アナキンの親友になろうとしたら暗黒面に落ちた件   作:紅乃 晴@小説アカ

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未来の担い手へ告ぐ 1

デス・スターの内部へと潜入したオビ=ワンは、目的であったトラクタービームの制御装置の電源を落とすことに成功していた。

 

クローン戦争でも、敵の中枢に忍び込むことは慣れていた。フォースを限りなく穏やかにし、自身の存在を薄く、薄くすることでほぼ無音でデス・スターの施設内を移動することができる。

 

故に、オビ=ワンは自身が感じ取った懐かしさがあるフォースの揺らめきに戸惑っていた。自身の感覚を研ぎ澄ますことにより、それは明確に感じ取れてしまった。

 

とても懐かしい。その感覚は、遠き日だと思えるクローン戦争時代の頃のオビ=ワンを鮮明に思い出させるもので、オビ=ワンはその懐かしさの正体を探るように引き返すべき道をさらに奥へ、奥へと突き進んでゆく。

 

共和国時代から続く無機質な角ばったデザインをあしらわれた通路を進む中、オビ=ワンは通路の先に揺らめく暗闇に気がついた。

 

それは煙のように佇んでいて、オビ=ワンが自身の目の前に現れるのをじっと待っているかのようにも見えた。火のない煙のようだったその暗闇は、オビ=ワンの元へと歩き出した。

 

ダース・ヴェイダー。話に聞いていた帝国最強と呼ばれる暗黒卿は、固いブーツで床を鳴らし、オビ=ワンの元へと近づいてくる。その姿を見て、オビ=ワンは初めて抑えていたフォースを鋭く滾らせた。

 

「待っていたぞ、オビ=ワン・ケノービ」

 

「まさか…とは思っていたが。やはりお前の正体は…」

 

震えるような声で言葉を告げようとしたオビ=ワンの声をかき消すように、真っ赤なライトセーバーがヴェイダーの手から立ち上がる。それに呼応するように、オビ=ワンも腰に備わるライトセーバーをフォースの力で自身の手へと手繰り寄せる。

 

「貴様というジェダイの象徴の一人を殺すことで、銀河帝国はより強いものとなる。貴様も、私が殺してきた数多のマスターたちと同じく、帝国の礎となるのだ」

 

「そうはさせんぞ、この悪魔め!」

 

ヴェイダーとオビ=ワン。その〝会話〟は刹那的だった。青白く閃くオビ=ワンのライトセーバーと、ヴェイダーの一閃。わずか一合の打ち合い、光が弾け、鉄が焼ける音が幾つも響く。

 

弓を引くような独特な構えを主とする「ソレス」の型からかけ離れた構えをするオビ=ワンのライトセーバーの型は、クローン戦争時代のそれよりも遥かに防御に特化したものと化していた。オビ=ワンはヴェイダーの放つ斬撃の全てを受け流した上で、その装甲に覆われた肩部へ一閃をかすめさせた。

 

それがいかに極地の戦いであるか、ヴェイダーは即座に理解することはできた。だが、オビ=ワンの型には決定的に欠けているものもわかった。肩についた傷を気にしない様子でヴェイダーは再びライトセーバーを構える。

 

「力が衰えているようだな、オビ=ワン。かつての剣戟の冴も感じられん」

 

その言葉に、オビ=ワンの表情が変わることはない。だが、あの一合の撃ち合いで自身に欠けているものを看破されるとは。並のシス卿なら相手にならないほどの領域へと上り詰めたオビ=ワンは悟られない心の奥底で戦慄する。

 

事実、防御に重きを置きすぎた結果、オビ=ワンが得意とした敵の攻撃の隙を突いた必殺の一撃に剣技の冴えが失われていたのだ。

 

「ワシを殺すことはできんぞ、ヴェイダー」

 

そう言って、オビ=ワンは青眼の構えでライトセーバーを構える。青白く光る剣先を円を描くように揺らめかせ、落ち着いた声でヴェイダーと対峙していた。

 

「たとえワシが殺されても、ワシが育てた希望が立ち上がる。ヴェイダーという残光を解放させるためにな」

 

その言葉の端で、剣線が動いた。再び火の出るような熟練した剣技の打ち合いが始まる。ヴェイダーの放った矢のような連撃をいなし、オビ=ワンは剣を滑らせるように横から撃ち込む。だが、その悉くが赤い刃によって打ち返された。

 

オビ=ワンがソレスの型を極めたように、ヴェイダーもあの日から研鑽を続けた剣があった。ゆらりと、オビ=ワンと鏡合わせするように構えをとっていたヴェイダーが、腕を上に掲げ、セイバーを横に倒すような独特のフォームを構えた。オビ=ワンは「厄介なものだ」と内心で毒づく。

 

その構えは生前の〝彼〟が得意としていた型と同じ……「ヴァーパッド」の構えであった。

 

「今の貴様など、恐るるに足らん」

 

機械の足で地を蹴るヴェイダーは、一足でオビ=ワンへと迫る。超攻撃型の構えをしたヴェイダーと、鉄壁の防御力を誇るオビ=ワンの構え。剣戟は永遠とも思える打ち合いへと発展する。

 

鉄の焼けるような斬撃音が辺りに響き、堅牢な通路の構造体に赤い尾を作るような傷跡を刻み、時には動力系統のパイプを切断しては辺りに火花が散った。

 

通常照明が落ちた暗闇の中、青と赤の光の線が立ち上がり、それが瞬くように煌き、打ち合い、互いの能力を引き出してゆく。

 

(なんて剣線だ、防御に徹することしかできないとは…!!)

 

四肢からフォースを感じられないはずなのに、ヴェイダーの動きはそのハンディキャップを感じさせない滑らかな動きだった。ライトセーバーを回転させて反動をつけたヴェイダーは、両の手で構えていたオビ=ワンの鉄壁の防御を崩す。

 

だが、翻した剣を打ち込むには時間が足りない。オビ=ワンは弾かれたライトセーバーをすぐに防御の型へと変えようとしていた。

 

そう、セイバーを打ち込む隙がない。ただそれだけだ。

 

「ぐっ…!!」

 

気がつくとオビ=ワンの腹部に強烈な痛みが走る。視線を下へ降すと、そこにはヴェイダーの義手が放った打撃が深々と突き刺さっていた。フォースで体を補強しているとはいえ、機械の、それもフォースを纏った一撃。それはオビ=ワンの動きを止めるには十分な効果をもたらした。

 

(このままでは…!!)

 

首を落とさんと迫る赤いライトセーバー。その降りかかった一撃を、オビ=ワンはわざと姿勢を崩すことで躱すことができた。羽織っていたジェダイのローブの端を切り裂かれる。

 

姿勢を崩したオビ=ワンは、フォースの力に身を委ねてぐるりと体を横に回転させながら、人の力では再現できない動きでヴェイダーとの距離を取る。

 

それを見越していたように、ヴェイダーは距離を取ったオビ=ワンへライトセーバーを投擲する。刃が現れたまま飛来する一閃。オビ=ワンは息をつく間も無く、その一撃を防ぐが、追い討ちのようにヴェイダーがフォースプッシュを放つ。

 

なす術なく壁へと叩きつけられたオビ=ワン。深く被ったフードの奥で、したたかに打った体の痛みを耐えながら顔を上げる。そこには赤いライトセーバーを振りかざすヴェイダーの姿があった。脇にある自身のセイバーへ手をかざし、手繰り寄せられたライトセーバーを起動して、振り下ろされた真っ赤な一撃を受け止める。

 

「貴様を永遠に葬ってやろう!オビ=ワン!」

 

ジリジリと鍔競り合うヴェイダーのマスクには、漆黒の闇しかない。底の無い深い闇。赤い光に照らされたそれは、より邪悪なもののようにオビ=ワンの目には映った。

 

オビ=ワンに焦りはなかった。フォースと繋がる感覚をより鮮明にしてゆき、力に勝るヴェイダーの一撃を凌ぎながら、彼の体へと手を指す。

 

まだ戦いは終わらない。

 

オビ=ワンのフォースプッシュに押されたヴェイダーは、血を払うようにライトセーバーを一閃させ、再びヴァーパッドの構えをとってオビ=ワンと向き合うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オビ=ワン…?」

 

ドロイドたちとファルコン号を目指してたアナキンは、感じ取った師のフォースの揺らめきに違和感を覚えた。何か胸に迫るものがある。焦り?悲しみ?怒り…?

 

「アナキン様、お体の調子がよろしく無いのですか?」

 

ジェダイを離れてから久しく感じていなかった感覚に戸惑った様子のアナキンは、心配するC-3POの言葉に答えることなく、唐突に走り出した。

 

「アナキン様?あぁ、アナキン様、どちらへ?」

 

置いていかれるC-3POとR2には目もくれず、アナキンは敵がいるかもしれないデス・スターの通路を駆け抜ける。何か嫌な予感がある。とても嫌な感覚。これをアナキンは知っていた。

 

母や、パドメや──親友が危険な目に遭う前に感じる前兆。だが、今感じるものは今まで以上に大きく、危険だということをアナキンに知らせているようなものだった。

 

フォースを頼らずに駆ける体は、長年鍛錬をさぼっていたツケか、すぐに酸素を求めて疲労をあらわにしていた。だが、アナキンに止まる選択肢などない。

 

ただ駆ける。足が棒になろうとも。

 

今までは、〝彼〟が背中を押してくれていた。だが、もう押してくれる者はいない。だから、自分が走らなければ。

 

もう何も失わないために──。

 

 

 

 

 

シナリオを練り直すのを許せるか?

  • 細かい描写も見たい
  • ログの心の移り変わりを見たい
  • とりあえずエンディングまで突っ走れ
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