もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら〜2nd season 海上の誓い〜   作:白だし茶漬け

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この小説がランキング30位にランクインしていた事に気づいて驚きながら喜んでいる白だし茶漬けです。
いよいよオロチとの終わりが近づいてまいりました。
果たしてこの先に待ち受けるのは如何に…?


同盟と再開と愛と

何が岩礁に当たる音、爽やかな浜風、そして心地よくて柔らかい草原…五感がとても爽やかな気分になれるこの場所は…アズールレーンの基地にある丘の上の草原だ。ここで食べるご飯はさぞかし絶品だろう。

 

「ん〜いい場所だね〜そしてここは指揮官君とKAN-SEN達の大切な場所でもある…」

 

自分の親指と人差し指で指望遠鏡を作り、その作られた穴を覗く。その目に見える景色は雲一つ無い美しい青空では無く、指揮官君が見てきた景色…言わばKAN-SEN達との繋がりの記憶だ。

 

_よし!俺もゆーちゃんを探すのを手伝うよ!

 

まずはここから…このゆーちゃん探しが、指揮官君とKAN-SEN達との最初の繋がりだ。

そしてジャベリンと綾波が最初に出会った場所でもある。この出会いが、彼女達の運命を変えた…と言ってもまぁ過言では無いだろう。次に自分の目に映ったのはエンタープライズとの会話だ。

 

_人は生きていきたい理由があるんだ。

 

最もだ、人類は死にたくないなら、生きたいから生きている。だが、その理由は僕達英雄には通用しない。

 

「指揮官君…残念だけど僕達にはそんな理由では生きられないんだ…」

 

僕は芝生から立ち上がり、ズボンについている草を払う。そして地平線がその向こうには戦闘が行っている海を真っ直ぐに見る。そろそろ決着がつくことだろう…

 

「さぁ、君達はどうやって世界を救う?」

 

君たちと言うのは指揮官君とKAN-SEN達の事だ。

戦う為に生まれてきた兵器の彼女達と、人類の敵として生まれてきた者が世界を救う…だが、果たして世界は…いや、人類はそれを許すのか?人が世界を救う事を許さなかったのに、ただの兵器が世界を救う事は…果たして許せるのか?

僕は不意に昔を思い出してしまった。英雄と呼ばれたあの日を…人類のおぞましい闇を垣間見たあの日を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海は荒れ、それは青く、目の前にはオロチがいる。

戦況は最終局面に入り、そろそろオロチを討たなければこちらの戦力が保たなくなる。

マーレさんの襲撃によってKAN-SEN達の戦力は半分以上まで削られ、まともに戦えるKAN-SEN達は少なくなった。それは俺も例外では無い、マーレさんから受けた攻撃によって俺が動ける時間はたったの5分…それまでにオロチのバリアを破って、オロチを破壊しなければならない。

 

「よし…それじゃ作戦はこうだ。」

 

俺はコネクターの能力を応用し、作戦をKAN-SEN達の脳内に直接送り込むようにする。

作戦が脳内に送り込まれたのか、KAN-SEN達は片手で頭に触れていた。

 

「これが作戦?随分と無謀ね。」

 

この作戦に異を唱えるようにビスマルクが話しかけた。

ビスマルクだけでは無く、他のKAN-SEN達もこの作戦には賛成しかねない様子だった。

 

「指揮官!こんなの…貴方の負担が大きすぎる!」

 

エンタープライズが止めろと言わんばかりに俺の肩を掴んで離さない。確かにこの作戦は俺に対する負担が限りなく大きい、だが指揮官としての技量がまだまだなので、現状これしかオロチを突破する方法は無い。

 

「大丈夫だって。ちょっとセイレーンの相手をしてバリアを破壊するだけだから。」

 

俺は上空にいるテスターの軍団を指さす。テスターの数は減った筈だが、減ったと思わせられない程テスターの数は多かった。もしこのままオロチに攻撃しても必ずテスターの妨害を食らう。だからこそ俺がテスターを全滅させるのだ。

 

「だが一人では無理だ!私も一緒に…」

 

「ダメだ。KAN-SEN達がギリギリの人数の中、一人でも欠けたらバリアは破れない。」

 

エンタープライズが共にテスターを倒すと提案したがダメだ。コネクターの計算によると残っているKAN-SEN達全員が攻撃してようやくバリアの脆弱部分が生まれるという。ここで一人でも欠けたら作戦が成り立たない。

 

「…大丈夫だ。必ず戻る。」

 

折れない意志を示すように、俺はエンタープライズの手を振りほどく。エンタープライズは何も言わず、ただ俺の顔を見ていた。

 

「分かった…無茶はしないでくれ…指揮官!」

 

エンタープライズはそのまま自分の持ち場に移動し、そのまま去っていった。

 

「ご主人様…どうかご無事で!」

 

ベルファストもエンタープライズに続くように自身の持ち場に移動した。他のKAN-SEN達も何も言わずに持ち場につく。よし、これで準備は完了した。

 

_良いのか?

 

「何が?」

 

突然コネクターから声をかけられると、言葉の意味が分からずに困惑した。普段のコネクターならこんな疑問じみた事は言わないのでそれにも驚く。

 

_この作戦…貴殿が生きられる確率は…無い。作戦が終わると貴殿の艤装は限界に達し崩れる、そうなると貴殿は…

 

「待って。それ以上は言わなくていい。」

 

もし最後まで聞いて、その言葉が俺の予想通りの言葉だったとしたら、俺はきっと怖くてこの作戦を遂行できないだろう。

 

「…そろそろ時間だ。…行くよ!」

 

俺は海から飛び上がり、剣を二丁拳銃に変形させる。

高度をテスターと同じ高さにしてから主砲を全砲門開き、ミサイル砲門を全て開ける。

全ての銃口をテスターに向け、狙いを定める。

 

「ターゲット補足…マルチロック…いけぇ!」

 

拳銃のビーム、主砲の砲弾、そしてミサイルがテスター達に襲い掛かり、テスターはその弾幕の餌食を受ける。

 

「何ですって!?」

 

テスター達はその弾幕に為す術もなく飲み込まれ次々と個体が爆発に巻き込まれてしまう。

上空はテスターから爆発の光の海に変わり、次々とテスター達は光に呑み込まれていく。俺は殲滅するまで銃の引き金を引き続け、砲塔が焼き切れそうな程撃ち続ける。

 

「嘘でしょ…?あんなに上空にいたセイレーンを…」

 

「たった1人で全滅寸前にまで追い込むなんて…」

 

瑞鶴と翔鶴は1人でセイレーンを全滅まで追い込む俺の姿を見て驚愕し、俺の力を恐れてもいた。いや、本人達にはその気は無いだろうが、本能と言うのか心の奥底では俺の力に恐怖していた。…その目を見れだ嫌でも分かる。

 

「へぇー!中々やるようになったじゃん!コネクター〜!」

 

後ろから殺気を感じ、俺は後ろを振り向く。振り返った先はもうビームの光が俺に襲いかかっていた。

銃を切り替えて防御している暇はなく、俺は咄嗟にビームに向けて主砲を撃つ。実弾が光線に勝てる訳もなく、実弾は呆気なく破壊され、そのまま爆発を起こし、俺を巻き込んで俺を吹き飛ばす。

だが、これでいい。まともにビームを喰らうよりかは遥かにダメージは抑えつつ、体制を整えられる。

俺に攻撃を加えた者は、色素の薄い紫のポニーテールに自立型のシュモクザメのような艤装をしているセイレーン…ピュリファイヤーだった。

 

「いや〜危なかった!あのオロチのミサイルに巻き込また時はどうなるかと思ったよ!」

 

ピュリファイヤー服には焦げたあとが数箇所あり、どうやらギリギリの所でミサイルの爆発から逃れられたのが分かる。

 

「だから何だ。俺に心配でもして欲しいのか?」

 

俺は銃口をピュリファイヤーに向けて威嚇する。いや、威嚇などせずにこのままさっさと撃ちたい気分だ。

 

「何だよ〜お前の本当のお姉ちゃんだぞ〜?」

 

「違う!俺の家族は赤城姉さんと加賀姉さん…そして天城姉さんだけだ!」

 

「たった2、3年暮らしただけで家族?私達とは何十年も過ごしてるのに〜?」

 

「そのたった2、3年が天城優海()を創ってくれた!」

 

俺は過ごしてきた時間を否定されたように感じ、怒りで銃の引き金が壊れる程強く引き金を引き、銃口から放たれた光がピュリファイヤーを襲うが、ピュリファイヤーはいとも容易くビームを避ける。その後お返しと言わんばかりにピュリファイヤーの艤装の主砲から光が漏れ出すのを見ると俺は咄嗟に防御の体勢に入る。しかし、ピュリファイヤーの不敵な笑みを浮かべ、俺は違和感を覚える。その違和感の正体は後ろからだった。俺は後ろを振り返るとそこにはピュリファイヤーが出したであろう小型の艤装が俺に銃口を向けていた。咄嗟にそれを破壊するが、そのせいでピュリファイヤーに隙を晒すことになった。

 

「ざーんねん!これで終わりだよォ!」

 

勝利を確信したように高らかにピュリファイヤーは叫び、それを喜びながらピュリファイヤーは艤装のビームを放つ。

ダメだ避けられない。()()()()()()()この状況を突破出来ない。それを理解したその時、俺の左目が熱を持つように熱くなる。

 

「ラーニング…!プリンツ・オイゲン!」

 

俺の左手が無意識に前に腕を伸ばし、その先にシールドが形成される。シールドどビームがぶつかり合い、ビームの威力が強いのか、シールドにはヒビが少し入る。

やがてシールドは砕け散ったがビームも照射も同じように止まった。俺はその砕け散ったシールドの衝撃に負け、海に落下する。何とか着地した俺は尚上空にいるピュリファイヤーを見上げる。ピュリファイヤーは攻撃が防がれたのにも関わらず、まだ怪しい笑みを浮かべていた。

 

「ハハ…アッハッハッハッハッ!なーにが天城優海を創ってくれただ!結局お前は私達と同じセイレーン何だよ!」

 

「……」

 

否定は出来なかった。何故ならさっき使ったシールドは、コネクターの能力を使ってプリンツ・オイゲンの能力をラーニングして使ったシールドだ。俺はもう自分がセイレーンだって認めている。どんなに否定しようとも俺がセイレーンだって事に変わりはないのだから。

 

「俺は…俺は!」

 

「さよなら!コネクター!」

 

ダメだ、今度こそ避けられないし防げない。シールドは破壊されたから再生まで時間がかかるし、ここでラーニングする余裕は無い。この前の俺なら…ここで死ぬ事を喜んでいたのかもしれない。ここで死ねば皆と戦わなくてもいいし、世界の為になると。

だが、今は違う。せめてオロチを倒すまでは俺は…まだ死ねない!咄嗟に武器を銃から剣へと変形しそれを重ねるように剣を構える。迫り来るビームの熱線は剣に当たり、剣はそれを受け止める。

熱線の熱はもう感覚が失ったせいか感じられなくなった。だが、皮膚が痛み出す痛覚だけは残っていた。

生きている。ただこの痛みが俺を生きていると実感させていた。その分、俺の中で生きたいと言う想いが強くなる。

 

「まだだ…まだここで死ねない…!」

 

熱線の中を抗い続けるが、次第に意識が遠くなる。握力を感じる感覚はもう無いが、剣の柄を掴んでる手の力が弱まるのを感じた。左手足の膝が海につきもう限界に近づいたその時だった。後ろから砲撃の音がした。

まだ俺は合図を出していない。誰だ?熱線が視線を遮っているから確認が出来ない。分かるのは砲弾がこちらに近づく音がするだけだ。やがて音は大きくなり砲弾が当たった爆発とピュリファイヤーの悲鳴が聞こえた。

 

「グハッ!クソっ!誰だ!?」

 

「余の友を傷つける奴はこの長門が許さん!」

 

「長門…!?」

 

自分を長門と呼ぶその声は間違うはずがない。俺は後ろを振り返る。巫女のような服装に威厳を感じる巨大な艤装…そしてそれを背負う獣耳の少女…間違いない長門だった。しかし、その場にいたのは長門だけでは無かった。

 

「あまりにも不甲斐ないから来てやったわよ下僕!」

 

「エリザベス!?」

 

エリザベスだけじゃない。この場にいなかった重桜のKAN-SEN達やロイヤルのKAN-SEN…ユニオンや鉄血のKAN-SEN達までいた。

 

「下僕に朗報よ!アズールレーンとレッドアクシズは正式に同盟を結ぶ事になったわ!」

 

「同盟!?…て事はエリザベス!お前…受け入れてくれたのか!」

 

俺が同盟の事を言ったのは事実であり、レッドアクシズ側はそれを認め、ユニオンはリーダーと言えるべきKAN-SENがいないが、ヨークタウンがそれに最も近いため、これを話した所、ヨークタウンは快く了承してくれた。

だが、エリザベスだけは納得がしておらず、同盟の件は保留となっていた。しかし、そのエリザベスが同盟を認め、今ここに手を取り合ったKAN-SEN達がここに集結していた。

 

「何だこれ…戦いすぎて幻覚でも見てるのかな…」

 

あまりにも有り得ない光景に俺はとうとう幻覚でも見たかと目を擦り続ける。しかしどう擦っても確かにKAN-SEN達はそこにいた。

「幻覚な訳あるかこの馬鹿者。」

 

「え?」

 

急に前からのチョップを受けた俺はそのままふらつき、誰が攻撃したのか確認する為前を向く。そのKAN-SENは

和服を来ていたので重桜のKAN-SENだ。

青の前と後ろだけの腰だれに白い和服…そして灰色の神に蒼い狐のお面を頭に乗せていた。間違いない。間違えるはずかない。

 

「…土佐姉さん?」

 

加賀型戦艦2番艦土佐。加賀姉さんとは妹の存在であり、俺も小さい頃少しだけだが一緒に過ごした事がある。幼い俺は、加賀姉さんの妹なら俺の姉さんだと言う謎理論の結果、土佐さんを土佐姉さんと呼んでいる。

…今になって本当に謎理論だな。俺は変わった左目の事を隠す為に髪で左目を隠した。

 

「土佐だと…!?」

 

土佐という名前に反応した加賀姉さんは持ち場を離れて俺の所に戻ってきた。加賀姉さんは土佐姉さんを顔を見る度、気まずく顔を背けた。無理もない。加賀姉さんはオロチを起動させた張本人見たいな人だ。今更不甲斐なさを感じてる加賀姉さんはその妹である土佐姉さんに情けない姿を見られるのは耐えられることではな無いだろう。

 

「…お久しぶりですね。姉上。」

 

「土佐か…久しぶりだな…」

 

久しぶりに会うというのになんとも気まずい雰囲気が溢れ出るこの空気を何とかしようと声をかけようとしたが、俺は何も言えなかった。それを見かねた土佐姉さんは今度は俺の方に顔を向けた。

 

「優海、お前も久しぶりだな。…背丈、伸びたな。」

 

「え?あ、ありがとうございます…土佐…さん。」

 

昔は土佐姉さんの方が身長が高かったが、今では俺の方が少し高い程度だ。改めて比べると本当に昔から良く成長したなと自分でも思う。

 

「どうした、さっきみたいに土佐姉さんとは呼ばないのか?」

 

「へ?」

 

もしかして…呼ばれたいのか?昔はお姉ちゃんと呼ぶとそっぽを向いてしまう事が多かった為、嫌だったのかと考えていたが…俺は訳が分からず、頭を混乱させた。

 

「…優海。土佐は姉と呼ばれて照れていたぞ。…それはもう夜も眠れるほどな。」

 

「あ、姉上!その事は内緒にと…!」

 

土佐姉さんは頬を赤らめせながら慌てて加賀姉さんの口を両手で塞いだ。

見た事ない土佐姉さんの表示に俺はつい笑ってしまう。

 

「笑うな!全く…」

 

土佐姉さんはやがて諦めたかのようにため息をはき、オロチの事を見ていた。

 

「…大体の事はあのロイヤルの女王から聞いたが…どういう事だ?何故天城さんがいる?」

 

「土佐姉さん、あれはオロチだ。決して天城姉さんでは無い。赤城姉さんはオロチに操られているから、皆で目を覚まさせるんだ。」

 

「…大方お前の目を見れば分かる。お前のその左目の事もな…」

 

俺は左目を隠すようにしたが、土佐姉さんの前ではそれは無意味のようだ。俺は気にしながらそっと目を隠していた髪を書き上げて左目を見せた。

土佐姉さんは俺の左目をまじまじと見つめていた。

 

「…やはりセイレーンのような目だな。」

 

「あの…土佐姉さん…俺…」

 

「関係ない。どんなに変わり果てようとも優海は優海だ。…私達の家族だろう?」

そう言って土佐姉さんは俺の頭を撫でた。…そう言えば、昔一度だけこうやって土佐姉さんに頭を撫でられた事がある。あれは…そうだ。土佐姉さんと別れたあの日だ。

 

 

 

 

 

_いーやーだーぁぁ!

 

_ああもう泣くな!仕方ないだろ!土佐は任務なんだ!

 

そうだ、確か土佐姉さんと別れる日あの日、俺は別れるのが嫌で俺は泣き続けていた。それをあやす様に加賀姉さんは何度も俺に言い聞かせていた。だが俺は泣き止まなかった。

 

_ですが確かに寂しくなりますね…

 

天城姉さんも本気で寂しそうに悲しい笑顔を見せ、それを見た土佐姉さんは申し訳なさそうにしていた。

 

_すまない天城さん…

 

_別に貴方が謝ることじゃないでしょう?

 

_…天城さんの腰巾着もたまには言うものだな。

 

_ソウジされたいのかしら?

 

また赤城姉さんと土佐姉さんの喧嘩が始まりそうになったが、今日この日は喧嘩が始まる雰囲気では無かった。なんだかんだ言って二人とも別れを惜しんでいるのだ。

 

_そろそろ行かないとな…その前に…

 

土佐姉さんは今でも泣いてる俺の前に達、膝を着いて俺の顔に近づく。そして、俺の頭を優しく叩き、安心するような手つきで撫でてくれた。

 

_大丈夫だ。また会える。

 

俺はその言葉にどれだけの安心感を得たのだろう。水をくれた植物の気持ちがわかったような気がした。

俺はその言葉で泣きやんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…そうですね。ありがとうございます。」

 

「やはり成長したな。…姉上、私も戦います。」

 

「それは有難いが…この騒動を引き落としたのは私だ…最早お前の目と向き合う事は…」

 

加賀姉さんはかなりの責任を感じており、土佐姉さんと目を合わせずにいた。別に、これは加賀姉さんのせいでも責任でも無い。悪いのは赤城姉さん達の弱い心につけ込んだセイレーン…正確にはオブサーバーのせいだ。

俺はそう思っている。

 

「…加賀姉さん。責任を取るって言うのならまずはオロチを止めましょう。ほら、折角会えたんですからもっと喜びましょうよ!」

 

俺は加賀姉さんの手と土佐姉さんの手を掴み、そのまま手を繋がせた。

ようやく加賀姉さんは土佐姉さんの目を見ると、思う所はあるだろうが、やはり再開が嬉しいのか加賀姉さんの表情が少し柔らかくなった。

 

「土佐…天城さんと姉様を助けるのに…協力してくれ。」

 

「任せてください。」

 

加賀姉さんは顔を上げ、オロチの甲板にいる天城姉さんと赤城姉さんを見上げた。

二人は尚も俺たちの事を見下げ、余裕の笑みをこぼしていた。

 

「よし!後から来たKAN-SEN達も全員俺の指揮下に入ってくれ!全KAN-SEN、オロチに向けて全力で攻撃してくれ!」

 

「「了解!」」

 

KAN-SEN達はオロチに向けて進撃し、己の主砲を撃つ。

 

「よし、コネクター。今オロチのバリアが最も脆い部分は!?」

 

_解析…オロチ艦首前方部分に脆弱性を検知。

 

「ありがとう!」

 

コネクターの解析により、オロチの艦首武器まで海を駆け抜けた俺は途中KAN-SEN達の言葉を聞く。

 

「指揮官!頑張ってください!」

 

最初に聞こえたのはジャベリンの声だ。返事は出来ないが、俺はジャベリンに頷く事は出来た。俺の頷気を見たジャベリンは安心したように笑顔になり、そのままオロチの攻撃を続けた。

 

「指揮官。頑張って。」

 

今度はラフィーだ。いつもは眠そうな声なのに、今は本気モードなのかはっきりとした声で俺にエールを送った。

 

「負けないでね!お兄ちゃん!」

 

「指揮官様に聖なる光導きを!」

 

今度は一人ではなく、一緒にいたイラストリアスとユニコーンの声が聞こえた。ユニコーンが珍しく大きい声を出したことに驚きはしたが、自信がついたようで嬉しくも思った。

 

「指揮官…頑張るのです!」

 

「赤城先輩の目を覚まさせてやって!」

 

「どうかお願いしますね!」

 

今度は綾波、瑞鶴、翔鶴の3人の声が聞こえた。

言われなくても…絶対に目を覚ましてやるよ!

オロチの後方から駆け抜け、ようやく半分まで駆け抜けた俺は、今も尚KAN-SEN達のエールに後押しされる。

それはあの鉄血からもエールを送られた。

 

「きちんとお願いしますよ!指揮官!」

 

あれは…Z23だったな。説得にきちんとやるやり方があるのかは分からないが、俺は俺の全力をもって赤城姉さんの目を覚まさせるつもりだ。

 

「頼んだわよ?指揮官?あと、私の能力…使ってくれて嬉しかったわ…うふふ…」

 

あとは全て俺に任せるような言い方と本当に嬉しいのか分からないような笑みをこぼしたプリンツ・オイゲンはそのまま俺を見送った。…確かに勝手に能力を使った事は後で謝ることにしよう。

 

「あとは任せるわ。」

 

冷徹に淡々とそう言ったのは鉄血のビスマルクだった。

何だかんだで俺の指揮に従ってくれたお礼にと俺は親指を立てた。それを見たビスマルクは何故か驚いたような顔をしながら俺を見送った。

 

「…ただ指揮に従ってただけなのにお礼?…分からないわね。」

 

最後ビスマルクは何か言ったようだが、もうビスマルクの姿が点に見えるほど遠かったのでよく聞こえなかった。

 

「指揮官!…またサンドイッチを一緒に食べよう。」

 

「っ!エンタープライズ…」

 

エンタープライズが言ったことは俺が基地に配属されて間もない頃、俺とエンタープライズ、ヴェスタルとホーネットと一緒にサンドイッチを食べたあの日の事だ。

一緒には食べたが、エンタープライズは会話にも入りもせず、サンドイッチも一つしか食べいなかった。

エンタープライズは今度は楽しく一緒に食べようと…必ず帰ってこいと言ってるのだ。

 

「…分かった。約束する。」

 

ようやくオロチの艦首に近づいた俺はそのまま空高く飛ぶ。オロチ…その名の通り、艦首には蛇のような目があり、俺はそれと睨み合うように前に楯突く。

俺はレールガンを構え、オロチに向けて銃口を向ける。

最大威力をお見舞いする為、エネルギーをチャージする。

 

_残り戦闘時間2分。

 

「……チャージ完了。貫けぇぇぇ!!」

 

巨大な発射音と共に、レールから打ち出された実弾は空気を貫き、オロチのバリアに衝突する。弾丸の勢いは衰えず、突破不可能だと思われたオロチのバリアを紙のように容易に貫き、そのままオロチの艦全体まで貫く。

機体を貫かれたオロチは苦しそうに唸り声を上げ、オロチの側面の赤いラインが消えた。

 

「よし!突入する!」

 

バリアが再生するかもしれないと踏んだ俺は、急いでオロチの甲板に着地する。そしてそのまま赤城姉さんがいる中央部分まで走る。1歩ずつ赤城姉さんに近づいていく度、頭の中で過ごしてきた思い出が蘇る。

 

_はい、今日は貴方が来て1年よ。だからこれはそのお祝いよ。

 

_遊ぶのは良いけど早く帰ってくるのよ?

 

_優海。…愛してるわ…

 

「迎えに来ましたよ!赤城姉さん!!」

 

「…あぁ、ようやく来てくれたわね優海…」

 

虚ろな目で笑いながら俺を待っていた赤城姉さんの前に天城姉さんの姿をしたオロチが赤城姉さんの前に立つ。

 

「来たわね優海。」

 

「返して貰うぞ…赤城姉さんを…俺の姉さんを!」

 

戦いはついに…終わりを迎えようとしていた。

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