日ノ出国、はいふり世界へ           作:冬吉

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第七十三話 武蔵の対応と冷戦時代・その後の日ノ出の世界

晴風とはるみが電子機器の不具合の原因を探ていた時間帯

 

日本 東京 国土保全委員会

 

委員会幹部A「東舞校の教員艦が武蔵の攻撃で航行不能?」

 

委員会幹部B「やはり学生の反乱なのか?」

 

委員会幹部C「・・・もし反乱だとして、武蔵が都市部に向かって来たら食い止められるのか?」

 

委員会幹部B「晴風とはるみの報告によると誘導弾は効かなかった・・・大量の魚雷を浴びせるか砲撃でなんとかならんのか?」

 

委員会幹部A「武蔵には成績優秀な生徒が集められている・・・無誘導の魚雷が射程外からそう簡単に当たるか?」

 

委員会幹部D「難しいな・・・だとしたら…同等の戦力をぶつけるしかない。」

 

委員会幹部C「18インチには18インチか?」

 

委員会幹部B「だが呉の大和も舞鶴の信濃もドッグ入りしている。」

 

委員会幹部D「佐世保の紀伊は?」

 

委員会幹部C「駄目だ・・遠洋航海中で地球の反対側だ」

 

委員会幹部D「16インチ砲や14インチ砲では太刀打ちできん!」

 

委員会幹部A「だが、問題なのは、東舞校だけではない」

 

委員会幹部C「あぁ、協力関係である日ノ出艦の沈没か・・・・」

 

委員会幹部D「今の所、日ノ出国からの声明は、ないか・・・」

 

委員会幹部B「だが、協力国の艦艇が沈めた以上、何らかの対応策を取るに違いない」

 

委員会幹部A「特に恐ろしいのは、沈められた報復としての我が国に攻めて来られる事だ」

 

委員会幹部B・C・D「・・・・」

 

国土保全委員会が黙り込むのむ仕方のない事であった。日本と日ノ出の戦力には、大きな差があり、向こうには、航空機(戦闘機)が多数保有している事から飽和攻撃されたら、日本の防衛力の崩壊は、免れないと悟った。

 

一方、ブルーマーメイド横須賀基地

 

桑田「かなり事態は、悪い方向に向かっているという事か・・・」

 

秋沢「はい、我が軍艦艇が沈んでしまった以上、本国も黙ってないでしょう。」

 

桑田「・・・"北海道事変"、そして、西南諸島事変様な事態は、避けなければな・・・」

 

真霜「あの、貴国が以前、話していた西南諸島での有事は、聞いていますが、北海道事変とは・・」

 

平賀「私も聞いておきたいです」

 

福内「自分もその出来事を聞きたいです」

 

桑田「分かった、北海道事変は、1987年の夏に起きた、我が国と対外との有事だ」

 

秋沢「1987年と言えば、冷戦時代の後半ですね」

 

平賀「冷戦時代とは、どういう時代だったんですか」

 

桑田「冷戦というのは、1945年~1989年の44年間に亘って続いた対立だ」

 

福内「対立ですか、何処の国と対立していたんですか?」

 

桑田「あぁ、北米つまりアメリカを中心とした資本主義とユ連つまりロシアを中心とした共産主義との対立だ」

 

真霜「アメリカとロシアといった大国同士の対立・・・」

 

桑田「この冷戦では、東西陣営と共に核兵器開発の競争を繰り返していた」

 

平賀「その核兵器とは、どんな兵器ですか・・・?」

 

桑田「核兵器は、ウランの核分裂を利用した兵器だ、しかし、この兵器の使用は、かなりの覚悟が必要となる」

 

福内「どうしてですか・・・」

 

桑田「核兵器は、我が国の陸海空軍の兵器の威力は、比べ物にならないくらい強力だ」

 

真霜「もしも、核兵器が使われた場合、どのぐらいの被害が・・・」

 

桑田「・・・仮説として万が一、核兵器が日本の首都東京の中心で使われた場合、半径数十kmに亘って被害を受け、死者は、推定でも数十万から数百万人にもなる」

 

福内「数十万から数百万人・・・」

 

平賀「たった一発でそれだけの人を・・・」

 

真霜「それだけ核兵器というのは、非常に危険な兵器であるという事ですね・・・」

 

桑田「あぁ、そして、核兵器を最初に保有したのは、アメリカだ、その後に続いてロシアも保有した、だが、核兵器保有は、ある事が抑制された」

 

福内「ある事?」

 

桑田「核兵器の誕生によって、世界規模での戦争は、抑制された」

 

平賀「核という存在が安定をもたらしたという事ですか・・・」

 

桑田「だが世界が二分された事によって諸外国では、代理戦争が起きたがな・・・」

 

真霜「代理戦争?」

 

桑田「大国同士の直接的な戦争が無くなったがアメリカ陣営の国とロシア陣営の国が戦争をする際は、お互いに介入し合っていた」

 

真霜「大国に代わって、それぞれの陣営に属していた国が戦い合っていたのね・・・」

 

桑田「あぁ、だが、1970年代からデタントが始まった」

 

福内「デタント?」

 

桑田「緊張緩和だ、米露と共に財政難と軍事費の負担の増大によって、今までの冷戦の継続は、出来なくなって来ていた、その為、両国は、戦略兵器の保有制限条約を締結していた」

 

福内「お互いに軍備の拡充に制限をかけたという事ですね」

 

桑田「そうだ、そして、我々がこの世界に来るまで、核は、使われていない」

 

真霜「そうですか」

 

桑田「だが、油断はできないぞ」

 

3人「えっ?」

 

桑田「この世界でも何らかの原因で核が作られてしまう恐れもある」

 

3人「・・・・」

 

桑田「おっと、取り敢えず、冷戦の話は、これぐらいとして、北海道事変に関して話すか」

 

北海道事変「別名:ユーラシア社会主義連邦による北海道侵攻」

 

1987年7月15日 早朝 4:00

 

ユ連が突如として北海道北部(主に稚内)を中心に奇襲攻撃により始まった戦闘。

 

事前に侵攻の兆候を掴めないまま、北海道北部の占領を許し、南進を開始し、道内に駐屯していた日ノ出陸軍北部方面軍が防衛に当たったが急な侵攻に防衛線の展開が間に合わず、札幌まで後退を余儀なくされた。

 

同日、日ノ出政府は、日ノ出国軍全部隊に対して、初の国防出動を下令し、東北・関東地域から北海道に向けて部隊が出動し、残りの信越・中部は、後方支援、近畿から南西地域は、出動待機に入った。

 

初戦では、ユ連の物量戦術に苦戦を強いられたが海軍の潜水艦による海上輸送路の破壊、北米の介入によって、徐々に各都市を奪還し、同年の11月20日にユ連の撤退により戦闘が終結した。

 

この有事を受けた後、対外情報収集の強化し、日ノ出軍は、緊急時に即時に対応が出来る部隊を新設した。

 

桑田「これが北海道事変の内容だ」

 

真霜「事前に情報を掴めないまま、自国の領土を奪われ、物量を言わせた戦術・・・」

 

平賀「まさか、別世界のロシアが北海道に侵攻する何て・・・」

 

福内「でも、どうして、ロシアが北海道に攻めて来たのですか?」

 

桑田「1980年代は、東ヨーロッパ諸国を中心に民主化への流れが強まっていたからな、求心力低下を防ぐ見せしめとして、我が国に攻めて来たんだろう」

 

真霜「そんな理由で貴国を攻めるなんて・・・」

 

桑田「だが、戦力輸送するための航路が破壊され、北米が介入となれば、北海道に侵攻したユ連軍も長く持たなかった、我が軍も大きな痛手を受けたがユ連を国外へ追い出す事が出来た、事件から4年後の12月、ユーラシア社会主義連邦は、解体された」

 

福内「その後、どうなったんですか・・・」

 

桑田「東西冷戦は、ユ連崩壊の2年前に北米との首脳会談で終結宣言により終わった」

 

福内「そうですか・・・」

 

桑田「だが、これは、終わりの始まりに過ぎなかった」

 

福内「えっ?」

 

平賀「どういう事ですか?」

 

桑田「冷戦時代に抑え込まれていた地域における内戦・紛争・テロリズムが起こった」

 

真霜「・・・結局、対立が終わっても平和が訪れる事は、なかったのですね」

 

桑田「あぁ、正規軍対正規軍時代から正規軍対非正規軍の時代に入り、2000年代後半に各国にPMCが設立されていった」

 

福内「PMC?」

 

桑田「Private Military Company、訳すと民間軍事会社だ、21世紀の時代、軍隊が表向きに行動する事が難しくなりつつであった時、PMCの誕生は、大きな影響を与えたPMCは、国家の思想等に囚われる事なく戦闘自体を利益へと変えている」

 

真霜「戦闘を利益に変えるなんて・・・」

 

平賀「そんな事、許されるんですか・・・」

 

桑田「当時の北米・ヨーロッパ諸国は、世論の反発が大きかったからな我が国は、法律の絡みから設立される事は、無かったが欧米先進国では、大きく表に出るようになった。まさに"新たな冷戦”だ」

 

3人「・・・・」

 

その後、武蔵の対応について話し合われ、同日の深夜、日本に駐在している日ノ出外交官より本国の意向が伝えられた。

 

本国「日本のブルーマーメイドと共に事態の収拾に当たれ」

                                          続く


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