ソウル的世界に行った結果wwww   作:ズブロッカ

7 / 7
突撃万歳!


哀れな男 その7

 張ったヤマが高校2年の日本史の中間テストで当たったとき。寝坊して口うるさいご年配のパートがおられるコンビニのバイトに向かうその道中、信号機が五回連続で青だったとき。ゴキゲンな小躍りができる三又槍がマラソン3週目でドロップしたとき。

 

 この三つである。大して喜ばしくもない三つだけなのだ。二十余年という長くはないが短くもない日々を密度高く過ごした歳月の中で、自分の思うように物事が運んだ事例の数は。

 

 人生はうまくいかぬから面白いなどと訳知り顔でのたまう人間がいるそうだが、俺からすればとんだ失笑ものである。そいつの頭にはおそらく地平を埋め尽くすヒナゲシが咲き誇っているのだろう。猩々緋の海にたたずむ日傘をさした御令嬢が気が付いたようにこちらに振り向き、決してだれにも見せなかった柔らかな笑顔がほころびる…。そのご令嬢は誰でしたか?後で答え合わせしましょう。

 

 上のような文言を口に出してしまう人物というのは、えてして成功者に多い(俺調べ)。何でもかんでもうまくいくよりは少してこずる方が面白いのは当然のことだ。だから私はDarkSoul。俺もうまくいかぬ事柄が両手で収まってしまう世界の中で生きてきたかったもんだ。まったくもってうらやましい。多少うまくいかない人生が面白いのだ。失敗続きのうだつの上がることのない人生など面白いはずもないのだ。

 

 そういったうだつのあがらない人生を歩んできた俺は、いわゆる「こんなはずじゃなかったこと」は山のように経験してきた。最後の競技会に出るためのセレクションでめったに来ない鳩ヶ谷に負けたこと。女に浮気されて酒に溺れた東山を立ち直らせようとしたら迫られたこと。枚挙にいとまがない。

 

 しかし、仄暗く染まった黄昏時、ひときわ輝く金星の如く、側溝のヘドロ色に光る思い出が一つある。俺の人生の中で、最も「こんなはずじゃなかった」記憶である。

といっても回想は始まらない。一言で済む。すぐに終わる。簡単だ。

 

 

 好きな女子に告白したら通報された。

 

 

 悲しいよね。でもこれって現実なのよね。ひどくね?

 

 つまりだよ。何が言いたいかというとだね、「こんなはずじゃなかった」ランキングが変動したってことだよ!間抜けな亡者を1体だけ釣り出そうとしたら、目の前のゴキゲンな亡者どもが三人一緒にコンニチハ!ってのが堂々の1位になりやがったんだよ!

 

 人間、想定外の場面に出くわすと全く動けなくなるっていう話があるが本当なんだな。大上段に構えたまま動けなかった。正確に言うならば、思考が止まったというべきか。固く剣を握ったまま、俺は止まってしまった。俺だけが。

 

 亡者どもは当然のように迫る。既に一足一剣の間合いだ。一歩踏み出すだけで相手をぶった斬れる。忌々しいことに三方向に分かれやがった。脳みそもパーになっているじゃなねーのかよ。力を入れすぎた弊害か、筋肉が緊張して全く動かねえ。動けよクソッタレ!やべ、右のやつが振り被った。

 

 瞬間、右胴に重い衝撃が強かに残る。肺がせりあがるような鋭い痛みが身体にゆっくりと落ちる。背中が丸まり、視界はぼやけ、呼吸が止まる。衝撃は一度では止まらなかった。左からも二、三、と続き打たれた部位が熱くなる。たまらず転げ落ちた。しかし、この場でうずくまることだけは避けねばならない。死ぬのは真っ平だ。

 

 重い鎧はもはや枷ではない。俺は反動をつけ体をひねりながら勢いよく起き上がる。アドレナリンが血液を沸騰させ、痛みを忘れさせる。剣はまだ手中にある。やってやるよ、ゴリ押しだ。最も近くにいる未だに剣を振り回している亡者に狙いを定める。残りの奴らはコイツを吹き飛ばしてから考えることにしよう。息を短く吐き、顎を引き両手で顔を守りながら体を低く構え、雄叫びを上げながらそのまま突進した。

 

 狙いを定めた亡者がこちらの動きに気づいたようだがもう手遅れだ。やはり脳みそはパーだった。フルプレートのぶちかましをとくと味わえ!亡者は避けようともせずそのままぶつかり、勢いよく吹き飛ばされた。ざまあみろ。さて、とどめをどうするかと考える間もなく背後から斬撃が飛んでくる。またも一瞬呼吸が止まるが、素早く振り向く。返す刀で、としたとき側面から斬りつけられた。多勢に無勢とはこのことを言うのだろう。反撃もままならず、結局囲まれタコ殴りされた。

 

 

 

 深淵の中で意識が灯る。視界を覆う漆黒が今際の際を何度も繰り返させる。暗闇の中で死に溺れながら微かに燃えるあの篝火へと意識を立ち昇らせた…。

 

 2回目の死である。命を大事にとはなんだったのか。何がいけなかったと考えたとき、コンニチハされたことがよくなかったといえばその通りなのだが、失敗したことを考えていなかったのがそもそもの原因であろう。想定外の範疇にも入るまい。

 

 その後の対処も良かったとは言い難い。突進後は足を止めることなくそのまま駆け抜けるべきだった。そもそも最善手は逃げて体勢を整えるべきであった。まあ逃げても逃げ場なんかないんですけどね!どうすべきか。流石に一対三を何度もやる愚行は犯したくないし、逃げたとしても崖があるだけだ。…。崖?崖と言ったか?あるじゃないか、あれが。とある玄人実況者が編み出したとされる、あの技が。

 

 

 

 高所にて相手を叩き落し、如何に強靭な肉体であろうとも一撃で撃滅せしめる、「高山」が。

 

 




(ストーリーが)進まねぇ…。


令嬢?おキヌちゃんかな…。巫女服に日傘は合わない?ここに着替えがあるじゃろ?
ルシオラ?知らない子ですね…。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。