アナキンの親友になろうとしたら暗黒面に落ちた件   作:紅乃 晴@小説アカ

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ホスの戦いって64のゲームが印象的だよね。あれ?知らない?そう…

 

3ABY。

 

アウター・リム・テリトリー。

アノート宙域、惑星「ホス」

 

ホスの戦いと呼ばれる銀河史の歴史的な戦闘。

 

この戦いは帝国軍が辺境の惑星ホスにある反乱軍の秘密拠点、エコー基地を発見したことから始まった。

 

偵察用のヴァイパー・プローブ・ドロイドの報告で基地の場所が判明した後、帝国軍の艦隊が反乱軍を亡き者とするために進軍を開始したのだ。

 

その艦隊に属するインペリアルII級スター・デストロイヤー<エヴィセレイター>の指揮を取っていたギャリック・ヴェルシオ提督に課せられた任務は彼が組織したインフェルノ隊を先遣隊として派兵し、AT-ATや、AT-STなどの地上兵器を完全に降下輸送させることにあった。

 

娘であるアイデン・ヴェルシオをはじめ、デル・ミーコやギデオン・ハスクで運用される少数精鋭のインフェルノ隊は、一般のトルーパーたちも連れて問題なく降下地点を確保。艦隊のスター・デストロイヤーに格納されている地上部隊は降下輸送機に乗り込み、次々と白く光るホスへと運び込まれて行っていた。

 

同時に、反乱軍のいるエコー基地からずいぶんと離れた位置に、エヴィセレイターは配置されていた。大袈裟に言えば、惑星の反対側と言ってもいい位置だ。随伴している駆逐艦を含めて、この場にいるのはわずか数隻ほど。

 

ギャリックに言いつけられた任務の範疇には、隙をついて惑星の反対側から逃げようとする反乱軍の撃滅も項目として盛り込まれていたが、稚拙な反乱軍の設備では、ハイパースペースから現れた帝国の艦隊を察知してから、惑星の反対へ逃げるほどの準備を整えることは不可能に近いだろう。

 

管制官がホスの大気や地上に眼を光らせているが、宇宙に向かって上がってくる機影は一つとして観測されていない。

 

なんとも楽な任務だな、気を引き締めつつもギャリックはうっすらとそんなことを考えている。

 

そもそもの話だ。反乱軍の基地があるホスにこれほどの大部隊を展開する必要が本当にあるのだろうか。

 

たしかに彼らは帝国にとって悩ましい種であることは変わりはない。帝国の統治下の惑星や、組織にネガティブキャンペーンを行い、帝国への反旗を煽っている現実も認めよう。

 

だが、それ以前に帝国内部の情勢はどうだ?デス・スターが破壊されて3年だ。その短い3年と言う間に、19年と言う歳月をかけて築いてきた帝国の統治が揺らぎはじめているというのだ。

 

デス・スターの破壊により、グランド・モフであったターキン総督をはじめ、有能な高官たちがまとめて消え去ってしまったという事実が、帝国の未来を暗く陰らせることになっている。

 

今回の任務も、ターキン派閥にいた自分は閑職へと追いやられ、手柄を狙う武官たちが獲物に群がるアリのように我先にとホスへと乗り込んでいる。手柄や利潤を求めるあまり、適切に統治されていた地域にまで綻びが生じている。

 

この3年で帝国から離反した国や勢力は多くあった。ひどい税収に晒されている惑星も増えた。ギャリックの出身惑星であるヴァードスもそのひとつだ。

 

それほどまでに、今の帝国内部はひどく脆いものとなってしまっている。

 

敗走し、ゲリラ的な作戦を展開する反乱軍を血眼になって追い立てるよりも、崩れかかった帝国内の情勢を立て直すが先だろうに。

 

その発言権すら許されない軍閥へと傾倒している帝国を憂いながら、ギャリックはひとまずは今の任務に集中しようと気を引き締める。

 

輸送を終えたら、帰還するインフェルノ隊を伴って逃げようとする反乱軍を撃破する手筈になっているのだ。今は哀れな彼らが逃げる素振りを見せるか、監視するほかない。

 

そう思考を切り替えて管制官に地上の搬送状況を聞こうと固いブリッジの床から踵を返そうとした時だった。

 

「ヴェルシオ提督!ハイパースペースから脱した反応アリ!当艦の直上です!!」

 

管制官の一人が声を上げて報告をしてきた。なんだ?帝国軍の増援か?だが、そんな情報を受け取ってはいない。となると、ハイパースペースから現れた物は、窮地の反乱軍を手助けに来た組織だろうか。

 

惑星の反対側なら手薄だと考えただろうが、ツメが甘かったな。そう内心で呟くギャリックの思考は、次の管制官の言葉を聞いて思わず固まるのだった。

 

「データ照合……イータ2アクティス級軽インターセプター?これは…ジェダイ・スターファイターです!!」

 

それは、現存ではあるはずのない戦闘機。ギャリックも過去の噂話でしか聞いたことがなかったもの……ジェダイの乗る戦闘機だった。

 

ギャリックは楽な任務だと慢心した自身を恥じた。この瞬間を持って、このホスの衛星軌道は最も危険な前線へと変貌したのだ。

 

「管制官、直ちに援軍の要請を。そして、スローン大提督に通信を繋げ」

 

ギャリックは静かな声で管制官に告げると、直上に現れ、ハイパースペース用のユニットから分離した二機の機影を鋭い目付きで見上げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか敵の目の前に出ることになるなんて思ってなかったよ!!」

 

どこから拾ってきたのか。父が用意していたすでに骨董品に近いスター・ファイターとハイパードライブが搭載されたユニット。

 

スター・ファイター二機がドッキングできるそれを使って、シアから教えてもらった座標にある惑星、ホスへと向かった二人を待ち構えていたのは、スター・デストロイヤーからの砲撃であった。

 

R2の悲鳴のような電子音が聞こえる。コクピットで操縦桿を操るルークは、スターデストロイヤーや、駆逐艦から放たれるレーザー砲火を掻い潜る。

 

「あぁ、まぁ楽に到着できるとは父さんは思ってなかったけどな」

 

そのルークの動きにぴったりと付いてくるのは、黄色いカラーリングを施されたファイターに乗るアナキンだ。今回は相棒であるR2を息子に貸し出しているため、タトゥイーンで修理工をしていたときに見つけたドロイド部品で修理したR5-D4を載せていた。

 

肝が座っているR2に比べて、R5は砲火が掠めるたびに縮み上がりそうな電子音を奏でてアナキンに離脱するように促したが、彼は笑って返す。

 

「これくらい訳はないな。グリーヴァスの船の方が厄介だった」

 

その呟きに、息子であるルークは返す余裕もない。デストロイヤーから放たれるレーザーを避けて、とにかく肉薄することしか頭になかった。

 

「落ち着くんだ、ルーク。闇雲に近づこうとしても袖に振られるぞ。思考して飛ぼうとするな。感じるんだ」

 

機体を無理やり動かしているようにも見えるルークの乗り手よりも、アナキンの方がスムーズに挙動しているように見えた。砲火を放つレーザー砲台を的確に撃ち抜いたアナキンのファイターは、弧を描いてデストロイヤーの真っ白な外壁へと一気に肉薄する。

 

「シールド発生器を狙え」

 

デストロイヤーのブリッジに迫るアナキンは、スイッチを操作してから一気にトリガーを引いた。緑色の閃光が迸り、放たれた一撃はデストロイヤーのブリッジ上部にあるシールド発生器を爆散させた。

 

その隣では、なんとか追いつくことができたルークが、父と同じようにシールド発生器へプロトン魚雷を放って破壊する。

 

残りはデストロイヤー下部にある発生器だが、上部と違って下部の発生器は大きい分、耐久性も高い上に防御に配置されたレーザー砲も尋常ではないのだ。それに手間取れば、デストロイヤーに艦載されているTIE・ファイターも出撃してくる危険もあった。

 

「もう十分だ、ルーク。相手の足はこれで止まるだろう」

 

アナキンとルークのファイターは、デストロイヤーの後部にある巨大なノズルへと旋回する。砲火はあるが、前方に比べればまだマシと言える範囲だ。

 

ボガーノでアナキンはのんびりとライトセーバーの修行をしていたわけではない。ジャンゴの輸送仕事や、銀河を飛び回るシアたちと共に各地を回って、必要なものを揃えていたのだ。

 

今乗るスター・ファイターも、アナキンがタトゥイーンに隠していたものであり、いざと言うときのためにメンテナンスを施していたのだ。

 

性能は劣るが、機能としてはクローン戦争時代のものと変わらない。本来ならオビ=ワンにも渡すつもりであったが、その機体には息子であるルークが乗っている。脳裏によぎったものを振り払って、アナキンは眼前に浮かぶ白き巨船を見据えた。

 

「チャンスは一度だぞ、ルーク」

 

「わかってるよ、父さん」

 

ファイターの先端に備わる特殊兵装は、ボガーノを離れる前にジャンゴから渡された餞別だった。機体を翻したアナキンたちの機体は、砲火を吐き続けるデストロイヤーへ、その特殊兵装を撃ち放つ。

 

それは、青白い光の尾を残して、デストロイヤーの巨大な三つのノズルの隙間へと命中。すると、デストロイヤーは青い稲妻に包まれ、白く光っていたノズルから一気に光が失われていった。

 

アナキンたちが放ったのはイオン魚雷だ。

 

ビークルや固定兵器に重度のイオン・ダメージを与え、システムの機能停止やそれ以上の損害をもたらすことができる代物であり、その一撃は元気だったスター・デストロイヤーの砲火を一瞬で沈黙させるものだった。

 

「今のうちに進むぞ」

 

アナキンの声に「わかった」と答えると、二機のジェダイ・スターファイターは沈黙したスター・デストロイヤーを尻目に、まだ静かな惑星ホスへと降下してゆくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

シナリオを練り直すのを許せるか?

  • 細かい描写も見たい
  • ログの心の移り変わりを見たい
  • とりあえずエンディングまで突っ走れ

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