アナキンの親友になろうとしたら暗黒面に落ちた件   作:紅乃 晴@小説アカ

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ジェダイカースト最下位ですが何か?

 

 

最悪だ、くそったれ。

 

評議会からの指示を受けて、元老院議会に参加するためにコルサントへ訪れたアミダラ議員の出迎えに向かった俺は、船が降り立ち、アミダラ議員が船から降りてきた直後に起こった爆発に巻き込まれた。

 

くそ!なんたる体たらく!!

 

たしかに序盤でアミダラ議員が着陸した直後を狙って爆発が起こっていたのは覚えていたが、それを思い出したのはたった今という、何とも言えない不甲斐なさだった。

 

タラップから降りてきていたアミダラ議員の替え玉であるコーデをフォースで手繰り寄せはしたが、護衛の二人や外交船のクルーたちはダメだった。

 

俺は胸の中に収まったコーデを抱きとめながら、轟々と燃え盛るナブーの外交船を見つめた。

 

「戻ってくるべきではありませんでした」

 

その船を見つめていた俺の隣で、悲壮感に満ちた顔で呟くパイロットスーツ姿の女性。彼女こそが、ナブーのアミダラ議員だった。

 

硬直するコーデに一礼して、俺もアミダラ議員へ言葉をかける。

 

「議長の嫌な予感が当たったというところ…ですかね」

 

「お久しぶりです、ドゥーラン。しかし、私はそれ以上の恐怖を感じて仕方がないのです」

 

そう真剣な眼差しで告げるパドメに、俺は首を傾げる。くる答えはすでに思い出していた。

 

「ドゥークー伯爵が背後にいると、私は感じます」

 

銀河を二つに分かつ壮絶な「クローン戦争」が、すぐそばまで近づいていた。

 

 

 

 

 

 

「投票をどれだけ延期できるかは分からんのだ、友よ。多くの星系が次々と分離主義勢力に加わっているのだ」

 

心にも無いことを言うものだと、シディアスは「有能な政治家であるパルパティーン」の仮面を被りながら、目の前にいる多くのジェダイマスターたちを見つめていた。

 

彼らは能力はあったが、未来を見据えるあまり、物事の行先を見つめることを怠っている。故に今のような状況に陥っている。

 

「1,000年続いたこの共和国を2つに分かつことはできない。交渉は必ず成功させる。話し合いで、な」

 

ドゥークーと自分の猿芝居ということにすら気づかずに、マスターたちは本気で未来に対して思い悩んでいる。それがシディアスにとっては愉快で仕方なかった。マスターと名だたる多くのジェダイが、今や自分の掌の上だ。

 

「決裂した場合、ジェダイだけでは共和国を守りきることはできませんぞ。我々は平和の守護者であって、戦士ではないのです」

 

マスターウィンドゥのセリフが今のジェダイの思考停止具合を物語っていた。彼は自らが平和の守護者だとのたまっている。故に気づかぬのだ。見えざる脅威が、すでに彼らの首筋に手をかけ始めていることすら。

 

しかし、シディアスはまだ気を抜いていない。気を抜くわけにはいかなかった。そんな意識を切り替えるように、彼はジェダイで最も知恵を持っている存在へと話を振った。

 

「マスター・ヨーダ、本当に戦争になるとお思いですか?」

 

マスターヨーダは杖をしたたかに打って、未来へのフォースの共感を試みるが、その先にあるのは暗雲漂う幻惑だけだった。

 

「ふむ。ダークサイドがすべてを曇らせておる。不可能じゃ、未来を見ることはな」

 

この場で、すでにシスの勝利は揺るぎないものとなっていた。仮面の奥底でシディアスはしたたかに笑う。時代が、フォースが、まるで自分を後押ししてくれるように世界が動き始めているのだ。

 

もはや、ジェダイオーダーなど恐るるに足らず。仮に自分が倒れても、シスの勝利は揺るぎないものになるだろう。

 

しかし、足りない。

 

1000年の恨みはこの程度では足りないのだ。

 

もっと苦しめ、もっと破滅に追いやり、ジェダイの痕跡をこの銀河から消し去らない限り、シディアスの魂に刻まれた恨みは消えることは無いのだ。

 

そんな思考の中で、議長専用の部屋の扉が開いた。奥から現れたのは、正装へと身支度を変えたアミダラ議員と、ナブー有権者の面々。

 

そして、彼の顔を見て、シディアスは心の奥底で笑うことをやめた。

 

「アミダラ議員、あの発着場での悲劇は恐ろしいことじゃ。そなたの無事な姿を見て心がほっとしたわい」

 

マスターヨーダは、アミダラ議員〝だけ〟に意識を向けて語りかける。言葉を交わすマスター陣営の全員がそうしていて、彼女の背後で待機するジェダイナイトには一切の視線すら向けようとしない。

 

「私はドゥークー伯爵が背後にいると思っています」

 

「彼は政治的理想主義者であって、殺人者ではありません。議員も知っての通り、ドゥークーはかつてジェダイでした。暗殺など行うはずがありません。彼の人格に反します」

 

そう断言するマスターに、シディアスは小さな失笑を漏らした。見てみたまえ、アミダラ議員の背後にいるジェダイを。

 

彼ははっきりと分かっている。ドゥークーは自分たちが知っている存在からかけ離れていることを、彼は充分に理解していた。

 

にも拘わらず、マスターたちはジェダイのあり方に疑念や疑いすら覚えない。自分たちの見ていないところでドゥークーがどうなっていようが、ドゥークーがジェダイであったという過去が彼らにとっての全てだった。

 

全く以って下らない。

 

吐き気を催すほどの無頓着さだ。

 

「マスター・ジェダイ、議員をあなた方の保護下においてはいただけませんかな?」

 

その時、シディアスの中でほんのわずかな心が働いた。他の議員や、アミダラ自身の抗議の声があったが、シディアスにとってはそんなもの聞くにも値しない戯言だ。

 

「状況は深刻ですぞ?私はそう思いますな、議員。警備が増えればあなたにとって窮屈になることは十分に分かっています。しかし、仲のよい人物ならどうですかな?そう、旧友の―――マスター・ドゥーランのような人格者が、ね?」

 

そう言い放って、マスターたちはようやく発着場から彼女の警護にあたっていたジェダイナイト、ログ・ドゥーランへ意識が向いた。

 

ドゥーランはマスターたちの視線を受けながらも、身動ぎせずに自身の職務を全うしているように見えたが、シディアスにはハッキリと感じ取れた。

 

彼のフォースの揺らめきを。

 

「―――ドゥーランはまだナイトです、議長。彼を警護に付けるわけには行きませんが……確かに名案です。友人であるケノービなら、ちょうどアンシオンの国境紛争から戻ってきたところです」

 

シディアスは笑みを浮かべる。

 

彼らは気づかぬのだ。ドゥーランという男が如何に賢者であるかということを。故に、ジェダイという不安定な枠組みで爪弾き者に仕立て上げる。次は何をする?ジェダイから追放か?どうぞ、やってくれ。やってくれれば、彼の暗黒面の扉が随分と開きやすくなる。

 

彼の精神力は、シディアスですら驚くほどの強靭さを持っていた。

 

幾度となく仕掛けた罠にも掛からず、彼はジェダイ……というよりも、フォースとの対話をやめようとはしないのだ。まさに称賛に値する逸材。怒りや自尊心、欲望や権力にすら目を向けず、彼はひたむきにフォースと向き合っている。

 

フォースとは、この世の全てだ。

 

フォースがあるところに我々はいる。

 

我々がいるところにフォースがある。

 

怒りや支配に傾倒するシスでも、フォースとの共振は切っても切れない手段だ。

 

ジェダイはフォースと一体化し、シスはフォースを支配する。

 

だが、どちらとも決定的にフォースと共感などしない。

 

フォースに身を任せると言っても、それは一時的なものだ。フォースを通して感じる人への感覚を、ジェダイは相手を惑わすことにしか使わない。シスも同じくだ。

 

だが、彼は違う。

 

彼はこじ開けた。我が弟子の空っぽの心を。そして気付かせたのだ。我が弟子にない全てを。それを知った時、シディアスは愉快で仕方がなかった。

 

素晴らしい!なんとも素晴らしい!

 

この時になって、素晴らしい素質を持つ存在を二つと見つけることができるとは!!

 

アナキン・スカイウォーカー。

 

ログ・ドゥーラン。

 

とても魅力的だ。とても欲しい逸材だ。

 

彼らのどちらかを暗黒面に引き摺り込むことができれば、我が思い描く帝国は盤石のものになるだろう。

 

そうだ。

 

どちらか、片割れで構わない。

 

シスは常に、二人。

 

三人目のシスは必要ないのだ。

 

だから、彼らのどちらかが、シスの前に立ち塞がるというならば―――。

 

深い思考の中で、シディアスは笑みを終えて、改めてアミダラ議員の下へと視線を向ける。

 

「お願いしますよ、議員。よろしいですね?あなたを失うようなことがあれば…耐え難いことだ」

 

なんとも、便利なものだ。人への愛を演じるということは。シディアスはそれに納得してくれるアミダラ議員を滑稽に笑った。彼女を護衛するのはどちらでも構わない。彼女の身に起こることが、この物語の始まりとなるのだから。

 

「オビ=ワンにすぐに連絡させますよ、議員」

 

「ありがとう、マスター・ウィンドゥ」

 

そう会話を交わして部屋を後にするアミダラ議員の後ろ姿を見送るパルパティーン。そんな議長に、この部屋の中で何も語らなかったドゥーランは一目むけて、何か言いたげな視線だけ流すと、足早に部屋を後にする。

 

扉が閉まっていく隙間の中に映ったパルパティーンの顔は、深く笑みに包まれていた。

 

 

 

 

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