もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら〜2nd season 海上の誓い〜 作:白だし茶漬け
今回のアズールレーンのエイプリルフール面白かったですね。
え!?おっぱい!?えぇ、おっぱいリボン!?
え、このブリ強いなぁぁぁ!?
あーアズきゅん欲しいなぁぁぁあ!(切実)
こんな感じでしたはい。
第26話【花火と覚醒と命令と】
夜は真っ暗になり、周りを照らすのは月の光と家の電気。何本かの蝋燭にそして、小さな花火。
蝋燭に火をつけ、紙の棒を近づけて先の方を燃やす。
少し時間がたつと、紙から火が出てきた。時に緑、時に赤へと色が変わったり、紙を変えると今度は火が勢いよく出てきたりした。
わぁ!これも花火?
_そうだよ。まぁ、本来の花火と比べると少し小ぶりだが。
三笠お姉ちゃんが持っていた袋の中身は小さな花火セットだった。どうやら、花火を見れなかった僕を見て、あの茶屋の人から花火セットを譲って貰ったらしい。
ねぇねぇ、これも花火なの?これ木だよね?
僕は一本の花火を持った。まるで木みたいな見た目で本当に花火なのか疑った。
_それは線香花火です。火をつけるとだんだんと燃え方が変わるのですよ。
天城お姉ちゃんが丁寧に教えてくれた。だんだんと燃え方が変わると言われ気になりだし、早速火をつけた。しかし、火をつけてもさっきの花火見たいに日がてない。出てるのは小さい丸のような火だ。線香花火を上下にと振ったりしたがその弾みで小さな火の玉がポトンと地面とぶつかってやがて消えていった。
_あぁ!それが最初の
え、そうなの?てっきり色が変わるのかと思った...
無駄に花火を使ってしまった罪悪感悔しさなのかなのか、泣きそうになる。
_まだあるのだからまたやればいい。ちょっと待ってろ見本を見せてやる。
加賀お姉ちゃんは残りの線香花火を取り出し先に火を近づける。同じように小さな火の玉が表れ、少し待つとそこから今度は火花が出た。また少し待つと今度は勢いさらに強くなった火花が出て、最後に赤い火花が勢いが弱まり、小さな黄色い火花になって火はそのまま消えていった。
_ほら、これが線香花火だ。ちなみに...最初は
僕は加賀お姉ちゃんの説明を半分無視して早くやりたいという楽しみでもう一本の線香花火を手に持つ。火を近づけ線香花火を燃やそうとした時、天城お姉ちゃんにちょっと待ってと言われ、火を近づけるのを止めた。
_ちゃんと人の話は聞くのですよ?線香花火は途中で火が落ちてしまうことがあるから注意するんですよ。
え、落ちちゃうんだ...じゃあ皆で競走しようよ!誰が一番長く花火を付けられるか!
僕の突然の提案に皆は一度顔を合わせた。少し待って、皆は残りの線香花火を手に持って僕の提案に乗ってくれた。
どうしてこんな事を考えたのかは分からない。けど、一緒にやりたかったのは分かる。ただ皆で同じ花火をやりたかっただけかもしれない。
じゃあ行くよ?せーの...で!
ぼくの合図で皆は線香花火に火を付けた。僕、天城お姉ちゃん、赤城お姉ちゃん、加賀お姉ちゃん、三笠お姉ちゃんの五本の線香花火が一斉燃えた。そして、同時に蕾に入る。しかし、天城お姉ちゃんの線香花火が蕾になった瞬間に火が落ちてしまった。
_あら、私が一番最初に落ちたわね。
_天城姉様...
_天城...
線香花火は人生と例えられる。それが相まってか、いつしか線香花火は自分の寿命と例えられると広まった。勿論そんなことは無い。だが、人生とは寿命が無いとなし得ない。ある意味間違いでないだろう。赤城達もそれがよぎったのかたちまち不穏な顔になる。天城自身も何かに悟ったのか火が落ち、もう燃えない線香花火を見つめ続けた。
しかし、__は自分の線香花火を持っている手を天城の手の下まで移動した。その後、天城が持っていた線香花火を
天城お姉ちゃん。これ一緒に持とう?これで天城お姉ちゃんの人生はまだ終わってないよ!
__は、花火の火に照らされながら満面の笑みを天城の為に浮かべる。その笑みと人生はまだ終わっていない。と言う言葉を聞き、天城は顔を上げる。天城はその優しさに感服したのか心をうたれたのか天城は__に笑顔を返し、彼の手をそっと包み込むように添える。
_ありがとう。__。いい子に育ちましたね。
えへへ...//
彼は照れくさくなったのか顔を赤らめる。それは四本の線香花火ではっきりと映っていた。四本の線香花火はそのまま火花を散らし、最後まで鮮やかに、華やかなに散っていった。
暗い。冷たい。沈む。沈む。深く深く沈んでいく。
あれ...俺、どうして沈んでるんだっけ...?
水中だから声が出ない。しかし、息苦しくない。艤装を展開してるからか?俺は一体何をしていたのか思い出すためにもう一度記憶を辿る。これから死んでしまうかもしれないと言うのに、俺は冷たく、暗い海の中で記憶を辿る。
_数時間前...
黒い空、荒れる海、目の前にはユニオンとロイヤルの連合艦隊が、その先には重桜艦隊と量産型のセイレーンの艦隊。どちらかが仕掛ければそこで戦闘が始まる。その極限の緊張感が誰もが感じる中、俺は、激昴の為か安心させる為か、KAN-SEN達に通信を送る。
『聞こえるか?今から、厳しい戦いが始まる。』
俺の通信を聞き、様子は明石が作った高性能小型ドローンカメラでモニターして見える。いや、見なくても誰もが緊張しているのだろう。
『相手はセイレーンの力を使い、より強く、強力になっている。』
不安を煽るような、したい事と真逆な事を言う。次第に皆の顔が次第にきつくなる。
『だが心配しないでくれ。俺が指揮をする。必ず勝たせてやる。だから...』
戦争で、亡くした家族がフラッシュバックする。戦争地帯で誰かの助けを差し伸べられなかった後悔がこみ上げてくる。もう、あんな事はしたくない。
『だから、生きてくれ。これは絶対命令だ。何が何でも守ってくれ。』
戦闘で親を亡くしたあの喪失感。助けの声を聞いたのに助けられなかったあの無力感と後悔。あれがあったから、あの人達に会ったから。
俺は今ここにいる。これは、この願いはあの人達にとっても伝えたい事だ。
言いたいことは言った。反応が気になった故、モニターを見る。しかし、見る必要は無かった。全員俺の方に体の向いていた。
了解しました!指揮官!
通信が無くても分かる。声、皆が俺一人に対して全員で言ったのだ。
まだ、会ったことも、あまり会ってない人もいるのに。
呆然としてた中、不意に後ろから肩に手を乗せられる。振り返ると旗艦であるウェールズが俺の肩を掴んでいた。
「指揮官、貴方の行動はKAN-SENからKAN-SEN達へと広まっている。だから、皆貴方の事を信じてる。だから、私達の事も信じて。」
信じて。それは、俺の先程の通信の事を言ってるのだ。俺の絶対命令の【生きてくれ】。必ずこれを守ると。ウェールズの目を見れば分かる。きっと皆同じような目をしているのだろう。しかし、それに負けんとする奴が一人、宙を舞い、漂う一人の狐が咆哮とは言えぬが凛とした声で咆哮にも似た威圧を発する。
「あら、揃いも揃ってなにより。黒箱と指揮官を渡すに気になったのかしら?」
冗談交じりの口調でこちらに話す。彼女は分かっているはずだ。こちらがそんな気など微塵も無いことを。だからこそ、突き刺さるような視線、威圧をこれみよがしに俺に向けてくる。
威圧に負けず、息を整え、赤城に向けて威圧的な視線を送る。
赤城には見えているだろうとあえて視線を送る。
「そう...じゃあ、力づくでやるしかないわね。」
俺の目が見えたのか、赤城はセイレーンの力を使い、多数の量産型のセイレーンがワープのようなものでいきなりこの海域に現れた。
「ようこそ、私の海へ。」
『全員!戦闘開始!』
俺の通信を合図にKAN-SENもセイレーンも一斉に砲を放つ。
戦闘が始まった...
俺はまだ
戦闘が始まり、止まぬ砲撃が続く。KAN-SEN達もセイレーンも雨のように砲撃を撃つ。しかし、その砲撃の雨の中、果敢に飛び出す一人の英雄がいた。
『エンタープライズ!突出しすぎだ!戻って!』
しかし、エンタープライズは聞かず、そのまま前へと出る。
エンタープライズは弓をひき、矢を艦載機に変える。そして、セイレーンの艦隊に爆撃を放つ。セイレーンの艦隊はたちまち火の海へと変える。しかし、終わらない。セイレーンは次々と無尽蔵に出てくる。
こればかりは不味いとマーレは思った。
『エセックス!エンタープライズの近くにいて援護してくれ、ノースカロライナとワシントンは2分後に射角をやや高めに向けて10時方向に砲撃を続けてくれ。』
「了解です!」
エセックスは艦載機をエンタープライズに続くように放ち、出てきたばかりのセイレーンを爆撃で数を減らし、エンタープライズの負担を抑えた。そして、2分が経ち、ノースカロライナとワシントンは指揮官の指示に従い、エンタープライズ達と言われた方向に砲撃を放つ。
「おいおい、これで本当に当たるのか?」
「ワシントン。指揮官の指示を信じましょう。」
二人は一斉に砲撃した。すると、予想着弾点にセイレーンが突如として現れ主砲がそのほとんどのセイレーンに当たった。
二人はその光景に唖然した。当然だ。これではまるで未来予知なのだから。
『まだ残っているから止めずに砲撃を続けてくれ!』
「は、はい!」「わ、分かった!」
二人はすぐ様砲撃を続けセイレーンの撃破に望んだ。
指揮官の指揮でセイレーンを殆ど無傷で撃破した。しかし、皆は違和感を感じた。それに最初に気づいたのはエンタープライズだった。
「指揮官...なぜ貴方は性格が変わってないんだ...?」
そう、指揮官が
ノースカロライナやシリアス等、この基地に来て間もないKAN-SENは疑問すら持たないが、彼の指揮を受けた者や見た者は疑問を持つ。しかし、その疑問は抱くことは赤城によって一旦遮られる。
「やるわね...なら、そろそろこっちも動こうかしら。」
赤城が構えると、更にワープしてきた影が見えた。今度はセイレーンでは無く、重桜の艦隊だった。艦隊は次々と出現する。
その中には昔共に過ごした人達や、会ったことある顔ぶればかりだった。
両艦隊とも、横並びで相手を睨んでいる。その間で見えない火花が散っている事だろう。
「行け!重桜の強者たち!天運は我らにあり!」
「全艦隊砲撃開始!」
マーレの指揮と加賀の叫びにより、砲弾の雨は強くなる。
轟く砲弾の音、荒れる海、空を飛ぶ艦載機の音が鳴り止まない。
この戦いが終わるまでは。
「始まったわね。」
「だけど蒼龍姉様。この海域は何なのですか?赤城先輩は何を...?」
赤城が黒いメンタルキューブによって作り出されたであろうこの海域に蒼龍と飛龍は赤城に対し疑惑を抱いていた。しかし、それは他の人もそう思っているのだろう。
「今は戦いに集中しましょう。どうやら、厄介な人が近づいてくるわ。」
誰よりも速く戦場を駆ける姿はまるで鳥のよう、エンタープライズは艦載機の乗り、赤城の元に近づく。赤城は恐らく旗艦である。その為赤城さえどうにかすればこの戦闘は終わる。そうエンタープライズは考えた。しかし、それは敵も分かっている。赤城の元にたどり着く前にエンタープライズは加賀の艦載機により阻まれてしまう。
「お前の相手は私だ。亡霊!」
「くっ...」
エンタープライズは赤城への攻撃を止め、一旦距離を置く、しかし、加賀は逃がさないように紙を多数エンタープライズに向けて放つ。
それに続くように瑞鶴も同じような紙をエンタープライズに向けて放つ。紙は炎となりエンタープライズの艦載機に向けて放たれる。
しかし、エンタープライズは矢を数本に拡散させ炎を撃ち落とす。しかし、数が多いため自分が乗っている艦載機が被弾し、直ぐに隣の艦載機へと飛び移る。
「下がっていろ五航戦。」
「加賀先輩!グレイゴーストの相手は私が!」
瑞鶴はエンタープライズの相手を自分がすると言う。あの時勝てなかった相手に今度こそ勝つ。しかし、それは加賀も同じ事だった。
「これは私の雪辱戦だ。お前は黙って見てろ。」
あの時、エンタープライズに負けたあの雪辱を晴らすために加賀は一人でエンタープライズと戦う。加賀は蒼い炎を纏った艦載機を展開し、一人でエンタープライズと戦う。
お互いの射程距離まで近づく加賀。先に仕掛けたのはエンタープライズだった。
「お前たちは本当にセイレーンと手を組んだのか!?」
艦載機のドッグファイトが始まった中、エンタープライズは武器を構えながら、明石と指揮官から聞いた事が真実なのか確かめる。
「明石かそれともあいつから聞いたのか?仕方がない奴だ。」
加賀ら否定を一切しなかった。本当の事だと認めるように言った。
「お前たちは裏切ったんだ!我々だけではなく、重桜の同胞たちをも!」
裏切ったことへの怒りでエンタープライズは矢を放つ。しかし、加賀は紙を投げ、紙は炎へと変わり、矢を撃ち落とす。
「貴様に姉様の何が分かる!」
何も知らない癖に、何も分からない癖に、赤城の気持ちを知らずに簡単に裏切ったことだけで済ませることに怒りに触れたのか、加賀は艦載機の機銃でエンタープライズの艦載機を撃ち落とそうとする。エンタープライズは艦載機を宙返りさせ、攻撃を避けた。二人の空中戦は終わる事を知らないように続いた。
「加賀に任せっきりという訳にもいかないわね。」
加賀とエンタープライズの空中戦を見て赤城も自分の艦載機で援護をしようとする。しかし、下からの砲撃によりそれは遮られる。
誰が撃ったのか見るため赤城は下を見下す。そこには三人のメイドがいた。
「お邪魔虫達が来たようね。」
『ベルファスト、シリアス、ダイドーはそのままエンタープライズの援護をしてくれ。』
赤城の元に来たのはその三人だった。赤城はその三人に艦載機をお見舞いしたが、ダイドー級のダイドーとシリアスの高い対空能力によってほぼ無傷で全ての艦載機を撃ち落とす。
「じゃあ、これならどうかしら?」
赤城はまた多数のワープゲートを呼び出す。今度はセイレーンでも重桜でもなく、25mm機銃だった。それら全て三人に銃口を向ける。
「さぁ、召し上がれ。」
25mm機銃は一斉に発射し弾の雨が三人に降り注ぐ。
ベルファストは弾を避けつつ赤城に攻撃するが、狙いがどうしても定まらず外してしまう。
ダイドーとシリアスは持っている剣で弾を切っていき何とか被弾を免れた。
機銃の雨が止むとダイドーとシリアスの近くにワープゲート二つが突然現れる。その先に現れたのは刀を持った二人、高雄と愛宕だった。
高雄はダイドーを愛宕はシリアスに向けて刀を振り下ろす。
しかし、何とか二人は刀を剣で受け止め、距離を取る。
「シリアス!大丈夫?」
「何とか...」
二人は背中を合わせ、互いに背中を預ける形で剣を構える。しかし、先程の攻撃でベルファストとは距離が離れてしまう。これでは援護は出来ない。
「ほう、よくぞ拙者の刀を受け止めたな。」
「はい。勝利と栄光をご主人様に捧げるためですから!」
ダイドーはそう言い。剣を構える。高雄も刀を構える。二人は一歩後ろに引くとすぐ様相手に近づき剣を、刀を振り下ろす。剣と刀の鍔迫り合いが始まり、その間には火花が飛び散る。
その後、攻防が目まぐるしく続き、ダイドーと高雄の一騎打ちが続く。
「愛宕!そっちの相手は任せるぞ!」
「分かったわ!高雄ちゃんも気をつけて!」
「シリアス!そちらは任せます!」
「承知しました!姉様!」
互いに姉妹に背中を預け一騎打ちの戦いが二つ始まった。
「姉様...って言ってたわね?姉妹艦?」
愛宕は興味交じりでシリアスに問いただす。シリアスは剣を構えながらも質問に素直に答えた。
「そうです。ダイドー級五番艦のシリアスと申します。」
「あら、私は高雄型二番艦の愛宕よ。妹同士仲良く...とはいかないわね。」
愛宕は笑顔を崩さず、刀を構える。しかし、その笑顔の裏には間違いなく殺気のような威圧をシリアスは感じた。
「ご主人様...ってあの子の事よね?貴方達はあの子の一体何が分かるって言うのかしら?」
愛宕は質問を変えた。あの子と言うと指揮官...つまりご主人様の事だとシリアスは察した。確かにシリアスは着任したばかりでまだ指揮官とは面識が無い。しかし、それはそちらも同じではとシリアスは考えた。
「分かる...と仰られますと貴方方は誇らしきご主人様の事を知ってるような口ぶりですね。」
「答える義理はないわ。じゃあ、あの子を今度こそ返してもらうわね?」
愛宕は地面を蹴るのと同じように海を蹴りそのままシリアスに向かう。シリアスも負けんと海を蹴り愛宕に向かう。剣と刀がぶつかり合い、二人の近くの周りで衝撃波と鈍い金属がぶつかり合う音が広がる。
戦況はこちらが有利に傾いていた。予定通り、三つの艦隊によって重桜を包囲した。これで重桜が動ける場所はほとんど無い。例え撤退しても逃げ道は此方で限定されているので集中放火を浴びることになる。ここまで良い。皆の損傷も報告を聞く限りでは大して被害は無い。しかし、決め手に欠けていた。エンタープライズが先行しすぎているので咄嗟にベルファスト、ダイドー、シリアスに援護させたのだが、それも妨害された。しかもエンタープライズは今加賀と交戦中だ。無理に今陣形を変えれば連携は崩れ、敵に機会を与えてしまう。
「どうする...?考えろ...」
俺は頭の中で無数の策を練っていた。しかし、その策は全てウェールズの一言により全て水の泡となる。
「指揮官!大変だ。今通信で分かった事だが鉄血艦隊がこの海域に進行している!」
「なっ!?嘘だろ...!?」
鉄血がこの戦闘に参加するなんて完全に予想外だ。
重桜が支援を要請した?いや、有り得ない。赤城と加賀はセイレーンと手を組んでいる。それがバレるリスクを犯してまで支援要請をするなんて考えにくい。なら何故だ...?鉄血自らの意思でこの戦闘に介入するのか?今は考察は無しだ。
「数は!?」
「今の所は戦艦が一隻、空母が一隻、駆逐が一隻、重巡が二隻が確認されてるわ。それに...戦艦はビスマルクよ。」
「ビスマルク!?鉄血のリーダーがこの戦闘に介入するのか!?」
確認された艦隊の数からして陽動だと思ったがその考えは捨てた。
何故ならビスマルクがいると分かったからだ。
ビスマルク...鉄血艦隊の指導者にして、鉄血の代表的な戦艦だ。
だからこそ彼女が含む艦隊で陽動は明らかに考えにくい。しかし、それだと数が少ない事に疑問を抱く...
「どうする?指揮官。」
数こそは少ないがここで鉄血に介入されたら間違いなく陣形が崩れ、艦隊に危険が及ぶ。この作戦は鉄血がここに来ない事を前提にして考えたられた事だからだ。...やるしかない。
「ここで勝負を仕掛けるしかない。何とかしてこの戦闘を終わらせる。」
俺は通信で鉄血艦隊がこの海域に近づいていることを話した。そして俺はいつも以上に集中し、全艦隊の指揮を続ける。
「鉄血がこの戦闘に介入!?くっ...」
エンタープライズは焦っていた。鉄血が介入すると分かり、その焦りは高まる。しかし、赤城には一歩及ばず、加賀が妨害を続ける。
『エンタープライズ!一旦戻れ!』
「いや...このまま押し通す!」
『エンタープ...』
エンタープライズは通信を切り、加賀との戦いに集中する。攻防一体の空中戦はとうとう終わりを見せた。
エンタープライズは矢を加賀が乗っている艦載機に放つ。
しかし、矢はそれとは別の艦載機に当たり爆発する。爆風によりエンタープライズの視界は奪われる。エンタープライズは爆風から逃れるように爆風を抜ける。しかし、その横には加賀が待ち受けていた。
「とったぞ。」
「....!」
エンタープライズは反応出来ず、加賀に艦載機の機銃によりエンタープライズが出した艦載機は全て撃ち落とされた。
「エンタープライズ様!」
ベルファストは叫ぶ。しかし、それは虚しく響く。ベルファストは直ぐに助ける為に弾を海に向けて放ち水柱を起こさせる。水柱によって赤城は視界を奪われ、赤城はベルファストを見失った。
「まぁいいわ。これで戦況は此方に有利になるでしょうね。もう少しよ...待っててね?」
「...!エンタープライズゥゥ!!」
ベルファストの叫びは通信でも拾われた。指揮官は先にある爆発を目撃し、落ちていくエンタープライズが見えた。
しかし、叫びは虚しく英雄には聞こえなかった。
英雄はそのまま空から放り投げられたように落ち、海へと沈んだ。
_見て。今日は海が綺麗よ。
生まれた時から海は戦場で...轟く砲声、硝煙の匂い、燃える炎の熱さ、海の水の冷たさ...私にとって海は...
その時、黒いメンタルキューブが私の視界に入った。
瞬間、私は海へと沈んだ筈なのに突然辺りが変わり、海は燃えていた。辺りを見渡す。するとそこには黄色い血を流したセイレーンが死屍累々と倒れていた。そして、それを置く、一人の人が佇んでいた。
その人は此方に振り向く、顔を隠すような長い前髪、ボロボロのマント...そして、私をずっと見つめる目。
瞬間。私は意識を何かに委ねた。
突如。一つの光が天を貫く。そこはエンタープライズが沈んだ所と一致していた。敵味方関係なく、全員謎の光へと向く。
そこには沈んだ筈のエンタープライズがそこにいた。無事だったのかと安堵を漏らすが、それは一瞬にして消え去った。彼女から発する、まるで無機質な威圧が安堵どころか恐怖さえ感じた。
「エンタープライズ...?」
本当に彼女かどうか疑わしくも思い聞こえるはずが無い彼女の名前を呼んだ。
エンタープライズは弓を加賀に向ける。瞬間。加賀がそのまま海へと落ちる。
「今...何を...?」
加賀は自分が何をされたのか分からないまま海へと落ちていく。その後、エンタープライズが原因だろう光がたちまち広がり加賀を飲み込む。
「加賀!」
赤城は落ちる加賀に手を伸ばす。しかし、光の広がりで遮られる。直感的にこれは危険だと察し光から離れる。
他のKAN-SEN達も光の出現に戸惑う。その戸惑いで足が動かず、皆光へと呑まれる。
「この光は...!?」
「指揮官!」
指揮官の傍にいたウェールズは指揮官を庇うように抱き、二人はそのまま例外なく光へと呑み込まれる。
「覚醒したわね。」
「あれがそうなのか?」
突然と現れる天を貫く光。このタコ娘が言うからには確かにあれは覚醒したらしい。そして彼女は分かっていたかのようにいや、分かっていたのだろう。そのような笑みを零した。
「やっぱり貴方なのね。この世界でも貴方が鍵になるのかしら?それとも...」
彼女は何か考え込んだ。どうでもいいがともかくエンタープライズは覚醒した。つまりは...
「俺は介入しても...というかしないといけないのか。」
「ええ。じゃないと同じだもの。じゃあ任せるわね。」
「お前はいつも見てるだけだろ。」
俺は左の艤装を外し、その上に乗る。こんな使い方が出来るのは些か意外だ。だが、これで素早く移動出来るかつ攻撃が出来る。俺は、艤装を走らせ戦闘に介入する。
「さぁ...お前はどうするんだ....」
「....かん!」
首筋が妙に冷たい。いや、全員が冷たく感じる。その冷たさに意識が覚醒する。いつの間にか雨が降っていた。状況を確認しようと辺りを見渡す。
「指揮官!良かった...無事だったのか。」
ウェールズが目の前に居て、ウェールズは安堵の息を漏らした。
「...はっ!皆は!?」
意識が戻ったおかげでこれまでの事を思い出す。確か謎の光に呑み込まれて...皆は例外なく呑み込まれたのだ。
「心配ないわ。皆無事よ。一人...おかしなことになっているが。」
雨の中、宙に浮かぶ二人の姿が見えた。エンタープライズと赤城だった。エンタープライズは先程と同じような無機質な恐怖を感じる。
赤城もそれに警戒してるのか赤城は炎の龍を出し、今にもエンタープライズに攻撃してくる気配だ。
「....めろ。」
直感で感じる。これは危険だと。どちらかがやられると。
俺の中に何かが込み上げてくる。全身が身構える。
「やめろ...」
赤城は炎の龍をエンタープライズに向けて放つ。それに応じてエンタープライズは構える。ただひたすらに敵を倒すように。無機質で表情を変えず、敵を倒すためだけの兵器のように。
「やめろぉぉぉぉぉ!!」
叫びに答えるように俺の周りに黒と白の光が身の周りで交差する。
光は徐々にまるで艦の形へ変え、色は白く艦と言うには異様な形でありまるで血管のような蒼いラインが入った艦とセイレーン特有の海洋生物を用いた白く、全長が30mの巨大な胴体がある艤装がその姿を表す。そして突然黒いメンタルキューブを触った時の光景がフラッシュバックする。俺が会ったKAN-SEN達が燃える海で次々と倒れている。その先には顔を覆う仮面をつけた奴が佇んでいた。
いや違う。背景にノイズがチラつく目を覆い、ノイズを見ないようにする。少し経ち手を覆うのを辞めて前を見る。そこには...
KAN-SEN達に囲まれながら倒れている自分がいた。そして、仮面の男は俺の目の前に立つ。
お前はこれからこの2つの未来どちらかを歩む。KAN-SENががお前を否定し、お前もKAN-SEN達を否定する。そして破滅させるかさせられるのかどちらかをお前は進む...
そして意識は現実へと戻る。
「指揮官...?」
ウェールズが俺の姿に驚愕してるのか酷い顔をしている。何が起こっているのか分からないのと受け入れ難い真実を見たようなそんな顔になっていた。
「...ごめん。」
俺はそう言い、ウェールズの甲板を思いっきり踏み台にするように飛び、赤城の元へ飛び出した。
「指揮官...貴方は一体...?」
ウェールズを置き去りにするように俺は赤城の元へと急ぐ。
そして俺が海を駆ける姿は全てのKAN-SENから目撃された。
「邪魔はさせないわ。これが私の愛のあり方よ。」
赤城は炎の龍を呼び出す。これが自分の愛と言わんばかりかのように龍は雨に負けず、燃え盛る。エンタープライズは何も言わず無機質にただ構える。
「私の愛は時を超え。神ですら凌駕して重桜を...姉様とあの子を!」
龍は赤城の思いに応えるように吠えエンタープライズに向けて炎の牙を向く。しかしそれは虚しく、エンタープライズの攻撃により龍は消滅した。
「くぅ...!」
為す術無し。赤城は顔を歪め、目から水がこぼれ落ちる。それが雨か、それとも、悔しさ故か、恐怖故かの涙かは本人だけが知る。
エンタープライズは無慈悲にと赤城に矢を放つ。
「やめろ!エンタープライズ!」
突如として赤城の前に一人の男が赤城を庇うように手を広げる。
突然の事で赤城には理解が追いつかなった。しかし、彼が、昔一緒に暮らし家族当然の存在となった。彼がそこにいた事は理解した。
「
赤城は彼の名前を呼び、彼諸共矢は2人を貫く。
「...え?」
エンタープライズは意識を取り戻す。一人の女性をそして自分の指揮官をこの手にかけたことなのかは分からない。そして認識する。自分が、指揮官を殺めてしまったことを...
_海が怖いのか?
彼とのやり取りがフラッシュバックする。そしてその問いに応えるように呟く。雨と交じった涙を零しながら。
「あぁ...そうか...そうだったのか...私は...海が怖いんだ...」
涙がこぼれるようにエンタープライズの意識は海へと落ちる涙のように意識を深い海へと失う...
あぁそうだった...赤城さんを助ける為に俺は...くそ!早く上がらないと!
しかし体が思うように動けない。俺はどんどん底へと沈んで行く。
為す術もなくもがく事も出来ない...その時、俺のもう一つの艤装が俺を長い胴体の上に、海上へと引き揚げる。
白い艤装は暗い海を照らすようだった。その長い胴体には統一性など無い主砲や副砲、対空砲が付いていた。そして恐らく口からはビームが出るだろう。
「何だっけ...リュウグウノツカイだっけ...それに似てるな...」
自分の艤装に運ばれながら俺は意識を失う。
地面が冷たい。まるで氷の上に居るみたいだ...冷たさで目を開ける。
周りは雨ではなく、雪が降っている。さっきは雨だったのに...?
そして俺がたっている所は氷の上だった。
「エンタープライズのせいか?」
この海域異常気象はエンタープライズが変化したのと関わりがあるのかと睨んでいる。しかし、それよりも先に皆との合流が先決だ。艤装はそのまま展開され続けていて、もう1つの艤装もちゃんと俺の近くにいる。俺は海に飛び込み、着地ならぬ着水をする。艤装を展開してるからこうして海の上を歩けるのは些か不思議な感覚だ。
艤装のレーダーを使い皆の位置を把握させる。幸いレーダーは使えた。そして、レーダーには五隻反応が俺の目の前に近づく。
そこには、黒一色の軍服に裏地は赤の黒いマントを羽織り、鉄血のKAN-SENの共通の意匠である黒い帽子を被った金髪で長髪のKAN-SEN...ビスマルクがそこに居た。
「あら、これはどういう事かしら?アズールレーンでも重桜でもKAN-SENでも無く、何故指揮官が艤装を展開してるのかしら。」
いつの間にか周りには鉄血のKAN-SENが俺を囲むようにしていた。もしかしてウェールズが言っていた鉄血の艦隊か...?
「お前たちもこの戦闘に介入するのか?」
突如、一発の砲弾が俺目掛けて撃つ。俺は直ぐに反応し、自前の剣で弾を斬る。斬った砲弾は俺の後ろに通過し爆発した。撃ったのはビスマルクでは無く、プリンツ・オイゲンだった。他にも後三人いる。
残りの一人はZ23は分かるが、あとの二人は知らない。白い髪に黒い服...装備からして空母だろうか、もう一人はプリンツ・オイゲンと一緒にいて、金髪の小さいツインテールにオイゲンと同じような服と装備が若干似ているから姉妹艦だろうか...そうこう考えてる内にビスマルクが続ける。
「質問を質問で返さないで。聞いてるのはこっちなのよ。」
容赦ない視線が俺を突き刺す。まるで今のように止まない吹雪のように冷たい視線だ。
「さぁ、答えて。貴方は何者?その艤装は何。」
「俺は...」
俺は話す。全てを話した。そしてこれは後にアズールレーンの皆も知ることになるだろう。吹雪は止むことを知らずに俺たちを襲い続けた。そして、一人の嵐もまた襲っていることを俺は知らずに...
俺は人生初めて人に頭を踏まれた。俺を踏んづけたのはエイジャックスと言うKAN-SENだった。彼女は俺の事を子豚ちゃんと言いながら俺の事を踏んづけたりした。俺、何か悪いことしたかな?何か気に障るようなことをしたかなと問うと、特に理由は無いらしい。
つまり特に理由の無い足が俺の背中や頭に襲いかかるのだ。
泣きそうだった。間違いない。この子はドSだ。間違いない。
もしもの話(R-18)を観測しますか?
-
Yes
-
NO