アナキンの親友になろうとしたら暗黒面に落ちた件   作:紅乃 晴@小説アカ

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エンドアの戦い 3

 

 

 

「艦長!エリア25に敵増援を確認!」

 

モン・カラマリ・スター・クルーザー<ホーム・ワン>のブリッジで、モニタリングしていた通信士が叫ぶ。すでに戦況は混迷を極めていた。すぐ横にいたフリゲート船がデス・スターのスーパーレーザー砲に穿たれ、瞬時に爆散し、星屑へと帰った。

 

操舵手が船を操るが、デス・スターは目と鼻の先だ。どれだけ回避行動を取ろうが射程範囲から逃れることは不可能だ。

 

周囲には緑光のレーザー砲を放つTIE・ファイターがごまんといて、応戦する反乱軍のスターファイターが必死の防衛を行うが、反乱軍の戦力は目に見えて削り取られつつあった。

 

「ええい!倒しても倒してもキリがないぞ!」

 

レッド・リーダーであるウェッジが僚機のXウイングと隊を組んで敵を撃ち落とすが、落とした分の倍の数がすぐに現れる。機体を鋭く旋回させるが、少しでも逃げれば敵の軍勢はホーム・ワンへと襲いかかることになるだろう。

 

「スターデストロイヤーに取り付け!このままではデス・スターのスーパーレーザー砲の餌食になるぞ!」

 

ミレニアム・ファルコンを操るカルリジアン将軍が全部隊への通信でそう告げる。すでに反乱軍の艦隊はデス・スターから逃れるために退路へと転進しており、その先にはスターデストロイヤーの大艦隊が待ち受けていた。

 

激しい艦隊戦が繰り広げられる中、先陣を切るミレニアム・ファルコンが、帝国軍の旗艦であるスーパースターデストロイヤーの懐へと飛び込んだ。

 

「こちらもスターデストロイヤー艦隊の集中砲火を浴びることになるぞ!カルリジアン将軍!」

 

「デス・スターの攻撃よりはマシです!何隻かは道連れにできるでしょう…!」

 

ホーム・ワンの艦長であるアクバー提督の言葉に、カルリジアン将軍は苦しげな声でそう返した。捨身の戦いであることは彼が一番理解していた。だが、踏みとどまらなければ、ここまで出た犠牲の全てが無駄になる。立ち止まることも、後ろに引くことも許されない。

 

それは、カルリジアン将軍に続く反乱軍のパイロットたちも同じ心境であった。

 

「敵の戦闘機が多すぎる!!」

 

そう叫んだXウイングが火に包まれ、切り揉みながらスターデストロイヤーのシールド発生ドームへとぶつかり、墜落した。僚機の死に様に視線を奪われたYウイングも、二機のTIE・ファイターに取り付かれ、そのエンジンを穿たれた。

 

「や、やられた…!!」

 

肩翼のエンジンがふきとび、コクピットも爆発に包まれる。ウェッジも他のパイロットも、自身の周りのことで精一杯だ。次々とスターファイターが落とされて行く。

 

「くそ!このままではジリ貧だ…!!」

 

ハン…俺たちを無駄死にさせないでくれ…!カルリジアン将軍が小さく呟いた時、その後方にいたホーム・ワンが新たな反応を捉えた。

 

「提督!後方にハイパースペースから出てくるものが!帝国軍のスターデストロイヤーです!」

 

デス・スターと帝国の大艦隊の線上。反乱軍の艦隊を挟むような形で、その船はハイパースペースから飛び出してきた。数隻のスターデストロイヤー級で編成された艦隊は、完全に反乱軍艦隊の後方を押さえている。

 

「挟み撃ちか!?」

 

「いえ、違いますよ。アクバー提督。どうやら間に合ったようです」

 

その出現に驚愕するアクバー提督。そんな彼とは違い、冷静な目でハイパースペースから出てきた艦隊を見つめるパドメは、小さく笑みを浮かべながら確信していた。

 

現れた艦は砲塔を構える。狙いは反乱軍か?誰もが息を呑んだ瞬間、放たれた極光はホーム・ワンや他反乱軍の船の頭上を飛び越え、襲い掛かろうとしていたスターデストロイヤーのブリッジを見事に捉えた。

 

「TIE・ファイターを発進させよ!目標はスーパースターデストロイヤーだ!通信を反乱軍の主力艦へ」

 

現れたのは、ヴェネター級スター・デストロイヤー<レゾリュート>だった。クーデター派を指揮するウルフ・ユラーレン提督は、随伴する護衛艦からも次々とTIE・ファイターを発進させる。

 

肩翼を白く塗装したクーデター派のTIE・ファイターの編隊が飛び立つ姿を見つめながら、ユラーレンは通信に応じた相手を見据えた。

 

「アミダラ議員、お久しぶりです」

 

「お元気そうで何よりです、ユラーレン提督」

 

にこやかに言葉を交わす二人。

 

それ以上の口上は必要なかった。ユラーレン提督がクーデター派を引き連れてこの場に現れたことが、パドメにとって最高の答えだったからだ。

 

「これより我が艦隊は反乱軍と共同戦線を張る!武力と恐怖で世界を押さえつけようとする武官派たちの蛮行を我々はこれ以上、見過ごすことはできない!!すべては、帝国自治の正義と秩序のために!!」

 

全宙域に向けた通信でユラーレン提督は声を上げた。劣勢を強いられていた反乱軍のパイロットや戦士たちも一気に沸き立つ。この勢いを活かすほかはないと、カルリジアン将軍も全パイロットへ通信を繋いだ。

 

「心強い味方だ!各機、白いラインが入ったTIE・ファイターは味方だ!決して撃ち落とすなよ!!」

 

武官派の帝国軍も突如として奇襲をかけてきたクーデター派の対応が後手に回っている。この攻勢を必ず手にしなければならない。

 

ここで勢いに乗らなければ、クーデター派と反乱軍合わせた戦力でも上回る武官派に勝つことはできない。ここで勝利を逃せば、武官派の力は盤石になり、手がつけられなくなる。

 

故に、クーデター派はさらなる一手を打った。

 

「スーパースターデストロイヤーへの活路を開け!突入部隊の準備を!!」

 

「突入するのか!?スーパースターデストロイヤーへ!?」

 

すでに兵員を乗せたシャトルがレゾリュートから発進していた。TIE・ファイターの編隊に護衛されながら、シャトルは一直線に艦隊を突っ切って中央へ鎮座しているスーパースターデストロイヤーへと向かう。

 

「我々の目的は旗艦の掌握だ。大艦隊とはいえ、旗艦が落ちれば戦力も後退する!!」

 

「各機、突入艦艇を援護しろ!!」

 

即応したカルリジアン将軍の言葉に従い、多くのスターファイターが進んでゆくシャトルの援護へと入った。

 

「邪魔をさせるな!帝国こそが我々の守るべき故郷だ!!」

 

シャトルの行手を遮る敵の船を、前に出たスターデストロイヤー《エヴィセレイター》が粉砕する。艦長であるギャリック・ヴェルシオの指示に従うインフェルノ隊も、反乱軍と共にシャトルの護衛へと加わり、ついにスーパースターデストロイヤーへと到達した。

 

偏光シールドを突き破ってスーパースターデストロイヤーの格納庫へと突撃したシャトルは、待機していた敵スターファイターを押しつぶし、軍勢を押し戻し、両翼をもがれ、火花を散らしながら不時着する。

 

鈍い音と鉄が擦れる音が響くシャトル。滑るように不時着したシャトルの前、まるでそれがやってくることを知っていたように歩み寄ってくる男は、ニヤリと笑みを浮かべながら悠然と両手を広げた。

 

「待っていたぞ、フォースの使者たちよ」

 

ハッチが開く。不時着の影響でボロボロになった船内からはスパークが迸っていた。

 

「ついに今時代のダークサイドとライトサイドの雌雄を決する時が来た」

 

シス・ストーカーのリーダーであるタロン・マリコスが両手を広げながら言葉を紡いだ瞬間。

 

赤いライトセーバーの刃が立ち昇った。

 

漆黒のマントをはためかせながら、ボロボロになったシャトルから、レン騎士団の騎士であるサー・ブリッジャーがスーパースターデストロイヤーの格納庫へと降り立つ。

 

「光は闇に落ち、世界は新たなる帝国の秩序と力で支配されるのだよ。ノーバディ…そしてレン騎士団も不要だ」

 

カルとトリラ。

 

ケイナン・ジャラス。

 

アソーカとバリス。

 

サヴァージ・オプレス。

 

フォースと通じ合った戦士たちが船から降りてくると、マリコスの後ろにも、その数を上回る尋問官たちが現れた、一斉に赤いライトセーバーを起動させた。

 

「好きにはさせんぞ、蛮族どもめ」

 

ノーバディのメンバーの前に立ったレン騎士団のサー・ブリッジャーが特徴的なライトセーバーを眼前に構えながら、まるで誓いを立てるかのように声を荒げた。

 

「我々が…騎士たちが守ろうとした世界を壊させはしない」

 

ここでケリを着けるぞ!!

 

その瞬間、シスの軍勢と〝フォースの夜明け〟を望む者たちの最後の決戦が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

シナリオを練り直すのを許せるか?

  • 細かい描写も見たい
  • ログの心の移り変わりを見たい
  • とりあえずエンディングまで突っ走れ

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