もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら〜2nd season 海上の誓い〜   作:白だし茶漬け

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土佐さんを速攻でラブまで好感度上げた白だし茶漬けです。
さて今回の後書きですが今回、指揮官の学友のジン達のプロフィールを書きます。
理由としては単純にキャラの紹介と皆様がキャラの管理をしやすくさせるためです。
近々、この小説の背景を分かりやすくさせる為に設定等をTwitterやここで出す予定です。


別離と学友と自身と

第35話【別離と学友と自身と】

轟く砲撃、崩れゆく建物は瓦礫に変わり重力に負けて落ちてゆく。

その光景はあの時の惨劇を甦らせる。

あの時の火の海、人の悲鳴や嘆き、次は自分が死ぬのかもしれない恐怖が蘇る。その恐怖で足が動かず立ち止まってしまう。

 

_優海!早くこっちに来い!

 

_優海!早く来なさい!

 

赤城姉さんと加賀姉さんの声が聞こえるが振り向く事が出来なかった。

俺は海の上にいる高雄さん達とローブ姿の奴が戦ってる姿をただ見てることだけした出来なかった。

ギリギリの距離で目で確認出来る距離からその姿は見えた。

高雄さんが斬りかかろうとしてもローブ姿の奴は左の剣で意図も容易く受け流す。それだけじゃない、愛宕さんが続け様に斬りかかろうとしてもローブ姿は分かったていたかのように綺麗に躱してそのまま回し蹴りを愛宕さんにお見舞いする。

ここに来たばかりの二航戦の蒼龍さん飛龍さんも艦載機を飛ばすが、

ローブ姿は左腕の武器を変形させ、ビームを撃つ。

外すことなく全て撃ち落とした後、蒼龍さん飛龍さんに向かって飛び蹴りをする。ローブ姿の右脚に蒼龍さんが、左脚に飛龍さんはモロにくらい、俺のいる所へ吹き飛ばされる。

吹き飛ばされた風圧が俺の横に空を切る。

 

_ゆ...優海君...逃げて..!

 

_早く...安全な所に...

 

二人とも苦しみながら俺の心配をしながら俺を庇うように俺の前に立つ。とどめを刺すようにローブ姿は二人に狙いを定める。

何やってるんだ俺は、足を動かせ、動かせ動かせ動かせ動かせ動かせ動かせ動かせ動かせ動かせ動かせ動かせ動かせ動かせ

念じるように、言い聞かせるように俺は自分の足を殴る。

息が荒くなる。心臓の鼓動が速くなり、血管の流れも鋭敏に感じる。

俺は無我夢中で赤城姉さんと加賀姉さんから貰った御守りを出す。

御守りと言っても二人が使っている紙だ。これはただの紙では無く艦載機に変わる物だ。俺はローブ姿に向けて紙を投げた。紙は艦載機に変わりローブ姿に突撃する。

ローブ姿は爆発のダメージを嫌ったのか一旦距離をとるために高くジャンプする。俺が出した艦載機はそいつを追うが、ローブ姿は右手からアンカーを俺の艦載機に刺し、そのままアンカーを引いたのか急速に艦載機に近づく。ローブ姿は左脚の剣で艦載機を真っ二つに切り裂き、華麗に海に着地する。

 

_優海君...!

 

飛龍さんから名前を呼ばれた気がしたがそんなの聞かなかった。

俺は動かせなかった足が動き、蒼龍さん、飛龍さんを庇うように腕を広げて立つ。足が震えてしまう。それでも二人を守るために俺は立つ。

ローブ姿は左腕の武器を変形させビーム砲を撃とうとしている。

 

_逃げて...優海君!

 

_逃げなさい!優海...!

 

二人の声は俺には届かなかった。ローブ姿がビームを撃とうとした瞬間、俺は1枚の紙を投げて艦載機に変える。ビームと艦載機は激突して大爆発を起こす。その爆発で辺りの道は崩壊し俺のいた所も例外では無かった。

 

_優海君!

 

飛龍さんは俺に手を伸ばすが僅かに届かなかった。俺は叫びながらそのまま海に落ちる。

 

_優海...?優海ぅぅ!!

 

最後に赤城姉さんと加賀姉さんの叫び声が聞こえた。

 

あぁ、二人とも...ごめんなさい....

 

二人に謝りながら、俺は俺は海に意識を奪われ始める。

意識が無くなる直前、俺の周りが光り出す。いや違う、これは俺自身が出している光だった。光は俺の前に集まり、蛇のような形を留めた後、白く長い胴体に突き刺さっているかのように砲塔や副砲があり、

頭部には赤く長い、魚で言うところのトサカみたいな物もあった。

それは俺を乗せて何処かに行くのか海の流れに従って進んでいく。

俺の意識は完全に消える。___

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はある人達を出迎える為、朝一番に島の入口...と言ってもゲートがある方だが。俺だけではなく、ロイヤルメイド隊の殆どの人達も綺麗に一列で正しい姿勢で待っている。

俺はふとある事を思い出してため息をつく。

 

「どうかされましたか?」

 

隣にいたベルファストが俺のため息に気づき心配してくれた。

 

「あ、いや...昨日の夜にエンタープライズとちょっと...」

 

俺は昨日の夜の出来事を思い出す。エンタープライズを何とかしようと呼び出したが結局届かず、関係がまた悪くなったような気がした。

 

「それでしたらこのベルファストに一旦任せては貰えないでしょうか?」

 

何か考えがあるのかその顔を見てエンタープライズの事は一旦ベルファストに任せることにした。

 

「さて、そろそろ来る頃かな。」

 

俺は携帯で時間を確認する。ジンたちによると9:00時頃に着くと言っていた。時間は数字で8:50を表示していた。時間を確認し終えて携帯を服のポケットに入れる。すると地平線から飛び出すように一隻の艦を視認する。

 

「ニューカッスルさん、お願いします。」

 

「承知しました。」

 

ベルファストはニューカッスルに艦の確認に行かせた。

しばらくするとニューカッスルから通信が入った。

どうやらあの艦はユニオンの【ブレマートン】の艦らしい。

他にも護衛に【イントレピッド】【クーパー】【リノ】【マーブルヘッド】の艦があった。この五人は安全にジンたちをここに行かせる護衛と新しくこの基地に配属なったKAN-SEN達だ。

艦は徐々に近づきこちらに近づく。ニューカッスルはドックへと誘導しあちらはそれに従う。

無事全艦ドックへと入るとそこから数人程視認する。

何分かしてからようやく顔が見える距離まで近づくと五人のKAN-SEN達は敬礼する。

 

「この度は上層部の指令により、護衛兼ここに配属されることになりましたイントレピッドです!よろしくお願いいたします!」

 

俺は規律正しい敬礼で思わず圧倒される。

しかし、イントレピッドの顔をよく見ると緊張しているのか顔が強ばっている他に汗が出ていた。

 

「ま、まぁまぁ。リラックスしてよ。俺は大した指揮官じゃ無いからさ。自然体でいいよ。」

 

俺はリラックスしろとイントレピッドに言うが余計に緊張しているのかまた表情が強ばった。どうしようかと悩んだ末、俺はある事を思いつく。

 

「目を閉じて肩に力を入れて!」

 

「は、はい!?」

 

イントレピッドはいきなりながらもしっかりと俺の言う事を聞いて目を閉じて肩に力を入れてたのか肩をあげる。

 

「深呼吸しながら肩の力抜いてみて。」

 

イントレピッドは二人深く深呼吸をしながら肩の力を抜く。

するとイントレピッドの表情は少し柔らかくなった。少しはリラックス出来たかな?

 

「び、びっくりしたぁ...」

 

「リラックスしてよ。って言われても出来ないからね。こういうのは言葉じゃなくて行動が良いものだから。」

 

俺はイントレピッドに握手を求めるために右手を出す。イントレピッドもさっきの緊張は無くなり俺の握手に応じた。

 

「おいおい。どこが大した指揮官じゃ無いんだよ。めちゃくちゃ大したことあるぞ。」

 

からかうように笑いながら男の声が聞こえた。そこ男はイントレピッドの後ろから表れる。髪は茶色で赤のメッシュが入れており、少し着崩したラフな白の服装とジーパンを履いていた。それはこの前ここに来たジンだった。

 

「よ、また来たぜ。」

 

「待ってたよ。ジン。」

 

俺とジンは握手では無くグータッチで挨拶を交わす。

一瞬、俺とジンが初めてグータッチした日の事を思い出した。

 

「ま、今回は俺だけじゃないぜ。」

 

ジンの呼び掛けに答えるように残りの人も顔を出す。

顔を出した人間は三人、まずは一番右にいる女性はボサボサの少し赤みかがった色素の薄い髪は左目が隠れるほどだ。白衣のような服を着て黒いズボンをしているのはロイヤル出身の【リフォル・ネロ】彼女は指揮官と言うよりKAN-SEN達の研究を目標をしていたが親に言われて仕方なく俺たちと同じ学校にいた。今は本人の希望通りにKAN-SEN達の研究や艤装の整備等でアズールレーンの後方支援をしている。

 

「相変わらずだな。リフォル。」

 

「...まぁ、KAN-SEN達を直に見られるのは滅多に無いから。あ、今からドックの見学していい...?」

 

「ダメだ。一日あるんだからまずは案内してからだ。」

 

「...むぅ。」

 

彼女は眼鏡の位置を少し上げ、口を小さく膨らませて小さく怒る。

リフォルは基本的、KAN-SEN達の研究以外には興味が無い。

成績もそれで結構下の方でリフォルの親とはよく衝突したらしい。

今は家族とは離反とは言ってないが関わっていないらしい。

次にリフォルの隣にいる女性は【リア・ミレバス】

出身はユニオンでジンとは幼馴染で学校でもよく一緒に居てた。

髪はクリーム色ののポニーテールでジンとは対称的にしっかりとした黒のVネックの服に少し青みがかったズボンを履いていた。

 

「久しぶりねマーレ。」

 

「相変わらずしっかりとしてるね。」

 

「ジンとは違うわ。ちゃんとTPOは弁えるわ。」

 

リアは少しドヤ顔をした。それを聞いたジンは少しムッとしていたがいつものやり取りなのであまり気にしない。

さて、最後は白のブラウスとスカートを丁寧にを着ていて、緊張しているのか縮こまっている女性は【ネージュ・トケル】

彼女はアイリスの出身だ。アイリスと言えば、今ヴィシア聖座と言う

元々アイリス陣営だったKAN-SEN達が内部分裂を起こし、今あそこは【アイリス】と【ヴィシア】という陣営に分裂した。

【アイリス】はアズールレーンに【ヴィシア】はレッドアクシズに加担している。そんな不安定な状態の為、他の陣営からは少し敬遠されてる為、アイリスの出身である彼女は周りから少し遠ざけられていた。

 

「久しぶり、元気そうだな。」

 

「は、はい!マーレ君もお変わり無く!」

 

ネージュは俺の右手を掴み腕が持っていかれる程激しく上下に動かす。

それに合わせるように彼女の白い髪のサイドテールも上下に揺れる。

何処がとは言わないが大きな二つの球体もまた揺れている。

俺はなすがままに振り回されてそろそろ腕の感覚が無くなるほどやばくなってきた。

 

「そ、そろそろ離してくれるか...腕もげそう...」

 

「ご、ごめんなさい!久しぶりに会ったから...嬉しくて...」

 

ネージュは腕を大きく振った行動を思い返して恥ずかしくなったのか自前のサイドテールを右手でいじる。

懐かしい顔ぶれと出会って俺はジンたちと過ごした日々を思い出す。

まだ日数的にはそれ程経ってはいないが、酷く懐かしく、昔のように思えてきた。

 

「それでは皆様、まずはこの基地を案内をしてからどうぞご自由に過ごして下さい。」

 

ベルファストの声を聞いて俺は現実に覚醒する。

ベルファストが手を叩いて合図すると、整列していたロイヤルメイド達は三組に別れた。

二組はジンたちの荷物を来客用の宿舎に置く組と案内する組、もう一組はイントレピッド達をドックに案内させて整備させる組だった。

 

「じゃあ、俺はもう行くよ。任せても良いか、ベルファスト?」

 

「お任せ下さいませ。」

 

ベルファストは小さくスカートの裾をつまみ上げ、左足を後ろに下げた後に少し膝を曲げながら、頭を下げた。

 

「あ、それってカーテシーって奴だろ!いやぁ、初めて見た!」

 

ベルファストのカーテシーにジンは感激する。それを見兼ねたリアはジンの後頭部に手刀を繰り出す。

余りにも早い手刀は風を切るように真っ直ぐジンの頭に命中する。

もろに食らったジンは悶絶して膝を曲げて頭を抱える。

 

「いってぇ...なにすんだよ!」

 

「貴方がみっともない反応するからでしょ!全く昔からそうなんだから...」

 

昔のような喧嘩を見て、懐かしさで俺は小さく笑う。

二人の喧嘩を必死になって止めるネージュとそれを見て見ぬふりをするリフォルを見て、何も変わってない事に安心した。

 

「ご友人様達と出会って嬉しそうですね。」

 

俺の顔を見てベルファストは俺の考えがわかっているかのように微笑みながら話しかける。

いや、分かってるからこそ笑っているんだろう。

何もかもお見通しのベルファストに脱帽してように俺は答える。

 

「まぁな。本当に...懐かしい。」

 

懐かしい。その言葉のせいか世界が変わる。辺りは年中桜が咲いてる木に赤城と加賀の間に小さな少年にそれを囲むように赤城と加賀の喧嘩の行く末を見届ける人達がいた。それは俺が過ごした在りし日の光景だった。

 

 

 

_わからず屋!優海はまだ小さいのよ!

 

_だからこそ今から鍛えるんだ!いつまでもお前のように天城の腰巾着になっては喰われるだけの弱者になる!

 

_うぅ...喧嘩は止めてよ....

 

少年は喧嘩を止めようとするがそれでも止めない二人をどうしようも出来なくなり思わず泣き出してしまう。

しかし、二人はそれに気づかずに更にヒートアップする。

そしてそれを聞いたのか二人に真っ直ぐ向かって行く和傘を持った、栗色の長髪に狐の耳と尻尾を生やした和服の女性が存在感を示しながら歩く。

 

_全く...二人とも、優海が泣いているのにも関わらずまた喧嘩するのですか?

 

_あ、天城姉様...

 

赤城はその女性を天城と呼んだ。天城はゆっくりと三人に近づくと赤城と加賀にそれぞれ一発ずつゲンコツを入れた。

 

_あたっ!

 

_ひゃう!

 

_もう、なんで仲良く出来ないの?早く仲直りして下さい。

 

二人は頭に隕石並の衝撃を食らったことによりその場に涙ぐみながらうずくまる。

天城は泣いている少年に近づく、いつまで泣いているのかと頭を叩いて叱るのだろうと見ていた大半数の人はそう思っていた。

しかし、その予想は見事に外れる事となった。

天城は差していた和傘をたたみ、取っ手を腕にかける。

そして少年を抱き上げ、まるで子供をあやす母のように少年の頭を優しく撫でる。

 

_よしよし、もう泣かないで?喧嘩を止めようとしたのね?偉いわ。

 

天城は泣いている少年を泣き止むまで何度も、それでも優しく撫で続けた。少年はようやく落ち着いたのか泣くのを止める。

少年は何かにすがりたいのか天城に寄り添う。

その光景はまさしく母と子供のようだった。二人は勿論血の繋がった本当の親では無い、しかしそれでもその絆は親そのものであった。

勿論、天城とその子だけでは無く、赤城と加賀もその家族の一員だ。

 

_天城...お前もそんなに甘やかすからこんな泣き虫になるんじゃないのか...

 

_頭が真っ白な戦闘狂よりかはマシかと思うわよ...?

 

赤城と加賀はようやく痛みから復帰した途端また口喧嘩を始める。

しかし、それは天城の笑顔の威圧により長くは続かなかった。

 

_な か な お り は?

 

__は、はい...

 

二人はその威圧から怯み、意気投合に握手をする。

天城はその光景を見て微笑んだ。先程の笑顔は恐怖だけの笑顔だったが、今はその逆の慈愛に満ちた微笑みだった。それを誰よりも感じたのは今誰よりも近くにいる少年、優海だった。

優海はその優しさに安心したのか泣き疲れて寝てしまう。

離れないように天城の服を力強く掴みながら静かに寝息をたてる。

 

 

 

 

「ご主人様?」

 

俺はベルファストに呼ばれて現実に意識を覚醒する。

ジンとネージュの喧嘩が昔の赤城さんと加賀さんの口喧嘩を重ねていた。

まだ引きづっている過去を振り払うように頭を横に振る。

俺は一呼吸してからベルファストの返事に反応する。

 

「いや、何でもない。じゃあ後は任せるよ。」

 

俺はある人に合うためにこの場を去る。しかし、その事に気づいたジンはネージュとの口喧嘩を止めてこちらに近づく。

 

「おいおい、お前は一緒に来ないのか?」

 

「これからちょっとな...ごめんな。折角来てくれたのに。」

 

俺は申し訳なさで皆に顔を合わせられない。

しかし、そんな事を無視するようにジンは白い歯を見せて大笑いしながら俺に近づき肩を組む。

 

「気にすんな、こうしてまた会えた事でも嬉しいもんさ。あいつらもそう思ってるさ。」

 

ジンは親指をリア達三人の方に指した。指を指された三人はそれに気づき、ジンと同じ事を思っているのか俺に笑いかけた。

そんな皆の優しさが更に罪悪感を生んだが、それ以上に嬉しさを感じた。それはちっぽけな罪悪感など吹き飛ばす程にだ。

俺はその笑顔に答えるように口角を上げる。

 

「なんだよ〜もっと大きく笑えよ〜!」

 

ジンは俺の頬をつまむと無理やり口角をあげようとする。頬を摘まれているので笑いが起こるどころか痛みだけが生まれる。

俺はギブアップを訴えるようにジンの肩を強めに叩く。

流石に分かったのかジンは手を俺の頬から離して悪びれもなく笑う。

 

「全く...相変わらずだな。」

 

言葉とは裏腹に俺の声色に怒りは無い。

痛みをひかせるように頬を触りながら今後に事について話す。

 

「ま、案内が済んだら皆は自由に行動してくれ。夜にはロイヤルがお前たちの歓迎パーティーをするからな。場所はベルファスト達ロイヤルメイド隊が案内をさせるから問題ないはずだ。」

 

「パ、パーティーですか?私、こんな服装でよろしいのでしょうか?」

 

ネージュは身につけている服を焦りながら見る。ネージュだけでは無く、リアも言葉には出さないが自分の服装に不備は無いかチェックするようにじっくりと見る。

ロイヤルが主催のパーティーと聞いて緊張してしまったのだろう。

皆は気にしないと思うが本人達は納得がいかないだろう。

すると助け舟の如くベルファストは二人に近づく。

 

「ご心配には及びません。こちらでドレスをご用意しますので、皆様はそれまでごゆるりとお過ごしください。」

 

「そ、そうなんですね...ホッ、良かった...」

 

「ええ、全く...」

 

ネージュとリアは安堵の息を漏らした。しかし、そんな二人とは対称的にジンとリフォルは服装の事など一切気にしなかった。

 

「なんだよ。そんな事気にしてんのかよ。神経質だよな?リフォル?」

 

ジンは二人を見て同意を求めるようにリフォルに近づく。

ジンは気にしてないがリフォルはどちらかと言うと興味無いと言った反応だった。

 

「...別に、私は行かないし...」

 

「はぁ!?なんでだよ!?」

 

リフォルのパーティーには行かない宣言にジンは驚くがリフォルはピクリとも反応しなかった。

そんなジンにそっぽを向く。

 

「別に興味無いし...」

 

「でも、KAN-SEN達の話とか聞けるかもしれないぞ?」

 

「行く!」

 

さっきの反応とは裏腹に目を輝かせながらジンと向き合ってパーティーに行くと豪語した。凄まじい態度の急変なので流石のジンも戸惑って一歩後ろに下がった。

 

「確かにKAN-SEN達と会う機会は滅多にないからね!成程...これを機に色々と研究出来るのかも知れない....!」

 

リフォルは一人静かにまるで呪文でも唱えているかのようにぶつぶつと呟いている。その姿はさながら魔女のようだった。

流石にこれは見過ごせないと判断したネージュはリフォルに近づき、白衣の裾を持ち上げるように掴む。

 

「そろそろ止めなさい。というよりまずはその髪とかどうにかしなさいよ!貴方も女でしょう!?」

 

「えー良いよそんなの...」

 

「良いわけ無いでしょう!」

 

ネージュはリフォルの抵抗をことごとく打ち破りそのまま白衣の裾を掴みながら引きずる。

リフォルは抵抗を止め、なされがままに引きずられる。

 

「えーと...まずはこの子を清潔にさせる為にお風呂に入らせてくれないかしら?」

 

リアはベルファストに一礼してまずは風呂の案内を頼む。

ベルファストはその事を承諾の意味を込めるようににカーテシーをした後、リフォルに近づくと膝を曲げて、リフォルとの顔の距離を近づかせる。

 

「それではリフォル様。徹底的にさせますのでどうぞよろしくお願いいたします。」

 

「は、はい...」

 

ベルファストの献身的な...いや、威圧的な笑顔の前にリフォルは身体をビクリと上に反射的に跳ねてしまう。その反動で眼鏡が傾きいてしまい急いで位置を修正する。

 

「あ、では私も一度お風呂に入らせてもよろしいですか...?」

 

ネージュは小さく手を上げながらベルファストに近づき、自分も一度お風呂に入ると言ってきた。勿論ベルファストはそれにも承諾し、一同はまず、案内より先に浴場へと案内させる事にした。

そしてその事について何かくだらない事を考えてる男が一人いた。

そう、ジンだ。今のこの男の横顔は不敵な笑みをこぼしていた。

 

「風呂か...」

 

「止めておけ、殺されるぞ。」

 

「まだ何も言ってねぇだろうが!」

 

俺はジンの考えを先読みし、それを一足早く止めるように勧める。

ジンは自分が何も言ってないのにも関わらず考えを否定された事について不満を持ちながら地団駄を踏む。

 

「はぁ...なら何考えていたか言ってみろ。」

 

何となく予想できる答えを想像すると俺は大きなため息をついてしまう。その後、腕を組みながらまた大きなため息をついてしまう。

しかし、もしかしたらそんな事は無いという淡い希望や可能性を信じながらジンの考えに耳を傾ける。

 

「今思ったんだ...ロイヤルの人達...皆、胸でけぇなって。」

 

「少しでもお前を信じた俺が馬鹿だった。」

 

俺はジンの考えが分かってしまい。いや、予想通りだったので落胆した。普通、予想通りの物事が起きると気分が良くなるはずだが、逆にこれ程落胆したのは初めてだった。

俺は顔を上にあげて顔を手で覆う。最早ジンの事を見ていられないのだ。

それにも関わらずジンは熱弁を繰り返す。

 

「いやいや、あの胸はやべぇだろ!俺の護衛艦を務めたブレマートンってKAN-SENもかなりだったけどあのベルファストって白髪のメイドとあの短髪白髪メイドもやべぇだろ!」

 

ジンはドックに向かっていくピンクの髪色のツインテールをしたKAN-SENの後ろ姿と短髪白髪...シリアスの事だろう、ジンはその彼女達を指した。

俺はブレマートンの方を見る。派手なピンクのツインテールに確か桃色ビキニ水着タイプを着てその上にタンクトップを羽織っており、さらにはやけに短いホットパンツ。モロ見えなへそにはピアスをしていていかにも派手好きな感じだった。

...確かに胸部装甲は、はち切れんばかりの迫力だった。

 

「そしてそんな人達が今、浴場で生まれたままの姿になっている...こんなチャンス見過ごせる訳にはいかねぇ...!」

 

大分熱く語ってるが、言ってることは変態のまさにそれだ。

というか、こいつは今から過ちを犯そうとしている。

もしバレたら女性達の怒りに触れてこいつは大変な事に...いや、最悪死ぬかもしれない。

ジンだってそれは分かっているはずだ。しかし、こいつは止まらない、止まろうとしない。そろそろブレーキ踏んでほしいのに踏んでくれない、むしろアクセル踏みっぱなしだった。

 

「という事で今から天国を覗きにいってきま」

 

ジンの言葉は1発の銃声により遮られる。弾丸は風をを切るように横に俺の顔を通り抜け、弾丸はジンの額に命中する。

ジンは弾丸の衝撃に反応出来ず、弾丸の威力に押されてそのまま地面に倒れる。その光景をスローモーションに見えた俺は動けることなくそれを見届ける。

 

「ジ、ジンー!?!?逝くなよ!?本当に天国に逝くなよ!?」

 

俺はとっさに弾丸が来た方向を向くと、そこには艦の形をした銃を一発、硝煙が出ている銃を向けたシェフィールドがいた。

間違い無くジンを撃ったのはシェフィールドだ。

 

「シ、シェフィールド!?お前何やってるんだ!?」

 

「見ての通り害虫駆除ですが?」

 

シェフィールドは銃から出ている硝煙を消すように銃口をそれに向けて硝煙に対して息を吹く。

そして獲物が完全に沈黙したのを確認するようにシェフィールドは倒れているジンに近づく。

 

「というか、ジンは大丈夫だよな...?」

 

「安心してくださいこれはゴム弾です。殺傷能力はございません。」

 

シェフィールドはジンの近くにあった一つの弾丸を俺に見せると、それを上下に押すと弾丸はまるでゴムのように曲がった。

確かにそれなら殺すことは無いが...痛そうだ。

現にジンは気絶しているのだから。

 

「...よし、駆除出来ました。ではご主人様、私はこれで。」

 

シェフィールドはジンを労うことなく、そのままベルファストの共に行動した。

イントレピッド達もロイヤルメイド隊の案内に従って今頃ドックに向かったので、ここには俺とジンの二人となった。流石にこのままにしておく訳にはいかないので、ジンの様態を見ると、何故かジンが瞳孔を開き、鼻血を出していた。

 

「どどどどどうしたジン!?鼻血が出てるぞ!?」

 

「あ、あのメイド...パンツを」

 

するとまた銃声が鳴り響き、またもジンにヘッドショットが炸裂する。するとシェフィールドはいつもの無表情だったが明らかに何かを焦りながら走ってこっちに向かって行く。

シェフィールドはピタリと俺の前に止まると、いつもの無表情の顔がますます威圧的に見える顔をしながら俺を睨みつける。

 

「ご主人様。この害虫の言った事は戯言です。」

 

「え?」

 

シェフィールドはジンの右足を掴むと引きずりながら走っていった。

恐らく案内をするつもりだろうが...ジンは無事だろうか...

そんな不安を胸に俺はある人と会う為にここを離れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅い!女王陛下を待たせるなんて重罰よ!」

 

青空の下、白いテーブルを叩きながら俺に説教を垂れるのはロイヤルの代表であり女王陛下である、クイーン・エリザベスだ。そしてその隣に勇ましく立つのは、彼女の側近のウォースパイトもいた。

俺が会う予定だった人はエリザベスの方だ。遅れたことに謝罪をして俺は彼女と向かい合うように椅子に座る。

 

「それで、話をしたいって事は...同盟の件ね?」

 

「そうだ。俺たちだけのあのお茶会の時に話したろ。その時の続きだ。」

 

あのお茶会とは俺が日記に書いていた、俺とエリザベスとウォースパイトだけのお茶会の時だ。

あの日記には流石に同盟の事は書くのはまずいので俺はわざと同盟のことに関しては書かなかった。

だからこの同盟のことを知るのは俺たち三人だけたのだ。

俺は二通の手紙をテーブルに置く。

エリザベスはそれを取り、その手紙を読み始める。

 

「重桜、鉄血はこの事を了承してくれた。後はお前が了承してくればこの同盟は成立する。」

 

重桜の長門、鉄血のビスマルク、レッドアクシズの代表国である二人は意外にもこの同盟を了承し、残りはロイヤルとユニオンの代表者がこれに同意してくれれば四大陣営での同盟が行える。

しかし、これは俺が勝手に出した事だ。

あくまで俺は指揮官だ。こんな世界を動かす事を一人で勝手に行うことには行かず、ユニオンとロイヤルの代表者とアズールレーンの上層部に許可を貰えなければこの同盟は成立しない。

だからこそ、今日ロイヤルの代表者であるエリザベスにこの事を話す。

エリザベスは甘い紅茶を一口飲むと答えを出す。

 

「悪いけど同盟には賛成出来ないわ。」

 

「な、何でだ!?」

 

俺はテーブルを叩きつけながら椅子から勢い良く立ち上がる。

椅子は地面に倒れ、エリザベスが使っていたティーカップはテーブルから少し浮き上がった後、静かに着地をする。

俺はエリザベスに迫るが、ウォースパイトに彼女がいつも持っている剣の先端を向けられる。

 

「指揮官と言っても、陛下に無礼はいけなくてよ。」

 

ウォースパイトはまるで敵を睨むように俺を見る。

しかし、ここで止まる訳には行かず、ウォースパイトの警告を無視するようにエリザベスに詰寄ろうとするがやはりウォースパイトがそれを許さない。

エリザベスは動かず、堂々とした振る舞いで話を続ける。

 

「単純に信用ならないからよ。少なくとも重桜はオロチ計画でセイレーンと手を組んでいるのよ。そんな陣営とは手を結べないわ。」

 

「それは違う。オロチ計画は赤城達のほぼ独断の作戦だ。重桜自体はほとんど関与してないはずだ。」

 

その事は明石からの証言で裏付けられていた。

明石はオロチ計画を始めたこと自体は知っていたが、赤城とセイレーンが手を組んでいることを知らずにいた。

となると、重桜のほとんどのKAN-SENもセイレーンと手を組んでいることも知らないはずだ。

仮に赤城達だけでは無く、過半数がそれを知っていたとしても知らない奴がいる事自体がおかしい。下手をすると内部分裂してしまう恐れがあるからだ。

だからこそ、赤城と加賀だけでセイレーンと手を組んでいるのだろう。

この事を説得材料としてエリザベスに話すが、エリザベスの意見は変わらなかった。

 

「少し良いかしら指揮官。」

 

ウォースパイトは俺の首筋に先端を向けていた剣を下げ、地面に突き立てた。

ウォースパイトは目で俺を座るようにと言っているかのように椅子に注目する。俺はそれに従って、吹き飛ばした椅子を元に戻して座る。

俺が座った事を確認するとウォースパイトは質問を投げかけた。

 

「指揮官、貴方はどうしてそんなに重桜にこだわるのかしら。」

 

その言葉を聞いて、俺の心臓が跳ね上がるように鼓動が速くなり、血の流れも速くなる。

俺と重桜の関係が勘づかれたような気がした。焦りが体に反応したのか俺は無意識にズボンの太もも部分を握りしめる。しかしそれ程焦る必要は無かった。何故ならそれは、明日話すからだ。

俺の命運を決める、その明日に。

 

「...こだわってるって何が?」

 

俺はわざととぼけるようにウォースパイトに質問の意図を探る。

その下手な演技をウォースパイトは気づいているのか知らないが、ウォースパイトは一呼吸つけて質問の修飾をする。

 

「貴方、重桜とは戦いたくない様に見えるわ。この前の戦闘の時もそう。貴方は最初、投降を促せと言った。そして次にこの同盟...明らかに重桜とは戦いたくないように私には見えるわ。」

 

重桜とは戦いたくない。それは事実だった。たった三年しか住んでない重桜でも、俺にとっては死んでいた俺が生き返えらせてくれた場所だ。勿論、物理的にでは無い。

目が覚めたら家族も、友人も、故郷も全部無くした世界は灰色に見えていた。でも、重桜のKAN-SEN達はそんな俺を、死んでいた俺に希望を与えてくれた。

それが今では敵として戦っている。

そんな事を頭の中で考え込むと周りがみえなくなった。

ウォースパイトの次の発言により、俺は意識を覚醒させる。

 

「それに、貴方の艤装の件もある...貴方は一体何者なの?」

 

「……」

 

何も言わなかった。いや、何も言えなかった。

今思えば俺は俺自身の事を分かっていなかった。

戦闘の時に豹変する性格がこの前の戦闘では無かった時や、いつの間にか使えていた艤装。しかもそれがセイレーンの艤装。

俺は一体何者何だろうか。

 

「...それは多分明日に分かるよ。ごめん、今日はこれで...」

 

考えついた返事がこれだった。俺は静かに椅子から立ち、俺の話が納得させなかった事が原因か、足取りが重くなった足を何とかして動かして歩く。

エリザベスとウォースパイトが何かに言いたような顔をしていたがそれを気にも止めずに俺はこの場を離れた。

 

 

 

「俺は一体なんだろうな....」

 

 

 

 

決まっている。

 

 

 

 

お前は

 

 

 

 

 

 

空っぽで

 

 

 

 

 

 

 

何者でもない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

化け物だ。




【ジン・カービス】(27)ユニオン出身
マーレ(優海)とは親しい仲であり、【アズールレーン指揮官選別学校】と言う指揮官を決める学校では、マーレ(優海)に次いで優秀な成績の持ち主、もしマーレがいなかったらジンが指揮官になっていただろう。
ちなみにサラとは幼なじみの関係である。
今は主に物資の運搬や調達等でアズールレーンをサポートしてる。


【サラ・ミレバス】(27)ユニオン出身
ジンとは幼なじみの関係であり、同じ【アズールレーン指揮官選別学校】にいた。
かなりの世話好きであり、ジンにはいつも手を焼いている。
今ではジンと同じく、物資の運搬、調達でアズールレーンをサポートしている。

【リフォル・ネロ】(26)ロイヤル出身
KAN-SENへの興味が尽きずにメンタルキューブの研究に没頭しており、基本それ以外には興味が無い。
親の方針で【アズールレーン指揮官選別学校】に入ったが本人がやる気がないため、成績は乏しかった。
しかし、本当の能力に上層部は評価し、今ではメンタルキューブの研究施設で活躍をしている。


【ネージュ・トケル】(21)アイリス出身
実はマーレとは小さい頃会っている。
理由はマーレの家系である【テネリタス】とはネージュの家系、【トケル】は並々ならぬ繋がりがあるからだ。
その縁があってかマーレとは幼なじみの関係。
マーレが指揮官になると言い出してから、ついて行くように【アズールレーン指揮官選別学校】には入るがマーレやジンのような卓越した能力が無かったため指揮官にはなれなかった。
今では新海域調査や物資補給等、幅広くアズールレーンの後方支援をしている。

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