アナキンの親友になろうとしたら暗黒面に落ちた件 作:紅乃 晴@小説アカ
アウトライダーから脱出艇でデス・スター軌道へと突入したアナキンとルーク。非武装であり、シールドすら発生できない脱出艇であったため、下手をすれば警戒しているTIE・ファイターに撃ち落とされる危険も予想はしていたが、二人の予想は思わぬ形で裏切られた。
トラクタービームで捕捉された脱出艇の周りを4機のTIE・ファイターが編隊飛行しながら出迎えると、そのまま脱出艇をデス・スターのトランスポートへと誘導してゆく。
青色のフィールドを突破した先、アナキン達の乗る脱出艇が緩やかにトランスポートへ着陸する。扉が開いた先で見えた光景に、アナキン達は目を見開いた。
そこには軍隊整列をしたストームトルーパーたちがブラスターを掲げてアナキン達を出迎えていたのだ。
ジェダイローブ姿の二人はデス・スターのターミナルへと降り立つと、毅然とした態度と歩みでやってくる帝国士官の姿が見える。
彼は二人の前で立ち止まると、素早く敬礼をして頭を下げた。
「お待ちしておりました。スカイウォーカー様。皇帝陛下がお待ちしております」
ついて来てくださいますね?そう言った士官に、アナキンとルークはアイコンタクトを交わすと、そのまま歩き出した士官の後を着いていくのだった。
ターボリフトへと案内された二人は、手錠をかけられる素振りもなくストームトルーパーと士官に導かれて、デス・スターの中枢部へと足を踏み入れる。高速で上昇してゆくリフトの扉が開く。
その先には、外の景色が一望できる部屋があった。まるでクローン戦争時に乗り込んだグリーヴァスのインヴィジブル・ハンドの一室を思い出させる内装であり、その部屋の奥には大きな玉座があった。
「きたか、アナキン。久しいな…」
その声が響くと同時に、窓側を向いていた椅子が反転する。
玉座に座していたのは、真っ黒なローブに身を包んだシーヴ・パルパティーン本人であった。
「パルパティーン…議長…」
あの日、ウータパウへ旅立つ前に挨拶を交わした時と変わらない顔をしているパルパティーンを見て、アナキンは言葉を漏らした。
「そなたと言葉を交わすのも面白いが…余がそなたらを招き入れた理由についてはおおよその予測はついておろう?」
護衛や衛兵を下がらせたパルパティーンは、席から立ち上がると歩んできたアナキンとルークを、黄金に輝く眼で見据える。まるで心の奥底まで見透かされているような目つきだ。
アナキンはグッと顔を硬らせ、ルークは皇帝を睨み付けていた。
「ログを…彼を取り戻すためですね?議長」
「素晴らしい洞察力だ。そなたもまたフォースの器となる素質を持っていた者。だが、すでに手遅れだ。そなたは余にとって敵、そして同時にドゥーランを取り戻す鍵だ」
鍵?パルパティーンの口から発せられた言葉を理解する前に、アナキンとルークの左右にある扉が開く。そこに立っていたのは、ダース・ヴェイダーと、カイロ・レンだった。
漆黒の煙が揺らめく。すでに彼らからは強大なダークサイドの力がみなぎっているのがわかった。歩み出した二人のシスの戦士は、腰に備わるライトセーバーをフォースで手繰り寄せて、床に向かって伸びる光刃を出現させた。
「事は全て余の思い描いた通りに進行しておる。森の月エンドアにいるお前の友人たちは罠に足を踏み入れた。反乱軍の艦隊も同じだ。シールド発生装置の場所を同盟軍に漏らしたのも余がした事だ。少人数の攻撃ではどうにもならぬ」
アナキンとルークも、背中を合わせるようにして向き合い、ライトセーバーを抜く。じりじりとシスの戦士とアナキン達の距離が縮まった。
「シス・ストーカーが手ぐすねを引いて待っておる。気の毒にお前の友人たちが到着するときも偏向シールドはビクともしておらんだろう」
笑みを浮かべながら言葉を綴るパルパティーン。その彼の眼前で、繰り出されたライトセーバーの一閃がはじけあい、戦いの火蓋が切って落とされた。
迸るスパーク音とライトセーバーの閃光を目にして、パルパティーンは静かにほくそ笑む。
いいぞ、それでいい。
それこそが彼を取り戻すための行程なのだから…。
▼
同時刻、第2デス・スターの攻撃準備を終えた後、反乱軍のカルリジアン将軍は、ミレニアム・ファルコンに乗り込み、XウイングやAウイング、Bウイング、Yウイングから成るスターファイター部隊を伴ってエンドア星系に到着した。
先頭を飛ぶランドのミレニアム・ファルコンから全機へ通信が飛ぶ。
「全機、攻撃態勢へ」
「レッド・リーダー準備よし」
「グレイ・リーダー準備よし」
「グリーン・リーダー準備よし」
名のあるパイロットたちが応答すると、ランドに続いて先頭を飛ぶウェッジ・アンティリーズがXウイングのレーザー砲放熱用の翼を開き、彼の駆る機体は文字通りエックスの文字を浮かび上がらせた。
「全機、Sフォイル翼を攻撃ポジションへ」
ウェッジに続くように、各ファイターも放熱翼を攻撃ポジションへと駆動させた。
あまりにも無謀な作戦。そんなことはわかっている。しかし、やらねばならない。巨大な第二のデス・スターを前に、アクバー提督は祈るように声をあげた。
「フォースと共にあらんことを」
一方、先頭を飛ぶランドは、隣にいる副操縦士のナイン・ナンヘデス・スターのシールドが解除されているかスキャニングをかけるよう指示を出したが、返ってきた返答はあまりにも驚く言葉だった。
「妨害電波が出ている?じゃあ…俺たちが来ることを知られていたのか…!全機、攻撃中止!反転しろ!シールドは生きているぞ!」
ランドの悲鳴のような言葉に応じて、デス・スターへ突入しようとしていた戦闘機やフリゲート艦が続々と反転してゆく。モニターには映らないが、妨害電波が出ている以上、シールドが生きている可能性は高い。まだハンたちがシールド発生装置を破壊できていないということだ。
「提督!セクター47に敵艦です!」
「これは罠だ!」
その直後、混乱する反乱軍艦隊の前にエンドアの裏側に配置されていた帝国軍艦隊が姿を現した。
アクバー提督の旗艦、モン・カラマリ・スター・クルーザー<ホーム・ワン>に率いられた反乱軍艦隊は、インペリアル級スター・デストロイヤーの大艦隊と交戦を開始することになる。
「すごい敵機の数です!!」
矢の雨のように飛んでくる敵のTIE・ファイター部隊を前に、パイロットたちが必死に機体を操る。緑色の極光が走り、アラームが鳴り響いた。
「各隊、戦闘機部隊と交戦開始!!ホーム・ワンを守れ!」
「レッド・リーダー、了解した!」
即座に応戦態勢に入る反乱軍の戦闘機部隊だが、数の差は圧倒的であった。しかし、大艦隊がいながら何故、スターデストロイヤーは前に出てこない?そんな疑問を感じながらも、ランドや他のパイロットたちは襲いかかってくる帝国の戦闘機との熾烈なドッグファイトを開始するのだった。
シナリオを練り直すのを許せるか?
-
細かい描写も見たい
-
ログの心の移り変わりを見たい
-
とりあえずエンディングまで突っ走れ