転生したらネコムスメなんだけどの件   作:にゃんころ缶

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 お待たせしました! 二十六話です。


 胴元(ドウモト)(賭場での主催者とか関係者などを指します)





二十六話 街の散策

 

 

 二倍賭けに熱中する男たちの中に、カヤとモモカが静かに割って入り、一瞬さっと喧騒が収まり男達が一斉に二人を見る。

 

「おい、ここに住んでる魔物はダメだ! 帰りな」

 

 胴元のデカい男が二人に言い放ち、去れと言うように顎をクィッと動かす。

 

「え? あぁ~ 大丈夫、大丈夫。あたしら余所者だから。ここの住人じゃないよ」 

 

 カヤは、右手をヒラヒラさせながらテーブルに銀貨一枚をパチリと音立て置く。

 

 あからさまに怪しい二人に、胴元の三人は警戒したが、モモカが今日ここに着いたばかりだから少し遊ばせてくれないかしらと、ニコニコ微笑みながら言い袂の中で、ほんの少し警戒心を緩めるよう〝幻心の呪符〟を発動させていた。

 

「あぁ、そうか、ならいい。ルールは知ってるな!?」 

「うん、大丈夫だよ。やろうか」

 

 呪符の効果に二人はほくそ笑み、二倍賭けの勝負を始める。

 

 最初と二回目はカヤが勝ち、三、四回目は負けて次は勝つという勝ち負けを繰り返しながらいつの間にかカヤの銀貨は五十枚まで増えていた。

 

「ゴイザ、いいのかこのまま勝ち負け繰り返しててても、少しずつこちらの儲けが減っていくぞ」

 

 目付きの悪い男コルトラが、デカい男のゴイザに小声で伺いを立てる。

 

「おい、カルラク。今日の儲けは後どのくらいだ?」

 

 でっぷりした男カルラクにゴイザが問う。

 

「んーー。さっきので今日の儲け、三分の一は持っていかれたかもー」

 

 ゴイザはチッと舌打ちをすると、コルトラに次で仕掛けろと指図する。 

 

 じゃあ次で最後なのでとコルトラが言うと、カヤは銀貨五十枚全部をテーブルにジャラーッと置き、「全部かけるね」と二コニコしながら言う。

 

 ではいきますとコルトラがコップを回し入れ替え始める。緩急を付けつつ徐々に手のスピードを加速させ、もうそこにいる男達の目にはコップの動きを捉えられなかったがカヤの目は忙しなく、クリッ、クリッと動きコップを追いそしてコップを動かす手が止まり、コルトラが両手を広げた。

 

「うーーん。真ん中かな」

 

 カヤが真ん中のコップを指差し、コルトラが真ん中のコップをいつもより下側を掴み開けようとした瞬間、カヤと目が合いカヤが口端を上げニヤリとすると、コップを開ける手が止まり、コルトラの頬横をツーっと一筋の汗が滴り落ちる。

 

(こ、こいつは、わかってるのか…… 俺がやろうとしてることを……小指でコインをかすめ取る技を、見抜いてるのか……)

 

 ゴイザが小声で何してる早く開けろと催促するも、固まったように手が動かず周りの男達も何してる早く開けろと口々に囃し立て、そこへスーッとカヤの右人差し指が伸びてきて逆さコップの底にコツンと当てられ、コップを弾き倒した。

 

 倒されたコップの所には銅貨があり、カヤの勝ちだったというより、そもそもカヤの能力にそこらの冒険者くずれが敵うはずもなく、完全に胴元達が遊ばれてただけである。

 

 で、ではそちらの勝ちですと震える手で金貨一枚をカヤに差し出し、カヤは受け取ると、モモカにやったね今日は何食べようかとウキウキ話しながら観光娯楽地区の奥へと歩き去っていく

 

 コルトラは今日の賭けはお終いだと言い、集まってた男達は方々へ散っていきゴイザが二人に顎をクィッとやりカルラクがテーブルなどを片付け、肩に担ぎ三人はカヤとモモカの後を追う。

 

 カヤとモモカは路地裏から表通りへと出てしばらく歩くと、また路地裏に入りそこへゴイザ達が周りを伺いながら路地裏に入ると、そこにはカヤがしゃがんで「やっぱり、来たね!」と嬉しそうに言いモモカは「こんなお約束みたいに、バカ?」などと、こめかみを指でトントンと叩き言い放つ。

 

 路地裏で待ち受けてたカヤ達にゴイザ、コルトラ、カルラクは驚き焦るもゴイザが気を取り直し腰の剣に手をやり二人に脅しをかける。

 

「おい、お前らちょっとやりすぎたな、その金貨を渡せ! 最初の銀貨一枚はくれてやる。獣人風情があんまり調子にのると、痛い目みるぞ!」

 

 眉を吊り上げ睨みながら脅し文句を言うも、カヤがウキャキャッと笑いながら「この脅し文句、めっちゃ久しぶりに聞いたよ! どうする?」モモカに聞くとあんたは手出し厳禁だから、そこにしゃがんでなさい、そう告げると。

 

 ゴイザの前に立ち、来るならさっさっと来なさいと言うような顔つきで、微笑む。

 

「舐めるな! このメスガキがあああああ」 

 

 ゴイザはモモカの微笑みに激昂し剣を抜き放ち斬り付けた、が、振り抜いた剣は右手にはなく自分の剣が喉元に突き付けられて困惑していた。後ろにいたコルトラ、カルラクにも見えておらず口をアングリと開けたまま、立ち尽くしていた。

 

 剣が抜かれた瞬間モモカは、カランビットナイフを抜きゴイザの手首に引っ掛けそのまま手首関節を極めて、右手で捻り上げ剣を奪いゴイザに突き付けた。それをモモカの身体能力でやるので、一介の冒険者などには何が起こったのか判るわけなどなかった。

 

 呆然としてたコルトラが気を持ち直しショートソードを抜き、怒号を上げモモカに斬りかかるが、ゴイザに剣を突き付けたまま右足でパンとショートソードだけ蹴り飛ばし、壁際に蹴りやると鳩尾(みぞおち)の辺りを右足で軽く押さえ壁に押し付ける。

 

 ゴイザもコルトラもその場から動けず、ダラダラと大粒の大汗を流すだけで目はカルラクの方に向き助けを求めていた。肩に担いだテーブルを投げ捨て無手の構えを取る。

 

「んもー、二人を離すんだなーー!」怒号をあげ有り得ない速度でモモカに接敵し、パンチを見舞う。

 

 カルラクは動けるおデブ格闘家であったが、モモカは、ゴイザの顎を剣の柄でそっとコツンしてコルトラの顎も掠るように足で薙ぎ、二人を脳震盪で昏倒させ、コルトラが繰り出した左パンチを右手で受け流す。

 

 パンチを受け流され、たたらを踏んだコルトラの足を低い姿勢を取り、カランビットナイフの刃を引かずに押し当てるようにして、足を刈り転倒させる。

 

 グベッ! 何かに押し潰されたみたいな声をあげ、自重の重さと勢いで転倒した衝撃で白目を剥き、コルトラは失神した。

 

 完全に気を失った男三人、ほとんど怪我もさせずに気絶させたモモカの腕にカヤは、相変わらず見事なもんだねぇと他人事のように言い、コルトラの所にしゃがんで腰の皮袋を取ると口紐を外して、中を見ながら手を入れてジャラジャラいわせて銀貨、銅貨が混ざった中から金貨を二枚取り出し一枚をモモカの方へ弾き、それをモモカが右手でパシリと受け取る。

 

「喧嘩売ってきた迷惑料で、貰っていいよね。ウヒヒ」

「いいんじゃないかしら、根こそぎ奪うわけでもないし。フフッ」

 

 金貨二枚を手の中でチャリチャリさせながら、片手でゴイザ達三人を建物の壁に寄り掛かるように並べ、意識が戻るのを待つ。

 

 しばらくして意識が戻ったゴイザ達は、二人の前で正座をさせられ色々と質問され、ゴイザ達は今は地下迷宮の営業が休業中なので、日銭を稼ぐ為に今のギャンブルを始めたと説明をした。

 

「そう。まぁ日銭稼ぐにしても勝ち越した客を毎回襲って、お金奪ってるの?」

「いや、毎回というわけ、でないんで、何と言うか、えーとその、なんだ」

 

 モモカの問いにゴイザは、しどろもどろになり下を向いたまま大粒の汗をポタポタ落とし、コルトラが口を挟むも「毎回じゃなく、その、ですね……たまに、あれなんです」やはり、何か煮え切らないと言うかゴニョゴニョしてるとカルラクが「んも~ 弱そうな奴なら襲うんだな、これが」といきなり吐露してカヤは、「ふ~ん。そんなに、あたしら弱そうに見えたんだ」そう言いながらしゃがんで、ゴイザの顔を下から覗き込んだ。

 

「い、い、いや、決して姐さん達が弱いとか、思っていないというか……」

「いうか?」 

 

 完全に血の気を失い、今にも泣きだしそうなゴイザにカヤが、で、なに?カモだと思ったのかな? 更に追い打ちをかけるように煽ってると、モモカにもうそれくらいにしなさいと、止められる。

 

 とにかくあまり阿漕(あこぎ)な事やるとこの国の上の者が動くわよと言い、ゴイザ達三人はカレラ、ウルティマの事を思い出しブルブル震えだしこの金を全部やるから黙っててくれと懇願したが、モモカは、別にいらないからやるなら程々にしときなさいと告げ、むしり取るんじゃなく、たまには勝たせていい気分にさせて、また次に来てお金を落としてもらう。

 

 有り金全部巻き上げると、碌なことにはならないわよと言う。

 

「わかりやした。猫の姐さん方、本当にすいませんでした」

「猫の姉さんって、う~ん、まぁいいけど。この金貨は貰っておくよ」

「はい。それはもう、では、これで俺たちは失礼します」

「えぇ。くれぐれも程々にね。悪はより大きな悪に喰われるのよ。その覚悟は持っておかないとねぇ。フフッ」

「「「……はい」」」

 

 最後にモモカが微笑みながら、悪をやるならより大きな悪にやられる覚悟はいると言われ、ゴイザ達は首をカクカクさせ頷き、足早にその場を後にした。

 

 

「ニャフッ。典型的な小悪党だったねぇ、モモカ」

「まぁ、あんなもんでしょ、この国では」

「ウルティマ達がいるから、流石にあれくらいしかできないよね。ウヒヒ」

「それに、ソウエイといったかしら、その配下の者が一人監視してたし治安は守られてると、言ったところかしらねぇ」

 

 そういや、隠密だか何かの集団って言ってたよね、などカヤが言うとモモカが藍闇衆(クラヤミ)だったかしら、そこの(かしら)と聞いたわねソウエイは。

 

 歩き喋りながら、二人は今夜の宿はどうするかなど話してると、一件の宿屋を見つけた。

 

 一階は酒場と食事処で二回が泊まれる所になっており、朝食付き一泊一人銀貨二枚だったのでとりあえずそこに宿を取り、また街の散策に出る。

 

 ブラブラしてると、小さな食べ物屋をカヤが見つけ肉の匂いがすると言って店に飛び込んでいく。仲に入りカウンターの前に行くとカウンターの中にいる受付のお姉さんがメニューを出して、何になさいますかと注文の伺いを立ててきた。

 

「えー、と。はん、は、はんばか? 半分バカになるのか?」

 

 カヤのいつもの頓珍漢なもの言いに、モモカは額に手をやりあんた猫耳壊れてるのに目も壊れたのなんて、はぁっ……一度リセットして、身体再構築しなさいなと呆れ声で言い放つ。

 

「それ、ハンバーガー。チーズ、テリヤキ、とか色々あるから好きなの頼みなさいな。まったく……。あっ! わたしは、テリヤキというのをお願いね」

「壊れてないし! ほんとモモカは小さいことに拘るよねぇ。……えーっと、あたしチーズでいいや」

 

 さりげなく文句を返すと、モモカが小さくフフッと笑ったのを察知し、即座に注文をしてハンバーガを受け取り、奥の二人用向かい合わせのテーブルに座る。

 

「おぉー。このトロリとしたチーズという物と、肉をすり潰して焼いたものにパンなる物で挟む、中々にいけるね~。葉っパ(野 菜)はいらないんだけどね」

「ほんと。こっちは甘みがあるタレで味付けしてて、美味しいわねぇ」

「でも、この金貨で払って、釣り銭の銀貨が九十枚以上袂でジャラジャラするの、鬱陶しいな。銭入れほしいかも」

「そうね。食べ終わったらシュナの所で、聞いてみましょうか」

 

 二人は食べ終わるとシュナの工房にいき、カヤが銭入れ欲しいんだけど売り物ある? と聞くと、少し待ってと奥に行き二つの道中財布なる物を持ってきた。

 

 それは袋状の長方形の形をしており、クルクルっと巻いて上部に付いた紐で真ん中を結んでいた。紐を解き広げると上に小さい魔石のボタンが付いていてその魔石に触れると口を開き、もう一度触れると口が閉まるようになっていた。

 

 そして、下側には内ポケットがあってそこにも入れられるようになっていたが、この財布の特質すべきな点を、シュナが説明をする。

 

「この、財布は中に収納空間があってですね。かなりの量の貨幣が入るんですよ」

「へぇ~。酒蔵君と同じ原理かぁー」

「ふふふっ。そうですね、以前から研究してたのですけど、これはその試作品ですので、

どうぞ、使ってくださいな。デザインはリムル様の見せてくれた映像にあった物を参考にしたんですよ」

「いいの? そんな貴重な物を貰って、いいのかしら?」

「えぇ。ラコル達を助けてくれた、私からのお礼です」

 

 ニコニコと微笑みながらシュナは、紺色の道中財布を手渡すとカヤがさっそく銀貨をジャラジャラと入れて、クルクルっと巻いて紐で結び懐にいれて、これいいな、ありがとう! とお礼を言いながら工房にある服を見渡し、手に取って見入っていた。

 

「ありがとう! シュナ。助かるわ、このお返しはいずれ」

「いいのですよ、モモカ。気にしないでください」

 

 モモカとシュナは顔を見合わせてフフッと笑い合い、工房で作ってる服やインナーの説明を丁寧にカヤとモモカにしていく。

 

 モモカ達が着物の下に魔素で作ったサラシを胸に巻いてるのを見て、こういうのはいかがかしらと動きを妨げず尚且つ見えても大丈夫なスポーツインナーブラを見せて、実際にカヤが付けて動いてみて、中々いいな、これ、そう言いながら身体を動かすカヤ。

 

 よし魔素で作ろうと言い、黒色のスポーツインナーブラを魔素で作った。

 

それをみてモモカも同じように黒色のスポーツインナーを作り、あら、ほんと中々いいわね。

 

 見えてもいいなんてカヤにピッタリじゃないと笑い言い、シュナも口元を押さえてクスリと笑って、それにカヤが口を尖らせて「人に見せる趣味はないぞ!」と二人に文句を言うと、周りのゴブリナ達も釣られて笑いだし更にカヤが「笑うな―!」と重力支配で足に力場を作り、地団駄を踏んでテンペスト全体を微震程度に揺らし、「やめんか! バカたれ!」とモモカのゲンコツがカヤの頭に、炸裂する。

 

 ううぅーっ、呻き声をあげ(うずくま)るカヤにお説教をするモモカの声がシュナの工房に響き渡っていた。

 

 次の日盛大にリムルから怒られ、「次やらかしたら、罰あたえるからな!」そうリムルに言われ「罰? 罰ってなに!?」と詰め寄るも罰は罰だと言い。

 

 もういいから、次から気を付けるように、そう告げるとちょっとまて! 罰の内容を教えろと地団駄を踏もうとすると、ズゴーンと凄まじい音と共にカヤにモモカのゲンコツが放たれた。

 

 白目を剥き、その場に倒れたカヤの首根っこを掴み。「ごめんなさいね、リムル。この子にはよく言い聞かせるから。次やらかしたら、燃やすので大丈夫」

 

 ズルズルとカヤを引きずりながら言い、執務室を出ていった。

 

「容赦ないな、モモカは」

 

 苦笑いしつつリムルは、二人の出ていったドアを見ていた。

 

 その場にいたシオンは「テンペスト全体を揺らすなんて、非常識です!」プリプリ怒りながら言ってるように見えても何故か口元が少し緩んでいて、お茶の用意をしていたディアブロはフッと軽く苦笑いにも似た、笑みを浮かべる。

 

 

 学習しない女、いやネコムスメ、カヤ。

 

 怒ると怖いネコムスメ、モモカ。

 

 ありふれたテンペストの日常に、ほんの少し寄り添うように近づく、ネコムスメ姉妹。

 

 




 ここまで読んで頂き、本当にありがとうございます!


 引き続き読んで頂けると幸いです!




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