もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら〜2nd season 海上の誓い〜   作:白だし茶漬け

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どうも白だし茶漬けです。
この小説を書いて半年以上、遂にここまで来ました。
後書きにてちょいと重大な発表があるので是非最後までよろしくお願いします。


決着と英雄の帰還

海の上で炎が生まれた。その炎は海の水で消えること無く存在し続け、やがて風と共に消えると、炎の中から一人の男が出てきた。紺色の着物に赤い羽織、そして左手には和傘を持っていたその男の姿に重桜のほとんどのKAN-SENが唖然としていた。まるで、男は逝った天城の魂が乗り移ったように彼の姿は変わっていた。

 

「まぁ…これは素晴らしいわ。」

 

オロチの甲板の陰からその光景を見たオブザーバーは昂る高揚感と好奇心を身体中が暴れるのを感じ、それを抑えていた。

 

「貴方は素晴らしいわ…貴方は本当に新たな可能性よ…コネクター。」

 

自分が生みだしたものをこれ程愛おしく思ったのは初めてのオブザーバーは、コネクターの中にある新たな可能性を感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

まるで天城姉さんの魂が俺の中に入ったような感じだった。服も髪色も艤装も何もかもが天城姉さんと似ているので思わず自分の姿を見回した。さすがに服装は男性用の着物であり、髪の長さも普段と同じだ。頭を触っていると、何だが頭の上に突起物のようなものが生えているのが分かった。突起物に触れると身体中に触れられたような感覚が走り、咄嗟に手を離した。ふわふわで毛のような感触からしてこれは…耳?え、待って待って俺は頭に耳が生えてるの?自分の顔を見る為に俺は鏡を探そうとしたが、そんなものあるわけが無い。人生でこれ程鏡が欲しいと思ったことなんて初めてだ。

 

「…天城姉様?いいえ違う…貴方…優海…よね?」

 

赤城姉さんの戸惑った声を聞き、俺は赤城姉さんに振り向く。赤城姉さんは更に戸惑いを生み出し、隣にいたエンタープライズも同様の反応だった。

 

「し…指揮官?その姿は一体…?」

 

「…俺もよく分からないけど、天城姉さんが力を貸してくれた。そう思うよ、俺は。」

 

恐らくだがセイレーンのコネクターとしての力の発展型…咄嗟に出てきた言葉を借りると…共鳴(リンク)と呼んだ。コネクターは相手の能力を分析する解析(アナライズ)とKAN-SEN達の能力を使う学習(ラーニング)…そして他者を強化させる強化(ギフト)が存在する。

今使ったのはそのどれでもない全く新しい能力…これなら活路を見いだせるかもしれない…!

 

「いや〜凄いよ!まさか私がやられるなんてね!」

 

高らかに叫ぶ声…ピュリファイヤーの声が聞こえ、俺たちは咄嗟に戦闘態勢に切り替える。しかし、ピュリファイヤーは先程俺が倒したはずだ。もう一度トドメをさすべく、奴を探すがピュリファイヤーの姿形が見えなかった。

 

「ここだよ!こーこ!」

 

ピュリファイヤーの声は…下から聞こえてきた。俺は海面を目を凝らして見ると、何かが浮いているような物体があった。俺は注意深くそれに近づくとそこには、ピュリファイヤーの生首が浮かんでいた。

 

「いや〜参った参った!」

 

「お前…!どうして!?」

 

体が無く、頭だけで喋っているピュリファイヤーを見て俺は不気味に感じピュリファイヤーの頭から離れる。

そんな反応した俺を嘲笑うかのようにピュリファイヤーは口を三日月のように口角を上げて笑った。

 

「私達は本体がいるんだよ〜その本体がある限り私達は倒せないよ!あ、でもあんたは違うよ?あんたの体はそれ一つ。ひとつしかない命、大切にしろよ?」

 

「ご忠告感謝するよ…」

 

空中にいた無数のテスターで何となく察していたが、どうやらセイレーンはその本体を倒さない限り、無数に増殖するらしい。

だが俺にはそれが無く、俺の命は1つしかないらしい。

それが本当なら恐らくマーレさんも同じように残機など無いのだろう。

 

「でもいいのかな〜?その力ってコネクターの力だろ?つまりあんたは今セイレーン寄りの存在…意味分かるよね?」

 

「…!指揮官!今すぐその力を…」

 

「遅いよ!おいコネクター!命令だ…KAN-SEN達を潰せ!」

 

エンタープライズの静止は遅く、ピュリファイヤーは俺に向けて命令をした。確かにこの力はコネクターの物だろう。つまり、俺はセイレーンよりの存在になり、彼女たちの管制下になる。いわば命令されたら実行する機械その物の様な感じだ。

 

「指揮官!」

 

エンタープライズの叫び声が聞こえる。その叫び声からは俺と戦いたくないと言う気持ちがひしひしと伝わってくる。前の俺だったらまたKAN-SEN達と戦っていただろう。でも…今の俺は1人じゃない。

 

_そうよ。今は…私がいます。

 

俺は主砲を…生首状態のピュリファイヤーに向けた。

 

「な…!?どうして!?」

 

ピュリファイヤーの焦っている顔がまじかに見られ、少しの達成感か優越感で笑ってしまう。

 

「残念だったな。今の俺の中には天城姉さんの想いがある。お前らなんかに踏み込めるはずが無いんだよ!」

 

この共鳴(リンク)はコネクターの力だが、それだけじゃない。KAN-SEN達と繋がり、その想いさえも繋ぐ事が出来る。言わばコネクターとKAN-SENの力であり、決してコネクターの力ではない。完全なセイレーン寄りの存在では無い俺の意思は操られることなく、もうみんなの敵になることは無い。

ゼロ距離射撃の砲撃が水面にあたり、巨大な水柱を作り上げる。打ち上げられた海水が重力に従って落ちていき雨のやうに変わる。雨で服を濡らさないように俺は和傘をさして海面に目をやる。

 

「…逃したな。」

 

直前で海面に潜ったのか、ワープしたのかは分からないが、手応えが感じられないので仕留めてはいないのは確かだった。だがもうピュリファイヤーはこの戦闘に介入出来ないはずなので脅威は取り除いたと言ってもいいだろう。

打ち上げられた海水が全て海に戻り、小さな雨が止んだ。

 

「優海!大丈夫!?どこか怪我はしてない!?」

 

赤城姉さんが俺に駆け寄り、傷が無いかと俺の顔を両手で挟み、まじまじと俺の顔を見た。小さな傷さえも見逃さないような目で俺の顔を何度も何度も顔を見られると流石に恥ずかしいので俺は赤城姉さんから顔を離した。

 

「大丈夫だって!もう、昔から小さな傷が入ったら凄く心配するその過保護な所は変わってないよね。」

 

「当然よ。貴方に害をなすものは…ソウジしなきゃ…」

 

赤城姉さんがまた不穏なオーラを滲ませながら不気味に笑っていた。これ以上刺激するとどうなるか分からないので俺は少しずつ赤城姉さんとの距離を離した。

 

「優海!大丈夫か!?」

 

「加賀姉さん?」

 

加賀姉さんに続き土佐姉さんもさっきの戦いを見て駆けつけた。すると、俺の姿を見て目を見開く。

 

「あ…天城さん?いや…違う…優海…なのか?」

 

「うん。まぁ、驚くよね。」

 

しかし加賀姉さんもそんな顔するのか、俺は初めて見た顔を見れた新鮮さと、ジロジロ見られている気恥しさで頬を掻きながら小さく笑う。

 

「まるで天城さんがお前に乗り移ったようだな…」

 

土佐姉さんのその認識はあながち間違ってないだろう。俺も、夢か現実なのか分からない場所で天城姉さんと会ったら、いつの間にかこんな姿になっていたのだ。

まるで本当に乗り移ったように…だが、不思議と寒気はしない。寧ろ守られている温かさが俺の心を満たしていた。

 

_今回は私も一緒よ…

 

「うん…わかってる。」

 

安心する声が心で聞こえ、俺はそのまま戦況を確認する。

オロチは更に進化を遂げ、長期戦は間違いなくこちらの敗北に繋がる。その為にはあの強固なバリアを打ち砕く必要がある。そして今、KAN-SEN達が全方位にバリアを攻撃し、許容量を越えさせてバリアを弱めようとしてるがまだ足りない。だが残りのKAN-SEN達は居ない。

…どうする。その時、別方向からのビームがオロチのバリアを攻撃した。

 

「あれは…セイレーンの!?誰がどこに!?」

 

「まさか…マーレか!?」

 

エンタープライズは周囲を警戒しても、そこにはマーレさんがおらず、ビームは遥か彼方からまたもオロチに襲いかかる。

 

「…あら?誰なのかしら…この反応はマーレだけど…違うわね…」

 

オロチの甲板にいたオブサーバーもまた、このビームが誰を撃っているのか気がかりでもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これくらいの手伝いは良いだろ?10代目君?」

 

言い訳するように呟きながら僕は艤装の砲を構える。出来る限り僕は戦闘に介入するなと言われたけど…流石にKAN-SEN達がキツそうなので僕も少しの援護をした。

艤装の銃口を構え、KAN-SEN達が当ててない箇所をピンポイントに当てるのは相当難しい。

 

「えーと…ここかな?」

 

目を瞑り、海を通してKAN-SEN達の場所、オロチの場所を把握しながら、狙いが狂わないように正確に狙い撃つ。ビームの反動が体に伝わった後、光はそのまま一直線にオロチに襲いかかる。今度も当てたはしたが、誤差がまだまだある。

 

「ん〜目を瞑りながら撃つのが何ともなぁ…」

 

この体に生き返った後、僕は海を通して色んな事が見えるようになった。場所や戦況は勿論、海の上にいる人なら少しの記憶が見える。まぁ、これはほとんど見れないんだけど…

 

「さて、指揮官君の為にもうちょい頑張ろうか、リヴァイアサン。」

 

機械である艤装にこんな風に応援しても、何も変わらない事だが、これは気持ちの問題だ。僕は艤装を構え、オロチに狙い撃つ。

 

 

 

 

 

「一体誰なんだ!?」

 

エンタープライズが謎のビームを撃つ者を警戒していたが、一度もKAN-SEN達には当ててない。少なくとも敵では無さそうだ。

 

「いや、でもこれはチャンスだ。このまま一気に攻めるよ!加賀姉さん!土佐姉さん!」

 

「よし…行くぞ土佐!」

 

加賀姉さんは式神に力を込めて白い獣を呼び出し、土佐姉さんは自身に力を込め、背後に巨大な獣の化身を呼び出した。

二匹の獣が獲物を全力で仕留めるようにオロチに向かって蒼い炎を全身全霊で撃ち続けた。オロチが苦し紛れの咆哮を唸らせ、負けじと迎撃を開始した。オロチから放たれる砲撃が獣達の体を貫くが、獣は負けじとオロチのバリアを食いちぎるように炎の弾を放ち続けていた。

しかし、あの獣はあくまでも加賀姉さん達の艤装だ。

フィードバックのダメージのせいか、加賀姉さんと土佐姉さんは自分がダメージを負ってるように苦しんだ。

 

「ぐっ…早くしろ!長くは…保てない!」

 

もうチャンスは今しかない。これを逃せばもうオロチを沈める事は出来ないと俺の直感が怒鳴っていた。

 

「エンタープライズ!赤城姉さん!俺と一緒に!」

 

エンタープライズと赤城姉さんを連れて、一番脆くなっているオロチの艦首方面に飛び立とうとしたその時、俺の体が崩れ去るような激痛が走り、俺は膝を着く。

 

「指揮官!」

 

「いいから行け!赤城姉さんも!」

 

エンタープライズは俺を助ける気持ちを押さえ込み、上空を飛んでオロチの艦首方向に弓を向ける。

限界まで弓を引き、弦が引きちぎれるようだった。弓が青い稲妻を走り、火花を散らしていた。

エンタープライズの目が黄色く光り、それは暴走したエンタープライズと同じだったが、暴走する気配は見られなかった。

 

「終わりだ…オロチっ!!」

 

矢の弦を手から離し、弓から黄色の矢が放たれる。

矢は青い鳥へと変わり、オロチに向かって飛び立つ。

鳥はバリアに衝突し、突き破るが如く進み続けようとした。しかし、バリアは一向に破る気配が無く、衝突した衝撃で赤と青の稲妻がこの海域を走っていた。

 

「ぐっ…まだだ…まだ!」

 

「全く…だらしないわね!」

 

赤城姉さんが式神を鳥へとに向かって放つと、鳥は式神を取り込み、青い鳥は炎を纏い、赤い不死鳥へと変わる。

 

「赤城…!」

 

「貴方の為なんかじゃないわ!あくまでも優海の為よ…!」

 

「…ふっ、分かってるさ。」

 

エンタープライズは小さく笑い、鳥が消えないように力を込めていた。しかしバリアは破ること無く、オロチは唸り声を上げながら耐えていた。

 

「無駄よ、オロチは更に強くなりその程度では沈まないわ。」

 

オブザーバーは抗うKAN-SEN達を嘲笑った。そんなオブザーバーを見た俺は抵抗心を燃やし、折れた膝を立ち上がらせる。

 

「いや…まだだ!」

 

折れた剣の柄を強く握り、対抗心の炎が剣へと移るように、折れた剣は炎を纏い炎の槍へと変わる。いや、対抗心の炎では無い。これは、俺の中にあった天城姉さんの力だ。現に、俺の姿は元の指揮官服に戻っていた。

 

「もう少しだけ力を貸してくれ…天城姉さん!」

 

膝を力強く足を海に踏んばり、槍を構える。炎がもえさかるが、熱さは感じない。俺の感覚がもう無くなったのもあるかもしれないが、それよりも優しさが伝わっていた。多分、俺の感覚が残っていてもきっと熱さは感じなかっただろう。

 

「これで…終わりだぁぁぁ!!」

 

腕を大きく振りかぶり、炎の槍を不死鳥が攻撃している所と同じ所に投げる。

すると、バリアに亀裂が走り砕けた。

砕けたバリアの破片は宙を舞って消えていき、不死鳥はそのままオロチの艦首へと突撃し、内部に入った。

食われたかと思われたが、鳥はオロチの内部を貫通し、そのままオロチの後部から姿を表せ、それへと飛びだった。

 

「想定外の変数…この演算結果は受け入れられない…」

 

「あんまり人類を…KAN-SEN達を侮るなよ…!」

 

オロチは想定外の事実を受け入れられず、焦り顔を浮かべていた。その隙に俺はオロチの甲板に乗り込み、オロチに銃を向ける。折れた剣から変形させた物だからか、本来二丁拳銃の銃がひとつしか無く、ボロボロになっていた。恐らく一発しか撃てないが充分だった。

 

「…撃つ必要は無い。我はもうじき消える。」

 

オロチの艦は爆発し、艦にあった赤いラインは力尽きるように消えていった。甲板は爆発により炎の海へと変わり、炎の檻が俺とオロチを囲んでいた。

 

「貴方に撃てるかしら?この天城を…」

 

「お前だったら撃てるさ。」

 

姿が天城姉さんでも相手がオロチなら撃てる…撃たねばならない。だが…どうしても引き金を引くことは出来なかった。天城姉さんを象ったオロチを撃てないのではなく、俺はオロチ自身を撃ちたくはなかった。

 

「…いや、撃たなくても良い。我はもうじき沈む。…貴方が苦しむ必要は無い。」

 

「オロチ…」

 

オロチの体が足から光が漏れ始め、消え始めていた。

 

「…貴方といた時間は中々に楽しめた。」

 

そう、オロチの本体である黒いメンタルキューブ、【ブラックキューブ】は俺の中にも入っており、俺は実質、オロチと一緒に過ごしてきたと言っても過言では無かった。

 

「貴方と過ごし…人の事を見てきた。力ある者に媚び、力ある者に縋り、力ある者に委ねる…だから我はこれを…圧倒的な力を持った。そうこれこそが、人の総意!人は力ある者に委ねることで自身を楽をさせ、他人に責任を擦り付ける生き物だ!」

 

「違う…人はそんな人ばかりじゃない!」

 

「いや…貴方はその洗礼を受けたはずよ?英雄の家系だからと責任を擦り付けられ、嫉妬で無益な負の念をぶつけられ、貴方から離れた。」

 

俺は確かにその時…【アズールレーン指揮官選別学校】時代の頃の思い出は正直いって良い思い出が少ない。だけど…あの時があったからこそ今の俺がいることは確かだった。全てを否定しようとしているオロチに俺は真っ直ぐ目を向ける。

 

「でも、そんな俺でも近づいて…仲間に…いや、友達になってくれた人がいる。人は決して…お前が思ってるような人達だけじゃ無い。」

 

「…だがそれは極わずかな存在。絶滅危惧種のような存在…」

 

「だったら俺が示してみせる。人の素晴らしさを…可能性を…!」

 

オロチはハッとしたような表示で俺を見た。あのオロチがそんな風に驚くとは思わず、こちらも少し驚く。

最早オロチから敵意が感じられず、俺は銃を下ろす。

 

「貴方なら…本当に…」

 

オロチは笑って俺を見た。姿こそ天城姉さんだが、その顔はオロチの本心の顔にも思えてきた。オロチの体が遂に体まで消えかかり、笑顔で消えようとした。

 

「悪いがそんな時は来ない。人が…変わらない限り。」

 

オロチの背後から声がしたその時、オロチの体は剣で貫かれた。

 

「がハッ…!?ゆ…優海…」

 

「…っ!?オロチ!」

 

オロチの流れ出る赤い血が剣へと伝わり、オロチは吐血した。やがて剣が体から抜けられ、オロチは甲板へと倒れ、オロチを刺した人物が俺の目に移る。その姿は銀髪で乱れており俺と黒くボロボロの服を纏っていたその姿は…俺と同じ顔をしていた人物…

 

「マーレ…さん!?」

 

「まるで死人を見てるような顔だな。まぁ…もう死んでるだかな。」

 

マーレさんは確か、エンタープライズによって倒された筈だ。それなのに…どうして生きているんだ!?

俺はマーレさんに銃口を向けて、いつでも撃てるように指を引き金にかけた。

 

「どうして…どうして!?」

 

「その意味が俺がどうして生きていると言う意味であれば、それはこれのおかげだ。」

 

マーレさんは服から一つのボロボロの金色のペンダントを取り出した。あれは…ネージュさんのペンダントか?

 

「これのおかげで、何とか致命傷をずらす事が出来た。まぁ…たまたまだがな。」

 

マーレさんはペンダントを大事に服の中にしまい、俺に剣を向けた。

そして、俺にはあともうひとつの疑問が残っている。それはオロチの事だ。俺は甲板に倒れ込んだオロチはそのまま光と共に消えていった。

 

「そして…どうしてオロチを殺ったのかだな?それはこういう事だ。」

 

マーレさんはオロチの甲板に剣を刺した。その後、オロチの内部から赤い光が漏れだした。衝撃波の風圧が発生し、そのせいで周りの炎が消え、俺はそのまま吹き飛ばされそうになるが、足を踏ん張って堪える。

そして、中央からブラックキューブが11個も現れた。

 

「さぁ、オロチ…!お前の力を貰うぞ…!」

 

次々とブラックキューブがマーレさんの体内に取り込まれ、マーレさんは苦しそうにもがき苦しんでいた。

そして、最後のブラックキューブを取り込もうとマーレさんが手を伸ばしたその時、ブラックキューブが意志を持ったように俺の所に飛び込み、俺の体内に取り込まれた。

 

「グハッ!?」

 

「ちっ…一つはそっちに行ったか。まぁ、お前もブラックキューブを持っていたからな…その影響か。」

 

マーレさんが何か言ってるような気がしたが、ブラックキューブを取り込んだせいか、俺は激痛と気分の悪さに襲われていた。頭痛が激しく、景色も歪み、手足も謎の痺れが走る。

苦しみに耐えて、俺は立ち上がり歪む視界の中俺は銃を向ける。だが当てる気が一切しない。今このまま撃っても避けられるだけだ。

 

「指揮官!」

 

「優海!」

 

甲板の異常を見たエンタープライズと赤城姉さんがオロチの甲板に降り立ち、マーレさんに向けて武器と式神を構えた。

 

「マーレ…生きていたのか…」

 

「あぁ…何とかな。」

 

エンタープライズとマーレさんの間に不穏な空気が流れ、緊迫した空気が張り詰め、呼吸をする事さえ忘れる程だった。

 

「…あの男、優海に似てるわね。」

 

「違うな、そいつが俺に似ているんだ。そいつは俺を基に作られた…セイレーンだからな。」

 

「どういう事かしら…?」

 

「詳しくはそいつに聞け。俺はやる事をやったからな。」

 

「逃がすと思うか…?」

 

エンタープライズは目を細め、マーレさんを睨みながら矢を放った。マーレさんはいとも容易くそれを剣で弾いて防いだ。赤城姉さんの式神もなんの障害も無く斬り裂いた。

 

「満身創痍のお前らが俺に勝てると思うのか?」

 

確かにKAN-SEN達はもうボロボロだ。ここでマーレさんに挑んでも勝てる見込みは無かった。

 

「そして、俺は一人ではない。」

 

「何…!?」

 

すると、上空から何かが降りてくる気配がした。それはオロチの甲板に降り、その姿を現した。その紙は海色のように青く、白い貴族服を綺麗に着こなしていた。

 

「ん〜!満を持して僕の登場かな?」

 

フランクに俺たちに手を振った男は敵とは思えなかったが、その男からにじみ出る圧倒的な雰囲気が俺の細胞を震え上がらせた。エンタープライズも赤城姉さんもその圧に怯えるように震えていた。

 

「あの男…ビスマルク。」

 

「えぇ。私たちと会った男と同一人物ね。」

 

「あ、覚えててくれたんだ。」

 

「貴方のような男…嫌でも思い出すわよ。」

 

どうやらビスマルク達、鉄血のKAN-SEN達は面識があるそうだが、それよりもロイヤルのKAN-SEN達の様子が可笑しい。

何だが落ち着きが無い様子だった。

 

「陛下…あの人は…まさか」

 

「嘘よ…だってあの人ははるか昔に亡くなったはずよ!」

 

ロイヤルのKAN-SEN達がざわめき…まるで亡霊を見ているように男を見ていた。

 

「はぁ…まさか貴方がそんな性格とは思わなかったですよ。」

 

「あはは、10代目君は少し怖いと思うよ?反抗期?」

 

「…ちょっと黙っててくれませんか?」

 

マーレさんを10代目君と言う彼の言動は本気で気を緩ませてしまう。そして、彼は黙れと言われたのがショックなのか、そのままマーレさんから少し離れて素直に黙ってしまった。

 

「貴方は一体誰なんだ!?」

 

エンタープライズが男の正体を聞き出そうとしたが、当の本人は口を抑えて話さないようにしていた。どうやら、マーレさんの「黙ってくれ」を本気で間に受けているらしい。

 

「…喋っていいですよ。」

 

「あ、そう…?じゃあ遠慮なく…ええと、そうだな…」

 

男は前に立ち、一つ咳払いをすると、雰囲気が変わったかのように目付きが変わった。

 

「僕は…三代目テネリタス当主、アトラト・テネリタス。以後よろしく。」

 

「アトラト…!?」

 

アトラト・テネリタス…それは、ロイヤルの英雄の家系であるテネリタスの伝説を作った人だ。

弱気を助け、悪を穿つその姿を見たロイヤルの民衆たちは、彼を英雄と呼び、彼の騎士道は受け継がれ、英雄の伝説を作った。だが、アトラト・テネリタスはもう何年の前に死んだ人だ。なんで…今ここに?

 

「10代目君と同じさ。僕も…セイレーンではないけど…それに近い者さ。」

 

「どういう事だ。」

 

「まぁ、要するに…君たちの敵さ。」

 

アトラトさんは大剣を生み出し、大剣で宙を切ると衝撃波が生まれ、そのまま俺たちを吹き飛ばした。

俺たちはオロチから離れさせられ、そのまま海の上へと吹き飛ばされるが、ダメージは受けていなかった。

どうやら手加減したらしい。

 

「さて…じゃあそろそろ始めるか。」

 

マーレさんがオロチの甲板に手を置くと、そのままマーレさんが体内に入った10個の内7個のブラックキューブがマーレさんの体から離れ、そのまま眩く光出した。

 

「さぁ…起きろ…英雄達!」

 

ブラックキューブの形が変化し、そのまま人の姿へと変えた。

 

「あれは…テネリタス当主の人達…!?」

 

エリザベスが嘘だと言ってるように驚愕し、英雄達は今この時を持って現れ、蘇った。そして、マーレさんが先頭に立ち、俺に剣を向けた。

 

「お前と戦うのはまた今度だ。その時は…本気で潰してやる。それと…これをやる。」

 

マーレさんは何か取り出すと、そのまま俺に投げつけた。それはメンタルキューブであり、そのキューブが光り出すと、そのキューブが変化し、ある人へと姿を変えた。栗色の長髪に、赤色の着物…それは俺が会いたかった人であった。

 

「あ…天城姉さん!?」

 

俺は落ちてくる天城姉さんの着地地点まで走り、そのまま天城姉さんを受け止めた。呼吸がある…生きていた。

今天城姉さんが俺の腕にいる事実が嬉しくもあり、同時に呑み込めずにいた。

 

「餞別だ。言っておくがそいつはお前が昔過ごしてきた天城と同一人物だ。」

 

「何で貴方が!?」

 

「…ふん。」

 

突如海域に霧が現れ、マーレさん達はそのきりに紛れて消えていった。そして、オロチの艦もその霧の中に包まれ…姿を消した。

 

「優海!天城姉様は!?」

 

「うん…ここに…ここにいるよ!」

 

まだ意識は目覚めてないが、生きている。嬉しさで涙が溢れ、そのまま俺は天城姉さんを抱きしめる。

 

「指揮官、兎に角勝ったんだ。さぁ、帰還命令を…」

 

そうだ、どんな事であれ俺たちは勝ったんだ。エンタープライズの言う通り、俺は勝利の号令を謳うように、帰還命令を出そうとした。だが…それは無理だった。

 

「…ごめん。そ…れは…無…理……か…な。」

 

蓄積されたダメージが爆発したかのように俺の艤装に亀裂が走り、そのまま俺の艤装は壊れた。その後、俺は静かに海へと倒れた。

 

「指揮官…?」

 

「優海…?しっかりして優海!起きなさい!優海!」

 

こうして、オロチとの戦いは終わった。だが…それと引き換えに…手にした物も失った物も大きかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…まさかマーレがこんな手を出すとはね…」

 

自分の予想外の出来事なら喜んでいたのだが、今のオブザーバーはそれを喜ぶことなく、悔しそうに指の爪を噛んでいた。

 

「でも、貴方も貴方よね、マーレの計画に気づかないでまんまとオロチを利用されるなんて。」

 

「…きっと零も一枚噛んでいるわ。あの子、マーレを気に入ってるもの…」

 

自分の管轄下であるマーレは、位置や状態は勿論、思考もほとんど読めるようにしていたオブザーバーだったが、最近になってその思考が読むことが出来ずになっていた事を思い出した。

恐らく、自分達よりも上位の個体、【オブザーバー零】がマーレに力を貸しているとオブザーバーは考えた。

 

「あはは!無様だなぁ!オブザーバー!」

 

生首状態のピュリファイヤーに煽られたオブザーバーは苛立ちに駆られ、触手でピュリファイヤーの髪を掴み、そのままピュリファイヤーの生首を振り回した。

断末魔のような叫び声を上げながらピュリファイヤーは為す術なく顔を振り回された。

 

「まぁ良いわ。この世界がどうなるのか…私も興味が湧いたわ。この世界なら…もしかしたら…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_数週間後

 

あれから数週間が経ち、アズールレーンとレッドアクシズの同盟が大々的に発表された。アズールレーンの基地は後方支援隊の基地へと変わり、今まさに、新たなアズールレーンの基地が建設されていた。

今、この基地にはアズールレーンだけでは無く、レッドアクシズのKAN-SENもいた。他のKAN-SEN達と交流したり、違う文化に触れたりする者もいた。

KAN-SEN同士、いがみ合うことなく、今まさに手を取り合っていた。

 

「まさか…こんな日が来るなんてね。」

 

その光景を執務室の窓から見たクリーブランドが呟くと、今ここにいる者も同じように頷いた。

 

「やっぱすげぇわ…優海。あいつを指揮官にして正解だよ。正解。」

 

ジンがそう呟きながら紅茶を一気に飲み干し、ベルファストにおかわりを頼んだ。ベルファストはジンのティーカップを受け取り、すぐ様新しい紅茶を綺麗に容れた。

 

「…その優海が今は…ベットの上なのが辛いわね。」

 

リアがその事を呟くと、場の空気は一気に静まった。

そう、優海はあの戦闘の後から一度も目を覚ましていない。KAN-SEN達が呼びかけても、ジン達が呼びかけても目を覚ます気配は無かった。

 

「…今は誰が看病を?」

 

「今は赤城様とヴェスタル様がお傍にいます。」

 

ネージュの問にベルファストが答え、空気はますます重くなる。甘いビスケットも、紅茶のミルクも、この時は誰も味など感じられなかった。

 

「あの艤装…ますます謎だね。それに、調べた限り、優海の体内にまたブラックキューブが存在していた。…これを何を意味するかはまだ分からないけど…」

 

リフォルが味のしないビスケットを頬張りながら優海の艤装について語った。

 

「それに艤装は…言わばKAN-SEN達の心や命…それが粉々に壊れて砕けたという事は…最悪…」

 

「そんな事ない。」

 

リフォルが最後に放つ言葉を言う前にエンタープライズはその言葉を否定した。エンタープライズは窓の景色を見るのを止め、リフォル達に顔を向けた。

 

「指揮官は必ず戻ってくる。だから信じるんだ。」

 

エンタープライズは、必ず優海が戻ってくると信じるように強く真っ直ぐな瞳を灯していた。その目に皆は心を打たれ、沈んでいた気持ちをあげた。

 

「そうだよな…!よっしゃ…んじゃ、ちょっくら見舞いでも行ってきますか!」

 

ジンが優海がいる自室に行こうと執務室のドアを開けようとすると、ドアの向こうからヴェスタルが飛び出して来た。ジンとヴェスタルは勢いよくぶつかり合い、ジンはヴェスタルの頭に腹が直撃した事から、ダメージを受け、そのまま地面に転がった。

 

「ぐはぁぁぁ!腹に…腹に頭がぁぁぁ…」

 

「だ…大丈夫ですか!?」

 

「気にしなくて良いわ。それで、そんなに慌てて何の用?」

 

「お前俺にもうちょい気遣えや…」

 

悶絶しながらもリアの態度に怒るジンはそのまま腹を抱えながら、産まれたての小鹿のように足を振るえさせながら立った。

 

「あ…皆さん!指揮官が…指揮官が目を覚ましましたよ!!」

 

「本当かヴェスタル!?」

 

「ええ!さ、早くエンタープライズちゃんも!皆さんも!」

 

皆は一斉に部屋から出ていくと、真っ先に優海の部屋へと走った。間もなくして優海の部屋に入ると、そこには赤城と加賀が先に着ていた。

 

「赤城!指揮官は!?」

 

「…エンタープライズ…それが…」

 

赤城と加賀の目に少しの涙を浮かべるのを見たエンタープライズは、すぐ様優海の所に駆け寄る。優海はベットの上におり、体を起こして窓の外を見ていた。

 

「指揮官!良かった…本当に…!」

 

無事だと安心したエンタープライズは涙を流し、指揮官の手を握った。突然握られた優海はエンタープライズの顔を不思議そうに見ていた。まるで初めての人を見るかのように…

 

「指揮官…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君たちは…誰?」

 

 

 

 

 

 

_Tobecontinue…




ここまで見ていただきありがとうございます。
この度はこの【もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら】を見ていただき感謝です。高評価や感想を書いて下さった人や、見てくれた人もありがとうございます!

これにてこの小説の第1部、オロチ編が終わり、次はアニメで言うと第2部みたいな感じですね。
その際、ちょっとこの小説のタイトルを変えようと思っています。
まだまだこの小説は終わりませんが、もうひとつの小説もあるのですぐには出せませんが、どうか最後までよろしくお願いします。それではまたどこかで…

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