アナキンの親友になろうとしたら暗黒面に落ちた件 作:紅乃 晴@小説アカ
これが私のファイナルオーダーだ(ガチギレ)
いよいよエピソード6です。駆け抜けます!!
シス
私が初めて彼と出会った時。
自らの手で殺したはずのダース・プレイガスの亡霊を目にしたような気分に陥った。
(シーヴ・パルパティーン回顧録より引用)
シスというものは、フォースのダークサイドを使う。
フォースという存在そのものは、ジェダイともシスとも共通する自然的なエネルギーだ。
そして、それぞれが信仰する主観は、創設された総意の主観。いわばフォースに対して見つめている一方向の側面に過ぎない。
ダークサイドは、フォースの…否、人のネガティブな感覚によって観測された側面、それらを制御し、得ることが許された力だ。
妬み、恨み、怒り、強欲、権力への固執や、支配欲。それらの感覚はフォースの力を効率よく引き出すことに長ける。誰もが心の奥底で思っている悪感情をさらけ出してこそ、シスは強大な力を得ることができるのだ。
故に、シス・オーダーに属するものは自身の願望や野望、目的に忠実であり、その集団の実も銀河系の覇権を眈々と狙っていた。
フォースのポジティブな側面を信仰するジェダイ・オーダーとの間には、およそ1,000年以上に渡って長い確執の歴史を持ち、その間に幾度も戦争で対立していた。
クローン戦争。
シスが何度目かの覇権を握るきっかけとなる事変の数千年前に、シス・オーダーは創設された。シス・オーダーは常にジェダイ・オーダーと敵対関係にあった。
それは当然であろう。
初代のシスは、フォースのダークサイドに手を出し、そしてジェダイとしては捨てるべきであった部分を捨てきれず、それらを持ったままフォースと向き合う術を学んだはぐれ者だったからだ。
シス・オーダーは、ダークサイドから立ち昇るフォースの力を駆使し、多くの星を蹂躙し、略奪し、怒りと憎悪の炎に身を捩った。
力でねじ伏せ従えた奴隷の力を利用し、シスは自らを王とする帝国を築き上げ、銀河系の支配権をめぐって何度もジェダイ・オーダーと戦争を行った。
巨大なカイバー・クリスタルを利用した大型超兵器。ドロイドや武器、兵士を揃えて、ジェダイ・オーダーを窮地へと追いやったシス帝国は、惑星コルサントに神殿を建て、そこには莫大なダークサイドの力が集まるようになった。
しかし、その繁栄は長くは続かなかった。
権力を手に入れるための戦いは、最終的にシスを壊滅に追い込んだ。
ジェダイの反撃?力で支配した者たちの反乱?いや、どれも違う。シスは、己が身を投じた炎によって焼けただれ、燃え尽きたのだ。
ダークサイドの力は、シスを互いに対立させたのである。
仲間内でのいがみ合いや、思想の対立により暗殺や殺人が横行し、シスはジェダイに倒される以前にその数を減らしたのだ。そして最終的にジェダイによってほとんど滅ぼされてしまった。
その後、ジェダイはシスの力を押さえつける目的で神殿の上にジェダイ・テンプルを建築した。度重なる戦争と内部抗争、虐殺と謀略の果てに、シスは故郷すらも放棄した。
凄惨たる戦いを生き延びたシス卿ダース・ベインは、シスによる内紛を未然に防ぐため、2人の掟と呼ばれるルールをつくり、同時期に存在するシスの人数は二人までと定めた。
それが、この世に続くシスの絶対的な掟だった。
偉大なるシスの暗黒卿であったダース・プレイガスもまた、その掟を遵守する高明な男であった。
ダース・プレイガスは男性のシスの暗黒卿で、ある時ナブー出身の人間であるシーヴ・パルパティーンを弟子として選んだ。二人は不死の秘密を探るとともに、銀河共和国をシスが支配するというかねてからの計画にも取り組んでいた。
ダース・プレイガスはとても強く、フォースを司るミディ=クロリアンに働きかけ、生命を作り出したり、人を死から遠ざけることもできた。
その力は絶大であったと同時に、彼の唯一の恐れでもあった。その力を失い、自身の歴史すらも残せずにこの世から消えて無くなるという恐怖。
不運なことにその恐れは現実となった。
ある時点で、師から学べるものを全て学んだシディアスは、プレイガスが寝ているところを殺害した。
「不幸にして彼は弟子にすべての知識を与えていたのだ。そしてその弟子が彼の寝込みを襲って殺害したのだよ。皮肉なことだ。他者を死から救うことはできても、自分自身を救うことはできなかった」
いつかの日に、アナキンに語った話だ。
師から学べることを学んだつもりでいた。それがシスの在り方でもあるとも理解していた。だが、彼から学ぶことはできても、それを伝える術と知識を網羅することは叶わなかったのだ。
誰もが利用し、利用され、利益と損失の秤に身を置き、言葉巧みに操り、そして搾り取ってゆく。
そんな化かし合いの世界が残った。
真理からは遠く、理想もなく。人の業が蔓延り、その積み重ねと清算が連綿と続く世界だけが続くと、私は達観していたのだろう。
だが、彼は違った。
シスでもなく、ましてやジェダイの在り方からも逸脱していたのだ。
フォースの側面とは、主観から形成された一方向の側面に過ぎない。ライトサイドもダークサイドも、それを感じた当人の主観に依存するしかないのだ。
彼にとって主観そのものがフォースの全てであった。彼は弁えていたのだ。フォースの元を辿れば、それが自然的なエネルギーであるということを。ポジティブな感覚も、ネガティブな感覚も、その全てが生き物が勝手に決めつけた主観でしかない。彼はその考えを端から放棄していたのだ。
とても自然体であり、フォースと向き合う。真理へと歩みを進め、その理想を見つめる賢人。
彼ならば、すべてを見つめることができるのかもしれない。ジェダイやシス、ライトサイドやダークサイドといった主観や価値観に囚われることなく、満遍なく見通し、フォースの在り方を証明する。
いつしか、私の探究は彼の在り方へと向いていた。シスは欲望に忠実なのだ。どこまでも中道を行く彼のあり方は、平坦であった私の道のりに活気をもたらした。
険しく、厳しく、それでいて高みであること。
死すら達観していた生き方に刺激をもたらす彼を、私は取り戻さなければならない。
取り戻して今度こそ、そのすべてを伝え、私は死と向き合うことができるのだ。
シナリオを練り直すのを許せるか?
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細かい描写も見たい
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ログの心の移り変わりを見たい
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とりあえずエンディングまで突っ走れ