U.C.0103
「ニュータイプ同士の“めぐりあい”ですか。それは非常に興味深いですね」
「しかしこの話題については皆同じことを言うだろうな。戦場で“ニュータイプ”と呼ばれる人間はこの後何人も登場するが、敵味方ではっきりニュータイプ同士が接触したのはこれが最初だと、言われている」
「なるほど……」
後のグリプス戦役で戦友となるアムロ・レイやシャア・アズナブルの“めぐりあい”は確かに戦争記者としては見逃せない、一度は取材してみたい内容ではある。
が、戦時中故の“誇張表現”も多く存在するのも事実。
いかにガンダムが三機あったとはいえ、リック・ドム12機とチベ級一隻を一分足らずで撃破せしめたなんて話は確実にデマに違いない。
「しかし、サイド6の核攻撃は全く知りませんでしたね。第13独立部隊にいつのまにか編入されていたペガサス級と三機目のガンダムについては知っていましたが……」
ニュータイプ専用ガンダム“アレックス”と、ペガサス級強襲揚陸艦“グレイファントム”は確かにチェンバロ作戦や星一号作戦でも活躍した噂を聞いた事がある。
ホワイトベース、フォリコーン共に第13独立部隊として輝かしい戦果を挙げた、というのは一年戦争史の多くで取り上げられている話だ。
しかしそれらが中立コロニーのサイド6にいたというのは初耳である。
「歴史の闇に葬られた事実、という事だろうな。“あの男”にとっても不都合だろうよ」
「あの男、とは?」
「フル・フロンタル。コロニー連合軍総帥とは言っているが、その根幹は元ジオンが主導だ。20年近く前とはいえ、そのジオンが軍事拠点ですらないサイド6に核ミサイルを撃ち込んだとなれば、政権に問題が生じるんだろうよ」
「センセイは、地球に人が住めなくなった現状で救世主ともてはやされるフロンタル氏の足元が危うくなる事態があり得ると?」
「噂ほど人を縛り付けるものもない。人類は皆不安だからフロンタルの言葉を信じ、あの男を総帥と認めているが、行き過ぎた信仰は彼に“清廉潔白”を求める」
「と、言いますと?」
「宇宙世紀以前の時代から続く、人間の“業”だよ。……思えば、テリー・オグスターもまた、世界に“清廉潔白”を求め過ぎたのかもしれないな……」
「……」
一呼吸置いたセンセイが、窓の外を見た。
相も変わらず、空には“白い惑星”の姿がある。
「さ、話を続けよう。一年戦争もいよいよ大詰め。……ソロモン宙域での戦い“チェンバロ作戦”での第13独立部隊の戦いの記録だ」
あとがき。
遅れちゃって申し訳ない。一条和馬です。
今回は“めぐりあい宇宙篇”の前半、サイド6からテキサスの攻防までのお話と、ほぼ同時期(年表で見ると実は星一号作戦のほぼ直前)の『機動戦士ガンダム0080~ポケットの中の戦争~』篇をミックスしたお話となりました。
この第四幕を書き上げるにあたって、実は今まで見る機会に恵まれなかった『ポケ戦』を初めて視聴しました。このために、わざわざ、レンタルして。いやまぁ「いつかみたいな」から20ウン年経ってたので本当に良い機会だったんですけどね。
この流れでもう白状しちゃいますが、実は『ポケ戦』篇をやるのは完全に予定外でした。
何をどう介入すればバーニィが死なずに済むか……その結果があの“どつきあい宇宙”なのは自分でもどうかと思いますが。32話でイフリート・ダンに対して二人して殴りかかるのも完全に想定外……というかあの話はプロット組んでません。あの二人が勝手に武器捨てて勝手に殴り始めました。なんでなん(困惑)
そんな感じで、この作品は「この作品やらないんですか!?」と予定外のものをコメントされたら必死に調べてそれっぽくねじ込む予定でございます。先手打っときますが「魔法の少尉ブラスターマリを是非!」とか言われても「無☆理」と返しますのでご了承下さい。本作は全てのガンダム作品の話を通るより、思いついた話をフワッとねじ込む方向で行きます。
コメントいっぱいきたら調子乗って更新速度上がるかも? ってお話でした。
それはさておき、次回の第五幕はついにソロモン篇です。
ソロモンと言えば、ビグ・ザムですよね。ドズル・ザビ好きなので、是非頑張って格好良くみせたい所。
そう言えば“ソロモン”と言えば有名な男がもう一人……。
そんな感じで、次回以降の更新も是非お楽しみに!
君は生き残ることが出来るか!