日ノ出国、はいふり世界へ           作:冬吉

72 / 74
第七十一話 本国介入の恐れ 

武蔵による東舞校艦隊の壊滅の一方は、学校長の宗谷真雪にも伝えられた。

 

4月15日 夕暮れ

 

真雪「東舞校教員艦16隻が航行不能!?、雅か、武蔵が本当に反乱したの?」

 

老松「この報告からは、判りかねます。」

 

真雪「武蔵の損害は、軽微、晴風とはるみも攻撃から離脱するのが精一杯で、目標をロスト、教員艦は最新鋭だった筈!?、なのに如何して?」

 

老松「電子機器と誘導弾が全て機能不全を起こした模様です。」

 

真雪「乗組員は?」

 

老松「3重の安全装置は、伊達ではありませんね、死者は0、軽傷者数名です。」

 

真雪「はぁ…、武蔵の燃料と弾薬は?」

 

老松「出航時に満載状態なので、推定で、燃料、弾薬共に8割以上残っている筈です。」

 

真雪「何故そんなに搭載を?」

 

老松「大和型の砲弾を洋上補給するのは困難ですので・・・・」

 

教頭「校長!、比叡、鳥海との連絡が途絶しました!」

 

老松「あっ!?」

 

真雪「何ですって!?、武蔵以外に所在不明の艦艇は?」

 

教頭「比叡、鳥海、摩耶、五十鈴、名取、天津風、磯風、時津風ならびにドイツより演習参加予定だったアドミラル・グラーフ・シュペーです」

 

真雪「そんなに・・・・今、動かせる艦は?」

 

老松「補給活動中の間宮、明石、風早、護衛の秋風、浜風、舞風、偵察に出ている長良、晴風、はるみ、浦風、萩風、谷風のみです」

 

教頭「山城、加賀、赤城、伊吹、生駒はドッグに入っていて、どんなに急いでも半年以上は動けません・・・航洋艦は多少前倒し可能ですがそれでもせいぜい三か月かと・・・・」

 

真雪「武蔵との遭遇地点に向かわせられるのは?」

 

老松「晴風以外は、他の艦艇の捜索に出ているので少なくともあと数日は・・・」

 

ブルーマーメイド横須賀基地

 

真霜「晴風とはるみからの報告で東舞校教員艦16隻が航行不能になったそうです」

 

秋沢「武蔵の攻撃か」

 

真霜「えぇ」

 

磯口「それにしも信じられません、現代の新鋭艦が半世紀以上前の戦闘艦に敗北したとは、一体全体、如何なっているんだ?」

 

真霜「報告によると原因は、電子機器の機能不全を起こしたようです」

 

秋沢「電子機器の機能不全か、考えられるとすれば、"EA"によるものだと考えられるな」

 

真霜「EA?それは、一体?」

 

秋沢「EA、Electronic Attack、直訳すると電子攻撃だ。おそらく教員艦隊の全滅は、ジャミングによる艦隊ネットワークが妨害された事だろう・・・」

 

真霜「成程、確かに今回の事態も正にそれが原因でなった可能性がありますね、しかし、武蔵には、そのような装備は、搭載していません・・・」

 

秋沢「これは、私の憶測だが、電子攻撃を行える何かが武蔵に紛れ込んでいる可能性もありうるな」

 

真霜「その要因も捨てきれませんね、宗谷校長も何か異常事態が発生していると言っておりました」

 

磯口「まるで予言者のようだな、で、その異常事態というのは・・・」

 

真霜「それは、分かりませんが何が発生しているのは確かです」

 

磯口「現時点で武蔵を追跡する可能な艦艇は、」

 

真霜「残念ですがブルーマーメイドや他の艦艇は、武蔵以外の不明艦を捜索しているのでもっとも早く追跡が出来るのは、晴風とはるみだけです」

 

秋沢「うむ、生徒達へ負担を掛ける事になるとは・・・」

 

その時、磯口が携帯していた携帯無線機に連絡が入る。

 

磯口「ちょっと、すみません、磯口です、はい、何だと!?それは本当か?、分かった、すぐに伝える」

 

秋沢「どうした?」

 

真霜「あの何かあったんですか?」

 

磯口「司令、宗谷監督官、緊急連絡です、駆逐艦「のと」が武蔵の攻撃で沈没した模様です」

 

真霜「何ですって!?」

 

秋沢「それは、本当か?」

 

磯口「はい、救助に行った部隊からの報告によりますと死者は、無いものの多数の重軽傷者が出たとの事です。」

 

秋沢「他の艦の被害は」

 

磯口「駆逐艦「さくら」が傾斜により通常航行が困難、駆逐艦「はまぎく」が撃破した砲弾の破片により小破との事です」

 

秋沢「磯口、全艦に通達、学生艦に対して発砲は控える様に伝えろ」

 

磯口「は!」

 

真霜「秋沢司令、今回の事態、貴国は、どう受け取るでしょうか・・・」

 

秋沢「おそらく我が国の政府は、衝撃を受けるでしょう、我が国の艦が沈められ、乗員達が負傷した以上、何らかの対応策を取るでしょう、現時点では、日本にいる我が軍で対処する様に指示されるでしょう。」

 

真霜「そうですか・・・」

 

秋沢「だが、問題は、我が国の政府関係者です。」

 

真霜「一体、どのような問題でしょうか」

 

秋沢「まだ、首相である安永氏や国防大臣である國栖氏は、まだ大丈夫だが問題は、桐澤氏だ」

 

真霜「桐澤?どんな方なんですか?」

 

秋沢「桐澤は、我が国の現政権の副首相と同時に外務大臣を任されている議員で安永氏より議員の経験が長いです」

 

真霜「その方が何故、問題何ですか・・・」

 

秋沢「その方は、かなりのタカ派でしかも急先鋒だ、もし、この人物が強硬的手段を用いる事となれば、日ノ出国に脅威となる教育艦に対して攻撃命令を出す事もある、そして、それを妨害しようとするブルーマーメイド又はホワイトドルフィンは、排除される可能性もありうる」

 

真霜「んっ・・・(汗)」

 

真霜が息を呑んだ、もし桐澤が強硬的手段に出た場合、教育艦が攻撃されるだけでなくそれを防護しようとする自分達も攻撃される事を意味する、もし、それが現実となった場合、この国のブルーマーメイドやホワイトドルフィンは、再建不能にまで陥る事となると彼女は、底知れぬ恐怖を感じた。

 

まさにそれは、"戦争"であった

 

秋沢「とにかく情報収集を急がせる事が先決だ」

 

真霜「そうですね」

 

                                          続く

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。