もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら〜2nd season 海上の誓い〜   作:白だし茶漬け

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皆さんこんにちは。クーラー届いたのはいいんですけど私寒がりなんで夏でも布団を被って寝てる白だし茶漬けです。

さて、この鉄血編もクライマックスになっており、あの数話で終わります。1年前ぐらいにこの小説を書いて、もう80話ぐらいになっていたのを自分でも驚いています。鉄血篇はもうすぐ終わりますが、この小説の話はまだまだ終わらないので皆さんどうぞよろしくお願いします(o_ _)o


家族の願い

 悲痛で苦しさが伝わってくる叫びが聞こえる。彼女は金色の髪を靡かせ、顔を見せないように軍帽を深く被り、俺達に砲弾を浴びせ、拒絶するように距離をとる。

 

「ビスマルク!」

 

 荒れ狂う砲弾の嵐の中、俺は彼女の名前を叫び続ける。だがどれ程名前を呼んでも届かずにいた。

 

「姉さんっ! 」

 

「アネキっ! 」

 

 彼女の妹、彼女を慕う人でさえビスマルクには届かなかった。聞く耳を持たず、ビスマルクは俺達に攻撃をし続ける。

 

「カナラずハタす……! わタシのネガいを……! 」

 

(願い……? なんの事だ?)

 

 時々ビスマルクが呟く『願い』と言う言葉に俺は引っ掛かりを感じていた。彼女の性格上では、『願い』では無く『目的』と言うと思ったが、ビスマルクには叶えたい願いがあるのだろうか……? 

 

「マモる……カミが……カ……ク……マモ……る」

 

(守る……? 神が何を守るんだ? )

 

 恐らくビスマルクが言っている願いはそこにある。だが、肝心の何を守りたいのかは聞き取れずにいた。もう少し集中すれば何を言っているのか分かるが、今この状況ではそんな事は許してはくれなかった。

 

 しかもこうしてる間に他のセイレーン達を食い止めているKAN-SEN達だって保つかどうか分からない。ビスマルクだってそうだ、明らかに自分の限界以上の力を出しているからか苦しそうに体を悶えさせている。

 

「グッ……っァァ……!! 」

 

「……やるしかない 」

 

 ここまで俺達はビスマルクに対して一切攻撃をしてこなかったが、こうなってしまえばもう時間をかけてる余裕は無い。

 

「ティルピッツ、U-551、俺はビスマルクを撃つ……! 」

 

「っ! 指揮官それって……! 」

 

「大丈夫。少し動きを止めるだけだ。俺がビスマルクに接触したら、俺の肩でも腕でもどこでもいい。俺に触れてくれ。そうすればビスマルクを助けられる可能性が生まれる 」

 

「……貴方に出来るのかしら。演習でもKAN-SENを撃てなかった貴方に 」

 

 2人とも俺のやる事に信用してはおらず、疑心暗鬼になっていた。だが、こうする他に道はない。だからといって説得材料もある訳でもない。2人を納得させるには俺の意思を……本気を信用させる他ない。

 

「……信じてくれ! 」

 

 2人の目を見て、俺はありったけの本気をぶつけた。目を逸らさず真っ直ぐ2人を見つめた。

 

「……わかった。貴方を信じよう 」

 

「私も……! 指揮官を信じます! 」

 

「……! ありがとう……! 行こう……! 」

 

 俺達3人はビスマルクに狙いを定め、ビスマルクの動きを止める為に動いた。

 俺が先陣を切るように加速し、ビスマルクの攻撃を受け止める。

 大盾を二丁拳銃に変え、嵐のような砲弾は艤装のミサイルで迎撃する。だが通常よりも強化されている黒い砲弾やブラックホールを生み出す特殊な砲弾は流石に一筋縄では行かない。

 

 特にブラックホール弾は厄介だ。まだビスマルクはこちらに撃ってはいないが、撃たたれば重力には逆らえないし、何しろ砲弾がそちらに引かれるように誘導するから蜂の巣になる。対策としては1つ。撃たれる前にビスマルクに近づくことだ。

 

 今の所は順調にビスマルクとの距離は縮まっている……これならば……! 

 

 しかし、その油断が命取りになった。

 

「指揮官! 左方向! 」

 

 ティルピッツの声で左方向に顔を向けると、真っ直ぐにこちらに向かってくる砲弾が向かっていた。

 回避も出来ず砲弾は俺の艤装に直撃してしまい、俺はかなりのダメージを負ってしまった。

 

「がハッ…… 」

 

 艤装のダメージでよろけてしまい、俺は一瞬だが足を止めてしまう。

 

「指揮官! 」

 

 ティルピッツとU-556は俺の元に駆け寄ってくれたが、そのせいでビスマルクには攻撃の隙を与えてしまった。

 ビスマルクが一際大きなエネルギー弾を俺達の後方に放ち、着弾すると巨大なブラックホールを発生させた。

 

「うぐ……なんて重力だ……! 」

 

 俺たち3人は重力に逆らえず、そのままブラックホールの中心に引き寄せられてしまう。前に進もうにもブラックホールの引力の方が強力であり、引き寄せられる力が弱まる程度にしかならなかった。

 

「このままじゃ姉さんに近づけない……! 」

 

「いや、それどころか集中放火を食らってしまう! 何とかして脱出しないと! 」

 

「でもどうやって!? 」

 

 ビスマルクが一斉射撃の体制に入り、考える余裕は無さそうだ。

 

「出来るか分からないけどやるしかない……2人とも、俺のどこかに捕まってくれ。最大速力でブラックホールの重力を抜ける 」

 

「えぇ!? 指揮官……さっきダメージを受けたのに……大丈夫なのですか? 」

 

「大丈夫、ちょっと傷が入っただけさ 」

 

 こうは言ってるが、俺の艤装は先程の直撃によってかなり損傷しており、一部の表面の装甲がえぐれて内部構造の配線が顕になって青い火花が少し飛び散っている。

 

 だが、この程度なら本当に問題ない。損傷としてはミサイルと一部の武装が使えない事だけだ。

 空気抵抗を少しでも抑えるように姿勢を低くし、早く最大加速に到達する為に艤装の出力を高める。

 

「早く! 」

 

 ティルピッツは右肩、U-556は左肩を掴み、準備は完了。後は……俺次第だ。

 

「よし……2人とも、なるべく姿勢を低くして。今から加速でかなりの衝撃がくるから 」

 

「こっちは準備良いわ 」

 

「私もです。いつでもどうぞ! 」

 

「よし! 行くぞ! 」

 

 艤装の甲高い駆動音と共に、俺達は重力から逃れた。

 凄まじい速さで体が押し潰されそうな衝撃に見舞われながらも、俺達は耐え続けた。今の所は順調だ。ブラックホールから離れられてる……のだが

 

(グッ……艤装これ保つか……!? )

 

 さっき直撃した影響で艤装が損傷し、悲鳴を上げてるように火花が飛び散っていた。背中から全身を襲うような痛みを堪え、速度を落とさないように前へ前へと顔を向ける。

 

 前へ

 

 もっと速く

 

 この手が届くまでもっと速く強く

 

 もう少しで手が届くその距離になった瞬間、背後から爆発音が聞こえた。

 正体は察していた。艤装だ。無理をしたから俺の艤装は悲鳴をあげて爆発を起こしたんだ。別に機能不全に陥った訳では無い。そうなったら俺は死んでいる。

 恐らく加速で破損箇所がダメになり、一時的に機能が停止したに過ぎない。だが今はダメだ。ブラックホールに飲まれてしまう。あともう少しなのに……! 

 

 でも、せめて2人だけはと俺は肩を抱いている2人の手をそれぞれ掴み、思い切りビスマルクの方に投げ飛ばした。

 

「っ、指揮官!? 」

 

「指揮官!! 」

 

「せめて……お前たちだけは……! 」

 

 2人はブラックホールの射程外に逃れ、俺はブラックホールに飲み込まれるように後ろに下がってしまう。抗えない重力に飲み飲まれ、ついにはブラックホールの側まで来てしまった。

 ビスマルクはもう発射体制に入ってる。これは……終わったか……

 

「姉さんっ!! 」

 

「アネキ! 」

 

 投げ飛ばした2人はビスマルクの側まで接近し、砲撃する事も魚雷を撃つこともせず、ただビスマルクを抱きしめていた。

 

「……! ティ……ルピッツ、U-……5……56? 」

 

 一瞬だけ正気を取り戻したビスマルクは2人の名前を呼び、動きを止めた。ブラックホールも黒い粒子となって消滅し、俺を引き寄せる引力も消えた。

 

「この隙に……! 」

 

 ビスマルクが正気に戻ったとはそれは一時的だ。その証拠にビスマルクの艤装からおぞましい黒いオーラがまた立ち込み、2人を払いのけようとビスマルクは暴れだした。

 

「指揮官! 」

 

「今のうちにはやく! 」

 

 このチャンスを逃す訳には行かない。倒れた体を痛みをこらえて起こし、今出せる全速力でビスマルクの元へと駆け寄る。

 数秒が数分にも思えた中、俺はようやくビスマルクの元にたどり着いた。

 

「届いた……! 戻ってこい! ビスマルク! 」

 

 長門の時と同じような白い光が俺達を包み込み、この場にいる4人は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 頭が緩やかに締め付けられるような感じになりながらも、俺は目の前の敵を切り刻んだ。左腕の剣と右腕に装着されていた武器は両方とも鋭利な爪に変わっており、接近戦重視の戦闘スタイルとなった。

 

 艤装も荒々しく獣のような姿に変わり、近づく敵をその強靭な牙で噛み砕いていた。最早これは戦闘では無い。

 

 腸を貫き、胸を切り裂き、頭を飛ばす。圧倒的な力の前に為す術なく人型セイレーンは無惨な肉塊へと変わり、俺の虐殺劇は幕を閉じた。

 

「さて……こんな程度か 」

 

 辺りには黄色い血で染まったセイレーンの残骸が転がっており、俺の体と艤装もその返り血で覆われていた。

 顔に付着した血を乱暴に吹き終わり、高みの見物をしている上空のオブザーバーとピュリファイアーに狙いを定める。

 

「どうする、まだやるか 」

 

「……いえ、遠慮するわ。今の私達では貴方は手に負えないわ 」

 

「懸命な判断だ 」

 

 バツが悪そうなオブザーバーの姿を見ると心做しか随分と心地が良い。いつも余裕そうな表情をしているのが気に食わなかったのが今更ながらよく分かる。

 

「リュウマも貴方の祖母とKAN-SENにやられてるし……今回は素直に負けを認めるわ……! また会いましょう、マーレ 」

 

「ちっ……つまんねぇの 」

 

 2人は逃げるようにワープゲートでこの海域に撤退すると、それと同時にこの海域にいた量産型セイレーンは機能を停止した。とりあえずは終わったか。

 

「さて……後はあいつだけだな 」

 

 優海達がいた方角に突如として白い光が見えたのを確認した。恐らくは長門の時と同じ事をしているのだろう。

 セイレーンはもう撤退したのだから、今更俺が援護をする必要は無い。俺は元の形態へと戻った。

 戻った瞬間に身体中の力が抜かれるような感覚に陥り、思わず片膝をついてしまう。

 

「グッ……まだこの力には慣れてないな…… 」

 

 呼吸が荒くなり、身体中が悲鳴を上げているような激痛が走り、俺は抗うように歯を食いしばる。

 

「マーレっ!! 」

 

 痛みを堪えていると、ミーアさんがこちらへと戻ってきた。そりゃあ当然だ。なんせ戦闘は終わったのだから。

 ミーアさんは俺の様子を見た瞬間血相を変えて俺に駆け寄った。

 

「大丈夫!? 待ってて今治療を……! 」

 

「この程度……大丈夫で……す! 」

 

 俺はミーアさんの治療を断り、苦し紛れに立ち上がった。

 

「はぁ……はぁ……KAN-SEN達の状態はどうですか…… 」

 

「……KAN-SEN達は皆満身創痍よ。本当にギリギリだったから、よく頑張った方よ。もう、私達に攻撃出来る余力も残ってないわ 」

 

「そう……ですか 」

 

 まぁ、本当によく耐えた方だろう。これでもし余力があってこちらに攻撃を向けたら俺でも耐えられるかどうか分からないからな……まだまだ足りない。これじゃあ……ダメだ! 

 

「もっと……もっと強くならないと……! 」

 

 呪われているように俺は何度も何度もそう誓い、優海がいる所へと足を運んだ。

 

「マーレ…… 」

 

「何……してるんですか? 行きますよ 」

 

「……えぇ。分かったわ 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん……んん? ここ……は? 」

 

 夜明け前の黒い空に、寂しい黒色の海……そして、俺が今いる所は氷の上だった。

 

「うおっ!? 冷たっ!! ……ここって、ビスマルクの心の中……で良いのかな? 」

 

 オロチさんに聞こうにも石には反応が無い。多分この世界には通信の類は一切届かないらしい。まぁそりゃそうか……ここは言わばビスマルクの心の中だもんなぁ……

 

「ティルピッツとU-556はどこなんだろう…… 」

 

 確かビスマルクの隣にはティルピッツとU-556が居たはずだ。近くにいたのならば恐らくはここに来てると思うけど……近くに姿は見当たらなかった。

 近くを捜索する為、氷山から海上へ降りようとすると、突如として遠くの方で爆発が起きた。

 

「何だ!?」

 

 目視で爆発を確認すると、そこまで遠くは無い。俺は急いで海上へ着地し、そのまま爆発した所へと移動する。

 幸い深層世界と現実世界は違う為か、艤装のダメージは無くなっていた。

 

「爆発した場所って……この辺だよな」

 

 爆煙の匂いが鼻につき、間違いなく爆発源はこの近くだ。周りには朽ちた艦が多数あり、どれも先程の爆発のせいか半分沈没していたものだってあった。

 どれも違う艦であり、一体誰にやられたんだ……? そんな中漂っていると、後ろ姿のビスマルクを見つけた。

 

「違う……私が望んだのはこの未来じゃ無い……! 」

 

 何か思い詰めてるように頭を抱えていたビスマルクはまるで蜃気楼のように突然姿を消してしまった。

 

「おいビスマルク! ……望んだ未来? 」

 

 恐らく、現実世界で言っていた【願い】の言葉と関係がありそうだが……判断材料がまだ無い。

 

「……とにかくビスマルク達を探そう 」

 

 ここでまだ合流出来てないとなるとかなり危険だ。まずはビスマルクよりも、ティルピッツかU-556を探した方が良いだろう。

 だが、この場所で一体どこを探せば良いのやら……

 そんな悩んでいる時、またもや違う方向に爆発が起きた。今度は少し距離がある。

 

「ビスマルクか!? 」

 

 さっきと同じパターンなら、今度もビスマルクがいるはずだ。氷の上に飛び乗り、なるべく最短距離で爆発元まで駆ける。

 

「……いた! 」

 

 やはりビスマルクの姿と朽ち果てた艦が転がっており、今度はティルピッツとU-556もいた。

 

「ティルピッツ! U-556! 」

 

「指揮官! 無事だったのね 」

 

 2人は名前を呼ばれて俺の方に振り返り、俺は無事に2人に合流した。幸い目立った外傷も無いようで何よりだ。

 

「指揮官、目の前にいる姉さんは何者なの……? 」

 

 目の前にいるビスマルクは決してこちらに顔を向けず、肩を震わせていた。震えている肩を抑えるようにビスマルクは自身の肩を抱き続け、まるで許しを乞うように膝まづいていた。いつも見るビスマルクとはやけに雰囲気が違うようだが……

 

「多分、ビスマルク本人……というか、本心なのかもしれない 」

 

 ここがビスマルクの心の中なら間違いなくそうだ。背中越しのビスマルクに近づこうとすると、不意に俺の両耳からビスマルクの声が聞こえた。

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……! 」

 

 何度も何度も誰かに対して誤っているビスマルクの声……その声は震えていて、"鉄血のビスマルク"とは程遠かった。

 

「私が望んだ未来はこれじゃない……でもこれは決められた未来……! この未来を壊すために私はセイレーンの力を手にしたのに! 」

 

「……ビスマルク、もしかして…… 」

 

「どうしたんですか指揮官? 」

 

「ねぇ、ここにある艦って……もしかして全部鉄血の艦って事は無い? 」

 

「え? ……あ、確かに 」

 

「この中には私の艦もあるわね……どういう事かしら 」

 

 2人の答えに、俺は確信を得ることが出来た。

 

「ビスマルク、もしかして……鉄血の皆を助ける為にセイレーンに手を貸していたんじゃないか? 」

 

 ビスマルクは自身の本心をつきつきられたせいか、震える肩を止めた。

 

「どういう事なの指揮官? 」

 

「多分、ビスマルクの目的はこの起こり得る未来を回避する事だ。その為にセイレーンに手を貸して、未来を回避する力を得ようとした……んだと思う 」

 

「起こり得る未来……? そんなの分かるんですか? 」

 

「多分セイレーンから聞いたんだろう 」

 

「そんなの…… 」

 

「勿論これは俺の勝手な推測だよ。だけど、ビスマルクのあの様子からしたら……間違いは無い 」

 

 いつも冷たくて冷静な態度をしていたビスマルクだが、蓋を開けるととても暖かい本心がそこにはあった。ビスマルクは口に出して無いだけで、誰よりも鉄血の事を愛していた。だからこそ人類の敵であり、倒すべき敵であるセイレーンと手を組んだのだろう。

 その時のビスマルクの気持ちなんて、言葉に出す以前よりも考えるだけで想像絶する。

 

「私は、私は家族を守りたかった! 私に力が無いから……私に力があれば……! 鉄血を、皆を……! 」

 

「ビスマルク…… 」

 

「だから私は……カミニナる! 全テをクツガエすアットウテキな力ヲ手にいレル!!! 」

 

 突如ビスマルクの背後に黒い影がビスマルクを飲み込み、ビスマルクは黒い仮面を被って影から影を表すと、ビスマルクの艤装は原型を留めていないほど変わっており、自身の体よりも一回りも二回りも大きい艤装へと変わり、まるで蛇のような顔をしている艤装が左右に二砲存在し乱雑にでている砲塔が異形さを極めていた。

 

「なんだ……これ!? いや……これって…… 」

 

 全く形は違うが、何処か面影があるあの艤装……間違いない。あれは……俺が前使っていたセイレーンの艤装『リュウグウノツカイ』に似ていた。

 

「なんで俺の……いや、コネクターの艤装と似てるんだ……!? 」

 

「指揮官っ!! 」

 

 疑問はビスマルクが放った轟音と共に吹き飛ばされ、俺はティルピッツに体を押されてビスマルクの攻撃を回避

 した。

 

「っあ……! 」

 

「ティルピッツ! 」

 

 回避したのにも関わらず俺を庇ったティルピッツは多少のダメージを受けてしまった。やはりかなり強化されており、直撃したら間違いなく終わるだろう。

 ビスマルクは銃口をこちらに向け、直ぐに次の攻撃に入った。

 

「くそっ……! 」

 

 俺はティルピッツを抱え、全力で後退した。ビスマルクは砲弾の上空に向けて放つと、撃った弾は上空で拡散し、ビームの雨を降らせた。

 

 針の穴に糸を通すようにビームとビームの間を移動し続け、どうにかして攻撃を避けようにもビスマルク本人が俺に向けて主砲を構えた。ビスマルクの艤装にある異形の化け物の口が開き、今にも俺を食い殺そうと口の中でビームの出力を高めていた。

 

「まずい……! 」

 

「させません!! 」

 

 U-556が水中からビスマルクの背後に突如現れ、ありったけの魚雷を直撃させようとした。

 

「っ…… 」

 

 しかし、相手がビスマルクだからかU-556は撃つのを躊躇ってしまい、その一瞬の隙が命取りとなった。

 ビスマルクは異形の艤装の背後にある尻尾のような物に捕まってしまい、体を締め付けられていた。

 

「っぁ……あぐっ……! 」

 

「U-556!!」

 

 こちらに攻撃を止めた隙にティルピッツを安全な場所二一旦下ろし、艤装のミサイルと武器を二丁拳銃に切り替え、ビスマルクの艤装に向かって弾幕を形成した。

 

 しかしビスマルクは1つの黒い弾丸を放ち、爆殺させるとブラックホールを生み出した。俺が撃った弾は全てブラックホールに吸い込まれてしまい、消えていくブラックホールと共に消滅してしまった。

 

「嘘だろ……!? 」

 

「ぐっ……あぁ……ぁ…… 」

 

 締め付けられているU-556は苦しそうにもがいており、そろそろ限界が近い。このままでは本当にU-556が……! 

 

「ビスマルクやめろ! それ以上したらU-556がっ!! 」

 

 しかしビスマルクは聞く耳を持たないようにさらに締め付ける力を強めた。

 

「ビスマルクゥゥゥ!!! 」

 

 遠距離戦では決定打が打てないと踏んだ俺は接近戦に切り替えると全速力でビスマルクの元に近づく。

 敵を近づけさせないようにビスマルクは弾幕を形成し、俺は弾幕のせいで中々前に進めなくなった。

 防御だけで精一杯になり、前に進めなくなってしまった。

 

「ア……ネ……キ…… 」

 

 意識が遠くなったのかU-556はだらんと腕を下ろし、体の力が抜かれ、一筋の涙をこぼした。

 

「……U……55……6??」

 

 

 流れた涙は艤装に触れ、そこから何かを感じたのかビスマルクは攻撃を止めた。この隙に俺は一気に加速をさせてビスマルクの元にたどり着くと、U-556を捉えている艤装の尻尾を切断した。

 

 直ぐにU-556を抱き抱え、追撃されないように魚雷をトラップ代わりにわざと不発させて海上に浮かばせ、武器を自律並走のビットへと変形させて魚雷にビームを打ち込ませ、爆風で目眩しさせた。

 そのかいあってかビスマルクは追撃せず、ティルピッツがいる安全距離まで撤退できた。

 

(さっきのビスマルクの反応は…… )

 

 一瞬だけだが確かにビスマルクはU-556に対しての力を緩めていた。それならまだ説得の余地は十分にある。だが、接点がほとんど無い俺では説得は無理だ。かと言って今2人は動けない状態だ。仮に動けたとしても、今のビスマルクには言葉は届かないだろう。

 なら、俺が出来ることはひとつしかない。

 

「ティルピッツ、U-556をお願い。俺は……ビスマルクを止める 」

 

「止めるって…… 」

 

「もちろん命を奪うとかじゃない。ちょっとガツンと1発目を覚まさせるだけ。でも、その後の説得は2人に任せる 」

 

「……分かったわ 」

 

「うん、ありがとう 」

 

 ティルピッツにU-551を任せ、俺はビスマルクの前に姿を表した。敵を見つけたビスマルクの艤装はドス黒いオーラを放ちながら、俺に明らかな敵意を見せていた。

 対してビスマルクはまだ仮面を被り続けており、表情が読めなかった。

 

 改めて見ると今まで目にした中で1番のおぞましさと恐ろしさがあり、無意識に俺の体は少し震えていた。それでも、前に進むことをやめてはいけない。

 

「ビスマルク、お前を……止める! 」

 

 

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