転生したらネコムスメなんだけどの件   作:にゃんころ缶

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 お待たせしました。八十七話です。






八十七話 狂 乱 と 憎 念

 

 

 生温い風が対峙する三人の頬を撫で、髪を揺らしていく。

 

 

 カヤとモモカを、薄ら笑いを浮かべながら交互に見るや。

 

 

 ネコマタが無造作に夜叉を、横に薙ぎ払う。

 横一文字に、不可視の斬撃が飛ぶ。

 

 カヤは右逆袈裟に振り抜き、飛ばされた斬撃を切った。

 モモカは真上にジャンプし宙を蹴り、ネコマタ目掛け飛んだ。

 

「しゃぁああああ」 

 

 猫が威嚇するような声を上げ、モモカがネコマタに襲い掛かる。

 

 ギャリリリンッ! 左横に着地しそのまま逆袈裟、袈裟斬り横薙ぎを繰り出し、ネコマタの夜叉がそれを防ぎ、弾いてゆく。

 

 刃を弾かれながら、トンと後ろに飛び黒呪符を投げる。

 

「連鎖黒呪符・〝舞閃乱殺(ぶせんらんさつ)〟!」

 

 属性、攻撃が異なる黒呪符の同時並列起動。

 

 〝歪影紙〟〝狂氷扇舞(きょうひょうせんぶ)〟〝千舞・徒桜〟〝破天雷光〟〝極・黒蓮華〟

 

「ぬっがあああああああああああ!」

 

 ネコマタの怒号。

 

 断裂した空間に体を真っ二つにされ、更に舞い散る花弁に斬り刻まれる。

 

 そこへ凄まじい冷気の嵐が襲い凍らせ、自然雷撃次元雷撃が降り注ぎ、連鎖爆発する黒い華が咲き誇る。

 

 シュウゥッと焼け焦げた音が響き。

 

 そこから真っ二つにされた体と魔素で作った着物を神速再生し、夜叉を振り上げた瞬間―― 

 

 ネコマタの胸の真ん中にスーッと刃を上にした白刃の刃が伸びて来た。

 

 後ろに回っていたカヤが、後ろから〝魔核〟ごと刺し貫いていた。 

 

「くっ。やるでは、ないか。がはっ」

 

 カヤはそのまま、刺し貫いた〝魔核〟をそのまま上に振り抜き、ネコマタの体を両断した。

 

 バッと口から血にも似た魔素粒子を吐き、ブヮッとネコマタの身体が霧散していく。

 

 しかし。

 

 我が死は 影成るもの 

 無きにも 等しく

 我が死は 虚空に消えゆ

 

 言霊(ことだま)が、空間を満たしてゆく。

 

 『因果律操作』操作発動。

 

 原因と結果を置き換え、死を無かったことにして蘇るネコマタ。 

 

 復活した瞬間を狙い、モモカの〝核撃魔法〟が炸裂した。

 

 〝破滅の炎(ニュークリアフレイム)

 

 ネコマタを包み込む様に火球が瞬く間に膨れ上がり、物質体(マテリアルボディ)精神体(スピリチュアボディ)を焼き尽くしていく。

 

 そこへ、追い打ちとばかりに〝重力崩壊(グラビティコラプス)〟が、起爆した。

 

 黒い玉が回転しながら荒れ狂う高重力の嵐は、膨れ上がった火球ごとネコマタを飲み込み周辺の木や岩、土砂などを飲み込み、次第に小さくなり虚空に消えて行った。

 

「ふうむ。中々に腕は上げたようじゃが、まだまだじゃのう」

 

 何食わぬ顔で、〝重力崩壊(グラビティコラプス)〟が虚空に消えた地点に立つネコマタ。

 

「うらあああああああ!」

 

 そこへすかさずカヤが、斬り込んでくる。

 

 ギャン ギャリン ギャギイィン カヤが繰り出す斬撃。

 それを片手で夜叉を振るい、応戦するネコマタ。

 

 ネコマタの鋭い突きをカヤは、刃を合わせた瞬間。

 

 刃を右横に寝せ、刃の反りを利用して突きを反らし。

 そのまま夜叉の峰の部分に千鳥の刃を走らせ、ネコマタの右横に駆け抜けながら。

 右腕を斬り飛ばし、胸を斬り裂いた。

 

 その刹那――

 

 ネコマタは宙に舞った夜叉を左手で掴み、右に回転しながら横薙ぎで、カヤの首を斬り飛ばす。

 

 クルクルと宙に飛んだカヤの首は軌道を変え、ネコマタの首に喰らいつく。

 その首をネコマタは髪ごと掴み潰す。

 

 グジャっと鈍い音が響き、カヤの頭が潰れ霧散していく。

 

 首を神速再生したカヤが、ネコマタとの戦いに割り入ろうとする影獣の群れを。

 

「鳴り響け。 (つば)鳴り・剣紋紅月(ケンモン コウゲツ)!」

 

 チンッ 軽やかに跳ね鳴る鍔鳴りの音が空間斬撃と化し。

 カヤを中心に円形状に広がり、数千もの影獣の群れを一掃した。

 

「うぜえ! 雑魚は引っ込んでろ!!」

 

 カヤの凄まじい狂気が、影獣の群れを襲う。

 〝憎念〟を喰い荒らす狂気に、影獣の群れが動きを止めた。

 

「クカカッ。我が〝憎念〟を喰らうか、カヤよ! お前も、我と変わらぬな。我は憎しみと、怨念を糧とし。お前たち二人は、殺意と怒りを糧とし、その中に狂気を飼う。中々に醜い化け物ではないか、そうであろう?」

 

 〝憎念〟に満ちた嗤いで二人に言葉を投げつけ、嬉しそうに口端を上げる。

 

「だろうな。だから、同じ化け物のあたしらが唯一。あんたを、殺せるんだよ。ククッ」

 

 その言葉にカヤも、口端に狂気の笑みを浮かべ返す。

 

 狂 乱 猫。

 

 どんな戦いでも、嬉しそうに口端に軽い笑みを浮かべながら千鳥を振るうカヤに、フェイリュアワールドの眷属たちが付けた二つ名。

 

 そのカヤが。なんの制約も科せずに己の狂気、怒り、殺意を解き放つ。

 恐怖心など無い影獣たちが、怯え震える。

 

 このカヤを、神之瞳(アルゴス)の中継を見ていたルミナスとミリムが口走る。

 

「馬鹿者が。それ以上は、戻れなくなるぞ」

 

 ルミナスは、一線を越えた者達が戻れなくなり、己の狂気に飲まれるのを幾度も見て来た。

 

 カヤは鍛えられた精神を持ってるが、カヤも例外なく喰われるのでは無いかと思い口に出していたのだ。

 

「ダメなのだぞ。それ以上は、行ってはダメなのだ」

 

 竜皇女ミリム。

 魔王になる前、唯一無二のペットであり、友だった子竜を殺された……。

 

 一番大切な者を殺されたミリムは、一切の情を捨て、激怒した。

 

 その怒りは大地を焼き、生きとし生けるものを焼き尽くし、一つの魔法大国を滅ぼした。

 

 だから、ミリムは知っている。

 

 純然たる怒り、それは諸刃の剣だと。

 

 

 己の中の獣を解き放ったカヤを見て、ネコマタがニヤリと嗤う。

 

「よかろう。我も、本気で相手にしようぞ」

 

 そう言ったネコマタの妖気(オーラ)が一気に膨れ上がった。

 

「我に集え、数多(あまた)の憎しみと怨念よ。我が力となりて、全てを滅ぼさん」

 

 〝憎念〟の言霊(ことだま)が世界に響き渡る。

 

 世界中に散らばる全ての影獣が、体を分解され〝憎念〟の霊玉となりネコマタに向かって集まっていく。

 

 空を埋め尽くす霊玉の群れ。

 途方もない数の霊玉はネコマタに吸収され、ネコマタの力を増幅させていった。

 

「モモカ、あれヤバいな」

「ええ、もう一つの懸念が当たったわね」

《あれはもう、魔物と言うより、〝憎念〟そのもの。憎しみと怨念の集合体です、ね》

 

 急速に増すネコマタの魔素量(エネルギー)に、カヤとモモカ、ヤエは忌々し気に吐き捨てた。

 

 テンペスト作戦室のEP計測器の針が振り切ったままいきなり0を指し示し、動きを止める。

 

 それを見ていたアルファが恐る恐るラミリスに伝えると。

 

「あのう……ラミリス様。計測器の針が0を差したまま、止まったのですがぁ。0になったのでしょうか?」

「……」

 

 ラミリスはアルファの報告を受けてから、無言で計測器の針を見つめたまま、何かを考えていた。

 

 そこへシエルが、リムルにある事を伝える。

 

主様(マスター)。ネコマタのEP値は――限りなく無限大に近いのではと。0ではなく、計測不能になったと断言します》

『そうか……奴は影獣に変えた命と〝憎念〟を贄にしたんだな?』

《その通りです。有り得ない事ですが……特に、人間の持つ憎しみは、凄まじい物があると推測します》 

『そうだな……』

 

 シエルの言葉にリムルは一言答えてから、そこで言葉を切った。

 

 リムルは元人間あったからこそ、人の持つ嫉妬や憎しみ、恨みが、感情ある生き物の中で――

 

 特に強い事を知っていた。

 

 だからこそ、そこから先の言葉が見つからなかったのだ。

 

 そしてラミリスが口を開いた。

 

「計測不能に陥ったって事は、ネコマタのEP値は――実質、無限大になったのよさ。どんなにカヤとモモカが、能力をブーストしても。計測できる力では……勝ち目は……ないのよ、さ」

 

 振り絞るように出した声に、リムルとヴェルドラ以外は騒然とし。

 只々、モニターに映るネコマタを見ているだけであった。

 

 今まさにネコマタは、神にも等しい力を手に入れたのかも知れない。

 

  世界を覆う黒い波が消え、影獣の群れが消え失せた。

 一つ残らずネコマタに吸収され、贄となり、〝憎念〟の化け物を作り出した。

 

 妖艶なる姿をした化け猫、ネコマタ。

 

 軽く手を振っただけで、嵐が巻き起こり。

 一歩踏み出せば、大地が震え割れる。

 

 それは、強大を通り越した何かであった。

 

「ははっ。マジもんのバケモンだな、あれは」

「それでも、やるしかないわね」

《引くことは、出来ません!》

 

 ビリビリと肌を刺す妖気(オーラ)に、カヤとモモカは一歩も引かずに言葉を放つ。

 

「さあ、掛かって来やれ。小娘どもよ」

 

 左手の人差し指をクイックイッと動かし。

 来いと、二人を挑発する。

 

「言われなくても、いくさ!!」

 

 カヤが言うや懐に飛び込み、抜き打ちを放った。

 

 が、背筋にゾクリとしたものが走り。

 咄嗟に刃を立て、峰に左手を当て、防御した――

 

 ガギュッンンン!!

 

 けたたましい金属がぶつかった音が響き。

 

 防御姿勢のままカヤは、踏ん張った両足が大地を抉り、樹々を薙ぎ倒し数百メートルを吹き飛ばされていた。

 

「つぅー。ガードの上から斬撃を通すか……『多次元結界』も貫通しやがった」 

 

 カヤの胸は斬撃が通った後があり、既に神速再生で修復を終えたところであった。

  

 すると、パチンと指を鳴らす音が聴こえ。

 

 ネコマタを〝重力崩壊(グラビティコラプス)〟が襲う。

 

 しかし、ネコマタも指を鳴らすと――

 

 〝重力崩壊〟が途中で止まった。

 

「なにっ!?」

 

 モモカが右眉を跳ね上げ声を出すと同時に、〝黒炎核(アビスコア)〟の制御を奪われ。

 

 重力崩壊は起こさずに、〝黒炎核(アビスコア)〟が消え失せた。

 

 ネコマタは単純に展開された術式に干渉し、制御を奪っただけである。

 

「ふん、つまらぬな。格下の魔法など、制御を奪う事など容易いことよのう」

 

 はぁっと息を吐くように吐き捨て、やれやれと言う様に首を横に振った。

 

「ネェェェコォマタぁああああああ!」

 

 それを見てモモカが怒号を上げ、ありとあらゆる魔法、〝黒呪符〟、〝核撃魔法〟を放つが。 

 

 パチン、パチン、フィンガースナップ音が響くたびにモモカの術が、掻き消されていく。

 

 カヤもまた間合いを詰めようと接敵するも、夜叉が振られるたびに吹き飛ばされ、千鳥の刀身が欠けて行った。

 

「〝狂氷扇舞〟!」

 

 パチン! フィンガースナップが鳴り、冷気が掻き消える。

 

「無駄じゃ。お前の術も魔法も、我が手の内じゃ。クカカッ」

 

 モモカの術の猛攻をあっさりと打ち破り、軽く嗤う。

 

「紅斬り牙!」

 

 ギインッ! カヤの神速飛び込み抜刀斬りを夜叉を横に振り、軽くいなす。

 

「遅いわ。欠伸(あくび)が出るのう。ふぅあぁ~」

 

 左手を口に当て、欠伸をする真似をする。

 

「ちぃっ! 」

 

 振り抜いた刃を鞘に納め、すぐさま鯉口を切り、抜刀の構えを取る。

 

「カヤ! 右!」

 

 モモカも鈴蘭を眼前に構え、体を右に傾け。

 

 そのまま大地を蹴り、ネコマタに仕掛ける。

 バッと蹴り上げられた土煙を上げ、残像をそこに残し加速する。

 

 モモカの身体が揺れ動き、無数の影となりネコマタに飛び掛かった。

  

 〝闇夜影千流 小太刀術・口伝奥義 幻舞抜刀(げんぶばっとう)月華霧刃(げっかむじん)

 

 それ被せるようにカヤの技が飛ぶ。

 

 〝闇夜・刹月花(せつげっか)

 

 襲い来る不可視の斬撃が、ネコマタを四方から包み込む。

 空間を埋め尽くす不可視の斬撃を、左右に夜叉を振るだけで掻き消す。

 

 掻き消されたと同時に、月華霧刃の影がネコマタに斬りかかる。

 ネコマタは、左斜め後方に夜叉を振るとそこにモモカの本体があり。

 鈴蘭と夜叉の刃がぶつかりあった。

 

 激しく火花を散らし、白刃の折れた刀身がクルクルと宙に舞い、地面に突き刺さる。

 

「え!?」

 

 鈴蘭の刀身が半分から先折れ飛んだのを見て、驚きの声を上げた。

 

 動きが止まったモモカに、ネコマタが夜叉を振り降ろそうと上段に構えると。

 カヤが千鳥を抜き、飛び込んでくる。

 

「モモカぁああああああ!」

 

 カヤの飛び込み抜刀をスッと半身でかわし。

 

 カヤが千鳥を振り切ったところで、ネコマタは千鳥の峰の部分に上段斬りを叩き込む。

 

 ガキィン! 硬い金属の折れる音が響き。

 刀身を三分の一程残して、折られた刀身が地面に落ちた。

 

「なっ!?」

 

 カヤも驚きの声を上げるも、刃の折れた千鳥を鞘に納め。

 

 角帯前に差したカランビットナイフを抜き斬りかかるも、カランビットナイフの刃の部分を斬り飛ばされてしまう。

 

「くそがっ! なんなんだ、あの刃は!?」

 

 神話級(ゴッズ)であり、究極金属(ヒヒイロカネ)の千鳥と鈴蘭が折られた事に、カヤがわけがわからないと言ったように吐き捨てた。

 

 モモカもカヤの横に来て疑問の言葉をカヤに向けた。

 

「カヤ。あれは、なに? 同じ神話級(ゴッズ)でありながら、何故こちらの刃が折られたと、思う?」

「あれだろう。格の違いって奴。夜叉の方が、千鳥、鈴蘭より――より高みに到ったんだろうね」

 

 二人は一度大きく息を吐く動作をして、丹田に魔力を集中していく。

 

(なまく)らだのう。ん? 体術で我に挑むか? よいぞよいぞ、相手にしてやろうぞ」

 

 ザシッと夜叉を地面に突き刺し立てると。

 

 小さく右半身の構えを取っていくネコマタ。

 

 着物の(すそ)がはだけ、白い足が妖し覗く。

 

 対するカヤとモモカは溢れる魔素粒子を巻き上げ。

 

 己の手足に、複合属性・闇魔光(やみまこう)を発生させ、更に火具突智・改を重ね合わせる。

 

「「しゃぁああ!」」

 

 二人が声を上げ、ネコマタに接敵する。

 

 瞬歩で接敵した二人が、〝鼓打ち〟を見舞う。

 

 ズズン! 重々しい音が響く。

 

 二人の打撃を両掌で受け流し、カヤの胸とモモカの腹部に掌底を打ち込んだ。

 ネコマタの『多次元結界』を貫けず、返しの掌底を喰らった二人は、逆に自分達の『多次元結界』を貫かれ。

 

 その衝撃でカヤとモモカの上半身は吹き飛び。

 

 残った下半身をネコマタが中段廻し蹴りで、蹴り飛ばす。

 

 魔素粒子を散らしながら二人の下半身は激しく地面をバウンドしながら上半身を神速再生して、四つん這いの態勢を取り。

 

 地面に両手足を付き、二百メートルに及ぶ四つの線を大地に描き止まる。

 

 圧倒的な力の差。

 それでもカヤとモモカはネコマタに、立ち向かっていく。

 

「らぁああああああ!!」

 

 〝迅雷鼓〟を放つカヤにネコマタは、スイッと半歩右斜めに身体を入れ。

 そのまま背を向け、上半身を沈め、一気に伸びあがるように背中をカヤにぶつけた。

 

「ぐえっ!」

 

 チリリッ

 

 ドォオオオオン! 轟音が鳴り、カヤが身体をくの字に曲げて凄まじい勢いで飛んで行った。

 

 千五百メートルは離れた山の中腹辺りに激突し、爆発したかのように土砂や岩石を巻き上げる。

 

「しぃっ!」 

 

 ネコマタが背中での体当たり打撃を打ち込んだところへ。

 モモカの左上段廻し蹴りがネコマタの顔面に直撃した。

 

 渾身の一撃にもかかわらず。

 

 複合属性すら意に介せずネコマタは、無造作にモモカの左足を掴み。

 ぐんとモモカを一度空中で振り回し、大地に叩き付けた。

 

「ぎゃっ!!」

 

 地面が土くれを吹き上げ、轟音を響かせて大地が揺れた。

 

 地面にめり込んだモモカを右足で踏み付け、山に激突したカヤが降り積もった土砂と岩石を跳ね飛ばし。

 

 ネコマタに向かって、瞬歩で一気に間合いを詰めた。

 千五百もの距離を一瞬で詰め、蹴りの連打を叩き込む。

 

 その連打を軽々といなし、右貫き手をトンとカヤの水月辺りに添え。

 貫き手から一気に拳を握り、魔力衝撃波を叩き込んだ。 

 

 「ぐへっ」っと声を上げカヤの動きが止まった。

 すると、背中がボコボコと波打ち、膨れ上がると同時に、カヤの背中が吹き飛んだ。

 

 ネコマタの魔力衝撃波は、カヤの魔力回路をズタズタにし。

 神速再生を遅らせた。

 

 チリッ チリリッ

 

 ゆらーっと倒れるカヤに。

 

 胸の魔核がある辺りに右貫き手を穿つ。

 手首より十センチの所で止まり、そのままネコマタはカヤを宙に上げる。

 

「う、動かない……どうして……う、がぁああああ」

 

 足で押さえ付けられてるモモカは、体を起こそうと藻掻くが。

 見えない何かに押さえ付けられてるかの如く、腕の一本さえも動かせなかった。

 

 そこへネコマタが更にモモカを踏み付け、同時に魔力衝撃波は送り込んだ。

 

「ぎゃぶ!」

 

 モモカに放たれた魔力衝撃波は、カヤと同じようにモモカの魔力回路をズタズタにし、意識を狩り取った。

 

 モモカを『重力支配』で宙に持ち上げ、モモカの胸に左貫き手を穿ち。

 眼前に二人を持ち上げたまま並べ、にゃーつと舌なめずりをして嬉しそうに顔を歪める。

 

「これで、本当に終わりじゃ。カヤ、モモカよ。さらばじゃ!」

 

 

 〝魂砕き(ソウルクラッシュ)

 

 二人の〝魔核〟が――

 

 

 砕かれた。

 

 

 

 

 




 八十七話を読んで頂き、ありがとうございます!

 次回の更新も読んで頂けたら、幸いです。




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