転生したらネコムスメなんだけどの件   作:にゃんころ缶

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 お待たせしました! 二十五話です。


二十五話 テンペストでの生活の始まり

 

 

 朝日が窓から差し込み、わたしは睡眠状態を切り体を起こすと、うーーんと伸びをして、隣のベッドで寝てるカヤに目を向ける。

 

 ……この子は、どうやればあんな寝相になるのよ。

 

 睡眠状態にして、尚且つ本当に寝てるような感じにしたいとか、無駄に変な所に拘るのよねぇ。しかし、見事な大の字で寝てるわね、あ、お腹掻いてるし本当に寝てるようにしか見えないとか、寝相が人間だった頃と同じね。

 

 そこへ、コンコンと部屋の扉を叩く音がする。

 

「どうぞ、起きてるから入って」

「おはようございます、モモカ様。カヤ様は、まだお休みでございましたか」 

 

 ニコニコと微笑みながら、ハルナさんが部屋に入ってきた。

 

「朝食の御用意が出来ましたのでお呼びに来たのですけど、いかが致しましょう?」

 

 チラリとまだ睡眠状態のカヤの方を見て、ハルナさんがモモカに問うがモモカは叩き起こすから大丈夫、ちょっと待ってもらえるかしらと返すと。では、部屋の外でお待ちしてますと一礼して部屋を後にする。

 

「カヤ。いいかげん起きなさい、朝ご飯できたそうよ」

「……ぁ、あふ~ んー おはよ」

「おはよう。さっさと通常状態にしなさいな。ハルナさんが待ってるのよ!」

 

 あいあいと返事をしながら、カヤはいつもの着物を魔素で作り大きな欠伸を一つすると、腰に巻いた角帯の二つ目と三つ目の間に指を入れて隙間を作りそこに千鳥を指し、下げ緒を軽く巻くといいよ~ 行こうかとモモカに声をかける。

 

ハルナさんに案内され、モモカとカヤは大きな食堂に連れてこられ奥の席にリムルとシュナが座っており、モモカ達の姿を見つけると手を上げここだと言うように手を振った。

 

「おはよう。リムル、シュナ」

「おはよ~ リムル~ シュナ~」

「おう。よく眠れたか? モモカ、カヤ」

「おはよう、モモカ。おはよう、カヤ」

 

 モモカはええ、久しぶりにねと笑顔で答え、カヤは本当は睡眠なんか要らないけど何百年経っても寝ようとするんだよねと笑い答え、それに確かになとリムルも笑い答えた。

 

 朝ご飯は、フレンチトースト、ベーコンエッグ、コーンクリームスープと言う食べ物を御馳走になり、これがまた美味しくカヤが遠慮なしにお代わりをしていた。

 

 ひとしきり皆食べ終わり、コーヒーと言う物が運ばれてきてカヤがなにこれ?真っ黒いし、ここは泥水を飲むの? と言うとシュナがこれは食後のお茶で紅茶とまた別の飲み物と説明してくれて、紅茶と同じくミルクと砂糖を入れて飲んでもいいしそのまま飲んでも構わないのですよとにこやかに告げる。

 

 二人は最初そのまま飲んでみるも、「「にがっ」」と声を出しモモカはミルクと砂糖を少々入れて飲み、カヤはミルクも砂糖もダバダバ入れるとリムルにそれじゃカフェオレだぞと笑いながら言われ、俺もカフェオレは好きだがなと同じようにして飲む。

 

 コーヒーも飲み、人心地ついたところでリムルが『思念伝達』と『思考加速』を使い四人を繋ぐと、シュナがこの世界の仕組みや習慣、文明、各国々の事、そしてこの世界に住む魔物や人間、使う言葉の意味など二人にわかりやすく説明をしていきリムルは、この世界の貨幣、経済、そしてリムルの住んでいた日本の映像記憶を見せてもらった。

 

 モモカはビルの立ち並ぶ風景に驚き、カヤは自動車や飛行機を見て鉄の馬と鳥が動いてるじゃんと、リムルからしたらお決まりの言葉が返ってきてやっぱり、お前らの時代の者からしたらそう言う反応になるんだなと。

 

 これが科学と言う物が発展した未来の日本で世界ではあるが、失ったものも多々あるんだよなぁとしみじみ言い、少し遠い目をしてまた話の続きを続け二人にお前たちの名前は生前の名前かと聞くと、モモカは百佳とカヤは夏夜とこの漢字を使うと答え。ほおぉ、良い名前だなと言われ。

 

 モモカは少しはにかむ様に俯き加減になり、カヤはニャハハ、そう? と笑い誤魔化す。

 

 体感三時間位の説明と話をしたが、現実世界では三分も経ってはおらず、カヤがほんとこのスキルというのは反則級だよねと笑い、リムル、モモカ、シュナも笑い頷いているとこへ一人の鬼人が来る。

 

「リムル様、ご依頼されていた件、何とか目処がついただよ」

「おぉ! クロベエご苦労だったな。この二人が昨日話したモモカとカヤだ」

「これは、お初にお目にかかるだ。モモカ様、カヤ様」

 

 二人は、クロベエの挨拶に、にこやかに挨拶を返しリムルがモモカの槍の穂先の打ち直しの件告げる。

 

 ここではなんだからよろしかったら自分の工房で見ていいだかと告げ、それにリムルが了承しシュナは厨房に用事があるのでと厨房の方へと向かい三人でクロベエの工房へ向かうことになった。

 

 工房へ着き、クロベエはモモカから槍の穂先を受け取り、しばらく色々な角度から

見たりしてブツブツと何か呟き見入ってる姿に、モモカはクロベエのことを鍛冶師

として達人なんだろうと思う。

 

「なぁ、クロベエ打ち直しできそうか? 忙しければ他の者に任せるか?」

「……かなり難題だども、できるだよリムル様。それに究極の金属(ヒヒイロカネ)はオラにしか打てねぇだよ」

「あぁ、そうだったな。で、モモカまた槍にするのか?」

「いいえ、そうね……小太刀に打ち直してもらえるかしら?」

 

 モモカの願いに、クロベエは柄の部分を取ると刃渡りは約四十センチ位になると両人差し指でこの位と見せ、小太刀は無理だから小脇差になるだよとモモカに説明をした。

 

 モモカはそれでいいのでお願いしますねと言い、鍔は一回り小さくしてと言うと理由を聞かれ、それは技によって順手、逆手で持ち方を変えるのでと答え刀身の反りも少し入れて欲しいとお願いし、クロベエはわかっただと頷く。

 

 そうしてモモカは、今はお金の持ち合わせがないので料金はしばらくまって欲しいと言うと、リムルが答えるより先にクロベエが、こんな業物打ち直しさせてもらうので料金は要らないと言う。

 

 そのかわり納得のいくまでやらせて欲しいと逆にお願いをされモモカは、深々と腰をおりお願いしますと礼を述べた。

 

「だそうだ、モモカ。それでいいか?」

「ええ、ありがとうリムル、それにクロベエさん」

「モモカ様、オラはクロベエでいいだよ」

「わかったわ、クロベエ。お願いしますね」

「まかされただよ! モモカ様」

 

 槍の穂先の打ち直しの話をしてる時、カヤは、工房にある一つのナイフに興味を持つ。

 

 そのナイフは柄頭に指を入れるリングが付いており、刃が内側に湾曲していて変わった形状のナイフだった。

 

 最初小指をリングに入れ鎌みたいに振ったりしてたが、どうにもしっくりこなかったので、左人差し指をリングにいれ眼前に構え左手首の後ろに右手を開き軽く添え、そのままヒュヒュッと振り左手首を内側に返したまま右手はへその辺りで掌を少し開いたまま止めたのを見て、リムルが感心の声を上げ流石戦国時代を生きてきただけあって、様になってるなと言う。

 

「そのナイフ、カランビットナイフと言ってな俺の記憶にあった物を作らせたんだが、使い方は俺も知らなくてなぁ。誰も使えずにそこに置いてたんだが、カヤ使い方わかるのか?」

「いやぁ、知らないんだけど鎌を使った戦い方も教えられてたから、それの応用で振ってみたんだよ」

「カヤ。今の振り、相手の手首をそのナイフで引っ掛けて右手で手首を極めて、膝の内側を斬って更に右肘の内側を斬り、止めで首を刈ったという所かしら?」

「そそ。鎌術の型をちょっと変えて……そうアレンジというやつだよ」

 

 カヤは、さっそく覚えたての新しい言葉を使い、モモカの問いに答える。

 

 モモカもカランビットナイフに、興味を惹かれもう一振りのカランビットナイフを取るとカヤと向き合い、お互いに演武のように型を繰り出し、その流れるような動きにリムル、クロベエ共に見とれていた。

 

 一件美しく見える動きも、全て急所を狙い即座に相手の命を断つまさに暗殺術であり、自分達は暗殺者だと言った言葉に嘘がないその動きに。俺のいた時代は、ほんとんどこんな日本古武術は失われたんだよなぁ……リムルは静かに呟く。

 

 ひとしきりナイフを振り満足したかのように二人は軽く笑みを浮かべ、そこへリムルが声をかけそのナイフいるかと尋ねると、カヤが嬉しそうに答える。

 

「え!? いいの? 短刀が欲しかったんだよ、これ気に入ったからくれるなら嬉しいよリムル!」

「あら、いいのリムル? わたしも気に入ったからくれるなら、ありがたく頂くわ」

「おう! 使えるならもらってくれ! 使われずにそのままなのもあれだしな。遠慮なくもらってくれ!」

 

 二人は嬉しそうに受け取ると、カヤとモモカは角帯の前側に差し何度か抜き差しして差し位置を確かめて「「ありがとう」」とニコニコしながら礼を言い、そのナイフも究極の金属(ヒヒイロカネ)で出来てるだよとクロベエから説明され、二人の魔素が馴染むと成長するからオラも楽しみだよとにこやかに言う。

 

 モモカ達は一通り話が済むと、クロベエの工房を後にする。

 

 リムルがこれからどうするかと聞き、モモカ達は街の散策に出ると告げ、じゃあ俺は執務室にいるから、何かあったらそこへ来てくれとリムルが返し二人は、そこでリムルと別れた。

 

「さてと、じゃあどこへ行く? カヤ」

「う~ん なんか肉を焼くいい匂いがするからそっち行ってみようよ」

 

 鼻をスンスンとしながらカヤは歩き出し、モモカはほんとお肉好きよねぇと半ばあきれ顔で笑いカヤに伴って一緒に歩き出す。

 

 商工業地区から観光娯楽地区へと挟む大通りに出ると、色々な屋台が立ち並びそこからカヤは一際美味しそうな肉を焼く屋台の前に立ち、串に刺した肉を焼く様を、じーっと見詰めていた。

 

 そこはゴブイチが不定期に出す、串焼き肉の専門屋台で昼前に向けて次々と焼いており、既に串焼き肉を求めて人間や魔物達が集まり始め、手伝いのゴブナが忙しそうに接客をする姿があった。

 

 カヤはゴブナと目が合い、ゴブナが営業スマイルでニッコリと微笑む。

 

「ご注文は決まりましたか?」

「え? あぁぁ、見てるだけだからもう行くね」

「カヤ様とモモカ様ですよね?」

 

 ニコニコと微笑みながらゴブナがカヤに聞き、うん、何で知ってるの? と問うと『思念伝達』で回ってきたので、配下の者は皆ご存じですよと返されあぁ、そうなんだ~ よろしくね~ とカヤも返した。

 

「では、今日はリムル様のご友人に御馳走しますので、お好きなものを選んでくださいね」

 

 その言葉に、え? いいの? じゃあと、焼かれてる串焼き肉を選び始めた。

 

「うーん」唸りながらスパイシイな匂いの串焼き肉を選ぼうとしたが端の方に五本ほど避けて焼いてる串焼き肉に目が止まり、これでいいと指を指す。

 

 その五本だけ塩のみで焼かれており、ゴブイチが時折指でパラパラと塩を振るのを見て、これが多分一番美味しい串焼き肉だとカヤは思った。

 

「あら~ それに気づいちゃいましたか~ それわたし達のお昼なんですよぉ。ここだけの話なんですけど、塩のみでやくシンプルでいてとても難しい味付けなんです。わたし達の密かな楽しみなんですよ。それに目をつけるなんて流石ですね」

 

 カヤの耳元でコソコソとゴブナが話し、ゴブイチがゴブナにニヤリと笑みを見せ、焼いてる五本の串焼き肉を差し出した。

 

 串焼き肉を受け取り、ゴブイチとゴブナにお礼を言うと少し離れた所にあるベンチに二人腰掛け、カヤが串焼き肉を一本モモカに渡す。

 

 さっそく貰った串焼き肉を頬張るカヤ、ゆっくりと噛むと解れるように肉が割れ 肉汁が口の中に広がり振ってある塩と混ざり、絶妙な味に変化する。

 

 うまい! 思わず口に出し腰の酒蔵君を取るとにごり酒の方をゴクゴクと飲み、一気に三本の串焼き肉を平らげ、残り一本はモモカに渡しモモカも酒蔵君を頂戴と手を出し、クピクピと飲み黙々と手に持った串焼き肉を頬張り、またにごり酒を飲んでいく。

 

「カヤ、ドブロクの方はもうあまり残ってないんじゃない?」

「うん、あと樽一つ分くらいかなぁ」

 

 モモカの問いに酒蔵君を振りながらしみじみと返し、にごり酒の方はまだ持つけどもと口にくわえた串を、ピコピコしながらカヤは呟く。

 

 あの林檎のブランデー美味かったな~ 流石にただでちょうだいは礼儀知らずにも程があるし、お金稼がないとねぇ……。

 

「どうやって稼ぐかなぁ……冒険者向けのダンジョンは今修復中で開店休業らしいし。まぁ、暗殺の仕事などあるわけないしねぇ。リムルの配下もまだお給金なくてポイント制とか言ってたな、ポイントでスペシャルランチなる物が食べれるって、シオンが言ってたな、しかも競争激しいらしいし。うーん やっぱり悪党でもコツンして、お金もらうかな」

「やめなさい。あんたここでコツンは禁止ってリムルに言われたじゃない。そもそも、あんたが軽くコツンしたら人間など即死するわよ。だいたい手加減苦手なあんたが、ちょいコツンでも、えらいことになるしね」

「ううぅー そうだった、リムルに暴力禁止って言われたんだ。撫でる位なら大丈夫かもよ?」

「だから、やめなさいって! 撫でて首ポキンといったら、どうするのよ。とばっちりは、ごめんだからね!」

 

 カヤは猫耳を伏せ気味に膝を抱え身体を揺らしながら、だーってー とブチブチ文句を言ってたがモモカはそしらぬ顔で、食べ終えた二本の串を左横の少し離れた所にあるゴミ箱にヒュヒュッと投げる。

 

 カラカラっと音を立ててゴミ箱に入っていき、カヤも口にくわえた串を次々とプププッと吹き、三本ともゴミ箱に見事に入っていった。

 

 うだうだと話してると真向かいに見える路地裏から、またやられた、よしもう一回など男達の騒ぐ声が聞こえてきて、二人が耳をピコピコさせてその騒ぎを聞き顔を合わせてニヤリとしながら「「博打だ!」」と声に出し、その騒ぎ声がする場所へ二人揃って歩いていく。

 

 その場所に着くと、十数人の人間の男達がテーブルの上に逆さに置いた木のコップの前に銅貨や銀貨など置いて、どうやら逆さに置いたコップに一枚だけ銅貨が入っており、三つのコップを互いに早く動かし、最終的にどのコップに銅貨があるか当てる博打らしい。

 

 胴元(どうもと)の男達は三人いて、体格のいいデカい男と、スラっとした目付きの悪い男とでっぷりと太った男だった。見たところ冒険者くずれのように見えシュナから聞いた冒険者ランクで言うとデカい男がA-で残る二人がB+と、一隻眼で見たカヤがモモカに教えていた。

 

 次の賭けが始まる合図に、コップを動かす目付きの悪い男が真ん中のコップと右側のコップに手を置き真ん中と右を入れ替え次に右、左、真ん中、左と、速いが目で追えない速度ではない一定の速度でコップを入れ替え回していく。

 

 すると入れ替える速度が増し、刹那常人では捉えらない速度でコップが動いた、そしてコップが止まり大男の掛け声で、また見ている客達がここだと言うように、銀貨や銅貨をコップの前に置いていく。

 

 左目の審美眼で見ていたモモカが、カヤに今手の動きを加速させたわよねと聞き、うん、スキルじゃなく身体強化の魔法だよねと答える。

 

「なるほどねぇ。一定のスピードで目を慣れさせて、そこで一気に抜く感じなのね」

「あれだよね、こういう単純なのって、意外に引っ掛かりやすいんだよね~」

「多分殆どの者が、真ん中に賭けるんじゃない?」

 

 コップを動かす男の動作を観察していた二人は、自分達から見て左が当たりと判っていたがやはり皆真ん中に賭けて、右三人、左一人と完全にコップを動かす男にしてやられていた。

 

 コップが開けられハズレを引いた男達は、口々にまたやられた!、くそ、ちやんと見てたのになぜだ!、様々な嘆きや、怒りを吐き出し胴元の、次は掛け金二倍のサシの勝負だ! 受ける奴いるかとの問いにそこにいる男達が一斉に手を上げる。

 

 どうも、これが本命で大勢の時は賭けれる貨幣の枚数は決まっており、二倍サシの勝負の時がここにいる男達の本気の勝負らしい。

 

 通常は一枚掛けオンリー。一枚掛けて勝てば、掛け金が銀貨一枚なら戻り一枚の計銀貨二枚で、負けは掛けた銀貨一枚のみ取られるだけである。

 

 二倍掛けは、枚数制限十枚迄掛けられる。

 

 但し負ければ、もし金貨十枚掛けの場合、親に更に金貨十枚払わなければいけない。

 勝てば大きいが、負けも大きい、ハイリスク・ハイリターンなのだ。

 

 次々に負けていく男達の叫び声と嘆き声が、路地裏に響き賭場を後にしていく。

 

 カヤが、あと銀貨三枚しかないぞ! とブツブツ言ってる隣の中年の男に下から覗き込むように声をかけた。

 

「ねぇねぇ、オッチャン、その銀貨六枚にしてあげようか?」

「あぁ! 獣人のガキがなに言ってんだ。お前あれが見えるのか?」

「うん、実は見えるんだよ~ 目はいいからねぇ~ 負けたらあたしが全部払ってあげるけど、どう?」

「ほんとか?……」

 

 お金を持ってないにも関わらず負けたら払うとカヤが言うのを、モモカは静かに聞いており中年の男は訝し気に顔を歪めながらも、その誘いを受けカヤから報酬は銀貨一枚の条件も飲み、尻尾で背中を一回トンと叩くのが真ん中、二回が右、三回が左とヒソヒソト打ち合わせをして、カヤは中年男の横に腕組みをして立つ。

 

 中年男が次は俺だと言い、銀貨三枚をバンとテーブルに叩きつけるように置き、サシの二倍勝負が始まった。

 

 コップを動かす男の手が凄まじい動きでコップを入れ替え回していく、既に中年男は銅貨入りのコップがどれかわからなくなり、額に大粒の汗を浮かべ青ざめていた……そこへ、コップを動かす手がスッと止まり両手を広げ。

 

 さぁ、どのコップが当たりか、どうぞお選びくださいと告げる。 

 

 カヤが中年男の背中を、尻尾で二回トントンと叩く。

 

「み、右だ!」中年男が叫ぶようにコップを指定し、目付きの悪い男が右のコップを開けるとそこに銅貨が入っており、あなたの勝ちです銀貨六枚をどうぞと差し出し中年男は嬉しそうに銀貨六枚を掴むと、その場からそそくさと足早に立ち去ろうとして、カヤに報酬と呼び止められ、シブシブと一枚渡し観光娯楽地区の奥へと消えていった。

 

 ピーンと銀貨一枚を右親指で弾き、パシっと右手で掴むとニヤリと笑い、胴元達の方を見る。

 

「カヤ、あんた悪い顔になってるわよ。フフッ」

 モモカも言いながらニヤリと、口端を少し上げた。

 

 

 今も二倍賭けの勝負に熱くなってる、男達の所へ二人が割って入る。

 

 

 

 

 

 




 ここまで読んで頂き、本当にありがとうございます!

 引き続き読んで頂ければ幸いです!










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