もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら〜2nd season 海上の誓い〜   作:白だし茶漬け

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なんと!評価メモリが赤のままで三メモリに増えましたぁ!感謝感激雨あられです!



You are you

嘘の記憶でも、俺には家族がいた。

父さん、母さん、姉さん、妹がいた。

父さんの暖かくて大きな背中と手は俺の憧れだった。

 

母さんが作る料理も温かくて美味しかった。

 

姉さんはいつも俺に優しくしてくれていた。

 

妹とはよく遊んで喧嘩していたけど、それでも仲直りしていた。

 

そして…そんな日常は突然終わった。

 

 

 

 

 

家族を失った俺にはまた家族が出来た。

天城姉さんはまるで母さんのように暖かく、優しくて…俺の事をいつも思っていた。

 

赤城さんは過保護の所もあったけど、誰よりも俺を思い、寄り添ってくれた。

 

加賀姉さんは最初は俺の事を嫌っていたのかぶっきらぼうな態度を取っていたけど段々打ち解けていった。

意外と優しい所もあって良い人だ。

 

 

 

 

そんな新しい家族が出来たのに…また失った。

 

天城姉さんが居なくなって、赤城姉さんと加賀姉さん達と戦って胸が痛い。苦しい。

こんな思いをするなら…失うなら…俺はもう何も望まなかった。

 

そんな俺に手を差し伸べた人がいた。その人のお陰で…俺は、もう一度だけ…望もうと思った。

仲間が出来て、一緒に乗り越えて、俺は指揮官になれた。

 

 

 

だが、突きつけられた真実は俺自身を全否定するような物だった。

 

俺はセイレーン

 

 

俺は人類の敵

 

 

俺は皆の敵で倒される存在

 

 

…じゃあ、俺はどうして生まれてきたんだ…?

 

俺が生きてる意味って…なんだ…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦場に鳥が翼を羽ばたかせて大空を駆ける中、数多くのKAN-SEN達が、一人のKAN-SENを見て驚愕していた。

その者は戦闘によって足を失い、今立っている事など出来ないのだから。だが、夢でも幻でもない現実にいる彼女の足は元に戻っている。彼女の名は【ヨークタウン】

ヨークタウン級空母のネームシップであり、エンタープライズとホーネットの姉に当たる女性である。

 

「ヨークタウン姉さん…?どうして…?」

 

エンタープライズは今でも信じられないようにヨークタウンの足を見た。

 

「ヴェスタルちゃんと明石ちゃんが急ピッチでこの足を直してくれたの。これを指示したのはオセアンさんよ。」

 

『申し訳ありません…ですが、貴方がこの作戦の鍵になるKAN-SENです。…どうか力を貸してください。』

 

「…私なんかが鍵になるとは思えませんが…指揮官は暗闇の底にいた私にもう一度光を見せてくれました。今度は私が助けます…!」

 

ヨークタウンは暗闇の中から見つけ出した光をそっと握るように右手を優しく握る。だが、そこには確かな力強さもあり、ヨークタウンは救うべき人の姿を真っ直ぐ見る。彼女の目には変わり果てた指揮官の姿が映っていた。

 

「しかしヨークタウン姉さん…今の指揮官には私達の声など届いていない…」

 

「いえ、きっと届いてるはずよ。そして、その救いを拒んでいるのよ。…私がそうだったから分かるのよ。」

 

「ヨークタウン姉さん…」

 

ヨークタウンは以前の自分と今の指揮官を重ねてみていた。希望を求めず、代わりに絶望することも無い暗闇の中でこれでいいと自分に言い聞かせていた自分と今の指揮官は嫌ほど似ていた。

だからこそ分かる。これで良いのでは無い。これではいけないのだ。

 

「だから言い続けるのよ。貴方は貴方だって。セイレーンなんか関係ない。貴方のお陰で今のこのアズールレーンがあるって。」

 

「…そうだな。」

 

エンタープライズは誰かさんによって少しづつ変わり始めた自分を笑い。立ち上がった。

 

「ヨークタウン姉さん…今度こそは必ず守ってみせる。」

 

「ふふっ、その名前に込められた思いを少しは分かってきた?」

 

「少しづつだが、なんとなく分かってきたよ。」

 

エンタープライズは戦場において初めて誇らしく笑い、安心感に包まれていた。先程の緊迫感など嘘のように無くなり、今なら何でも出来そうな気がする程にだ。

 

「ちょっと〜私を忘れてない〜?ヨークタウン姉さん?」

 

後ろからヨークタウンの両肩を持ち、戦闘中にもに関わらず、いつもの雰囲気でヨークタウンに寄り添ったのはホーネットだった。

 

「勿論貴方も一緒よ。ホーネット。…それに、皆もね。」

 

ヨークタウンは後ろを振り返り、彼女の復帰を待ちわびたKAN-SEN達がいた。

 

「うぅ…良かった…本当に帰ってきてくれた…」

「ハムマンちゃん…心配かけてごめんね。」

 

ヨークタウンの復帰の嬉しさが溢れ出すように涙を溢れ出していたハムマンをヨークタウンは優しく抱いた。

彼女の久しい人肌の温もりを感じたハムマンは更に涙を流し、ヨークタウンを抱き返した。

 

「でも…泣くのはこの戦いが終わってからよ。今は…指揮官を助けるのが先よ。」

 

「ぐすっ…全く…しょうがないやつなのだ!このハムマンが指揮官の目を覚まさせてやるのだ!」

 

ハムマンは涙を力強く拭き、目頭を赤くさせながら指揮官を助けると豪語する。そんないつものハムマンを久しぶりに見たヨークタウンは昔の日常を思い出し、思わず懐かしさで頬が緩んでしまう。

 

「残念だが、指揮官を助けるのは私だ。何故なら私は指揮官の初めての秘書艦だからな。」

 

「あら、それならその次に指揮官になった私こそが指揮官様を助けるのに相応しいのでは?」

 

ウェールズとイラストリアスが自分は指揮官の秘書艦というアドバンテージを見せつけるように、高らかに発し、張り合うように笑っていた。その立場を見せつけられたKAN-SEN達は、挑発にのるように次々と指揮官を助けるのは自分だと豪語した。

 

「いいえ!誇らしきご主人様を救い出すのはこのシリアスです!」

 

「いやいや!人を助けるのは騎士の役目!だったら指揮官を助けるのは海上の騎士、この私クリーブランドだ!」

 

指揮官を助けるのは自分だと宣言するKAN-SEN達が続出していたが、決していがみ合ってる訳では無い。むしろお互いがお互いを焚き付け、結束しあっていた。

その証拠に、KAN-SEN達は笑っていた。

 

『あはは、皆さん。張り切るのはいいですがちゃんと私の指揮に従ってくださいよ?』

 

通信越しでKAN-SEN達の声を聞いたオセアンは笑みにつられて笑いながらKAN-SEN達の注意を喚起した。

 

「それは勿論承知している。貴方の指揮は素晴らしい物だ。」

 

『ユニオンの英雄にそのような事を言って頂けるとは光栄ですね。』

 

気持ちを切り替え、全員が指揮官に目を向ける。

現状では圧倒的にこちらが有利だが、忘れてはならない。

この戦闘の目的は()()()()()()()()()事だ。

その指揮官は今、あと一撃でも攻撃を受けたら沈む状態でいた。これではKAN-SEN達は攻撃出来ずにいた。

 

「もう私達はこれ以上攻撃は出来ない…」

 

『しかもそれは優海君も分かっているんでしょう。その証拠に明石さんかヴェスタルさんの能力も使える筈なのにそれをしないという事はそういう事でしょう。』

 

コネクターはKAN-SEN達の能力を解析、その能力を使う事が出来る。つまりコネクターは明石やヴェスタルのような工作艦の修理技能を持ち合わせてるが、コネクターKAN-SEN達の狙いが分かっているのかはそれを一切していなかった。

つまり、K()A()N()-()S()E()N()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソ…!俺はただ見てるだけしか出来ないのかよ…」

 

四年間一緒に過ごしてきた仲間を救えない無力さにジンは自分自身に怒りをあらわにした。ジンは怒りをぶつけるように右手で砂浜を叩く。するとジンは岩陰に隠れていたボートに目が入った。

 

「あれを使えば…」

 

「やめなさい。」

 

「でも!」

 

「やめなさい!」

 

温厚な性格であるオセアンの怒鳴り声が砲撃のような迫力にジンは一瞬怯んだが、その圧に屈することは無かった。

 

「でもここで見てる訳には行かないんです!俺だってあいつを助けたいんだ!」

 

マーレに受けた傷の痛みに耐えながらジンは立ち上がり、オセアンの服をしがみついた。

 

「ちょ、ちょっとジン!?何やってるの!」

 

「…これは立派な軍規違反ですよ。分かっているのですか…?」

 

ジンがオセアンに対して違反してるのは、命令違反と上層部の人間に対する攻撃である。特に後者の違反は重罪であり、最悪ジンは裁判により死刑が確定される行動でもあった。それが分からないジンでは無い。それでもジンはオセアンにたてついていた。

それを止めようとするリアは、ジンをオセアンから離そうと腕を掴むがジンの力の前には無力であるかのようにジンはリアを引き離した。

 

「関係ねぇよそんなもん!仲間を助ける為だったらどうなっても良いんだよ!」

 

「いい加減にしてよバカっ!!」

 

リアは再度ジンに近づき、ジンの頬を思い切り平手打ちを放った。手のひらと頬がぶつかり合う音が広がりこの場を収めた。

リアは思い切り叩いたせいで手を傷めた右手の痛みに耐えながらジンを見つめ、ジンは殴られた頬を触りながら何故殴られたのか分からずいた。

 

「何よ…何でどうなっても良いって言うのよ…だったら貴方の事を心配してる私はどうなのよ…」

 

「リア…?」

 

「いつもそう…無茶ばっかりして危険な目にあって…私がどれだけ心配したと思うのよ…マーレにやられた時だって目を開けないあんたを見て本当に死んだのかと思ったのよ…?」

 

リアの目に涙が浮かび、頬を伝って地面に落ちていった。

 

「だったらあんたの事を心配してる私はどうなのよ…私の気持ちもどうだって良いなら…今ここにいる私の気持ちはどうなるの!?」

 

リアは泣き崩れてしまい、砂浜にへたり込んでしまう。

その姿を見て心配したリフォルとネージュが近くで寄り添い、ジンは泣き崩れたリアを見ていた。

 

「ジンさん。確かに優海君も助けたいのは私も同じです。でも…だからって自分を犠牲にするのは最低な行いですよ。」

 

「そうそう。自分の命は自分だけの物じゃ無いんだよ。」

 

「俺は…」

 

ジンはオセアンの服から手を離し、尻もちを着いて地面に倒れ込む。ネージュが流す涙の雫を見たジンは罪悪感なのか心に針が刺さる痛みを感じた。

 

「…俺の命は俺だけの物じゃ無いか。」

 

ジンは心臓のある場所に手を当てて、自分だけのものじゃない鼓動を感じ取った。

 

「…悪ぃリア。俺…結局自分よがりの考えしかしてなくて…優海を助けるとか言ってお前の事を…」

 

ジンはリアに近づくと、片膝を着いてリアに顔を近づけた。リアは目を合わせないように目を逸らした。

 

「でも俺は仲間として…いや、ダチ(友達)として優海を助けたいんだ。だから…」

 

ジンが言う前にリアがジンの服の袖を掴んだ。リアは目を逸らしていたが泣き止んでいはいた。

 

「分かってるわよ…あんたの性格ぐらい昔からとっくにね…でも…無茶はしないで。」

 

「…!…あぁ。絶対にしないさ。」

 

ジンはリアの両手を包むように握り、リアに誓いを立てた。

 

「…では、そろそろ軍規違反に対する懲罰を行いましょうか。」

 

「っ…!待って下さいオセアンさん、!」

 

「ダメです。規則ですからね。」

 

ネージュはジンへの懲罰を待ってくれと頼んだが、オセアンの鋭い目付きは意志を曲げないと言う現れのようだった。

 

「…アズールレーン後方支援隊員ジン・カービス、貴方には軍規違反の懲罰として、敵部隊の特攻を命じます。今すぐそこのボートに乗り、敵部隊に特攻してきなさい。」

 

「…!それってつまり…」

 

オセアンは後ろに振り返り、顔を見せずにいた。ジンはオセアンの真意を知り、急いでボートに向かって走った。

傷の痛みは慣れたのか徐々に薄れ始め、体全体がさっきよりも動ける。ボートに近づいたジンは乗り込むと、そこには最初からいたのか、黄色いひよこみたいな生物、饅頭が二匹待ち構えていた。一匹はボートの舵を握り、もう片方は包帯をもって俺の治療の準備をしていた。

 

「饅頭…?…あの人、まさか初めからこの事を予想して…?…恐ろしい人だよ全く。」

 

ジンはオセアンがここまで予想していたことに末恐ろしさを感じながらも感謝していた。自分に仲間を助けるチャンスを与えた事に。

 

『…ジン君。特攻を命じてなんですが…死ぬな。これは命令です。』

 

「…了解。」

 

ボートにある通信機からオセアンの命令を受けたジンは命令遂行の為に尽力を尽くすと約束した。

包帯を持った饅頭が傷を負ったジンを治療していた。

 

「言われなくても…無理はしねぇよ。」

 

ジンはポケットにあるタバコを一つ加え、ライターに火をつけてタバコに火をつけた。これまで以上に煙を味わうように吸い、煙を吐いた。

 

「ふぅ…これが最後の一服…って訳にはいかねぇんだよな。」

 

ジンは吸いきったタバコを海へは捨てず、ポケットにあるシガレットケースにタバコを押し込めて火を消した。

 

「さぁてと、んじゃ操縦と治療は任せるわ。饅頭。」

 

操縦席にいる饅頭はジンの言葉を聞いてボートのエンジンをふかし、ジンの近くにいる饅頭は治療に専念した。

ボートはエンジンを点火させ、海をかき分けながら進んでいく。

 

「…ジン。絶対戻ってきて…」

 

リアは両手を神に祈るかのように両手を握る。これまで神という存在はあまり信じたことないが、今はこれ程神という存在がいて欲しいと願った事は無かった。

 

「大丈夫ですよ。優海君もジン君も絶対戻ってきます。」

 

「ネージュ…ありがとう。」

 

ネージュはリアに寄り添い、リアの両手を包むように手を添える。

リアは不思議と安心感に包まれていく。

 

「…随分と甘いんですね。オセアンさんは。」

 

「言わないで下さいよ。…本当は行かせたくないんですが。」

 

「大丈夫ですよ。ジンはかなり化け物じみた身体能力の持ち主ですからね。」

 

「ふふっ、そうでしたね。…頼みますよ、ジン君。」

 

オセアンは一度、訓練生の皆に実技指導や戦術指導の為に【アズールレーン指揮官選別学校】に来たことがある。その日にオセアンは優海自身の成長の他に、別格と言えるジンの身体能力の高さに驚かされたこともあった。

 

『KAN-SEN達全員に通達。ボートに乗ったジン君がそちらに向かっています。援護を頼みます。…全力で。』

 

 

 

 

 

 

 

 

アナライズ(解析)開始…」

 

「やば!エンタープライズ姉ちゃん!ヨークタウン姉ちゃんの動きまで把握されたらこっちの打つ手が無くなる!」

 

「分かってる!しかしこれ以上攻撃する訳には…」

 

『いえ、解析が完了するまでには時間がかかる筈です!ここから先は時間との勝負…狙いをわざと外して優海君を撹乱させて下さい!』

 

オセアンの指揮を受けたKAN-SEN達はわざと狙いを外してから砲撃を行った。放たれた砲弾は檻網のようにコネクターの周りを通り過ぎ、上空には空母による艦載機の檻が出来上がった。

 

「これで少しは時間が…」

 

だが無駄だった。コネクターは無言で上空にある艦載機の一つを撃ち落とすと、爆発の連鎖で全艦載機が破壊された。艦載機の爆風がコネクターを襲ったが、ダメージが出ないギリギリの高度で艦載機の檻を作ったのでコネクターは無傷であった。

コネクターにもそれが分かっていたので迷いなくこの行動をとったのだ。

更にコネクターは砲弾の網があるにも関わらず、前には何も無いかのように歩いた。

 

「いけません!皆さん!攻撃をおやめ下さい!」

 

ベルファストの指示によりKAN-SEN達は砲撃を止め、コネクターを囲んでいた砲弾の網は消えた。

 

「く…やはり私達が攻撃しない事に気づいてる!」

 

「大丈夫よエンタープライズ。あとは任せて。」

 

ヨークタウンはそう伝えると、逃げも攻撃もせずにコネクターと同じように歩いた。

 

「何をしてるんだヨークタウン姉さん!」

 

他の目から見たら明らかにヨークタウンのやってる事は自殺行為にも程がある。コネクターとヨークタウンが一歩進む事に距離は縮まり、ヨークタウンはコネクターの射程距離圏内に入ってしまう。

 

「…理解不能な行動。しかし作戦に支障は無いと見る。…アナライズ(解析)完了。再度【エンタープライズ】のデータのコールメソッド(再呼びだし)を行う。」

 

コネクターはまたもやエンタープライズと同じ黒色の弓を手に持ち、ヨークタウンに矢を向ける。

しかしヨークタウンは武器も何も構えずにただひたすら真っ直ぐコネクターに向かって歩く。

 

「ヨークタウン姉さんっ!」

 

「大丈夫…信じて。」

 

「っ…」

 

ヨークタウンの意思は折れず、エンタープライズはヨークタウンの折れない目に圧倒されて黙ってしまう。

ヨークタウンは険しい顔つきがまるで無かったかのように優しくコネクターに笑いかけていた。

しかしコネクターは無表情のまま狙いを定めていた。

だが、射程距離に敵がいるにも関わらずコネクターは矢を離さずにいた。

 

「理解不能…なぜ撃てない…?なぜだ…?」

 

自分でも分からないエラーにコネクターは戸惑い、コネクターは自分の手を見た。矢を持つ右手が震え、狙いを定める為の左でも震えていた。それはまるで、矢を放つのを拒んているかのように。

 

「指揮官。」

 

その言葉にコネクターは反応し、ヨークタウンに顔を合わせる。

 

「"指揮官"この言葉に反応しましたね。やっぱり聞こえているんですね、指揮官。」

 

「…!ガっ…俺…ヲ…どウ…し…テ?なん…デ、タスケる?」

 

いつの間にかコネクターとヨークタウンの距離が腕を伸ばすと届く距離まで縮まっていた。

ここまで接近を許した自分に自問自答したコネクターは弓を離し、頭を抱えながら苦しみながらなぜ自分を助けるのかヨークタウンに問いた。

それは紛れもなく優海の意思であり、意志を明るみに出した優海にヨークタウンは腕を伸ばし、優海を抱きしめた。

あまりにも理解不能な行動にコネクターは動きを止めた。

 

「指揮官…貴方は確かにセイレーンです。ですが、貴方自身…天城 優海という存在はセイレーンなんかではありません。貴方は…貴方です。どんな形で生まれてこようと貴方の存在はたった一つなのですから。」

 

「………」

 

「あの子達を見てください。貴方が築いた"アズールレーン"はこんなにも優しくて暖かい物なんですよ?これは貴方が、"天城 優海"とそれを信じてきたKAN-SEN達が築いた物なんです。決してコネクターと言うセイレーンでは無く、貴方自身の功績です。指揮官。」

 

コネクターはヨークタウンの人肌の体温に包まれながらKAN-SEN達を見た。KAN-SEN達は指揮官の帰りを待つかのような目をしており、優海の心を響かせる。

だがそれでも優海は自分を認めることが出来なかった。

 

「俺…自分はセイレーン…だ!お前達…KAN-SENの敵だァァ!」

 

ヨークタウンの抱擁から抜け出す為、ヨークタウンを突き放したコネクターは、優海の意思が表に出たことにより、優海の能力が使えるようになったコネクターは、優海が使ってる大剣を実体化させ、それをヨークタウンに向けて斬り伏せる。

 

「ヨークタウン姉さんっ!!」

 

「ヨークタウン姉ちゃんっ!!」

 

エンタープライズとホーネットの叫び声は死ぬ間際のせいか全てがスローモーションに見えているヨークタウンには届かなかった。

 

(あぁ…やはり私ではダメなんですね…)

 

自分の無力さを痛感したヨークタウンはその無力さを呪うこと無く、現実を受け入れようとした。ヨークタウンは目を閉じ、自分の生の終わりを静かに受け入れようしたその時、一つの光がコネクターの大剣を貫いた。

 

「何っ!?」

 

貫かれた大剣は機能を失った事により大剣は光となって消えた。コネクターは光がきた方角に目を向かせ、敵の攻撃位置を把握しようとした。だが、その結果近づいてくるボートの接近に気が付かなかった。

 

「優海ぅぅぅぅ!!」

 

男の声にコネクターが気づいた時には遅かった。コネクターが目視できる距離にボートが接近し、そこにはジンが乗っていた。ジンは波に揺れるボートの上に立ち、自分が飛びやすいタイミングを見計らって、ボートから飛んだ。

体を捻らせ、右手の拳を力強く、指の爪がくい込むぐらいに強く握る。くい込んだ指が皮を貫き、筋肉まで達したせいで拳から滲み出る血が溢れ出る。しかしそんな事はジンには関係なかった。ただジンは、仲間を、友を救う為に全身全霊の一撃で目を覚まさせるとだけ考えていた。

 

「いい加減…目を…覚ませ馬鹿野郎ぉぉぉぉ!!

 

 

ジンの全身全霊の一撃がコネクターの頬に当たる。そのままジンは押し切るように腕を振り切り、くい込んだ指から出る血が弧を描いた。

防御も出来ずにジンの一撃を喰らったコネクターは限界に達した。

 

「戦闘…続行…不…可能……俺は…」

 

最後に自分の意識を表出した優海は薄れゆく意識の中、殴られた痛みとヨークタウンに抱かれた温かさを感じながら海に倒れ、深く目を閉じた。

KAN-SENでもないジンは海の上に浮くことも出来ずにそのまま海に落下した。やがて浮力によって海面に浮いたジンはマーレによって受けたダメージと先程の攻撃を行ったせいか、動かずにいた。

 

「し、指揮官っ!!」

 

「ジンっ!!」

 

『今すぐ優海君とジン君の救助を!!』

 

KAN-SEN達とリアの叫び声が交わり、この戦いはひとまず終わりを迎えた…

だが、KAN-SEN達は心のどこかで疑問を思っていた。

コネクターがヨークタウンに斬りかかったあの時、一体誰が攻撃したのだろうと、あれは間違いなくビームだったのでKAN-SENでは無い。となると…セイレーンの誰かと言うことになる。だがそんな事は指揮官とジンの救助によって薄れゆき、無くなっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…ぶっつけ本番だったけど何とか使えたようだな…この艤装って奴中々良いな…」

 

アズールレーンの基地から離れた所に一人の男が海の上に立っていた。その男はセイレーンの艤装を持っており、その艤装はコネクターやマーレの【シーサーペント】と同じような長い胴体を持っていた。

 

「えーと、なんて言ったけ…そうそう。【レヴィアタン】だっけ?まぁ、どうでもいいか。」

 

男は自分の艤装にお疲れ様と言って一つ優しく撫でた。

男はずっとこの戦闘を見て一つの可能性を感じていた。

 

「誰かを助けたいという思いが繋がり…新たな力が目覚める時もある…そしてそれはいずれ…世界を…」

 

男は可能性に関心しながらこの場を去る。

 

「さて…この後君はどうするのかな…十代目君、いや…天城 優海…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_某海域にて

 

「今戻ったぞ。」

 

海上にいるオロチを発見し、俺とピュリファイヤーはその甲板に着地した。そこで帰りを待っていたかのようにオブザーバーとテスター、そして加賀がいた。

俺と優海は顔が全く同じなので優海間違われる可能性を悟った俺は加賀に顔を見せないようにした。

 

「あら、おかえりなさい。あら?随分とやられたわね。」

 

「…ちっ。」

 

俺の傷を見たオブザーバーは、ニヤリと笑った。その哀れと言ってるような顔を一度でもいいから殴りたいと思ったのは初めてじゃない。

 

「これでブラックキューブは5個…だけどこのデータ量は11個分に相当する…我ながらよくもここまで集めたものだわ。」

 

「そうそう!んぁ〜疲れたなぁ!」

 

ピュリファイヤーが腕を伸ばしながら欠伸をした。

お前は対して何もやってないだろうと言うのは控えよう、戦闘終わり直後に面倒事はかけたくない。

 

「じゃあ早速始めましょう。新たなる過去の再演、或いは未来の演算を。」

 

「チックタックチックタック…またまたお目覚めだよ〜。」

 

ブラックキューブが紫の光を帯びながら、オロチに取り付くように吸い込まれていくと、オロチはその装甲を紫に光輝かせた。オロチの甲板の一部から封印から解かれたかのように光の柱が空を貫いた。その衝撃から生まれた風がまるで嵐のような風速を生み出し、そして一つの炎がどこからか出現した。その炎の中から、白の狐の仮面被った黒い狐の姿をした者が現れた。…あれは。間違いなく…

 

「姉さま…?」

 

加賀が血の繋がり等無い姉を呟くと、その狐の仮面をしたKAN-SENはその仮面を外し、加賀に微笑みかけた。

その姿は間違いなく重桜のKAN-SEN、赤城だった。

…姿だけはな。

 

「姉さま!無事だったのですね…!」

 

加賀は無事だった赤城の姿を見ると一目散に赤城に寄り添った。その姿は彼女がいつも言ってる強者の姿など無くただの甘えたがりな妹みたいな物だった。

いつも強き者だとか言ってる奴がまぁよくもそんな顔をする…

 

「えぇ。これこそが神の思し召しよ。見なさい加賀。これが私達の求めたオロチの力よ。」

 

赤城がそう言うと、オロチから弾道ミサイルのようなものが発射された。場所は…あの場所。優海が初めてあの艤装を展開した場所であり…俺の故郷でもある場所だった。

 

「…さよなら。母さん。あの場所…俺は好きだったけど…今となってはあの場所には嫌悪しかない。」

 

故郷焼き払うため、進み続けるミサイルを眺めた俺は、思い出の中で生きていた母と故郷に別れを告げた。

 

「えぇ。」

 

 

 

 

 

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