12の月の小夜曲   作:野生のムジナは語彙力がない

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基本的にクリスマススキンを持ってる人と、バビロンにいる人しか出演はありません(作者なりの縛りプレイです)
この回では戦闘はありません

それでもよろしければどうぞ!


前編

その日の早朝、いつものように執務室でデスクワークに励んでいると、誰かが執務室のドアをノックしてきた。

 

「指揮官、おはよー」

 

入室を許可すると、ドアを開けて1人の少女が現れた。

 

セラスティア?

 

それは合衆国を本拠に置く大手軍事企業『ゼネラルエンジン』の令嬢(?)、セラスティアだった。青いツインテールに真紅の瞳を持つ少女は、いつものように胸元を大きく開けた目のやり場に困る服を着ている。

 

いったいこんな朝っぱらからどうしたというのだろうか? 視界を埋め尽くす机の上の書類を力づくでどかし、セラスティアへと向き直った。

 

「指揮官、今日の夜はヒマ?」

 

ああ……

 

ツインテールを揺らしながら机に身を乗り出す彼女を見て、その意図に気がついた。手帳を確認し、今日のスケジュールを確認する。

そして、仕事があるため忙しいことを伝えた。

 

「ええ? 信じられない!」

 

するとセラスティアは最初軽く怒った様子を見せたあと……

 

「っていうか……うわぁ……指揮官ってば、1年に1回しかない今日っていう日も休めないなんて、可愛そうな人……」

 

心底、可愛そうなものを見るような視線を向けてきた。

 

そんな目で見ないでよ……

 

思わず、ため息が出るのを抑えられなかった。

 

というか、今年もやるの?

 

「当たり前よ! 今年こそ、アイツをとっ捕まえてやるんだから!」

 

そう言ってセラスティアはいたずらっぽい笑みを浮かべた。

 

「だから、夜になるまでアタシは部屋で寝ることにしたから」

 

夜までって……今から?

 

時計を見ると、まだ日が昇って間もない時刻だった。

夜になるまで、まだ半日以上の時間がある。

 

「アタシは寝不足なの! それもこれも、指揮官が毎晩アタシのことを寝かせてくれないから」

 

待って! その言い方には語弊がある!

 

確かに、こっちの都合でセラスティアの就寝時間を削っているのは承知している。だが、それはあくまでもデスクワークを軽く手伝ってもらっているという意味であって、やましいことなど何一つない!

 

というか、寝不足なのはセラスティアが夜遅くまで色々やっているからじゃ……

 

「うるさいわね! とにかく、そういうことだからいいわよね?」

 

……まあ、いいけど

 

痛くなった頭を抑えつつ、壁にかかったカレンダーを見る。頭文字の『D』の文字が大きく強調されたカレンダーの中には、可愛らしくデフォルメされた赤服のおじいさんと、ソリを引く数匹のトナカイが描かれていた。

 

ゆっくり休んでね。良い一日を

 

「はいはーい、指揮官も良い一日を〜!」

 

とびっきりの笑顔で執務室を後にするセラスティアの背中を見送りながら、手帳の中に記された今日の日付を確認する。

 

今日は12月24日……そう、クリスマス・イブ

 

1年に一度しかない神聖な日を目前に控えたその日、世界各地でクリスマスを祝う催しがなされ、それに反応してしまったかのように、みんな明らかに浮き足立っていた。

 

それは自分たちがいるこの基地も同じだった。

 

ここ最近は戦いに明け暮れる日々が続いており、基地で働くスタッフたちのストレスもそれなりに溜まっていた。流石にこの状態をいつまでも続けるわけにはいかなかったので、この日に合わせて重役以外のスタッフ、ほぼ全員に対して休暇を与えたほか、彼らがクリスマスの日に帰郷できるよう取り計らった。

 

そんなわけで現在、当基地は必要最低限のスタッフで運営されており、残っているのは労働を志願した者か、帰郷を拒んだ者のみだった。

 

セラスティアは帰郷を拒んだその内の1人だった。彼女にその理由を尋ねると、彼女は実家が退屈だと述べたほか、今年もあの計画を実行に移すために基地に残ったと言っていた。

 

そんなクリスマス・イブの夜に行われるセラスティアの計画……それは、サンタクロースの捕獲だった。

 

去年は無理やりそれに付き合わされ、色々あって雪の中に長時間放置され体調を崩してしまったのはあまり思い出したくない思い出だった。

 

去年はまだ基地の規模も小さく、スタッフの数も少なかったからこそ余裕があり、付き合うことができたのだが……しかし、今年は違う。

基地は拡張に拡張を重ね、それを運営するためにスタッフを増員した。しかし、スタッフの多くが帰郷や休暇で基地を離れている現在、規模の大きくなった基地を運営するというのは、駐留しているスタッフ一人一人の負担が大きくなるということを表しており、そのため……

 

これ、終わるのか……?

 

覚悟していたことではあった。

机の上に大量に積まれた書類の山は……まるで積もり積もった雪のようだった。思わず、その雪を引き倒せたらどれだけ楽だろうかと、半ば現実逃避的なことを考えつつ、さらに現実逃避をするために窓へと目を向けた。

 

おお……雪だ……

 

見ると、空からは白い粒のようなものがしんしんと舞い降り、その勢いから、夜になる頃には基地全体を埋め尽くしてしまうのを予感させた。

 

 

 

 

 

機動戦隊アイアンサーガ

非公式クリスマスイベント「12の月の小夜曲」(前編)

 

 

 

 

 

その日の昼

 

積もりに積もった書類を前に辟易はしたものの、こういうものは頑張れば意外となんとかなるもので、お昼になる頃には全ての資料を片付けることができた。しかし、その後もやるべきことはまだまだ沢山あった。

 

そして、基地の厨房では激戦が繰り広げられていた

 

「指揮官、味見をしてください」

 

ああ、わかった

 

今度は人手不足を補うために基地の厨房を手伝うことにした。食器を洗い終え、出来上がった料理をお皿に盛り付けていると、シェフがブイヤベースの入った小皿をこちらへと差し出してきた。

 

塩味薄いよッ! 何やってんの!

 

「塩が足りんのです……」

 

なんだと!?

 

シェフの言葉に、塩の在庫を確認すると箱の中はもの見事に空っぽだった。

 

「指揮官様っ! こっちは砂糖が足りません!」

 

後ろでケーキ作りに励んでいたハヤが泣きそうな声を上げた。本来は喫茶店バビロンでウェートレスをしている彼女だったが、バビロンのマダムであるヴァネッサが基地の人手が足りなくなることを見越して送ってきた助っ人だった。

 

なんてことだ……こんな日に限って塩と砂糖の在庫がないとは。認めたくないものだな、自分の若さ故の……いや、そんなことはどうでもよくて!

 

「指揮官様、どうしましょう?」

 

町まで買いに行ってくる!

 

「し、指揮官様が行くんですか? でも、町まで結構距離がありますよ……?」

 

BMを使うから大丈夫!

 

慌てるハヤを落ち着かせ、エプロンを脱ぐ。

それから周りで作業を続けるスタッフ全員にエールを送りつつ、厨房から抜け出した。

 

そのまま格納庫まで走り、大量の資源を消費して購入したにもかかわらず、結局そこまで使用する機会がなく格納庫の中で埃を被っていたその機体へと乗り込む。

 

コントロール! こちら指揮官!

 

『はぁ……聞こえてるよ』

 

管制塔へと呼びかけると、通信機の向こうからいかにもやる気のないふてくされたような声が響き渡った。

 

『せっかくの休暇だから部屋でのんびりしてたっていうのに、急に呼び出すなんて……もー、指揮官ってば人使いが荒いよー』

 

シェロン……すまない……

 

ディスプレイに表示されたその女性……シェロンへと謝りつつ、機体の起動シークエンスを進める。

よく見るとシェロンはクリスマスパーティ用の赤い服を身につけており、普段から半ば引きこもり気味の彼女だったが、彼女なりに今日という日を楽しみにしているのだと伺えた。

 

『悪いと思ってるんだったら、今度奢ってよね』

 

了解

 

『っていうか、どこ行くの?』

 

ちょっと町に

 

『何しに?』

 

……買い物に

 

『んじゃ、ついでにジュース買ってきてよ。いつものやつ』

 

……了解

 

シェロンの要求に応えつつ、無線操作で格納庫のハッチを解放する。

 

ウァサゴG、出る!

 

バックパックのスラスターを全開にして、ウァサゴGを飛び立たせる。Mk-8まで改造した本機だが、今回は買い出しに行くだけなの武装は全て置いてきている。

 

数あるBMのうち、なぜウァサゴGを選んだのかというと……その答えはただ単に『飛べるから』だった。これなら直線距離で町まで行けるし、それにこんな時くらいしか使う機会がないから……まあ、たまにはいいかと

 

『あ』

 

ウァサゴGの高度を上げていると、唐突にディスプレイ上のシェロンが声を上げた。

 

どうしたの?

 

『指揮官、なんか来るっぽいよ』

 

え?

 

何か来るって何? そう思った矢先、基地の前方……町へと続く深い森の中から、地面を突き破ってそれは現れた。遅れてウァサゴGのレーダーが反応する。

 

は?

 

それは巨大な竜巻……いや、高速回転する何かだった。

先端に巨大なドリルを装備し、全身が黒い装甲に覆われ、それがミミズのように深い森の中をのたうちまわっている。

 

敵襲? このタイミングで?!

 

思わず身構えるが、ウァサゴGは非武装である。

大人しく基地へ戻ろうかと考えた時、それは起きた。

 

『よぉ、凡人! そんなに急いでどこへ行く?』

 

どこからともなく、何者かの声が響き渡った。

いや、その高い声と『凡人』という独特な人の呼び方をする人物は、この世で1人しかいなかった。

 

す、スロカイ様?

 

思わず黒い竜巻へと呼びかけると、まるでそれを待っていたかのように回転はピタリと止まり、その全貌が明らかになった。先端がドリルになったミミズのような黒いBM……すると、先端のドリルをこちらへと向け……

 

「招かれたから、来てやったぞ」

 

ドリルが根元から4つに分裂したかと思うと、その中心部分に1人の少女が姿を現した。ピンク色のツインテール、髪に合わせて同系色で統一された服、美しいオッドアイ、そして幼いながらもそれを感じさせない大人びた目つきと佇まい……

それは、機械教廷の総司令官……スロカイ様だった。

 

招かれたって……え?

 

「何を惚けている? 今日は凡人の基地で宴を開くのだろう? だから、常日頃からの凡人の努力を労うために、わざわざ来てやったのだ。感謝するがいい!」

 

あ……ああ! ありがとうございます。

 

クリスマスパーティーの招待状をスロカイ様へと送っていたことをすっかり忘れていた。てっきり「くだらない」と一蹴されるかと思っていたが、ダメ元で招待状を送った甲斐はあったようだ。

 

ちなみに、クリスマスパーティーとは基地に残ったスタッフたちへの労いのために企画したものであり、ついでに普段は遠方にいて中々来ることのできない者たちにも招待状を送っていた。

その結果、常駐スタッフに加えて今年はヴァルハラ同盟からレイアが参加予定になっている。

 

「ところで凡人、どこかへ行くつもりだったのではないのか?」

 

……あ!

 

そこで買い出しの件を思い返し、機体を町の方向へと向けた。ちなみに、基地で作っている料理は今夜のクリスマスパーティーで出す料理なのだが、今年は予想よりも参加者が多く、参加者が増えた分沢山の料理を作らないといけなかったりする。

 

「なんだ、戦か?」

 

申し訳ありません。すぐ終わらせて来ますので

 

「フッ、今日という日に限って……凡人も難儀をしているようだな? いいだろう。だが、あまり余を待たせるでないぞ」

 

ハッ!

 

ウァサゴGの頭を深く下げた後、今度こそ町へと向かった。

 

 

 

ウァサゴGを駆って町へと繰り出し、砂糖と塩、そしてシェロンのジュースを買い、基地へと帰還。待たせてはいけないと、格納庫に収める手間を惜しんでウァサゴGを司令部の前で停め、コックピットから飛び降り、走って厨房へ

 

「指揮官様、お疲れ様です」

 

あ、ありがと

 

砂糖と塩をハヤに手渡し、今度は管制塔へ走る

 

「指揮官、遅い」

 

……す、すまない

 

最上階の扉の前で待っていたシェロンへジュースを手渡し、反転……再び司令部へと走る。

 

「遅いぞ、凡人」

 

す、すみませんでした…………はぁ、はぁ……

 

荒い息を殺しつつ、スロカイ様を前に膝をつく。

 

「大変そうだな」

 

いえ、これくらいはなんとも……

 

「しかし、やけに早かったな」

 

ええ、砂糖と塩を確保するだけだったので……

 

「買い物だったのか? そんなもの、配下の者に任せて凡人は後方で踏ん反り返っていれば良いものを……」

 

いえ、実を言うと……ここ最近はみんなに苦労ばかりかけていたので、今日くらいは少しでもみんなにゆっくり過ごしてほしくて……

 

「そうか、やはり凡人は凡人だな」

 

スロカイ様は肩をすくめてそう言った。

 

そういえば、スロカイ様はお一人で?

 

「いや、マティとウィオラも一緒だ。外で機体のチェックをしている」

 

そうですか……しかし……

 

そこでチラリと時計を確認すると、今はまだ昼になったばかりの時刻で、しかしクリスマスパーティーの開始は夜からだった。スロカイ様、早く来すぎですって……

 

その……スロカイ様、パーティーの開始まではまだ大分時間があるので、それまでゲストルームで旅の疲れを癒していてください。

 

「は?」

 

するとスロカイ様は顔をしかめてこちらを見下ろしてきた。何かまずいことでも言ってしまったのだろうか?

 

「夜まで余に無益な時間を作れというのか? 凡人」

 

そう言われましても……

 

「つまらんな。おい凡人、夜まで余の相手をせい。話し相手でも、カードゲームの相手でも、余をもてなすがいい」

 

そうしたいのは山々なのですが、こちらもまだパーティーの準備や年末に向けての調整がありまして……今日1日は忙しくてですね……

 

「…………」

 

すると、スロカイ様はなぜか背を向け……

 

「なら、帰ろう」

 

そう言って外へと歩き始めた。

 

ちょっ……な、なんで!?

 

「決まっておろう、つまらぬからだ」

 

パーティーの開始を夕方に前倒します! それでしたら……

 

「くどいぞ、凡人! 余は異教徒の宴などに興味はない。お前が来いと言ったから来たのだ、何か面白いことでもあるかと思ってな。しかし、呼んでおいて放置とは」

 

スロカイ様は青筋を浮かべていた。

どうやら、放置されることが相当なご不満らしい。しかし、並外れた思考を持つスロカイ様の相手をできるのは並みのスタッフではできない、というかさせてくれない。スロカイ様と面識のあるベカスと影麟は極東へ里帰りしてるし……くっ、スロカイ様が来ると分かっていればこんなことには……

 

「話は終わりか? それではな……」

 

そう言ってスロカイ様が立ち去ろうとする。

 

お待ちください!

 

それを慌てて引き止める。

 

此度は、スロカイ様の意思に添えなかったことをお詫び申し上げます。ですが、せっかくご足労頂いただいたお客様が何も得ることなく退席するというのは、もてなすこちら側の失礼と存じます。つきましては……

 

そう言って、スロカイ様へクリスマス用のラッピングが施された箱を差し出す。

 

「凡人、これはなんだ?」

 

クリスマスプレゼントでございます。

 

「というか凡人、お前……どこからこれを出した?」

 

……お気になさらず

 

こんなこともあろうかと、シェロンへジュースを送り届けたついでに、スロカイ様へ贈る予定だったプレゼントを取ってきておいて正解だった。スロカイ様はしばらくの間怪訝そうな顔でプレゼントを見つめた後……

 

「まあ、よい」

 

不敵に笑い、プレゼントを受け取ってくれた。

 

「少しだけだからな」

 

え?

 

「宴の開始時間を前倒すのだろう?」

 

あ、はい

 

「今回は凡人の心遣いに免じて、少しだけ宴に参加させてもらおう。ただし、少しだけだからな?」

 

あ、ありがとうございます。

 

思わず胸を撫で下ろした。

スロカイ様の気まぐれに悩まされるのはよくあることだったのだが、今回はそれがいい方向に作用したようだった。

 

スロカイ様とマティルダ様、それから最近加わったウィオラ様をゲストルームへと案内し、パーティーの準備をするべく厨房へと戻った。

 

……ウァサゴGを雪の中に放置したまま

 

この後、とある人物の暴走により、まさかあのような悲劇が生まれるとは……この時、まだ誰も知る由はなかった。

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

夕方

 

料理の用意や会場の整備など……パーティーの準備を終え、なんとかスロカイ様との約束通り、夕方にはクリスマスパーティーを開くことができた。

 

しかし、忙しいのは変わらない。

開始時間を前倒しにするという無茶に付き合ってくれた厨房スタッフたち一人一人に労いの言葉を送り、それに見合う代価を支払って解散させてからも、やるべきことはまだまだあった。

 

基地内の宴会場から漏れる賑やかな雰囲気を尻目に、一方こちらはというと倉庫内作業に励んでいた。送られてきた物資の量や戦利品を一つ一つチェックし目録に記入、目録を元に貯蓄された資源の量のチェックを行うほか、必要に応じて各部署へ物資の移動を行った。

 

時折自分が指揮官であることを忘れてしまうほどに地味な仕事だが、みんなのためを思うと、とてもやりがいのある仕事で、苦にはならなかった。

それに、仕事を手伝ってくれる仲間もいた。

 

「先生ー! これ、どこに運べばいいのー?」

 

手元の目録に目をやりつつ、カートに乗せた物資を棚に上げていると、ダンボール箱を抱えた金髪の少年がこちらへと近づいてきた。

 

うん、ここでいいよ

 

「はい! ここに上げればいいんですね?」

 

地面に置いてくれればそれでよかったのだが、金髪の少年は見よう見まねでダンボール箱を棚の上へと置こうと手を伸ばした。しかし、少年は背が低く、棚は少年の背丈を遥かに超える大きさだった。

 

「うんしょ、うんしょ……」

 

大丈夫だろうか……?

背伸びをしてもなかなか棚の中に収めることができない様子の少年に、少しだけ不安を覚えたその矢先……少年がバランスを崩した。

 

「わわっ!?」

 

あっ!

 

ダンボール箱を持ったまま後ろ向きに倒れる少年

思わず手を伸ばすが、間に合わない!

 

「危ない!」

 

間一髪のところで、少年の背後にいた少女が彼の体を支え、なんとかことなきを得た。思わず、ため息をつく。

 

龍馬、大丈夫?

 

ダンボール箱を受け取り、念のために聞いてみる。

 

「僕は大丈夫だよ。ごめんなさい、先生」

 

日ノ丸の大財閥である高橋家の長男であり(私生児だが)、高橋夏美の義理の弟であるその少年、高橋龍馬はそう言って申し訳なさそうに頭を下げた。

 

いや、そんなことより無事でよかった。

 

続いて、少年の背後にいた少女へ視線を送る。

 

助かったよ、スノー

 

「いえ、当然のことをしたまでです!」

 

高橋龍馬よりも年上のその少女……スノーは真面目な口調でそう告げた。雪のように白い肌に金髪碧眼を持つスノーは、ライン連邦の特殊部隊『紺碧少女』の参謀でもあった。

彼女の持つ鋭い反射神経がなければ、下手をすれば龍馬は大怪我を負っていたかもしれない。

 

「スノーさん、えっと……助けてくれてありがとうございました」

 

「問題ありません。ですが、次からは気をつけてください。今回は何とかなりましたが、いつもこのように上手くいくとは限りませんので」

 

「は……はい!」

 

スノーの指摘に、龍馬はびしっと反応した。

 

「それで指揮官様、次はどちらへ?」

 

ああ、行こうか

 

新たに棚から下ろした物資をカートに乗せ、乗せられなかった分は可能な限りで2人に持ってもらい、3人並んで倉庫の中を移動する。

 

ごめんね、クリスマスの日にまで仕事を手伝わせて……

 

そう言って龍馬とスノーを交互に見た。

2人には休暇を与えていたのだが、忙しくしている自分を見かねて手伝いを申し出てくれた。せっかくのクリスマスなので断ろうかと思ったものの、2人の真っ直ぐな視線に押され断ることができなかった。

 

「姉ちゃんから言われたんです! 先生のお役に立ちなさいって、だから僕にもできることを、精一杯頑張ろうって思ったんです!」

 

「いえ、休暇を楽しむよりも指揮官様のお役に立てることが私にとっての至高ですので。私にできることならなんでもお申し付けください!」

 

目を輝かせて、2人はそう言った。

 

龍馬くん、スノー……!

 

思わず、感動するものを覚えた。

背伸びしすぎたり、真面目すぎるというところもあるが基本的に2人とも、とてもいい子だった。

 

ありがとう、2人とも。そうだ、別件で任せている用事が終わったら3人で町に出て、何か美味しいものでも食べに行こうか

 

「やったぁ!」

 

「いいんですか、指揮官様?」

 

まあ、ちょっとしたご褒美ってことで

 

そんなことを話しつつ、倉庫の中を歩いていると……

 

「あ! 指揮官いた!」

 

……?

 

呼ばれて振り返ると、そこには黒髪の少女

 

「あれ、五十嵐先輩? どうしたんだろ」

 

龍馬がつぶやく

龍馬と同じA.C.E.学園出身の彼女が、なにやら慌てた様子でこちらへと走ってくる。パーティーに参加していたはずの彼女だが、一体どうしたというのだろうか?

 

命美? どうしたの?

 

「指揮官、大変よ!」

 

広い倉庫内を走り回ったのだろう、命美は息を切らしながらそう告げた。ここで注目すべきは、命美がA.C.E.学園の風紀委員出身というところだ。学園で彼女がいくつものトラブルを解決したという話は風の噂で聞いている。つまり、そんな真面目で機転の利く彼女が誰かに助けを求めざるを得ない事態が発生しているということを示していた。

 

まさか、パーティーでなにかあったの?

 

「そのまさかよ! 最初はちょっとした言い争いだったんだけど、今じゃ手のつけられないほどの騒ぎになってるから来てほしいの」

 

わかった!

 

龍馬とスノーにその場を任せ、命美と共にパーティー会場へと向かった。

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

なんとなく、そうではないかと思ってはいた。

 

そして、パーティー会場に辿り着き、スタッフたちの見つめるその先……騒ぎの中心には、やはりスロカイ様がいた。

 

スロカイ様、どうしたんですか?

 

慌ててスロカイ様の元へ駆け寄ると、スロカイ様は今まさに1人の少女と睨みを利かせ合っているところだった。

 

セラスティア?

 

そこには、何故かセラスティアがいた。

不敵な笑みを浮かべるスロカイ様に対し、セラスティアは青筋を浮かべ、怒りを露わにしていた。

 

あれ、確か夜まで寝ているっていう話じゃ……?

 

「お腹が空いたから起きてきたのよ」

 

ああ、そっか

 

冬眠から目覚めたクマかなと思ったのは内緒である。

影になっているので見えなかったのだが、セラスティアは料理の乗ったお皿を右手に持っていた。

 

いや、それはいいとして……どうしたの?

 

「ねえ指揮官、聞いてよ!」

 

セラスティアはスロカイ様を指差した。

 

「この女が、かくかくしかじかで……」

 

「それで伝わるとは思えないのだけど……」

 

ああ、なるほどね

 

「え? 今ので分かったの!?」

 

驚く命美

まあ、無理もない

 

セラスティアの話を要約するとこうだった。

クリスマスパーティーに参加したセラスティアは、そこでサンタクロースを捕獲するためのメンバーを募っていた。そこへスロカイ様が現れ、セラスティアの計画を「くだらない」と一蹴、セラスティアはそれに腹を立てていたのだ。

まさかこんなことで異文化対立が発生するとは……

 

「くだらないな。ああ、実にくだらない」

 

スロカイ様はため息をつき、肩をすくめてみせた。

 

「おい、そこな凡人2人。いつまでもくだらないことで騒ぐな、耳障りだ」

 

「誰が凡人ですって〜?」

 

今まさにスロカイ様へと掴みかかろうとするセラスティアを慌てて食い止める。

 

「確かに、ここにいる指揮官は凡人かもしれないけど、私は凡人なんかじゃないわ! 聞いて驚くがいい! このセラスティア様は天才なんだから!」

 

なんか、さりげなくけなされたような気が……

 

「ハッ、天才ね? 凡人たちにとっての天才など、ただ子どものようにわめき散らすのが得意な者を指すのではないのか?」

 

「なんですって?」

 

セラスティア、ステイ!

 

「指揮官、離してよ! っていうか、子どもなのはそっちの方でしょ?」

 

「何を根拠にそのようなことを……」

 

「見ればわかるでしょ? 童顔でちっちゃいあなたに対して、このセラスティア様が放つ大人の色気! 私の美貌には指揮官だっていつも欲情しちゃうんだから!」

 

ちょ!?

 

「凡人、失望したぞ」

 

スロカイ様がじっとりとした視線で見つめてくる。違います! そんなつもりは毛頭ありませんって! 慌てて首を横に振った。

 

「なるほどな。つまり、頭に行くはずの栄養を全て、そのくだらない脂肪に吸い取られたということか」

 

「なっ!?」

 

「体は成長していても、頭は成長していないようだな? なるほど『見た目は大人、頭脳は子ども』とはまさにお前のことを言うのだな」

 

「なんですってぇ!?」

 

飛びかかろうとするセラスティア、1人では止められない! 思わず、隣にいた命美へと視線を送ると、彼女は状況を察し慌ててセラスティアの体を抑えつけに入る。

 

「異教徒どもの習慣に興味はないが、そのサンタクロースとやらも所詮は貴様らの作り出した虚構の存在に過ぎないのだろう?」

 

スロカイ様はケラケラと語る。

 

「いないものをわざわざ追いかけようとは、ハッ……それを子どもっぽいと言わずして他に何と言うか?」

 

正論だった。

っていうか、この状況はマズイッッッ……!!!

 

咄嗟に周囲を見回し、サンタクロースの存在を信じていそうな年少組……ドリス、シャロ、シア、龍馬、クルス、ノイジーバットを探した。

 

しかし、龍馬は倉庫で作業中、シャロとシアは遠くで肉料理を取り合っていてそれどころではい様子。ノイジーバットはテイラーと共に舞台のセッティングしており騒ぎは眼中に入っていない、クルスとドリスは姿が見えない。

 

スロカイ様の言葉を、パーティーに参加していた年少組が誰も聞いていないのを確認し、ひとまずホッとした。

しかし……

 

「サンタクロースって……いないのか?」

 

……!?

 

その言葉に振り返ると、そこにはソフィアの姿

真実を知ったその顔は絶望に染まっていた。

 

持っている大皿の上には大量の料理が盛られ、彼女の頬にはその食べカスが付いていた。見たところ、クリスマスパーティーを心ゆくまで楽しんでいたようだった……つい先ほどまでは……

 

「ねえ、指揮官」

 

……?

 

ふと、命美に呼ばれて振り返ると

 

「サンタクロースって、いないの?」

 

命美の顔は、ソフィアと同じく絶望に染まっていた。

いや、お前もかい!

2人の純真さが失われた、まさにその時だった……

 

「そんなことないわ!」

 

その時、セラスティアが静寂を打ち破るかのように声を上げた。その声に、パーティー会場にいた全員が反応した。

 

「サンタクロースはいるわ! だって、確かにこの目で見たもの!」

 

「世迷言を……頭に養分が行かなすぎて、ついに幻覚まで見るようになったか……?」

 

スロカイ様は怪訝そうな視線でセラスティアを見つめた。

 

あの……スロカイ様

 

「む、なんだ凡人?」

 

実を言うとですね……サンタクロースはいます

 

「凡人……お前まで頭がおかしくなったのか?」

 

そう思われても仕方ないのは承知していますが、去年のクリスマスで確かに見ました。はい、セラスティアと一緒にです。

 

「それ、私も見たよ」

 

見ると、いつのまにか後ろにヒルダが立っていた。

 

「去年、怪しい人物がいたと聞いて駆けつけてみたら、赤い服をつけた何者かが基地の中に侵入して、泥棒かと思ったら逆にプレゼントの入った箱を置いて逃げて行くのを見かけたわ」

 

ヒルダの言葉に、ソフィアと命美の顔がぱあっと明るくなる。グッジョブ!

 

「ふん……そのような嘘……」

 

「嘘じゃないわ。こう見えても私、合衆国の刑事なの。警察として嘘はつかないわ」

 

ヒルダの言葉に嘘はなかった。

この基地にはクリスマスになるとサンタクロースが出没する。そして、その正体は誰も知らない知られちゃいけない

 

「だから言ったでしょ? サンタクロースはいるの、だから今年こそはアイツを捕まえるの!」

 

「女、お前はなぜサンタクロースを捕まえようというのだ?」

 

「勿論、面白いからに決まってるでしょ!」

 

「そうか……」

 

セラスティアの答えに、スロカイ様は少しだけ考えた後……

 

「面白い。余も、この基地に現れるというサンタクロースとやらに興味が湧いたぞ」

 

「でしょ? だから、全員で協力して……」

 

「協力だと? いや、それはあり得ないな」

 

スロカイ様の言葉に反応し、今まで事の成り行きを見守っていたマティルダ様とウィオラ様がスロカイ様の両翼に展開する。

 

「サンタクロースを捕らえるのは、我ら機械教廷だ」

 

スロカイ様はそう言って誇らしげに腕を上げた。

その瞬間、舞台上のテイラーがBGM代わりのクリスマスソングを歌い始めた。この日のために練習してきたのだろう、ノイジーバットと蘇瑞がテイラーの後ろで伴奏を務めていた。

 

「へぇ、つまりこの天才セラスティア様と勝負がしたいってわけ?」

 

「ああ、最も……勝負にすらならないと思うがな」

 

「その言葉、そっくりそのままアンタに返すわ」

 

「弱い犬ほどよく吠える……」

 

目の前でビシビシと火花を散らす2人

 

……ん? というか、どうしてこうなる?

そう思いつつも、これ以上セラスティアが取り乱すことはないと判断し、命美と共にセラスティアを解放する。

 

改めて、スロカイ様とセラスティアが並ぶ

その光景を見て、ふと思ったことを口にした。

 

スロカイ様とセラスティアって似てるよね

 

「む?」

「はぁ?」

 

その言葉に、2人同時に反応した。

 

「「似ている? こんなのと、どこが?」」

 

……うん、そういうところ

 

そこで、改めて2人を見比べてみる。

こう言っちゃなんだが、外見的に2人ともお互いの特徴を引き継いでいるように感じられた。

 

髪の毛はどちらもツインテール……いや、それはあまり関係ないのだろうが、ピンク髪のスロカイ様に対し、セラスティアは青髪だが、毛先の方がなぜかピンク色になっている。

他にも、セラスティアの真紅の瞳は、スロカイ様の瞳(オッドアイになっている内の右目)と同じ色をしているし、これは余談になるが……2人とも出ているところはしっかりと出ている。(なにとは言わないが)

 

外見だけではない、性格でも共通点が見られる。

2人とも自信家で強気な性格だ。なお、メタ発言になるがこの2人のうちどちらか一方を副官にした際の相性も悪くはない。

 

「そう言われてみれば……」

 

命美は顔を見合わせる2人を見て小さく頷いた。

 

「もしかして、2人は姉妹だったりしてね」

 

「いや、それはあり得ぬな」

 

命美の言葉にそう告げたスロカイ様だったが、それ以上否定することはなかった。

 

まあ、この世には同じ顔の人が3人いると言うけど……もしかして、2人は腹違いの姉妹……もしかしたら、クローンだったりしてね

 

「凡人、それは絶対にあり得ぬ」

 

「そうよ。そんなことあるわけないじゃない」

 

だよね

 

「でも……もし私とアンタが姉妹だとしたら、私は可愛くない妹ができたってことになるのね!」

 

「やめろ! もう妹扱いはご免だ」

 

妹扱いしてくるセラスティアに、スロカイ様は全力でそれを拒否した。その様子に、その場にいた全員が小さく笑った。特にこっちはベカスとの一件を追体験しているので、スロカイ様の言わんとしていることがよく分かって笑いを隠せなかった。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

エル《しかし、この時は誰も知らなかったのです》

 

フル《後に、アイアンサーガ本編にて衝撃の事実が明かされることを……》

 

 

 

ーーーーー

 

 

いや、それはないから

 

天の声を使用してそんな伏線を張る双子にツッコミを入れつつ、パーティー会場を一望した。テイラーの歌声が会場全体に響き渡る中、歌に聞き入ったり、世間話に花を咲かせていたり、美味しい料理に舌鼓を打ったりと、みんな楽しそうだった。

 

「あ、閣下」

 

すると、すぐ近くで雑談をしていた2人の女性の、そのうちの1人と目があった。長い茶髪からぴょこっと飛び出たアホ毛と青い瞳が特徴的な見習い騎士が、こちらへと手を振ってきた。

 

カロル、楽しんでるかい?

 

「はい! とても楽しいです!」

 

そっか、それはよかった

 

「指揮官様、本日はこのような場にご招待頂き、誠にありがとうございます」

 

カロルの隣にいた白髪の女性……レイア様はそう言って深々と頭を下げた。

彼女はイルビング公国の女大公であり、ヴァルハラ同盟の次期リーダー候補の一人であったため、多忙な日々を送る彼女へ招待状を送ったのもスロカイ様と同様、ダメ元でだったのだが、まさか本当に来てくれるとは……

 

レイア様もお楽しみ頂けているようで、なによりです。

 

「あら、そう見えるかしら?」

 

なんとなくですが

 

「そうね。ここ最近は公務で忙しくて、正直息が詰まりそうだったの。でも、ここならそういう心配もないし、思いっきり羽を伸ばせるわね」

 

光栄ですね

 

そこで、改めて2人を見る。

カロルはグレートブリテン帝国出身、一方レイアはイルビング公国出身、出身国は近いとはいえ、珍しい組合わせだなと思った。

 

ところで、お2人は何をお話ししていたので?

 

「大したことではないわ、ちょっとした……外交よ」

 

外交?

 

「外交というものは国を守るために大切なもの。特に私の国は弱いから、こうやって強い国に対して理解を示し、探りを入れて、常に戦いを避ける方法を模索しているの」

 

「え?」

 

今まで気安い会話をしているのだと思いこんでいたのだろう。カロルはまさか、レイアとの会話の中にそのような思惑が含まれていたのかと、驚きを隠せないようだった。

 

「……なんて、冗談よ」

 

「え?え?」

 

しかし、レイアはカロルに対して微笑みかけた。

単純で分かりやすい性格のカロルは、何が何やら分からず、困惑してしまったようだった。

 

「外交っていうのは建前よ。こうでも言わなきゃ、きっと私はこの場所に来れなかっただろうからね」

 

外交って、大事だけど大変ですね

 

「それは君も同じでしょ?」

 

え?

 

「さっき、テーブルの上にイルビング公国の郷土料理があるのを見たわ。それで、その隣にはティルヴィング公国の今はなき郷土料理があった。私も、資料でしか見たことはなかったけど……上手く再現できていたと思うわ」

 

…………

 

「君がこの隣り合った2つの料理に、どんな意味を込めたのかが気になるわね」

 

さあ? 料理に意味なんて……

 

「それはもしかして、私のため……いえ、私たちのためではなくて?」

 

……お互いのことを理解するのも、外交の一つでは?

 

「ふふっ、そうかもしれないわね」

 

テーブルに目をやると、皿の上の郷土料理はもの見事になくなっていた。クセの強い料理だったアレを好んで食べる人はあまりいないと思う。

 

「美味しかった、ありがとう……彼女からの伝言よ」

 

そうですか

 

レイア様の言葉に、安堵のため息をついた。

 

「あ、そうです! 料理といえば!」

 

先ほどから黙って話を聞いていたカロルが、唐突に声を上げた。

 

「さっき別のテーブルにローストターキーがあるのを見ました! もしかして、あれは閣下が……?」

 

前から食べたいって、リクエストしてたからね

 

「閣下! ありがとうございます、とても美味しかったです!」

 

材料の調達と料理人の手配に苦労はしたものの、とびっきりの笑顔を浮かべるカロルを見ていると、その疲れも吹き飛ぶかのようだった。

 

それで……

 

そこで、ローストターキーがあったテーブルへと目をやった。ターキーの他にもう一種類、ブリテンの伝統料理を置いていたはずだが……

テーブルの上から(切り分けられた)ターキーは殆ど消えていた。しかし、分かっていたことなのだが、その隣にあるもう一品はまだ大量に残っていた。

 

「でも……いつ見ても、奇妙なものね」

 

……そうですね

 

思わず、レイア様に同感を示した。

大量に残ったスターゲイジー・パイを見つめながら……

 

「うぅ……美味しいのに……」

 

悲しそうにパイを取り皿の上に乗せていくカロル

カロルの気持ちは分からなくもないが、やはり実物を前にすると食欲も減衰してしまう。

 

「ああ、そういえば料理で思い出したのだけど」

 

今度はレイア様が声を上げる番だった。

 

「ここの料理って、誰が作ったの?」

 

基本的に、ウチの厨房スタッフですが

 

「そう……」

 

レイア様?

 

「いえ、気のせいかもしれないけど……ここにある料理の中で、いくつか見た目も味もどこかで覚えのある料理があったような気がするの」

 

……はい?

 

「あ、それは私も感じました!」

 

レイア様の疑問に、カロルが同意を示した。

 

「ステーキにハンバーガー、パンケーキにケバブ、各種エビ料理……みんな、どこかで食べたことあるような気が……」

 

「あとドーナッツに季節外れのスイカもあったわね」

 

……よく気がつきましたね

 

「え?」

 

いえいえ、それではごゆるりとおくつろぎくださいませ

 

「閣下?」

 

そのまま、逃げるようにその場から立ち去る。

さて、倉庫で作業を続ける2人の元へ行かねば

 

 

 

クリスマスはもう少しだけ続く……




本当は後編まで作りたかったのですが、アイブラサガの製作が遅れて前編を24日に間に合わせるのが精一杯でした。すみません!後編はまたいつか

というわけでメリークリスマス!

追記、本作の指揮官=アイブラサガの指揮官=△
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