日ノ出国、はいふり世界へ           作:冬吉

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第六話

所属不明艦隊との戦闘後、平賀達は、あかぎのCICからみくらに無線で不明艦隊の確報に向こう事を指示し、みくらにいる寒川と志度は、これを了承し、所属不明艦に向かっていた。一方、ミサイル駆逐艦「はつかぜ」は、不明艦が更なる攻撃を行われないように主砲と機関砲を向けた。磯口は、増援として汎用駆逐艦「ひいらぎ」を向かわせた。

 

磯口「平賀さん、先ほどはつかぜから通信あった。攻撃を行った所属不明艦の乗組員全員を拘束したそうだ」

 

平賀「そうですか、分かりました。あと、すいません、不明艦の確保や乗組員の拘束まで協力してもらって」

 

磯口「いえ、我々もこのような状況にも遭遇しながら、戦ってきましたからね」

 

平賀「そうなんですか」

 

不明艦の確報及び乗員の拘束の会話が終わった時、秋沢は、戻ってきた。

 

磯口「艦長、国防省は、何と?」

 

秋沢「今回の件は、正当防衛として処理されるそうだ」

 

磯口「そうですか」

 

秋沢「しかし、向こうでは、大変だったそうだ。我々から発砲したとの情報が流れたから政府は、大混乱に陥ってたよ。何とか疑いは、晴れたけどな」

 

平賀「日ノ出国は、武器使用にそんなに慎重的なんですか?」

 

秋沢「あぁ、我々国は、武器を使用する際は、政府の閣議決定がない以上、使用する事が許されないからな」

 

福内「そういえば、灘沢砲雷長が「国同士の争いの経験がないから言えるんだ」といってましたが、それって・・・」

 

秋沢は、隠してもいずれは、表に出ると考えた。

 

秋沢「平賀さん・福内さん、その件について、話すので士官室に戻りましょう」

 

平賀・福内「はい」

 

四人は、CICを出て、士官室に戻り、席に座った。

 

秋沢「では、砲雷長が言っていた事について、話します」

 

福内「はい、お願いします」

 

秋沢「異変が起こる三ヶ月前の2020年9月25日の出来事です。当時、西南諸島・・・日本で言う先島諸島に漁船団が上陸したんです」

 

平賀「漁船団ですか、領海侵犯であれば対処できたばすでは・・・」

 

秋沢「発生した時は、そう思ったかもしれません、しかし、その隻数が尋常ではなく22隻が西南諸島に向かっていたんです」

 

福内「22隻、どんでもない数ね」

 

秋沢「その情報を受けて、沿岸警備隊、平賀達が所属しているブルーマーメイドの巡視船一隻が出動しました、しかし、漁船の数があまりにも多かったため、増援要請を本部に伝えました」

 

平賀「確かに一隻じゃない対処する事は、出来ませんからね」

 

秋沢「その時、22隻中2隻が巡視船に接近して来ました。乗組員は、その行動に把握できていませんでした。その瞬間、巡視船は、漁船から銃撃を受けました」

 

福内「銃撃!?相手は、漁船団じゃなかったんですか?」

 

秋沢「後の調査で判明したんですがその漁船団に乗っていたのは、漁民ではなくそれに扮した武装勢力だったんです。その後、巡視船から「負傷者、多数」との報告した以降、連絡が途絶え、増援の警備隊が周辺海域に到着し、ヘリで西南諸島に向かった所、そこには、巡視船の残骸が横たわり、島の山頂に国旗が掲げられていました」

 

平賀「そ、それってもしかして・・・」

 

秋沢「気づきましたか、そう、西南諸島が武装勢力に占領されたんです」

 

福内「占領!?」

 

平賀と福内は、ブルーマーメイドに勤めてきて、領海侵犯の船に対して、幾度も対処してきたが、島嶼部が武装勢力に占領されるなんて、考えもなかった。

 

平賀「それで貴国の政府は、どうしたんですか」

 

秋沢「事件が発生して1時間後に緊急閣議が行われました。政府は、当時、我々の艦隊が訓練で西南諸島海域にいた事から国防省を経由し、被占領地域に急行するよう、指示されました」

 

磯口「最初は、海上警備行動が発令されました」

 

福内「海上警備行動とは?」

 

磯口「万が一、沿岸警備隊だけでは対処が困難の場合、海軍が加わり共同で対処する命令です。しかし、武力行使ができるのは、正当防衛に限定されます」

 

平賀「向かって撃たない限り、攻撃が出来ないとなる、厳しいですね」

 

秋沢「我が艦隊が西南諸島に向かっている時、突然、所属不明の潜水艦から攻撃を受けました。即座に迎撃態勢を執りましたが一発があかぎの後部甲板に直撃し、多数の重軽傷者が出た他、電気系統に被害が出てしまいました」

 

平賀「潜水艦から攻撃で多数の重軽傷者・・・」

 

平賀は、重軽傷者の言葉を聞いて、あかぎの艦内での出来事を想像して、黙り込んでしまった。

 

秋沢「攻撃を受けた直後、レーダーに新たな艦影を捉え、詳細を確認した所、極東国、この世界でいう中国が有する空母機動部隊が出現しました」

 

福内「空母機動部隊!じゃあ、西南諸島の武装勢力の上陸は」

 

磯口「はい、その武装勢力というのが極東国の軍人であり、占領を完了するとその海域に空母艦隊を派遣し、実効支配をしようと企んでいました」

 

平賀・福内「・・・」

 

平賀達は、まさか一国の軍隊が侵攻して領土を占領するなんて、想像も出来なかった。

 

秋沢「そして、我々が恐れていた事が起きてしまいました」

 

福内「何が起こったんですか」

 

磯口「西南諸島の状況を確認するべく、出動した日ノ出軍の偵察機が極東軍の戦闘機に撃墜されてしまい、戦死者が出てしまいました」

 

平賀「戦死者・・・」

 

ついに日ノ出側に死者が出てしまった事に平賀は、言葉を失った。

 

秋沢「結果、政府は、西南諸島での行為を武力攻撃事態と認定し、日ノ出軍全ての部隊に対して、国防出動を発令しました。それは、創設以来、一度も発せられた事のない事でした」

 

福内「国防出動とは」

 

秋沢「国防出動とは、日ノ出国が外部、つまり他国が武力攻撃を受けた時に発せられる武力行使命令です」

 

平賀「事実上の攻撃命令という事ですね」

 

磯口「その通りです」

 

西南諸島での軍事占領から奪還まで数時間、要した。

 

                                          続く

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