もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら〜2nd season 海上の誓い〜 作:白だし茶漬け
数時間前にて…
「綾波だと……?天城や赤城では無くてか? 」
「そうです。優海を手助けするKAN-SENを選ぶ際、綾波を指定してください 」
ロドンはマーレの作戦を聞き、戸惑っていた。この先祭儀に向かう優海の助けとなるKAN-SENを一人選ぶのもそうだが、それよりもその対象が綾波だということにロドンは驚いていた。
確かに綾波は優海と関係が無い訳では無い。むしろ彼女は優海が指揮官の時によく交流をしていたとはマーレから聞いていた。
だが、それ以上に天城や赤城の方が後々の計画を考えると適切なのではとロドンは考えたが、マーレの意思は変わらなかった。
「ふむ、だがその綾波がいるという確証は無い。いなければ誰にするんだ 」
ロドンの言う事は最もだった。いくら綾波と優海の接点があったとしても、天城達に比べれば薄い方だ。いくら綾波が重桜にいたとしても、優海と行動を共にするとは限らないのだから。だがマーレはそんな事は無いと思わせるような態度を示していた。
「綾波は必ずいますよ。そこに優海がいるなら必ず…… 」
「理由は? 」
「強いていえば恩返し……だと考えますよ 」
ロドンはこの時納得しなかったが、マーレの確信を信じる事にした。
何故なら、マーレの目はいつだって本気なのだから……
現時刻 重桜 祭儀海域にて
「綾波……なのですか? 」
綾波は戸惑っていた。優海を助ける為、ロドンはわざとここにいるKAN-SEN一人を通すと。それに選ばれたのは綾波な訳なのだが、綾波自身も含め、KAN-SEN達は驚きと戸惑いを露わにしていた。
皆はてっきりこちらを不利にさせる為に天城を選ぶのかとばかり思えたが、その的は外れた。
この間の戦闘で、ロドンは天城の戦法に少々苦しんでいた為、何としても戦いは避けたいと考えている筈だ。だがそれでもロドンは綾波を選んだのには訳があると考えるが、判断材料があまりにも無いため、KAN-SEN達は考えを諦めた。
「……分かったのです。綾波、行ってくるです 」
「うむ、気をつけて行け 」
「優海の事、どうかよろしくお願いします 」
三笠、天城の声を受け、綾波は恐る恐るロドンに近づく、手は出さないと言ったが、不意打ちの可能性も考えたが綾波はロドンを警戒し慎重に先を進んだ。ロドンに近づく度に鼓動が早くなり、感覚も研ぎ澄まされていき、頬から流れた汗もスローモーションに見えていた。
ロドンの横を通り過ぎたが、警戒は怠らず、後ろに振り返りながら前に進んだ。
ロドンは言った通り何もせず、ただじっと待っててくれた。ロドンとの距離も充分に離れたので、綾波は進行方向に体を向き、全速力で優海の元に行った。
「指揮官、待ってて下さい…今度は綾波が助けるのです…!」
綾波はこれまで2度程優海に助けられていた。1度目は最初にマーレと戦った時、2度目は暴走したエンタープライズからの攻撃を守った時だ。
1度目に関してはマーレによって記憶は無くされたが、それでも綾波には優海に対しての恩は余りある物であった。
故に綾波は優海にどんな恩返しをすればいいのか悩んでいた。だがその悩みは今は無い。綾波は今、ひたすら優海を追いかけるだけであった。
「……行ったようだな。では続けようか 」
綾波がここから離れたのを確認したのと同時に、ロドンは刀の柄に手を添えて構えた。KAN-SEN達も無事に綾波が離れた事により、一瞬の安堵をもらし、直ぐにロドンに意識を向けた。
出方を伺っているのか、両者とも動かず静寂な時が進むばかりだ。風の音、海の音、後ろで聞こえる爆発音が徐々に小さくなる中、遂にこの空間に完全な静寂が訪れた。
「……どうやら邪魔者がいるようだな 」
「何……?」
静寂と同時に、ロドンは何も無い海上を見ると同時に一人のKAN-SENが報告をした。
「大変です。この海域に……セイレーンの反応がっ!!」
オロチさんの全速力の加速を終え、何とか耐えきったのだが、少し頭がぐらつくように痛かった。それに急速な速さのせいか吐き気も少々……うっ、意識したら本当に来そうだ。でもオロチさんに今抱かれてる状態だから吐いたらダメだ、我慢しなければ。
「何だか気分が悪そうね、大丈夫?おっぱいにうずくまる? 」
「ちょ……何言ってるんですかこんな時に! 」
僕の反応が面白かったのか、オロチさんは少し飛び跳ねるように体を上下に揺らすと、同時にオロチさんの胸部が激しく上下に揺れた。
胸部が自ら強調してるような激しい動きに一瞬意識が飛ん出しまったが、すぐに理性を取り戻して胸を見まいと目を強く閉じた。
「ふふ、冗談よ。気分が悪いなら、そこの小島に寄るわね。……丁度敵からの攻撃に防げそうだし…ね 」
オロチさんは近くの小島まで行き先を変更し、その場所まで移動する。
無事に小島まで辿り着くと、別にこれといって何の変哲もない島だ。奥には緑豊かな森に綺麗な砂浜、人の手が入ってない天然な普通の島だった。
「ここなら少し休憩出来るわね。でもここからが問題なのよね…… 」
疲れを飛ばすようにオロチさんは体を伸ばし終えると、すぐ様何かを悩んでいた。
「あの、問題ってなんですか……? 」
「ここまで来るのは良いけど、問題はどうやって貴方を長門の元に連れていくのが問題なのよね……敵だけど敵じゃない子だっているし 」
「どう言う事ですか?敵だけど敵じゃないって一体…… 」
オロチさんは近くの短い木の棒を取り出し、砂浜で何かの図を書き始めながら状況の説明をしてくれた。
「まず、今の段階で勢力は3つあるの。まず1つは私達、『長門を目覚めさせる』側。もう1つは『長門をこのままにさせる』側。そして最後が『ロドンとマーレ』よ。」
1つ目と3つ目は分かるけど……2つ目はどう言う事なのだろう……長門ちゃんをこのままという事は、重桜でずっと一人で封印され続ける事になる。
それを望んでいる人がいるとでも言うのだろうか。
「まるで長門が封印され続けるのを望んでいる人がいるのか?って考えそうな顔ね。合ってる?」
心か思考が読んでいるかのように、オロチさんは僕の考えを当てた。驚きのあまり、目を丸くさせながら首をゆっくりと縦に振ると、オロチさんはその説明を始めた。
「いるのよ。残念ながらね、それを望んでいるのは、長門よりも偉い人……上層部って人達と、重桜の民達よ。そして、今の向こうで戦闘してるのは、上層部から命令を受けてるKAN-SEN達とマーレよ 」
「そんな……何で! 」
「貴方は見た事ない人の死は悲しめる?」
「それは……悲しいでしょう 」
「じゃあ涙を流して心の底から悲しめる?」
「う……それは…… 」
多分……悲しめない。何も知らず、どんな人か分からず、それに加え1度も会ったこともない人となると、あぁ、死んだのかと淡白な気持ちしか湧かない。
心の底から悲しめるなんて事は……出来ないだろう。
「そんな風に感じてるのよ。上層部も、民達もね 」
すると突然轟音が鳴り響き、体を思わずビクつかせてしまった。オロチさんは分かっていたか、驚きもせずにいた。
どうやら、向こうでは戦闘がまだ続いているらしい。
「あの……そのマーレって人は長門ちゃんを助けようとしてるのですか? 」
マーレって人は今、長門ちゃんをこのままにしたいと考えてる人達と戦っている訳だから、話を聞く限りこっち側だとは思うが、オロチさんは首を横に振って否定した。
「あの子が長門を目覚めさたいとは思って無いと思うわ。あの子の目的は『ワタツミ』って言う大事な物を自分の物にしようとしてるの 」
「『ワタツミ』って……何ですか? 」
「私も良く分からないのよね〜まぁ、この世界の物では無いのは確かだけど……」
この世界のものでは無い……?どう言う事なのだろう。しかし、話してる暇は無かった。轟音が徐々に激しくなり、砲弾や光の熱戦がこの小島近くに流れてきた。
「……どうやらド派手にやっているようね 」
「あぁ、全くだ 」
「っ!?優海! 」
いきなり知らない男の人の声が聞こえると同時にこちらに向かって真っ直ぐ光が射し込んだ。
オロチさんは即座にそれを察知し、僕を押し倒して避けさせた。
オロチさんも紙一重に光線を避け、光線は森に命中し、自然を焼いた。一体誰が攻撃してきたんだ…!?
その答えは僕たちの目の前にいた。
髪は銀色で乱れており、黒と赤を基調としたコートを着、後ろには見るのも恐ろしく禍々しい艤装が左右に2つ別々に存在した。
そして何よりも驚いたのはその顔だった。あの顔は……僕にそっくりな人だった。
「あれは……僕? 」
「違う。お前と一緒にするな 」
男は右腕に装着されていた砲塔を僕に向けると、そのままさっきの光線を撃ってきた。オロチさんはすぐ様僕を抱きかかえて光線を避け、海の上へと場所を変えた。
「マーレ!?貴方あっちで戦っているんじゃ無いの!? 」
マーレって……さっき話してた人?まさか僕と同じ顔だなんて……それにあの雰囲気、もしかしてロドンさんと重桜を襲った人なのか…?
「あぁ、戦っていたさ。だが何処ぞの人類の敵に擦り付けたさ 」
「……まさか、この海域にセイレーンも? 」
「正解だ。だが……奴らの狙いは俺のようでもあるな 」
何も無い海上の方にマーレは見つめていると、突如紫のワープホールが生まれ、その先に無数の艦隊が出現した。全て黒く、赤いラインの光が不気味さを際立たせていた。
「セイレーン……」
オロチさんはそう呟いていた。
「何でこんな時にセイレーンが来るの!全く!」
瑞鶴は愚痴をこぼしながらも、セイレーンの艦を斬り伏せる。
斬り伏せられた艦は真っ二つに斬られ、遅れて爆発を起こした。
「気を悪くしたのなら謝罪する。あの者達は元々当方達が狙いなのだろう 」
「どう言う事!?貴方達セイレーンじゃないの!? 」
「少々失礼するぞ 」
すると突然、ロドンが瑞鶴目掛けて斬撃を飛ばしてきた。かと思いきや、斬撃は瑞鶴の真横を通り過ぎ、背後にいたセイレーンの艦隊どころか空気が真っ二つに切り裂かれ、セイレーン艦隊を一太刀で全滅させた。
「なっ……? 」
瑞鶴は何故自分を狙わなかった事と一太刀だけで艦隊を全滅させた力に驚いていた。だが、瑞鶴にとっては主に後者によって驚かされた。規格外の戦闘力を見せつけられ、ロドンに対しての戦意すらも切り裂かれるようでもあった。
「しばしの休戦だ。こちらの敵は任せてもらおう 」
ロドンは単騎でセイレーンの艦隊に突撃をかけるのにも関わらず、被弾や苦戦などはしていなかった。
瑞鶴に限らず、その勇姿にKAN-SEN達の目は釘付けにされていた。
「正に英雄だな…… 」
「はい……これが英雄の力と言うことでしょう。英雄は味方を勇姿だけで勇気と力を奮い立たせ、敵として立ちはだかれば恐怖の象徴となる……だからこそ永劫に語り継がれるのです、良い意味でも悪い意味でも 」
天城の言葉に三笠はロドン……いや、テネリタスの恐ろしさを肌で感じていた。あのような者が幾人もいると思うと、恐ろしさが肌を貫き、神経さえも震えさせていた。
三笠は他のKAN-SEN達に、ロドンに対して恐れている事を隠すように、手で腕を強く掴んだ。しかし震えは止まらず、額から一筋の冷や汗も流れた。
「優海は無事なのだろうか…… 」
「オロチさんと綾波がいるので心配は無用でしょう 」
天城はこうは言ったが、内心は心配していた。それを示すようにか、天城は横目で優海が行った祭儀の方角を隙を見ては見ていた。
可能であれば自分も優海の所に行きたい、しかし天城自身の体は弱く、行っても途中で力尽きる他無いだろう。第一、ロドンが通してくれるとは思えない。
今天城が出来る事と言えば無事祈る事とオロチと綾波を信じる事だ。それを自身も承知しているが、親として、母としての思いが燻っていた。
「ふっ、流石の天城でも息子の安否は気になる物か 」
「ええ、『母』ですから 」
「これで片付いたか……」
突如現れたセイレーンだったが、マーレさんとオロチさんの手により、難なく全滅させた。
こうは言ったが、ほとんどマーレさんの脅威的な戦闘力で圧倒したと言っても良かった。それにはオロチさんも感じていた。
「貴方……更に力をつけて化け物じみてきたわね……」
セイレーンを撃退した為、残る敵はマーレにだけになった為、オロチさんはマーレに照準を向けながら、僕を庇うように動いた。
「まぁな、これでもまだ足りないぐらいだ 」
自分の力をまだ満足してないと言うが、あれ以上の力なんて持てるのかと思えるほどマーレの力は脅威的だった。
セイレーンの艦を全て一撃で沈め、はたまた艦隊すらも一撃で仕留めていた。もはや一人だけで戦争に勝てるぐらいのものなのに、そんな人がもっと力が欲しいなんて、一体何をする気なのだろうか……
「1つ質問だけど……貴方セイレーンとはどうなったの?今の状況から察するに、セイレーンとは手を切ったのかしら? 」
オロチさんがマーレさんに質問すると同時に、オロチさんは僕に何かを伝えようと手を動かしていた。
マーレさんに気づかれないようにしている為、後ろで小さく、速く動かしているのでよく目を凝らす。
オロチさんの右手は島の砂浜の右端を指しており、左手の人差し指と中指で足を表現し、走るように動かしていた。
(え……と合図をしたら走ってって言ってるのかな……)
これ以上はバレると考えたのか、オロチさんは手を戻してしまった。しかし合図が何なのかは分からずにいたが、僕にも分かるような合図なのは間違いないはずだ。
いつ合図が来ても良いように、僕は何時でも走れるように心構える。
「……あぁ、セイレーンとは手を切った。というよりかは元々仲間意識なんて無かったがな 」
「へぇ……じゃあ貴方達テネリタスは第3勢力って訳ね。目的は何なのかしら?いい加減私の本体を返して欲しいんだけど? 」
マーレさんとセイレーンは敵同士ということか……だったら仲間にもなれるとは思うんだけど……ロドンさんは敵だって言っていた。味方になる事はおそらくはないだろう。
「残念だが目的は話せないし、まだオロチは必要だからな 」
「あら、それは残念……ね!! 」
オロチさんは砲撃をマーレさんではなく、海に着弾させた。それにより巨大な水柱が発生し、マーレさんの視界を塞いだ。
恐らくこれが合図なのだと直感で感じ、僕は咄嗟に所定の位置まで走った。
同時にオロチさんも自分が指定した場所まで移動し、僕が来るのを待っていた。
「悪いがお見通しだ 」
しかし走る際に水柱の向こうに光が見え、僕はそれがマーレさんの攻撃だと分かった。
マーレさんは最初から作戦を見透かしていたらしく、水柱の向こう側からビームが真っ直ぐ僕に向かっていた。
人間の足が光に勝てる訳も無く、僕はこの瞬間死を悟った。そのせいか周りがスローモーションに見え、僕は動けずにいた。
「優海っ!」
オロチさんの声が耳のすぐそばで聞こえた時には、目の前にオロチさんが庇うようにたっていた。
艤装を盾がわりにするようにビームに背を向き、僕を守るように抱きしめた。
やがてビームはオロチさんに直撃し、オロチさんの苦しい悲鳴が僕の耳に突き刺さるようだった。
「っ……くっ……あぁ…! 」
歯を食いしばりながらもオロチさんは僕を守り続けた。やがてビームは消え、オロチさんの艤装は力尽きるように消えていった。
「あいたたた……優海、怪我は無い……? 」
痛いはずなのに、苦しかった筈なのに、オロチさんは掠れた声のまま笑顔でそう言って来た。僕を心配させない為の笑顔だとは思うが、体の傷が酷く、僕の心配は加速していった。
大丈夫だと言いたいのに、先程の攻撃の恐怖とオロチさんがいなくなってしまうかもしれない恐怖で体が震え、言葉が出ずにいた。
それでもオロチさんは笑顔で僕の頭を撫でた。
「……うん、大丈夫……そうね。貴方になにかあれば……赤城達に…なん…て言われ…るか…」
「オロチさん……? 」
だんだん声が掠れ、喋りも何だかぎこちなかった。僕を抱く腕の力も徐々に弱まり、簡単に抜け出せる程になっていた。
「良かったぁ……守れ……て 」
やがてオロチさんの力が完全に抜かれそのまま静かに倒れた。綺麗な赤い目が閉じ、オロチさんはそのまま地面に動かずにいた。
「……オロチさん? 」
嘘だと思いたい、嘘であって欲しい。そう願うようにオロチさんの体をゆさる。寝ている人を起こすようにゆさゆさと体を揺らそうにも返事も何もかも帰ってこなかった。
「嫌だ……嫌ですよオロチさん!こんな……こんな別れ方嫌ですよっ!オロチさんっ!! 」
オロチさんに身を寄せ、どうにか出来ないと悩んだその時、微かな呼吸音が耳に届いていた。
間違いない、オロチさんの呼吸だ。奇跡的にまだ助かる見込みがあると希望を見出したが、今の現状は絶望的だった。
「まさかオロチが庇うとはな……意外だ 」
「……マーレさんって言いましたね。確か 」
オロチさんはまだ助かる見込みがある。でもその為にはあの人をどうにかしなければならない。
僕なんかがどうにか出来る相手じゃないと分かっているけど、何とかしなければオロチさんは助けられない。
いや違う。それ以上に僕はあの人を……
「僕はあなたを許さないっ……! 」
復讐を誓った人もこんな気持ちなのだろうか、消えることの無い炎が自分の内側から燃え滾り、怒り以外の感情すらも灰も残さず燃えていくようであった。
突然体の周りに青い稲妻が小さく走り、体の内側から何かが込み上げてきた。そして同時に……
「……終わりだ 」
マーレさんは即座に艤装のビーム砲を発射し、先程よりも高出力のビーム砲を撃ってきた。
だがこれを凌げると確信を持っていた。右手を伸ばし、光と共に現れたあの時の艤装が目の前に現れたと同時に、負けじとビーム砲を放った。
ビーム同士の激突で爆発を起こし、爆煙を払うようにマーレさんは左腕の剣を大きく振り、煙を斬り裂いた。
「……やはりその艤装が出てきたか 」
僕の周りに蛇のような艤装が2つ現れ、僕を守るように両方とも囲んでいた。
何故これが出せたのかどうでもよかった。
いや、もう全て思い出したのだ。怒りと同時に湧き上がった僕の記憶が……
「……行け 」
この艤装の使い方は思い出した。これはそれぞれが戦艦と空母の役割を持ち、頭で考えた通りの動きをしてくれる。しかも離れていても使えるので、自分は安全な場所での戦闘だって可能だ。
まずは片方の艤装で艦載機を発艦させ、マーレさんの気を逸らす。
マーレさんは左の艤装から艦載機を発艦させて応戦し、こちらから目を離さないでいた。
だが攻撃は止めない、次は戦艦の役割を持つ方の艤装の最大火力を放つ。
前もって出力をチャージしていた為、直ぐに最大火力を放つ事が出来た。最大火力のビームは真っ直ぐマーレさんの方に向かっていった。
向こうもお返しと言わんばかりの最大火力のビームを放ち、中心部が大爆発を引き起こし、その余波で空中の艦載機が全て爆散した。
衝撃波も凄まじく、吹き飛ばされないように体勢を低くした。後ろにいるオロチさんに海からの漂流物の破片が当たらないようにともしたが、幸いこっちに来たのは海の水しぶきだけで済んだ。
爆発が消え、激しい水しぶきも止み終えたと同時にマーレさんの姿が見えた。相変わらずダメージは無いらしい。
「やはり、お前は優海では無いな……」
「……」
別に驚きはしない。むしろもう分かったのだ。自分の正体や何故僕がこんな艤装を使えるのか。
その答えは僕では無く、マーレさんが答えた。
「お前は『コネクター』……セイレーンのコネクターだ 」
そう、僕は……セイレーンだ。それを示すかのような黄色の目で僕はマーレさんを睨む。
ただ1つの決意を込めながら……
そうだ、俺は……皆の敵だったんだ。
だから願った。俺がいなくなればいいのにと
いざ叶ってみれば皆が泣いていた。
そうなる事は分かっていた。でもこれで良いんだ。
俺はセイレーンだった。また敵になるかもしれないと考えた俺は拒絶するしか無かった。
そう、これで……良いんだ。……良いはずなんだ
そうして俺は、俺自身が消滅まで鎧に籠る。
もしもの話(R-18)を観測しますか?
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Yes
-
NO