最新書籍版18巻出ましたね!
Web版も全部読んでいたのですけど、いやぁー そう言う展開に持っていくの? みたいな展開でほんと面白かったです♪
ネタバレに成るので内容は伏せますけど、最後が、はあ!? そこで終わりなのかー 次巻早よ!!! 早よ19巻!!! と言う心境です(笑)
書籍版の時系列的には、私の考えてた日数とほぼ変わらなくて助かってます。
てなわけで、原作最終戦争の時期が判明したので多少の日月は盛りますけど、当初の設定から変更なく、ネコムスメ姉妹の物語は結末に向かって進んでいきます。
まだミリムやギィなどと姉妹の絡みも書いてないので、これも書きたいので書きたいなと目論んでいます。
プロットもほぼ出来てるので、近い内にお届け出来るのではと思います><
最新刊・18巻の冒頭のワルプルギスに姉妹を絡めたプロットも現在作ってる最中なので、こちらが先に出るかもです。
では、これからもネコムスメ姉妹の物語にお付き合いして頂ければ、作者冥利に尽きます!!
「ブワッハハハハハハ! よくやったぞ、アルコ! これで俺も上部組織の一員になれる!」
「ボス、おめでとうございます! ダメ猫の首をグレンダに差し出せば、認めざる得ないでしょう、ボスの上層部入りに。グヒヒ」
「うむ。召喚主を殺して追われてたお前を、俺の組織に入れたのは正解だったな。これからも、俺の為に尽くせよアルコ! ブワハハハ」
「ええ、それはもちろん。俺は殺しが出来れば、他には何も要りませんからねえ。暗殺は俺の天職ですよ!」
「そうかそうか! 後はクソ猫が片割れの首を持ってくるのを、待つだけだな。前祝いに一杯やるか、飲めアルコ!」
「頂きます、ボス」
ダートは自分の私室兼執務室で、幹部数人と奴隷の女性三人も呼び付けて、酒盛りを始めていった。
その頃深夜過ぎのテンペストにある焼き鳥ネコマンマ地下会議室に、カヤがアネーロを連れ転移してきた。
会議机の上座にモモカが座っており、右側にザーバ、ディーナ、左側にイリア、メイム、トリアスが座り、待ち構えていた。
無機質な表情のままカヤが、モモカに言葉を投げる。
「ダメ猫~ お前の首をもらう~ 覚悟しろ~」
見事な棒読みで千鳥を抜き、切っ先をモモカに向けると「ああ~ もういいから、早くこっちに、座ってちょうだい」そう右隣の席を指先でチョイチョイと指して淡々と言い放つ。
「えー そこは首を斬られようよ~。モモカ、おもしろくないよ?」
スッといつもの顔に戻ると、切っ先を向けたまま首をコテッと傾げ言う。
「すわりな」
少し低めの声でピシャリ一言カヤに言うや、カヤの尻尾の毛が一瞬ポワッと逆立ちふわり元に戻っていき「あーあ。モモカ激オコじゃん~ こわいこわい」お道化た様に言いながら横に座ると、首に掛けられた支配の宝珠を外し自分の手前に置く。
それから一部始終を見ていたモモカが、グラブゲに対しての報復について簡単な会議を始めると皆に告げる。
「えーと、カヤ姉さん。いつから正気に戻ってたのですか?」
開口一番にアネーロが、不思議そうに尋ねてくる
「ほえ? あぁー 発動した瞬間、勝手に
「え、えー? それカヤ姉さんの力ですよね? なんで他人事のように言うのですか……」
無邪気に返してきた言葉に「ああぁー 私のあの時の怒りを、返して……」力なくぼやきながら額に右手をやると、席を立ったカヤが備品棚に行きハイポーションの瓶を一つ持ちアネーロの所へ行くと、栓を抜きアネーロの左手を取り瓶の口に右人差し指を軽く当て、ピッピッと左掌の傷に振り掛ける。
シューッと微かに音を立て傷が治癒され、カヤはハイポーションの瓶を置くと、アネーロの左手に自分の右手を重ね。
「ありがとね、アネーロ。あたしなんかの為に、怒ってくれて」
カヤが、フワリとした微笑み感謝の言葉を送ると、「え、えっ! いえ、私のボスが、いえ、カヤ姉さんが貶められて、怒らない配下は、い、いまり、いませんのよ」いきなりカヤから送られた言葉に顔を耳まで真っ赤にし、言葉を噛みながら身をよじらせ俯く。
そこへ。
「「違う! アネーロ、
アネーロの返した言葉にイリアとメイムが頬をプーッと膨らませて、カヤの優しさを受けたアネーロを羨ましそうに睨む。
それを見たモモカ、ザーバ、ディーナはクスリ笑っていく。
「そう言わない。みんな、大事なあたしの子だよ」
イリアとメイムの後ろに行き、二人の頭を優しく撫でながら言うと二人は嬉しそうに、笑みを浮かべる。
「やれやれ。私まで子供扱いかい、まいったね。フェッフエッフェッ」
「じゃあ、頑張って仙人になって長生きしたら、子供じゃなくなるよ! ニヒヒ」
「よしとくれ。どこまでこき使うつもりかい! カヤ姉さんは。フェッフエッ」
「ほんとだよ。焼き鳥屋の女将とか、ほんと大変なんだよ。ハハッ」
「僕は仙人を目指そうかな。そうしたらカヤ姉さんと、永くいられるしね」
トリアスの言葉に一瞬皆が「えっ?」と見てザーバが「じゃあ、もっと鍛錬しないとじゃな」そう声を掛けるとトリアスは「うん」と力強く頷き、イリア、メイムも何かを決めた目でトリアスを見ていた。
そしてモモカが話を戻しましょうと言い、皆の顔付がスッと切り替わった。
モモカの前に水晶球が置かれていて、カヤはザーバ達もネコマンマ亭でのアルコの所業を一部始終見ていたことを、カヤとアネーロは察した。
「まず、ダート、アルコの二名は、カヤの首にこんな舐めた物を掛けたんだから、
相応の対価を支払ってもらうわ」
「殺すのかい? フェッフエッ」
「まさか。死んだ方がましと言える目に、遇わせるに決まってるじゃない。フフフ」
楽しそうに微笑み言うその目は全く笑っておらず、僅かに漏れ出る〝
「それと、グラブゲの高級娼館、密輸商会はネコマンマ商会の傘下にするわ」
「それは乗っ取りかい? そこを仕切ってる幹部はどうする? モモカ姉さん」
「そうねぇ。見せしめに殺してもいいわ。他の配下は無力化でいいわね。娼館は昼組に、密輸商会は夜組に行ってもらおうかしら」
「モ、モモカ姉さん! 私ら夕組は蚊帳の外かい!?」
「しないわよ、ディーナ。あなたはザーバと一緒に、わたしと行動してもらうわ」
ディーナの問いにモモカが返すと、名前を呼ばれなかったイリア達があからさまに不満げな顔を見せ、モモカを見るやカヤが口を挟む。
「イリア達は、アネーロと一緒に、あたしとお出かけだよ」
「「「はい!」」」
自分達も行けるとわかり、カヤに元気よく返事をする。
カヤ、モモカが席を立つと、ザーバ達もそれに合わせて席を立つ。
「それでは。ネコマンマ商会はグラブゲに対して、報復行動にでます! 二度とわたし達にちょっかいを出そうと思わないよう、完膚なきまでに叩き潰します! 以上。準備に取り掛かりなさい!」
「「「「「「はっ!」」」」」」
モモカの号令にザーバ達は跪き、答える。
そしてカヤは「ちょっと、知り合いの所に行ってくる。すぐ戻るから待っててー」と『空間転移』で、何処へと転移していった。
夜が明けてちょうど昼前の時間に、入り口に休業の札を下げたネコマンマ亭にアルコの手下十人が入ってきた。
ドカドカと足音を立てながら店に入り、テーブルに突っ伏してる者や、力なく床にへたり込んでるベゼット達を見て、小馬鹿にする様に言葉を吐く。
「ヒャヒャヒャヒャッ! 見ろよ奴らの面、もはや腑抜けた雑魚じゃないか!」
「ほんとだな、アルコさんが言ったとおりだな。グフフフフ」
「おいおいおい、見ろよ! この女胸掴まれてるのに、全く反応なしだぜ! このまま喰ってしまうか?」
床に力なく座り込んでる女性フロッティは、 肩に付く位の長さの金髪でカチューシャを頭に付けていて、一件見ると貴族のお嬢様にも見える二十四才の女性。
そのフロッティは、男に胸を掴まれ体を揺すられていても、無気力な目で為すがままの状態だった。
「やめとけ! 勝手やるとアルコさんに、殺されるぞ!!」
床にへたり込んでるフロッティの胸を掴んだまま、痩せ男が言うのをグループのリーダー格の男が制止すると、痩せ男は名残惜しそうにフロッティの胸から手を放し「後で、おこぼれをもらうか」と言い、離れる。
「おい、ベゼット。残りの七人はどこにいる? 答えろ」
リーダ格の男は、 壁に背もたれ膝立てしゃがみ込んでるベゼットの胸ぐらを掴み立たせ、残りの組織員の行方を問いただすが、焦点の結ばない目でどこを見てるかもわからず埒が明かないことにイラつき、壁にベゼットを力任せに押し付け、ミシッと音を立て壁に亀裂が広がっていく。
そこへカヤから『思念伝達』が飛んで来る。
『待たせたね、みんな。八分殺しで無力化しろ』
『カヤ姉さん。生きてはいる、と言う状態ですね?』
『そうだよん、ベゼット。それじゃあ、やれ!』
カヤの『やれ!』を聞くや、瞬時にベゼット達の瞳に闇が宿り、皆が静かに何かを呟き始め内に潜めた殺気を解放する。
闇は光に、光は闇に、我らは闇すらも喰らうもの
我らは 闇夜よりいづる
無慈悲なる もの
「ああぁ!? 何ぶつぶつ言ってんだよ、ベゼット! 死にたいのか!?」
リーダ格の男が右手で胸ぐらを掴んだまま左手でショートソードを抜き、ベゼットの喉元に着き立てようとする――
瞬間。
目眩にも似た感覚にアルコの手下達は襲われ、店内が破裂したような殺気で包まれた。
ユニークスキル〝
リーダ格の男は急に胸ぐらをつかんでいたベゼットの感触がなくなり「えっ!?」と声を上げたと同時に、左腕が真っすぐに伸ばされたと感じたら、下から肘関節を突き上げられ腕が縦にくの字に曲がり、折れた骨が皮膚を突き破り血を吹き上げる。
「グギャアアアアアアアア!! 腕が! 俺のひだりうでがああああああ!」
男の凄まじい悲鳴が店内に響き渡るが、既に建物ごと呪符〝幻隠〟で覆われており、外に叫び声が漏れる事は無かった。
更に両膝を蹴り砕かれ、顔面に渾身の右ストレートを叩き込まれるとリーダ格の男は壁に顔面を当てたまま、ズルズルと血の太い線を引きながら倒れて行った。
その光景を見ていたアルコの手下達は、何が起こったのかもわからないまま、次々と倒されていった。
フロッティの横に立っていた痩せ男が、いつの間にか背後にいるフロッティに驚き短剣を抜き、フロッティの心臓目掛け刺そうとすると一瞬で短剣を奪われ、奪われた短剣で右腕関節を刺し貫かれる。
だらんと垂れさがった右腕を左手で押さえ、「いでぇえええええええ! 何しやがる! この女」と、叫んだところへ姿勢を低くしたフロッティが左脚膝関節を横から刺し貫く。
短剣を奪った技は、メイムがアネーロに使った技と同じであった。
「グガアアアアアアアッ!」
断末魔のような声を上げ右膝を付き、震える左手で短剣を抜こうとすると真正面に立ったフロッティが、給仕服のスカートの両端を摘まみ膝上まで裾を上げると、スラリと伸びた右足を真上に振り上げる。
「私の胸を掴んでいて、その位で済むのですよ。感謝してくださいましね。オホホホ」
渦巻くような殺意の籠った目でニコリと微笑むと、右足を真下に振り抜いた。
「み、見え――ビギャッ!」
頭上から振り抜かれた踵落としが脳天に突き刺さり、変な声を上げクタリと痩せ男は床に崩れ伏した。
ベゼットが三人、他の者が一人づつアルコの手下を無力化した所に、カヤがアネーロ達と夜組を引き連れ店に入ってきた。
「カヤ姉さん。ご無事で何よりです」
ベゼットがカヤの前に来て跪き、頭を垂れる。
それに続き店にいる者全員が一斉に跪き、同じように頭を垂れて行く。
カヤはベゼットの前で両膝を揃え姿勢を低くして、ベゼットの右頬に左手を当てそっと撫でながら、「ベゼット、すまなかったね。よく皆を抑えてくれた。ありがとう」柔らかい笑みを浮かべ言葉を送ると、「いえ。そ、そんなもったない」と頭まで真っ赤にしてしどろもどろになるのを皆が囃し立てていった。
そこへ、マリラがカヤの前に出て、両手を広げブンブンさせ言い放つ。
「ねえねえねえねえ! カヤ姉さん、もうあいつらぶっ殺して、いいんだよね!? よね? よね? よね!?」
「あーもう。マリラ、そんな嬉しそうに興奮しない! モモカにまた怒られるぞ!」
「だってだってだってだって! アルコのゴミくず、カヤ姉さんを蹴っ飛ばしたんだよ! 目え潰してもいいよね!? 舌斬り落としてもいいよね!? そうだ! 指全部斬って口の中に詰めよう! そうしよう! フシシシシ」
ハイテンションで甲高い幼さの残る声のマリラが、ブロンドのツインテールを揺らしながら、可愛らしい笑顔でカヤに捲し立てるが気が触れたわけではなく、仲間に手を出された時や激怒するとこんな風になるらしく、普段は普通のちょっと明るい女性なのだが、一旦スイッチが入るとベゼットでも止めるのに骨を折るらしく、それで一度モモカにこっぴどく
「とにかく、マリラは嬉しさのあまり、やり過ぎないよう。いいね?」
「はいはいはいはいはいはぁーーーーーーい!!」
「では、今からグラブゲの傘下組織に、襲撃を掛ける!」
「「「「「はっ!」」」」」」
「はいはぁーーーーーーーい!」
カヤの言葉に全員が力強く声を上げ―― 一人だけ別の意味で力強く返事をする。
「ベゼット。あんたは昼組を引き連れ、グラブゲの高級娼館を襲い乗っ取れ」
「了解しました。カヤ姉さん」
「マリラ。あんたは夜組を引き連れ、密輸商会を襲撃乗っ取れ」
「はあーーい! 仕切ってる幹部は、殺していいのかなあー!?」
「いいよ。ただしこの呪符を持って行って、魂は回収して来てね。ベゼットもこれを」
「はえ!? たべるの? たべるの? おいしいのかな魂は? フシシシ」
「あー はいはい」
カヤはハイテンション状態のマリラに適当に答え、二人にモモカが急遽作った魂回収の呪符を渡し、使い方の説明をする。
「これは、ポケットか腰のポーチにでも入れとけば、勝手に殺した相手の魂を回収するからね。発動は〝
「はあーーい! だいじょぶ、だいじょぶー! マリラ十八才! い・き・ま・すー!」
「たのむよ、ほんとに(この子腕は立つのに、あたしより人の話し聞かないじゃん!)」
カヤの頭に一抹の不安が過るも、あんなハイテンションでもきっちり仕事をこなし、マッドネイルの異名で呼ばれ、特に危険を察知する能力は群を抜いており、夜組のリーダを任してはいるのだが、モモカ曰く、たまに一つ抜けてるところが玉に瑕と言わしめてもいた。
「いけ!」カヤの号令に、昼組、夜組が姿を掻き消すように、ネコマンマ亭から散っていく。
夜も更け、闇が深まった月夜の晩。
グラブゲの傘下コントラバンド商会では、御禁制品の仕分けや闇オークションに出す商品の選定に追われていた。
「ロデルさん。これが次にオークションに出すリストです」
「うむ。ご苦労、下がっていいぞ」
頭頂部がすだれのようにハゲていて、ちょび髭を生やしでっぷり太った中年の男がシンプルでがっしりとした机の上で金貨を数えており、手下の男が出したリストを見ながら早よ出ろと言う様に右手をピッピッと払う。
バアアアアーーーーン!
いきなり商会入り口のドアを勢いよく開け、一人の女とそれに続く男五人と女がもう一人入ってきた。
「こんばんはあああああああああああああああ!! あそびにきたよ~~~!! ロデルの野郎いるかな? いるかな? ロデルは、いるかあああああああ!?」
ハイテンションで入ってきたマリラの突然の来訪に、入り口カウンターにいた八人の手下達は、なんだこ奴という風に見ていた。
しかし、一人の手下がどこかで見た人物に似ているなと考えていると……。
記憶に浮かんだある女の記憶――(ヤバい)と思った瞬間、他の者も気づき、ゆっくりと武器がある方へにじり寄っていく。
ツインテールを揺らしながら、黒色のミリタリーベストを着て、中は同じく黒の長袖Tシャツ見たいな物に黒のミリタリーロングパンツ、黒のタクティカルブーツと言った上から下まで黒尽くめの恰好で、全てテンペスト製であり、皆同様の恰好であった。
しかし、マリラが着ているミリタリーベストの両サイドポケットに当たる部分には、長さ十五センチ程の五寸釘を一回り太くした感じの、先が鋭利に尖ったスティックが、上下に五本づつ収納されていた。
俗にいう棒手裏剣である。
マリラは胸の辺りに両手を当て、左右五本の棒手裏剣を引き抜くと、手の中でチャリチャリ言わせながら嗤う。
それを見た手下たちは、ナイフ、ショートソード、ブロードソードなどを手に取り臨戦態勢に入る。
「さあさあさあさあ! 夜遊びのじかんだよ~~~~!」
叫んだと同時にマリラは、十本の棒手裏剣を一斉に投げた。
八人の手下達は飛んできた棒手裏剣を躱し、弾き落としたりしたが、棒手裏剣は床に落ちずに何故かマリラの頭上迄飛んでいき、空中でピタリと止まる。
手下達は何だそれはと言った顔でマリラを見ると、マリラがニヤーッと嗤い言い放った。
「はあーーーい、おバカさん達。あタしに見られた時点で、あんたらの命はぁーっと、ちがう! あんたらは負け確定なのですー!」
ユニークスキル〝
マリラのユニークスキルは目で捕捉したターゲットを自分の投げた物で刺し貫くスキルで、見られた対象はマリラの投げた飛翔物からは逃げられないのである。
そして特質すべきは、飛翔物の軌道制御ができる点にあった。
「さあ~ 狂い乱れるのよぉ~、
狂気に溢れた笑みで舌なめずりをして、両手を高く広げ言う。
再び八人の手下達に棒手裏剣が襲い掛かり懸命に躱したり弾こうとするが、飛翔して来る棒手裏剣は不規則な軌道を描き、手下達の両腕両膝関節を貫き破壊していく。
それは螺旋のように回転して、まるで銃弾の様に飛翔し、対象物に甚大なる損傷をもたらしていく。
棒手裏剣の当たった個所は小さい穴が空くだけだが、貫き抜けた穴は二倍もの大きな穴が空いていた。
今回の棒手裏剣には刻印が刻まれており、炎系の攻撃魔法が仕込まれていて、刺し貫いた傷を焼き失血死しない様にして、腕関節と膝関節だけを狙っていた。この棒手裏剣もテンペスト製である。
けたたましい悲鳴が上がり、手下達は糸の切れた人形見たいに一人、また一人と床に崩れ倒れて行った。
「みんな~ やっちゃえーー!」
マリラの合図に六人の男女は、二階建て商会内にいる者全ての無力化に散っていく。
手に戻ってきた棒手裏剣をまた手の中でチャリチャリ鳴らしながら、「ロ・デ・ルは、どこかな~」陽気に唄う様に歩き、二階にあるロデルの執務室に向かう。
金貨を数えながら、どうにも一階が騒がしいので「騒がしいのう。何してるんだ」と椅子から立ち上がった所へ、手下の一人が執務室に飛び込んで来た。
「ロデルさん! サイファーの奴らの襲撃です!」
「なんだとーー! 誰が!? 何人来たんだ!?」
「人数は七人なんですが――」
「なんだたった七人か、ここには三十人はいるんだ。とっとと殺してこい!」
「それが―― 一人はマッドネイルの奴でしてぇ」
「はあっ!? 奴だとーー! 早よ言わんかこの能無しがー! やばいやばいやばい
やばいぞおー! 逃げなければ、早く逃げなければーーーー!!」
マッドネイルと聞いた瞬間ロデルは顔色を変え、机にある金貨を慌てて皮袋に放り込み自分の真後ろにある壁に手を付くと、隠し金庫の魔法陣が浮かび上がり、壁の一角が正方形状にパクリと開き、そこへ金貨を入れた皮袋を投げ入れ、金庫を締めると手下を先に出させる。
すぐその後に執務室を出ようとしたら、先に出た手下が「アグワァアアアッ!」両腕関節と両膝関節にぽっかりと空いた穴から、肉の焼け焦げた臭いとうっすら白い煙を上げ、壮絶な悲鳴を上げ目の前で崩れ落ちていく。
「ひいっいいいい!」
ストンと腰が抜けて、ズリズリ這いずりながら机の下に隠れようとするも、
「み~つ~け~たあ~~~~!」ダンとドアを蹴り飛ばしマリラが執務室へ入ってきた。
「ぴぎゃあああああああ……」
マリラの姿を見た途端ロデルはそのまま、気を失った。
弱い奴にはめっぽう強いが、強者には媚びへつらいご機嫌を取り、金儲けの才とお世辞だけで幹部に昇り詰めた男、ロデル。
陽気で残忍なハイテンション娘マリラ、裏稼業の間ではこいつを見たら避けろ、関わるな、触るな、見るなと言われていた。実際トラブった同業者などは半殺しか皆殺されていて、裏稼業のブラックリスト上位に名を連ねていたのである。
そんなロデルがマリラが襲撃に来たと聞けば、必死に逃亡を図ろとするのも無理もない話しなのだ。
意識が覚醒し始めたロデルは、耳に響くチャリチャリと金属を合わせ鳴らす音にうっすらと目を開けるや目に映ったのは、マリラが手の中で棒手裏剣を玩んでる姿だった。
「あぴゃあああああ!」意識がはっきりした途端ロデルは叫び声をあげ、体を動かそうとしたが、何故か身体が動かなかった。よく見ると、椅子に縛り付けられ、壁を背に座らせられていたのであった。
「おっ! おめざめかなー よくねれた! ねえ、ねれたのかな?」
「助けてくれ! 命だけはたすけてくれ! なんでもする! お前の望む物は全てくれてやるぞ! たのむ!」
「えーー 欲しい物なんて一つしかないよー! そ・れ・は・ね! あ・ん・た・の、いのちぃーー! フシシシ」
「まてまてまてまて、待って! おねがいだから! 待ってください! マリラさん!」
「え~~~~ めんどくさいー でもおぉ、しょうがないなぁ言ってみ」
陽気に嗤いロデルの顔を覗き込みながら、ツツーッと右人差し指でロデルの喉元から、顎までを撫で上げる。
言ってみろの言葉にロデルは頭をフル回転させ、どうしたらこのマリラが見逃してくれるのか考える。
(こいつの、好む物はなんだ!? 殺しか? いやいやいや、殺しなどこいつに取っては余興にしかすぎん……男? 違う、こいつと付き合った男はいない、ってか付き合う前に男が逃げている。宝石……いや、
ロデルは金貨七百枚をくれてやると言われて、否と言う者はいないと勝手に判断して、口を開く。
「そこに――」
「そこに? なにかな!? なにかな!?」
「隠し金庫がある。金貨七百枚だ、お前ら七人で来たんだろう? 一人金貨百枚だ? どうだ? 当分は贅沢な暮らしができる額だろう? な! これで見逃してくれ!たのむ! マリラさん!」
するとニコニコ陽気に喋ってたマリラがいきなり肩をガクリと落とし、倒れてる椅子を起こし引っ張って来て、背もたれをロデルに向けて「ああっ!」と声を上げ乱暴に座る。
そして、面倒臭そうに椅子の背もたれに顎を乗せ、低く圧の籠った声でロデルに言い放つ。
「ロデル。なにつまらないこと言ってんの? 金貨百枚? なに? あタしが貧乏とでも言いたいのかな? あーせっかく気持ちよく狂えてたのになぁ、なんで水注すかなー バカなの? ねえバカなの?」
「はあ? 意味わからんぞ!? 俺は金貨七百枚の話をだな――」
「貧乏バカって、言ってるのかな?」
「いや、そうは言ってない! 組織から出る暗殺の報酬はターゲットにもよるが、大体金貨五枚から十枚だろ!? その暗殺も毎日あるわけでもなく、組織が依頼料の八割はピンハネするんだ。お前らは飯は食わせてもらうがそんなに金があるわけでもあるまい? そら、自分で小銭稼ぎするのは組織が見逃してくれるから、貧乏というわけでもないだろが! 金貨百枚などめったに拝めるものではないんだぞ! マリラ!」
金貨七百枚に興味を示さない人間はいない、ロデルは今まで見てきた人間でこんな大金に目を輝かせなかった人間は見た事がなく、つい自分の置かれた状況を忘れ声を荒げてしまう。
「まあいいや~。で、金庫どこなのかな?」
マリラの問いにロデルは、背にした壁の左上を顎で指し、マリラはトコトコとロデルの前に来る。
すると、ロデルのでっぷりとしたお腹の肉を両逆手で掴み、「よいしょー」と抱え上げた。
「いでででで! やめ、やめろ! 可愛い顔したこの狂い女がー!」
ロデルの荒げた声を無視して、背もたれの後ろに縛ってあるロデルの手を壁に押し当てると壁の一角が開き、投げ捨てる様にドンとロデルを床に落とし、隠し金庫を覗いていく。
その中には様々な契約書や誓約書と一緒に、金貨を入れた皮袋が七袋入っていた。
「ほんとに、あったんだ~」
「嘘は言わねえよ! それをやるから、早く俺を解放してくれ!」
「あ゛あ゛~?」
椅子に戻り座ったマリラの斬れそうな冷ややかな目が、ロデルに突き刺さる。
(しまった! 殺される)と額に大粒の汗を滲ませながらマリラの顔を見るもさっきまでのハイテンションは鳴りを潜め、顔付もつまらなそうな顔で、怠そうにロデルに言葉を吐き捨てる。
「あんたさ~ 自分の物差しで、あタしを見ないでくれるかなぁ? あタしらがどれ位、組織から貰ってるか教えてあげようか? まずあタしらは月給制なのよねぇ」
「は? 月給制? なんだそれは!?」
「月に金貨十枚貰ってるんだよ~ あタしら全員」
「はあああ? 月に金貨十枚だとー。なんなんだそれは……」
月給制。これはモモカがリムルに配下の報酬のことで相談をした時に、リムルが三上悟の頃の話をして日本にいた時に会社と言う所に勤めていて、報酬を月給制で貰っていたと話し仕組みも説明して、それを参考にモモカが、ネコマンマ商会に取り入れた制度である。
「本当に毎月金貨十枚、貰えるのか?」
「そうだよ。そしてね、その他に情報収集で仕入れた情報の価値で、個人報酬も出るし額はまちまちだけどぉ。あタしはこの間、ファルメナス王国重鎮の暗殺情報を仕入れてさ、個人報酬で金貨百枚貰ったばかりなんだよねぇ。まあ、大当たりの情報引けば報酬額でかいからさあ、こまめにみんな情報収集頑張ってるんだよねぇ。だからあ、お金には困ってないんだよ~。って信じる?」
「そ、そ、そんなアホな組織あるか! 上前をはねてナンボだろうがよ組織は!」
完全に自分の立場を忘れて捲し立てるロデルにマリラは、無造作な動作で棒手裏剣を投げ、右膝頭に突き立てた
「ぽぎゃあああああああ!」
いきなり突き刺さった棒手裏剣の激痛に、たまらずロデルは声を上げる
「あタしらはさあ、組織ってか、カヤ姉さん、モモカ姉さんにめっちゃ、大事にされてるんよ。信じられないでしょうけどねえ」
言いながらまた一本、今度は左膝頭に棒手裏剣を突き立てていく。
「もげぇえええええええ! わ、わかっ、た。全部やる! ここにある物全部やる!」
「いらない。ってか、はなから全部貰いに来たんだもん。待ってと言うから、めっちゃおもしろい話でも聞かせてくれると思ったんだけどさあ。つまんない奴ねぇ。金とか甘い言葉で動く人間は一人もいないんだよ~ ネコマンマ商会には、ね!」
「ネコマンマ商会ってなんだ!? ああ! なんだそのふざけた名前の商会はよ!?」
「いいよ教えてあげる~。サイファーはねえ、もう依頼の受付窓口でしかないんだよ。真の暗殺組織はねぇ。聞いて驚け、ネコマンマ商会なんだよ。フシシ」
「ネコマンマ商会……!? 最近暗殺から要人警護、潜入調査等、多岐にわたる依頼をこなす組織が出て来たと、もっぱらの噂だったんだが……もしかしてお前達なのか!?」
「おおあたりーー!」
椅子からスッと立ち上がり、マリラは手をパチパチと鳴らし拍手する。
そこへ、ロデルの手下残り二十二人を無力化した仲間の一人が、マリラのいる執務室へやって来た。
「マリラ、終わった、ぞ。ん? まだ、生きてるのか、ロデルの、奴」
身長百七十四センチ、肩より下の長い髪を後ろで一括りにした、目付きの鋭い二十七才の男、フォスベリーがマリラに声を掛ける。
「あー おわったんだ。フォス~ ってより! なんでいつも引っ掛かりそうにしないと、喋れないわけ? バカなの? アホンダラなの?」
「気に、するな。いつもの、事だ」
「いみわかんない~ それよりロデルの補佐でさあ、使える奴いたの?」
「二人、いた。一人は、ロデルの腰巾着、だ。もう一人は、使えそう、だ」
「おそい! そしてウザイ! あぁ~ つかれる……で、使えそうなのはだれ?」
「ヒョロ、ヒョロの、ガリ痩せ、男の、ナガン、だ」
「んん?……おぉ~~ あタしを見てションベン漏らしながら、気絶したヒョロガリくんかぁ」
めんど臭そうにマリラは答え、「後は任す」と言い右手をヒラヒラさせる。
すっかりハイテンションが収まったマリラに、フォスベリーは「呪符、忘れるな、よ」そう言い「下に、ロデルの、手下集めて、拘束して、おく」と言い残し一階に降りて行こうとすると、マリラが「そうだ。 そこ開いてる隠し金庫の金貨七百枚くれるんだって、ネコマンマ亭に持って帰ってくれるかなぁ」それを聞いたフォスベリーは、黙って金貨を入れた皮袋を両手に持ち、一階に降りてゆく。
マリラは腰のポーチから一枚の呪符を出し〝
ぽわ~っと淡く光る呪符を見てロデルは、恐る恐るマリラに問う。
「その呪符はなんだ?」
「これ? モモカ姉さん特製の魂を集める呪符だよ~」
「魂……俺か! 俺の魂なのか! やめろ! やめてくれ たすけて! お願いだから、命だけは取らないで、お願いします。お願い、します」
「だ・め~」
「この壊れ女がーー!」
「はあ? 何言ってんのよ。あタしはとっくに壊れてるんだけど~。そんなあタしを助けてくれたのが、カヤ姉さんとモモカ姉さんなんだよねえ。そんな恩人にあんな事されて、許すわけないじゃない~ アホンダラ!」
「ひぃいいいいい」
涙をボロボロ流し懇願する姿はもう、いっぱしの悪党をやってる男ではなく、只の自分が悪党だと言う事を忘れた何かであった。
「散々今まで悪党やって来て、
「たすけて! たす――」
ガツッ!
「あっ、ぐごっががっ…………」
口の中目掛け放った棒手裏剣は、そのまま口の中から延髄を貫通し壁にめり込んでいた。
ふわりふわり漂いながら青白い光の球がロデルから離れ、マリラの持つ呪符に吸収されていき、それを確認したマリラは呪符を腰のポーチに入れる。
「おわったおわったー なんか甘い物たべたいなぁ。そうだ! モモカ姉さんが厨房の魔力冷蔵庫にスイーツ入れてたかな。よし、貰おう~」
フフッフ~ン、ラ~ララ~ラ、ララ~。
軽やかに鼻唄を歌いながら、階段を下りて行った。
一階の階段口で壁を背に立つ、少し小柄で栗毛の髪をショートカットにした、二十一才の女マルティニがマリラに声を掛ける。
「終わったのかい?」
「うん、おわった~」
「すっかり、冷めちまってるじゃないかい。くくっ」
「まあね~ マルー達、ほんと仕事はやいよね~」
「あんた程じゃないさ」
「またまたまた~ そんなこといっても、なんもでないぞ?」
「いらないさ。くく」
「ふ~ん。 じゃ、さきにかえるから。あとよろしく~」
「ああ。やっとくよ」
マリラは右手をヒラヒラさせながら言うと、マルティニは腕を組んだまま左手を上げ、それに答える。
入り口の扉を開け外に出ようとしたら、くるっと体を返しフォスベリーがいる方向に向かって、大声で叫んだ。
「フォス~、先にかえるからなあ~。甘い物たべたいから~」
ネコマンマ商会のマリラ。
いつ爆発するかわからない危険な不発弾娘の陽気な鼻歌が、深夜の夜道に響き渡る。
闇に潜む者達は見つからぬよう息を潜め、通り過ぎるのを待つ。
薄い月明かりに照らされた、マリラの影が狂おしく踊ってゆく。
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