アナキンの親友になろうとしたら暗黒面に落ちた件   作:紅乃 晴@小説アカ

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ここから分岐点になります。

ヒロインはパドメという言葉。それは物語が進むにつれ、明らかになってゆくのだ…。





ジオノーシスの戦い 3

 

 

「起きろ、ジェダイ」

 

砂漠で大の字になって寝ていたところを、誰かに蹴られて目が覚める。見上げるとマンダロリアン装甲を身につけた男が、俺を見下げていた。

 

「手間をかけさせてくれるな、クライアント」

 

やる気なさげに手を差し伸べてきたジャンゴに、俺は甘んじてその手を借りて砂漠から立ち上がる。あたりには、こちらを捕獲しようとしていたのか、何機かのドロイドの残骸が転がっていた。

 

ジャンゴを見ると、彼は得意気に反対の手に持っていたブラスターをくるくると回し、そのままホルスターへと納めた。

 

「悪いな、口よりも先に手が出るモノでね」

 

パドメを庇ったのは、咄嗟の出来事だった。遠くを見つめると、すでに砂嵐もおさまっていて、遠くからはドロイドとトルーパーの戦う轟音が響いてくる。

 

「置いていかれたな。どうする?」

 

そう言ってくるジャンゴに、俺は言葉をかけずに裾にしまっていたコムリンクを取り出す。これはフォースを使うものにしか扱うことが出来ない通信装置だ。主にジェダイやシスが使う特殊な通信装置であり、これがあればある一定の範囲ならば中継機を介さずに直通で通信をすることができる。

 

そう、直通でフォースを持つ者と通信が出来るのだ。俺は応じてくれた相手に2、3口言葉を交わして早々にコムリンクを仕舞い込む。

 

「ジャンゴ、ひとつ頼まれてほしい事がある」

 

「報償次第だが?」

 

腕を組んでシレッと言うジャンゴ、ほほう、共和国のスターデストロイヤー級を買ってもお釣りが来る契約費を支払ったと言うのに、追加料を取ると申すか。

 

ちなみに俺の懐に残っているクレジットも5000万という途方もない出費に悲鳴をあげている。

 

交渉開始といこう。

 

「五万」

 

「サービスだ。八万なら手を打とう」

 

ジャンゴは腕を組んで首を横に振る。ふむ、こうなったら彼は頑なだ。もう少し譲歩しよう。

 

「六万」

 

「七万」

 

二人が息をついて言葉をそろえる。

 

「 「六.五万」 」

 

ガシッとジャンゴと手を組む。よし、交渉成立だ。残り10万ほどだが、ここから先は可及的に金が必要になる場面は少ない。のんびりバレないように増やして行こう。

 

「で、依頼内容は?」

 

装備を整えるジャンゴに、俺は依頼内容を伝える。なに、難しいことではない。ジャンゴにやってほしいことは、彼の今後にもつながる脱出劇なのだから。

 

その時、背後から不穏なフォースの違和感が俺の背中を貫く。

 

間髪入れずにライトセーバーを抜いて振り返った先には、無数のドロイドの群れと、その中心からゆっくりと、こちらに近づいてくる大きな影があった。

 

《貴様が、伯爵が言っていたジェダイか…思ったより小さいな》

 

マスクの奥から響くような特徴的な声。依頼内容を伝えたジャンゴも、あまりの威圧感にブラスターを抜く。

 

「行け!賞金稼ぎ!お前には役目がある」

 

目線だけ送ってそう叫ぶと、ジャンゴは少しだけ間を置いて、俺と現れたドロイドを何度か見てから、ブラスターを持ったまま後ろへと走り出し、そのままジェットパックで稜線の向こうへと消えていく。

 

《はっはっはっ!貴様を記念すべき五人目の獲物としてくれる…!!》

 

マントを脱ぎ去って姿を現した敵の手には、奪ったであろうライトセーバーが握られている。

 

彼はジェダイを殺すことに執念を燃やし、倒したジェダイのライトセーバーを戦利品としてコレクションしていた。

 

相手は、のちのクローン戦争で一役の大罪人となる存在…グリーヴァス将軍だ。

 

「気をつけたほうがいいぞ、将軍。今の俺は…機嫌が悪いからな」

 

対する俺はフォースを研ぎ澄まして、ライトセーバーのフォームを作る。その型は攻撃に特化した「ヴァーパッド」の型であった。

 

後ろから救援にやってきたトルーパーたちの援護射撃が始まる。

 

ちょうど良い、予定が崩れたが…想定範囲内。

すべては―――想定通りに進んでいる。

 

そう心の中で笑みを浮かべながら、ブラスターの光弾が煌めく中、俺とグリーヴァスはライトセーバーを交差させていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゥークーは予想以上の脅威だった。

 

パドメとオビ=ワンと共にドゥークーが格納庫に到着した直後、ドゥークーはフォース・ライトニングを放った。

 

咄嗟のことに気を取られたアナキンは、隣でオビ=ワンが目に見えないほどの速さであしらわれていく光景に思考が追いつかなかった。

 

オビ=ワンは、ライトニングをライトセーバーで受け止め、真っ赤なライトセーバーを下げて距離を詰めてきたドゥークーと対峙する。

 

だが、ドゥークーは終始、孫弟子のケノービを圧倒し、彼の手足を傷つけて身動きをとれなくした。

 

倒れたケノービに対する止めの一撃。

 

パドメの息を呑むような悲鳴を聞いて、アナキンは硬直していた思考と態勢を立て直して、なんとか封じたのだ。

 

「勇敢だな、坊や。だが、まだ訓練が途中だったと思ったが」

 

「覚えが悪い方でね…っ!!」

 

倒れているオビ=ワンからライトセーバーを受け取り、二刀流戦闘法「ジャーカイ」でアナキンは伯爵と戦う。

 

「ちぃい…!」

 

ドゥークーはアナキンの武器のうち、1本をすぐに破壊し、フォースプッシュでアナキンを突き放そうとしたが、意識を集中するアナキンはひらりとフォースの濁流を避けて、さらにドゥークーから距離をとった。

 

アナキンによって断ち切られた動力線。光が失われた格納庫の中で、赤と青のライトセーバーが鉄を焼くような音を響かせ、交差し合う。

 

「君はまだ傲りがあるようだ。その程度では私のジェダイの力には遠く及ばない」

 

「何がジェダイだ…シスの力に頼っているくせに!」

 

力任せに振り抜いた一閃を軽々とあしらわれるアナキンに、ドゥークーは不穏な笑みを浮かべながら言葉を吐いてゆく。

 

「あぁ、だが私の力はシスなどではない。私はジェダイの全てを凌駕する力を手に入れたのだ」

 

ほんの僅かな油断だった。

 

切り落とした動力源が、非常用のものに変わった境目を狙って、ドゥークーは戻った光源に目を眩ませたアナキンへ僅かにだがフォース・ライトニングを浴びせる。

 

「がっ…!!」

 

電気ショックのような衝撃を受けたアナキンは、肉体から煙を上げてその場に膝を落とした。皮肉にも、それは伯爵であるドゥークーへ、アナキンが跪いている構図となっていた。

 

「君への授業料に、その片腕でも貰っていくかな…!!」

 

ニヤリと笑みを浮かべるドゥークーは、そのまま赤いライトセーバーを振るい、若きジェダイ・パダワンの右腕を――。

 

 

 

切り落とせなかった。

 

 

 

「えっ…」

 

力なく膝をつくアナキンと、凶刃を振るったドゥークーの間に、白い一閃が分つように切り込まれていたのだ。

 

「何者だ…?」

 

ドゥークーが睨み付ける先。そこにあったのは、金茶色のフード付きローブと仮面を身に着ける影。

 

黄色いブレードを放つ特殊なライトセーバーを構えた存在だった。

 

「名前?そんなもの、今の俺にはない。そうだな…強いて言うなら〝ノーバディ〟とでも名乗っておこう」

 

ジェダイ・テンプルガードと同じ装いを持っているが、その人物の顔に付けられている仮面には、大きな傷があり、それは記されていたジェダイの紋章を塗りつぶすような傷痕だった。

 

「黄色いライトセーバーだと?」

 

テンプルガードとは、ナイトの中から選ばれるという無銘のジェダイだ。だが、彼らは文字通りジェダイ・テンプルを守る存在のはず。コルサントから程遠いジオノーシスに彼らがいるはずが無かった。

 

ドゥークーが距離をとってから斬りかかると、仮面の男は一つだったブレードを二つに増やして、ダブル=ライトセーバーを使った鮮やかなフォームでドゥークーと切り結ぶ。パドメに肩を貸してもらったアナキンや、オビ=ワンが見ても、仮面の男の身のこなしは一級品の技であった。

 

ドゥークーは正体不明の横槍に苛立ち、フォース・ライトニングを放つが、仮面の男はさらに柄の中心を可変させると、もう二つの光刃を出現させ、ライトニングを完全に防いでみせた。

 

十字を切るように展開するクアトロ=ライトセーバーを振り回して、ドゥークーと睨み合う仮面の男は、その下で笑みを浮かべる。

 

「言っただろう?俺は〝誰でもない〟と」

 

「君の正体には興味があるがね…!!」

 

その僅かな間。ドゥークーは手を横に翳すと、アナキンやオビ=ワンがいる場所の頭上にある燃料タンクをフォースでひしゃげ、倒壊させていく。

 

仮面の男はすぐ様ライトセーバーを仕舞って、三人の下へと落ちそうになるタンクをフォースで支えた。

 

「ドゥークー!!」

 

「これは始まりにすぎんよ、ジェダイたち」

 

燃料タンクが脇へと避けられる中、高笑いのような言葉を残したドゥークーの船が惑星の外へと飛翔していく。

 

ハッとアナキンは仮面の男を探そうとしたが、彼の姿はどこにもない。

 

あるのは、格納庫のすぐ脇から飛び上がった特徴的な輸送船、「スレーブⅠ」の後ろ姿だけだった。

 

 

 

 

 

 





クアトロ=ブレード・ライトセーバー

柄の両端にある放出口から、二つ同時に起動することも、片方だけ起動することも可能。使い勝手では、ダブル=ブレード・セーバーと同じ使い方ができた。

柄の中央部には折り畳まれた可変式の放出口が存在しており、最大展開で四つのブレードを展開する事ができる。

十字を切るようなライトセーバーは、殺傷能力を上げ、ブーメランのように放り投げることも可能(※イメージは風魔手裏剣「影風車」)

しかし、十字に展開したクアトロ=ブレード・ライトセーバーを完全に扱える熟練者は少なく、相手の意表を突いた奇襲などに用いられる事が多く、使い勝手も持ちにくさや、ライトセーバーで自身を傷つける危険性も高い。

よって後に、開発されるダブル=ブレード回転式ライトセーバーへ、全体的なデザインを引き継ぐことになった。

また、回転式ライトセーバーは、回転状態のまま頭上にかかげることで、ヘリコプターのようにして飛行することができる(事実)


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