時間をかけてじっくり考えて描きました。
どうぞ皆さま、もう一つの鬼滅の刃の物語をよろしくお願いします。
※前回から2年以上更新が滞ってしまいすみませんでした。。
輝利哉視点
蝶屋敷…鬼殺隊臨時本部作戦会議室にて
針を落としても聞こえそうな静寂の中の蝶屋敷にて産屋敷の当主の輝利哉がいる。
だが、それでも絶えず戦場を見て指示を出している状況にいれば精神がおかしくなりそうだ。だが、今…それは許されない。
こうなる事はわかっていた事だし、何より指示を出してる自分が気をしっかり持っておかなければ皆に示しがつかない。
だから、気を確かに…しなきゃいけないんだ!
「栗花落様が、『上弦の弐』と戦闘中の胡蝶様と竈門様の所に到着…戦闘に加わりました。しかし苦戦している模様。
その数分前に伊黒様、甘露寺様が煉獄様を殺した…『上弦の参』と接触…交戦中でございます。」
そうしている間にくいなから情報があがる。
そうだ…剣士達はさらに危険な最前線で戦ってるんだ…しのごの言ってなんていってられない!
共に作業している妹達も大変なんだ、『産屋敷家当主』としてしっかり皆を支えなければ!
「わかった。
状況把握を続けてくれ」
気持ちの切り替えと共に指示を出す。
…現在の『十二鬼月』との交戦状況をまとめるとこんな感じか。
行冥、無一郎、実弥、冨岡、玄弥がそれぞれバラバラでありながらも『鬼舞辻無惨』に向けて鬼を倒しながらも進行中
しのぶ、炭治郎が『上弦の弐』と交戦。
後にカナヲが参戦を確認。
その近くに伊之助がいてもうすぐ到着予定。
小芭内、蜜璃が『上弦の参』と交戦
善逸が『上弦の陸』と交戦。
といったところか。
その他の柱稽古で優秀な成績を修めたり『甲』といった隊員達は鬼舞辻がいるであろう中心部に向けて進行中である。
ここまでは順調…と言いたかったが、実は全くそうではない。
まず『上弦の壱』はその場で動かずに鬼殺隊を送ろうにも道中にて下弦程度の鬼達に足止めされてしまっている。
『上弦の弐』はカナヲが参戦し、今は膠着状態にしたものの今分かる強大な能力を前に苦戦が予測されてしまってるのが確認できた。
『上弦の参』と『上弦の陸』とは戦いが一進一退…均衡している。
『上弦の肆』も『上弦の壱』同様に動かずにいるがは未だに誰も向かうことが出来ずに隊士達をあちこちに散らばらせている。
そもそも『肆』と『陸』が補充されているとは予想してなかったぞ。
たった三ヶ月でここまで戦力を整えるとは鬼舞辻め…なんて奴だ。
まだ確認されてない『伍』の存在が気になるが…もしかしたら『空席』なのかもしれない。
それとも未だに潜伏しているのか?
情報通りなら『陸』は裏切り者の獪岳らしいからな。
実力はあったから『十二鬼月』に入れたのだろうがわざわざ『伍』でなく『陸』にしている辺り、戦力不足を補った結果であるものの鬼舞辻も信頼してないのが分かるからだ。
…最も警戒に越した事はないが。
ーーーーー
ありし日の記憶
最初は信じられなかった。
「煉獄杏寿郎、死亡!! 煉獄杏寿郎、死亡!!
上弦ノ参と健闘の末に死亡!!」
「………俺は信じない………」
幼き頃にこんな俺を鬼から助けてくれた煉獄慎寿郎殿にも一生返しきれない恩。
そのご子息である杏寿郎に対しては………………………俺にとって煉獄は
憧れであり’’太陽''
穢らわしい血の流れる俺に対してもよく話してくれた、真っ直ぐな性格が良かった。
それに羨ましかった。
俺の光で初恋の''甘露寺''があんなに慕っている姿を見て恥ずかしくも嫉妬しているもののその最強に近い実力と豪快で真っ直ぐな性格に憧れていた。
正に俺にとっては煉獄こそが''太陽''
甘露寺が望むなら煉獄と結婚したら祝福しようと心に決めていた。
いつかは超えたいと思ったそんな人。
それが『上弦の参』に殺されたと思った瞬間に
ただただ悲しく喪失感に苛まれ上弦の参に対して怒りが湧いた。
柱稽古の時に炭治郎が言ってくれた言葉を思い出す
「伊黒さん、貴方は優しい人ですね。
自分を苦しめた者達の事を思うなんて、とても優しいですよ。」
「はい! 伊黒さんは立派ですよ!」
最初はお世辞を言っているのかと思ったが、長年人や鬼の汚い心に触れてきたからこそお前の真っ直ぐな言葉は心に響いた。
だがな、炭治郎
「煉獄さんの仇は必ず取ります!!!」
お前が煉獄の何を知った気になっている?
たった一夜だろうが!!
煉獄の凄さは俺こそが知っている!!!
俺は何年も頼もしい憧れた煉獄の姿を見てきたのだ!!
そんな俺こそが!!
目の前の煉獄を殺した猗窩座を!!
甘露寺を侮辱し傷つけたこいつは俺が頸を斬る!!!
煉獄の仇を討つのは俺だ!!!!
猗窩座に闘志と怒りを燃やす
ーーーーーー
かっこいいお兄様! 一緒に修行して楽しかった。可愛がってもらった!
それが煉獄さんに抱いた私の思い、
それにもしかしたらこの人が私にとっての添い遂げる殿方かもしれないと思えた。
どんな時にも諦めずに立ち向かう姿を見ていつも胸がキュンとしていた。
どんな事があっても生きて帰ってくれるって思えた。
だからあの時は
「嘘………でしょ?!………煉獄………さん………………………うゔうあああぁぁあアアーーー!!!」
煉獄さんが死んだと聞かされた時には泣いた。
とても悲しくてやりきれなくて、もうあの笑顔に会えないんだと思うと泣いた。
泣き崩れた。
その時からかもしれない。
心の奥底で必ず煉獄さんの仇を討つって。
伊黒さんは凄く優しい人で手紙の文章も素敵! いっぱい褒めてくれる!! 私が食べるの遅くてもニコニコして待っててくれる!
炭治郎君は私にとっての最初の''継子''でなによりも彼は私の弱さ、髪色の全てを受け入れてくれた''添い遂げる殿方''
そんな大切な人達を目の前の鬼に
これ以上、猗窩座に奪わせない!!
しのぶちゃんと炭治郎君達が戦っているから私も頑張って、伊黒さんと一緒に煉獄さんの仇を討つ!!
ーーーーー
猗窩座に相対する蜜璃と小芭内
猗窩座が蜜璃に語りかける。
「最後に聞くが蜜璃、お前は何故鬼狩りに入った?」
「私が鬼殺隊に……入った理由は、添い遂げる殿方を見つけるためよ!!」
蜜璃の答えを聞いた猗窩座は憐れんだ。
「阿婆擦れの上に哀れな女だな、そんな軟弱な理由で入るとはな…………杏寿郎も何故貴様の様な女を剣術を教えたのか…………どうやら俺は杏寿郎を買い被り過ぎたらしい。」
「!!!」
猗窩座の嘲りに蜜璃と小芭内は怒り心頭に達するものの猗窩座は憐れみながら言い続ける。
「俺が女だけは食わぬ、殺さん。
それは、女は弱いからだ。
ここ行く百年程見たが、女の鬼狩りは総じて弱い、柱であろうとも、故に至高の強さには遠く及ばぬだから食わぬし殺さないというより、殺す価値がないからだ、鬼狩であろうとも生物学的に男よりも女は弱いからだ。」
猗窩座の言葉に小芭内と蜜璃は毅然とした態度で言い返す。
「甘露寺は弱くないぞ!! 猗窩座!!!!
甘露寺は生来の強さと優しさで多くの者達を救い助けてきたのだ!!
上弦の月の鬼にも負けなかった嫌、甘露寺がいたからこそ勝てたのだ!!」
貴様とは違ってな!!!」
「小芭内、目を覚ませ、そんな軟弱なものが通じるのは、底辺の鬼ぐらいだ。
上弦の鬼にも負けなかったと言っているが、所詮半天狗は血鬼術に頼ってきた愚かな臆病者だ。
むしろ半天狗の分身体に手こずる程度では、それまでだ。」
「貴様!!」
小芭内が前に出ようとすると蜜璃が手で小芭内を静止する。
「猗窩座、女だからって甘くみないで!!
私やしのぶちゃんみたいに覚悟を決めて鬼殺隊に入って戦っている女はいるの、馬鹿にしないで!!」
「‥‥…‥」
蜜璃の言葉に猗窩座は冷静にみるものの蜜璃は静かに言い放つ。
「猗窩座、もし私が鬼狩りを続けていて迷っていたらどうする?」
「愚問だなぁ、そんな軟弱なお前なぞ、戦場に似つかわしくないから、そう言った時点で無理矢理にでも止めさせる!!」
「それが貴方と煉獄さんとの大きな違いよ!!
弱い人を切り捨てるあなた、弱い人も導く煉獄さん!!
煉獄さんはね、私の事を誇りに思うっていってくれたのよ!!」
「愚かな!! お前の様な阿婆擦れが誇りだと!!!
間違えたな、杏寿郎め!!
お前の様な女が鬼狩りに居たら無駄死にでしかない!!」
「間違いじゃない事を解らせてやるわよ猗窩座!!!」
「ならば来い、蜜璃否、阿婆擦れ!!!
俺の武でお前の軟弱な武を全否定してやる!!!」
「だあああああーーー!!!」
構える猗窩座に対して怒りに燃える蜜璃が全力疾走の技を仕掛ける。
恋の呼吸 陸ノ型 猫足恋風
突風のような速さで、猗窩座に切り刻もうとするも両腕を振るい斬られながらも捌いた猗窩座が蜜璃に向かい
「無駄だ、蜜璃」
恋の呼吸 弐ノ型 懊悩巡る恋
向かいくる猗窩座のに対して蜜璃は先程よりも流れるように刃をしならせながら、瞬く間に敵へ斬り込むが
「ハッ!」
ギッ! ギッ! ガッ! ギンッ! ギンッ!ギンッ!
猗窩座は両腕を使い蜜璃の刃を捌き切り後に蜜璃の懐に入り込む
「終わりだ!! 捕らえたぞ!!」
「なっ?!」
「させん!」
蜜璃に向けて拳にを放つ寸前、
蛇の呼吸 伍ノ型 蜿蜿長蛇
瞬時に小芭内が猗窩座の拳から蜜璃を守ろうと小芭内の刃が間に入って大きく蛇行しながらすれ違いざまに斬りつける攻撃を猗窩座に
「甘露寺に手を出すな、猗窩座!」
「伊黒さん! (キュン!)」
「いい反応と切れ味だな!! 小芭内!!
ならば、こちらも見せよう!!」
破壊殺 乱式
乱雑な拳の応酬に対して小芭内は瞬時に刀で捌くものの猗窩座の拳の威力に小芭内は防ぎきるものの内心焦り出す。
(……蛇の呼吸は水の呼吸と違って防御に適した型がない……それが仇となるとは‥‥‥‥不味い! このままでは甘露寺が!)
「下がれ、甘露寺!
煉獄の仇のこいつは俺が斬る!!」
「大丈夫よ、伊黒さん!!
私だって柱なんだから!!」
小芭内が蜜璃を気遣うとそこに猗窩座が迫り来ると小芭内と蜜璃が猗窩座に向かうも猗窩座が瞬時に反応して捌き逆に拳を振るう。
「無駄だ! 蜜璃!!」
「くっ!」
「猗窩座!!」
直後に
蛇の呼吸 壱ノ型 委蛇斬り
猗窩座の右側から間合いを詰め、横薙ぎの予測不能な円形軌道を描く一太刀を振るう。
「速く正確な動きだ! 小芭内!!」
恋の呼吸 壱ノ型 初恋のわななき
蜜璃は猗窩座の左側からしなる刃の一太刀で斬り刻もうとするも
「ハアッ!!!」
瞬時に両腕で2人の技を捌き切る
「グッ!!」
「!!」
ギンッ! ガンッ! ギッ! ギンッ! ギッ!
その後に蜜璃と小芭内の連携攻撃に対しても猗窩座は拳の応酬とあらかじめ攻撃を読んだかのように避けていき、なかなか切り込めずにいた。
(クソっ!! 上弦は柱三人分の実力というお館様からの予測通りだ!!
鏑丸の指示でも追いつけない! 俺と甘露寺の二人がかりという状況でも届かない!!
このままでは甘露寺が………)
「考え事をしている場合か? 小芭内!」
「チィっ!」
猗窩座は小芭内の攻撃をも弾いた瞬間に小芭内に向けて拳を振るい弾いた後に一旦距離を取った後に
破壊殺 空式
拳撃に衝撃波を発生させ、距離の離れた小芭内に向けて駆け出すも
「させない!!」
恋の呼吸 参ノ型 恋猫しぐれ
猗窩座の上から向けて猫のように飛び跳ねながら攻撃しようとすると猗窩座は狙い澄ましたように片腕での虚空から衝撃波を放つ。
「ぐっ?!」
寸前防ぐものの目の前に無表情の猗窩座が飛んできて
「しまっ!?」
「隙だらけだ!! 蜜璃!!」
蜜璃は腕を交差させるも猗窩座の拳により空中から落とされた後に猗窩座が追撃しようとするも
「貴様がな!」
蜜璃を守ろうと猗窩座の背後から小芭内が猗窩座の頸に刀を向けるも瞬時に猗窩座は
「ふっ!」
破壊殺 脚式 冠先割
背後の小芭内を下から蹴り上げる寸前で避けるも額を掠り出血を免れぬ威力
「動きが粗くなったなぁ………小芭内。
そんなにこの阿婆擦れが気になるか?」
「また言ったなあー!!! 甘露寺を阿婆擦れだとー!!!!」
小芭内が怒り心頭で猗窩座に向けて振り下ろすものの猗窩座が寸前にさけた後に拳を突き出すと小芭内は刃で受け止める。
「女に構うな! 小芭内!!
俺に集中しろ!!」
「言われなくともそのつもりだ!!」
「ハハっ!」
「伊黒さん!!」
小芭内が刀で防ぎながらも笑う猗窩座と互いの顔の近づけて小芭内が睨み猗窩座は笑うとそこに蜜璃が割って入ろうとすると小芭内は焦る一瞬の隙をついた猗窩座により
「少し退いてろ、小芭内。」
無表情になり瞬時に小芭内の刀を食い込ませた腕をそのまま小芭内の刀ごと掴み後ろの方へ投げ飛ばした。
「ぐわあっ!!」
「伊黒さん!!」
投げ飛ばした小芭内を見て驚愕する蜜璃を一瞥して
「まずは貴様からだ、蜜璃!!」
「よくも、伊黒さんを‥‥‥‥猗窩座!!」
恋の呼吸 伍ノ型 揺らめく恋情・乱れ爪
蜜璃の関節の柔らかさを利用し、猗窩座の周りから広範囲に刀をしならせながらの攻撃をするが
「ふん! ふっ!ふっ! はっ! 大ぶりだな!」
猗窩座は最小限の動きで両腕で捌き、迫る刃を叩き避けつづけながら蜜璃に迫る。
「なっ?! 私の技が?………じゃあ、これなら!!」
恋の呼吸 弐ノ型 懊悩巡る恋
対して猗窩座は無表情のまま
破壊殺 乱式
猗窩座の高速の拳の乱打に対して対抗する様に蜜璃の両腕でいつもより細かく流れるように刃をしならせながら斬り込むも
「んな?!」
両腕の頑強な腕の筋肉で止められた後に引き戻そうとしても動けない蜜璃に対して猗窩座は一瞥して近づき
「そのしなる刃は一見すると見切れないが、俺には''闘気'' が見えるから手に取るようにわかる、さらにこうやって筋肉で止めてしまえばその刃も動かせまい!」
「だったら!! これならどう!! 炭治郎君から教えてもらった……」
ガッ
蜜璃は一旦頸を動かして猗窩座に頭突きをするもの猗窩座の方が頭が硬く弾き返すものの、猗窩座の腕から刀を離させた。
「チッ!」
「ウグっう!(炭治郎の石頭じゃないと無理か……でも!!)
刀を離したわね。」
恋の呼吸 参ノ型 恋猫しぐれ
猗窩座の周りを猫のように飛び跳ねながら、猗窩座に対して斬りかかるも
破壊殺 砕式 鬼芯八重芯
猗窩座はあらゆる方向から向かってくる蜜璃に左右四発づつ、合計八発の乱打を放つ。
瞬間には 蜜璃は
「がふっ!」
刀で何発が弾くものの腹と足に拳が当たるも何とか逸らして攻撃を続ける。
「まだよ!!!」
恋の呼吸 陸ノ型 猫足恋風
飛び上がった後に上から突風のような速さで猗窩座に斬りかかる。
「ぬるい!!」
破壊殺 脚式 飛遊星千輪
「くっ!」
近距離から上に向かって蹴り上げられた瞬間に蜜璃は刀で防御するものの驚愕した隙をつかれ、体勢を整えようとするも猗窩座の拳が迫り瞬間に避けるも蜜璃の額を切られた。
「ああっ!」
戻った小芭内が見たのは
「甘露寺!! おのれ! 猗窩座!!!」
蜜璃は額を切られた小芭内は猗窩座の後ろから攻撃を繰り出そうとすると
破壊殺 脚式 冠先割
背後から斬りかかった小芭内の下から蹴り上げる。ほんの僅かに掠っただけでも出血を免れぬ威力。
「ぐうぅっ!!」
「小芭内、冷静さを欠いた攻撃では俺にとどかんぞ!
すぐに猗窩座は拳の応酬で湾曲刀を振り払うように小芭内の腹に拳を入れるも、身を引いて拳の威力を半減させる。
「ガハッ!!」
「伊黒さん!! よくも!!」
「浅い……小芭内、少し下がれ………蜜璃、小芭内のと違いお前の動きと闘気は単純、直情的過ぎて動きはもう見切ったぞ、蜜璃………いや、阿婆擦れ!! 杏寿郎はやはり間違えた!!」
「この!! えっ?!」
猗窩座は小芭内を怯ませた後に蜜璃に蔑んだ目で蜜璃を見た瞬間に蜜璃に近づき
破壊殺 鈴割り
振り下ろされる鞭の刃の先を側面から拳で打ち叩き、真っ二つに折る武器破壊技により蜜璃の日輪刀の破壊した。
バキッ!
「えっ?!」
驚く蜜璃の側により、蜜璃が半歩下がり、両手を交差させるも
破壊殺 脚式流閃群光
中段から上段にかけての連続蹴り。驚く蜜璃は避けたものの連続の猗窩座の蹴りに腕を交差させたもののはるか彼方にまで吹き飛ばす。
「ああっ!!」
蜜璃は吹っ飛ばされた。
「貴様はもう、引っ込んでろ!! 阿婆擦れが!!!」
猗窩座の蹴りで吹き飛ばされた蜜璃を見て小芭内は怒りの咆哮を上げて猗窩座に切り掛かる。
「甘露寺ぃぃぃ!!!! 猗窩座!!!! 貴様ァァ!!」
「これで邪魔者はいなくなった!! 行くぞ、 小芭内!!」
ーーーーーー
猗窩座に蹴り飛ばされ壁の中にいた蜜璃呆然とした意識の中で
(日輪刀が折られちゃった。
いいえ、まだ、半分以上あるから、近づいて十分斬れる………でも…………煉獄さんの仇なのに………手も足も出せないなんて………私はこのまま終わるのかな………やっぱり………私なんかじゃ‥………)
今世では『煉獄への憧れ』と『恋心』を原動力に努力して恋柱になれた。
なんだかんだで私の中に『煉獄さんの意志』は生き続けていた。
走馬灯の記憶が、あの煉獄さんの台詞が、蘇る。
甘露寺はいずれ俺をも超える剣士になるだろう!
君の膂力も体の柔らかさもさることながら、奇抜な髪色だって見方を変えれば鬼の気を引き人を明るくする立派な才能だ!
何より君には人を愛する心がある!
君の育手になれて俺は幸せ者だ!
誇りに思う!
私の中の恐怖を消してくれた。
蜜璃は思い出す煉獄との修行と日常、
小芭内との楽しい旅と食事の日々、
炭治郎との修行と恋の日々、
しのぶとの友としての‥‥‥‥炭治郎を巡る恋心をぶつけ合う日々。
思い出すうちに自分を叱咤する。
「何やっているの!!
私は!!
恋柱として!!!
煉獄さんの元継子として!!!
炭治郎の師匠として!!!
戦わなきゃ!!!」
そして、改めて猗窩座を斬ろうと決心する。
上弦の鬼がどんなに強かろうと知った事か。
もう私には死んでも良いとは思えなくなってしまった。
だから、私は煉獄杏寿郎の元継子として、炭治郎の師匠としてあの鬼に抗ってもいい筈だから。
何故なら今の私はこの世界に生きる『人間』だから。
許せない。煉獄さんを殺し、炭治郎君を侮辱し、今まさに伊黒さんを殺そうとする鬼を私は許せない。
猗窩座が今までに殺した事で悲しむ遺族の事を思うと怒りが込み上げて来る。
許せない。許せない。許せるものか。
幸いにも怒りをぶつけるべき相手は目の前にいる。
死ぬかもしれない。
いや、死ぬのかな‥‥‥
それでも、それでもだ。
私の中の『恋心を燃やす意志』が叫んでいる。
猗窩座の頸を斬る!!!)
すぐに立ち上がり援護に向かおうとするも猗窩座に殴られた左足の太ももが痛み出す。
すぐに蜜璃は小芭内の強さを思い出す。
「伊黒さんなら、大丈夫。」
ヒューーー
冷静になり回復の呼吸を使い、手と足の痛み和らげながら、考える。
(猗窩座には、私の技が通じない………今までの鬼は、私の柔らかい刃で倒して来た。
まるで、来るべき攻撃が分かっているみたいに‥………そう言えば、煉獄さんの戦いを見た炭治郎君も言ってた!!
猗窩座はしきりに闘気って言ってたの!
だから、私の柔らかい刃で斬りかかる攻撃を読めるんだわ!!
どうすれば?)
考えこむ蜜璃
(読まれる攻撃?
そう言えば、炭治郎君も似たようなことが出来るって!?)
その時にふと柱稽古中に炭治郎との思い出が蘇る。
ーーーーー
炭治郎との修行の後に一休みしながらの会話を思い出す。
会話が弾み、お互いの過去のことや家族のことを話しているとふと、炭治郎が修行について
「そう言えば気配や感情だけで敵の動きとかがわかるって伊之助が言っていました。」
「そんなことが出来るんだね。」
「似たようなことなら俺も出来るので、俺に目隠ししてくれませんか? 蜜璃さん。」
「いいよー!」
炭治郎に目隠しした
(何だろう、目隠しした炭治郎君にキュンと来ちゃう!)
「どこからも来てください!」
そうしてそろりそろりと炭治郎の後ろから近づくと
「はいそこ!」
「きゃあっ! なんでわかったの?!」
「匂いですよ。
実は俺は、鼻が効き、感情も読めるんですよ。
ちなみに今の蜜璃さんからは、''驚き'' と''キュン'' とした匂いがします。」
「ううう?!
恥ずかしいわ!!」
その後も
「クンクン……蜜璃さんから楽しい匂いがしてきます!
はいそこ!」
「あちゃあー!
ばれちゃったわー!」
その後も目隠しした炭治郎を後ろだけでなく斜めから或いは飛び上がり上から触ろうとするものすぐに避けられてしまい
「悔しいー! 私が師範なのに………!
もう一度よ!」
「はい! お願いします!」
蜜璃は、ふと
(楽しいなぁ…………でも、炭治郎君との修行がもうすぐ終わるかもしれない。
それでもやっぱり最後くらいは………)
息を整えて冷静になり
(この恋心は封印しなくちゃ‥………)
蜜璃が決意すると炭治郎は訝しむ。
「??
どうしました?
悲しい匂いがしていますよ?
蜜璃さん?」
蜜璃はハッとなり
「な、なんでもないわよ!!」
炭治郎が心配して近づいてくるので蜜璃は、両手で抱き締める。
「はい! 炭治郎君捕まえたー!
油断大敵ね!!
うふふ、どうしてあげようかしらね!」
「あははー捕まりました。」
蜜璃は、炭治郎に笑いかけた。
「炭治郎君なら、匂いでどんなことにも対応できるのね。」
「いいえ。
前に藤の家紋の家で、おばあさんにもてなされた時に気配もなく、匂いで判別出来ませんでした。
………………蜜璃さんと話して思い出したんですが、俺の父も家族を守るために熊を倒した時にも動きを追えても匂いがしませんでした。
やっぱり、ただ何も考えずに感情のなく行動する人は、匂いで判別出来ません。」
瞬間には 蜜璃はハッとする。
「私、感情的になってる!!
でも、どうすれば? ‥‥………そうだわ!!
私も守るために、心を静かにしなきゃ?!
どうやって?
………………あ、思い出した。」
思い出すのは、しのぶとの決闘で最後、没頭した時に入りかけた''透き通る世界''
「あれを思い出して極めたら…………そろそろ行かなきゃ!!」
ーーーーーー
小芭内は怒り攻撃を激しくするも猗窩座の高速で激しく繰り出される拳と手刀で紙一重の差で避けつつ刀で防ごうとする共に小芭内の蛇の呼吸による変幻な動きによって無理矢理食らいつき、2人の間に激しい火花の顕現が無数に生まれた。
だが、
ギイっ! ドッ! ギンッ! ガッ! ギッ!
「ハァっ!」
「ぐうっ!!」
「シャー?!」
憤怒による剣戟の合間に猗窩座は近づき隙をついた小芭内に対して左拳を放ち、右目付近を当てて潰した。
「ぐう!!(元々右目は弱視だから問題ない)」
「小芭内、お前も攻撃が鋭く隙がないが、攻撃を続ければ隙を晒し続けるぞ!」
激痛に苛むも強靭な精神力で瞬時に体勢を立てて反撃に出て湾曲刀で猗窩座にくらいつく。
「耐えるとは、なんという強靭な精神だ!!素晴らしい!! やはりお前は鬼になれ、小芭内!!! お前は選ばれた強いものなのだ!!」
「鬼にはならん!!」
蛇の呼吸 参ノ型 塒締め
猗窩座の攻めに対し小芭内は独特の足運びと共に蛇のとぐろで締めつけるかのようなあらゆる角度から猗窩座の拳の応酬に対して縦横無尽な斬撃を浴びせるが、両手での拳により防がれる。
続けて小芭内は
蛇の呼吸 伍ノ型 蜿蜿長蛇
猗窩座の周り蛇行しながら猗窩座近づきすれ違いざまに斬りつけ、すぐに下がり周りながらのあらゆる角度から攻撃に猗窩座は笑い
破壊殺
振りかぶった拳を叩きつけるように振り下ろす力業。その破壊力は絶大で、地面を砕き割り、バランスを崩した小芭内に顔面に拳を叩き込むも寸前で小芭内は体を捻り紙一重の差で躱した。
「なんという変幻たる刀捌きと体捌きだ!!
まさに蛇!!
これが蛇の呼吸か!!
素晴らしい!!
小芭内、俺は辛い!!
こんなにも美しく変幻自在の技が失われていくのが!!」
猗窩座は拳で湾曲刀を食い込ませ怒る小芭内の至近距離で言い放つ。
「鬼になれ!!
小芭内!!
鬼にならないなら死んでくれ!!!
若く強いまま!!‥………」
「ふざけるな!!! 貴様ああ!!!」
その後も膠着状態は続く。
(くそっ!! もどかしい!! 今少しの所で切り込めない俺の速さでは追いつけて斬っても猗窩座の方が力が強い拳により力が足らず浅い!! なんて実力差だ!!
こちらが湾曲刀で分からないように関節を曲げて攻撃をしてもわかったかのように正確で鋭い技で返される!!
泥沼だ、うねる斬撃の蛇の呼吸も先読みされるようになってきた。
甘露寺を侮辱することは万死に値するが、そんな怒りでさえ届かない強さの鬼
これが上弦の参!!
この男は修羅だ………戦うこと以外全てをすてた男故に!!
だが負けられぬ!! こんな全てを捨てたやつに死んででも負けられない!!)
猗窩座に対しても自分の全身が熱くなり、冷静になって考えようとするものの激情が体を突き動かす。
(すまない、煉獄………やはり、俺にはお前のように出来ない。
だが、こんなものではない、まだ怒りが湧いてくる!!!!
煉獄を殺し甘露寺を侮辱し傷つけたこいつを許せん!!!)
そして、次第に拳が顔に当たった所から包帯が解けて今まで隠していた素顔を晒すほど、なりふり構わず死力を尽くしも小芭内の姿を見て猗窩座は憐れんだ。
「それが素顔か小芭内………哀れな姿だ。
だが、姿は関係ない!!
お前はやはり強い!! 鬼になれ! 小芭内!!」
猗窩座の拳
「どんなことがあろうとも俺は鬼にはならない!! 貴様を斬る、猗窩座!!」
その時に体の左の胸筋から上腕、肘のあたりにかけて痣が発現うねうねとした蛇のような形状が出現した。
小芭内の速度が上がったのを見て猗窩座は感心し高揚する。
「ほう、急に早くなったなぁ!!」
(何だ? 体が熱い!! まさか、時透の言っていたのはこのことか!! これが体を熱くさせることか!!! 俺にも痣が発現したならば、確実に猗窩座を斬る!!!
一か八か賭けるしかない!!
煉獄の仇を討つ!!!)
「「おおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!」」
全身全霊の力で小芭内は刀を構えた。
蛇の呼吸 伍ノ型 蜿蜿長蛇
猗窩座はの周りを蛇行しながら時折前に出て猗窩座に違いざまに斬りつけるも防がれる。
「その技は先ほどから見たぞ!!」
破壊殺 砕式 万葉閃柳
振りかぶった拳を叩きつけるように振り下ろし地面を砕き割ると、小芭内は一旦引いて猗窩座の周りの土埃がなくなるのを待つ。
「それを待っていた!!」
小芭内が渾身の技を放とうとするのを見て猗窩座は笑う。
「素晴らしい闘気だ!!! 小芭内!!」
蛇の呼吸 弐ノ型
小芭内の凄まじい闘気とともに猗窩座の死角から攻撃の合間を縫って蛇のようにうねる斬撃を放つ奇襲技に対して
猗窩座は正面から
破壊殺 滅式
小芭内の全身全霊の闘気に対して猗窩座は自身の全力の疾さの突きを放つ。
凄まじい爆音が響いた。
「伊黒さーーん!!!!」
遠くまで吹き飛ばされた蜜璃が戻るとそこには、
大きく体の右腕と共に右側が切られた猗窩座と血まみれになった小芭内が立っていた。
「ハァ‥‥‥ハァ‥‥‥ハァ‥‥‥」
「ありし日の杏寿郎を思い起こさせるなぁ……… 小芭内。」
猗窩座の体から傷が癒えていく。
「小芭内お前の剣技は素晴らしいがすぐに完治した。
だがお前はどうだ?!
潰れた右目
砕けた肋骨
傷ついた内臓………もはや、これまでだな。」
(……相打ちか………痣を獲得したことの身体能力の向上で威力が上がっているものの猗窩座から受けた傷がズキズキと滲む。元々弱視の右目が潰れたのは良いが………肋骨は砕け内蔵は傷つく。だが俺が猗窩座に与えた傷はもう癒えたという。これが鬼と人の差、同じだけの傷を与えても鬼の圧倒的な回復速度の前に俺の力は無力だという。
だけれども俺のやることはかわらない。
自分の責務を全うする。誰も死なせはしない煉獄のように!!)
次に猗窩座は憐れむように蜜璃をみて
「蜜璃………杏寿郎はやはり間違っていたようだ。
図体に似合わぬ筋力、特異体質のおかげで死なずに済んだが………
額を斬られ片目が見えず
左足の出血
片腕の打撲
女でありながらも戦場に立とうとしたその様だ………」
「ぐっ!!」
「貴様!!…………」
小芭内の怒りに対しても猗窩座は苛立つ。
「これだけいっても、分からぬか? 何よりもお前に剣を教えた杏寿郎に勝ってここにいる俺に小芭内はともかく、お前のような阿婆擦れが勝つなどと「ふざけないで!!」んっ!?」
猗窩座の言葉を遮り蜜璃は言い放つ。
「何が煉獄さんに勝ったよ!! あなたは煉獄さんに勝ってない!!」
「何?!」
「炭治郎君から聞いたわ、煉獄さんは炭治郎君達を含めた列車の人達全員助けた、でも、貴方は煉獄さんから、日の光から、炭治郎君から逃げた………そんな卑怯者の貴方に煉獄さんと炭治郎君達を悪くいう資格はないわよ!!!」
「………………お前の脳みそもクソが詰まっているようだ。
やはり、不快だなぁ、蜜璃!!」
「私も同じよ猗窩座!!」
蜜璃の言葉に猗窩座が殺気を放つと小芭内と蜜璃も身構える。
「最後に猗窩座! 貴方は何のために強くなるのよ!』
猗窩座に最後とばかりに蜜璃が言う
「至高の強さを求めるのに理由などない!!」
猗窩座の怒号に蜜璃は憐れみ、静かに宣言した。
「そう‥………なら、私達が勝つ!!」
「ありえんな、阿婆擦れ!!
現に今のお前は、小芭内の邪魔をしているだろうが!!」
「邪魔だと………貴様!!!」
「待って、伊黒さん。」
猗窩座の言葉に小芭内がキレるも蜜璃が手で制して言い放つ。
「伊黒さん、今からは、私を守らなくて良いわ。
攻撃だけに専念して!!」
「な!? 何を?!」
驚愕する小芭内に向けて蜜璃は、笑う。
「信じて伊黒さん!!」
「甘露寺………」
小芭内は気づいた。
蜜璃の気を配っていたのは、蜜璃が死ぬのは嫌だったからだが『信じられない』と言っているのと、同じことに小芭内は気づいた
「分かった!! 俺もお前を信じるぞ!!
甘露寺!!!」
「うん!! 伊黒さん!!」
蜜璃と小芭内は全身全力の呼吸をして己を鼓舞するために宣言する。
「私は、鬼殺隊、恋柱、甘露寺蜜璃!!
全力で勝つ!!!!」
「俺は、鬼殺隊、蛇柱伊黒小芭内!!!
猗窩座!!! 煉獄の仇を討つ!!!!」
それを見て猗窩座は、自身の奥義を放つ。
「凄まじい闘気だ!!!!
ならば、最後に俺の全力の技で迎え撃とう!!!!」
瞬間に猗窩座が放つ
破壊殺 終式
青銀乱残光
全方向に通常より速度と威力をさらに高めた百発の乱れ打ちをほぼ同時に破壊力と範囲を持つ大技に対して
蛇の呼吸 肆ノ型 頸蛇双生
小芭内は2匹の蛇が絡み合うようにも見える技。軌道が読みづらく、攻撃を避けるのは非常に困難。
双頭の蛇が相手に噛み付くように、敵を両側から挟み込みながら斬撃を食らわせ、猗窩座の拳の群を斬りかかる。
蜜璃は
恋の呼吸 弐ノ型 懊悩巡る恋
全力の高速の斬撃技で、流れるように刃をしならせながら、瞬く間に猗窩座の拳の大技に対抗する。
猗窩座の拳の群に対して、当たりかけながらも、集中した、しのぶとの決闘を思い出して自身を窮地にいながらも遂に辿り着く。
ーーーーー
(これがしのぶちゃんとの戦いで見た‥………炭治郎君の言っていた透き通る世界!!
何だろう
不思議だけどキュンキュンとするのに時間がゆっくり進んで………いえ動きがゆっくりに見えているのかな?
ドキドキするし自分の心音が聞こえてきそうな程静かだわ………)
蜜璃は高揚する!!
今までの自身の出会いは間違いではなかった
蜜璃は思い出す煉獄の言葉を
(実際に体感した得たものはこれ以上ない程の価値となる
五年十年分の修行に匹敵する。
甘露寺、君は俺より強くなる!!)
(煉獄さん!!!!
伊黒さん!!!!
そして、炭治郎君!!!!)
ドガガガーーー!!!!
そしてそこには静寂が生まれた。
「ここは? 甘露寺は?」
小芭内が見渡すもののそこには瓦礫しか無くなったそこへ猗窩座は
「蜜璃ならば、死んだ。
闘気が消えているからな。」
猗窩座がそう言うと小芭内の全身は絶望感と喪失感が支配された。
「甘露寺?!‥‥………」
「鬼になれ小芭内、なんなら俺と戦うために!!
鬼として上弦に入れ!!
煉獄や蜜璃のように無様に死ぬことはない。」
だが、小芭内は、見た。
(甘露寺!!)
「猗窩座! あなたを切る!!」
「?!」
「甘露寺?!」
(なんて正直な?!)
声を出した蜜璃に対して振り返る猗窩座。
「愚かな!! 今度こそ!! 終わりだ、蜜璃!!」
猗窩座は、自身の奥義を掻い潜る傷だらけの蜜璃を見て驚くも迎え撃つ。
破壊殺 滅式
猗窩座は、向かってくる蜜璃に正拳突きを放つが、蜜璃が避けて、斬りかかるのを見て猗窩座は驚愕する
「馬鹿な!? あり得ん女如きがああ!!」
瞬間に猗窩座の目の前に
恋の呼吸 壱ノ型 初恋のわななき
静かな動きから全力のしなる刃の一太刀で振るう。
「恋心を燃やせぇぇーー!!」
「ああああああああーーー!!」
そして遂に猗窩座の頸を斬った。
ーーーーー
視界が回転し、数拍の後に衝撃が頭に襲い掛かった。
何が起きたのか分からず、視界がズレたことでようやく自分の頸が斬られただと気が付く。
「俺が、女ごときに!?」
阿婆擦れに頸を斬られるという屈辱に湧き上がる怒りとは裏腹に身体の喪失を感じていた猗窩座はすぐに自分の頸をくっつけようとするもくっつく事が出来ずに、頸を斬られた体はどんどんと崩壊して塵になっていく感覚を感じた猗窩座は尚も立ち上がり頸がない状態で再生して構える猗窩座に向かって
「どこまで生き汚いんだ!! 猗窩座!!!」
小芭内はの怒号が飛ぶ。
その意識は気が付けば無明の暗闇の中にいた。
「ここは? いや、そんなことはどうでもいい! あんな結末、認められるものか!」
自身の置かれた状況に理解が追いつかない。しかし、そんなことを気にしているほどの余裕が猗窩座にはなかった。
強さを求めた果てに、女に頸を斬られて死ぬ結末を受け入れられないのだ。
猗窩座の今際の際の走馬灯、精神的な空間とも呼べるあの世とこの世の境目のような不思議な空間で猗窩座は不満を口にする。
「俺は誰よりも強くならねばならないんだ! 強くならなければ!」
この期に及んでまだ強さを渇望する猗窩座。
そんな彼の頭に蜜璃が投げかけてきた言葉がよみがえる。
『猗窩座! 貴方は何のために強くなるのよ!』
先ほどまで相対していた強敵の言葉がこびりついて離れない。
その言葉は猗窩座の記憶にない、何かが訴えかけてくるようで……考え込んだ先でふと、あることに気が付く。
「強くならねば、薬を持ち帰れないだろう!
大切な人達を守れないだろうが!!」
己の行動原理の根本的な理由を思い出しかけた。
武の道を極めようとしているのだからと考えていたが、もっと別の何か理由があった気がするのだ。
何かを思い出しそうになっている猗窩座の耳に、優しい少女の声が聞こえてきた。
「もういいんです、狛治さん」
「おまえは……いや、あなたは」
雪の結晶の髪飾りを付けた少女が猗窩座を別の名前で呼ぶ。
猗窩座は、それが自分の名前であることを、人間だったころの記憶を思い出していた。
その少女の名前は恋雪こゆき。猗窩座が狛治と呼ばれていた人間だったころの恋人・許婚だ。
結婚の直前、狛治がいない間に殺されてしまった恋雪との約束は
「誰よりも強くなって、一生あなたを守る」
果たされることのなかったこの約束こそが、鬼となった猗窩座の核になっていたのだ。
思い出した過去の記憶に、嫌っていた弱者が本当は誰だったのかを知って、鬼の“猗窩座”から人の“狛治”の姿に戻った彼は一人納得した顔をしていた。
「そうか。あれだけ嫌っていた弱者は俺自身だったか……」
恋雪の父であり、自分の武術の師匠である慶蔵から託された武術を復讐のため血まみれにした辛抱の足りない自分。
自殺した父が遺言に残した「真っ当に生きろ」という願いをかなえることも出来ない自分。
肝心な時に大切な者の傍にいなくて、守ることも出来なかった役立たずの自分。
どうしようもなく弱い自分が一番嫌いだったのだ。
「ああ。だから俺はあんなに蜜璃に………女にイラついたのか。女は弱いと思ったからこそ俺が守らねばならないと思ったから」
蜜璃のことを思い出し、自嘲する狛治。
戦っていた小芭内と蜜璃は、かつての狛治と恋雪達が手にすることができなかったものを持っていた。
大切な者の危機に立ち向かい、共に鬼である自分から大切な者を守るという真っ当な道を歩むことができている蜜璃と小芭内。
そんな彼に自分が敗北したのは当たり前だった、と、納得した面持ちになる狛治。
「狛治さん、逝きましょう?」
「恋雪さん……」
そんな彼に恋雪が手を差し伸べる。
愛おしい恋人の手を取ろうと腕を伸ばす。そんな彼を呼び止める声があった。
「強くなりたいのではなかったのか?」
聞こえてきたのは、咎めるような鬼舞辻無惨の声。
鬼になったものにかけられる無惨の呪いが精神世界で具現化した姿だった。
その呪いは強制的に狛治の意識を猗窩座へと変えようとする。
「そうだ、俺は強くならねばならない……」
おぞましい呪いによって、強さへの渇望を呼び起こされて鬼に姿を変え始める狛治。
ーーーーー
頸を再生させて構える猗窩座に蜜璃は
「ぐっ?!」
全力で振るった後に限界が来て、刀を離してしまうも
「まだよ!!! だあ!!」
思い切り猗窩座を殴る。
だがそれを殴る蜜璃を見て思い出す慶蔵に殴られた事を。
「生まれ変われ、少年。」
「狛治さん」
少し落ち着いた狛治は恋雪に懸念を伝える。
「恋雪さん、俺は人を殺した。人間だった時にも、鬼になった後も。たくさん。だから、俺は地獄行きだ」
罪人の自分は地獄に行くから一緒に逝けないと告げる狛治。
「ならば、私も共に行きます!!」
笑みを浮かべ共に歩き出す。
もう、何があっても二人一緒にいることに決めたのだった。
ーーーーー
蜜璃に殴られた猗窩座否、狛治は、構える蜜璃に笑いかける。
蜜璃は、驚愕するも確かに唇を見た。
ありがとう
「ふざけるなぁぁーー!!!」
「えっ?! 伊黒さん?!」
「?!」
猗窩座が自身に拳を振るおうとするとそれを察知した小芭内が激昂し瞬間に猗窩座は目を向けるとそこには
憤怒に見開き刀で今まさに猗窩座を斬ろうとする小芭内の姿。
「猗窩座ァァァ!!!
貴様はぁぁぁ!! 多くの無関係の命を奪い喰らい、煉獄を殺したお前が! 甘露寺を傷つけておいて自殺すれば許されると思っているのかぁぁーー!!
自分だけが不幸なんて面するじゃない!!」
「!!!」
「お前の罪を償わずに自殺するなぁぁーー!!」
猗窩座に対して伊黒は一切同情しなかった。
自身もまた悲惨な境遇に陥ったからこそ猗窩座に対して誰よりも不幸を言い訳にして自身が許されると思った猗窩座が許せなかった。
だからこそ再生しつつある自身の体を自分の手で決着をつけようとする猗窩座よりも早く小芭内により斬られた瞬間、猗窩座は驚くも感謝する。
「うああああああーーーー!!!!」
瞬間に猗窩座の脳裏には思い出とは別の記憶であり今まで殺した鬼殺隊の他に喰っていた男や子供の姿が映り
「ガァアアアアアアーー!!!!」
最後に猗窩座は激痛が襲うも自身が犯した罪を省みた。
(……そうだな……感謝………す……る…すま……なかっ………た!………すま………………ない‥………
すま………ない…………小芭内………蜜璃………そして煉獄………俺…………が殺した罪………なき…………者………達……。)
猗窩座を見て小芭内は涙を流した。
「はぁっ! はぁっ!……………馬鹿……野郎が……!」
「伊黒さん!!!」
その後に力尽き倒れる小芭内を見て蜜璃が駆け寄るも、胸元でゆっくりと回復の呼吸をしているのを見て蜜璃は安心した後に蜜璃は、
「ありがとう伊黒さん!!!
そして、煉獄さん、ようやく、仇を討ちましたよ。」
瞬間に蜜璃は、目の前に煉獄の幻を見た。
「良く頑張ったな!! 甘露寺!!!
お前は俺の誇りだ!!!」
煉獄がそう言い放ちながら、自分の頭に手を置いた瞬間に蜜璃の目から涙が溢れた。
「うわああああーーーー!!!!
煉獄さん!!!!!!」
小芭内は闇の中にいた。
恨みがましい目をした50人の腐った手が、俺をあの世に引きずり込もうとしているかのように、体に力が入らない。
そこへ50人の腐った手を焼き切り者が現れた。
「えっ?!」
そこにいたのは、穏やかにいる煉獄杏寿郎を見て、小芭内は驚愕するも、煉獄は近づいてきて
「お前は、立派だ、伊黒!!!
良くやった!!!」
激励した瞬間に小芭内は、
「ありがとう………煉獄………」
小芭内は、目から涙を流して微笑んだ。
後の地獄で後藤が
「恋と蛇の呼吸の斬られ心地はどうでした?」
恋雪を抱きしめて狛治は静か
「恋の呼吸はもちろん痛いが、恋雪と初めて出会った時のことを思い出す匂いだった。
蛇の呼吸は、波打つ刃がとても痛いが、悲しい匂いがした。