蝶を守り抜く日輪   作:是非

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二週間以上お待たせしまい申し訳ありません。
リアルの仕事が忙しくなってしまい遅くなりました。
それでも、お待たせしたにもかかわらずに待っていてくださりありがとうございますっ!

今回の話はお待たせした分、前回出来なかった炭しの回です。
ごゆっくり。


第拾話 日輪と紫蝶との心身共に繋がる夜

炭治郎が自身の知らなかったとはいえ、みんなに嫌な思いをさせた炭治郎が土下座していた時に

 

「すいませんでしたっ! 俺がみんなの思いを考えずに、他の女の人の事を褒め過ぎた事をお詫びいたします。

しのぶもアオイもカナヲも魅力的で素敵な女性だと分かっているのに………」

 

頭を下げて言ったその言葉を聞いたしのぶ、アオイ、カナヲは炭治郎は、そっぽを向きながらも三者三様に顔を赤くしていた。

 

「魅力的で素敵な女性………❤️」

 

しのぶの呟いた言葉に炭治郎が頭を下げたままで応える

 

「うんっ! 俺にとっては、しのぶはいつも優しく笑い、厳しい時もあるけど、凛とした綺麗な女性で、アオイは、真剣な顔でみんなの支えになって頑張って家事、炊事をやってくれて料理もとても上手で美味しい素敵な女の子で、カナヲも時々見せてくれる可愛い笑顔と戦いの時にはまさに美しく舞って戦う強さを持っているから俺はそう思うよ。」

 

炭治郎の珠世の時と同様に無意識の内に自分達を絶賛してくれる言葉の数々にしのぶ、アオイ、カナヲの中の先程まであった嫉妬心と怒りは、何処かに消え去り、代わりに嬉しさと羞恥心が三人の中に満ち溢れていた。

 

しのぶはもう耐えられないと言った様子で顔を赤く蒸気させて

 

「ま、まぁ本人もこれだけ言ってくれましたし、私達も先程は大人気なかったですから、今回の事は水に流しましょうかっ! アオイっ! カナヲっ!」

 

アオイも顔を赤らめて

 

「そ、そうですねっ! そうしましょうっ!」

 

カナヲも赤くなった顔を両手で覆って

 

「う、うんっ! そうだよねっ!」

 

炭治郎はそのしのぶ達のの言葉に

 

「いえいえっ! 俺の方こそ不謹慎でした。」

 

炭治郎が顔を赤くしていった言葉にしのぶ達は苦笑してその場は許す事になった。

 

ーーーーー

 

その夜、就寝時刻になり、皆が眠りにつこうとして部屋に戻っていた。

かく言うしのぶも部屋に戻っていたが、ふと先程の事を思い出して赤面した。

 

「炭治郎が、あんな風に思っていてくれたなんて恥ずかしいですねっ!……………でも………」

 

しのぶが赤面した顔から一転して暗い顔で苦笑し、

 

「その時には、私はもう………」

 

しのぶが呟いた後に、

 

コンッコンッ

 

とドアをノックする音と共に

 

「しのぶ、ちょっといいかな?」

 

「炭治郎っ!」

 

しのぶは、自分の意中の人の炭治郎が来た事に驚いて内心嬉しくしていると、部屋の外から炭治郎の真剣な声が聞こえていた。

 

「大事な話があるんだ。」

 

それにしのぶはドキドキしながら、

 

「分かりました。」

 

と言い、ドアを開けて部屋に招き入れて、その後に寝台の上に案内して炭治郎を座らせしのぶもその横に座った。

そして開口一番にしのぶが

 

「話とは?」

 

促すと、炭治郎は険しい表情で

 

「俺がさっき一緒に戦うって言った時に最後の、死なないと言う言葉に嘘をついた事についてだよ。」

 

「!!!」

 

しのぶが目を見開き、驚愕すると炭治郎は尚も続けた

 

「俺が''上弦の弐''と一緒に戦うのをお願いした後に了承した事は嘘の匂いはしていなかった、でも、俺が死ぬなって言った時には条件を言った時に俺が了承した後には微かにしのぶから嘘の匂いがしたんだ。

あの時は、俺にも条件をつけた事で分からなかったけど、今思えば思うほどに………………しのぶから、死なないと言われてない。」

 

炭治郎の追及にしのぶは、ため息を吐いて

 

「驚きました………上手く誤魔化せたと思ったんですけどね、凄いですねー炭治郎君の鼻を甘く見過ぎていましたよ。」

 

そう言って炭治郎の言葉に先程の笑顔は影に潜み、疲れた顔へと変わる。

そして、炭治郎は、鋭い視線を向けて

 

「まさかと思うけど、上弦の弐と戦って、俺に何かあれば、すぐに自分が身代わりになろうとしてない?」

 

炭治郎の言葉にしのぶは、何も言わなかったが、悲しげな笑顔のままで頷いた。

それに炭治郎が

 

「何を考えているんだっ! しのぶっ! 君が死ぬとみんながどんなに「分かっていますっ!」ん!」

 

炭治郎の言葉をしのぶが遮り

 

「それでも、私達が命懸けで戦ったとしても上弦の弐がどんな強さか、想像も付かないっ! 何より貴方を失いたくないっ! 炭治郎が死ぬなんて想像したくないっ!」

 

目を潤ませるしのぶに炭治郎は食い下がり

 

「だからそれは、柱稽古で鍛えた俺としのぶ、カナヲの三人で戦えば……………」

 

炭治郎の言葉にしのぶは冷静に

 

「そのような甘い考えは捨てなさい。」

 

「しのぶこそ、その自己犠牲の精神を捨ててくれっ!そして新しい未来を見てほしいっ!

 

しのぶと炭治郎がお互いに睨み合うと不意に炭治郎が、フッと力なく笑う、それにしのぶが納得してくれたと思ったが、次の炭治郎の言葉と行動でそんな考えが消え去った。

 

「だから、俺は此処に来たんだよ、しのぶを止める為にっ!」

 

そう言うと炭治郎がしのぶに近づいた、それにしのぶが身構えていると

 

ギュッ

 

「…………はえっ?」

 

「…………大丈夫だよ、俺は死なないから………」

 

しのぶに待っていたのは、抱擁と炭治郎からの言葉だった。炭治郎の暖かい腕を腰に回され、自分の顔のすぐ横に炭治郎が耳元で囁いた、しのぶは予想外の事態に狼狽する。

その後にも炭治郎はしのぶの耳元に

 

「しのぶ、君は頑張り過ぎだよ、一人で出来る事なんてほんの小さな事だよ。」

 

「でも……………怖いです、私は自分が死ぬよりも貴方に生きてほしいから。」

 

しのぶが炭治郎を抱きしめ返し、そう言うが炭治郎は尚も

 

「俺だって同じだよ、しのぶが死ぬことがとても怖くて仕方がない。今までもそうだった、だからこそ、甘くても、みんなでやれば乗り越えられるっ! 俺はそれを何回も見てきたからっ!」

 

そして、一旦腕をしのぶの肩に置いて、しのぶの目を真っ直ぐ見て、

 

「だから、一人で抱え込むなっ! しのぶっ! 俺達が共にいるからっ! 共に戦うからっ!」

 

「~~~~~~~ゔぅ。」

 

炭治郎のその宣言にしのぶは泣きながら炭治郎の胸元に強く抱き着いた。炭治郎もまた泣きながらしのぶを優しく、強く抱き締め返した。二人は涙が止まるまで、そのままずっとお互いを離すまい、離れまいと抱き締め続けた。

 

ーーーーー

 

「しのぶ、元気が出たかい?! ふふ。」

 

「何を笑っているんですかっ!………ですが、ありがとうございます。」

 

二人は二十分近くお互いに寝台の上で横になって抱き締め続けた。

 

「それとしのぶ。」

 

「はい?」

 

炭治郎は優しげに笑い

 

「しのぶ、これから俺に沢山甘えて欲しい。」

 

「……はい?……な、なんですか!? それ!? 何を恥ずかしい事を言っているんですか?!」

 

 

炭治郎の突然の言葉にしのぶが一瞬惚けた後に驚愕すると炭治郎は優しく微笑んで

 

「しのぶ、良い機会だから、この際はっきり言っておきます。」

 

「な、何でしょうか?」

 

「しのぶは柱として、蝶屋敷の主人として、姉としてカナヲ達を守り、指導しなければならないという気持ちも分かる。それでも辛い時は辛い、苦しい時は苦しいとこうやって俺やカナヲ達に、はっきり顔や態度に出しても、俺達が受け止めるから。しのぶも一人の人間で、一人の女の子なんですから。抱えまないで。」

 

「…………。」

 

「しのぶが泣いたり、誰かを頼ってくれる事に、甘えてくれる事に嬉しいから、何故ならこの蝶屋敷にいるカナヲもアオイも、すみちゃんもなほちゃんもきよちゃんも善逸も伊之助も皆、しのぶが、貴女の事が大好きだから。」

 

「…………だから、炭治郎は私に甘えてもいいと言うんですか?」

 

「俺にカナエさんの代わりが務まるなんて烏滸がましい事は思わないし、それでも俺はしのぶを抱き締め支えられる男になりたい。しのぶが泣いていたらその涙を拭える男になりたい。しのぶに安らぎを与えられる男になりたい。だって俺も…………。」

 

炭治郎は一度深呼吸して、改めて自身の想いを言葉に乗せて告白する。

 

「俺もしのぶの事が大好きですから…………っ!」

 

「~~~~~~~~~~~~❤️❤️❤️」

 

しのぶは歓喜して炭治郎に抱き着いて寝台ベッドに押し倒した。炭治郎は抵抗する事無く、流れに任せる。しかし、しのぶが抱き着いたまま何も言わないので声を掛ける。

 

「しのぶ?」

 

「それでは………一つお願いがあります。」

 

 

しのぶはそう言うと、自身の耳を炭治郎に向けると

 

「この前の続きをお願いしますっ!」

 

しのぶが赤らめて言うと炭治郎も顔をボッと赤くして、

 

「え、いや、その」

 

「甘えていいって言ったじゃないですか?」

 

しのぶの言葉に炭治郎はおずおずとしのぶの耳を

 

パクッ 

 

と咥えて甘噛みした

 

「あんんちゅんあんん❤️! あんちゅるるっ❤️!! あんぢゅる❤️! あんん❤️!」

 

カミカミカミ

 

しのぶは炭治郎が自分の耳を甘噛みしてくれる事に歓喜し、炭治郎の体をより強く抱きしめた。

 

「ゔぅぅぅん❤️!」

 

それを聞いて炭治郎は歓喜の気持ちになった。

その後にしのぶが、

 

「今度は頭を撫でてくださいね❤️!」

 

「はいっ!」 

 

炭治郎はそう返事して、抱き着いて離れないしのぶの腰に左手を回し、右手で頭を撫で始めた。しのぶはその手の温もりに再び涙を流し始める。

 

 

ーーああ、なんて温かくて優しくて尊い人なんだろう。炭治郎、生きていてくれてありがとう。出会ってくれてありがとう。私に勇気をくれてありがとう、炭治郎と出会えて良かった、恋して生きてて良かった。私は…………私は…………嬉しい………。」

 

「すぅ…………すぅ…………すぅ…………。」

 

「…………おやすみなさい。しのぶ、頑張ったね。」

 

そう言うと、炭治郎は眠りに就いたしのぶの頭を寝るまで撫で続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまでご覧頂きありがとうございました!!

本当は、三連休の間に出したかったんですが、多くの皆様の作品を見て作り直している内にここまで遅くなってしまいました。申し訳ございませんっ!

では、次回からは、より激しい修羅場になりますのでご期待下さいっ!

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