もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら〜2nd season 海上の誓い〜 作:白だし茶漬け
令和の天気が不安定な中で物凄い暑さが続いていますね〜
おかげで5月からエアコンのある涼しい妹の部屋で寝る始末です(ノ∀`)タハー
あ、同じベットじゃ無いですよ!?私はソファーで寝てます。意外と寝心地がいいですw
今日も今日とて鉄血のKAN-SEN達との他対一の演習だ。
今回は回避重視では無く、多少の攻撃は可能となった。
と言っても今回は俺の性能ではなく、KAN-SEN達の防御能力の向上を目指した演習だ。
まずは俺がKAN-SEN達を倒さない程度に攻撃を行い、KAN-SEN達はそれを防ぐといった感じだ。勿論砲弾やミサイルは実弾だ。こればかりは神経を張り巡らせて慎重に行ったが……
『ちょっと、もう少し本気でやらないとこの演習の意味が無いわ。相手を倒すつもりで全力で挑みなさい 』
拡張器越しのビスマルクの声に対し、俺の気は乗らなかった。
「いやそうは言っても…… 」
例に漏れず俺の弾は全て実弾であり、持っている武器…もそうだ。……そういえばこの変形する武器、名前決めてなかったな……後で考えてみるか。
いやいや、そんな事は今はいい。俺の艤装の分類は駆逐艦らしいが……火力面の方では間違いなく戦艦に匹敵するレベルだ。下手に攻撃すれば致命傷になるし、取り返しのつかない事になるかもしれない。そう思っての手加減……と言うか慎重な攻撃だ。演習なのに誰かを失っては元も子もない。
『あなたの攻撃に耐えれるように、これまで改良を加えたのよ。それとも……貴方はKAN-SENを信用していないのかしら? 』
「そんな事…… 」
「よそ見は厳禁よ?指揮官 」
ビスマルクと喋っているのにも関わらず、オイゲンに続いてKAN-SEN達の容赦ない砲弾が俺に襲いかかった。
この弾幕量では回避できないと判断した俺は、ミサイルをばら撒くように発射し、砲弾の雨を防ごうとする。
多数のミサイルと砲弾がぶつかり合い、空中で爆発の嵐が怒ったが、爆風を突っ切るようにうち漏らした砲弾が襲いかかる。
うち漏らし砲弾を手持ちの武器を二丁拳銃に切り替え、俺に向かってくる砲弾を撃ち落とした。幸い二丁拳銃の弾はビーム弾の為、口径で負けることなく熱量で砲弾を撃ち落とせた。
残りの砲弾は俺の周りに着弾し、俺に直接なダメージは無いが水柱で完全に視界を奪われた。
(まずい……! )
このまま突っ切ろうにも視界が塞がれては身動きが取れない。かと言ってこのまま水柱が収まる一瞬を待っていたらKAN-SEN達に距離を詰められて袋叩きにされる。
……いや、恐らくは俺がさっきの迎撃のスキをついてもう包囲しているのかもしれない。
「だったら……こうだぁ! 」
ミサイルの弾を発射せずわざと不発させて水に浮かばした後、足を思い切り曲げて高く飛んだ。その後、海に漂っているミサイルに狙いを定め、一発のビームがミサイルへと着弾した。ミサイルは誘爆し、俺を巻き込むように爆風を起こした。だが、俺の狙いはそこだ。
「な……何事ですか!? 」
ニーミの驚くような声と共に、KAN-SEN達がざわめいていたが、心配は無い。
爆発と爆風の衝撃が合わさり、その衝撃を利用して俺は今それ高く吹っ飛ばされていた。爆発の痛さと熱さが風で滲むように痛むが、これくらいは問題ないし、それにKAN-SENたちの包囲も抜けた。
「ワァオ!指揮官君って、中々アグレッシブな子だね〜! 」
「いや、むちゃくちゃでしょ…… 」
俺の行動に興味を持つ人や、驚きで呆れる人等様々いたが、直ぐに態度を切り替えて俺の方に向かって来た。
爆発で無理矢理飛んだからかなり不安定な体制の中で何とか着地に成功し、向かってくるKAN-SEN達にむけて2丁の銃の銃口を向けた。
「最低出力なら……! 」
俺の持っている武器の中で1番火力の低い二丁拳銃の最低出力なら、KAN-SEN達も無事な筈だ。頭ではそう判断し、理解していた。だが……体は引き金を引くことを拒んでいた。銃口が手の震えで照準が定まらず、指先と引き金の間に壁があるかのように動かなかった。
KAN-SEN達が迫ってきている。距離を取ろうにもミサイル爆風の跳躍で艤装の機関に支障を来たしたのか、思うように動かなかった。今の状態の速度では逃げきれない。ここを凌ぐには迎撃しかない。 でも……俺は……
「……無理だ 」
結局俺は引き金を引くことが出来ず、降参するように腕を下ろし、顔を俯かせた。
『そこまでよ 』
それと同時にビスマルクの終了の合図の信号弾が打ち出され、演習は終了した。
『戦う気がない相手としても何も得られないわ。今日の演習はここまでよ 』
「……そう……だよ……ね 」
終了したと知って安心したのか、それとも艤装に無理をさせた使い方をしたせいなのか、俺はその場で倒れてしまった。
「指揮官!? 」
KAN-SEN達が俺を呼ぶ中、徐々に意識が海に流されるように失い初め、やがて視界が真っ暗になった……
「……んっ……んん? 」
鈍い痛みと共に目を開くと、まず目に映ったのは知らない天井だった。いつの間にかベットに寝ており、周りを見渡すと誰もおらず、誰かがここまで運んでくれたようだけど……
「あいてて……やっぱり強引すぎたかなぁ…… 」
KAN-SENにとって艤装の損傷は体の損傷とほぼ同意義のものだ。外傷は無いのにも関わらずひりつくような熱さがそこら中にまとわりついていてなんだか気持ちが悪い。まぁ、行動が無茶苦茶な自業自得なんだけど……
「あら、目が覚めたのね 」
部屋のドアからビスマルクが何か瓶のような物を持って来ながらこの部屋に入ってきた。
「ビスマルクが……ここに? 」
「残念ながら違うわ。私は医務室に連れてきてと言っただけ。例を言うならハインリヒに言って 」
「そっか……じゃあ早速お礼を言わないと 」
体を起こそうとしたけど上手く体が動かせず、上半身だけ体を起こすだけで精一杯だった。そんな時、ビスマルクが持っていた瓶を渡された。容器は程よく冷たく、見た感じ何かの飲み物のようだけど……?
「なにこれ? 」
「ただの秘伝冷却水よ。無茶苦茶な行動をしたから、貴方の艤装の内部温度が高いはずだから 」
なるほど、この鈍い熱さは艤装の内部温度のフィードバックダメージということか……
「……これ、飲めるの? 」
「酒では無いから大丈夫よ 」
とは言っても、秘伝冷却水なんか飲んだ事無いから少し不安だった。一部の人間達にも人気があると聞き、ジンさんも1度は飲んだ事があると聞いたことがある。
ジンさん曰くぶどう味でスッキリしてて美味しいと言っていた。
ともかく折角差し出してくれたのに飲まない訳には行かない。瓶の蓋を開け、一気に飲み干すように秘伝冷却水を喉に流し込もうとした所、端末の着信音がいきなり鳴り響いた。思わず瓶の中身をこぼしそうだったけど、何とか瓶を支え、ベットや布団に零すことは無かった。
端末の着信音の発信源は俺では無い。端末の振動が無いのが何よりの証拠だ。つまり、着信音はビスマルクから出て来た。
「失礼するわ。もしもし、何か用かしら? 」
気にせずそれを飲んでとビスマルクは目で伝えると、俺はお言葉に甘えて秘伝冷却水を飲んだ。
口の中に入れた瞬間、炭酸のようなシュワシュワ感が口の中で弾け、頭全体まで弾けがいき通るような感覚だった。思わずそのまま1口飲み込むと、スッキリとした後味共に体の奥から爽やかさが生まれた。
「おお〜これは中々…… 」
弾けるような爽やかさの感覚がクセになってしまい、もう一口、もう一口と飲み、いつしか瓶が空になってしまった。それと同時に丁度ビスマルクの電話も終わった。
「分かってるわ。それじゃ、私は失礼する 」
飲んでる間も小難しい話をした雰囲気だったけど……一体何の話をしていたのだろうか?
「それで体の微量な熱は無くなる筈よ 」
「……何の話をしていたの? 」
「貴方には関係の無い話よ 」
予想通りの応えが帰ってきてそれ程ショックは受けなかったけど、やはりショックは受ける。一応指揮官だから何か相談して欲しいなぁって思う所もあるけど……
ビスマルクは飲み干した瓶を自分で処理すると言うように無言で空瓶を取り上げ、そのまま部屋に出ていこうとした。
「ありがとう。わざわざ見舞いに来てくれて 」
部屋に出ていく前に何とかしてお礼を言え、ビスマルクはドアの前に一旦止まりながらも、そのまま部屋に出ていってしまった。
「……さて、この後どうしようか 」
やはり最初にやるべきなのはこの部屋に運んでくれたハインリヒにお礼を言うことだろう。しかしどこにいるのは分からない。連絡先の交換もしていないからメッセージだって送ることも出来ない。そんな中、急に部屋のドアが勢いよく開いた。
「アネキー!いますか〜!? 」
勢いよく開かれたドアの先には蒼色の髪を持った小さい背丈のKAN-SENがいた。いや……それ以前に服装が大胆……というか着ていないに等しいぐらいだった。
水着の上に黒い上着を来ているだけの服装に目を丸くさせた。
「あ!すみません、アネキはいませんでしたか? 」
「アネキ……? 」
そういう名前のKAN-SENがいるのだろうか?いや、発音の訛り的に、姉貴という意味での言葉だろう。しかし姉貴らしい性格をしたKAN-SENは今まで出会ったKAN-SEN達には当てはまらない。一体誰のことだろう?
「あれ〜?ここに来てたって聞いたのに〜」
「ここに来てた?ここに来たのはビスマルクだけだけど…… 」
「あ!やっぱりビスマルクのアネキがここに来たんだ!う〜遅かった! 」
どうやらアネキと言うのはビスマルクだったようだ。1歩遅かったと目の前の少女は悔しそうに地団駄を踏んでいた。
「アネキがどこに行ったか分かりませんか? 」
「え?う〜ん……ごめん、分からないや。けどなんだか忙しそうだったよ? 」
現についさっきまで誰かからの連絡が来て、何やら切羽詰まった様子だったからかなり忙しい筈だ。それを伝えると、彼女は少し顔を曇らせた。
「そう……ですか。約束……したのにな 」
「……ねぇ、良かったら、話を聞かせてくれないかな? 」
悲しそうな顔を見て放っておくことは出来ず、俺は彼女に話を聞いた。彼女はそれに応え、話してくれた。
「ビスマルクのアネキと、私達潜水艦達と今日一緒に遊ぶ日だったの。でも、アネキとは会ってなくて…… 」
「それって…… 」
ビスマルクが約束をすっぽかしたか、もしくは……忘れた?いや、この場合は忙しくて守れなかったと言っていいだろう。
俺はその後の言葉を口には出さなかったが、彼女は何となく察し、顔を俯かせた。
「……ねぇ、良かったらなんだけど……俺と遊ばない?ビスマルクの代わり……とは行かないと思うけど 」
「え……? 」
「あ、いや別に嫌なら良いんだよ!?ただ……そんな悲しい顔を見たら放っておけなくて 」
断られた際の自己防衛でこんな事を言ったけど、放っておけなかったのは事実だ。
「え!?良いの!? 」
彼女は目をしいたけの形のように輝かせると、手早く俺の手を掴んみ、この部屋から出させようとしていた。 ベットに横たわった状態だったから急いで体を起こし、だらしない着崩したシャツ姿のまま外に出てしまった。
「ちょ……出来れば着替えてから行きたいんだけど! 」
「え〜良いんじゃん!アネキから聞いた話によると、もうお仕事おわりでしょう? 」
確かにビスマルクからは次の予定については特に聞かせれていない。だけど俺は一応指揮官な訳で……威厳というのもありまして……と言いたいところだが、彼女の勢いはそれを許してくれなかった。
大波のような勢いに押しつぶされるような勢いのまま連れてこられたのは、鉄血司令基地の中庭だった。要塞のような基地の中に、まるで小さな草原のような緑に囲まれた中庭があるなんて傍目からは思えないほど綺麗だった。
「あ、来たきた。……って、その人もしかして……指揮官? 」
最早服ではなく、水着姿のKAN-SEN達がその辺に寝転がったりベンチに座っていた。服装的に多分全員潜水艦だ。
「多分……全員潜水艦……だよね? 」
「そう!私はU-556です! 」
青髪のツインテールでビスマルクの事をアネキと呼ぶのはU-556
次に白髪で頭のてっぺんに角のような物を生やし、なんだかニンニク見たいな頭をしたKAN-SENはU-110
銀髪で下げているツインテールをしているのはU-552
黒髪で白のメッシュをしており、騒がしい所が苦手なのか、なんだか乗り気では無いのがU-47
桃色の髪で勝ち気な顔を浮かべているのがU-81
とりあえず今ここにいる潜水艦はこれで全員だ。
「皆〜アネキの変わりに指揮官が隠れんぼの鬼になる事になったよ〜 」
「え……?隠れんぼの鬼!? 」
いきなり隠れんぼの鬼に任命されて変な声を出してしまった。いやいやいや隠れる側ならまだしも、鬼側は流石にきついぞこれは……こっちは土地勘とか無いし、把握だってまだしてない。
「大丈夫大丈夫!隠れられる範囲は基地内の1階と周辺の庭だけに絞るから! 」
「いやそれでも結構広いよね? まだ1階の構造すら覚えてないんだけど 」
しかもここの基地はかなり複雑な構造をしており、半ば迷路になっている道だってある。1階に絞ってもまだまだきつい所ではある。
「大丈夫、歩いていたら何となく覚えられるから 」
U-110にそう言われたが、迷い続けてそのままタイムアップで負けが1番悔しいし、覚えられる自信が無い。ここはせめて案内役が1人ぐらい欲しいところだけど……
「あ、指揮官君じゃん!潜水艦達と何やってるのー? 」
「あ、案内役がいた 」
丁度いい所にハインリヒが通りかかり、目を合わせるやいなやこちらに来てくれた。俺はハインリヒに事情を話すと、ハインリヒは首を縦に振ってくれた。
「うんうん!面白そう!私も混ぜていい? 」
「じゃ、ハインリヒと指揮官が鬼ね!制限時間は1時間!見つけてもタッチするまで捕まったことにはならないから注意だよ!1分後に指揮官達は追いかけてきてね!それじゃあ開始! 」
U-556の合図と共に潜水艦達はバラバラの方向に逃げていった。
「お〜……元気だなぁ…… 」
まだ10代なのにまるでおっさんのような意見を口にしながらも、俺とハインリヒは1分間中庭でじっと待っていた。
「そうだ、ハインリヒにお礼を言わなくちゃ。医務室に運んでくれたのが君だって聞いたから 」
「ん?あぁ、良いの良いの!指揮官君が無事ならそれでなにより!それにしても無茶な行動を見た時はひやひやしたよ〜いつもあんな風に戦ってるの? 」
ハインリヒから言われ、俺は今までの行動を振り返ってみた。そんなに無茶な事は……うん、結構ある。
最近の重桜の戦闘では戦う気が無いと示す為に防御も取らずにまともに攻撃を受けたり、長門を助ける為に一人で謎の影(正確には長門を縛っていた者たちの思念)と戦った。
それにオロチと戦っていた時は一人でマーレさんと戦ってぼろ負けしていたし、エンタープライズが暴走した時はKAN-SEN達を守るために体を張ったり……うん、無茶してる……
「無茶しているようだね 」
俺の反応から察したハインリヒの言葉が突き刺さる。俺はどうすることも出来ずに苦笑いしてしまい、その場を乗り切ろうとした。もうすぐ開始から1分が経つ。さて、最初は何処から探そうかなと考えているその時だった。
「ねぇ、どうして指揮官なのに戦うの? 」
「……え? 」
突然の
「なんでって……当然じゃないか。俺は指揮官としてみんなと一緒に戦うに決まってるじゃないか 」
「ふーん…… 」
するとハインリヒは何やら意味深に考え込んでいた。一体何なんだろ……
「あ、そろそろ1分だよ〜それじゃ探そっか! 」
ハインリヒと会話をしたおかげで1分が経ち、気持ちを切り替えて行動に移った。さて、まずはどこに移動するべきかな……
(隠れんぼか〜そう言えば小さい頃母さんと姉さん達、愛宕さん達とかでやった以来だな )
ふと隠れんぼで遊んでいた昔を思い出し、あの時は確か俺が隠れている所を母さんはすんなりと見つかり、まるで最初から隠れる場所を分かっていたかのようだった。
今となっては懐かしい思い出だ。
「さ〜てと、どうする指揮官君? 」
「とりあえず、まずは基地の外から探そう 」
全員固まって動いている事はまず無いとおもうし、現に最初の行動で1人は外の方向に走っていったはずだ。
俺とハインリヒはまず人気のない茂みの方に足を運んだ。
茂みには隠れられる場所が沢山あるから1人ぐらいいると思うんだけど……
「すぅ…… 」
すると向こう側から寝息を立てている奴がいた。この声……U-47だろうか?見つかってもアレなのでそっと寝息の方に忍び足で近づくと、思った通りU-47が木の梺で寝ていた。
「あ、U-47見っけ 」
「ん……誰? 」
U-47が俺の声で起きてしまい、瞼を擦りながら睡眠の邪魔をした俺を少しばかり細い目で見つめながら起きていく。申し訳無いと思いながらも、あくまで鬼ごっこなので捕まえないといけない。
「うわ!よく見つけたね指揮官君。私全然聞こえなかったよ 」
「ん、そう?結構聞こえていたと思うけど…… 」
「私の寝息はそんなに大きくない……指揮官と距離が近かっただけ…… 」
確かに俺とU-47の距離は結構近く、茂みを挟んでの距離だった。兎に角1人は見つけたので、残りはあと4人だ。多分もう外にはいないとは考えたその時、向こうの茂みが揺れる音が聞こえ、振り向いた。今は無風なので風の揺れでは無い。つまりは……
「あそこに誰かいる! 」
「え?どこどこ? 」
どうやらハインリヒには聞こえなかったらしく、俺は急いで向こう側の茂みにダッシュで近づいた。草木をかき分け、服に葉っぱが付くことも気にせず音がした茂みを飛び越えると、茂みの傍にU-552だった。
「げ!なんでバレた!? 」
「捕まえ……! 」
捕まえられと思ったが、流石はKAN-SEN。反応速度で一回り負けてしまい、タッチする事が叶わずそのまま逃げられてしまった。だが、U-552が逃げた先には……ハインリヒがいた。
「はーい!つっかまえた〜! 」
思い切り抱きつくように腕を広げ、ハインリヒはU-552を捕まえた。観念したようにU-552は暴れることもせず、地面に倒れ込むように膝を曲げた。
「あっちゃ〜負けたぁ!おっかしいな〜結構音には気を使ったんだけど……指揮官って、耳かなり良かったりする? 」
「ん?んん……どうなんだろ 」
自分でいい方なのかは分からないけど、さっきの茂みの音が聞こえたのは確かだ。今日はやけに色んな物が聞こえる気がする。
風の音、木々の音は勿論、意識をすればKAN-SEN達の呼吸音や鼓動音も聞こえたりする。
(なんだかやけに聴力が発達してるよな……成長期かな )
まぁ、そんな訳無いとして……とりあえずこれで幸先よく2人見つけた訳だが、もう外に居るということは無いだろう。いるとすれば基地内1階のどこか……構造も少ししか把握していない俺にとっては些か不利だけど……ハインリヒがサポートしてくれるはずだ。
「よーし、じゃあ今度は基地内に行こうか案内頼むよ 」
「ほいほーい、じゃあ行こうか 」
次に向かうのは基地内だ。ハインリヒによると、大まかにある部屋は、ロビーや食堂等の共同スペースの他に、武器庫や開発室があるらしい。
共用スペースは他のKAN-SENがいるため隠れづらいはずだから、その近くの目立ちづらい場所……階段とかに隠れている筈だ。と思ったが……
「いない!見つからない!どこなの!? 」
最初の2人のように簡単には見つけられずにいた。人気が多い場所に紛れ込んでいると思って共用スペースにも足を運んでも見つからないし、人気がなくて地味な場所を組まなく探しても見つからなかった。
「ううん、もう探してない場所となるとこの"研究室"だけど…… 」
「でもビスマルクの私室見たいなものだから、流石に潜水艦の子達は入ってないんじゃない?勝手に入ったら怒られるし 」
確かに……少なくともアネキと呼んで慕っているU-556はここにはいないだろう。だが、探してない場所はここだけだし、それでも見つからないとなると……
「……隠れる場所をちょくちょく変えている……のかな 」
俺達が他の場所に言っ行ってる間のタイムロスを利用し、隠れる場所を変えれば俺たちに見つかることも無いけど、道中で俺達と鉢合わせする事も少なくともある筈だ。なのにここまでそんな事は一切無かった。となれば……
「……俺達の行動を見ていて、他のKAN-SENに知らせてるなこれ 」
「という事は……監視されてるって事? 」
この鬼ごっこに参加していないKAN-SEN達に協力を求めていないならそうなる。だが、参加していないKAN-SENが1枚噛んでいる事はないだろう。
「つまり俺達をしっかりと見れる場所をキープしているって事は……この近くに居るはずだ 」
『ギシッ! 』
俺の考えがまるで正解と言っているように床の軋む音が聞こえた。急いで振り向くと壁越しからU-81がこちらと目が合った。
「うわ、やっば……逃げなきゃ! 」
「あ、待て〜!! 」
ハインリヒが先行してU-81を追いかけ、俺も後を追うように走る。速力的にはこっちが早く、性能差で2人から逃げ切る事は難しかったようで、あっさりと捕まってしまった。
「はいタッチ!これであと2人だね〜! 」
あと2人……U-556とU-110の事だ。監視役であるU-81の連絡が途切れたとなれば、捕まったと判断して迂闊には動けない筈だ。残り時間は……あと10分だ。思ったより時間が無かった。
「うわ、もう時間無いや……どうする? 」
「ここから先は二手に分けよう。捕まえたら連絡する。これで行こうか 」
ここで勝負をつけるならもう単独行動でケリをつけるしかない。ハインリヒは共用スペース、俺はこの辺りを調べる事になった。捕まったU-81を牢屋スペースに運びながら俺と分かれ、俺は気合いを入れて捜索にあたった。
時間を無駄には出来ない為、廊下を走り回っていると、曲がり角に人がいる事に気づかず、誰かとぶつかってしまった。
「あいて!……ててて、大丈夫? 」
「……えぇ、こっちは大丈夫 」
ビスマルクと同じような白い服に、白い髪……そしてどこかビスマルクと思わせるようなよく似た顔のKAN-SENは、何事も無かったかのように立ち上がり、ぶつかった拍子で落ちた白い軍帽を拾い、被った。あ、この人……
「君……もしかしてビスマルクの妹の……ティルピッツか? 」
「ビスマルク……あぁそういえば、私には姉がいたわね 」
「そういえばって……忘れてたの? 」
「そうね、もう……随分顔も合わせてないから 」
自分の姉妹艦の顔も忘れる程会ってないってどうなんだ……
「姉妹……家族なのにか? 」
「そうね…… 」
俺の質問に冷たく、それでいて寂しくティルピッツは答えた。まるで氷のように冷たいKAN-SENだ。ビスマルクとは少し違う寂しさが、彼女の身から伝わってきた。
「家族なんだから、もう少し一緒にいた方が良いんじゃないかな 」
「貴方には関係ないわ 」
「あるさ。一応、姉がいる身だからな 」
「姉……赤城達の事かしら 」
同盟を組んだだけあって、流石に俺の情報は把握しているか……質問に俺は首を縦に振り、ティルピッツはさらに質問してきた。
「大体の経緯は聞いたわよ。血の繋がりの無い家族って、どんな物かしら? 」
皮肉じみた問いに俺は怒りもせず、ただ笑い返して答えた。
「確かに血の繋がりが無ければ、俺は元セイレーンだ。傍から見れば歪かも知れない……けど、繋がりは確かにある 」
「繋がり……? 」
「うん、家族の繋がり。離れていても、ぶつかり合っても、どんな事があっても切れない繋がりだよ 」
姉さん達と敵として対決したあの時、行き違いはあっても俺と姉さんは互いの事を思っていた。流石に足を撃ち抜くのはやりすぎだったけど……まぁ、最後は昔のように過ごしている。
思い出に浸りながら話していると、ティルピッツは表情一つ変えずに話を聞いていた。
「随分と仲がいいことね 」
「そりゃあ家族だから 」
「家族だからって仲がいいとは限らないわ 」
その答えとなる人物が目の前にいる事から俺は言葉を出ずにいた。
「それじゃ、私はこれで失礼するわ 」
そう言ってティルピッツはそのまま何事も無く去ってしまった。
「……あの人がそう思ってくれてる訳ない 」
「え? 」
去り際にティルピッツの声が耳に届き、ティルピッツはやはり振り向かなった。最後のあの言葉って……
「あれが本心……なのかな 」
勝手な解釈だが、寂しさが表に出た言葉だと感じた。ティルピッツ本人からしたら、ビスマルクと仲良くなりたいのだろうか。
勝手な行動でお節介かもしれないけど、ビスマルクにあったらティルピッツの事を話しても良いだろう。
「って、俺隠れんぼの途中だった! 」
残り時間も短い中で急いで隠れている2人を探す為に走り回りと、ポケットの中にある携帯端末から連絡の着信音が流れた。どうやら届いたのはメッセージらしく、ハインリヒからだった。
『指揮官君〜こっちでU-110を見つけたよ〜! 』
『了解。じゃああとはU-551だね。頑張ろう 』
ハインリヒにメッセージを送り、残りは1人だ。ここから先は時間との勝負だ。
「……ちょっと探してない所に行こうかな 」
探してない所と言えば1階の研究室だ。だが、あそこはビスマルクぐらいしか立ち入れず、他のKAN-SENは入れないらしいが、まぁ見るだけ見ておこう。
幸いそれ程遠くなく直ぐに研究室の扉の前に着いた。
「なんか……いかにもなんかしてますよ〜って扉だな〜 」
ほかの扉と違って重厚感満載の鉄の扉が行く手を阻むように立ち塞がっており、どうやって入った物か分からない。隣に指紋認証の装置がある為触れてみると、エラーが出て扉はうんともすんとも言わなかった。
「やっぱりダメか〜 」
まぁ、鉄血の者でも無い俺が認証する訳ないし、やっぱりここには居ないかも知れない。諦めてここから去ろうとすると、端末から何かに反応したのかピピッと音を出し、何故か扉のロックが解除され、扉が出迎えるように開いた。
「え?何で? 」
中から誰か出てきたのかと一旦扉から離れるが、中から人は出てこない。まるでここに入れと言わんばかりの雰囲気だ。
「……一応警戒しておこう 」
自分の中にいる自分がこの先何かが起こると警告し、俺は警戒心を強めて扉の奥に進む。
部屋は薄暗く、とてもじゃないが見えづらい。
部屋の中は少し広く、辺りには主砲や副砲が机の上に丁寧に置かれていた。だが、どこか普通では無かった。
試しに主砲に触れると、反応するように主砲に赤黒いラインが浮かび上がった。
「これ……セイレーンの武器……!?いや、KAN-SENの武器とセイレーンの武器の合成武器……かな 」
元々セイレーンの俺は直感でこれがセイレーンの武器だと判断し、主砲から手を離した。
「セイレーンの研究に右に出るものはいないって言われてるけど、まさかここまでとは…… 」
恐らく試作段階だが、まさか合成武器まで製造するとは、改めて鉄血の技術力に脱帽した。武器だけじゃない、副砲や魚雷まで合成武器だ。もしこれが量産され、実戦投入すればセイレーンとの戦闘は有利に働く事だろう。もしかしたら……マーレさん達にも対抗出来るはず。
「……た……が 」
「っ……この声……ビスマルクか? 」
朧気ながらビスマルクの声が聞こえ、俺はビスマルクの声の方向に移動する。耳に神経を集中させ、足音を立てずにゆっくりと移動する。
すると、明かりがついている場所を見つけ、物陰に隠れながら移動する。
「それで、今日はなんの用かしら。貴方の存在をあまり知られなくないのだけど 」
「あら、今日は少しいい事を教えようとしたのに。つれないわね 」
(この声……ビスマルクと……まさか! )
咄嗟に壁に隠れ、見つからないようにそっと体を出すとやはりそこにはビスマルクがいた。そして、ビスマルクの先にあったのは……無数の触手をうごめかせ、色素の薄い肌を顕にしていた女性……セイレーンのオブザーバーがいた。
(なんであいつがここにいるんだ!? それに、
まるで昔からオブザーバーとビスマルクは繋がっているような言い方だ。いや、事実なのだろう。
事の始まりは知らないが、ビスマルクはオブザーバー……最悪セイレーンという組織事態と繋がっている。
セイレーンの技術を提供する代わりに、何かしらの情報を与える……という取引で良いのだろうか?
「あの子は元気かしら? 」
「元気と言えば元気ね。この数日で他の子と仲良くやってそうでなによりだわ 」
誰の事を言ってるんだ……?聞き出そうにも今ここで姿を見せて問い詰めてもオブザーバーは逃げ出すに違いない。ここは黙って様子を見るしかない。
その時だ、ふと周りを警戒すると物陰から誰かの気配がした。慎重に近づき、ビスマルク達に悟られないように慎重に気配の元を辿ると、確かな人影が見えた。
「……動くな 」
「へっ……!? 」
影に向けて銃を突きつけるように向けると、すぐ様影は慌てふためくようなシルエットを浮かばせていた。
徐々に目が慣れたのか暗闇が晴れ、人影の正体が顕になった。
「……U-556? 」
「指揮官……?なんでこんな所に? 」
「それはこっちのセリフだよ。ここはビスマルクぐらいしか入れないんだろう? 」
動揺した彼女から銃口を向けるのを止め、俺は彼女に問い詰めた。
「あ……アネキがいたから声をかけようかなって思って、そしたらセイレーンがいて……心配でここに…… 」
「なるほど……怖がらせてごめんね 」
分からなかったとは言え、KAN-SENに銃を向けるなんて指揮官失格だな……
「あら、どうやら彼も来たようね?こっちに来たらどうかしら? 」
「み、見つかった!? 」
「いや、オブザーバーは【彼】って言った。多分見つけたのは俺だけだ。U-556は早くここから逃げてこの事を皆に伝えて 」
俺はその場に立ち上がり、あちら側からU-556が見えないように遮りながらビスマルクとオブザーバーに姿を表した。
耳から聞こえる微かな足音から、どうやらU-556は無事にこの部屋から出たようだ。
「久しぶりね、コネクター 」
「俺はそんな名前じゃない。それに、コネクターはもういない 」
そうだ、コネクターは……消滅した。俺の中のメンタルキューブと、セイレーンのキューブの力の衝突が原因で、彼は……自らの意思で犠牲になった。
だが、オブザーバーはそれを嘲笑うかのように見下し、笑った。
「あらそう、貴方の本当の家族は私たちなのにね」
「黙れ!俺の家族は天城母さんや赤城姉さん達だ!お前らなんかじゃない! 」
「家族ね……セイレーンである貴方と、人では無いKAN-SENの家族……フフフ 」
「何がおかしい!! 」
家族の存在を否定されたような笑みを見た俺は怒りでオブザーバーに銃口を向けた。
「おかしい所だらけよ。いえ……滑稽、歪……うふふふ、なかなかどうして…… 」
「っ……!……いや、それよりもお前がなんでここにいる 」
今ここで撃ってもセイレーンは本体がいる限り何度でも復活する。無駄だと理解した理性が怒りを抑えるように、俺は銃口を静かに下げた。
「ん〜ちょっとの警告と、お友達に会いに来た……かしら? 」
「友達……? 」
と言うと……ビスマルクの事か?話を聞いた限りだとかなり繋がりが長いようだが……一体いつからビスマルクはオブザーバーとコンタクトを取っていたんだ?
ビスマルクに顔を合わせると、彼女は目を合わせず、帽子を深く被り、目を見せないようにした。
「……ビスマルクとはいつから取り合っていたんだ 」
ビスマルクから聞き出そうにも、あの状態では何も答えないだろうから、目の前のオブザーバーに話を聞いた。
「レッドアクシズが設立する少し前……って言ったら? 」
「そんな前から……って驚くよ 」
言葉通りに、内心俺はかなり驚いている。少しでも驚愕した素振りを見せれば何かされるという警戒心がポーカーフェイスを促せた。
しかしオブザーバーはそれを読んでいるのか、余裕の笑みで足を組み、見透かすように見ていた。
「それじゃあ……密会もバレた事だし、今日は失礼するわ。まぁ、もう二度と会わないけど 」
オブザーバーは紫色に光るワープホールを生み出し逃げようとすると、逃がさないように俺は銃の引き金を引き、ビームの弾丸をお見舞いさせる。
しかし、オブザーバーの背後にある無数の触手が容易く受け止められてしまい、オブザーバー本体は無傷のままだった。
「うふふ、別れ際にもうひとつ……そろそろ戦闘準備をした方が身のためよ? 」
「どういう事だ! 」
しかしオブザーバーは消えてしまい、それと入れ替わるように遠くから轟音が聞こえた。この音……間違いなく実弾による物だ。この海域の近くで戦闘が起こったのは間違いない。
セイレーンとの戦闘……?いや、さっきオブザーバーとビスマルクが会話していたからそれは無い。
じゃあ……誰と誰との戦闘だ?いや、少し考えれば分かる事だ。今の勢力は3つ。アズールレーン、セイレーン、そして……テネリタスだ。
KAN-SEN達からの連絡が無いことから、恐らくセイレーンとテネリタスが戦闘してるだろう。しかも鉄血の海域内……下手をすれば鉄血に住む人々を巻き込んでしまうだろう。
「……ビスマルク、この戦闘が終わったら詳しく聞かせてもらうよ 」
「……えぇ、分かってるわ 」
ビスマルクとの間に冷たい溝が生まれたのを感じ、俺達は急いで戦場の海へと走り出した。
もしもの話(R-18)を観測しますか?
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Yes
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