とある世界のおとこのこ   作:蒼零

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おまたせしました、第三話目です。


第三話「いつもはお嬢様」

「お主、平行世界に興味はないか?」

 

あの人と会ったのはとても暑い夏の事だった

 

「あの、あなたは?」

 

大学が夏休みに入り、溜めに溜めたアニメを消化しようと近くのコンビニに食料を買った帰り

日中の為にジリジリと肌が焼かれながらも無事家の前に着き、いざ入ろうとすると後ろから声を掛けられた

その時は言葉の内容は理解しておらず、ただ声を掛けられたので反射的に振り向いたのだが、後々思いだすといきなり変な事を言っていたんだなと思う

 

「なに?ワシのことを知らぬのか?」

 

そこに居たのは一人の男性

服装は時代錯誤な黒を基本としたロココ調のもの

グレーの短髪と顎鬚の50歳ぐらいに見える老人

しかし、気力は未だに衰えてはいないようで荒々しさがあった

総じていえばヨーロッパの貴族な様な人だった

 

「ふむ、"この世界"にもワシの存在は少数にだが認識されているから問題ないと思ったが…」

 

"この世界"とは一体どういう事だろうか?

まるで別の世界から来たような…あれ?この人どこかで見たような?

見た目でインパクトがあるから芸能人とかなら忘れないはずなんだけど…

 

「まぁ焦らしても意味はないしの。キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ、それがワシの名前じゃ」

 

は!?今この爺さんなんて言った!?

 

「すみません、ちゃんと聞き取れなかったみたいなんで、もう一度お名前を…」

 

「そうか、それではもう一度だけ言おうかの。ワシの名前はキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ、親しいものからはゼル爺と言われておるの」

 

その日、俺は宝石翁と出会った

 

 

 

* * * * *

 

「御姉様、おはようございます」

 

「ええ、おはよう」

 

「お、御姉様、おはようございまひゅ」

 

「おはよう。挨拶するだけでそんなに緊張しなくても良いのよ?」

 

それは"俺にとっては"いつもの風景

通学途中の女学生たちから挨拶される

それの対して俺も挨拶を返すのだが、ついどこかのお嬢様みたいに返してしまう

 

「イリヤって朝はいつもお嬢様モードだよな?やっぱりお前って女じゃ…「上条君、人生を謳歌したいならその口を閉ざすことをお勧めするわよ?」ごめん」

 

そして俺はいつもの様に上条と一緒に通学していたりする

 

上条当麻

それは"とある魔術の禁書目録"と呼ばれる小説の主人公であり、俺がいるこの世界では数少ない友人でもある

ちなみに俺も上条と同じ男子学生寮に住んでいるのだが、俺の部屋に不法侵入する輩が多いらしくセキュリティーが他の部屋に比べて段違いに高い

見た目がこんなだし、女に飢えているのは分かるがやめて欲しいと願うのは駄目だろうか?

 

閑話休題

 

上条が言っていたお嬢様モード

俺としては猫かぶりモードと言われるそれは、使えるものはなんでも使えと某時計塔の赤いあく…赤が似合う素敵なお方から言われて使っている物で、実際このモードだと周りからの印象が良い

結果、前では考えられないほどの数の可愛い女の子と交流があったりする

代償として前日の様に過剰な交流もあったりするのだけどな

それとある意味お嬢様モードは演じている感じだから恥ずかしさはあんまりない

 

「にしても助かったぜイリヤ。今日お前が起こしに来なかったら完全に遅刻だったぜ」

 

「だっていつも朝からドタバタしているはずの上条君の部屋が静かだなんて、死んでいるか寝ているかのどちらかだもの」

 

「え!?何その二択!?」

 

「でも事実でしょ?」

 

今は4月の下旬なのだが入学してたった一か月ほどで上条は朝から騒動を起こすのが日常であると理解してしまった

実際に今もぶつぶつと文句を言いながら道端に転がっている空き缶を蹴っ飛ばすと綺麗な放物線を描き、一人の男の頭に当たった

制服を乱雑に着て、未成年のはずなのに煙草を吹かすその姿はまさに不良

そんな彼は突然襲った頭の衝撃に驚きつつもそれが缶を投げられた(実際は蹴られて)ものだと知るやこめかみに井形を作りつつこちらを見てきた

幸い通学時の為に人が多く犯人が誰かは分かるまい…そう思っていた

 

「誰だ!俺に空き缶ぶつけやがったのは!」

 

「げ!?」

 

「お前か!」

 

あ~あ、知らない振りをしてればいいのに律儀に上条は反応してしまう

当然その後はこれもある意味恒例になりつつある追いかけっこの始まりだ

逃げる途中視線で風紀委員なら助けろと言われた気がするが、視線は即行別の方に向けて俺は知らんぷりする

それに腕章忘れたから仕事も出来ないしな

 

「不幸だ~っ!!」

 

「待ちやがれこの野郎~!」

 

さすが何年も不幸に巻き込まれる上条

足はとても速く、不良との距離はどんどん離れていく

 

「これは今日も上条君は遅刻ね、そう思わない土御門君?」

 

「ばれてたんだぜい、いつから気付いてたのにゃ~?」

 

とりあえず後ろに居た土御門に話を振ってみたのだが、どうやら警戒されてしまったようだ

 

この土御門も上条と同じく小説のキャラだったりするのだが、こちらもたった一か月ほどで有名人だったりする

もちろん悪い意味でだけど

 

「あら?そんなの簡単よ、さっきまで近くを歩いて居た女の子が私の後ろを見て足早に去って行ったからよ。そんな対応されるのって有名人のあなたか青髪君だけだもの」

 

今もそうなのだがこいつの見た目って確実に不良と呼ばれるものだ

それが近づいてきたのなら逃げるのは当然だ

 

「なるほど、分かりやすいにゃ~」

 

「分かってもらえて何よりだわ。それよりも早く歩かないと遅刻してしまうわよ」

 

さっきまで辺りにいた生徒はおらず、ここに居るのは俺と土御門だけ

 

「おっと、そうみたいだにゃ~」

 

「なら急ぎましょうか」

 

学校では優秀な生徒で通っているので遅刻は厳禁

更に言えば土御門と一緒に遅刻をしてしまうとあらぬ噂が流れるかもしれない

 

「そういえばカミやんは大丈夫かにゃー?」

 

校門間近での土御門の質問

にやにやしてるからきっと分かっているんだろうけど

 

「さぁ?きっとどこかで女の子とキャッキャウフフでもしてるんじゃないかしら。先生おはようございます」

 

とりあえずテンプレートな返答をしつつ、校門で学生に挨拶をしている先生に挨拶をしておく

幸い挨拶前の怪しい会話は聞かれていないらしく、おはようじゃんと独特な口調で返してくれた

その後教室に向かう途中でも何人かの生徒が挨拶をしてきたので嫌な顔をせずにしっかりと返しておく

 

「カミやんのフラグ立ては凄まじいぜい。っと、噂をしてたら本人からメールだにゃー」

 

ホームルームまで後五分の所で教室に入った俺と土御門はクラスメイトと挨拶しつつ席に着く

俺の席の隣が土御門の為、先生が来るまで話をしていたのだが、ここで上条からメールが来たのだが内容を読んで土御門が笑い出した

 

「どうしたの?ってなんとなく分かるけど…」

 

「カミやんスキルアウトに絡まれて逃げてたみたいだにゃー」

 

「ふ~ん、どうせその後に川で溺れていた女の子を救ったとかかしら?」

 

「おお、大正解だぜい。溺れかえていた幼女を助けたみたいだにゃー、その所為で制服がびしょ濡れだから遅刻するってにゃー」

 

いやいやまさかこんな事があったら面白いなぁ~とか考えて言っただけなのに、それが事実だとは

 

「は~い、みなさんおはようです。今から出席を…はぁ、また上条ちゃんが居ないのですよ。誰か、上条ちゃんから連絡があった人はいますか?」

 

と上条のフラグ体質に霹靂していると俺らの担任である月読小萌先生が登場

いつもの様に出席確認とすると同時にいつもの様に上条が居ないことにため息をつく先生

見た目がアレなのでとても庇護欲に駆られる、実際小萌先生を落ち込ませるなんてカミやん許さへんで~と野太い似非関西風な声がするが無視しておく

 

結局、上条が教室に入ってきたのはそれから15分後の事

もちろん、小萌先生から補習を言い渡され不幸だ~!と叫んでいたりいなかったり




全く話が進まない日常回

出したいキャラが沢山いるのにこのペースだと一体いつになるのやら…
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