もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら〜2nd season 海上の誓い〜   作:白だし茶漬け

27 / 159
白だし茶漬けです。
特に言うことは無いです。あるとすれば50連したのに未だにピックアップのKAN-SENが出ない事です。つらすぎる。


にわか雨と信頼と無変化と

第25話【にわか雨と信頼と無変化と】

 

しとしとと雨が降る。服は少し濡れて、気持ちが悪い。

この雨のおかげで花火は中止になり、傘も持ってないのでしばらくは近くの茶屋で雨宿りする事になった。

 

花火...見たかった...グスッ

 

_仕方ないだろう、この雨だからな...ああもう泣くな!

 

加賀お姉ちゃんは懸命に僕の涙を拭く。けれど拭いても拭いても僕が泣き止まないから泣くなと言ってくる。 けれど見たかった花火が見れない悔しさで涙は止まらなかった。まるでなかなか止まない雨のように。

_確かに仕方ないけど...残念ね。

 

_そうですね...折角、体の調子も良かったのに...

 

天城お姉ちゃんたち以外にもこの茶屋で雨宿りした人がいた。皆、花火大会を楽しみにしていたのか浮かない顔ばかりしていた。

 

_そんなに泣いてるとはよっぽど楽しみにしていたのだろうな。

 

浮かない顔ばかりの人だかりの中で高らかに声を上げこちらに近づいていく人がいた。その姿は軍神の如く存在感があり、天城お姉ちゃん達も声の方向に振り向く。

 

_まぁ、三笠さんではないですか!こんな所で会うなんて。

 

_おお、天城ではないか!珍しいな、体の方は大丈夫...

 

_それは、今は言わないで下さい。あの子にはなるべく心配をかけたく無いのです。

 

天城お姉ちゃんは一瞬こっちを見た。すぐに視線を三笠さんに戻し話を続けた。三笠お姉ちゃんも一瞬こっちを見つめ、話を続けた。

 

_成程...分かった。久しぶりだな!__。元気にしていたか?

 

グスッ...今は元気じゃない...

 

_おい!ちゃんと挨拶をしろ!

 

加賀お姉ちゃんは僕の姿勢を無理やり正そうとする。でも、花火が見れなかった悔しさや悲しさが一杯でむしゃくしゃして加賀お姉ちゃんを振りほどき、赤城お姉ちゃんの方に走った。

 

_あらあら。やっぱりこの子は私に相応しいわぁ。

 

_お前な...!

 

赤城お姉ちゃんは何故か勝ち誇ったような顔を加賀お姉ちゃんに見せつけるようにする。加賀お姉ちゃんはそれを見て赤城お姉ちゃんを睨みつける。また喧嘩をするのかと思ったけど、天城お姉ちゃんの顔と圧に怯みどちらも目を逸らした。

 

_はは!相変わらずだな!そんな事していた間に雨は上がったようだ。

 

外を見ると雨は止みまだ曇り空が空を漂う。いつの間にか茶屋の中は僕と天城お姉ちゃん達、三笠お姉ちゃんと店員の人だけになっていた。

 

_あら、では今のうちに戻りましょうか。

 

_ふむ、ちょっと待て。よし...なら我も一緒について行こう。

 

三笠お姉ちゃんは何やら大きな袋を抱えて戻って来た。三笠お姉ちゃんがついて行くと言った時赤城お姉ちゃんと加賀お姉ちゃんが目をまん丸にして驚いた。

 

_み、三笠先輩の程が一体何用で...?

 

赤城お姉ちゃんは汗を垂らしながら三笠お姉ちゃんについて行く理由を問う。

 

_無論。コレをやる為だ。

 

三笠お姉ちゃんは赤城お姉ちゃんにさっきの大きな袋を見せつけ、それを持たせた。赤城お姉ちゃんは袋の中身を見ると納得したような顔になり、近くにいた天城お姉ちゃんも納得したような顔をした。

 

_なんだ。一体何が入っているんだ。

 

加賀お姉ちゃんも気になりだして袋の中身を見る。加賀お姉ちゃんは袋の中身を確認すると赤城お姉ちゃんと同じような顔になった。

僕も気になって袋の中身を覗こうとしたけど三笠お姉ちゃんに抱っこされて止められた。

 

_おっと、__にはまだ見せられないな。家に帰ってからのお楽しみだ。

 

何でー!みーたーい!皆だけずるいー!

 

抱っこされた僕は手足をじたばたして三笠お姉ちゃんを振りほどこうとする。しかし、それは虚しく全く離してくれない三笠お姉ちゃんの前に手足をばたつかせるのも疲れてしまう。

 

_はは。どうやら、元気になったようだな。じゃあ、肩車して家まで帰ろうか。

 

三笠お姉ちゃんは僕を肩に乗せ、僕の足をしっかりと持つ。

目線の高さが急激に上がる。それだけで世界が変わったようだった。自分の目線では決して見られない光景に興奮を覚える。

 

_ほら、しっかりと捕まるんだよ。ほら、早く出るぞ。

 

_そうですね。では、赤城はその袋を持っていて下さい。

 

天城お姉ちゃん達も三笠お姉ちゃんについて行くように店を出る。

肩車の楽しさと袋の中身の気になりが入り交じって、心が踊りそうだった。地面にはまだ水溜まりがあり、曇り空はだんだんと晴れていった。服の濡れも、さっきまで悲しさがあった心が晴れたように服も乾いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海の潮の香り、体に当たる風。見渡すは数多くの艦。艦が進むだびに聞こえる波の打ち音。今俺は、この作戦の旗艦のウェールズの艦の甲板にいる。

偵察機によるとあと少しで重桜の艦隊と接触する。近づく度に心臓の鼓動が早まる。今日は宣戦布告の期限だ。基地に被害を加えないよう、なるべく基地から離れた海域で今回は戦うことになる。

呼吸を少し整える。しかし、手の若干の震えが止まらない。

震えを止めるために手を力強く握りこぶしを作る。そうしてる間に一人のKAN-SENが俺を呼ぶ。

 

「指揮官、作戦の確認がしたいから来てくれないか?」

 

「ウェールズか...分かった。すぐ行く。」

 

ウェールズに呼ばれ、艦の内部へと入る。中に入るとかの大戦での艦の史実通りの内装なのかは知らないがしっかりとしていた。内部奥へと進むと一つの扉の前でウェールズは止まり、その扉を開けた。ドアが開けた先の部屋にはクイーン・エリザベス、ウォースパイト、ベルファスト、エンタープライズ、ホーネットがいた。どうやら作戦室っぽいな...

 

「待たせたな、では、指揮官。作戦の確認をお願いする。」

 

机の上にはこの海域周辺の地図がホログラムで映し出されていた。そして、戦力をこちらを青丸、重桜を赤丸と簡略化された戦力図も映し出される。少々ハイテクで戸惑ったが、使い方は何となく分かる。俺は今回の作戦をここにいるものに伝える。

 

「今回の作戦は物量で一気に攻める作戦だ。偵察機によるとやはり今回、鉄血は関与していない。つまり敵は重桜だけだ。」

 

これで、戦力差は圧倒的にこちらが有利となる。こちらはユニオンとロイヤルとの連合艦隊だ。対するあちらは重桜のみ、どう考えても戦力差は埋まらない。しかし、それは敵も分かっているはず。

 

「だが、重桜はセイレーンの力を使って量産型を大量に出してくるはずだ。」

 

エンタープライズから意見が出る。確かに戦力差を埋めるために間違いなくセイレーンの量産型を出すだろう。そうでなければ宣戦布告をするのなど自殺行為そのものなのだから。だが、分かっているのなら対策は出来る。

 

「そこで今回は艦隊を三つに分ける。この三つの艦隊でセイレーンの量産型と重桜の艦隊を包囲するようにして、一気に火力を集中させる。」

 

ホログラム上の地図にある勢力図をスマホを操作する時と同じように駒を重桜の艦隊を包囲させるように移動させる。

俺が初めて指揮をした戦闘の時、赤城は量産型のセイレーンを呼び出した。その時、呼び出せる距離と数には限界があるのではと悟り、この作戦にした。現に赤城は目に見えない所の長距離での量産型の呼び出しと大規模な艦隊並のの呼び出しをしていない。俺の考えは合ってるはずだ。

 

「それと...」

 

「どうしたの指揮官?」

 

ホーネットが俺の言葉の歯切れの悪さを気にかける。他のみんなもそれを気にするように見つめる。俺の言うことはもしかしたら彼女達を敵に回してしまうかもしれない。しかし、言わなければ伝えられない。覚悟を決め、深呼吸をする。

 

「出来れば降伏を促して欲しい。無駄な戦いはしたくない。」

 

俺以外全員がどよめく。無理もない、セイレーンの力を使ってこちらに宣戦布告をしてきた奴らだ。降伏などあちらは受け付けないだろう。倒さなければまたその脅威がこちらに牙を向くだろう。

 

「正気か?指揮官。」

 

エンタープライズがこちらを睨む。降伏の件は認められないという姿勢がはっきりと分かる。

 

「本気だ。言わせてもらうが本当の敵はセイレーンなんだぞ。

これはただの内輪揉めだ。本来こんな戦闘はするべきじゃない。」

 

本音をここで言わせてもらう。共通の敵がいるのにも関わらず方針の違いで戦闘になるなんてそれは単なる内輪揉めだ。やるだけでも無意味だ。

 

「その内輪揉め引き起こしたのはレッドアクシズだ。それに赤城達はセイレーンと手を組んでいたんだぞ!それを許すと言うのか!?」

 

「どうしてそんな事をしたのかを聞くために降伏を促したいんだ...強制はしない。作戦は以上だ。質問は?」

 

その場に沈黙が続く。どうやら質問は無さそうだ。しかし、この沈黙の原因を作ったのは紛れもなく俺自身だ。俺は申し訳なさか悔しさかは分からないが軍帽を深く被りその場から立ち去る。その時のドアは妙に重く感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか降伏させろだなんてね。姉ちゃんはどうするの?」

 

「セイレーンと手を組んでいる奴らを許す訳にはいかない。赤城達は重桜だけではなく、人類に対しても裏切ったんだぞ。」

 

「そう...だよね...」

 

ホーネットはそれ以上何も言わず、帽子を深く被り、目を見せないようにした。他の者も指揮官からの降伏を促す意見を最初は戸惑いはしたが次第と落ち着き意見を述べていく。

 

「陛下はどう思って?」

 

エリザベスの側近、ウォースパイトが先に切り出した。エリザベスの意見は反対だった。しかし、エリザベスはそれよりも指揮官の態度に対して気になっていた。

 

「それよりも下僕はどうして最初から降伏をさせるなんて意見をだしたのかしら...」

 

「エリザベスと言ったか?どういう事だ。」

 

「クイーン・エリザベス女王陛下よ!ユニオンの英雄と言えど馴れ馴れしいわね。」

 

エリザベスは自分の名前をフルネームかつ女王陛下と呼ばなかったのが気に食わなかったのかエンタープライズに対し、次からは改めるようにと念を押す。エリザベスは気持ちを切り替え、指揮官の態度についての考察をする。

 

「降伏と言うのは相手からする事で初めて成り立つ物よ。最初から降伏を促すなんて戦いたくないと言ってるのと同じことよ。」

 

「陛下。それでは指揮官は戦いたくないと思ってると言うことになりますが。」

 

ウェールズはエリザベスに対して恐れ多い態度で意見を述べていく。確かに降伏を勧告する場合は序盤では無く、終盤に起きることがと多い。それも相手からの降伏だ。しかし、指揮官はまだ戦闘も始まっても居ないのに、投降を促す考えを出した。明らかに戦いたくないと言ってるのと同じだ。しかし、彼にはもう一つの彼がいる。ウォースパイトがそれを交えた意見を言う。

 

「そういえば、指揮官は二重人格みたいな体質があったわね。聞く所によると今の彼とは正反対と言ってもいい程の事...指揮をするのがあちらの指揮官なら降伏を勧告なんてしないのでは無くて?」

 

確かに...あの指揮官なら降伏なんてさせないとは思うが...それだと彼は自分自信で矛盾を作り出しているということになる。それともあちらの指揮官も降伏を促そうとするのだろうか。

様々な考えが頭の中で張り巡らさるが、一向に結論が出ない。

それどころか皆は疑心暗鬼を深める。

 

「皆様、ここは一度ご主人様を信じてみては如何でしょうか。」

 

ずっと沈黙を貫いていたベルファストがここでそれを破った。

 

「信じるだと?」

 

「はい。普段のご主人様と指揮をなされるご主人様。両方でもどちらか片方でも構いません。ですから一度信じてみてはどうでしょう。」

 

信じてみると言うが、彼自身まだ秘密だらけだ。簡単には信じられない。

 

「ご主人様はこう仰られました。『矛盾同士の存在だとしてもそれを含めての俺だから』と。」

 

言いたい事がいまいち伝わらない。私達はただ黙っていることしか出来ない。そんな沈黙を顧みず、ベルファストはさらに続ける。

 

「ご主人様はあの体質を受け入れています。前もって作戦を考えたり、寝るまを惜しんでずっと私達の為に有効な戦術を何度も何度も考えていました。指揮をするのは普段のご主人様では無いのにです。」

 

その時、ふと指揮官と艦隊の編成をした数日を思い出す。指揮官はまとめられたクリアファイルに一つではなく何個も出していた。それこそ、一つの本棚に一段埋まるほどのだ。あの時は気づかなかったがあれ全てが指揮官一人で考えていたものならとてつもない量だ。

しかも、どれも私達を安全を優先していた作戦でありながら充分に敵を倒せる作戦ばかりであった。指揮をするのはあくまで豹変する指揮官なのにだ。

同じ編成を考えていたウェールズも私も同じことを思い返してるのか心当たりがある顔をしていた。

 

「ご主人様の人格はどこかで繋がっています(・・・・・・・)。私はそう考えています。だから、信じましょう。私達の指揮官(・・・)を。」

 

ベルファストは初めてご主人様では無く、指揮官(・・・)と言った。これを意味するのはベルファストはメイドとしてでは無く、一人のKAN-SENとして指揮官を信じているのだ。その目は真っ直ぐであり、気品であった。エンタープライズはその目に圧倒されたのか先程の疑心暗鬼が消えていくのを感じた。

 

「降伏勧告もきっと何か理由があるのでしょう。しかし、本当の敵がいるのにも関わらずこのような戦いをするのは無意味という点については私は賛成でございます。倒すべき相手は誰か今一度考え直す必要があるようですね。無論、この戦いを無事に終わればですが。」

 

何と戦うべきか...しかし、それは今考えることでは無い。今は目の前にいる元同胞か、或いは敵か...戦闘の時は着実に進んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_中立海域 重桜艦隊

 

目に見えるのは海、青い海。見渡すは重桜の艦隊だった。ただ一人、艦隊を見渡しては風で後ろ髪がなびかせながら、高雄は考えていた。何故このようなタイミングで大規模な作戦を行うかという疑問と、もう一つ弟子と言っても過言ではないだろう。ただ一人の男についても同時に考えていた。

 

「どうしたの?高雄ちゃん。そんなに考え込んで。」

 

それを見かねた愛宕は心配と疑問故に問い出す。

 

「時期尚早では無いか?オロチ計画も進まぬうちにこれ程の大規模作戦。赤城殿は何を考えている?」

 

【オロチ計画】...重桜にとっての希望である。としか赤城殿達から聞いていない。しかし、その力は量産型ではあるがセイレーンの力を操る代物だった。それは力のまだほんの一部らしく完成したらとてつもない力が宿るという...そう言うが詳細は誰一人として説明されていない。説明されたと言えば、オロチには黒いメンタルキューブが必要なこと。それだけだった。その為、皆疑心暗鬼となってはいるがその力の前では誰も口には出せずにいた。

 

「黒いメンタルキューブを取り戻せなかったから焦っているかもね...なによりあの子のこともね。」

 

あの子、と言う言葉に高雄は反応し体が少し震える。高雄は考えていた。本当に彼を連れ戻すことを良しとしていいのか。それは、ただの自分のエゴを押し通しているのでは無いのかと。

 

「本当に...良いのか?拙者たちは無理やりあの子を傍に置こうとしているだけで、あの子の考えを、自由を縛っているのではないだろうか。」

 

連れ戻す。高雄はその考えを揺るがせる。何年ぶりかの彼を見た時からそれは少し、少しづつ揺らいでいた。彼の顔は笑っていた。昔のように接した。しかし、何処か距離を置いているような...まるで避けているように高雄はそう感じた。あの顔を思い出す度に考えが揺らぐ。

 

「そうね...もしかしたらそうかもしれない。でもね、高雄ちゃんはあの子を手にかけられる?」

 

その考えが頭をよぎる。あの子の首の横には私の刀が添えられている。高雄が一振すれば簡単に首が飛ぶ。刀の柄を握る力が強くなる。そして震えも若干だが強くなる。考えたくない。思考を止めたい。しかし、今のあの子は敵の指揮官だ。もしかしたらそうなってしまうかもしれない。今日の戦いでそうなるのかもしれない。

 

「拙者は...」

 

言葉が出なかった。迷いが邪魔をして言葉を遮る。戦闘の前だと言うのにそれでもまだ悩んでしまう。

 

「だから...」

 

愛宕は高雄を抱きしめる。震えを止める為にか、それとも安心させる為か、両方かもしれない。事実、高雄の震えはその抱擁で止まった。

 

「確かに、私達はエゴを押し通しているのかもしれない。でも、あの子とずっと一緒に、昔のように暮らしたいでしょう?私はそう思ってるわ。誰がなんと言おうとこの気持ちは間違ってるなんて言わせないわ。」

 

ずっと一緒に昔のように暮らしたい。愛宕はその一心であの子を連れ戻そうとした。いや、愛宕だけでは無い。赤城も加賀もあの子と共に過ごした奴は皆同じ一心だろう。それ程、小さいながら存在感が大きかったのだ。

 

「震え、止まったわね。」

 

いつの間にか高雄の震えは止まっていた。それは答えが決まったのか、愛宕のおかげかは定かではないが悩みは消えたことは確かだった。

 

「すまなかったな愛宕。もう大丈夫だ。」

 

顔を上へと上げる。俯いていた心は無くなり、ある一つの決心へと変える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_中立海域 アズールレーン陣営

 

「...やってしまったな。」

 

先程の降伏勧告を促すなんて言い出し、当然皆は反対意見だった。

それについて後悔したのか軍帽をさらに深く被る。そのせいで前が見えない。視覚が暗いので聴覚が少しだけ鋭敏になる。後ろから足音が聞こえる。後ろを振り返るとエンタープライズが近づいてきた。彼女とは関係の溝を感じてしまうため、無意識に目を逸らす。

 

「指揮官。あなたの降伏勧告の件だが私は変わらず反対する。」

 

トドメをさすが如く、彼女は降伏勧告の件を反対する。

流石に応えてしまう。すると、エンタープライズはそのままこっちに近づきついには俺の隣に来た。

 

「だが、貴方のことは信頼している。今の貴方と豹変する貴方どちらもだ。」

 

突然エンタープライズから信頼と言う言葉が出た。驚きのあまり、深く被っていた軍帽を浅く被り直す。隣には確かにエンタープライズがいた。

 

「いきなりどうして...?」

 

「私は貴方の考えが理解できない。だが、私達のために、より有効な戦略を考えた貴方を見て、合理的な戦術を指揮する貴方を私は二度も受けた。貴方は間違いなく優秀な指揮官だ。私達を勝利へと導いてくれる。」

 

今度はいきなり褒めているのか..?なんだかむず痒かった。

そのせいでなんだかソワソワしてしまい。彼女から顔をまた背ける。

 

「だから、私は信じることにした。両方の貴方を。」

 

「...ベルファストに何か言われた?」

昨日あんなに喧嘩と言うか衝突したので彼女自身からこう言うことはまず無いと思った。今現在彼女と距離が近いと言えるのはベルファストだ。そのため、ベルファストから何か言われたのかと予想した。エンタープライズは図星だったのか帽子を深く被り直すこちらから目を背ける。その姿が珍しく、見た事ない姿だったので思わず笑ってしまう。しかし、それも一瞬の事だ。

 

「もうすぐで重桜艦隊と接触するだろう。もう投降を促すとか言わない。...無理するなよ。」

 

「善処する。大丈夫だ。迷いは無い。」

 

彼女はこちらに顔を向けた後、艤装を展開し、自分の持ち場へと移動した。少しだけほんのちょっとの少しだが彼女との溝が埋まった気がした。

 

「それで?お前達はいつ出てくるんだ。」

 

後ろでこそこそとしている奴らに向けるように大声をだす。観念したのか隠れていた奴は全員前に出て姿を見せた。

隠れていたのはエンタープライズ除くさっき作戦室にいた人だった。

 

「いやーなんかいい雰囲気ぽいから邪魔しちゃ悪いかなって。」

 

「何が良い雰囲気だ。あれベルファストの差し金か?」

 

「さぁ、どうでございましょう。」

 

ベルファストは微笑みながら知らんぷりをする。しかし、間違いなくベルファストが何か言ってくれたのは事実だろう。ベルファストには感謝しかない。

 

「さて、そろそろ戦闘だ。全員持ち場に着いてくれ。」

 

気持ちを切り替え、戦いの為の心を準備する。俺の号令で皆の目付きが変わる。

 

「ふん!下僕の癖に女王のわたしに命令しないでくれる?でも、確かにそろそろ開戦ね、ウォースパイト!着いてきなさい!」

 

エリザベスはそう言いながらも俺の言う通りに持ち場へと着いてくれる。ウォースパイトもエリザベスに着いていくように持ち場につく。ホーネットも気持ちを切り替えたのか帽子を被り直し持ち場へと移動する。

 

「では、ご主人様。私もここで失礼致します。」

 

「あぁ。エンタープライズの事を頼む。」

 

ベルファストにはエンタープライズと同じ艦隊に編成した。無茶はしないとエンタープライズは言っていたが、どうも心配だ。

だからストッパーとしてベルファストをエンタープライズと一緒に編成した。

ベルファストは一つはお辞儀をして、エンタープライズと同じ持ち場へと移動した。残っているのはウェールズだけとなった。彼女は旗艦を任命し、持ち場はここだ。そして、指揮する俺の護衛も務める。

 

「指揮官。私は今度こそ貴方を守ってみせるわ。」

 

今度こそ。それは二度も俺を助けられなかった屈辱、後悔が交差したような声だった。だからこそ彼女からは決意の目をこちらに刺さるように見つめる。

 

「あぁ、頼む。ウェールズ。」

 

開戦まであと僅か、空は快晴な青空から一転し夜のような暗さとなる。セイレーンと接触する時、突然このように急な異常現象が起こる。例えば急にレーダーが使えない、今のような天候の急変等だ。

これは、重桜が持っているオロチの力の影響なのだろうか。

黒い空がだんだん青い空を支配していく。

戦いの後にまた戦いが始まる。まるで、戦うことが運命かのように...そして、戦いが今まさに始まろうとしている。

俺自身は変わることなく(・・・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また戦いが始まる。人の意見の押し付けあいが、人のエゴの衝突があの領地が欲しいから、自分が満たされたいからそんな自分よがりな事で戦争は始まる。現にそうだ。

愛する人を蘇らせるために。愛する人とまた一緒に暮らすために、そのようにして生まれたから、敵が攻めてきたから、だから戦う。

 

「さて...この戦いがお前の初めて(・・・)の指揮だ。お前は一体

どんな道をとる...」

 

エンタープライズが覚醒するまでは俺は動けない。だが、問題はアイツだ。アイツが今度こそ自分の意思で艤装を解放しなければ意味が無い。それでは意味が無い。それでは俺の計画は進めなくなる。

 

「だが、エンタープライズが覚醒したら...或いは...」

 

その答えはもうすぐ分かる。空は黒く荒れ、砲撃の音が絶え間なく聞こえる。戦闘が...始まった。




俺は今日、変質者を見たのかもしれない。というか見た。
容疑者というか現行犯は黒髪で片目隠れの者だ。
不自然に物陰に隠れ何やらカメラで何かを撮っていた。あまりにも怪しすぎたので少し様子を見るとカメラの先には駆逐艦達が何やら遊んでいた様子だった。そしてそいつは何故か息を荒くして、鼻血も垂れてきて...犯罪の匂いがしてそのままとっ捕まえた。
彼女の名前はアーク・ロイヤル。取り敢えずカメラを取り上げると何故かそのカメラを執拗に取り返そうとする。すると、そのはずみで彼女の服から大量の写真が落ちてきた。
見てみると俺が見た事あるKAN-SENの...何故か駆逐艦ばかりで視線がカメラを向いていない。これは...間違いない。盗撮だ。
これを追及すると彼女は色々と弁論してきた。私は駆逐艦達にはつじょ...愛おしく思っているだけだと弁論した。
うん逮捕。速攻で通報した。あの人がまさかロイヤルのKAN-SENとはな...世界は広い。

もしもの話(R-18)を観測しますか?

  • Yes
  • NO
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。