アナキンの親友になろうとしたら暗黒面に落ちた件 作:紅乃 晴@小説アカ
新たなる希望へ
34ABY
惑星コルサント。
第二のデス・スター破壊から.30年後。
「フォース・アカデミー主席卒業生、ベン・スカイウォーカー。貴殿をレン騎士団長とし、ここに筆頭騎士の称号、〝カイロ・レン〟の名を授ける」
ジェダイテンプル、そしてインペリアル・センターと名を変えてきた建物。その内部にある大きなホールでは、訓練と勉学を終えた学生たちの卒業式典が執り行われていた。
フォース・アカデミー。
帝国政府が、共和国主義の議員たちとの交渉テーブルに着き、帝国制から連邦主義へと移行したとき、テンプル・シード(種の塔)とも呼ばれる学舎としてこの建物は生まれ変わった。
多くのフォース感応者やジェダイが学び、鍛錬し、そして本拠地として利用していた建物は、フォース感応者のみと言う制限から大きく開かれ、フォースへの考え方だけではなく、政治面やパイロット候補、ありとあらゆる分野の勉学を学べる場所として、今では銀河に認知されていた。
今回の卒業生たちは、その中でも特殊な分野の生徒たちであり、その多くの生徒が連邦軍への入隊が決まっている。フォース感応者だけではなく、技術者やパイロット、航海士などなど、幅広い分野の勉学を修めたものたちがそのホールには溢れていた。
「終わったな、マスター・スカイウォーカー」
「終わりましたね、サー・カイロ・レン」
レイアとハンの息子であるベン・ソロの晴れ舞台を眺めていたのは、この学園でフォースへの考え方や、心得を教えるため、教鞭を振るうルークと、パルパティーンの息子という呪縛から解放されたカイロ・レンであった。
「やめてくれ、それはベンに譲った名前だよ」
ルークは大戦後、「ジェダイ」としてのテンプル創設は諦めていた。ジェダイという一方向から見た思考主義を持ち込んだところで、うまくいかないとわかりきっていたからだ。
しかし、世界にはフォースを感じ取る者は多く、同時にライトサイドとダークサイドがあるのも事実。彼らを導く何かは必要であった。
故に、アナキンとルークは共にアカデミーの設立を提案。パドメやレイアたちの協力のもと、騎士団や生き残ったノーバディの面々と共に、ジェダイにもシスにも囚われない新たなる学問としてフォースへの語り口を開いたのだった。
ちなみに、ルークが担当するのはライトサイド科。そしてカイロ・レンが担当するのはダークサイド科であった。
「ルーク伯父さん!」
カイロ・レンと雑談していると、卒業式典の正装からラフなシャツと動きやすいパンツ姿となったベンが駆け寄ってくる。腰にはハンと同じブラスターと、カイロ・レンと同じクロスガードライトセーバーがぶら下がっていた。
「ベン、これからアウター・リムで任務なのだろう?」
「はい。ですので出発前に挨拶に。マスターにも」
そう言って、ベンは2人に頭を下げる。ルークは伯父であり、先代カイロ・レンはベンから見ればマスターにあたる。ライトサイドとダークサイドの中道を行く彼は、二人にとって新たなる可能性の塊でもあった。
「気をつけるんだぞ?ベン。ファースト・オーダーを侮ってはならん」
そう言って、カイロ・レンはベンに忠告する。
エンドアの戦いで第二のデス・スターが破壊され、さらにジャクーの戦いで大敗を喫した武官派の帝国軍は、連邦化した政府から完全に離反し、残党勢力を集め「ファースト・オーダー」を設立した。
シス・ストーカーの生き残りもいる中、ダークサイドの力と帝国の本来のあり方を正そうと各地でテロ活動をするゲリラと化している悩ましい存在でもある。
訓練学校時代でも、幾度とベンたちもファースト・オーダーとの戦いに派遣されており、卒業した彼らは本格的にその戦場へと身を置くことになるだろう。
「わかってます。俺にも仲間がいますから」
心配するカイロ・レンに笑顔で答えるベン。その後ろからジャケットが特徴的な友人が、ベンを呼んでいるのが見えた。そろそろ出発の合図なのだろう。
「では、行ってきます」
「ベン、フォースが共にあらんことを」
振り返って行こうとするベンへ、ルークはそっと声をかけた。形式化した言葉であるが、その繋がりを大事にする自分たちにとっては大切な言葉だ。ベンも振り返り、頷く。
「フォースと共に」
その言葉と共に、ベンは再び仲間の元へと駆け出してゆくのだった。
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「なぁ、ベン。やっぱり騎士甲冑着ようぜ?あんなかっこいいもんをなんで辞退するんだよ」
アカデミーの発着場は多種多様な種族の戦士たちによって活気に満ち溢れていた。人種限定とされた帝国の制度から連邦へと変わり、連邦軍は多様性と調和が強調されている。
そんな中を歩くカイロ・レンの称号を得た騎士こと、ベン・スカイウォーカーは、歴代の騎士とは出立が全く異なっており、動きやすいジャケットとパンツ姿が。腰に巻くガンベルトには、愛用のブラスターとライトセーバーが備わっている。受け取った騎士服も、今は自室のクローゼットの中だ。
もったいない、と隣を歩むベンの学友であり、戦友でもあるポー・ダメロンは思っていた。スパイス密輸で捕まった彼の才覚を見抜いたベンが、更生のためにポーをアカデミーに放り込んだ時からの付き合いであるが、ベンが昔ながらの形式やしきたりにこだわっていないことは、ポーが一番よくわかっている。
しかし、もったいない。
あの騎士服は防御性や快適性にも優れている。なによりかっこいいじゃないか。それを着ずに、ラフな格好でいる彼の指針に納得が行かなかっただけだ。隣にいるアストロメク・ドロイドのBB-8も不満げなポーに電子音を奏でた。
「あの格好は堅苦しくて苦手なんだよ、ポー。これくらいの動きやすさが好きなのさ」
「ライトセーバー使えるくせに、ブラスター好きだもんな。お前も」
「備あれば憂いなしってやつだよ」
そのまま二人は発着場の中心へと歩いてゆく。アカデミーの発着場は広大であり、スターデストロイヤー級の船が2隻も停泊できるのだ。すでに人員の乗り込みも始まっており、下層に降りているスターデストロイヤーには調査用のビークルや戦闘機の運び込みも始まっている様子が見えた。
「部隊の準備は整っています、サー・カイロ・レン」
その様子を見ていたベンへ、ピシリとした敬礼で報告をしてきたのは、屈強に鍛えられたベンと同じほどの体格を成している女戦士、ファズマであった。
惑星パナソスのサイアー族である彼女も、ポーと同じくベンによってその才覚を見出されており、アカデミーへの推薦をもらって兄のケルドと共に勉学に励んでいた。兄ケルドは文明が劣る故郷を救うべく政治学を、戦士の素質があったファズマは連邦軍への入隊を決め、今はそれぞれが別の道を歩んでいた。
部隊を仕切る副長に任命されたファズマは、今回の任務のためのあらかたの準備をすでに済ましていた。
「ありがとう、ファズマ。先行は俺とポーで。部隊の指揮は任せる」
「了解しました」
敬礼を打って踵を返すファズマを見送り、ベンはポーと共に自身の船に向かう。
アイデン・ヴェルシオ将軍指揮のもと発令された今回の任務は、調査員の報告で発覚したファースト・オーダーの新兵器の調査、そして破壊任務だ。断片的な情報ではあるが、その兵器は悪名高いデス・スターと同じく、惑星を簡単に破壊する力を持つと言われている。そんなものが実在すれば、コルサントや連邦政府へと加入した銀河系に危機が迫ることになる。
すでに先遣隊が出発しており、まずは彼らから情報を聞き出すことになるだろう。
自身の船のもとについたベンは、荷物の運び込みをしているドロイドたちに礼を言いつつ、準備していた荷物を担ぐ。
ミレニアム・ファルコン。
伝説の英雄であり、自分の祖父であるアナキン・スカイウォーカーが手を加えた銀河最速のスクラップ。本来なら父の愛用機であったが、ギャンブルに目がない父の特性を利用し、ポーをプレイヤーに、ベンが後ろについたサバックで見事にハンから勝ち取ったのだ。
コクピットに座るベンとポー。二人は手際よく船を始動させて、準備を終えた部隊へと通信をつなげた。
「さぁ、いくぞ。みんな」
浮かび上がった連邦軍はコルサントを後にし、広大なアウター・リムへと続くハイパースペースへとジャンプしてゆくのだった。
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「…ベンもますます、ハンに似てきたな」
任務に向かってゆくベンを見送ったルークは、ふとそんなことを呟く。その言葉には、隣にいたカイロ・レンも頷いていた。
結局、連邦化された政府の高官という役職に馴染めず、チューバッカと共に銀河へと繰り出した親友。家に帰らない父を見て育ったベンは、ソロの名を嫌ってスカイウォーカーと名乗る始末であるが、家族愛が無いかと聞かれれば否であった。
年頃になったベンを救ったのはハンであった。定期的にベンを連れ出しては、アウトローな世界を共に駆け巡る。ライトサイドとダークサイドの中道を見つけ出したのは、ハンの世界観を見せたことが効果的だったのだろう。
結果的に自身の流儀を逆手に取られ、愛機であったミレニアム・ファルコンを息子に譲ることになったが、それでもハンは愚痴をこぼしながらも嬉しそうに笑っていた。
「それをレイアの前で言ってやるなよ?ショックで寝込んじまう」
後ろからルークに声をかけてきたのは、愛用していたマンダロリアンの装甲服を脱いで、立派な兵士教官の役職に収まっているボバだった。彼もまた、ルークと同じようにアカデミーで教鞭を振るう身だ。
「ハンは今どこに?」
「さてな、大方チューイとアコギな小銭稼ぎでもしてるんだろう」
「相変わらず君はハンが嫌いなんだな、ボバ」
「一生かかってもアイツとは仲良くなれんよ」
軽口を叩き合う中であるボバとハンであったが、幼い頃から無茶をするルークやレイアの面倒を見ていたボバは、その面倒見の良さを遺憾なく発揮していて、ハンの息子のベンにブラスターの扱い方や、狩りの仕方をよく教えていた。
おかげで、ベンはレイアにもハンにもない強さを身につけていることになったが、そのわんぱくぶりにルークもカイロ・レンもよく手を焼かされたものだった。
そんな思い出を思い返していると、ふとルークは気がつく。
「そういえば、君の娘はどうしてるんだい?」
隣にいるカイロ・レンに問いかけると、彼はコルサントの空を見つめながら呟いた。
「レイか。あの子は……今はジャクーだな」
シナリオを練り直すのを許せるか?
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細かい描写も見たい
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ログの心の移り変わりを見たい
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とりあえずエンディングまで突っ走れ