アナキンの親友になろうとしたら暗黒面に落ちた件   作:紅乃 晴@小説アカ

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銀河最速のスクラップ

 

 

 

「このバトル・ステーションが完全に機能するようになるまでは我々は脆弱だ」

 

デス・スターの内部では、帰還したヴェイダーの報告を受けた指揮官たちが会議室で激論を交わしていた。皇帝シーヴ・パルパティーンが銀河帝国を樹立して暫く、帝国軍も巨大化し、組織を担う指揮官たちの意見が対立することもよくある事であった。

 

「反乱同盟軍は極めてよく武装されている。君が思っている以上に彼らは危険な存在だ」

 

慎重派である指揮官はそう指摘するが、武闘派の指揮官はその意見を鼻で笑った。

 

「危険なのは君の艦隊にとってだよ。このバトル・ステーションは違う」

 

なにせ「銀河帝国最強の要塞」なのだ。反乱軍などという惰弱な組織に打ち負けるようなものではない。むしろそれを完膚なきまでに打ち滅ぼすために建造された兵器である。

 

だが、慎重派は輪をかけて警戒心を強めていた。

 

「それだけではない。反乱軍は帝国元老院にも支持を拡大しつづけている…このままでは我々の立場は…」

 

「帝国元老院などもはや心配の種ではなくなった」

 

会議室に凛とした声が轟いた。同時に部屋に入ってきたのはウィルハフ・ターキン提督だ。

 

彼は銀河帝国最大の実力者のひとりであり、クローン戦争時代から指揮を取っている名将であり、政治家。「ターキン・ドクトリン」を唱え、帝国の思想を具現化した超兵器、デス・スター・バトル・ステーションの建造と指揮に携わっていたのだ。

 

「皇帝が議会を永久解散されたとの知らせが入ったところだ。旧共和国の最後の遺物が一掃されたという訳だな」

 

ヴェイダーを伴って席につくターキンが満足そうに呟くと、慎重派の指揮官の顔がどんどん青ざめてゆくのがわかった。

 

「そんな馬鹿な…皇帝はいかにして、帝国行政を維持なさるおつもりなのですか?」

 

「各領域の総督が担当宙域を直接統治する。各地の星系に恐怖が浸透するのだ。このバトル・ステーションの恐怖がね」

 

「では反乱軍はどうなるのです?」

 

そう切って返す指揮官に、ターキンは何も言わずにじっとその者の目を見つめる。絶対零度と言えるような視線に射抜かれながらも、慎重派の指揮官は声を是としてターキンに言葉を申す。

 

「反乱軍が、奪われたステーションの完全な技術情報を手に入れれば、弱点を探り出してそれを突いてくることも不可能とは言い切れません」

 

「その設計図ならばすぐに我々の手に戻る」

 

意を決して申した指揮官の言葉を、ターキンの後ろに控えるヴェイダーが淡々と切って返した。それに同調するように武闘派の指揮官も口火を切ってゆく。

 

「彼らがどんな技術データを手に入れようと、反乱軍がこのステーションに行う攻撃はすべて無意味に過ぎないよ。このステーションはいまや宇宙で最強の力を手に入れた。それを使えばいい」

 

デス・スターに絶対的な信頼と自信を抱く武闘派の意見が会議室に響く中、その言葉をヴェイダーはフンと鼻で笑ってあしらった。

 

「築き上げた科学技術の恐怖を過信し過ぎるのは悪い癖だな。惑星を破壊できる力としても、フォースの力の前には取るに足らん存在に過ぎん」

 

その言葉が癪に触ったのか、武闘派の指揮官の目つきが変わる。

 

「魔術で我々を脅すような真似はやめてくれたまえ、ヴェイダー卿」

 

彼は席から立ち上がると、ターキンの後ろにいるヴェイダーの近くへと歩み、黒甲冑に身を包む彼を見下ろした。

 

「古めかしい宗教へのあきれた情熱は認めますが、その魔術やらで盗まれたデータ・テープを取り戻してくれたのかね?それとも反乱軍の秘密要塞を見つける千里眼でも与えてくれたのかね?その異様な魔術で我々を納得させるというならそれくらいのことを…」

 

それは一瞬だった。

 

見下ろしていた武闘派の指揮官の顔つきが一変するや、その体は不可視の力によって自由を奪われ、空中へと浮き上がる。

 

まるで空中で磔にされたかのように武闘派の指揮官が苦しげな呻き声を上げる中、ヴェイダーは何かを握りしめているような手を眼前に掲げて武闘派の指揮官を締め上げてゆく。

 

「ほう、私を見下ろして話を垂れるとは、いい度胸をしているな。フォースの力を侮辱することは許さん」

 

地獄のような静寂が会議室を支配する中、締め上げられる指揮官のうめき声だけが聞こえる。

 

「もういい。ヴェイダー卿、放してやれ」

 

恐怖に似た何かを存分に植え付けた中で、ターキンはヴェイダーへ言葉を投げた。ターキンの言葉に頷くヴェイダーは、磔にしていた指揮官を壁へ叩きつけてから、黒い外套を翻してターキンの後ろへと控える。

 

咳き込みながら蹲る武闘派の指揮官を一瞥してから、ターキンは恐怖が張り付いた顔をする他の指揮官たちを見渡した。

 

「口論は無意味だ。ヴェイダー卿は、このステーションが完成するまでに反乱軍要塞のありかを見つけ出してくれるだろう」

 

そのときこそ即座に一撃で反乱を壊滅させてくれる。そう言ってターキンはニヤリと笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラーズ家から峡谷の外れに進んだところにあるオビ=ワンの家へルークを案内したアナキンは、レイアからの通信メッセージに目を通した。

 

どうやら、息子の相棒となったR2には帝国軍が誇る最強の兵器の設計図が入っているようで、それをレイアの支援をしているオルデランへ届けてほしいとの願いだった。

 

まずは外交努力で、その最強の兵器の使用の禁止と即時解体を議会を通して帝国政府へ強く求めるつもりなのだろうが、相手は強硬に銀河の統治を目指す帝国だ。外交でそれが叶うことは考えづらい。

 

故に、陰ながら反乱軍の支援を行うオルデランに向かうことで、外交と反乱軍の両面で帝国の増長する力をなんとか抑えようとするのが本質らしい。

 

ルークとレイアという愛弟子の頼みから、オビ=ワンは同意し、共にオルデランへ向かうことになった。あとから聞いた話だが、どうやらナブーにいるクワイ=ガンからの連絡もあったようで、オビ=ワンは早々に準備を終え、ルークがやってくるのを待っていたらしい。

 

アナキンは、そんな二人の姿を見ても共に行くことに同意しなかった。ジェダイを止め、フォースとの絆を絶った今の自分はしがない修理工だ。あの激動の時代の自分に戻る気など、アナキンには起きなかった。

 

そして、三人と二体のドロイドはタトゥイーンで一番大きい港である「モス・アイズリー宇宙港」へとたどり着くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご紹介にあずかったハン・ソロだ。<ミレニアム・ファルコン>の船長をしてる」

 

怪しげで見たからにお尋ね者が集まるBARに案内され、アナキンが紹介したのはルークより少し年上の男性、ハン・ソロだった。

 

隣にはウーキー族のチューバッカもいる。

 

「ラーズのおやっさんの話じゃ、あんたら特急でオルデラン星系行きの便を探してるんだってな?」

 

「ああ、その船が高速船ならばね」

 

「爺さん、ファルコンを知らないのか?ケッセル・ランを12パーセクで駆け抜けた船だ。帝国軍の宇宙船を出し抜いたこともある。言っておくが田舎の大型クルーザーじゃないぜ?コレリア製の大型船…いわゆるスターデストロイヤーのことを言ってるんだ」

 

オビ=ワンとルークが、チューバッカの隣に座るアナキンを見るが、彼は何事もなく肩をすくめる。どうやら、この青年が言うことは本当のことらしい。オビ=ワンが怪訝な顔つきで見ていることに気がついたハンは、肘を机に置いてオビ=ワンの顔を覗き込むように乗り出して言った。

 

「だから、スピードは任せておきな、爺さん。で、積荷は何だ?」

 

「乗客だけだよ。私と、この少年、ドロイドが2体。質問は一切なしで頼む」

 

「おっと…ラーズのおやっさん。この二人は何か厄介事でも起こしたのか?」

 

その言い方はよくないぞ、とアナキンはため息をつきながら相変わらず表情を変えない師の顔を見つめながら、長年世話を見てきたハンの言葉に頷く。

 

「気にするな。その分料金は弾んでくれる」

 

「なるほど、それは厄介だな?なら割り増し料金をいただくぜ。前金できっかり10,000だ」

 

その金額を聞いて顔色を変えたのはルークだった。10,000クレジットなど、その気になれば大型の宇宙船が買える金額だ。ほんとうにこのハン・ソロという男にそれだけの価値を生み出すことができるのか…。

 

ルークがフォースを研ぎ澄まそうとしている隣で、オビ=ワンは何事もなく頷いてハンの提案を受け入れた。

 

「とりあえず20,000払おう。そしてオルデランに到着したときに追加で15,000だ」

 

なんだと…?とハンの雰囲気が変わる。ここでもう一押しと、チューバッカの隣でアナキンも言葉を紡いだ。

 

「ついでに向こう一年、専属でファルコンの面倒を見てやる」

 

「マジか…?35,000に加えて、ラーズのおやっさんが一年、ファルコンの面倒を見てくれるのか?おやっさんが付いてくれるなら、この一年でケッセルを8パーセクでぶっちぎれるぜ」

 

金額だけでもかなりの好条件に加えて、ハット族や、タトゥイーンの名のある者たちが全員知っている修理工「アナキン・ラーズ」の専属点検を受けられるのだ。下手をすれば予約半年待ちもある腕利きのメカニックが愛機であるミレニアム・ファルコンを見てくれるだけで、ハンにとって仕事を受けるには十分な理由となった。

 

「オッケーだ。この話乗った。あんたらの準備が出来次第飛べるぜ?船はドッキング・ベイ94だ」

 

船の場所を聞いて、三人は席を立つ。ルークが帝国から奪ってきたスピーダーを売れば、前金分はなんとかなるだろう。ゴロツキどもの脇を通りながら、ルークは父に問いかけた。

 

「…父さん、良かったの?一年間も契約するなんて」

 

そう問いかけてくる息子に、アナキンは少し困ったような顔をして答えた。

 

「あのガラクタは弄りすぎたんだ。父さんじゃなきゃ直せないのさ」

 

「そう言うと思ってたよ…」

 

なにせ銀河一速いスクラップだ。それを聞いた段階で、ルークには父が深く絡んでいるということなど、想像するまでもないことであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

シナリオを練り直すのを許せるか?

  • 細かい描写も見たい
  • ログの心の移り変わりを見たい
  • とりあえずエンディングまで突っ走れ
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