ここは地下迷宮にある、秘密の地下闘技場。
そこから何やら、戦う者同士の声が聞こえて来る。
「うりゃああああ」
「あまい! それはもう見た」
「なら、これでどうだー」
激しい拳の連打音が響き、爆発音と爆炎の中からカヤとウルティマが飛び出してきて、拳と蹴りの応酬を繰り広げていた。
「うにゃーー! 〝
「
キュボン! 右正拳突きから発せられた衝撃波が、収束された魔力ジェットとなりウルティマの多次元結界を貫き腹部に拳大の穴が背中まで貫通し、返すウルティマの貫き手はカヤの鳩尾辺りに、指の第三関節まで刺し込まれていた。
カヤは右拳にスリバチ状の凹型円錐状空洞を結界で作り、その内側で魔力爆発を起こし、その魔力爆発衝撃波が円錐中心に流れ集中し、中心軸に沿い方向を変えてスリバチ上方に向かって超高速の魔力爆発の噴流が作られ、ウルティマの多次元結界を貫いたのである。
リムルの元いた世界の技術の応用であり、俗にモンロー・ノイマン効果と呼ばれ、成形炸薬弾などに使われた技術で、シエルがリムルの記憶から探り当てていた。
リムルが三上悟の頃にネットなどで知り得た知識をシエルは積極的に掘り起こしており、帝国の技術将校から手に入れた情報などから、シエルが完全復元しラミリスの研究室に、リムルを通じて資料として渡していたのである。
それを偶然見たカヤが
カヤは胸に手を当て前屈みに歩きながらウルティマにブツブツと文句を言い、ウルティマはそれに淡々と返し、二人は休憩室に向かう。
「だ・か・ら、その死毒はやめろって、言ったよね。解毒に、めちゃくちゃ手間が掛かるんだぞぉ」
「カヤこそボクのお腹に穴を開けたから、お相子だよ」
「いやいや、これめっちゃ痛いから! 痛覚無効が意味なさないし!」
「リムル様から頂いた大事な体に穴を開けるなんて、普通なら万死に値するんだよ。それに文句を言いながら解毒するなんて、普通は出来ないんだけど。カヤはバカなのかな?」
「ほえ? バカとはなんだー 手合わせ代、値上げするぞーー!」
「そもそも、そう言いながら解毒してるのが、バカげてるんだけど。それにカヤの技は、
魔力回路が乱されて、再生回復に手間が掛かるから、お相子だよ」
「うにゃにゃ、ぐぬぬぬぬ」
完全に言い負かされて不貞腐れながらドカッと椅子に座り、その勢いでギシリと椅子が悲鳴を上げる。
「なあカヤ、あの技この間シオン殿に試した技じゃないか?」
「お、察しがいいねー カレラ」
「あれかしらね、リムル様が転生される前の世界で使われてた、技術とか?」
「あたりー テスタロッサもよく気がついたねぇ。ラミリスに原理教えて貰って、一緒に開発したんだ。えーと、たしか、〝モンキー・ノンベエ〟効果って言ったかな」
「カヤ。それ、〝モンロー・ノイマン〟効果と言うんだよ。これじゃあ、ラミリス様も苦労したんだろうね。モモカが言ってた、カヤの耳は壊れてるって、ほんとなんだね」
「ウルティマー! あんた明日から、手合わせ代二倍ね!」
「それは無理。契約上には料金値上げに関しては、リムル様の承認がいるから、ちゃんとリムル様から承認取って来てね」
「リムル……あー そうだっけ? うん、いいわ。値上げ無し」
リムルからの承認と聞いてあっさり引き下がり、テーブルに置いてある酒蔵君を掴み、中に入れてあるシュナ特製レモネードをグビグビ飲んでいく。
「カヤ様は本当に、我ら悪魔族と本質が同じように見受けられますね」とウルティマの執事ヴェイロンが、紅茶を配りながらカヤに声を掛けてきて、カヤは「人間の頃は、殺し合いばかりしてたからなぁ。だからじゃないの。フヒヒ」と返し、ヴェイロンの置いた紅茶に、角砂糖三個にミルクをたんまり入れて、クピリと飲んでいく。
「あー そうだ。テスタロッサ、吉田さん所のケーキご馳走する約束、何時がいい?」
「そうねぇ。明日は西方評議会で外せない案件があるから……二日後でどうかしら?」
「あいよ。二日後ね」
「ねえ、カヤ。ボクはお呼ばれしてくれないのかな?」
「そうだな。私もお呼ばれはないのか?」
「あー いいよ、来ても。モモカも来るしね」
「なら、決まりだね」
「そうだな!」
「あ、二人共、ご馳走はテスタロッサだけだから、あんたらは自腹だよ」
「「え?……」」
来てもいいと言われたが、ケーキは自腹とカヤに言われ、二人は一瞬考えるも参加する事を優先した。
そもそも、つい最近カヤとモモカがテスタロッサに頼みごとをしたと言う情報をウルティマが入手し、カヤとモモカにどういう事か聞くも、別に大したことではないと言いはぐらかしていたら、カレラもその事を聞き付け「何を頼んだんだ? 教えてくれないか」と二人に詰め寄るが、やはり大した事ではないよと一蹴されていた。
その事がありウルティマとカレラは、例え自腹でも行くことにしたのだ。
要は、何か隠れて楽しいことやってない?
しかし、これは〝
それからカレラとの手合わせを終え、「今日の手合わせは終わりー」そう告げてカヤは秘密地下闘技場を後にし、夜迄ヴェルドラの所でマンガを読み、ラミリスとオヤツのドーナツを取り合ったりして、時間を潰していた。
その頃リムルの執務室に、ブルムンドからフューズの使者が来ていて、最近ブルムンドに出没する黒い影みたいな魔獣の事を告げ、今のところ死者は出てないが、神出鬼没で正体が掴めず、リムルの所へ調査協力願いの親書を携えて来ていたのである。
使者は親書を手渡すと、すぐにブルムンドへと慌ただしく帰って行った。
「うーん、黒い影みたいな魔獣って、いたか?」
「いえ、俺は聞いた事も、見た事もないですね」
「そうかー。ベニマルも知らないとなると、新種の魔獣なのか……」
「とりあえず、調査隊をブルムンドへ向かわせますか?」
「そうだなー。ミカエルの差し金か……あるいはカヤ達の追ってる奴に関わる事かもしれないし、どちらにせよブルムンドでは手に余るかもな。よし、何が起こっても素早い動きのできる少数の調査隊を作ってくれ、ベニマル」
「了解しました。リムル様。それで、この件はカヤ達には知らせますか?」
「ああ、俺が伝えておくよ」
リムルは、ちょうどソウエイの所へ来ていたモモカにこの事を告げ。それを聞いたモモカは、「そうですか。こちらでも、探ってみますね」と言いブルムンドへ空間転移して行った。
ブルムンドへ着いたモモカは、街中を散策しながら『万能感知』で辺り周辺を探っていく。
その時微かに見知った気配を感知したと思ったら、すぐにその気配は消えており『万能感知』の範囲を更に広げ探知して見たが何も感知できず、雑多な気配ばかりが辺りを埋め尽くす。
「気のせいか……な。何も感じないわね」
モモカは目線だけ動かし周囲を見回してブツブツ呟きながら、街はずれへと歩を進めていく。
そのモモカを離れた所から見る、女性がいた。
「あれは、モモカ?……そうですか、あなた達もこの世界に来たのですね。しかし、どのような手段を使ったのでしょうか。とりあえず、オトワ様に報告をしなければ」
モモカの姿を見たジラはオトワに『思念伝達』でモモカ達がこの世界に来てる事を告げる。
『ほお~ あ奴ら我を追ってこの世界に来たか。さすれば、あ奴らも進化したのかも知れぬな』
『進化ですか。しかし、どのようにして進化したのでしょうか?』
『ふーむ。我が回収し損ねた魂を喰ろうたのであろう。あ奴らは、あの世界ではイレギュラーな存在だったからのう。あ奴らには精霊獣界の魂の効果が、あったのであろうな』
『そうですか。それでは、いかように致しますか?』
『手筈通りだ、ジラよ。邪魔をしたらまた殺せばよい、お前に任すぞ。クカカ』
『了解しました。オトワ様』
『思念伝達』を終えたジラは、モモカとは反対方向へと歩き去って行った。
二日後の昼下がり、お茶会の時間である。
道行く魔物や人達がオープンカフェに集まってるカヤ達を見て、なんだ何か起きるのか? 息抜きにしては集まってるメンツがヤバくないか? などヒソヒソと口にしながら通り過ぎて行く。
吉田さんの店の真向かいにある飲食持ち込み自由のオープンカフェに、カヤとモモカ、テスタロッサ、ウルティマ、カレラに加えて何故かディアブロがいた。
「ねぇ、ディアブロは呼んでないんだけど、なんでここに居るの?」
あからさまに不機嫌な顔で言い放つカヤに、ディアブロは涼し気な顔でモモカにお茶を入れながら言い放つ。
「ククク。私はこのお茶会の時間だけ、モモカの臨時執事できたのですが」
「はあ!? おい! モモカ! なんでこいつが、臨時執事なんだよ!」
「別にいいじゃない。どうしてもこのお茶会に来たいから、臨時で執事はいかかがですかなんて、冗談を通り越しておもしろかったしね。それに、何気に〝
「あぁ? 何してんのよディアブロは!」
「ほんと、ディアブロは抜け駆けするくせに、他者の抜け駆けは許さないなんていい根性してるよね」
「全くだ。それには激しく同意だね!」
「来たものはしょうがないし。カヤがいいのであれば、私は構わないわよ」
テンペストで一番怒らせたらヤバい女性三人に加えてカヤにモモカ、それに男のディアブロを加えたある意味、超危険なお茶会の始まりである。
もう一人、怒らせたらヤバい女性はいるのだが、今日は居ないのであった。
いつもは魔物や人で一杯のオープンカフェも、今日は好奇心旺盛な女性の魔物だけと、カヤ達だけでいた。
「おい、ディアブロ。何が目的なんだ?」
「目的ですか。少し、モモカに呪符の事をお聞きしたくて。クク」
「はあ? なあに企んでるか知れないけど。程々にしないと、モモカ怒らせるとあたしでも、止めれないぞ」
「そこは大丈夫ですよ。きちんと報酬は、お支払いしてますので」
「あー そう。臨時執事やる側が報酬支払うって、本末転倒じゃん! まあ、勝手にモモカとやってくれだわ。ほんと真っ黒だな、黒だけに。キキッ」
「いえいえ、あなたも中々に黒いですよ。ククク」
カヤはにこやかに言い放ち、それにディアブロは事無げに返し、二人は冷ややかな笑みを浮かべ睨み合うもモモカが、「いい加減にしな」とカヤの頭をペシンと軽く叩き、カヤが「はいはい、わかったよ」そう言い、注文してたケーキが運ばれてきたの確認し、テスタロッサの方へ運ばせる。
運ばれてきたケーキは毎日限定数量で売りに出されるケーキで、開店と同時に売り切れる人気のケーキなのであった。
イリア達の一件で貸しを作った二人が、とりあえずのお礼として吉田さんのお店限定ケーキを御馳走することにしたのであるが。
これはお礼であって、貸しを返した事ではないのである。
「まあ、これが噂の開店と同時に売り切れるケーキなのね」
「そだよー 中々手に入らないんだぞ~。味わって食べるように!」
「何、自分がさも買ったように言ってんのよ。開店前から並んでたのは、わたしなんだけどねえ」
「モモカ、細かい事は気にしない気にしない。あ、ヴェイロン、お茶はこの間のお茶がいいな、あれ美味しかったし。ウヒヒッ」
「かしこまりました、カヤ様。そう言われるだろうと思いまして、御用意しております」
「流石ウルティマの執事だねぇ。どこぞの黒服とは違うね!」
「カヤ、後から地下にいきますか? 暇潰しにお相手しますよ」
「やだ。あんたはモモカと遊んでればよろしくてよ。ウホホホ」
「ボクの配下を遠慮なしに使うのは、カヤ位だよ。普通はしないんだけどね」
「ウルティマ。カヤは豪快と言うか、遠慮なしと言うか、面白い魔物だな。ハハッ」
「面白い? カレラ、あたしはヴェルドラみたいに、お茶目じゃないよ?」
「カヤ、そこが面白いと言うのよ。ヴェルドラ様にリムル様以外で、そんな事言えるのは数える程もいないのよ。フフフ」
「テスタロッサ、この子は基本バカだから面白いと言うより、色々残念なのよ」
「バカ言うな、チチ盛りが!――」
――バゴン! 「オゴッ!!」
カヤがモモカに言い放った瞬間に裏拳が顔面に放たれ、鼻を抑えながら「だから、やる前に言えっていったよね!」睨み文句を言うも「だから、なに?」肌が切れそうな目付きで言われ、グリっと反対を向き「ところで、テスタロッサ、ケーキは美味しいかな?」などモモカの怒りを反らそうとするのをテスタロッサはクスリと笑い、カレラは「ほんと懲りないなカヤは。ハハッ」と軽く笑い、ウルティマは「うん、モモカの言う通りだね」と、お茶をコクリと飲み残念そうに軽く溜息をつく。
ディアブロに至っては口端に軽く嗤いを浮かべて、カヤが更にディアブロに絡もうとするやいなやモモカの「お話いる?」その一言で、「いらない」と大人しくなる。
それから、カレラの質問攻めが始まり、いつもの剣術談義を始めた。
「なあ、カヤ。あんたの抜刀の速さは、抜く時の鞘出しにあるだろう?」
「うん、そうだよ。まあ、あたしが人間だった時の世界は、いろんな流派の剣術があったからね。あたしみたいに、鞘を送り出しながら鞘を引く様に抜く流派も多くあったしね。まあ、そこら辺はさぁ、その時の抜刀状況にもよるんだけどね。ようは臨機応変と言う事なのよ。色んな状況から抜刀できるように、鍛錬して使い分ける。だから、普通に定位置での抜刀もするよ。鞘の中を走らせるように刃を抜く。そして、突き詰めれば普通に抜くようにしか見えないから、斬られた相手は大抵何が起こったか判らずに死んでいくよ。アゲーラも抜刀する時は鞘を前に出すでしょ。定位置での抜刀は鞘に手を掛けた瞬間に、この抜刀でやられるよ」
「なるほど。だから私はいつも僅差でカヤに、抜き負けてたのか。アゲーラに免許皆伝のお墨付きを貰ったが、中々に奥が深いな」
「カレラ、免許皆伝は新たな始まりなんだよ。まずは免許皆伝を目指し修行をして、免許皆伝を得て、最初の段階は終わり。免許皆伝を得て新たな修行を繰り返し、独自の技を編み出す。そうして、あたしはすれ違い様の抜き打ち斬りを、編み出したんだ。人間の頃にね」
「ふむ、やはり技量を磨くという事は大事なんだな。私は、まだどこかで身体能力に頼ってるということか。なるほどなるほど」
「そうだね、普通に抜いても、大抵の者には見えないもの」
「しかし、カヤは何百年も修行を続けて来たんだな。ほんとにカヤは面白い! ハハハ」
「面白いって、それ褒めてないでしょ? カレラ。キキッ」
カヤとカレラはお互いに剣術の話で盛り上がり、ウルティマはカレラがリムル様以外であんなに楽しそうに話すのはないよねと、テスタロッサに振り、テスタロッサは、確かにそうねと答える。
その一方でディアブロはディアブロでモモカに、呪符の仕組みに付いて尋ねていた。
術の形態から何を媒介に発動してるのか、そして何故他者が模倣出来ないのかなど、全ての疑問に対しての答えを求める様に聞いていく。
「模倣は難しいでしょうね。わたしの人間だった頃の呪符術を基本にしているし、魔物になってからは独自の手法を組み込んでるもの。もうこれは、わたしのオリジナルと言った方が正解かな」
「ふむ。オリジナルですか……それならば模倣は確かに難しいですね。でも、あなたはこちらの魔法を組み込んでの術式を開発してますよね。これを逆に置き換えれば、模倣もできるかと思ったのですが、あなたのオリジナルとなると、中々に厄介ですね。クク」
「厄介って、言ってくれるわね。あなた、解析でもして模倣する気かしら? フフフ」
「まさか、他人の技に興味はありませんよ。私は、ただ仕組みがどうなってるか知りたいだけですよ。ククク」
「はあ、ほんと食えないわね、あなた。そうそう媒介と聞いてたわね。あれは負の感情を媒介にして増幅、更にそこから
モモカはそう言うと目の前に置かれたショートケーキを、フォークで一口分だけ取り口に入れ、程よい甘さを楽しむ様に噛み締めるとカップのお茶をコクリと飲み、ホッと軽く息を吐く。
その間ディアブロは立ったまま腕を組み、顎に左手をやりながらブツブツと何かを呟いていたが、モモカのカップにお茶が無くなってるのを見るや、すかさず新しいお茶を注いでいった。
「ありがとう、ディアブロ」
「いえいえ。今はあなたの臨時執事ですので。ところで、負の感情とは殺気の事でしょうか?」
「そう、当たり。己の殺気を媒介にするの。それも尋常じゃない位の、殺気をね」
「ふむ。ようは負の精神力と言ったところですか。中々に興味深い、本当にあなた達二人はリムル様と同じ人間だったとは思えない位、魔物向きですね。身内に魔物でもいましたか? クククク」
「いるわけないじゃない。元は只の人間の、暗殺者だもの。フフフフ」
それからも色々とモモカに尋ね、とりあえずは望んだ答えは聞き出せたようで、ディアブロはことのほか満足気に口端に笑みを浮かべていた。
「そう言えば、カヤ。イングラシア王国で、ファルメナス王国から逃げてきた元伯爵の一人が大通りの真ん中で、いきなり首が落ちて死んだという情報を聞き付けたんだけど、これ、キミかな?」
「は? なんで?」
「ボクの聞いた情報では、フード付きのマントを着ていた者がすれ違った瞬間に、チンと軽い金属を叩き合わせた音が聴こえて、その者が通り去った後に元伯爵の首が落ちたと、従者が証言したらしいんだけど。顔はフードを目深に被ってたから見えなかったとも、言ってたんだけどね。これって、カヤだよね?」
「へ~ イングラシアにも腕の立つ奴がいるんだねぇ。よその国で殺しなどしたら、それこそリムル激オコじゃん! あたしじゃないよ」
「あー カヤ。私も君じゃないかなと思うんだが。今さっき話した、すれ違い様の抜き打ちを編み出したと言ってただろう? これ、まんまじゃないか?」
「ほんと、誰なんだろうね~ (かあー 油断も隙もないなこの悪魔達! 白昼堂々の暗殺を、ベゼット達が見たい見たい
一切の感情の乱れも無く、表情も変わらないカヤに、ウルティマは「仕方ないね。そう言う事にしておいてあげる」とあっさり引き、またカレラも、「私達を前にその堂々とした態度は、初めに会った時から興味を引いたが、本当に面白いなカヤ達は!ハハハッ」と豪快に笑い飛ばし、カヤがそれに噛みついた。
しかし、ウルティマとカレラは一つだけ見落としていた――カヤの尻尾が忙しなく左右に、振られていたことを。
「だから、なんなんだよ、その面白いってのは! あたしゃ道化かってーの!」
カヤは、そう言いながらも悪魔族に、友達感、親近感、と言った感情が無いのはテスタロッサ達と接してきて分かっていた。
そして、単純に自分達より強いか、同等か、尚且つ強いだけじゃなく、それ以上に惹かれるものを持っているかなのである。
なので、興味を引く、面白いと言う言葉は、悪い事ではないのだろうと解釈していた。
実際、カヤは手合わせの時など休憩室で、ヴェイロンにお茶の催促をしたり、色々頼んでたりするが、ウルティマは文句は言うが、それ以上の事は何も言わない。
流石にやりすぎたらお互い大変なことになるが、そこは弁えてるつもりである。
ウルティマの第一の眷属であるヴェイロンなどは、残虐で残忍な悪魔であるにも関わらず、カヤとモモカに一定の敬意を表している。
ヴェイロン曰く、「カヤ様、モモカ様には、ウルティマお嬢様と同じ、無慈悲で残忍な面を見受けました。
他の配下も同様に思っており、テスタロッサ、カレラの配下からも一目を置かれていたのである。
そんなメンツの集まるオープンカフェの一角は、真っすぐ行き交う魔物、人の流れがそこだけ半円を描くように裂けられて、奇妙な流れを形成していた。
そして、一人の男がポソリと言った言葉が――〝魔国の超おっかない女達のお茶会プラス1〟だなと。
男がその言葉を吐いた瞬間、カヤの猫耳がピコピコと動き、言葉を言った人間の男に顔を向けて、ニヤリと冷えた笑みを浮かべた。
見られた男は、カヤだけでなく、そこにいる者達が皆同じように冷えた笑みを見せ、見ているのに気付き「ヒイッ!!」と声なき声を上げ、半腰砕けになりながらもどうにか走り、逃げていった。
それを見て、カヤは笑いながら「シオンいたら、完全にアウトだよね? 絶対に怒るんじゃないかな? 誰がおっかない女ですか!なんて、説教始めたりして。キキッ」そう言い、それに皆が、確かにと頷きクスリと笑う。
そう、そこにシオンが参加してなかったのは幸いであったかもしれない。
魔国の、怒らせたらおっかない女筆頭のシオン。
今日はディアブロが居ないので、一人楽しくリムルの秘書をやっているのであった。
ここまで読んでくれた皆様、ほんとうにありがとうございます!
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