「連邦軍のモビルスーツ!? 爆破しきれなかったヤツがあったか!」
友軍の撤退を支援する為に岩陰から飛び出したサレナ・ヴァーンの乗るイフリート・ダンの目の前には、地球連邦軍製のガンダムの量産機“もどき”が一体立ち竦んでいた。
どうやら、こちらの不意接触を強襲と勘違いして思考がフリーズしてしまっているのだろう。
「ふん、新兵が乗っていると!」
バックパックにマウントしていた逆刃のビームサーベルを抜き取る。
「まずは、一つ!」
振り下ろす。
だが、その一閃がモビルスーツを切り裂く事は無かった。
「なんだ!?」
それどころか、何かの衝撃に襲われて、イフリート・ダンの方が後ろに仰け反る。
振り上げた切っ先が、半ば程から吹き飛ばされていたのだ。
即座に周囲を見渡す。
「もう一機居たか!」
目の前のと同じタイプ、バズーカを装備した“もどき”の砲身が、丁度イフリート・ダンのコックピットに向けられている最中だった。
「良い腕をしているが、そこからなら味方も射線軸にあるのよ!」
イフリート・ダンの右回し蹴りが、目の前の“もどき”を揺らした。
射線上に味方が入った事で、一度バズーカを下ろすもう一方の“もどき”。
「その判断が誤りだったな!」
目の前の“もどき”を踏み台にし、上昇。
一瞬で、バズーカ持ち“もどき”の視界から外れる。
「この剣が両刃である意味をその身をもって味わえ!!」
半ばで折れた逆刃のビームサーベルの刃を逆へ。
実体剣ならば、半分折れた所で範囲が狭まるだけだ。
接近して斬るには、これだけで充分だった。
モビルスーツ一体分の体重を乗せた、縦一文字斬りが炸裂した。
「今度こそ、一つ……!」
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目の前で、ジムが爆発した。
「クロイ……?」
クロイ・チョッコーが乗っている筈のジムが、頭から縦に一刀両断された。
「クロイイィイィィィィィィィ!!」
ビームライフルを照準も付けずに乱射する。
<このプレッシャーは……ッ!>
“また”あの女の思念が飛んできた。
ビームは、回避されてしまった。
<感動の再会とも言うべきかな! ガンダム!!>
「なんだと!」
ビームサーベルを引き抜き、接近。
クロイを殺した逆刃のビームサーベルの一本は、破壊された。
いや、アイツが命懸けで一本道ずれにしてくれたんだ。
このチャンス、逃しはしない!
白いイフリートが背中から引き抜いた逆刃ビームサーベルが、俺のガンダムが振り下ろしたビームサーベルと鍔ぜり合う。
<君を地球に蹴り落した時に私は満たされた……つもりだった! だが、思い返す度に後悔したのよ……“もっといたぶってやれば良かった”ってね!!>
「何を言って……!」
<私の為に生きていてくれてありがとう! また私に会いに来てくれてありがとう! また私に殺されて頂戴!!>
イフリートがブースターを吹かしながら突進しようとする。
「同じ手が通用すると思うな!」
ビームサーベルを両手持ちにし、刃を逸らす様に構え直した。
直進しようとしていたイフリートがいなされ、ガンダムの後方へと飛んでいく。
<何ッ!?>
時代劇などで見る、侍が相手の攻撃を刀で“流す”動作だ。
普通にビームサーベルで斬り合っていたら出来なかっただろうが、向こうが突撃してくるだけなら、もしやとは思っていたのだ。
「こっちだって訓練ばかりやってる新米じゃないんだぞ!」
戦場で強敵と戦う緊張感は、既に体験済みだ。
コイツもそうだが、俺は既に08小隊の皆と共にノリス・パッカードのグフ・カスタムとも相対しているのだ。
そして俺はそこでもう一つ学んでいる。
“戦場で戦っているのは、一人じゃない”!!
「ヒータ! ミドリ!!」
『おうよ!!』
『援護します!』
二人の返事の後すぐに、ジム・ライフルによる銃弾の嵐が白いイフリートを襲う。
<また邪魔するつもり!?>
ガンダムと同じか、それ以上の装甲のあのモビルスーツには実弾の効果が低い。
だが、俺の目的は“向こうの気を逸らす”事だった。
察してくれた二人に心の中で短く礼を言いながら、俺は地面に投げ捨てたビームライフルを拾い上げた。
<そう言う事!>
しかし、俺がガンダムを振り返らせた時には、白いイフリートは岩陰の向こうへと姿を消していた。
「逃がしはしないぞ!」
『待ちやがれテリー! 目的は敵を追い払う事だろ!?』
「アイツをこのまま逃がす方が危険だ!!」
ヒータの忠告を無視して、俺は一気にガンダムをジャンプさせて岩を飛び越えた。
「二人はヨーコを連れてフォリコーンの近くまで後退しろ!」
『テリーくん!』
<一人で行くなんて、さっきと考えてる事違うじゃない!>
「俺もそう思う!」
<え!? 今、もしかして……!>
最後にミドリが変な事を口走っていたが、良く聞こえなかった。
それよりも、俺が白いイフリートを追う事しか頭になかったからだ。
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あいつを、追わないと。
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