アナキンの親友になろうとしたら暗黒面に落ちた件 作:紅乃 晴@小説アカ
〝それ〟は愚かなる名だ。
だが時代と世界は、その名を求め、慟哭をあげた。
不屈の英雄。
この物語は、彼の歩みの奇跡…。
スターウォーズ
エピソード6
ジェダイの帰還
ヤヴィンの戦いから4年。
4ABY。
アウター・リム・テリトリー。
モッデル宙域。
————森の月、エンドア。
「カイロ・レン…!!目を…覚すんだ!!」
第二のデス・スター内部。
ターボリフターが見える大きなホールの中、ルークはライトセーバーを巧みに扱いながら、向かってくる漆黒の仮面を被ったカイロ・レンの赤い一閃を受け止めながら叫んだ。
「目を覚ます?なにを言っている。我〝オレ〟はすでに目を覚ましているぞ、ジェダイ」
ベスピンの爆発で失ったルークのライトセーバーは、スカイフックの戦いの最中で作り直された。ダッシュ・レンダーや、ボバたちと共に駆け抜けたプリンス・シゾールとブラック・サンとの戦いを潜り抜けたルークは、フォース感応者として大きく成長していた。
その緑光の刃で受け止めるルークの視線の先で、赤い稲妻のような模様が付け加えられたマスクを被るカイロ・レンは、抑揚のない声でルークの叫びに淡々と答える。
「自分の心を呼び覚ますんだ!君は騎士だ!シスの手先なんかじゃない!!」
「哀れにもシス・マスターに捕まり、哀れにも洗脳され、哀れにも信念や意志を踏みにじられ、哀れにもジェダイと戦いあっているとでも言った方がいいか?」
攻撃的な型「ジュヨー」から繰り出される斬撃は、ルークの今までの経験をへし折らんばかりの勢いで振るわれた。
フォースのダークサイドの淵に立って扱うこのフォームは、カイロ・レンと抜群の相性を見せた。太刀筋がまったく予測できない。フォースの感覚、呼び掛けられるモノに従って身体を駆動させることで、ルークはライトセーバーの剣戟をなんとか凌ぐ。
横なぎの一閃を受けたルークは、フォースの力を受け入れて飛び上がり、肉薄するカイロ・レンから一度距離を取った。
「我は元からこうであった。こうなるためにデザインされ、生まれ、そうなった。全てがフォースによって定められていたに過ぎない」
彼が感じたこと。彼が学んだこと。彼が慈しんだこと。彼が歩んできた道全てが、この瞬間に通じさせるための〝手段〟にしか過ぎず。
届かなかった運命が、カイロ・レンとルークを嘲笑うかのように聳えた。
「我は器。ヴェイダーも器。そういうにはあまりに粗末な入れ物。そして予備品に過ぎない」
彼は自嘲するように言い放った。
父の象徴のための留魂として作られ、父が求める存在を受け入れる器として作られた。どれもこれも期待外れだったくせに、皇帝はカイロ・レンを選んだ。
ヴェイダーの肉も、彼の肉も、それ全てが器への生贄であり、同時に無くても困らない〝予備品〟だ。燃え上がる炎のような光刃を構えたまま、彼は語る。
「知っているであろう?死しても尚、フォースに語りかけることができるのだ。形を成して存続できることがわかっているのに、なぜ器にこだわる必要がある?」
オビ=ワンも、クワイ=ガンも、多くのマスタークラスのジェダイが死後も意識を保ち、現界し、フォースを通じて世界へと語りかけることができるというのに。その事実を知りながら何故肉体にこだわる必要がある?
そう言い放ったカイロ・レンを見て、ルークは顔を覆いたくなる絶望感を味わった。だが、ここで諦めるわけにいかなかった。
ここで諦めて下を向けば、なにも変わらないからだ。
ジェダイとして何を成すのか。ベスピンで問われたカイロ・レンの言葉に、ここで膝をつけば裏切ることになる。ジェダイの本質は救うことと守護すること。諦めれば、過去となったジェダイ・オーダーと何も変わりはしない。
「それでも僕は…君と戦いたくないんだ。カイロ・レン!!」
暗黒面は誰にでもある。自分自身にも、大切な人にも。それから目を背ければ、待っているのは途方もない自責の念と、後悔だけだ。
だから、諦めない。ルークはライトセーバーを握りしめる。ここで諦めてなるものか。そう誓って、自分は父と共にこの場へとやってきたのだから!!
「すべては幻影。蜃気楼。泡沫の夢だ。幻だったのだ。我の全てが、生きていたことも生まれたことも、その全てが!!」
駆けるカイロ・レン。フォースのダークサイドを手繰り寄せて飛び上がった彼は、真っ赤な刃を振り上げてルークへと襲いかかった。緑光と赤い光のぶつかり合いは、目線の先でスパークが迸る。
「お前もそうだろう、ジェダイ…!!今度こそ斬り捨ててやる。何もかも…そうすれば、この長い銀河の夜も覚めるだろう!!」
「それでも、君は騎士カイロ・レンのはずだ!!僕がジェダイであるように!!」
「黙れ!!」
凄まじい速さの刃の応酬が繰り広げられる。目にも留まらぬ、常人では途端に体の四肢が切り落とされることになるであろう速度のぶつかり合い。
一手、二手、三手。
相手の動きを予測し、フォースの語り掛けを見て、思考を手放して剣戟を繰り広げる。
怒りと憎悪に任せた力を上から下へと振るったカイロ・レンの一撃に、ルークは後ろへと遠のいて受け流した。
「すべてはこの時、この日、この瞬間のため!!彼はその一瞬に全てを注ぎ込んできたのだ。報われなければならない!!そのためにも…我は!!」
残された時は僅かだ。故にたどり着かねばならない。運命が交わり、その道を示した。時は今夜。時は刹那。その瞬間、その一閃を掴み取るために星を燃やし、砕き、踏み倒してきた。
夜明けはすぐだ。もう夢は覚める。あとは、この闘争の赴くがままに。
▼
良いぞ、アナキン。良いぞ、ヴェイダー。そうだ、そうすればいい。それが正しいのだ。
戦え、戦うのだ。ジェダイもシスも、ライトサイドもダークサイドもない。ようやくだ。ようやくこの長い夜に終わりがくる。
戦え、アナキン。戦え、ヴェイダー。
さすれば彼は蘇るであろう。
フォースに選ばれた者、フォースの器となってしまった影。彼らの意思のぶつかり合いは、この場では留まらないフォースのうねりを生み出す。
隔てる世界を余は埋めた。
フォースの深淵へと旅立った彼を呼び起こす全てが揃った。
深く、深く、深淵へと届く鉄槌を。
それでいい。
その意思さえ呼び起こせば……。
シナリオの草案を考えてるとき
楽曲、EGOIST様の「英雄 運命の詩」を聞いた時からパルパティーンの持っていき方を決めていました。
あともう一曲、Kalafina様の楽曲で影響が大きく出ている部分はありますが、それはまた後ほどに…
本当にいい曲ですよ。
シナリオを練り直すのを許せるか?
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細かい描写も見たい
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ログの心の移り変わりを見たい
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とりあえずエンディングまで突っ走れ