ガンダムGgeneration -REAL- 作:閃光の軍曹
彼の生き様を大きく左右した出来事
時は11年前に遡る
「こっちにもいたぞ!」
「い、生きてる! 生存者だ‼︎」
「おい君、大丈夫か?」
これが俺の、最も古い記憶だ。
身体中が熱くて、痛かった気がする。
視界はぼんやりしてて、俺を助けた男の顔は憶えてない。
十秒もしないうちに、俺の意識は落ちていった。
次に目が覚めた時、俺の怪我はすっかり治っていた。
全身大火傷とか、そういうレベルの怪我だったはずだが、跡すら残っていなかった。
まだガキだった俺は、正直に現代医学に関心した。
この後1週間くらいは、まだ記憶が混乱していて憶えてない。
そもそも、この時俺が憶えていることは何もない。
名前も、親の顔も、友人も、どうしてあそこにいたのかさえも。
後で聞いた話では、俺は唯一の生存者だったらしい。
そもそも、あの時、あそこで何があったのかも分からなかったけど。
2週間くらいたって、どうやら自分は『RULE of the WORLD』という組織の本部にいるらしいということを理解した。
俺は成り行きで、作戦部のパイロット候補生になった。
成績は良く、優待生になった。
その時から、俺にマンツーマンの教師がついた。
名前は、リコヌル・ペガス。
MS操縦技術は凄いらしく『黒い聖騎士』の異名を持っていた。
年は18歳で、この時代では珍しい黒髪だった。
住人類惑星が統一され、民族間の隔たりがなくなった今、黒髪を持つ人が少なくなってきた。
いないこともないのだが、ほとんどが少し赤っぽかったりしている。
RoW内でも、俺含めて10人ほどしかいないらしい。
名前を憶えてないから、俺は『名無し』と呼ばれていた。
しかしリコヌルは「名前ってのは、自分が存在していることを表し、確信する大事なもんだ。名前が無いってことは、自分の存在を表せないし、確信することもできないってことだ。」と言って、俺に『ゼル・ベルトナート』という名前を付けてくれた。
リコヌルは優しく、俺の兄的な存在になった。
2年の時が過ぎ、俺は10歳になった。
年齢は身体検査で推測したものだから本当の年齢は分からない。
俺はいつもリコヌルと行動していた。
軍事組織(?)であるRoWは、訓練はするものの、至って平和だった。
平和だったはずだった。
あの日までは。
俺は正規のパイロットに昇格した。
その知らせを受けたと同時に、リコヌルと2人で作戦司令室に呼び出された。
作戦司令室には、俺とリコヌルの他にもう1人集めれていた。
後から入って来たのは、赤髪の女だった。
「リコヌル!?それにゼル君まで⁉︎」
「お前も呼び出されたんか?」
「じゃなきゃこんなとこ来ないでしょ!」
整った顔立、美しい脚、豊満な胸、美少女と形容できる女性だった。
「えっと…」
俺は少し戸惑っていた。
「あ、ゼル君ははじめましてだね。私はアイシャ・ハルモニア。よろしくね。」
「あ、はい。俺はゼル・ベルトナート。よろしくお願いします。」
「敬語はやめてよ。同じパイロットでしょ?」
笑顔が眩しかった。
一瞬見惚れてしまった。
「おいゼル! こんな女に見惚れんじゃねぇぞ! 油断したらこのムダにでけぇ乳で窒息死させられるぞ‼︎」
リコヌルが冗談めかしく言った。
それに対し、アイシャは顔を真っ赤にして言い返した。
「ちょ! あれは事故で‼︎」
「乳にしか栄養がいってないから脳がイっちまったか⁇」
「ば、バカ! アンタの方がよっぽどおかしいですぅ‼︎」
「じゃああれか? あん時たまたま…」
「だ、だから‼︎ ほら、ゼル君の前でこの話はやめよ‼︎」
俺は思った。
(この2人にどんな過去があったんだろう…)
この後、作戦部長のホログラム映像が現れて、俺たちは任務を受けることになる。
俺にとっては初任務だったのだが、その内容は驚くべきものだった。
『ジェネレーションシステムの破壊』
これが俺たちに与えられた任務だった。
俺はそのシステムの存在すら知らなかった。
ジェネレーションシステムとは、Ggenerationの兄弟システムとでも言うべき存在で、月にそのコアがあるらしい。
Ggenerationが「世界を律する」システムだとしたら、ジェネレーションシステムは「世界を滅ぼす」システムだ。
人類の心が再興不可能とシステムが判断した場合、Ggenerationに警告が出され、48時間後、月や火星のディモス、フォボスなどの自転速度を狂わせて
その結果、衛星は惑星の重力に引かれ、双方は破滅する。
いつの時代の誰が残したものかも分からない危険な代物である。
削除するにはシステム内に直接侵入して中核を破壊しなければならない。
そして2時間後、そのシステムが警告無しに起動したらしい。
世の中は相変わらず、戦争や紛争は無く、とても安定している。
上層部はジェネレーションシステムの誤作動と判断したが、それが正常な作動だとしても止めなければならない。
「そんな…それなら、俺より優秀なパイロットに任せればいいじゃないですか!」
その時の俺は、ただ恐怖していた。
そんな恐ろしいシステムの存在に、背負わされた未来に。
「我々は君の可能性に賭けたいのだよ…」
「俺の…可能性?」
俺には何のことか分からなかった。
まぁ幼少期の記憶がないから当然だろう。
「君の、イノベイターとしての可能性をね…」
(え?……イノベイター?…俺が……?)
俺はただ呆然としていた。
「イノベイターって…ウソだろ⁉︎ そんなわけねぇ!!」
「事実だ…まだ完全ではない成り損ないだがな。」
ホログラムだというのもあり、声から感情を感じられなかった。
「イノベイターって確か、大昔の…西暦の時に裏で色々やってた…」
これ以降の会話は曖昧にしか憶えてない。
衝撃的だった。
何であんなにショックを受けたのか分からないけど。
それから1時間後、俺たち3人は月に打ち上げ(送信)された。
ジェネレーションシステム内への侵入路は3人分しか確保できなかったらしい。
「RoWの技術力でもこれが限界たぁ、ジェネレーションシステムってのは相当なもんらしいな。」
「当然よ。これまで少なくとも550年以上、私の推測では4000年近くは生きてるんだから。」
それぞれの機体で出撃準備を整えていた。
俺の機体はガーベラ・テトラ。
ガンダム試作4号機がジオンの手に渡り、作り直された機体だ。
その成り行きから『ガンダムの成り損ない』と言われている。
アイシャの機体は
リコヌルの機体は漆黒にペイントされたフェニックスガンダム。
黒の両脇に赤。
今思えば実に不気味な画だったと思う。
単色のカラーリングの3機は、形にされたジェネレーションシステムの入口に立った。
「行くぞゼル。覚悟はいいか。」
「…うん。」
「ねぇ、あんまり気にしない方がいいよ?」
「今は生き残ることだけを考えろ。人間、戦いながらいろんなこと考えられるほど器用じゃねぇからな。」
「…そうだね。頑張るよリコヌル!」
今の時代、人体強化等の必要性がなくなって、そういった種がほとんどいない。
この時点では地球上に3人ほどしかいないらしい。
「んじゃ行くぞ!! 俺たちは選ばれた勇者だ‼︎」
フェニックスが俺の目の前で翼を大きく広げた。
その背中はカッコよかった。
悠々とか勇敢とか、そういうヒーロー的なカッコよさがあった。
気がついたら俺は憧れを抱いていた。
(俺、いつかガンダムに乗ってやる!)
そう思い始めたのはこの時からだ。
「ゲフィオン部隊! 行くぜ!!」
黒いフェニックスが先行した。
それに赤い2機が続いた。
無機質な壁に空いたMS3機分穴に突入した。
「う、うわぁ…ここまでくるとキモイな。」
そこには強力な防衛網が展開されていた。
ザク、リーオー、ジン、ティエレンがそれぞれ75機ずつ、合計300機。
1人あたり100機の割り当てになる。
しかし、敵はMSだけではなかった。
巨大な砲台、ガーターが戦場を囲むように10台設置されている。
全てが標準装備であるが、数が数だ。
いくらなんでも多すぎる。
しかも俺は初めての実戦である。
「…怖い?」
アイシャが俺を気づかって声をかけてきた。
「いや、リコヌルとアイシャがいるから…!」
「いい意気込みだ‼︎ 行くぜぇ!‼︎」
フェニックスのビームキャノンが火を吹いた。
先行のザクが20機爆破した。
防衛網にスキができた。
「一気に行くわよ!!」
レッド・ゼータがビームサーベルで立て続けにザクを12機両断した。
ザクの中央は空になった。
「ゼル!!背中は任せろ!! お前はリーオーを蹂躙しろ!!!」
「え、でも…!」
「お前ならできる!!」
俺の中で何かが変わった。
決意とか覚悟とか情熱とか、そういうのだと思う。
俺は左右からのプレッシャーを無視し、リーオーにマシンガンを放った。
流石に瞬殺とまではいかないが、5機は倒したと思う。
上手く接近してビームマシンガンに切り替えて乱射した。
「やっぱ動きにくいッ! シュツルム・ブースターをパージする!!」
シュツルム・ブースターをパージし、ビームサーベルで文字通り、リーオーを蹂躙した。
撃破数30。
実戦初コンタクトにしては上出来だと思う。
ふとリコヌルとアイシャの首尾がきになってバックカメラの映像を確認した。
流石にすごいと思った。
2人はザクを全滅させ、リーオーを左右から斬り込んでいっていた。
「後ろなんか気にすんじゃねぇ!! 俺を誰だと思ってる!!」
リーオーは残り45機。
しかし、ジンが前に出てきていた。
さらに、ティエレンによる援護射撃、ガーターによる集中砲火と、弾丸の豪雨が降り注いだ。
「っつあぁぁ!!!」
何が当たったかは分からないが1発の直撃を受けた。
「大丈夫!?ゼル君!」
レッド・ゼータがメガ・ビームガンで弾丸を丁寧に撃ち落としていった。
リコヌルはビームキャノンを撃ちながらジリジリと押されていっていた。
「負けられないんだ!、俺たちは
!!」
俺はリコヌルと入れ替わるように突っ込んだ。
もう何機墜としたかなんて数えてられない。
近づいたらビームマシンガンを撃ちつつビームサーベルで敵を一刀両断していった。
距離が空いたらマシンガンで敵を一点に集めつつ接近していく。
この機体の最も効率的な活用方法だ。
もう後ろは見ない。
きっとリコヌルとアイシャは上手く足り回っているだろう。
弾幕の様子からして、ガーターは2〜3台減った。
どのくらい攻防を続けただろうか。
俺たちは一進一退でなんとか敵を全滅させた。
3機とも損傷は激しいが、まだ戦闘力を辛うじて保っていた。
しかし体力は限界を迎えていて、息がなかなか整わなかった。
「敵防衛網を殲滅、目標を目視で確認…コイツをぶっ壊せば!」
リコヌルがビームキャノンを構えた。
こ3機で大出力兵器を装備してるのはフェニックスだけだ。
「…!? なんだこの感じッ!!」
俺は頭痛と共に何かを感じ取った。
ザラザラしてて気持ち悪い感覚だった。
「ゼル君?」
「リコヌル駄目だ‼︎下がれ!!」
俺の声はリコヌルに届く前に何かが来た。
ビームの一閃がフェニックスの顔面の右側面をかすめていった。
「新手!?」
「リコヌル! 一旦下がって!!」
「クッ…」
新手は1機だった。
背中に大きなブースターを背負った白い機体。
特徴的なV字型のアンテナから、ガンダムであることが一目で分かった。
『無駄な戦いはやめろ。人類に未来は無いのだからな。』
突然、周囲に何者かの声が響いた。
通信を介しているわけではなかった。
その声は少し鼻にかかっていて、でも落ち着いている。
声は若いが声色は大人びている。
何処かで聴いたことある声だった。
リコヌルのフェニックスが後ろへ飛び退いた。
しかし、着地する前にフェニックスの左腕が斬り割かれた。
「速っ…!!」
そのガンダムは俺とアイシャの目の前に着地した。
その向こうでフェニックスがバランスを崩して墜落したのが見えた。
「リコヌル!」
「アイシャ! 来るぞ!!」
そのガンダムがビームサーベルを大上段に構えてブースターを吹かせた。
俺は半ば無理やり前に立ちはだかってビームサーベルで受け止めた。
さっきシュツルム・ブースターをパージしたせいで、パワーが足りずに弾きとばされた。
間近でそのガンダムを見て、ようやく機体名が分かった。
ガンダム試作4号機。
皮肉にも、俺が乗るガーベラ・テトラが本来なるべきだった機体だ。
俺は弾切れ寸前のビームマシンガンを投げ捨て、腰からもう1本ビームサーベルを抜いた。
それに応えるように、試作4号機もビームライフルを投げ捨ててもう1本のビームサーベルを抜いた。
『決闘のつもりか? 面白いな。』
「決闘? 笑わせるな。俺たちには負けられない理由があるんだ。3対1でいかせてもらう!!」
『フッ…いいだろう。』
試作4号機はシュツルム・ブースターをパージした。
シュツルム・ブースターは、圧倒的な推進力を有しているが、接近戦や、細かな姿勢制御を有する場面では、その大きさ故に邪魔になる。
「質問だ!テメェは何者だ!!」
リコヌルがビームサーベルで斬りかかった。
俺があまりに密接しているため、援護射撃ができなかったんだと思う。
でも、いちいちそんなこと考えてられる相手じゃなかった。
ヤツは強かった。
『私はこのシステムの守護者にして本体だ。』
2対1でも傷ひとつつけられなかった。
だがやっと、ここで決定打がでた。
俺とリコヌルは映像通信でアイコンタクトをとり、頷き合った。
そして息を合わせて一気に離脱した。
そしてそこに、不気味なほど真っ赤なレッド・ゼータがウェブライダー形態で突っ込んだ。
先端部分を試作4号機の腹に突き刺して、そのまま地面に押し付けるように600mほど直進した。
レッド・ゼータが垂直上昇に急激に切り替えて離脱した。
アイシャの身体にはとてつもないGがかかっただろう。
そこに俺とリコヌルが攻め込む。
試作4号機の腹には深くえぐられた痕がある。
俺が2本のビームサーベルで縦方向と横方向の攻撃を交互に繰り返し、リコヌルが直線的な突きを高速に繰り返す。
『私の名は
ONの操縦技術は圧倒的だった。
腹部の損傷を感じさせない滑らかな動きで俺たちの攻撃をかわしていった。
ここで試作4号機が攻めに出た。
フェニックスの突き出した右腕を左腕を絡めて動きを封じた。
そしてそのまま俺のガーベラ・テトラに投げ飛ばし、両機とも叩き飛ばした。
「うぐあぁッ!‼︎」
「くぅぅッ‼︎」
間髪入れず、俺に斬りかかった。
試作4号機は放物線を描きながら高速で接近してきた。
完全にやられたと思った。
が、ビームサーベルが当たる直前、目の前が真っ暗になった。
最初、メインカメラがやられたと思ったが、よく見ると目の前は黒ではなく赤だった。
「ゼル…君……ッ! 大…丈夫?」
「ア、アイシャ!!」
「そんな……!?」
3人の映像通信に切り替わった。
アイシャのカメラは血で画面の半分が見えなくて、アイシャ自身も血まみれだった。
「アイシャ‼︎!」
「リコヌル……だ……きよ…」
「やめろ!もう喋るな!傷口が!」
俺は試作4号機を蹴り飛ばし、レッド・ゼータを安定する地面に置いた。
ビームサーベルは動力炉には当たっていなかった。
「どうして俺をかばって…アイシャの方が!!」
「ゼ…君が死…じゃう…リ………が悲…む…から。」
もう言葉になってなかった。
何て言ったかは聞き取れなかった。
「アイシャ‼︎ そんな…死ぬんじゃねぇぞ!! お前…!‼︎」
「リ…コヌ…ル……」
アイシャは途切れ途切れの声でリコヌルの名前を呼んだ。
「アイシャ…!」
「リコ…ヌル…大…好き…………」
アイシャはそのまま死んでいった。
その死顔は今も忘れられない。
苦しみが消えない表情の中に何処か幸せがあった。
リコヌルはフェニックスのコックピットから飛び出し、レッド・ゼータのコックピットをこじ開けた。
サイドサブモニターでその様子を見てた。
声はよく聞こえなかったけど。
リコヌルはアイシャを抱きしめていた。
その肩は細かく震えていた。
(泣いてる…?)
リコヌルがフェニックスのコックピットに戻ってきた。
「リコヌル…」
「………」
リコヌルは俺の声に返事をせずに飛び上がった。
フェニックスの自己修復システムを作動させ、損傷した腕を蘇らせた。
フェニックスの周りが歪んで見えた。
「であぁあぁぁああぁぁあ!!!!」
超高速でフェニックスが試作4号機を切り抜けた。
ガーベラ・テトラのカメラが付いていけないスピードだった。
しかし試作4号機はそれをかわしていた。
そしてフェニックスを上回る速さで反撃に出た。
もちろん、カメラは付いていってない。
決着は驚くほどあっさりとついた。
試作4号機のビームサーベルがフェニックスの四肢を切り落とした。
さらに脇腹に致命傷がある。
いつ爆発してもおかしくない状態だった。
「リコヌル!」
「はは…俺も、ここまでか…」
「早く脱出して!!」
「無理だ…システムが完全に沈黙してる。」
「そんな…もう…」
「終わりなんかじゃねぇぞ!!」
リコヌルは瘀血した。
「お前はまだ生きている!! ここに
「でも俺なんかじゃ!!」
「バカ言ってんじゃねぇ!!!」
画面はリコヌルの瘀血でもはや何も見えなかった。
「アイシャはお前をかばって死んだ! それを無駄にするつもりか!!」
「………」
返す言葉が思いつかなかった。
身体はガチガチに固まって、手足は震えていた。
「お前のその、俺なんかじゃで、世界の滅亡を見過ごすつもりか‼︎!」
「でも…でも! こんな成り損ないじゃ勝てるわけないよ!!」
ガンダムであるかどうか、これはこの歴史上で大きな差となっていた。
勝者になるのはほとんどがガンダムだった。
「なら、お前がガンダムになれ‼︎」
「え…?」
「成り損ないだからこそ、お前はガンダムを理解し、性能を引き出し、愛することができる!!!」
「俺が…ガンダムに……」
「生きろよ…ゼル・ベルトナート!!!!」
これがリコヌルの最期の言葉だった。
黒い聖騎士は、漆黒のフェニックスと共に月の海に散った。
(そうだ…俺がガンダムになるんだ…)
『貴様が最後の1機…世界の希望…可能性…』
「ブツブツうるせぇんだよ…」
俺はガーベラ・テトラの全リミッターを外した。
それでもONの試作4号機に勝てるかどうかわからない。
でも勝てるという自信があった。
「行くぞコノヤロォォォオ!!!!」
『一瞬で終わらせよう。』
ガーベラ・テトラとガンダム試作4号機は同時に踏み切った。
やはりスピードは負けていた。
試作4号機が先に捉えた。
しかし、ビームサーベルの切先は空を切った。
『何。』
俺はビームサーベル当たる直前で横移動に切り替えて回避していた。
そして今度は試作4号機の背後に回り込んで、斬り抜けた。
少し斬り上げるかたちで斬ったから試作4号機は打ち上がった。
これで終わらなかった。
俺はさらに切り返し、試作4号機を斬り抜けた。
「俺が!!!」
3回目の斬り抜け。
「俺たちが!!」
4回目の斬り抜けで試作4号機の真上に昇った。
「ガンダムだ!!!!」
月の引力を味方にして、試作4号機を思い切り踏みつけた。
『……見事。』
俺はONに勝った。
試作4号機は青い閃光と共に消失した。
ガーベラ・テトラはもう動いてるのが不思議なくらいのひどい状態だった。
案の定、すぐに全てのシステムが完全に沈黙した。
俺はジェネレーションシステムの本体を倒した。
世界を救った。
でも実感は無かった。
その代わりに、深い悲しみと強い決意があった。
(俺はこの日のことを忘れない)
(リコヌル…アイシャ…俺は生きる)
(生きて未来を切り拓く)
俺はその後、徒歩でジェネレーションシステムから離脱し、送受信シャトルステーションから地球に向った。
シャトルから見る星々と地球は、とても綺麗だった。
綺麗なのに、くすんで見えた。
隣には、誰もいない。
各話の間にこういった外伝(?)を上げてこうと思っています。
ーお知らせー
事情により、しばらく執筆作業をお休みさせていただきます。
まだ物語序盤ですが、御愛読してくださっている方しばらくお待ちください。