アナキンの親友になろうとしたら暗黒面に落ちた件   作:紅乃 晴@小説アカ

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暗黒卿

 

プロファンディティ内部では、シタデル・タワーから送信された帝国の秘密兵器の設計図の転送が行われていた。

 

「データは移せたか!?」

 

そう急かす乗組員に、データを転送する者は「焦るな」と言葉を放つ。プロファンディティのブリッジは、すでに現れたスターデストロイヤーの猛攻により吹き飛ばされ、この船の制御を担う装置の全ては破壊されている有様だった。

 

惑星一つ分ほどの大きさを誇るデス・スターの設計図だ。その膨大なデータを転送するにも時間を要する。急かされながらも何とか設計図のデータを小さな端末へと移した乗組員たちは、すぐに駆け出し、連絡口がつながっているタナヴィーⅣの方へと向かおうとした。

 

その時だ。

 

プロファンディティの照明が一気に落ちたのだ。

 

「な、なんだ…?」

 

暗闇が降りて、静寂が支配する。宇宙空間のような静寂が、乗組員たちがいる通路を満たしていた。彼らは無意識ながらも感じ取っていた。想像を絶する何かがこちらに向かってきていることを。

 

武装した彼らはブラスターを引き抜き、暗闇に覆われた通路の彼方へ銃口を向ける。嫌な汗が背中から吹き出し、額を伝う。誰もの息遣いが聞こえてきそうな静寂。その静けさが頂点を迎えた瞬間。

 

暗闇の中に赤い光が立ち上った。

 

「シスの…暗黒卿」

 

誰かが言葉を漏らす。

 

「撃て!!」と悲鳴のような叫び声が響いた瞬間、その場にいる誰もがブラスターを放ち、放った誰もが跳ね返されたブラスターに胸を焼き貫かれた。

 

最前列付近でブラスターを構えていた6〜8名は居たはずの射撃手が、ブラスターを一発放っただけで全員が絶命し、床に倒れたのだ。

 

端末を持った乗組員にとって、信じられない光景だった。暗黒卿は赤い光の刃を一閃させただけで、飛んできた全てのブラスターを〝同時〟に跳ね返したのだ。

 

最前列の者が一斉に崩れ落ちたのを見て動揺する他の射撃手の手から、不可視の力でブラスターを奪い去ると、暗黒卿は刃を翻した。

 

まずは一閃で茫然と立つ乗組員の首を切り落とし、最短動作で次の獲物の胸を貫くと、距離を詰めながら他の者たちを蹂躙してゆく。叫び声すら上げる間もない。

 

隣にいた仲間がフォースで手繰り寄せられると、すれ違いざまに切り刻まれた。死体と化した仲間の姿に目もくれず、暗黒卿はこちらに歩んでくる。

 

まずい…まずい…まずい…!!

 

避けられない死が目前に迫っている。守ってくれる仲間は全て死に絶えた。逃げようにも足がすくんで動くことすらできない。

 

圧倒的すぎて、彼は何もできなかった。

 

硬直する彼の手に握られている端末を目指して、暗黒卿はその足と光刃を邁進させてゆく。ふと、固まっていた乗組員の後ろから誰かが走ってくる音が聞こえた。

 

走ってきた足音の主は、乗組員の上を宙返りを打って飛び越すと、暗黒卿の前へと降り立った。

 

「下がって。ここは僕が引き受ける」

 

ルーク・スカイウォーカーは、そう言って暗黒卿「ダース・ヴェイダー」の前へと躍り出て、ライトセーバーを閃かせた。

 

ルークは目の前に立つ存在へ視線を鋭くさせる。自分の心をざわつかせていたのは、目の前にいる相手だと確信したのだ。

 

暗黒面に通ずる訓練はオビ=ワンや、クワイ=ガンと行っており、その中で体感したものはあったが、目の前にする相手はその時感じた以上の「何か」を感じる。

 

「…っはぁ!!」

 

ルークは基本的な「シャイ=チョー」の構えから一閃。上段から下へ振り抜くような一撃を放つが、ヴェイダーは軽くいなして攻撃を払い除ける。やはり一筋縄ではいかない、そうルークが警戒心を一つ上げた時だ。

 

目の前に赤い閃光が迫った。

 

「…っ!?」

 

咄嗟に顔を避けてライトセーバーを振るうが、その赤い光は、さきほどまで自分の頭があった場所を的確に捉えていた。青のライトセーバーで跳ね除けられたそれを、何事もなく手元に戻すヴェイダーに、ルークはヒヤリとした汗を流した。

 

何をした…?相手が何をどう放ってきたのか、全くわからなかった。

 

手堅くオビ=ワンの得意とする防御の型を取ったルークに、ヴェイダーは何も言わないままジリジリと距離を詰める。

 

こちらが動こうとした瞬間に飛来する閃光に、ルークは構えを堅牢にして受けることしかできなかった。防御を強化したために、相手の攻撃がよく見えるようになってはいたが、ヴェイダーの攻撃をルークは「見ること」ができなかった。

 

いうならば、ブラスターを跳ね返すときの先読み染みた防御をするので精一杯なのだ。手が動いたと思った瞬間、自分の四肢や頭部を捉える斬撃が飛来するフォースのビジョンが克明に見える。それを頼りに反射的に逸らし、打ち払うことしかできない。

 

強い…!!

 

圧倒的な実力差にルークは毒づく。相手にする暗黒卿は何も分からないが、ひとつだけ確かなことは、今の自分ではヴェイダーに勝てない。ただそれだけだ。

 

「早く逃げろ!」

 

ふと、後ろに意識を向けると、ルークとヴェイダーの戦いに気押されていた乗組員がやっと逃げ出そうとしているところだった。もつれる足を引きずって、仲間が待つところに急ぐ乗組員。

 

そんな彼へ、ヴェイダーはライトセーバーを投擲する。円盤のように回転する閃光は逃げようとしていた乗組員の命を簡単にむしり取る。力を無くした手から、デス・スターの設計図が入った端末が落ちた。

 

「やめろ!!」

 

得物を投げたヴェイダーへ、ルークは青いライトセーバーを振りかざした。今なら勝機がある!そう判断したルークは、ヴェイダーが取った行動に目を見開いた。

 

なんとヴェイダーは、腕を掲げてルークの一閃を受け止めたのだ。

 

フォースを纏わせた腕は、ジリジリとライトセーバーを斬り込ませていたが、ルークの一撃を受け止めていた。それに驚愕するルークを、ヴェイダーは反対の腕を使ってフォースの力で捕らえる。

 

「がっ…!!」

 

首を凄まじい力で締め上げられるルークに為す術はなかった。ヴェイダーの腕に食い込んでいたライトセーバーはだらりと地に落ちて、ルークの四肢の自由は奪われる。

 

そのままヴェイダーは腕を振るうと、ルークの体を、まるでピンボールのようにプロファンディティの通路の壁、床、天井へと叩きつけてゆく。フォースで体を防御しているとは言え、想像を絶する力で叩きつけられるルークの体はみるみる傷ついていく。

 

数度打ち付けられた体を、無言のままヴェイダーはゴミを捨てるように放り投げた。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

打ち付けられた体に、もはや体力は残っていない。ルークは震える手を彷徨わせて自分のライトセーバーを掴んだ。

 

だが、見上げた先には赤いライトセーバーを握るヴェイダーが立っている。

 

圧倒的な力の差の前に、ルークの中で芽生えていた正義感やジェダイとしての誇りが折れそうになった。

 

そんなルークの体を、誰かが見えない力で後ろへと引き寄せた。通路を飛ぶように後ろへ流れてゆくと、真っ白な明かりがついた船内へと体が下ろされた。

 

カラリ、と床には乗組員が落としたデス・スターの設計図もある。

 

目の前を見ると、赤い刃を振りかざしたヴェイダーの姿が、ブラスターシールドの扉で見えなくなってゆく光景があった。

 

「ダース・ヴェイダーに一人で立ち向かうなんて、相変わらず無茶をするわ」

 

プロファンディティからタナヴィーⅣへと引き入れたのは、レイア・スカイウォーカーだった。彼女は、ルークが危機に瀕した瞬間に、フォースの力を使ってルークの体と、デス・スターの設計図を手繰り寄せたのだ。

 

 

 

 

 

 

宇宙へと発進してゆくタナヴィーⅣの姿を真空の宇宙の中で見つめながら、ヴェイダーはライトセーバーの出力を切った。

 

真っ黒な外套を翻し、ストームトルーパーを引き連れて彼は歩む。

 

あの船が行く先の見当はついてる。

 

そしてあのジェダイも。

 

マスクの下に隠された顔は、焼け爛れながらも不気味な笑みを浮かべているのだった。

 

 

 

 

 

 

シナリオを練り直すのを許せるか?

  • 細かい描写も見たい
  • ログの心の移り変わりを見たい
  • とりあえずエンディングまで突っ走れ
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