アナキンの親友になろうとしたら暗黒面に落ちた件   作:紅乃 晴@小説アカ

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崩壊の序曲

 

 

惑星、ウータパウ。

 

原生の植物と硬い岩肌に覆われたこの地では、グリーヴァスを討伐したアナキンとオビ=ワンが、残っていた分離主義のドロイドから惑星を解放するために奮闘を続けていた。

 

だが、それは思わぬ形で終わりを迎える。

 

「オビ=ワン!」

 

地下水脈から洞窟へと上がったアナキンは、周囲の様子を窺うオビ=ワンに小さな声で話しかける。ドロイド討伐の先陣を切っていた二人は、突如としてクローンの攻撃に晒され、そのまま地下水脈がある地下へと落下したのだ。

 

信じられない高さからの落下だったが、自分たちを乗せてくれていたヴァラスティルが身を挺して二人を助けてくれたため、アナキンたちはほぼ無傷で着水することができたのだった。

 

「クローンたちが反乱…!?一体なにがどうなっているんだ」

 

岩陰に身を隠しながら様子を窺うオビ=ワンは、反旗を翻したクローン兵たちの姿に驚愕しながら辺りを見渡している。

 

「状況がわかりません。こんな状態では他のジェダイに連絡も…」

 

「コムリンクを使えば逆探知で探し出される…。とにかく、この惑星から脱出するしかない」

 

オビ=ワンの提案にアナキンは頷いて答える。

 

「僕が先導します。グリーヴァスの船があるはずです」

 

そう言ってアナキンが音を立てずに身を隠していた洞窟から身を出した時だった。

 

「動くな、ジェダイ」

 

背後からブラスターを構えたクローン兵たちが、姿を見せたアナキンの背を捉える。

 

「あぁ、これは不味いな」

 

そう言いながら洞窟の中から連行されそうになるアナキンを見つめるオビ=ワン。パルパティーンの命令でアナキンを見つけ次第、こちらに連行するようにクローン兵たちは命令されていたのだ。

 

だが、その判断がオビ=ワンたちを救うことになる。

 

「アナキン!上だ!」

 

ハッと空を見上げると、狭い渓谷の穴の中へ、一機の強襲用トランスポーターがアナキンたちの頭上へと降りてくるのが見えた。

 

「トランスポーター!?」

 

兵員輸送部の両サイドから突き出た銃口や、トランスポーターに備わる銃座から光弾が放たれて行き、アナキンを取り囲んでいたクローン兵や、オビ=ワンの近くや渓谷の底にいた兵士たちを次々と薙ぎ払ってゆく。

 

「スカイウォーカー将軍!」

 

降り立ったトランスポーターに乗っていたのは、アナキンとオビ=ワンがよく知る人物だった。

 

「レックスか!?それに…」

 

「ノーバディ…!ジャンゴ・フェットだと…!?」

 

壁面にいるクローン兵たちからの攻撃を躱し、マンダロリアンの鎧を身につける賞金稼ぎは飛翔しながら敵を撃ち抜いて行き、レックスの隣ではブラスターの光弾を黄色いライトセーバーで弾き返すノーバディの姿もあった。

 

「救助に来ました!早くこちらへ!」

 

そう言って手を差し伸ばすレックスに、オビ=ワンは迷いがあった。本当に彼を…クローン兵を信じていいのか。

 

そんな迷いがあるオビ=ワンの横をアナキンは駆け抜けると、手を伸ばすレックスの手を借りてトランスポーターに乗り込んだ。

 

「アナキン!」

 

「今は迷ってる場合ではないです!」

 

それに僕はこんなところで死ぬわけにはいかないんです。その言葉を飲み込みながらも、オビ=ワンに手を差し伸ばすアナキン。彼も決断して、ブラスターが飛び交う中を駆け抜けると上昇するトランスポーターへと飛び乗る。

 

ジャンゴやノーバディも回収したトランスポーターは、そのまま渓谷を脱すると近くに待機していた輸送船へと一気に着艦する。

 

「我々の船へお連れします」

 

輸送船も猛スピードでウータパウを離脱。

 

オビ=ワンとアナキンが率いていたクローン部隊が集結する場所とは反対側へと向かうと、そこには一隻のヴェネター級スターデストロイヤーが鎮座していた。

 

「レックス、一体なにが起こってるんだ?」

 

「反乱です、将軍。クローン兵はそういう風にプログラムされています」

 

ヴェネター級に到着してから、足早に司令室に向かうオビ=ワンは、ついてくるレックスへと問いかける。

 

「待て、プログラムされているのか?」

 

「その通りです。我々はプログラムされたチップを切除したので影響はありませんが、他の者たちは…」

 

そう言ってレックスは肩を落とした。いくら異常事態とは言え、兄弟たちを撃つのは流石に心が痛む。この船を操るのは、戦争の中で助けてくれた協力者や、レックスと同じく制御チップを切除したクローン兵たちだ。

 

アナキンはいぶかしむように顔を硬らせる。

 

「一体、誰がそんなことを…」

 

「わかっていただろう?全ての元凶が誰なのか」

 

アナキンの呟きにそう言葉を差したのは、ジェダイテンプルガードの姿をするノーバディだった。

 

「言ったはずだぞ、スカイウォーカー。貴様に迫る魔の手には注意を払えとな」

 

マスク越しにくぐもった声でそういうノーバディに、アナキンも怪訝な顔つきになる。クローン戦争で目的も得られるものも判明しなかった勢力であり続けたノーバディ。彼らはまるでこうなることが最初からわかっているような雰囲気を漂わせていた。

 

「緊急コード9-13。どの周波数にも応答がない」

 

通信機でジェダイ専用の緊急暗号通信を試みるものの、応答はなかった。そんな中で、通信室に入ってきた人影を見て、オビ=ワンはギョッと目を向く。

 

現れたのは、ウータパウで現れたジャンゴ・フェット本人だった。だが、マンダロリアンの鎧を着ているジャンゴは自分の後ろにいる。思わず二人の間に視線を彷徨わせた。

 

「父さん、敵の追跡は振り切ったよ」

 

そう答えながらヘルメットを脱いで現れたのは、少年から青年へと成長したボバ・フェットだった。今になってみれば、身長も小柄であり、感じる力にもどこか若々しさがあった。

 

そんなことに今更気がつくとは、とオビ=ワンは自身が感じたショックの大きさを今更になって痛感する。

 

「よくやった、ボバ」

 

自分の〝息子〟の活躍に満足そうに頷いたジャンゴは、カミーノとジオノーシス以来の再会となったアナキンとオビ=ワンへ笑みを向けた。

 

「久しぶりだな、マスタージェダイ。ひどい目にあった様子だが」

 

ひどい目はもっとあったけどね、とアナキンは答える。そんな軽口を聞いてオビ=ワンも少しだけ冷静さを取り戻すことができた。

 

「なぜ我々を助けた」

 

「依頼だ。ウータパウにいるジェダイを助けて欲しいとな」

 

「誰からの依頼だ?」

 

「それは言えない契約になっている」

 

淡々と答えるジャンゴに、オビ=ワンはフォースの感覚を鋭くさせていくが、感づいたジャンゴはそれを制するようにオビ=ワンの目の前へ指を立てて制する。

 

「おっと、マインドトリックをしても無駄だぞ?話した瞬間に、俺はそいつに斬り殺されるからな」

 

目配せの先には、腕を組んで様子を見ているノーバディの姿があった。オビ=ワンも観念したように息を吐いて、疲れた目でノーバディへ視線を移す。

 

「なら、せめてその仮面の下の正体を教えてほしいものだがな、ノーバディ」

 

その言葉に、ノーバディは応じることなく黙って腕を組んだまま立っていた。しばらくすると司令室の扉が開き、通信官を担当するクローン兵がノーバディへ報告にやってきた。

 

「ノーバディ。オルデランの元老院議員からの信号を受信しました」

 

わかった、こちらで聞こう。そう答えるノーバディに敬礼を打つと、通信官はすぐに司令室へデータを入力した。

 

《マスター・ケノービ》

 

ジェダイの緊急回線に応じたのは、オルデランの議員であるベイル・オーガナであった。

 

「オーガナ議員。クローン・トルーパーが反乱を起こしたのです。助けが必要です」

 

《こちらもマスター・ヨーダを救出したところだ。この反乱はいたるところで起こっている。こちらの座標を送信しよう》

 

送られてきたものは、ジェダイの緊急時に使用される予定だったアウターリムの外れの宙域だ。何箇所か点在する場所の一つだが、ここを知るジェダイは限られている。

 

進路をそこへ定めると、ノーバディは疲弊したアナキンとオビ=ワンを見つめる。

 

「話は彼らと合流してからだ。ケノービ。そこで全てを話そう」

 

その時、すでに時代は大きく動き出そうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジェダイ・テンプルでも、異変が起こっていた。夜のとばりが降りる中、軍足の足音を奏でながら、完全武装したクローン兵が大軍でこちらに向かってきているのだ。

 

「武装したクローン兵が?」

 

「一体なにが起こっているというんだ。とにかく正門前にナイトたちを集めろ」

 

ただならぬ様子に警戒心を強めるジェダイたち。敵がまず攻めてくるであろう正面の門にナイトたちが集結する中、扉はゆっくりと開かれた。

 

ライトセーバーを構えるジェダイたちは、その扉を開けて〝一人〟で入ってきた人物を見てライトセーバーを下げた。

 

「ログ・ドゥーラン?」

 

ジェダイの中でも卓越したセーバーテクニックとフォースと深く向き合っていることで名を知られているログが、一人正面扉からテンプルへと入ってくる。

 

なにが起こっているのかと、一人のジェダイがログに問いかけようと近づいた瞬間、一閃が煌めく。赤く焼けたジェダイローブと共に、近づいたナイトが力なく倒れたのだ。

 

正面に集まっていたやり手のナイトたち、計八人が瞬く間のうちに斬殺されてゆく。

 

残ったジェダイたちが見たのは、蒼白く眼光を光らせ、まるで今にも泣き出してしまいそうな顔をしたログの表情だった。

 

 

 

 

 

シナリオを練り直すのを許せるか?

  • 細かい描写も見たい
  • ログの心の移り変わりを見たい
  • とりあえずエンディングまで突っ走れ

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