もしもアニメのアズールレーンに指揮官が出てきたら〜2nd season 海上の誓い〜   作:白だし茶漬け

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こんにちは、白出し茶漬けです。

最近寒いですね〜こっちの地域ではようやく雪が降って参りました。こういう時の布団は中々の魔力を持っているからなかなかに強敵ですね。

さて、2週間という間があるので、ここで少しこの章のあらすじを以下の方に書いてみようと思います。

理由は結構内容が難しいかつ頻度が昔と比べてかなり遅いので、状況の生と整理が主な理由です!

それでは、ご愛読の方よろしくお願いしますm(_ _)m


﹁これまでのあらすじ﹂

アズールレーン上層部の命令で、優海達は北方連合へと向かった。内容は、北方連合の海域にあるセイレーンの基地、【王冠】と呼ばれる施設の調査だった。

しかし、その先で【テネリタス】の【マーレ】と7代目当主【マリン】、そしてセイレーンである【オミッター】が襲いかかる。

【オミッター】の手によって北方連合のKAN-SEN達は暴走し、仲間である優海達に襲いかかり、その最中、優海は痛手を受けてマーレと共に王冠内部へと突入してしまい、KAN-SEN達はマリンと共に北方連合とセイレーンに挑んでいった……


基地内部へとたどり着いた優海だが、その中でマーレと再会し、ベルファストと名乗る謎のKAN-SENが立ちはだかり、マーレの協力によってベルファストは撃退した。

そして、優海は基地の奥でこの基地の秘密やKAN-SEN達の素性を知ることとなった……




主なき兵器

体中が重く、悲鳴をあげてるみたいに痛い。

 

瓦礫に埋まっているせいで身動きも取れず、行きも苦しい。周りは真っ暗で、唯一の光が瓦礫の隙間から差し込まれていた。

 

一刻も早くここから抜け出す為に瓦礫を押し出し、何とか人一人分が抜け出せる穴を作り出し、その穴に向かって手を伸ばす。瓦礫に手をかけ、そのままようやく顔を出し、瓦礫の海から抜け出した。

 

瓦礫の中の息苦しさから解放されて息を大きく吸い、周りを見渡すとそこには激しい揺れのせいなのか、建造物の殆どが崩れ去っていた。

 

地面も抉れ、最早道とは言えない道だけが残されていた。

 

「どうなってるんだこれ…… 」

 

明らかに誰かの介入によって生み出された衝撃で壊れたのは間違いない。

 

この基地にいてそれが出来る人物と言えばマーレさんしかいないが、明らかに一人ではどうこう出来る規模じゃない。少なくともあと一人はいる。だけどこの基地を破壊する理由がマーレさんには無いはずだ。

つまり、マーレさんとあと一人はいま戦闘をしている……?

 

瞬間、後方に爆発が起こり、爆発の衝撃が背中に突き通った後、すぐ様後ろに振り返った。

 

振り返った先にはビームの光と爆発が飛び交い、異形な艤装を背負った者が二人いた。

 

1人はマーレさんでもう1人は知らない人だ。あの白髪の少女では無く、それと同じぐらいの小さい子だ。

誰なのかも分からず、艤装を背負っているからKAN-SENかと思ったけど違う。明らかに船とは言えない外観の艤装で、まるで違う動物を掛け合わせたキメラのような外観の艤装は、見る者を畏怖感を与えようだ。

 

あまりの唐突な光景に立ち尽くしてしまい、2人の戦いを傍観していたが、流れ弾であるビームがこちらに近づくのを目にした俺は咄嗟に回避行動を取った。

さっきの事故やベルファストとの戦闘で痛手を負って上手くは動けないが、少しはマシに動けるようにはなった。

 

だけどあの戦闘には参加出来るぐらいと言えばそうでも無く、はっきりいって介入するのは危険だ。そもそもマーレさんは誰と戦ってるんだ?

 

気になってもう片方の方を凝視し、見た目はかなり小柄であり、多分女性だろう。それに素朴な白い服に全身はボロボロであり、まるでどこか人間のようだった。

 

「……人間? 」

 

俺はふと、あの瓦礫の下に埋まった研究資料にあった【メンタルキューブ適合実験】の欄を思い出した。

確か被検体にキューブを取り込ませて実験しており、その殆どが失敗したと記述してあった。

 

被検体ってまさか……人間?つまり、ここの人達は人体実験を行っていたということになる。という事は、今マーレさんと戦っている子はその実験の被検体であると同時に、未来から来た生存者という事にもなる。

 

という事は、資料にあった【エックス】と言う敵についても分かるかもしれない。

戦闘を止めさせようと声をかけようとするも、女性が俺の事を確認したのか、俺の方を向くとすぐ様武装をこちらに向け、ミサイルを放ってきた。

 

こちらに向かってくるミサイルを銃を乱射させ、ビームが1つのミサイルに当たると爆発の衝撃でミサイルは連鎖するように次々と爆発した。

 

「止めてくれ!俺争う気なんて…… 」

 

「テキ……テキ……! 」

 

しかし少女は止まらなかった。俺の方がダメージが大きい事を察したのか、マーレさんを無視してこちらに向かってくる。

 

向かってくる速力からして駆逐艦の分類だろうが、普通のKAN-SENとは大違いだ。頭1つ抜けた速力は今の状態の俺では補足出来なかった。

 

少女は雷の如し俺との距離を詰めると、そのまま近距離で腕に装着されてある三連砲を向けた。

この距離で撃ったら俺もヤバいがこの子も大変な目になる。しかもこの装備……戦艦クラスの装備だぞ!?そんなものこの距離で当たったら間違いなくやられる。防御するしかないが俺の武装はほぼ機能せず、武器も二丁拳銃のままで変形させる余裕が無い。

 

万事休すかと思われたその時、少女の背後からビームが襲いかかり艤装に直撃して爆発を起こした。少女はすぐ様ここから離れ、瓦礫の向こう端へと退避した。

 

ビームが撃たれた先にはマーレさんがおり、撃った後を示すように艤装の砲塔から放熱の煙が立ち上っていた。

 

「マーレさん……? 」

 

「勘違いするな、助けた訳じゃない 」

 

すかさずマーレさんは少女に追撃をかけるようにもう一方の艤装から艦載機を発艦させて少女に強襲させた。

無数とも思える艦載機を少女は艤装にある対空砲や機銃で迎撃するも、圧倒的な物量の前には為す術なく爆撃の雨に飲まれ、艤装は大破し、体もボロボロになって行った。

 

「止めてくれマーレさん!まだ相手は子供だ!それに人間なんですよっ!? 」

 

「お前、あれを人間と言うか? 」

 

「当然です! 」

 

「だったらよく見ろ。あれは人間じゃない。人の形を模倣した何かだ 」

 

瓦礫の山の爆煙の向こうから少女が腕や足を引きずるように煙の向こうから少女の姿が現れた。

 

腕がボロボロになり、艤装も見るも無惨になっており、中身が露出していた。火花を散っているからもう戦えない筈だ。それなのに彼女は立っており、俺達に武器を向けていた。

 

「もう止めろ!これ以上戦ったら死んでしまうぞ! 」

 

「テキ……た……オ……す…… 」

 

機械のように同じ言葉を繰り返し、どこを狙っているのかも分からない主砲の徹甲弾は俺達に当たらず、虚しく何も無い所に着弾した。

 

「あれでも人と言えるか?もう人間じゃないんだよ。脳いじくられ、体を改造され、無理矢理人体実験された人間の末路があれだ 」

 

「それでも保護をすればいつかは…… 」

 

「そのいつかはいつだ。明日か?明後日か?いや、その時は永遠に来ないさ。何故ならあいつは戦って死ぬ為に生まれてきた奴だ! 」

 

「それはそういう風に歪められたからだ!説得すればきっと…… 」

 

しかし話の途中はここで途切れてしまう。砲弾の1つがこちらに向かい、俺たちは早々に回避をした。

砲弾の乱射が激しくなり、あれでは艤装には相当の不可がかかっている筈だ。

 

彼女はそれを承知でやっているのだ、自分の事などどうでもいい。ただ目の前の敵を倒すという目的に従う。それが、今の彼女にとっての行動理念であり、生きる目的なのだろう。

 

「分かっただろ。アイツは人間じゃない。保護したところであの状態ではもう長く生きられない。お前のやってる事はただの自己満足の救済だ 」

 

「そんな事…… 」

 

「お前が本当にアイツを助けたいと思うなら……アイツを終わらせる事が唯一の救済だ 」

 

「っ…… 」

 

マーレさんはそう言い残し、彼女にトドメを刺すために向かった。

 

……確かにそうなのかもしれない。人に改造され、戦わされて、生きる理由を歪ませられ、挙句の果てには自分で自分の命を終わらすかよ様な攻撃をしているのは、彼女が心の奥底でそれを望んでいるからだろう。

 

だから、マーレさんの言う事は正しいのかもしれない。だけど、それでも、俺は命を救う事には諦めたくない。

 

例え終わらせる事が救う事になったとしても、俺はその先の可能性や希望を見て欲しい。だって、そのおかげで今の俺があるんだから。

 

無意識に彼女の元まで足を動かし、同時に俺の艤装が小さく輝き出した。艤装の色が白から黒へと変色し、所々に赤いラインが引かれ、まるで生き物のような外観をした艤装へと変化した。

 

それは正しく鉄血と同じタイプの艤装だった。その事に驚きつつも、今は彼女を守りたい一心で走り、マーレさんの一振を剣で止めた。

 

「……お前、自分が何をやっているのか分かってるのか? 」

 

「分かってますよ!俺はこの子を助けたい!それだけです! 」

 

剣でマーレさんの体ごと押し返し、俺たちは距離を取った形となった。攻撃を止められたマーレさんは溢れる感情を抑えるように左手で顔を覆い、震える体からは苛立ちや怒りを痛感する。

 

「ふざけるなっ!お前のやってる事は偽善だ!そんな奴助けて何なるんだ!! 」

 

「誰かを助けられるなら俺は偽善でも何でもします! 」

 

「じゃあそいつはそれを望んでいるのか?後ろを振り向いて見てみろ! 」

 

後ろにふりかえって彼女を見ると、もう彼女は限界なのか膝をついて座り込んでいた。呼吸も荒く、どんどん浅くなっており、時間は残されていない様子だ。

 

「て…………キ…… 」

 

敵と口に出すがもう彼女には動ける余力は残されていなかった。

 

時間が無い。俺は振り返り、マーレさんと顔を向ける。

 

「その顔……やるつもりか? 」

 

この場で戦闘する事なんて毛頭ない。ましてやもう彼女は限界だ。戦う時間もなければ、今こうして喋っている時間も無い。だから、今やる事は戦う事じゃない。

 

「……俺は彼女を助けたい。だから……見逃してください 」

 

マーレさんに見逃してもらうしかもう方法は無い。彼女を抱えて逃げるという手も考えたが、今の俺にそんな余力は無い。

 

体はボロボロで、変わったこの鉄血仕様の様な艤装は何故か重たく感じる。見た感じ防御中心の性能をしており、機動力がまるでないに等しい。こんな状態だと追いつかれるのが火を見るより明らかだった。

 

この考えを口に出し、それを聞いたマーレさんは少々驚いたのか肩を一瞬だけ上げた。

「やっぱりお前は偽善者だ…… 」

 

「人の命を助ける事って、そんなに悪いことなんですか? 」

 

「……救ってどうする。まさか考え無しに助けたいとは思ってないだろうな 」

 

勿論この子を助けたい一心は事実だ。でも、この子を助ければ何かとメリットはあるにはある。

 

「この子を助ければ、この子からある情報を手に入れるはずだ 」

 

それは情報が手に入れられるということだ。俺が手にした情報が正しければ、俺たちが戦う敵はセイレーンでも、マーレさん達テネリタスでも無い。エックスという謎の敵が倒すべき敵だ。

 

だが、俺はエックスという存在を知っているだけでどんな敵なのかも分からない。でも、この子は知っている筈だ。この基地ごと未来から来たこの子ならエックスの情報を聞き出せるかもしれないのが大きい。

 

「俺たちの本当の敵かもしれない敵……エックス。俺はそれを知らなければならないんです 」

 

「エックスだと?お前、あの司令室から情報を見てなかったのか? 」

 

「見ようとしたら地震が来て俺は瓦礫の下敷きになってしまって…… 」

 

「地震だと……? 」

 

マーレさんは何か思い当たる節があるかのように口を手で覆い、何かを考えていた。

 

そんな時、何かが近づくような音が聞こえる。水の中を進むような泳ぐ音と、何かの駆動音が徐々にこちらに近づいてくる。それと同時に微かな振動が俺達を襲う。

 

「……おい、この場から離れるぞ 」

 

何かを察知したマーレさんはそう言うとすぐ様この場から離れ、俺も彼女を横抱きしてこの場から離れる。

彼女は意識を失っているのか、抵抗はせずに俺に抱かれ、そのまま急いでこの場から全速力で離脱する。

 

数百メートル全速前進でこの場から離れた時だった。先程いた海面の一部が盛り上がり、海面から何かが浮上してきた。

 

盛り上がった海水の中から何か巨大な龍の姿をした物が現れ、その全長はこの基地の内部を飲みこそうな程大きかった。

 

「何だあれ……!? 」

 

「おい!早く来い! 」

 

あまりの大きさに驚いて立ち止まってしまい、マーレさんの叫び声で俺はまた動き出した。

 

龍は咆哮を上げながら長い体を暴れさせ、この基地を崩壊させようとしていた。天井や壁が破壊されるとそこから浸水してるのか、水が基地に入ってきた。

 

「な、何で浸水してるんだ!?ここ……地上……だよな? 」

 

「違う!ここは深海数メートルだ!お前は寝ていたから知らんが、ここは水の中だ。早くしないと水圧で潰されるぞ 」

 

まさかのここは深海だった。確かに……基地にしては随分と広かったし、高層ビルの高さを持つ空間は、外から見た基地の構造が全く合っていなかった。

だがここが水中ならこの疑問晴れられるが……今はそんなこと言ってる場合じゃない。龍はありとあらゆる所を破壊し、浸水量が多すぎて壊れてない所が水圧で崩れ、もう何もしなくてもこの基地は崩壊するだろう。

 

止まらずに入口まで戻り、氷の扉を抜け出して最初の部屋まで戻ったが、ここから外に出る扉らしきものが見当たらない。いや、そもそもこの基地は水中にあるということは、ここに来る為には潜水艦とか必要じゃないか?

 

じゃあ俺……一体どうやってここ来たんだ?今まで俺はここが地上にあると思っていたから今さらこの疑問に辿り着き、ここの脱出方法を考えたが、それは必要なかった。

 

マーレさんが1番奥の壁に手を置くと、突然黒色の影がその場で表れた。

 

「こっちだ 」

 

「これは……何ですか? 」

 

「ただのワープゲートだ。早く飛び込め 」

 

サラッと凄いことするなこの人……だけど怖がってられない。俺は彼女をしっかりと抱き、マーレさんが作ったワープゲートに飛び込んだ。

 

ワープゲートに飛び込むと周りは黒い光景しか見えず、ワープしていると言うより宇宙の中で漂っている様な感じだ。体も軽く、重力が感じられない無重力状態が数秒続くと、急に体が元の重さに戻り、地上に着いた。

 

しかし地上の様子がおかしかった。周りには大きさがバラバラな流氷しかなく。ここにいたKAN-SEN達が見当たらない。

 

しかも空の色がおかしい。紫がかった暗い色をしており、空が空とは思えない。それにこの空間……何かがおかしい。まるでどこか別の場所に移動したみたいだ。

 

「どこだここ…… 」

 

「ここは鏡面海域だ。あそこは鏡面海域に存在しているからな 」

 

後からマーレさんがワープゲートから表れ、それと同時にワープゲートは消え去った。

 

鏡面海域……セイレーンが主に活動している海域であり、別次元の所にあるとされている海域だ。

それ以外何も分かっておらず、未だに謎が多い海域だ。こんな形でここに来るとは思わなかったけど。

 

「どうして鏡面海域に……?元の海域には戻れないんですか? 」

 

「その時間は無い。それよりも……来るぞ 」

 

突然海そのものが揺れているような衝撃が襲われ、揺れの大きさからして震源地はかなり近い。

基地がある所の中から先程見た龍が基地を突き破り、出られた事を喜ぶ様に吠えた。

 

「何だあれ…… 」

 

「アビス…… 」

 

「アビス? 」

 

察するにあの龍の名前だろう。よく観察すると龍の体は全身機械で作られており、体には無数の砲塔や副砲、そしてミサイルらしき物が搭載されており、あれではまるで移動要塞だ。

 

そんな化け物は俺達を視界に入れると全砲門をこちらに向け、問答無用でこちらに全ての火力を飛ばしてきた。

 

「まずい……! 」

 

彼女はまだ動けない状態だから回避は出来ない。咄嗟に守りを固める為に武器を大盾に変え、俺と彼女を守るように構えると、俺やマーレさん達を包むような蒼いバリアが張られた。

 

バリアはアビスの攻撃をいとも容易く防ぎきり、無数の砲弾の雨に耐え、バリアにはヒビひとつ入らなかった。

 

さっきのバリアもこの艤装の力だろうか。やはり見た目からして鉄血のKAN-SEN達みたいに防御中心の性能をしており、これならあのアビスという奴の攻撃を受けきれることは出来るには出来るけど……あの空まで届きそうな程巨大な物に対する決定打が見つからない。

 

そもそも、俺はあのアビスという物さえどういったものかも分からない物だ。察するにあの基地の防衛する物か、エックスに対抗するための兵器だとは思うが、それにしてはスケールが大きすぎる。これも未来の技術故の物だろうか。

 

「あの、あれって何ですか?」

 

「あれは最終防衛兵器【アビス】だ。エックスに対抗するための防衛装置だったが、今は俺達を敵として認識し、俺達が獲物になっているな 」

 

「な、何で俺達がそんな認識になってるんですか!俺何もしてないですよ!?」

 

「あれは目に映るもの全て敵と認識するようにしているらしいからな。当然と言えば当然だ 」

 

「滅茶苦茶じゃないか……味方の事考えてないんですか? 」

 

「無いんだよ。そんな余裕すらないほど未来には希望が無かったからな。それより来るぞ 」

 

アビスの事を聞いてる間にアビスは口から高出力のビームを放ち、紫色の光が真っ直ぐこちらに向かってくる。

 

すかさずまたさっきのようにバリアを張り、マーレさん達を守ったが、その間にアビスは更にミサイルや艦砲射撃を行い、物量に物量を重ねる純粋な火力でこちらの守りを崩そうとしていた。

 

バリアの周りが砲弾の爆煙やビームの光で周りが見えなくなり、今どんな状態になっているのかも分からない。流石にこの火力ではバリアは持たず、一部亀裂が走っていた。

 

「まずいっ!このままじゃ……! 」

 

「そのままバリアを展開しておけ 」

 

するといきなりマーレさんが左側の艤装にある主砲と右腕にあるビーム砲を両方構え、更にビーム砲を右側の艤装と連結させて出力を増加させるようにエネルギーをチャージしていた。

 

こんな状況でどうする気だと言おうとしたが、十中八九マーレさんは攻撃を仕掛けようとしている。

 

今俺はバリアを展開していて攻撃なんて出来る状況では無いのにも関わらず、マーレさんはビームを撃った。

 

内側に攻撃が阻まれるに決まっていると考えたが、その考えは大きく裏切られた。ビームはバリアを貫通では無くそのまま通り抜け、アビスの放ったビームを貫通するように突き進み、見事アビスの顔面に直撃したおかげで嵐のような攻撃がようやく止んだ。

 

「やはり貫通するか 」

 

「どうして貫通出来るって分かったんですか? 」

 

「似たような力を持つ人がいるからな。……次が来るぞ 」

 

さっきの攻撃がまるで聞いてないかのようにアビスの深い海色の装甲にはどこにも傷がついていなかった。

 

マーレさんの攻撃が弱かった訳では無い筈だ。あんな高出力のビームを傷一つなく受けきれるなんて、はっきりいってあっちの防御力の方が桁違いに高い。しかもそんな装甲に纏いつつも一定時間おきに超火力を叩き込む姿はまさに最終兵器の名に恥じない力だ。

 

アビスはまた全砲門を俺達に向けた瞬間、俺は少女を抱いて攻撃を避ける体勢に切り替えた。

 

さっきの攻撃のせいなのか、今度はマーレさんに攻撃を集中するようにビームを放ち、ビームは途中で枝分かれすると一つ一つマーレさんを追いかけるように軌道を変え、逃げ続けるマーレさんを何処までも追いかけていた。

 

「ちっ……! 」

 

左腕に装着している剣と左側の艤装を連結させ、巨大なビームサーベルを海面に突き刺すと、そのままビームサーベルを突き刺すように迫り来るビームから逃げ続けた。

 

すると、ビームサーベルを突き刺された所があまりの高熱で一気に蒸発しており、追いかけているビームは霧によって拡散してしまい。全てのビームがマーレさんの機転によって全て無力されてしまった。

 

それにしても……あの無尽蔵の火力は一体どこから来ているのだろうか。

 

人が運動する為にエネルギーを消費するように、機械にも電力という動かす為のエネルギーを必要とする。それは艤装も同じで、艤装にもエネルギー限度というものがある。内部に蓄積されている弾倉が尽きれば弾は撃てないし、燃料が切れたら動けなくもなる。

 

勿論、強力な攻撃をすればする程そのエネルギーも極端に減り、継続時間が短くなる。だが、あのアビスにはそれが全く無いと言っていい程攻撃を続けており、エネルギーに底が見えない。

 

いや、底が無いわけが無い。恐らくどこからか供給しているのだろう。そう考えれば、自ずと供給先は限られてくる。

 

「あの基地内部か……! 」

 

現にアビスは半壊した基地内部から出てきた位置から全く動いておらず、あの体は恐らく基地のエネルギーと繋ぐケーブルのような役割を果たしているのだろう。

マーレさんもそれに気づき、アビスの胴体部分に攻撃を集中し、ビームサーベルを振り下ろしたが、アビスの周りに青色のバリアが覆い、ビームサーベルはバリアを貫通出来ず、バリアは越えられないと判断したマーレさんはサーベルの出力を消した。

 

「硬い……! 」

 

あんな出力でも越えられないとなれば俺の武装ではあのバリアは破壊できない。唯一出来るとすればレールガンしかないが……あれでも突破出来るか分からない。

 

しかもアビスはその余裕を与えない様にバリアを消し、直ぐに攻撃態勢に移行した。出来ればバリアが消える瞬間を狙いたいが、ミサイル等の小さな攻撃だとあの圧倒的な火力に押し負けてしまう。

 

あの体勢に移行すれば、俺たちは大人しく逃げるか防御するかの2択を強要されてしまう。

 

アビスはまたもビームとミサイル、そして榴弾の雨を降らせ、俺は少女を抱いて流氷を盾にするように動いたが、その氷がまるで薄岩の様に一瞬で溶け、その爆発に巻き込まれてしまう。

 

「ぐぁぁあ!! 」

 

「ちっ……!巻き込まれるか…… 」

 

マーレさんは空中を飛翔し、迫り来るミサイルを撃ち落としたが、その間に来るビームには対応出来ず、そのまま直撃を受けてしまい、そのまま墜落するように落ちてしまう。

 

「がぁぁぁぁぁ!」

 

「マーレさん! 」

 

落下地点に俺は移動し、墜落するマーレさんを受け止めた。艤装の重さも相まってかそのまま押しつぶされそうにもなったが、何とか流氷を背にすることでそれは抑えられた。

 

「大丈夫ですか!? 」

 

「問題ない。離れとけ 」

 

俺を押しのけ、1人でもアビスを倒せると思わせるような素振りでまたマーレさんは足を動かすが、途中で艤装に火花が走り、そのフィードバックなのか膝を着いてしまう。

やはり先程の攻撃で艤装に致命傷を喰らったのだろうか。

 

「くそっ……!この程度……! 」

 

「ひとりじゃ無理ですよ!俺も協力して…… 」

 

「黙れ!お前は大人しくアイツと一緒に逃げてろ!この程度俺一人でやらないといけないんだ……! 」

 

よろめきながらマーレさんは立ち上がり、そのままアビスに向かってしまった。あれじゃあ倒されるのは時間の問題だ。

 

だが、この子も放っておけない。アビスの攻撃はこの辺り一帯を巻き込む程の出力だ。ここでこの子を放っておけば……その先は考えたくない。

 

だがここでマーレさんの協力をしなければアビスは倒せないし、どっちみちアビスにやられる。せめてあとひとり誰かここにいれば話は違うのだが……

 

「何か困ってる……? 」

 

急に隣に白髪の少女が立ち、この状況下でも何食わぬ顔で立っていた。

 

「なっ!?君は……あの時の?ここは危険だ!早く安全な所……って言っても、ここら一帯は危険か…… 」

 

「問題ない。私はここで結末を見届けるだけ…… 」

 

そうして白髪の彼女はクラゲ型の艤装の触手で少女を抱え込み、流氷の影に隠れた。

これで一応は安心……とは思いたいな。

 

ともかく、これで俺も戦いに集中出来るけど、状況は変わっていない。アビスに対しての対抗手段が今の所無い為、闇雲に戦っても消耗して負けるのが目に見えている。

 

攻撃を通さないバリアと、超火力の砲撃……それを交互に行っている。

 

どうする……?こんな相手に俺はどう立ち向かえば良いんだ……!?

もしもの話(R-18)を観測しますか?

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