転生したらネコムスメなんだけどの件   作:にゃんころ缶

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 お待たせしました! 二十話です。







二十話 ヴェルドラVSカヤ 中半

 

 ヴェルドラは、カヤの零距離攻撃に、驚きを隠せずにはいられなかった。

 

 今までの敵は、ある程度の間合いを取り、時には近づき、離れての攻撃を繰り返し相手の出方を見るのだが、カヤは攻撃の手を変え、常に接敵しヴェルドラから離れずパンチや蹴りを繰り出してくる。

 

 普通であれば、まともに拳も蹴りも出せない零距離で、カヤは凄まじいほどの速さで拳と蹴りを出してくる。

 

 それと、もう一つ特質すべきは、カヤの体捌きが変わった事にあった。

 

 奇妙な体捌きで、ヴェルドラのパンチや蹴りを躱しており、躱した瞬間に返し技がきて腕を取られかけたり、どうにもやりにくそうなヴェルドラであった。

 

「うーむ。なんともいえぬ、この違和感……たしか……どこかで……リムルの記憶で見たような……」

 

 〝無限牢獄〟に囚われてた時に、リムルの虚数空間内で暇潰しにリムルの記憶をあさっていたヴェルドラ。

 

 その見た記憶を思い出しながら、たしか漫画か何かの記録映像でと『思考加速』をかけ、カヤの攻撃を凌いでいた。

 

 急激に増大した魔素量(エネルギー)を纏い戦うカヤを見て、テスタロッサはモモカに問うてみる。

 

「ねぇ、モモカ。あなたの妹のあれは、何なのかしら?」 

「ひ、み、つ。と言いたいところなのだけど、察しがついてるのではなくて? テスタロッサ」

「そうね……魔力ブーストをかけてるのはわかるけども、その増幅量がね。バカげてるもの。ふふふふ、あれ、究極能力(アルティメットスキル)でしょう?」

「やっぱり、わかるのね。まぁ、あれだけ派手にやれば、察しがつくわよね。フフフ」

 

 テスタロッサの問いに答えつつモモカは、ほんとここの魔物は優秀すぎるわねと苦笑いをせずにはいられなかった。

 

 モモカとテスタロッサの会話に、ウルティマとカレラが割り込んできた。

 

「モモカ。今、カヤの使ってる身体操作術は、かなり特殊だね。あれは、何という技なのかな?」

「モモカ! 配下のアゲーラに、『思念伝達』で見せたら、何か古流武術の身体操作に覚えがあるとか言ってたが、そうなのか?」

「え、えーと」

「カレラでいい! 君たちは、私たちと互角にやりあえたんだ。それに、敬意を表してカレラと呼ぶことを許そう! まぁ、私とはまだ手合わせしてないので、後でやろう!」

「うん。ボクの事もウルティマでいいよ」

「そ、そう。わかったわ。カレラ、ウルティマ」

 

 カレラの勢いに押され、少し戸惑いながら、ウルティマにしても悪魔族の頂点にいる者には間違いないはずと思いつつ、自分の見てきた悪魔族とは違う印象に驚き、強者だからこその態度なのだろうと思った。

 

 そして、ディアブロ、ベニマル達を配下に置くなんて、一体どれだけの強さを持ってるのよと心の中で毒づいてしまう。そして、ヴェルドラは配下ではないなとも思う。

 

 モモカは敵対はしないが、どこまで自分達の能力を明かすか思案した。

 

 信用してもらうには、ある程度の能力は明かさないと信用は得られないだろうしあれこれ思案したが、闇鏡静水(あんきょうせいすい)に関してだけ隠し、後はいいかなと結論付け、どうせ勝手にあの子が隠蔽するかもねと。

 

「あの、身体操作は、わたしと、カヤが使う闇夜影千流(やみよえいせんりゅう)・柔術口伝極意、〝千拿神威〟(せんなかむい)と言う最小限の筋力と骨格を使った身体操作術なの。特に零距離格闘戦に特化した技かな。無手で確実に相手を殺す時に使う、技なのよ」

 

 そう説明しながら、その場で軽くトントンと跳ね、肩を回し、身体をほぐし柔らかくしていき、最後に肩甲骨をグリグリと回し、腕を鞭のようにしならせると。

 

 パン、パンと乾いた音を立てるパンチを放つ。

 

 拳の速度は極音速に達し、既に知覚するには不可能な領域に達していた。

 

 魔物の身体能力での、この技は恐るべきものになっており、特に下半身の動きは女性特有の股関節の稼働領域の広さ故、男性とは違う動きが出来た。

 

 モモカとカヤは人だった時にこの技を屈指、自分達より大きい男たちを幾人も葬ってきた。

 

 それは、精霊獣(スピリットビースト)になった時からも、日々鍛錬を欠かさずに技量を磨いてきた技なのである。

 

 キュン、キュンと左右に下半身を動かしていく動きにいつの間にか、上半身がついて行く、一見してみると何でもない動きだが、カレラが不意をついてモモカの前に立や否や右前蹴りを放つ。

 

 その刹那にはモモカの身体は蹴りの真横にあり、右手は脹脛(ふくらはぎ)を抱えるように添え、左手は膝を上から押すみたいな形で止める。

 

「なるほど、躱すと同時に右脚破壊か。蹴った瞬間には右横にいるなんて、なんて面白い技なんだ!」

 

 カレラは右脚を下ろしながら、頼むこの技をもう一回見せてくれと言い何度か見せてもらい。こうか? いや違う、こう? とブツブツ言いながらモモカの動きをトレースしていく。

 

 だがしかし、中々上手くいかずモモカにここからこうなのかと問うも、「ここからは、お代を頂きますよ」とにこやかに却下され「いいじゃないか、ケチケチしないでおしえてくれ」と言うがやはり「だめです」と笑顔の却下をされ、それでも食い下がっていた。

 

「ねぇ、テスタロッサ。カレラ、ここに来た目的忘れてないかな?」

「そうね、あれは忘れてるかもね。でも、ヴェルドラ様も敵意を露わにしてないし。どう見てもここに攻めにきたようにはみえないもの。後は、ヴェルドラ様に任せてもいいのではないかしら」

 

 頬に手を当てながら困ったわねと言うように首を傾げて、ウルティマの問いに答えるテスタロッサ。

 

 モモカとカヤはこの世界の者ではないのでは、そんな疑問に古い記憶の中からフェイリュアワールドという単語が浮かんだが、まさかねと流していった。

 

 モモカは、本気の殺し合いをしたらわたしとカヤは生き残れるか、テスタロッサ達を見ながらぼんやりと思案してみたが……。

 

 いいとこ相打ちかなと小さく呟き、ヴェルドラとカヤの戦いに目を向ける。

 

 ただ、もし闇鏡静水(あんきょうせいすい)の権能が完全に解放されたらこの世界ごと消し去るのではないか、なぜカヤはそんな凶悪極まりないスキルを手にしたんだろう、そんな考えが一瞬頭を過る。

 

 わたしと同じ時を過ごしたい、それができれば他は何もいらない、たとえ愛する男ができてもわたしと同じ時を過ごしたい、あの子はそう言った。

 

 わたしも、そう願った。 

 

 人だった頃からの思い、その思いもこの世界での限られた命が尽きた時に存在事二人とも消えるだろうと。そこに後悔も悲しみもなく、最後の時までカヤと一緒に居れたらいいと……。

 

 できるなら、ずっとカヤと一緒にいたいのに、転生してもその願いは叶わなかった。

 

 もし神が邪魔をしてこれを仕組んでるのなら、わたしは神をも殺すかもしれない。

 

「邪魔するものは全て斬り伏せる」

 

 ポソリと口にした言葉に、あぁ、そうか、わたし達は暗殺者思考なんだ……わたしは十七年、カヤは十六年、あの短い人だった頃の修羅の人生は余りにも強烈で魂に刻み込まれたのかも知れないと、思うモモカ。

 

 究極能力(アルティメットスキル)、このスキルはもしかしたら魂に刻み込まれた記憶、いや強い思い? 強い魂…… カヤの強い思いと人だった頃の記憶、そこから生まれた究極能力(アルティメットスキル)は世界を滅ぼしても自分の願いを叶えるための力、(どうしてこの力がわたし達に)頭を過る言葉に静かに目を閉じ、里の最後と自分が死んだ時のことを思い出す。

 

 輪廻の輪を外れ二人膨大な魂の流れる川を眺めながら、これで永遠に揺蕩(たゆた)いながらカヤと一緒に居れる。そう思ったのに、望まぬ転生によりまた戦いのある世界に生きることになった。

 

 精霊獣界。永遠に続く剣呑とした戦いの日々はそれなりに飲み込みわたし達は折り合いをつけながら生きていこうと決めたのに、ある日それも壊された。人だった頃命じられるままに、幾多の命を奪ってきたわたしとカヤ。

 

(やはり、その報いは受けなければいけないのでしょうね)

 

 奪った命に対する代償。

 

(でも、わたしが見た夢はリムルとの出会いを現した予知夢だった。リムルと出会った時の場面は、わたしとカヤがお互いに地面に座ったまま抱き合い、手を広げ微笑んでるリムルに、二人手を伸ばしてる場面だったわ。あれは、出会いではなくこれから起こる未来? これから起こるという事なの? はぁ……今考えてもしょうがないわね)

 

 一旦思考を止めて、ヴェルドラとカヤの戦いにモモカは目を向ける。

 

 ガッ、ガッと激しい打撃音と共に、カヤとヴェルドラの手足が交差し交わる毎に火花を散らすように魔素の粒子が飛び散っていく。

 

 ヴェルドラの右パンチを、捌きながら手首を取り小手返しを決めるとヴェルドラは決められた方向に身を任せ、逆にカヤの腕を巻き込みながら瞬時に腕を折にいく。

 

 バキッと木を割るような音と共にカヤの腕は捻じれ関節の反対側に向くが、無造作に腕を引き抜くと腕は再生していた。

 

 すかさずカヤは、倒れてるヴェルドラの顔面を踏み抜きにいこうとするが。

 

 それより早くヴェルドラはカヤの左足首を取り背中を起点に、ぐるりと身体を回転させ左脚を破壊し地面に叩きつける。

 

 ダ―ンと激しい音と同時に叩きつけた地面が爆発したように抉れ、カヤは左脚をねじ切られた。

 

 カヤが巻き上げた土に埋もれながら片足を回し跳ね起きるとねじ切られた脚は既に再生していた。

 

 間髪入れずに接敵してきたヴェルドラ。

 

 カヤも間合いを縮め零距離にすると、ポンと右拳をヴェルドラの腹部に添える。

 

 刹那――

 軸足にした左足が火山噴火のような轟音上げ、大地を踏み抜き円を描くようにへこみ抉れカヤの身体が一瞬ぶるっと震えた。

 それはまるで、限界ギリギリまで巻いたゴムが解き放たれたように、零距離右正拳が突き抜けていく。

 

 〝闇夜影千流(やみよえいせんりゅう) 柔術殺技・鼓打ち(つづみうち)

 

 腕を交差させ防御態勢にしたヴェルドラの背中を、ドーンと言う地響きに似た音を立て衝撃波が突き抜け大気を割りながら闘技場に張った結界にぶつかり闘技場全体を揺らした。

 

 数十メートル程後ろに吹き飛ばされたヴェルドラが口を開く。

 

「ハハハハ! 我に、ここまでダメージを与えるとは中々やるな、カヤ」

「いや、笑いながらそう言われるとまじにへこむからやめて。効いてないじゃん!」

「いやいや、割と効いたぞ。この技は内部破壊を目的とした技であろう。我の防御結界を貫通できる者など、数えるほどもいないのだぞ。誇ってよいぞ、カヤ。フハハハハ」

「あ~、なんか嬉しくない!」

 

 効いたと言いながら余裕の態度に、少しイラっとしながらも零れる笑みに魔素量は互角に持ち込めたと思ったけど流石最強の竜種と言うだけあるねと感心した。

 

《告 リミットオーバーまで残り六十八秒》

 

 腕を組みながら、う~ん……どうするかなと頭を傾げ考えてると、今度はヴェルドラが零距離格闘を仕掛けてくる。

 

「え?」

 

 声を上げた瞬間に左正拳が襲い来た。

 

 キュンと股関節捌きで躱し、カウンターで右前蹴りを放つ。

 

 だが、その前蹴りを同じようにヴェルドラが躱し、背中に廻られた瞬間。

 

 ポンと右拳を背中に添えられ――

 「こうか」とヴェルドラが言うと、先程カヤが放ったと同じ突きが見舞われる。

 

「ぴぎゃあああああ!」

 

 変な叫び声を残し盛大にその場から吹き飛び、凄まじい勢いで地面をバウンドしながら闘技場に張ったモモカとディアブロの結界を突き抜け、観客席を破壊し降り注ぐ瓦礫にお尻を突き出した格好で埋もれていく。

 

「ふむ。こんなものか」

 

 右拳を突き出したまま言い放つと、突き出した拳をグーパー、グーパーしながら「ふむ。中々に面白い技だな」と言い、カヤの所へ悠然と歩を進めていく。

 

「うーん。これ闘技場はしばらく使えないな」

 

 ベニマルは二人の戦いを見ながらこめかみを指でトントンとしていると、急に左横の空間がグニャりと歪むとリムルがシュナ達を引き連れ現れた。

 

 リムルが現れたことで、ベニマル達が跪こうとするのを手で制しベニマルに現状を聞く。

 

「ベニマル。決着はつきそうか?」

「リムル様、見てのとおりですよ」

 

 リムルの問いにヴェルドラの方へ目を向け、もう少し掛かりそうですよと肩を竦めて返す。

 

「ヴェルドラとガチでやり合うなんて、どこからきたんだ? ん?」

 

 更に問いかけながらモモカを見ると、モモカの着ている着物がリムルの三上悟の時にいた日本の戦国時代、もしくは江戸時代の着物と同じことに目を見張りながらブツブツと言葉を綴る。

 

「上に着てるのは薄羽織か? 中は小袖の丈が短いやつか…… 下はレギンス?スパッツ? あぁ! 祭りの時に穿く半股引(はんだこ)か、足は脚絆(きゃはん)に旅草鞋(わらじ)みたいな草履で足袋とはこれは、ほうぅ、魔素で作ってるのか、ということは精神体なのか? 髪はシュナより短いが、同じように後ろで束ねているか。ふ~む」

 

 そう言いながらリムルは、カヤにも目を向けてみる。

 

(ヴェルドラとやり合ってる方も恰好は同じだが薄羽織は着てないのか、髪は肩上位で髪色は二人とも黒で顔付は日本人ぽいな。猫耳、尻尾はあるけども)

 

 思案を続けるリムル。 

 

(猫亜人……いや猫亜神と言ってたな。なんで戦国時代みたいな恰好をしてるんだ? そもそも、あの着物は日本にいないと再現不可能だしなぁ。たまたま……俺と同じ転生者? それとも召喚者、じゃあないよな。それならヒナタと同じ日本人でないとおかしいし……界渡りしてきたの、か……まぁいいか、ヴェルドラとの決着が付いたら聞いてみればいいか)

 

 そう色々と思案を巡らせていると、シュナと手を繋いでいたラコルがモモカのとこへ駆け寄っていく。

 

「モモカお姉ちゃん!」

「え!? ラコル。どうしたの」

 

 完全に気配を消してきたリムルにラコルの呼びかけで気づき、駆け寄ってきたラコルの頭を撫でながら、あれが魔王リムル。まいったわね、わたしに一切の気配を感じさせないなんて、殺す気ならやられてたわね。

 

 そう思いながらリムルを見つめ、幼い時に見たリムルの姿を重ねてみると、目の前にいるリムルは間違いなく夢で見たリムルだった。

 

「ねぇ、モモカお姉ちゃん。もういいんだよ。リムル様はお話にきたのだから、もう戦わないんでいいんだよ!」

「そう、大丈夫よ。カヤはちょっとヴェルドラと遊んでるだけなのよ」

 

 ラコルが、「もういいの助けてくれたことを話したからいいんだよ、喧嘩はだめ! リムル様達は皆いい魔物なんだよ」と小さな腕をブンブンと振りながら一生懸命説明する。

 

 モモカはそんなラコルに、喧嘩ではないから安心してねと言いながらリムルを見つめて。

 

「綺麗な目……とても優しく、そして暖かい目。でも、油断すると飲み込まれそうで、少し怖い目……」

 

 思わずついた言葉にラコルが「え?」と声を上げモモカを見上げるも 何でもないのよと優しく答える。

 

 瓦礫に埋もれてたカヤが、ガラガラと音を立て這い出てきた。

 

「あいた~。くそー いきなりあたしの技盗むなんて、なんなんだあんたは!」

 

 その場にぺたん座りすると、ヴェルドラを指さしながら勝手に使うな! あたしは、許可してないぞ! 銭を払え! このーと、頓珍漢な文句をギャアギャア喚きちらし、ヴェルドラが頬を指でかきながら少し呆れたように口を開く。

 

「いや、その技は古流武術の類であろう? 我はその手の動画というのを見た事があってな、それに漫画という書物でも見ていてな。主にリムルの記憶を漁っていた時にと言うか、うん、そういう事だ」

 

 カヤの文句にそう答えるも、最後の方はごにょごにょと小さくなっていく。

 

「どんが? もんが? それはなんだー!」とカヤは声を張り上げスクッと立ち上がるとモモカが「あ。これ、まずいかも」と独りごちるのをラコルが「ん?」と見る。

 

 そして、モモカがしゃがんできてそっとラコルを抱き寄せ「じっとしていてね」そう告げると、呪符障壁を自分とラコルを囲むように展開する。

 

 チリ…… チリリリ。

 

「ん~。どうしようかな、魔力を圧縮して……ん~こうして……」

 

 ブツブツとあれこれ呟き始め、体内の魔力を一気に集め圧縮し始めた。

 

「打ち出す? 魔力の塊……違う、高密度に圧縮して発射……放射?」

 

 おもむろに地面に両手をつき少しお尻を高くした四つん這いになり口を開けると、大気中の魔素を吸い込むように更に圧縮をかける。

 

 コォ―ッと音を立て青白い光球が口の中でうねる様に形成されていき、それに伴いピンと上に上げゆらゆらさせてる尻尾も、青白く光り始め放電現象を起こしバチバチッと音立て跳ね回る。

 

「ほぉ、更に魔素(エネルギー)を集め魔力の圧縮をするか。リムルよ備えておれ。下手をすると観光娯楽地区に被害がでるやもしれん。我も本気を出す」

「ああ。わかった。守りはまかせろ! ってか、お前に本気を出させるなんてあいつ中々やっかいだな。大丈夫か?」

「うむ。問題ない。あ奴は敵対者ではないからな。おそらく手加減と言うのを出来ないだけであろう」

「はぁ? あれだけの魔素量(エネルギー)を持ってるのに制御できてないのか?」

「う~む。振り回されてると言った方が、正しいのであろうな」

 

 ヴェルドラとやり取りしながらリムルは、つい最近ヴェルグリンドとヴェルドラの怪獣大決戦を見たばかりなのに、何でまたここでヴェルドラとガチでやれる奴が、現れるんだよとぼやき。

 

 ミカエルは姿を晦まし、いつ攻めて来るかもわからないのに次から次へとトラブルが舞い込んでくるのはなぜだと、思っていると。

 

 シエルに『それは、リムル様(マスター)だからです』そう言われ「おい! それはどう言う意味だ」と返すも、それだけ言うとシエルはだんまりを決め込むのを、またかと苦笑いを浮かべ多次元結界でシュナ、シオンを包んでいく。

 

 チリリリ、チリリ。

 

「ふん。姉上の灼熱吐息(バーニングブレス)より厄介なものだな。付与されてるのが……『絶対暴力』か、純粋に破壊力だけを求めた熱放射線とはカヤは意識せずにやってるのか? バカげた戦闘センスだな」

 

 口端を少し上げヴェルドラは究極能力(アルティメットスキル)混沌之王(ナイアルラトホテップ)』で『解析鑑定』をかけながら〝竜種〟に匹敵するカヤの力に感嘆の声を投げ己の防御結界を最大にしていく。

 

「クフフフ。これはこれは。何とも凄まじいものですね。ヴェルドラ様に匹敵する魔素量(エネルギー)に、このバカげた威力を秘めた圧縮された魔力。やはりあの二人は……」

 

 嬉しそうに笑い、ディアブロは自分の立てた仮説がまるで正解に近づいてるのを楽しむ様に、カヤを見据えていた。

 

 カヤの周りは、あたかも大気が吸い込まれていくような現象になり渦巻き吸い込まれていく魔素粒子が可視化して見え、口に集まる光球が限界を超え今にも弾けそうな勢いで光り輝き、尻尾が激しい放電現象を放ち臨界に達した瞬間にカヤが吠える。

 

 『熱射咆哮(ヒートロア)

 

「う゛に゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

 

 細く収束された青白い熱放射光線が、横に薙ぎ払われるようにヴェルドラを襲う。

 

 

 




 う~…… ごめんなさい 終われませんでした…… 中編になりました。

 次回、ヴェルドラVSカヤ 後編です。

 ここまで、読んで頂き本当にありがとうございます!

 引き続き、ご愛読頂けたら幸いです。


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