二組六人の異世界人   作:117

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1章 6話

 諦めるな、光は未だに差し込んでいる。

 

 

 

「おおおおおおっー!」

 必死の形相で、人間の限界を越えた速度で疾走する固有名詞横島忠夫。彼の目的はただ1つ、声から(体の凸凹は少ないがとても柔らかい体をしていて、新体操にとても向いた体をしていると)判断した美少女を華麗に救い、将来格好いいお兄さんに女の子の一番大事な初めてをあげる。そんなシュチュエーションをつくる為だ。

「ぐっふっふっふっふっ、距離にして約20メートル!」

 わずかな叫び声から美少女の距離と方向を完全に掴んだ固有名詞横島忠夫は、颯爽と現れる為に思いっきり速度をあげて後僅かな距離を一気に潰す。そして美少女がピンチであろう現場にたどり着いた。

「男、横島忠夫! ただい……」

 言いかけて。木陰から飛び出そうとした横島の目にはとんでもないものが目に入ってきた。背が高くやや糸目で整った顔立ちをして完成されたプロポーション、そして何より全裸にタオル一枚というある意味全裸よりも劣情が刺激される格好。(他にも美少女たちがたくさんいた気がするが、とりあえずその女の子が一番に視界に入ってきた)

 そして件の少女は何か邪悪なものを感じ取ったのかチラリと片目だけゴーレムから目を離し、横島の方に視線を送る。だが、それがマズかった。我らが煩悩魔人の目にそんなものは流し目を送って誘っているようにしか見えない。

 そして先ほどの少女とどちらを優先するのかという問いに対して、横島の答えは容易に出てしまった。

「そこの君! 僕と一緒に堕落の果実を食べぶろぱっ!?」

「あっ、スマン」

 で、木陰から急に飛び出した歩行者(横島)に気づかず、自動車(ゴーレム)が思いっきり蹴ってしまう。師匠譲りの似合わないイイナンパ用笑みを浮かべたまま天翔る横島忠夫。

「あ~~…………」

 

 ドッ~~~ボン!

 

 変な残響音と水音を残して恐らくどこかの水に落ちてしまったであろう横島。残された楓と古、捕まったままのまき絵と捕まえたままのゴーレムは何が何やら訳が分からない事態に冷や汗を流したまま動けない。

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

 沈黙というよりは静寂、静寂というよりは沈黙。清らかな水の流れが心に痛い。

 だがそんな時間もやがて終わった。ガサガサと音がして、横島がきた方から木の葉がすれる音がして、2人の少女が姿を現す。

「横島さんっ!」

「足速いなあ、横島さん。もう少しゆっくり走ってや~、ってあらっ?」

 巫女装束のおキヌと胸を捻ったタオルで胸を隠して下はスカートという、横島レーダーには引っかからなかったものの、これはこれで扇情的な格好をした2人が現れた。その2人はしばらくここに飛んできたであろう横島の姿を探していたが見つからない。そして2人とも天然であるが故にこの場を支配する微妙な空気に気がつかない。

「横島さんは?」

 だがそれでも硬直した雰囲気のこの場に、2人も人が来てくれるのは十分に役に立つ。

「横島という名前かどうかは知らぬが、今方とある御仁が神速でここに来て神速でそのゴーレムにはね飛ばされていったでござるよ~」

 とりあえず楓が状況説明。そして次にゴーレムが場を取りなおそうと口を開く。

「ホッホッホッ、それはともかくとして……」

 

 ドボン!

 

 水音でゴーレムのセリフは遮られた。何事かと音がした方を見てると、頭にでっかいタンコブをつくったまま目を回して、ぷかーと仰向けに浮かんでいる横島が流されてきた。

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「横島さんっ!?」

「あっ、横島さん。そこにいたんやえか~」

 天然な2人、特に慣れているおキヌはともかく他のメンバーはまたも出鼻をくじかれて固まる。

「よよよよよ横島さん、大丈夫ですかっ!?」

「あ~、大丈夫やえ。うちがトンカチでゴチンとした時もあの位は腫れるわ~」

「トンカチでゴチンって……なぜにっ!?」

「つっこみでこうゴチンと?」

「は、激しいつっこみですね……。と、それはいいとして横島さん! ま、まずは……じ、人工、こ、呼吸を……」

「横島さん、仰向けで水飲んでないやん」

 

 ゴチン!

 

「はうん! そ、そのトンカチはどこから……?」

「スカートのポケットや。いつでもつっこめるようにいつもしまっとるんや」

「そ、それは普通に危険物所持違反なのでは……?」

 天然2人による天然漫才。どうしていいか分からない他の人物は固まりっぱなしで、横島は流されっぱなし。ぷかぷかと浮かびながらだんだん視界の外へと流されていく。

「大丈夫やよ、今までウチ一回も捕まったことないし」

「一回でも捕まったらまずいでしょうが!

 ちょっと待って下さい、今もっといいのがないかどうか探しますから」

 そう言ってごそごそと懐をあさるおキヌ。今回の旅の為に色々と役に立ちそうなものを用意してきた成果だった。そしてやがて一つのものを選び出す。

「……包丁?」

「包丁です。元々は霊刀シメサバ丸っていうらしいんですけど、今は叩き直して貰って包丁にして貰ったんですよ~」

「ああ、料理で使ってたマイ包丁な~。すごい切れ味がよくてうらやましかったんや。

 って、それでつっこみするん?」

「さすがに無理ですよ~。これでつっこんだら流石に死んじゃいますよ~」

 あはははははと背景にお花畑を背負って笑いあうこのかとおキヌ。

 もうなにがなんやら。天然が、しかも2人も揃えばかくも恐ろしいものなのか。他人にはどうしようもない独特の空気が支配する。

「あっ!」

 そしてちょうどそんな時、新たに来訪者が現れた。夕映がネギとアスナを連れてやって来たのだ。

「ま、またあのでかいの!?」

「動く石像(ゴーレム)ですよっ、アスナさん! 一緒に落ちてたんだ!」

「と、言うかこの雰囲気はなんなのですか?」

 真面目に状況を分析するネギとアスナ、そして真面目に雰囲気を分析する夕映。そしてバカと天然に完全に喰われていたゴーレムは夕映の発言を黙殺し、ネギ達のノリに甘える事にしたらしい。

「フォ、フォフォフォ。この子は捕まえた、返して欲しくば力づくでくれば良い」

 ゴーレムのセリフによって、ようやくまき絵も自分の立場を思い出した。

「ネ、ネギ君助けてーっ」

「まきちゃんーっ!?」

「さ、佐々木さんーっ」

 そして助けを求めるまき絵に、アスナとネギがようやく事の重大さに気がついた。そしてネギの堪忍袋の緒が切れる。

「ぼぼ、僕の生徒をいじめたなっ、いくらゴーレムでも許さないぞっ」

 子供らしくプンスカ怒るネギだが、そこから放たれる攻撃は正直シャレにならない威力がある。

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル!

 光の精霊11柱! 集い来たりて敵を射て!!」

 詠唱が終わり、そしてネギの魔力が具現化する。

「くらえ、魔法の矢!!

 魔法の射手(サギタ・マギカ)!!」

「フォ!?」

 魔法の矢の威力に怯えてか、それとも一般人の前で魔法を使うことに関してか。ゴーレムがいる時点でおそらく前者であろうが、それはともかくゴーレムは一瞬、ビクリと体を強張らせる。

 

 しーーーん

 

 が、何も起きない。かっこよくポーズを決めるネギと、無言でそんなネギを見つめる一同。天然にボケとつっこみを繰り返していたおキヌと木乃香までもが会話を止めてネギを見ていた。美しい川のせせらぎと不思議ジュースをすする夕映の水音が耳と心に痛い。

「ま……」

「まほーのや……!?」

 冷や汗を流しながら楓が、目をまん丸くしながら古が。そして他のみんなも似たような反応をしている。

(あ……しまった。まだ封印、一本残ってたんだっけ)

 再び微妙な雰囲気になる。と思いきや、

「はっはっはっ、魔法ごっこか。俺も昔はよくやったよ。

 だけどな少年、そういうのは時と場合を選んでやろうぜ?」

「あっ、横島さん」

「というか、あなたはどこから湧いて出てきたのですか」

 流されたハズの、2回連続で雰囲気をぶち壊した横島がネギの作った微妙な空気を取りなしてくれた。突如として現れた横島に夕映は当然の如くつっこむが、それも当然のごとくスルーされる。そしてひとまず空気が止まったところでゴーレムの笑い声。

「フォフォフォ、ここからは出られんぞ。もう観念するのじゃ。

 迷宮を歩いて帰ると三日はかかるしのう~」

「言うことが矛盾してるぞ、そこのゴーレム。三日かけて歩いて帰ればいいだけの話じゃねーか」

 事情を知らない横島の冷静なツッコミは綺麗に流された。

「ええっ!」

「み、三日!?」

「それではテストに間に合わないアル」

「えっ、なになに? なんなのこのテンション? つか、何でこのゴーレムと普通に会話してるの?」

 素朴な横島の疑問に夕映が答える。ちなみに彼らの後ろではネギとかアスナとかが何か面白会話をしているが、横島は完全に無視している。

「言ったじゃないですか、横島さん。この動く石ころの英単語ツイスターゲームのワナでここまで落とされたって」

「動く石ころってコレかっ!? しかもなんだ英単語ツイスターゲームのワナって!!」

 横島としては動く石ころと聞いて、握り拳くらいの大きさの石ころがちょろちょろと動いて、落とし穴の前で転ばすようなワナだと思っていた。と言うか、動く石ころと聞いて自分の3倍もあるようなゴーレムを想像するやつはまずいないだろうから、一般的に見れば間違いの無い想像ではあったのだが。

 それはともかく、そのツッコミでゴーレムの目に横島がとまってしまった。

「時に君は誰かの? 巫女服を着た少女も見ない顔じゃ」

「あっ、これはどうも。私、図書館島地下に住んでいる横島忠夫と申します。あちらにいるのは私の友人である氷室キヌです」

 丁寧に頭を下げつつ名刺を差し出す横島。しっかりと名刺に携帯番号まで書いてある芸の細かさだ。もしかしたらナンパ用なのかも知れない。

「そうか、君たちが……。

 申し遅れました、ワシは使い魔のゴーレムですじゃ」

 そしてゴーレムも深々と頭を下げつつ、どこからともなく名刺を取り出して横島に渡す。ちなみにその名刺にはおざなりに『ごーれむ』と書いてあるのみだ。

「あっ、これはご丁寧にどうも」

 腰を低くして挨拶を返す横島、そこで後ろから突然からアスナの大声があがる。

「と、…とにかく!! 私たちはあきらめないんだからねっ!! 明日の期末テストまでに絶対ここを抜け出してやるっ」

 おおきく啖呵をきるアスナ。少しかっこいいかも知れない。

「アスナさん、やっぱり僕のために……」

「違ーう!!」

 もっとも、何か感動しているネギのせいで微妙にしまらなかったが。

「と、とにかくみんな逃げながら出口を探すのよっ!」

「フォフォフォ、無駄じゃよ。出口はない」

 みんなを鼓舞するアスナと絶望に叩き込もうとするゴーレム。

「帰るん? みんなの荷物取り行かなー」

「あっ、私も手伝います」

 そして割と緊迫した雰囲気でも自分のペースを崩さない天然組のこのかとおキヌ。

「ん……? あ!!

 みんな、あのゴーレムの首の所を見るです!」

 夕映が指し示すところ。そこに全員の視線が集中した。そしてすぐにソレに気がつく一同。

「あっ!」

「あれはメル……何とかの魔法の書!?」

 目標が目の前にある。そんな展開にボーっと思案にくれるネギと事態がよく分かっていない横島を差し置いて女子達のボルテージがあがっていく。

「本をいただきます!

 まき絵さん、クーフェさん、楓さん!」

「OK! バカリーダー」

 夕映の指令ににこやかに返答するバカ一同。そしてまず古が飛び出していく。

「中国武術研究会部長の力、見るアルよー♪

 アイ~、ハイッ!!」

 心の底から楽しそうに、青い果実を覆うバスタオルがめくれるのも構わずに一撃を加える古。それにより堅いハズのゴーレムの足にヒビをいれ、後ろにいたおかげで健康そうなお尻を直視した横島に鼻血をあげさせるという結果を引き起こした。

「フォ…!?」

 横島はともかくとしてたまらないのはゴーレムである。奇声をあげながらバランスを崩し倒れかける。その隙をついてまき絵を捕まえていた手を古が蹴りはがし、宙に浮いて自由になったまき絵をバスタオルを手に持った楓がキャッチする。その際に楓のバスタオルの隙間から見えた禁断の楽園と、バスタオルを巻かれる前に一瞬だけ見えたむき身のりんごを見た男の赤い花がもう一度咲いたことを追記しておく。心底どうでもいい話ではあるが。

「やっ」

「あっ…」

 楓に抱きかかえながら、バスタオルと一緒に受け取ったリボンでゴーレムの首からメルキセデクの書を奪い取るまき絵。

 そして脱兎。

「ま…待つのじゃ~」

 ズシンズシンと音をたてながら迫るゴーレムなどなんのその。

「キャー♪ 魔法の本取ったよーっ」

「ス、スゴイ!! バカレンジャー、ホントに体力だけはスゴイです!」

 ネギの感嘆の声に混じって木乃香とおキヌが帰ってきた。

「服やー」

「服です。……って、その鼻血はなんなんですか、横島さん?」

「ちょ、ちょっとな……」

 ダラダラと鼻血を流す横島に首を傾げるも、手際よく服を配っていく2人。服を着終わったところでアスナが口を開く。

「よしっ、目的の本を取ったからにはズラかった方がいいわね」

「あのゴーレムのあわてよう、きっとどこかに地上への近道があるです。

 そこでここに住んでいる横島さん! どこか近道を知ってますかっ?」

「知ってるよ。2ケタはある」

 いきなり話をふられる横島だが、冷静に言葉を返した。

「では最寄りの近道を教えて下さい!」

「任しておけっ! ここのエリアだと滝の裏に非常口があるハズだっ!」

 的確な横島の助言を繰り返す一同。

「滝の……」

「……裏?」

 

 辺り一面、滝だらけ。

 

「ちなみにどこの滝ですか?」

「使った事ないからそこまでは知らないな」

「この役立たず!」

 割とひどいアスナの言葉に心底落ち込む横島。

「仕方ありません。片っ端から……あっ、見つけた。滝の裏側に非常口です!!」

「それよ!!」

「フォ~!?」

 夕映、一発目で大当たり。

「まっ…待つのじゃ~っ」

「キャーッ」

「早く、早く中へ……」

 滝をかき分けて非常口に迫るゴーレムに一同は慌てて扉の中へ入ろうとするが……

「うっ……!? 何コレ!?」

「扉に問題がついてる…!?」

「『問1 英語問題 readの過去分子の発音は?』です」

「ええ~っ、何ソレ!?」

「そんなコトいきなり言われてもー」

 何故か、突然の試験範囲の出題にパニックを起こす一同。

 そして古がゴーレムを蹴飛ばしているのを背景に、夕映が何かを思いついたように横島とおキヌを見る。

「確かお2人とも高校生でしたよね。この問題、分かりますか?」

「え……。いや、俺はちょっと成績が悪かったから。おキヌちゃんは」

「す、すいません。古文とか数学なら少しは分かるのですが、理科とか英語は……」

 が、問題をふられた高校生はいきなりアウト。軽蔑のまなざしを受ける2人は縮こまってしまう。

「ムムッ…!? いや…ワタシコレわかるアルよ!」

「え!?」

 が、ゴーレムの相手をしていた古が問題を見るなりギュピーンと目を輝かせた。ちなみにその手にはメルキセデクの書が。

「答えは『red(レッド)』アルね!」

 

 ピンポーン

 

 間抜けな音がなり、ゴゴと石の扉がスライドする。

「おおっ!?」

「ひ、開いた~!?」

 とりあえず高校生の面目丸つぶれ。

「コレーッ」

「みんな、早く中へー!」

 迫るゴーレムの腕をかいくぐって一目散に扉の中へと逃げていく。ゴーレムはその図体が災いして扉をくぐり抜ける事が出来ない。それにやや安堵したのか、少し驚きを含んだ明るい口調でまき絵が言葉を紡ぐ。

「も…もしかしてこの本のパワーで!?」

「持ってるだけで頭が良くなたアル」

 それに対して古もやはり明るい口調でかえす。が、それもつかの間。

「うわっ、何コレ!?」

「らせん階段!?」

「コレ、上まで登るん?」

 あり得ない高さのらせん階段が目に飛び込んできた。登る前からげんなりするが、他に行き場所もない。

「ハァハァ、ヒィヒィ」

「フーッ、フーッ」

「え~ん、部活の練習よりキツいよーっ」

「だいじょぶだいじょぶ、このくらい案外楽勝だって」

「ホントに人間ですか、貴方は」

 体力ある組と体力ない組でキレイに分かれる結果になった。なぜか横島に至ってはスキップで登っている。

 

 ドカン!

 

「キャ!?」

 と、そこでゴーレムが壁をつき破って追ってきた。

「しつこいなー、ゴーレムが無理矢理追ってくるアル」

「つかさ、番人が番所を破壊するのはどーよ?」

 余裕たっぷりにツッコミを入れるのは横島。対するゴーレムにはそんな余裕はない。

「ならぬならぬ。ほ……本を返すのじゃ~っ」

「本? 本ならやるよ」

 ポイ。と横島は本を放る。

「「「あぁ~!」」」

 それを見て声をあげる一同。

「よ、横島さん! せせせせせせっかく手に入れたメルキセデクの書を!」

「な、なんて事するですか~!」

「なに、なんなのこの人はっ!」

 ネギやら夕映やらまき絵やらに首をガックンガックンされる横島。たまらないのは横島だ。

「お、落ち着けみんな!」

 そう言って一冊の本を懐から出す。それはメルキセデクの書だった。

「あれ……? じゃあアレは……?」

 

 ブハッ!

 

 アスナの呆然とした声。それと同時にお前に血液があるのかというツッコミを入れたくなる動く石像から鼻血があがった。鼻にティッシュを詰めつつ、いそいそと横島から貰った本を懐にしまうゴーレム。

「…………」

「…………」

「…………」

「……あの~、横島さん? とっても答えを聞きたくないのですが、アレはなんの本ですか?」

 重苦しい沈黙を勇気を出して破ったのはおキヌ。それに対して横島はとてもイイ笑顔で。

「読み古した漢のロマンさっ!」

「変態っ!」

「たぼっ!」

 奪われたメルキセデクの書で殴打されて血塗れになる横島。

「メ、メルキセデクの書をどんな使い方してるんですか~!」

 そのあんまりな使われ方に思わず悲鳴をあげるネギ。

「知りませんっ! 楓さん、コレ預かってて下さい!」

「あいあい♪」

 おキヌはこの独特の空気の中、木乃香と同じく自分のペースを崩さない楓にメルキセデクの書を預けた。

「さあ、急いで脱出しよう!」

「うわあああぁ!?」

「何時の間にリカバーしたのよっ!」

 そして空気を壊した本人がまた話を本筋に戻した。そしてまた拷問のような階段登りをはじめる一同。

「あっ…また石の壁と問題が…?」

「わっ……今度は数学問題じゃん」

「『問2 数学問題 下の図でxの値を求めよ』です」

 そして前を向くとまたあのワナが。とっさに夕映が横島の方を見る。

「横島さんっ!」

「ああ、さっき殴られたので視界が……。問題がよく見えない」

 全く当てにならない横島を無視して、今度はおキヌを見る。

「えと、え~と……。誰か分度器もってませんかっ!?」

 相変わらず本気で全く役に立たない高校生ズ。そうこうしている間にゴーレムが壁をガリガリと削りながら迫ってくる。

「あやー、来たえー。無茶やなー」

「ぼ、僕がやりましょうか?」

 のほほんと状況解説をする木乃香と問題を解くために息を整えるネギ。だが、ネギが息を整える前にさらりと楓が答えを言う。

「うーん、x=46°かな?」

 

 ガコォン!

 

「開いた!! 正解みたいよ!」

「おおお!? 長瀬さんまで!!

 うそ……バカレンジャーなのに…」

 おかげで整えた息を全て驚きと賞賛につぎ込めたネギ。だが、拷問はまだまだ続く。

「『問9 『探す』英訳となる熟語は?』」

「あ、わかるよ『look for』!」

 

 ガコォン!

 

「おー♪」

「『問10 大化の改新で重要な役割を果たし、藤原氏の祖となった人物は?』」

「あ、任せて! 『中臣鎌足』ね。変な名前の!」

 

 ガコォン!

 

「おおおおっ」

「す…すごいですバカレンジャーのみんな!」

「アスナとマキエまで答えられるなんてこの魔法の本、本物アル!!」

 ゼイゼイと息を乱しながらも喜ぶネギとそれにチャチャをいれる古。

「「悪かったわね!!」」

 案の定、過剰に反応するバカレッドとバカピンク。

 体力はかなりヤバいが、魔法の本で問題がスイスイ解けていく快感と期末テストに希望がもてたという事実が気力を際限なくあげていく。

「……つうか、なんで俺は一緒になって逃げてんだ?」

 そんな中、妙に醒めて気力がガタ落ちなバカ1人。彼の住処は地下なのだから確かに一緒になって逃げる道理は無い。無いが……

 

 ガッ

 

「あうっ」

「ぶっ!」

「夕映ちゃん!?」

 木の根に足を引っかけて豪快に転ぶ夕映と、その後ろを走っていた為にスカートの中が丸見えになって鼻から出血をするバカ。そう、道理よりも煩悩を優先しているからこそ彼はここにいる。

「いたた、こんなところに木の根が……。あ…足をくじきました」

「ええ~っ! 大丈夫!?」

 困惑と痛みを珍しく表情に表しながら、鼻血を出す横島を背景にうめく夕映。そして心配そうな一同とつかつかと横島に迫るおキヌ。

「よ~こ~し~ま~さ~~~ん? なに中学生の下着見て鼻血出してるんですか~?」

「ち、違う! 違うぞおキヌちゃん! 下着は見ていない、夕映ちゃんはまだパンツはいてなかったから神秘の花園が…………」

「最っっっ低!」

 パンパンと横島の顔が往復ビンタで左右にはじける。そしておキヌの手にはいつの間にかフライパンが。

 どこから出したとつっこむ者もなく、他のみんなは2人の夫婦漫才と言う名の鈍器攻撃をスルーする。だんだんと横島の扱いが慣れてきた様だ。

「さ、先に行ってくださいネギ先生……。この本さえあれば最下位脱出が…」

「だ、だめですよ夕映さん!!」

 男性に最も恥ずかしい部分を見られたという羞恥に顔を真っ赤に染めて、更に涙を瞳に溜めつつも健気にメルキセデクの書をネギに差し出す夕映。そしてそんな夕映にやや怒りを含ませながらも、恥をかいた事を無かった事にしている気配り上手なネギはガバッと夕映をおぶさった。

「僕がおぶっていきますから」

「え…あ…」

 ハアハアと息を切らせながら歩こうとするネギ。

 よろっ…とおぼつかない足下で、ふらふらと頼りない歩き方で。だがそれでも、しっかりと地面を踏みしめ。

 

 ぺちゃっ

 

「コラコラ」

 ダメだった。可愛らしい音をたてて潰れるネギに、みんなは苦笑を禁じえない。

 そしてそんな2人に近づく人影が。

「ネギ、俺に任せろっ!」

 それは煩悩魔人横島忠夫。下心満載の表情を全く信用のおけないイイ笑顔で隠し、キラーンと白い歯を輝かせている。しかもおキヌのフライパン往復ビンタの傷は癒えていないので顔はアンパンマン。

「…………」

「…………」

「…………」

 こんな人間、信用しろという方が無理だ。横島の本性を知っているならなおさら。助けを求める様に辺りを見回す夕映。

 

 ひょいっ

 

「拙者に任せるでござる」

「あ……ありがとうです楓さん」

「お願いします、長瀬さん!」

 そこで空気を全く読んでいない、ある意味最も空気を読んだ楓が夕映を抱えてニンニンと言いながらスタスタと先に進む。そして白い歯を輝かせる横島をまるで空気の様に扱いながら先を急ぐ一同。

「……どうせ俺なんか、俺なんか」

「ネギ、あんたは大丈夫なの?」

「ハ、ハイッ!」

 メソメソと落ち込む横島も完全にスルー。

「ちょい待てお前ら! 俺がここまでボケてるのに……」

「フォー、待つのじゃー!」

「ギャー! ゴーレム来たゴーレム来た!」

 はるか下での漫才を聞き流しつつ上を目指す一同。

「ハァヒィ……。も、もう一時間は登ってるよ~。ヘトヘト…」

「『問29 語句を並び替えて文章を完成せよ。

  This is picture ア・on september 21 イ・took ウ・We』」

「段々めんどくさくなるアル!」

「『ウ・イ・ア』です!」

 

 登る登る登る登る! そしてやがて楓き負ぶさって携帯を見ていた夕映が気がつく。

「あ……。け、携帯の電波が入りました!!

 地上は近いです。助けを呼ぶのでみんながんばって!」

「ち…地上が…!?」

「そうだ、地上は間近だ! がんばれみんな!」

「きゃあぁぁぁっ!?」

「だから何時の間にリカバーしてんのよアンタっ! 心臓に悪いからいきなり現れるのやめてよ!」

 そして再び、いつの間にか復活していた横島に驚く一同。いや、おキヌと木乃香、楓は驚いていない。

 まあそんな小ネタはともかく、一息ついている一同の目にある物が飛び込んでくる。

「ああっ。みんな、見てくださいっ!!」

 ネギに指さされるまでもなく、全員の視線はソレに釘付けだった。1F直通、作業用、B30といった文字や上下行きのボタンがついているそれは紛れもなく……

「地上への直通エレベーターですよっ」

「こ、これで地上へ帰れるの!?」

 喜色を満面に浮かべる一同。そんな中、納得の行かない横島はポツリと言葉をこぼす。

「作業するのにいちいちこんな階段を上り下りするのかよ……。せっかくなら最下層まで直通にしろや」

 まあそう思うのは横島だけで、他の面々はようやく脱出出来ると喜んでエレベーターに乗り込む。

「みんな、急いで乗って乗ってーっ」

「キャー、早く早く♪」

 そして全員が乗り込む。

「よーし、乗った!!」

「やったー、地上一階へGO!!」

 そしてポチッと『閉』ボタンを押す。

 

 ピン♪

 

『―――重量OVERデス』

「「「「「………………………………」」」」」

 とてもオモロい顔で呆ける一同。

(いっ……いやああああーっ!)

 それは、女性としても状況としてもとてもキツい言葉だった。

「地底図書室で二日間・飲み食いしすぎたアルかー!?」

「まき絵さん。今、何キロです?」

「わ、私はやせてるよっ! それを言うならアスナとか長瀬さんの方が~」

「そうですよっ! 何でそんなに胸が大きいんですかっ! 少しわけて下さいっ!」

「ニンニン。無茶は言わないで欲しいでゴザルよ、おキヌ殿」

「あああ、勉強ばっかりしてたから……」

「スペース余ってるやん。根性なしのエレベーターやなー」

 パニクる者、落ち着く者、天然故に核心をつく者。反応は様々だ。が、そんな中でアスナがあることに気がつく。

「みんな、持ってるモノとか服とか捨てて!!

 ホラ見て、片足出すだけでブザーが止まる……。あとちょっとなのよ!」

「ホンマや」

「おお。脱ぐアル、脱いで軽くするアルよー!」

「脱ぐのかっ!? 任せろっ!?」

 そして真っ先に全裸になって仁王立ちするバカが1人。

「…………」

「…………」

「…………」

 とこか悦に入った顔、頭には赤いバンダナ、中肉中背のしなやかな体つき。

「……い、」

 そして足と足の間をプラプラと往復する、話には聞いても見たことは無い大人の男性自身。

「「「「「イヤァァァァァ~!!!!!」」」」」

 ある者は体ごと背けて、ある者は指の隙間から直視して、またある者はホウと興味深げに。そしてまたある者はつい手元にあったモノを投げつけてしまう。

「ナニ見せてんのよ、この変態!!!」

 それは、とても分厚い魔法の本。

 

 キィ~~~ン

 

「~~~~~~~ォォォォォォォ!」

「ああっ、メルキセデクの書がとんでもない事にっ!」

 声にならない絶叫をあげる横島と、男の痛みは分かるであろうにそれでもまだ魔法の本の心配をするネギ。

「と、とにかく脱ぐです!」

 夕映の声にハッと我に返る一同。

「えいっ」

「これでどうアル!?」

 バッと勢いよく服を脱ぎ、エレベーターの外へと放り出していく一同。が、

 

 ブブー

 

「やっぱりダメアルー」

「もー捨てるモノないよ~っ。あとちょっとなのにーっ」

 ネギを除いておキヌまでもがパンツ一枚に、横島に至っては未だに全裸のまま股間を押さえているが不快な音はやまない。

「ねえ、いっその事こいつを捨てない?」

「い、いや、流石にそれはちょっと…」

 やや坐った目で股間を押さえて悶える横島を見るアスナ。その言葉に冷や汗を流しながら一応返事をするまき絵。

「それはとてもいい案ですがアスナさん、この誰がこの男を放りだすのですか?」

 そして夕映が冷静にそう突っ込む。横島を見るアスナ。そしてうんうんと分かりやすく頷いた。

「確かにそれもそうね」

「分かって頂けたようで何よりです」

 あはははははと股間を押さえて呻く男の前で笑いあうアスナと夕映。シュールな光景だ。

「フォフォフォ。追いつめたぞよー、覚悟するのじゃー」

 とかなんとかやっている間にゴーレムに追いつかれたり。

「キャーッ」

 まき絵の叫び声。だがその時におキヌの頭が閃いた。

(そうだ……!)

「横島さんっ! 『軽』でも『動』でもいいです! 文珠をっ!!」

「ォォォォォォォ」

「…………」

 ダメだ、こりゃ。股間を押さえて地獄の底から響くような呻き声をあげる横島への感想。色々な株がガタ落ちである。

「……………………」

 そしてそんな中、ネギが決意の表情を顔に浮かべてエレベーターを飛び降りた。

「ネギ!?」

 ネギの行動に声を張り上げるアスナ。

「僕が降ります!!

 みなさんは先に行って明日の期末を受けてください!」

 意を決したネギの言葉に全員が驚く。

「えっ!?」

「ネギ、だってあんた魔法が……」

 だがネギにとってそんな言葉は既に些事。なぜなら彼の心はもう固まってしまっているのだから。

(生徒を守るんだ!! たとえ魔法が使えなくても僕は先生なんだから…!!)

 素晴らしい決意。未だにエレベーターの中で股間を押さえているバカとはえらい違いである。

「ゴーレムめっ!! 僕が相手だっ」

「ネギくーん!?」

「ネギ坊主…!」

 ネギの言葉にエレベーターの中から悲痛な言葉が上がる。だがそれはもちろん、ゴーレムを止める力なぞありはしない。

「フォフォ、いい度胸じゃ。くらえーい」

 ゴッと凄まじい威圧を伴いながら腕をのばすゴーレム。対するネギはグッと体を強張らせるも、威圧に対して決して後ろへとは引こうとしない。

「あう!?」

 が、後ろから襟首を掴まれて思いっきり後ろに引っ張られるという物理的なモノには全く逆らえずにエレベーターの中に強引に引き戻されてしまった。

 

 スカッ

 

「フォ!?」

 だがそれが幸いした。ゴーレムの腕はなんの手加減もなく僅か前までネギがいた空間をなぎ払ったのだから。

「ア…アスナさん」

 そしてネギは自分を胸に抱えた女の子の名前を呼ぶ。

「あんたが先生になれるかどうかの期末試験でしょ?

 あんたがいないまま試験受けてもしょーがないでしょうが。ガキのくせにかっこつけて、もーバカなんだから!」

 バカのクセに本質は見失わない、大切な事は間違えない。いや、これはむしろバカだからこそか。

「え……でもこのままじゃ…あのゴーレムに…」

 ネギも反論する。このままでは全滅だと。だがアスナは大切な事、本質は見失わないバカである。そういう意味において、自分の命に代わってソレを捨てる事が出来なかった頭の良いネギよりもずっとかしこいであろう。

「こーすんのよ!」

「えっ…。そ、それは!」

 重くて厚い、メルキセデクの書。それを振りかぶっているアスナの姿がネギの網膜に映った。

「あ~…」

「やはりアルか…」

「……ハァ」

 一同も諦めた顔をしているが、アスナを止めようとするものは誰もいない。やはり彼女等も正しくいい意味でバカなのだ。

「それーっ!」

「あーーーーーっ! ま…魔法の本がーっ!?」

 未練がましく届かないメルキセデクの書に手を伸ばすネギ。

 

 パシッ パパッ

 

 ブンッ。と投げられた本は発光しながらゴーレムへと迫る。

「なっ…フォ…」

 

 ポンッ

 

 ゴーレムの眼前で大きく発光するメルキセデクの書。その魔法の本の光に目を晦まされたゴーレムは足を思わず滑らしてしまう。もともと合わない足場を無理矢理登って来たゴーレムが足を踏み外せば答えは1つ。まあ、それを見届けるまでもなくエレベーターのドアは閉まってしまったが。

「フォ………ッ、フォ~~~~~!?」

 奇妙な声をあげながら奈落へと落ちていくゴーレム。

 

 ピン♪ ゴウンッ!

 

 一方、エレベーターでは『重量OK♪』の表示が出て、ようやく動き出す。

「や、やった。動いたーっ」

「脱出よ~」

 

 ウウーン

 

 機械音をあげるエレベーターの中でホッと一息つく一同。

「ふうっ、なんとかね!」

「で、でも本が…。あ、あのみなさん本……」

 ネギはまだメルキセデクの書に未練があるようだったが、他のみんなはそうでもない。既に思考回路を切り替えていた。

「今は日曜日の夕方ですか……」

「いやー、図書館島は散々だたアル」

「ハハハ」

「楽しかったけどね」

 

 チーン♪

 

 やがて一階に辿り着く。

「わ、まぶしっ」

 誰とも無い言葉。夕陽とは言え久しぶりに見た太陽は目に痛かった。

「まあ、とにかく…」

 夕陽を全身に浴びる一同。その中でも図書館探検部の2人はいつも使っていて、今回も使った裏口の余りに近くにエレベーターがあった事に驚いている。

「外に出れたーッ!!」

「いえーっ♪」

 はしゃぐ一同。杖にパジャマの子供に、パンツ一枚しかはいてない女の子7人とバンダナのみの男。

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「んっ? どうした?」

「いい加減パンツくらいはかんかーっ!」

「バズッ!?」

 アスナの鉄拳を受けて、男の象徴を丸出しにしながら吹き飛ぶ横島。

「しょ、しょうがないだろ! 俺のパンツ、下に置いてきちゃったんだから!」

「取ってこい! ついでに私達の服もっ!」

 見たくも無い汚いモノを見せられたアスナは怒り心頭だ。そんなアスナに逆らうのは得策じゃないと悟った横島はしぶしぶ立ち上がってエレベーターへと歩いていく。

「仕方無いな。おキヌちゃん、手伝ってよ」

「それより前くらい隠さんかっ!」

「ヘブッ!?」

 再びアスナに殴り飛ばされてエレベーターへ一直線な横島。もちろんぷらぷらと揺れるそれにモザイクなんてかかってない。

「よ、横島さ~ん!?」

 おキヌも横島の後を追い、慌ててエレベーターの中へと駆け込む。そこで軽快な音をたててエレベーターが閉まり、下へ箱を動かす機械音がする。

「いててててて……」

「も、もう。大丈夫ですか、横島さん?」

 できるだけ目をソコに向けないようにするも、ついチラチラと目を向けてしまいながらおキヌは顔を真っ赤にして横島を案ずる言葉を掛ける。

「ああ、俺なら大丈夫だ。それよりも……」

 そこでおキヌの視線に気が付く横島。流石におキヌ相手では恥ずかしいのか、両手でソレを隠す横島。おキヌも自分の格好に気付いて右手で下着を、左手で胸を隠す。だが、その柔肌のほとんどは未だに横島に晒されたまま。

「…………」

「…………」

 微妙な雰囲気。ウィンウィンと何かイヤラシイ想像をかきたてる機械音。そして横島は全裸、おキヌはパンツ一枚。

「…………」

「…………」

 微妙すぎる雰囲気。横島はどこかに血が溜まりつつあるし、おキヌはどこかが湿りつつある。それに2人とも顔が真っ赤だ。

「そ、それはともかくとして!」

「は、はい!」

 このままではまずいと無理矢理方向転換する横島。恐怖はやはりあるのか、一にも二にもなく横島の言葉に便乗するおキヌ。そしてコホンと一つ咳払いをして話し始める。

「あのだな、俺達は平行世界に来たわけだ!」

「は、はい。そうですね!」

「それでこの世界は俺達の世界とは違う事も多い。そこらへんの話を含めて、色々と話す事があるから!」

 微妙な雰囲気になりながらも最後の一線は越えなかった2人。

 

 

 

 尚、完全に余談だが。この時横島は彼のイケメン師匠の笑い声を聞いた気がしたらしい。

 

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