この出会い、きっと意味がある。
いくつの年を巡ったのか。ウェールズではちょっとだけ色素が抜け始めたかな? といった程度だった髪の色は真っ白になり体は背が伸び褐色で、決してなるまいと思っていたアイツのようなボディーアーマーと赤い外套を見につけて。衛宮士郎は狭い船室にたくさんの乗客と共にすしづめにされていた。
もちろんこんな格好で堂々と船の中にいるのだ。まともな船では無く、訳ありの客ばかり乗せる貨物船。それも裏に関わる者もアンダーグランドとは言え表の世界の者も乗せる貨物船。そこで雑多な客に紛れて船が港につくのを待っていた。ただし、視線だけは一カ所に固定されていたが。
「ムムム、おじさんなかなかの腕前あるネ。軽く手合わせしてみないアルか!?」
「…………」
反応、無し。それでもしつこく戦いをねだり、どうしても戦いにならないと分かると別の強そうな人間を見つける幼いと言っていい少女。
本来このような場所では不干渉が掟。なのに強そうだからと言う理由で戦いを挑み、袖にされる。ハッキリ言おう、馬鹿だ。周りの客はそんな馬鹿を嘲りの目や興味深そうな目でみたり、はたまた全く関心を示さなかったり。まあ、だいたいの実力者は関心を示さなかったのだが。その数少ない例外が士郎で、少女もやがては士郎へとたどり着いた。
「お兄さん、ケタ違いに強いアル。どうかな、一つ戦ってみないアル?」
「……ハァ」
小さいというか微かなため息。だが始めて相手にして貰えたと感じた少女は一気にたたみかける。
「おや、自信がないアルか? ここで出会ったのも一つの縁。一戦、どうアル?」
「一応忠告をしておくが、このような場所では沈黙が金だ。あまりうろちょろしていると気の短い奴に目をつけられるぞ」
「望むところね、ケンカを売る手間が省けるアルよ」
おそらく、この少女はその恐ろしさを微塵も理解していないのだろう。愚直なまでに戦いと強さを求め続け、命すら惜しいと感じない。しかしだからこそ、とてつもない危うさがある。まるで聖杯戦争中の自分の様な。
「……仕方ない、そのケンカ買おう」
「おおっ、お兄さんのような強者と仕合えるとは光栄の極みアル」
やっぱり、分かっていない。このような場所での仕合とは己の全てを賭けるに等しい。負ければ命はもちろん、この少女程顔立ちが整い、そしてプロポーションにも期待できるのならば。女としての尊厳を全て捨て去られるような扱いをされるだろう。流石にそれを黙っては見れるような士郎ではない。
「…………」
「…………」
「…………」
周りの人間は狭い部屋を少しでも被害を免れようと広くしようと、狭い空間を更に詰める。そしてできたのは半径4メートル程の円状の空間。そこに士郎と少女が間を2メートル程あけて対峙する。
少女は中国拳法の構えをとるが、士郎に構えは無い。ただ両手をダランと下げただけ。しかし、この中に僅かばかりいる大体の実力者は思わず息を呑む。その、あまりにも見事な脱力に。
脱力というのも一つの技法である。本来、人間の体は無意識の力というものが大きく働いており、この力が俗にリミッターと呼ばれている。どんなに意識的に強く殴ったとしても、体を壊さないように反対側にも力がかかるようになっているわけだ。また、殴られたときにもこの力が働いてしまい、衝撃を受け流しにくくなるという側面もある。もちろん、ただ脱力をすればいいという物でもないが。技によっては脱力したが故になんの抵抗もなくダメージになってしまう物もあるし、攻撃にしてもその攻撃によって自身が傷つかないようにという配慮のもとにそれがあるのだから。
「…………」
「…………」
それはさておき、対抗する少女にもそのレベルの高さが伺えたようだ。じっとりとイヤな汗を浮かべながらも隙をうかがい続ける。
「…………」
「…………」
だが、そんな隙なぞどこにもない。ぱっと見で士郎は完全な無防備なのだ。少女はただ、士郎のレベルの高さに怯えているだけ。戦う前から勝負ありといった状態だ。それでもと少女は万に一つの可能性、カウンターにかけて待ちの戦法を取る。
「…………」
「……ラチがあかないな」
少女が戦いを挑んだのだからと、少女の動きを待ち続けていた士郎がスッと動き出す。スリ足で、僅かずつ前へ。
ズリ、ズリ…
だが、それでも少女は待ちの体勢を崩さない。それに士郎は軽い驚嘆の感情を覚えた。
(伊達にこんなところで相手を選ばずにケンカを売ってないと言う事か)
間合いが詰まればレベルの低い者は動揺し、攻めてきたかと思う。しかし、実際は間合いを詰める事と攻撃を仕掛ける事は意味が違う。間合いを詰めてプレッシャーをかけ、相手に手を出させるという戦法もある。士郎がやっているのは正にそれだ。
ズリ、ズリ…
もしこれを急激に行なえば、相手も反射的に手を出すかもしれない。しかし、手を出さないかもしれない。また、急激な動きは隙を生じさせ易い。攻撃のためならばともかく、未だ待ちの構えを取っている士郎にはそれはキツイものがある。
ズリ、ズリ…
だからこそゆっくりと、ほんの僅かずつ。プレッシャーを確かめさせるように近付いていく。
ズリ、ズリ…
少女がプレッレシャーに耐え切れずに仕掛けてきたときが終わりの時。
ズリ、ズリ…
だがしかし。
ズリ…
距離にして僅か10センチ程。もう、触れていると言っていい距離にまで体を近づけても少女は仕掛けてこなかった。ひたすらに、待ち。軽く顔をうかがえば、精神力を削りすぎて少女の顔色は青く、今にも倒れそう。しかし目だけは未だに強く輝いている。
「…………」
間違えなくカウンターを狙っている。ここまで精神力を削ったとて、この目の輝きを見れば士郎が攻撃に移る気配を、カウンターのチャンスを見逃しはしないだろう。
このまま我慢比べをしてもいいのだが、負けん気だけで立っている少女にも、詰めて貰っている周りの乗客にも申し訳無い。仕方なく士郎は攻撃をする決意をする。
「いくぞ」
士郎の宣言。それを聞いてしまった少女の体が一瞬だけ強張り、そして。
「か……はぁっ」
その僅かすぎる隙の間に士郎の掌底が少女の腹にめり込んだ。数センチの距離での一撃は万全の攻撃とは程遠い。しかし緊張して衝撃を受け流すことが出来なかった少女の体には十分に効果を表す。悶絶し、流れるように気絶へと移行した。
もしも士郎が何も言わずに攻撃を仕掛けたのならば少女も攻撃の気配を感じる事くらいは出来ただろう。が、直前の一言は士郎の計算通りに少女の集中力を乱していて、少女は訳も分からないうちに気を失なわされていた。
「騒がせたな」
誰ともなく士郎は言い捨て気絶した少女を抱えたまま士郎は船室の壁に寄り、ケンカの為に空けられた空間が再び人で埋まっていく。敗者の命運は勝者の思うがまま。それを正しく理解している乗客達は少女を抱えている士郎に何も言わない。ケンカを仕掛けたのは少女だし、少女を助ける義理もない。正義感なぞ欠片もない。そして何よりも恐ろしかったのだ、士郎が。
自分達では決してたどり着かないであろう、トップクラスの実力を持った男。それに目なぞつけられたくない。裏の世界では力こそが正義なのだ。
そしてそれは。力に因らず、どうかみんなが笑顔であって欲しいと願う男にとって。あまりにも酷すぎる皮肉でもあった。
船はスピードを落とし、間もなく日本にたどり着こうとしていた。表情の無い士郎の心境を知るものは、ない。
「ん……」
か細い声をあげる自分がわかる。瞬いた目に入る光は少なくて、目に強い痛みを感じる事もない。
「いつつ……」
その代わりと言ってはなんだが、腹部に鈍痛。寝起きの頭ではどうして腹部に鈍痛がはしるのかさえも分からない。
(変なモノでも食べたあるカ?)
いや、それは無いと自分に言い聞かせる。最近はしっかりしたモノを食べていたし、この鈍痛は稽古で受けたようなそんな痛みだ。そもそも腐ったモノを食べたからと言って腹を壊したこともない。
「気がついたかい?」
そんな暴走しかけた少女の思考回路は横からかけられた声によって止まる。振り向けばそこには。白い頭髪と黒い肌、そして赤い外套を羽織った長身の男、士郎が座っていた。そして士郎を見た瞬間に記憶が戻る。自分はこの男に負けたのだ、と。悔しさは無いではないが、ほとんどない。むしろ自分より圧倒的に強い人と戦えた歓喜の念の方が強かった。
「おや、お兄さん。確か私と手合わせをしていた人アルね。わざわざ私を運んでくれたアルか?」
「船に置いたままにして大陸に戻すわけにもいかないし、そこらに放って置くわけにもいかないだろう?」
(意識の無い少女を襲うような連中が山ほど居たからな)
士郎は最後の一言を心の中にしまう。この世間知らずの少女にはあまりに酷な事実だろうから。と、
「で、お兄さんは私をどうするつもりアル? もちろん戦いに負けた以上、どんな目にあっても文句は言えないアルよ」
そう簡単に、されども強い意志を込めて言い切る少女に、士郎は軽い驚きが走った。ただの世間知らずな少女かと思ったがそうではなく、負けたときのリスクを知って、尚辺り構わず戦いを仕掛けていたのだ。ここまでくると価値のあるバカと言えるだろう。思わず笑みがこぼれる士郎。それをどうとったのか、少女は身を強ばらせる。
「そうだな、名前を教えて貰えるかな?」
「――へっ?」
予想とは全く異なる言葉に、少女の目は真ん丸になり硬直した。その愛らしい姿に士郎の微笑みはますます深くなる。
「名前だよ、君の。もしかして『へっ』という名前なのかな?」
「いや、違うアル。私の名前は古菲アルが……。それだけアルか?」
「ああ、それだけだ」
本当に士郎の要求はただそれだけだと理解した古は怪訝な顔を隠そうともしない。
「お兄さん、何企んでるアルか?」
それを古は強く疑問に思う。体を自由にされるのは戦いに負けた以上仕方のない事だが、意に沿わぬ事をする義務は無い。どうしてもと言うのならば自ら命を絶つ。信念と命の取捨選択は敗者に残された最後の自由であり、古は場合によってはその権利を正しく使う決意がある様だ。そんな古を苦笑で見つめる士郎。
「企んでいるとは酷いな、先に喧嘩を売ったのは古ちゃんだろう?」
「その先にケンカを売った人間を連れてきて何もしないとはどういう訳アル?」
全力で警戒を続ける古にごくあっさりと答えを返す。
「人が困ってるんだ、助けるのは当たり前だろう?」
一瞬で古の表情が呆ける。しかし次には。笑みと、疲れと、信頼と、懐疑と。様々な感情が表に表れて、いわゆるとても人間らしい表情になっていた。そしてそれは、士郎に初めて見せた武術家ではない古という女の子の表情でもあった。
「それが、例え理不尽にケンカを仕掛けた人であってもアルか?」
「ああ。それが、例え理不尽にケンカを仕掛けた人であってもだ」
「お兄さん……、ものすごいお人好しアル」
「よく言われるよ」
その言葉で古は完全に緊張を解く。だいたい、地力では士郎の方が圧倒的に上なのだ。開き直ったという表現の方が正しいのかもしれない。そしてそこでようやく古は辺りをキョロキョロと見回した。その目にうつるのは、やや無機質とは言えども質がよく機能的な調度品。カーテンのかかった狭めの部屋に、ベッドが二つ。そのうちの一つに古が横たわり、一つに士郎が腰掛けている。
軽い恐怖を覚えた古は恐る恐る士郎に問いかけた。
「お、お兄さん。ここはもしかして……」
「ビジネスホテルだが、何かまずかったかな?」
怪訝な表情をする士郎の目に、みるみる顔が青くなっていく古が映っていた。そして真っ青な顔の少女から、か細い一言。
「……ワタシ、お金持ってないアル」
命を懸ける事には怯えず、その程度の事でまるでこの世の終わりのような顔をする古に、士郎は愛しさを覚えてくしゃくしゃと金色の髪を撫でる。
「心配しなくていいさ、宿代くらいは私が出す」
「で、でも……」
「お金がないのだろう? ならばこれも詮無き事さ。それに、元々宿に連れ込んだのも私がやったことだ。古ちゃんが気に病む事じゃあないさ」
うーうーと唸っていた古だが、無いものを払おうとしても無理な話。小さくなりながら、ペコンと頭を下げた。
「ほんと、申し訳ないけどお世話になるアルよ」
「ああ、気にすることは無い。ゆっくりくつろいでくれ」
そう、士郎はにっこりと笑いかけると、古はコロンとベットに寝転がって士郎を見上げた。
「しかしネ、仇と恩をかけ通しのままでは私の気が済まないアル。何か私に出来る事は無いアルか?」
しかしそう言われても士郎は返答に困ってしまう。古に出来る事なんてぱっとは思いつかない。裏と関わりのないこの少女に、まさか裏の仕事を手伝わせるわけにもいかないし。そもそも士郎の動きを捉えられない様では少女の命が危険だ。
かと言って別に手伝って欲しいことも無いし、このまま自分の言った事を引っ込める性格でも無さそうだ。
(さて、どう答えるのがベターか)
どう贔屓目にみてもすでにベストな返答はありえない。素早く思考回路も回して、よりよい結果を導き出す。そして目を輝かせて士郎の事を見続けている少女を今一度確認し、心の中で小さく嘆息する。腹は決まった。
「手伝って貰うことは出来ない」
正直に、話せる範囲で話す事。それが士郎の選んだ方法だった。その言葉を選び伝えた直後に、士郎の予想した通りには行かず、褐色の少女は瞳に悲しみをたたえながら静かに言葉を紡ぐ。
「……………………それは、私が弱すぎるからアルか?」
今度こそ。士郎はその少女を侮っていた事を強く思い知らされた。
「どうしてそう思った?」
「深い理由はないアル。ただ、なんとなくそう思っただけアルよ」
それでもと、もしかしたら裏の事を知る立場にあるのかと問いかけるもそれはやはり違ったようだ。いや、裏の事を知る立場でなくとも少し冷静に考えれば分かることではある。士郎の身体能力はテレビに出てくる運動選手のそれを大きく上回っていて、それでも一般的な知名度は無いに等しい。なぜテレビ等、いわゆる『表』に出ていないのかと考えたときに一般的に知られていない『裏』があるとしか消去法的に想像できない。例え『裏』がどのような世界かを知らなくとも、そのような連想は出来るのだ。
つまり今の問いかけで士郎が得た情報は。
(なんとなく――つまり勘でそこに行き着いたって事は、古ちゃんは理論派じゃなくて感覚派か)
だった。まあ、それで何が変わる訳でもないけれど。
「……詳しい事は言えないけど、その通りだ。古ちゃんは私の世界に関わるには弱すぎるし、だいたいどんなに強くとも私の世界に関わらせるつもりはない」
「………それは、私が関わりたいと言ってもアルか?」
「その通り。最低限の力をつけなくてはどんなに希望しても私の世界には関わらせられない」
「つまり、強くなれば勝手に関わってもいいアルね?」
(あれ? なんか変な方向に話がいってないか?)
冷や汗を流す士郎からは、古の表情は前髪が陰になって見えない。慌てて否定する士郎。
「いや、そういう訳じゃなくてだな。危ないから古ちゃんみたいな女の子を巻き込む訳には――」
「強くなれば、お兄さんみたいな強い人がゴロゴロしている世界に関われるアルね!?」
聞いちゃいなかった。さっき以上に目を輝かせた古は勢いのままに士郎に詰め寄る。が、士郎もこの返事に、はいとは答えられない。
「ダメだ、試合の勝者としての命令で古ちゃんが私の世界に関わる事を禁止する」
「イヤアル。私に体は自由にするがよろしいが、私の心は私のものアル。どうしてもと言うなら私を殺すがいいアルよ」
「………」
なんと言うか。
(興味ある事にはかなりの実力を発揮するくせに興味ない事にはからきしなタイプだな、古ちゃんって)
士郎は古の身を案じて言っているのに、古を止めるには殺すしかないというジレンマ。多分、古はそれを意図しないで士郎に突きつけている。
頭を抱える士郎だが、ここで野放しにしてむやみやたらに裏の世界に首を突っ込まれても厄介だ。
(なら、ここで古ちゃんを抑えておく方が安全か……)
ため息しか出てこない状況の士郎だが、これも仕方のない事だと諦めて古と向き合う。
「分かった、ただし次に私と会った時に十分に力がついてからと私が判断してからだ。それまで実力をつけるなら私の世界に関わって貰う。今日の勝負の貸しは、その時に私の仕事を手伝って返して貰うからな。勝手に私の世界に関わるともしかしたら私と敵対するかも知れないから、私がいいと言うまで私の世界に関わらない事。いいね?」
その約束二つを楔とした士郎の言葉が、古の顔に喜色を浮かばせる。
「本当アルかっ!? もちろんいいアルよ!」
この約束は双方に大きなメリットとデメリットがあった。士郎にはとりあえず古を自分の監視下で裏の世界に関わらせるメリットと、必ず古を裏の世界に関わらせなければならないデメリット。古にとってはいつかは必ず強者の蠢く世界に関われるメリットと、自分から積極的にその世界に関われないデメリット。
まあ、士郎にとっても古にとってもメリットがデメリットを上回っているからこそ成立する取引なのだが。
「じゃあ、いつ私はそのお兄さんの世界に関われるアルか!?」
そうなると、当然気になるのは約束の日時。しかし、これは容易に決められることではない。古の実力いかんによってはいくらでもズレてしまう話なのだから。だからこそ、士郎はいつと断定することは出来ない。
「いつになるかは分からない。だけど、古ちゃんが強くなればいつかまた会える日もくる。その時だね」
表であろうと裏であろうと強くなればなるほど世界は狭くなる。かつてサウザンドマスターと呼ばれた男の名声が、世界にとって狭すぎたように。そして裏と表の狭間まで古が来たときに、いきなり裏の深部まで踏み込ませないようにするのが自分の役目。そう、士郎は考え直した。
その思考の中に、古が裏と表の狭間に来れないという事は無い。それほど士郎は古の事を買っていたのだ。
(逆に今知り合えてラッキーだったかもな)
強くなれば更に強者が蠢く世界に連れていって貰える。その事実に有頂天となった天賦の才を持つ少女を見ながら士郎は知らずに微笑んでいた。
この偶然の出会いがいったい何をもたらすのか。それはまだ誰も知らないし、気づいてもいない。
「あっ!」
翌日。朝のバイキングを士郎が呆れるほど貪り、交通費まで貰った古が麻帆良に向かう電車の中である事に気づいた。
「お兄さんの名前、聞くの忘れてたアル……」
この間抜けな事実に士郎が気づくのは更に後の話。