へ入るための許可証ではありません〜!」
声がした場所まで移動するとそこには一人の男とエディンバラが何やら揉めていた。ひとまず止めようと近づくと男の顔に見覚えがあった。茶色い髪に赤のメッシュをしており、そしてあの顔...間違いない。
「おーい。ひょっとして...ジンか!?」
男は名前を呼ばれ、こちらに振り向く、すると目当てを見つけたように顔を笑顔に変え、こちらに手を振る。
「おお!マーレか!やっと会えたぜ!」
「どうしてここに?」
基本的ここでの立ち入りは委託販売の人や物資の届ける人だ。セイレーンの襲撃を避けるために主にKAN-SEN達だけで物資等の搬入はするが、最近はテンペストの影響により、基地の被害が増え、基地の被害が収まるまで、人類が物資を運んでいる。
「そりゃあ、物資を運びに来たんだよ。指揮官になれなくなったからって俺には出来ることがあるからな。」
どうやらここに物資を運ぶ際に俺に会っておきたかったのだろう。
するとエディンバラが困ったように声をかける。
「あ、あの〜。どうすれば良いのでしようか?」
「あぁごめん。とにかく特例で基地に入ることを許可するよ。書類を追加しておくから大丈夫だよ。」
エディンバラは了承し。その場を離れた。
「いやーしかし、メイドがいるなんてな。しかもKAN-SEN達皆、美人って天国かよ!」
「まだメイドはいるけど。」
「マジで!?」
「しかも増える。」
「増える!?」
ジンは感激した。そういえば...こいつと話した時にKAN-SEN達は可愛い子ばかりとかどんな子かなとか言っていたな...
「そうだ。ちょうどいい。ジン、久しぶりにバスケをしないか?」
ジンはキョトンと疑問の顔をした。俺はこれまでの経緯を話した。
するとジンはKAN-SEN達とバスケなんてこの先滅多にないと言ってバスケをすることにした。
「おお、これで6人だね。じゃあチーム分けをしようか。」
クリーブランドがその場をまとめ、チーム分けをした。結果は
俺、デンバー、コロンビアとなり、相手はクリーブランド、モントピリア、ジンとなった。
「そういえば、俺とジンがバスケを勝負するのって初めてだったかな?」
「ん?あぁ、そういえばそうだな。手加減はしないからな?」
思い返すとジンとはいつもチームだった。だが今回は敵だ。気を引き締めないとな。
「じゃあ、ジャンプボールからやるよ。勿論フェアに私が投げるから。」
「じゃあ私が行くよ。指揮官、ちゃんと受け止めてね?」
デンバーが前に出て、相手はジンがボールを取るそうだ。そして、
クリーブランドがボールを高く投げ、暫くしてデンバーとジンが高くジャンプした。先にボールに触れたのはデンバーだった。
「指揮官!お願いね!」
デンバーはボールに触れた瞬間、俺に渡すようにボールを叩く。
俺はボールを受け取ると、そのままシュートの体勢に構えた。
「あ、やべ!」
ジンが焦る。俺のやる事を知っているからだ。
「まさかそんな所から!?」
モントピリアが驚く、俺がする事に気づいたからだ。だが、ここからゴールにはかなりの距離がある。スリーポイントからも遠い。この位置でまさかシュートしようとしてるのではとこの場にいるジン除く全員が無理だと思ってるだろう。俺はボールを受け取ると同時に膝を曲げ、ゴールに向けてシュートする。ボールは綺麗に弧を描き、そのままゴールのリングに当てることなく、ネットに綺麗に入った。
「...良し。入った。」
その場にいるKAN-SEN達が固まる。まさか入るとは思わなかったからだ。ジンも「そりゃそんな反応するわ」と言う顔だ。
「嘘でしょ..お願いって言ったけどまさかいきなりシュートするなんて...」
「指揮官凄いね~。」
「これは、負けてらんないな!」
クリーブランドは急いでボールを取り、試合を再開する。他の子も一瞬遅れて反応する。クリーブランドは華麗にドリブルをし、コロンビアのブロックを避け、ジンにパスする。ジンは一気に決めようとゴールまで近づく。しかし、俺は中央辺りからシュートをして、その場から動いてないのでジンと1on1を始める形となる。
「一番最初にバスケを誘ったのは俺だからな!負けられない!」
「俺も負けないけど..ね!」
俺はボールを取ろうと素早くボールを狙う。しかし、ジンは器用に後ろにボールを回した。ジンは取られまいと姿勢を低くし、ドリブルを続ける。しかし、前には進ませんと俺はブロックする。しかし、もうジンは後ろに下がった時、すでにモントピリアにパスをしていた。完全にフリーになったモントピリアはそのままゴールまで近づき、シュートを決めた。
「やるな。ジン。」
「本当は俺が決めたかったんだけどな。お前も良くやるよ。」
試合は終盤に差し掛かり、時間も残り僅か、点差は一点差でジンたちが勝っている。これはクリーブランドの動きが大きく。ほとんどの点はあの子が取っている。ここで勝負を決める為、俺はペネトレイトを行う。
「マジか!?強引だなおい!」
ペネトレイトとは貫くや突き進むの意味を待った言葉だ。
バスケでもディフェンスを抜くための戦術の一つでもある。ジンのディフェンスをスピードで強引に突破し、その後にクリーブランドが立ちはだかる。
「通さないよ!」
このままスピードを落さず。俺はボールを足と足の間に通す。クリーブランドはスピードに困惑し、俺はクリーブランドのブロックを抜ける。そして、最後はモントピリアが立ちはだかる。
「姉貴の顔に泥は塗らせない!」
モントピリアは俺を止めようとするがあることに気づく、そうだ。すでに俺はボールを持ってないのだ。ボールは既にクリーブランドのブロックを抜く前に足と足の間にボールを通したと同時にデンバーに渡したのだから。そう、クリーブランドにしたのはドライブでは無く、パスなのだ。
「ナイス!指揮官!」
フリーになったデンバーはそのままボールをリングに投げ、綺麗にゴールする。その後試合終了を知らせるブザーがなり、試合が終わった。
「あぁぁ〜くそ!負けたかー!」
ジンはそのまま倒れ込み汗をかきながらも爽やかな笑顔を浮かべる。
「指揮官思った以上にやるね!」
同じようにクリーブランドも負けないぐらい爽やかな笑顔を浮かべる。なんだこの爽やかイケメン女性は。しかし、モントピリアだけは違った。そういった顔は無かった。声を掛けようとスルもデンバーとコロンビアに引き止められた。
「いやー、指揮官中々やるね!」
「うんうん。今日のMVPだね!」
するとデンバーは握り拳をこっちに差し出した。しかし、デンバーは笑顔だった顔を曇らせ直ぐにその手を下げた。
「あぁ、ごめんなさい。分かんなかったよね。」
「いや、分かるよ。手を貸して。」
俺はデンバーの手を掴み、先程と同じように握り拳を作り、俺も同じように握り拳をつくる。そして、最後にその拳をコツンとお互いの手が痛めない程度の弱さでこついた。
「グーパンチだろ?やりたかったの。」
デンバーは戸惑った。いや、それよりも意外という言葉が合っているのかだろう。彼女は握り拳と俺を交互に見続けた。
「意外だね、知ってるんだ。指揮官ってロイヤルの人だしこんな挨拶するのは私達位だけだと思ってた。」
「まぁ、俺もジンから教えられたんだけど。こんな挨拶があるなんて知らなかったから。」
俺はジンのことを見る。先程のグータッチとバスケで一緒にバスケをした日を思い出す。
_やるなマーレ!ほら!
_...?握り拳で殴る気か?
_違ぇよ!ほら、お前もこうしろって。
_こうか?
_ほら、グーパンチだ!覚えておけよ?
「ねぇねぇ指揮官、私にはやらないのかな?」
思い出にふけっている所をコロンビアが肩を叩き、グーパンチを求める。勿論、それに応え。同じようにグーパンチをした。
息を整える為その場には荒い息遣いだけが聞こえた。
息を整え、ようやく落ち着く。するとジンから声がかけられた。
「じゃあ、俺はもう戻るわ。あんまり長いとあれだしな。」
「そうか...寂しいな。」
折角会えたのにもう会えなくなることの事実で寂しさを感じる。どうせなら基地の案内をしてあげたかったが...
「別にまた会えるだろう。まぁ、こっちに来ることがあればまた連絡でもするよ。」
「待ってる。今度は特例で迎え入れて上げるよ。」
「お、ならメイド達のお出迎えで頼む。」
ジンはメイド達のお出迎えを想像したのか鼻の下を伸ばしていた。
来る時はちゃんとお出迎えしないとな。
「じゃあ私達も見送るよ。バスケをした仲だし。」
クリーブランド達もジンのことを送り迎えた。ジンはそのまま艦へ戻り基地を離れた。俺たちは艦が見えなくなるまでそのままジンを見送った。
「...行っちゃたか。」
「やっぱり寂しい?」
クリーブランドが隣で心配そうに見つめた。寂しいと言えば...寂しい。
「まぁな...初めての親友だから。」
俺の初めての人間の友達であり、親友の奴は海の地平線に消えてしまった。感傷に浸る中一つの腹の虫の音でその感傷は消えた。
「あ...あっはっは。ごめん。さっきのでお腹空いちゃった...」
音を出した人はコロンビアだった。申し訳なさそうにお腹をさすった。確かにもう昼頃だ。
「はは。じゃあご飯にしようか。」
寂しい感傷は消え、折角なので一緒にご飯を食べる。
クリーブランド達はピザを頼んだ。うん、この前のハンバーガーもそうだけど何でユニオンの料理はこんな量が多いの?ピザ一枚の大きさが尋常ではない。その大きさはテーブルを丸々使うほどの大きさだ。ピザのトッピングは同じではなく。四分の一の間隔で違う。何故かパイナップルが乗ってるのは間違いだと信じたい。
「これこれ!食べたかったんだけど流石に量が多くて断念したんだよね〜!指揮官がいてくれたから頼んだ事が出来たんだよ!」
コロンビアが早速ピザを一切れ取って食べる。冷めるといけないので皆も一切れ食べていく。取り敢えず俺はパイナップルが乗ってるやつは避けて野菜ばかりトッピングしたのを食べる。うん、味は良い。チーズの量が多く、とても伸びる。ピザはこうではなかくては。
「そういえば指揮官。スポーツをしてる時は性格が豹変しないんだな。」
モントピリアがあることに気づく。それは俺の性格のことだ。
「ん?まぁな。スポーツの時はしないな。今の所は艦隊の指揮や対人訓練とかでしか豹変しないな。」
後あるとすれば...あの時、重桜のKAN-SEN達が俺を拉致しようとした時だな。あの時は無惨にもやられたが確かに俺は性格が変わったはずだ。
「指揮官はどんなことで変わるんだ?てっきり勝負事で豹変すると思ったが...」
「んん...多分だけど自分に危機が及んだ時に豹変するのかもな...」
これが一番濃厚そうだが、それでも微妙だ。これが理由だとしたら確かに体術訓練の時や拉致された時の説明はつく。しかしそれだと、指揮の時の豹変が説明がつかない。危機が及ぶはあくまで、KAN-SEN達だ。俺ではない。
「自分のことなのに謎なんだよなぁ...」
こうして考えるてみるも俺は自分のことをよく分かってない。
性格のこともそうだが、何よりいつの間にか使えているあの艤装もなぜ使えるのか何も分かっていない...
「指揮官?早くしないと冷めるよ?」
「へ?あ、あぁ。そうだな。」
考えてるのに夢中で食べる手を止めてしまった。心配かけまいと俺はピザをどんどん食べていく。
「指揮官、そんなに急いで食べたら火傷するよ...あつっ!?」
クリーブランドは一切れ取ったピザを食べると熱かったのかピザを一旦皿に戻した。
「へぇ...クリーブランドも可愛いとこあるんだな。」
「...へ?わ、わわ私が可愛い!?」
いきなりクリーブランドは顔を真っ赤にして顔を手で覆った。
俺が何かしたのかと焦りそのまま皆の方を見る。
「え...え?俺何かしたかな?」
「指揮官...鈍感ってよく言われない?」
言っている意味が分からず首を傾げる。するとクリーブランドは相変わらず顔を隠し他の子もやれやれという表情だった。
...一体俺が何をしたって言うんだ?
テーブルを覆ったピザは無くなり、最後の一切れを食べる。
我ながら良くあの大きさを食べきったと思う。
「指揮官、結局パイナップルの乗ったやつ食べなかったね。結構あの甘味がいい仕事するんだよ。」
甘味と聞いて少しの喪失感が出た。俺はもう甘味と辛味を感じることはもう無い。だから手をつけなかった。
「そうか、じゃあいつか食べることにするよ...」
そのいつかとはもしも俺に味覚が戻ったらの話だ。その時が来るかは分からないが...
「じ、じゃあ!ご飯も食べたし。私はこ、これで失礼するよ!」
クリーブランドは顔を隠しながら走ってすぐこの場から離れた。
目にも止まらぬ速さだ...もう見えなくなった。
「姉貴!待って下さい!」
「待ってよ〜姉貴ー!」
デンバーとモントピリアもあとを追うように走っていく。
すると残ったコロンビアは俺に話しかけてきた。
「じゃあ指揮官。またね〜。姉貴のことと私達のことをよろしく!」
「あ、あぁ。またな。」
コロンビアも挨拶を済ましてからクリーブランドを追っていった。
さて...取り敢えず、ジンの特例の書類を書かなければならない。流石に一枚程度ならベルファストも許してくれるだろう。
俺は執務室へと足を運び、基地のドアを開ける。ドアを開けた先には連絡ボートがある。そこには秘書艦募集の張り紙があった。
チラッと目をつけそのまま執務室に向かう為に階段を上る.......ん?
「ちょっと待て今なんて書いてあった。」
逆再生のように階段を降りて、もう一度貼り紙を確認する。そこには秘書艦募集と言う文字が書いてあった。そして張り紙は業務の細かい事が書かれており、文字も見やすくとても完成度が高い。いやいやどうでも良いよ。そんなことより身に覚えのない事だった。そもそも秘書艦なんて募集しようだなんて思ってすらいないからだ。
「なんじゃぁこりゃぁぁ!?聞いてないよ!?」
「あら、どうやらご存知無かったようですわね。」
そこにはメイド服姿の長い茶髪の女性が飄々と登場した。メイド服だから、ロイヤルメイド隊の人だろう。しかし、服装が若干違うような...?
「申し遅れました。私はロイヤルメイド隊元統括をさせていただきました、ニューカッスルでございます。」
彼女は丁寧に挨拶をし、続けて俺も軽く挨拶をした。そして、話は張り紙にある秘書艦募集の件について戻る。ニューカッスルの言い具合だと何か知ってるはずだ。
「この秘書艦募集って誰が提案したんだ?」
「ベルファストでございます。」
何してんのあの人。え、こういう時はまず俺に話を通してからやると思ったけどまさかの俺がスルーされて勝手に秘書艦募集しちゃってるよ。やっぱ俺そんなに威厳ないの?自信なくすわ...
「ご心配なく貴方様。ベルファストは心配だからこのような事をしたのです。決してご主人様を見限っての事ではありませんよ。」
「心配?...想像出来ないけど。」
俺にとってのベルファストのイメージは 何事もそつ無く優雅にこなし、完璧な給紙を提供する。そして完璧な仕事を自分に求める完璧な人ってイメージだ。心配をするイメージはほとんど無い。
「ベルファストはああ見えてもお人好しなんです。自分の妹が危険が迫っていると知った時は冷静を装いましたが、目立ったミスは無いこそ、しばしばミスがあったのですよ。」
「え、そうなのか?」
とても想像が出来ない。だからにわかには信じ難いのだ。本当は見限っての秘書艦募集であって、俺の事を頼りないと思っているのかも知れないと言うネガティブな気持ちがどうもまとわりつく。
「では、直接御本人に聞いてみてはいかがでしょう。あの子の事ですからまだ執務室にいるはずです。」
この際ちょうど良い。ジンへの特例の書類を書くのと同時に秘書艦募集について話すことも出来る。
「じゃあ行ってみるよ。じゃあ、また今度。ニューカッスル。」
「はい。それでは。」
ニューカッスルに別れの挨拶を済ませ、階段を上っていく。一段一段上る度に謎の緊張が押し寄せてくる。多分だが、先程のネガティブな気持ちがまだまとわりついている。そのせいで余計に心配になってくる。階段を上り終わり、執務室へと移動する。
「いつも入っているのにどうして今日はこんなに緊張するんだ...」
執務室のドアの前に到着したが、その場で立ち止まる。いつも自分が使ってる筈なのに、まるで他人の部屋に入るみたいに緊張する。
息を整え、ベルファストが居るかを確認する為コンコンとドアと指の骨がぶつかる音を鳴らし、ノックをする。
「はい。ただいま。」
中からベルファストの声がした。足音が徐々に聞こえ一番大きくなった後にドアが開けられた。
「ご主人様?何用でしょうか?」
ベルファストが少しムスッとした顔になった。どうやら俺が執務をしようとするのではと思っているそうだ。俺は誤解を解くためにこれまでの事を説明した。
「なるほど...ご主人様のご友人が基地に出入りを...それで特例の許可証を作りたいことと秘書艦募集の件ですかを。」
「あぁ、まずは許可証作りだ。それぐらいなら良いだろう?」
「かしこまりました。それだけなら問題ないでしょう。」
ベルファストは俺に執務室に招き入れた。入ると部屋は綺麗に掃除されており積み上げられた書類は全て綺麗にファイリングされていた。ベルファストの仕事ぶりが一目で分かる。
椅子に腰をかけ、机にあるペンを取り、書類を書き上げる。一枚なのでそれほど時間はかからなかった。書類を仕上げてる途中、ベルファストが俺が他の仕事をしないようにずっとこっち見ていたから凄い怖かった。
「よし、終わった。後はこれを本部に届ければジンの特例で基地への出入りは認められるはずだ。」
ここで言う本部とはアズールレーン上層部の事だ。しかし、詳しい事は指揮官の俺でもよく分からない。謎と言えば謎である。その為上層部に関しては良くない噂が流れている。例えば...実はセイレーンと手を組んでいるとか...そんな根の葉もない噂が何故たったのかはしらないが...まぁ、実際セイレーンと手を組んでいたのは赤城と加賀だった訳だが...考えても仕方がない。次の本題に移ろう。
「じゃあ次に...秘書艦募集の件だが俺何も言ってないような気がするけど...」
「はい。全ては私共の独断でございます。」
「私共...?それって他にそれを提案した人がいたってこと?」
てっきりベルファストだけかと思ったがこの件に関してはまた別の人が関与していたらしい。
「この件はプリンス・オブ・ウェールズ様も関与しております。元々、秘書艦募集はあの方の提案でございます故。」
「ウェールズが?一体どうして...」
「これもご主人様のためを思ってのことでございます。」
「俺の?」
言っている意味が分からず首を傾げる。俺の為と言うが、俺は只仕事をしているだけ、自分のやるべき事をやっているだけだと思うんだが...
「ご主人様は歯止めというものが無いのです。」
「いやいや、俺だって休む時は休むよ。現にユニコーンとの約束の時だって早めに終わらせたぞ。」
「では、その後の執務はどう説明されますか?この資料の数ならば約束事が無い日はずっと執務をされていましたね?」
事実なので言い返せない。ユニコーンと夜会う約束をした日はそれなりに早く終わらせた。だが、それ以降にこれと言った用事が無かった為、ずっと補給品の見直し、新しくこの基地に来るKAN-SENとの連携を考えた戦術をずっと考えていた。
「ですから、ご主人様の監視役...と言っても過言では無いでしょう。少しでもご主人様の負担を無くすための計らいでございます。最も強引な方法ではありますが。」
確かに俺の話無しで勝手に秘書艦を募集をしたのは強引だ。
だが、もし話ても俺はその提案には乗らないと考えたのだろう。
現に俺は乗り気ではない。理由は俺がやるべき事なのに手伝ってもらうのが申し訳ないと心の中で思っているのだろう。しかし、ここで秘書艦の件を取りやめてと言っても彼女は意見を曲げないのだろう。
「それに...取りやめはもう効かないと思いますが。」
「へ?」
するとノックも無しにドアが突然開けられた。すると勢いよく多くのKAN-SEN達が一斉に俺に詰め寄った。
「指揮官!秘書艦募集って何ですか!」
「寝てても良いならラフィーがやってもいい...」
「面白そうだから来たけど指揮官モテモテだね〜」
皆が皆秘書艦の件を持ちかけてきた。一人一人だった丁寧に接するものの数が多くてキリがない。人混みの中にウェールズの姿が目に写り、この状況を見て少し笑っていた。
「指揮官、また私を秘書艦にしてもいいんだぞ?」
「それ全部お前の提案だろう!少しぐらい話しても良かったんじゃないか!?」
「ダメよ。無理やりにでも貴方を見ていないと倒れるまで仕事しそうだからな。強引にいかせてもらうわよ。」
「えぇ!?」
結局の所俺は秘書艦の件を認めてしまう。その日の午後はその話題に持ち切りになり誰が秘書艦にするかと悩む羽目になった。
結果なあの時のお茶会の権利を使い。「秘書艦にしてください」と言うイラストリアスのお願いで明日の秘書艦はイラストリアスが秘書艦となることに決まった。
「明日はよろしくお願いいたしますわね。指揮官様。」
明日...どうなるんだろう...
楽しみより、初めて何かを始める緊張と不安だけが今日はやけに大きく感じたのだった...
○月◻️日
初日での遅刻で注意をされた。相手はビックセブンの一人ネルソンと言うKAN-SENだった。
初日から遅刻なんてたるんでいる、それでも指揮官なの?とか指揮官足るものを一時間ぐらい聞かされた。結構キツかった。
しかし、その後頑張りなさいとエールを送ってくれた。それだけで頑張れる気がした。今でも忘れてない。
それにしてもビックセブンか...そういえば長門と陸奥もそうだったっけ。いつか紹介したいな...
もしもの話(R-18)を観測しますか?
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Yes
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NO