ここまで読んで頂いた皆様、本当に感謝です!
作中に出て来る間者とは、※<現代で言うスパイです>
無数に転がる死体と、燃え盛る家々の炎だけが空しく暮れかかる里を照らし、その中を最後に生き残ってる二つの影が、一つの場所を目指すかのように、引き合い動いていた。
最後の
十字路の真ん中に近づいた所で、百佳は急に足軽兵達の気配が遠ざかるのを感じ歩を止める……。
そこへ物陰から武士が二人飛び出し刃を振るう、一撃目を躱し小太刀を抜き水平に薙いで、呪符を投げようとした瞬間。
「ちぃっ! 待ち伏せ? 爆――あっぅ」
二人目の斬撃に、背中を袈裟斬りにされ、鮮血がパァッと飛び散り体勢を崩す。
この二人は剣術の達人であり、気配を消し百佳を待ち受け、今まさに止めを刺そうと二人が刃を振り下ろそうとしていた。
夏夜は十字路の真ん中に来て、それを見つけ叫ぶ。
「ももかああああああぁぁーー!」
槍を二本続けさまに投げると、同時に甲高い破裂音が一つ鳴り響いた。
投げた槍は一人目の喉を横から貫き、二人目は胸を背中まで刺し貫かれ、鈍い音を立てその場に崩れ落ちる。
百佳は見ていた、槍を二本投げる夏夜が火縄銃で撃たれたのを。
「ん?……なにか、当たった?」
夏夜は自分の左脇腹辺りを見ると、丸い穴が開き血がプップッと噴き出るのを見てようやく自分が、火縄銃で撃たれたことを理解した。
ぐらつく体を両足を開いて踏ん張り、少し後ろに仰け反り気味で首だけを、微かな気配がする十字路左に向けると、片膝をつき銃口から
「いた……完全に気配を消してたなぁ。いや、周りと気配を同化する技、狩猟の民か!」
そう叫ぶと、足元に転がる槍を足の甲で跳ね上げ槍を掴み、槍を掴んだ右腕を体全体を使い、ギリッギリっと後ろに引き絞り男を狙う。
鉄砲隊頭の男は、後ろに控えた者から代りの火縄銃を受け取り、狙いをつけ引き金を引こうとするも、夏夜の修羅ノ気にあてられ指が固まったように動かなかったが、槍を構える姿を見て己に活を入れる。
「うおおおお!」この者も火縄銃の達人であった。
「くっぁぁぁああ。このやろぉおおおおおおおお!」
体全体を引き絞り放たれた槍が男目掛け飛ぶ、同時に火薬の破裂した音が響き渡り里に
ゴウッと音を立て槍は鉄砲隊頭の右耳を一部斬り裂き、後ろに控えてた男を貫く。
夏夜は槍を投げた跡、少し体を斜めにして空中で三回程周り地面に落ちて転がり、仰向けで止まる……。
二発目の弾丸は、肝臓がある辺りに当たり致命傷だった。
どす黒い血が、弾が当たった傷口から、ドクッドクッと流れ落ちてくる。
「かやああああああああああぁぁぁ!」
百佳が絶叫し、夏夜に駆け寄り抱き起す。
「夏夜! 夏夜! 夏夜! しっかり、夏夜!」
(あ~、ごめん、百佳、ドジッた……ってもう、声がだせないや。耳も、もうよく聞こえないし……ごめんね、お姉ちゃん。くそ~、痛みはないけど、なんか寒いし撃たれた所熱いなぁ)
《確認しました。『耐寒、耐熱耐性』を獲得……成功しました。続けて耐寒、耐熱耐性を獲得したことにより『熱変動耐性』にスキルが進化しました》
(うるさいなぁ。さっきから何が喋ってるの? もう少し考える時間が欲しいなぁ)
《確認しました。『思考加速』を獲得……成功しました》
(ほぇ? なんなんだ〝すきる〟とか意味わかんないぞ~。火縄銃で撃たれたのは不覚だったなぁ。しかも狩猟の民がいたとはねぇ……)
《確認しました。『物理攻撃耐性』を獲得……成功しました》
(ん~~。さっきから、なんとか耐性ってなんだ? そんなもの無しでいいよ。めんどくさい)
《確認しました。物理攻撃耐性が『物理攻撃無効』にスキルが進化しました》
(へぇ? どうしてそうなる? もういいや、すきにしていいよ……それより、百佳にあたしを贄に黒炎を召喚してもらわないとね。ん?なんかおかしい、時が経ってない? あぁぁぁ、なにかに引っ張られるような、な、なこれ、やっぱ、地獄に落ちてるとか? まぁしかたないよねぇ)
自分達を取り囲む坂上の姿を、霞む目で見る夏夜は中々死なないねぇと思うも、『思考加速』が発動しており、この未知の現象に気付くことは出来なかった。
(そう言えば、小梅姉さんはあれ使ったんだよなぁ。毒使いが爆死か……殆どの毒が、効かないとんでもない体質なのに、爆死か)
《確認しました。『状態異常無効』を獲得……成功しました》
(幻聴ここに極まれりだねぇ。でも、百人相手はきつかったな。流石にあれ全部受け流すとか無理だしなんか、ばばばっと呪符結界とかできないものかねぇ)
《確認しました。『多重結界』を獲得……成功しました》
(ああ~ 意味わかんないぞ~。しかし、あの狩猟の民の気配の周囲同化はわからなかったわ~、もっと感覚を研ぎ澄まさないとだねぇ)
《確認しました。『魔力感知』を獲得……成功しました》
(ははは、もう、なんなんだ! 誰かおしえて?なんかさぁ、地獄に落ちるなら生身の体はいらないよねぇ。幽霊みたいでいいよね?)
《確認しました。生身が不要な身体を作成します……成功しました》
(なんだかなぁ、ほんとに幽霊になったよ。容赦ないな、地獄の閻魔様……)
当たの中に響く〝世界の言葉〟。
(聞き覚えの無い言葉、知らない声、一体何が起こってるんだろう? もうこれ、百佳に聞かないと、ってそりゃ無理よね。ハハハ、はぁ~っ)
意味不明の事が、連続で起こる事態に夏夜は、もうどうにでもしてと完全に開き直っていた。
(もう死ぬのに何だか、寂しくないな何でだろう? ああ~! そうか、百佳の魂と繋がってるんだ。あたしの胸から出てる薄紫の細い光が、百佳の胸と繋がってる。あの、符のお守りこんな事できたの? あれ? そんなこと、そもそもできたの? もう、ほんと~~~に分けわかんないや! あ、百佳の額あの時の傷が、浮かび上がってる。届くかな、あたしの左手……)
《確……しま……た。を……成……》
(あぁ? これあたしではないな ……百佳の方? 地獄の閻魔様忙しいな、両方相手にするなんて。なんか、百佳の方も〝すきる〟と言う声がきこえるなぁ…… 姉妹揃って地獄行かぁ、百佳と一緒なら地獄でもいいや。今度は地獄の鬼でも、斬り伏せてやるか!)
《確認しました。ユニークスキル『
(お肉すきる? 美味いのかそれ? お肉いっぱい食べれるならいいなぁ。そういや、あの時聞こえた声気にしなかったけど、頭の中で聞こえた声の子だれ?ん?……なにこの変な音、金属の擦れる音? 違う? 聞いた事ない音? ああぁぁぁ、なんだこの音! 頭が……いた……い……断続的なノイズの音に、夏夜は困惑した)
《確認しました。…………を獲得……拒否されました。再度実行します》
拒否されました。……再度実行します。……拒否され、……際限なく繰り返したのち、声が聞こえる。
《確認しました。ユニークスキル『
(え? あたし、夏夜だよ? 名前あるよ?)
《マダ、イマハ……カヤガ、ホントウニ、ヒツヨウトシ……ナルトキマデ、ソレマデハ……コ…ハ……ナ……》
(あ? あの声だよね? ねぇ! だれ? あたしの中の影? ねぇ! だれ?……おのれ~! 黙りやがったな、バカたれがー! これなぁ、地獄へ行く儀式なの? ……くそ~誰か教えろーって、声なしと。使えないな、地獄の閻魔様は!)
夏夜は、思考を加速させたままで頭の中で喚き立て、その間にも自然影響無効、精神攻撃耐性、聖魔攻撃耐性など次々と会得していった。
そして、命の火が消えかかる寸前に『思考加速』が止まる。
(百佳。もう、命が尽きるよ……あの口伝使って……あたしを贄に……額の傷……お姉ちゃん……先に逝く、ね…… あたし、の、魂を、み……つけ、てね……)
「ぁ……た……」
百佳に抱かれたまま静かに夏夜は息を引き取り、額を触ってた左手がすとんと落ち、血溜まりで跳ねた。
坂上は夏夜が死んだのを確認すると、そろそろお前の首も刎ねようぞと言い、配下に首を刎ねるように言いつけようとした時、百佳が顔を上げ四枚の呪符を投げるのを見て慌てて駆け寄ろうとしたが、足が縫い付けられたかのように動けずにいた。
「なんじゃ! これは、足が……動かぬ……」
周りにいる者全てが、同じ現象に見舞われていた。
「いこう、夏夜!」百佳が言霊を綴る。
〝口伝呪符術・
投げた呪符は十字路の四隅で、符を立てたように空中で止まると黒く丸い空間を作り、そこから赤い鳥居がゆっくりと迫り出して来る。ゴウンゴウンと甲高い鐘の音と、シャン、シャン、と鈴を鳴らす音が響き里全体に木霊する。
ふるべ ゆらゆらと ふるべ いくたまつかい 呼びたし 魔界の門
ふるべ ゆらゆらと ふるべ 我らの血を使い 開けよ 魔界の門
まわせ まわせ まわせ 門の鍵 開けたれば ここへ 来たれり くろきなる 炎
激しさを増す鐘の音と鈴の音。
「なんじゃ! なんじゃ! なんじゃ! なんじゃ! なんじゃ! これはーー!」
坂上は激しい鐘の音と鈴の音に、訳が分からず喚き立てる。里の中にいる足軽兵達、そして、里を囲む足軽兵達も同様に慌て、逃げようと足を動かすが一歩も動かず、耐え難い恐怖に腹這いになり、這って逃げようとする者もいた。
辺りが濃い闇に、包まれだしていく。
ふるべ ゆらゆらと ふるべ いくたまつかい 呼びたし 魔界のくろき炎
ふるべ ゆらゆらと ふるべ 我らの血を使い こじ開けよ 魔界の門
くべろ くべろ くべろ 我とこの者の血 開けたれば ここへ 来たれり くろきなる 炎
更に激しさを増す鐘と鈴の音、すると百佳の頭上に一際大きい赤い鳥居が虚空から現れる。
「あけろ……魔界の門……開けませい!」
パンと一際高い短拍手が鳴り響き、同時に静寂が訪れ、モモカの後ろ髪を結わえてた髪紐が弾け飛び、腰上まである長い髪が踊るように広がった。
「うひゃ? 鐘の音と鈴の音が止まったのか? なんじゃ! あの鳥居はあああああぁ」
坂上は、百佳の頭上に浮かぶ鳥居の真ん中にある空間が、赤黒く光り揺れながら渦を巻いてるのを見て、腰を抜かしその場にへたり込んだ。
四隅の鳥居も、同様に真ん中の空間が赤黒く光り、渦を巻いていた。
「鉄砲隊! 弓隊! 撃て! 撃つのじゃぁあああああああ!!」
火縄銃が撃たれ、矢が射られ無数の弾と矢が百佳に迫るが、百佳の周りに見えない障壁でもあるかの如く弾かれ、矢は燃え、弾は蒸発していく。
「はぁあああ? お、お、お、お前は、いったい、何者じゃ!?」
坂上は百佳の顔や見える素肌に、ぞりぞりと流れて動く梵字のような物に嫌悪感を大露わにし、指さしながら喚き立てる。
「ふふふっ。わたし達の願いは成就され、わたしと夏夜を贄に魔界の門を開けたのよ。あんた達を皆殺しにする為にね。ふふっ」
百佳はクスクスと笑いながら坂上に答える。
「お前は人外の者であったか! この化け物女が! 地獄へ落ちろこの化け物がああああああ」
「地獄? とっくにわたしと夏夜は、地獄にいますよ。ふふっ」
「誰かああああああ!動ける者はこの女の首を刎ねいいいいいい!」
坂上の叫びは空しく里に木霊し、それ以上に千人以上もの兵が阿鼻叫喚の真っただ中にいた。
「まずは、外の兵から燃やしましょう。ふふっ。黒炎招来、凶爆・黒炎呪」
短拍手が響いた。
外の兵達一人一人の目の前に赤黒い毬状の玉が現れると、一気に破裂したように黒炎が兵達を包み燃やしていく。
凄まじい九百人近くの絶叫が空気を割り、業火に焼かれる悲鳴の合唱を巻き散らした。
火球に包まれた何百人もの人が走り、転げまわりお互いに重なり合い、更に火柱を上げ燃え盛る。
そこは地獄絵図よりも、酷いあり様だった。
「じゃあ、次は里の中にいる兵を燃やしましょうね。ふふふふふ」
短拍手と言霊を言うと、一斉に中の兵達が燃え上がる。
足の呪縛が消え、黒い炎に包まれた人の形をした集団が、里を縦横無尽に走り、狂い、断末魔が山に
あるものは熱さに耐えかねて井戸に飛び込むが、水に入っても黒炎は消えず、ジュブジュブと水蒸気の柱を上げ兵を燃やし尽くす。
坂上の所に燃えながら走って来た兵が、眼前で弾かれジュッと音を立て、蒸発した。
「なっ……? な、に、が……」
「あぁ。大丈夫ですよ。あなたの周りはわたしが結界を張ってますから。ふふ、あなたには、最後飛び切りの黒炎を差し上げますので。それまでは、兵達の燃える様をご堪能くださいませね」
つらつらと言葉を吐き綴り、里全体に黒炎に包まれ燃え盛る、無数の兵の屍が転がり、辺りに肉の焼き焦げる匂いが広がっていく。
『モモカ……スコシダ……カシ……テアゲル』
(そう、何だか知らないけども、使わせてもらうわよ。わたしの命が尽きる前に……)
頭の中で聞こえる声に、百佳は答える。
「頼む! 助けてくれい! わしは仕方なく成友様の
「なに、お決まりの命乞いしてるのよ。助ける訳ないでしょ。あなたなら、この状況で助ける? 絶対に助けないわよねぇ。殺すなら、殺される覚悟は無論あるわよね?」
「……いや、な! 後生だから、頼む! なんなら成友様を討つのに手も貸そうぞ!」
呆れ果てたように口を開く百佳に、そこを何とか生き永らえようと必死に言葉を探し、土下座し地に頭を伏せ懇願する。
「なんで、討つのを手伝うとか言いながら、成友に様を付けるのよ? 馬鹿?」
「いや、これは、言葉の綾じゃよ。成友を共に討とうぞ、里の者の
「う~ん。やっぱりあなた馬鹿ね。仇なら、あなたも入るのよ。お・ば・か・さ・ん」
百佳はそう言いながら右
「あなたには、これを上げるわね」と、掌の黒い球をふっと息をかけ、坂上に飛ばした。
「ふはぁ?」
目の前に浮かぶ黒い球を見て、坂上は変な声をあげた瞬間――黒い火球に包まれ一瞬で体が蒸発したが、意識はまだそこにある。
百佳の投げた黒い球は、
(た……けて……あつい……あ……い……ぁ)魂の声が消えた。
「かや……わたし、も、すぐいくわね。あと一人燃やし尽くして」
もう一つ
百佳が黒炎核を飛ばした先は、成友が天守閣で配下達と談笑している所であり、目の間に現れた黒炎核を何だこれは? と、成友が指で突いた瞬間、ゴウッと音を立て、城にいる者全てを黒い火球が包み消えた。
……後に残るは、城の土台の石垣だけであった。
この日、一国の主が城で配下と共に黒い火球に包まれ消えたと、諸国の
「みんな、成友も討ったわよ……これで許してとは言わないけど、いいわよね。父様、母様、小梅、ごめんなさい……」
短拍手が一回鳴り響くと、五つの鳥居から黒炎が吹き出し、渦を巻いて里をすぽっりと覆い、全てを焼き尽くす。
百佳と夏夜も下から吹き上がる黒炎に、飲み込まれていく。
夏夜を抱き抱えた百佳が、激しく燃える赤黒い火柱へと変わる……。
意識が消えかかるその時、いつか見た、異国の人の映像が稲光に映った刹那の影のように、消えては映り、消えては映りを繰り返す。
「あ、な、た、は」
「…………」
「………」
「……」
「…」
「リ、ム、ル……」
秋の風舞う日の夕闇。
二つの魂は揺れる黒炎の火柱に抱かれ、高く、高く、高く、天へ昇っていき、 天に登った火柱は、虚空に飲み込まれ霧散した……。
里に秋の夜風が吹く……そこにある記憶を根こそぎ
冥界を流れる薄紫に光る球がふたつ。
淡く細い光る紐で繋がって、近づいたり離れたりしながら明滅を繰り返す。
不意に、なにかに引っ張られるように輪廻の輪を外れ、物質世界と精神世界の狭間にある隔絶された世界に魂はゆく。
そこは、魔素で物質の身体を作れる精神生命体、〝精霊獣〟が住む世界で、猫神の眷属・亜種として、生前の記憶を持ったまま、二人はその世界に転生した。
百佳達が逝って、一晩明けの朝方。
空はどんよりとした雲に覆われ、小雨が里を濡らしあげる。
まだ
里には、兵の死体も乱破ノ者の死体も残っておらず、全て黒炎が死体を燃やし尽くしていた。
そんな小雨が降る中、焼け落ちた粉ひき小屋の真ん中辺りで音がした。
粉引き小屋焼け跡の、真ん中に当たる窪みに、焦げた鉄の蓋が見え、それがガツンと蹴飛ばされる。
すると、そこから一人の女が左肩を押さえながら出て来る。
一か八かで窪みにある穴に入り鉄の蓋を閉め、助かった小梅が這い出てきたのだ。
「あぁぁ。気を失ってたか……夜が明けてやがる」
小梅は里を見渡すと、兵の死体も里の者の死体も無いのに気づく。
「使ったのか、百佳……ばかやろうが。あれを使った者の魂は輪廻の輪を外れるんだぞ。もう、来世でも会えねぇじゃねぇか……。せめて、輪廻の輪を外れても、夏夜と一緒ならいいな、百佳」
頬を伝う一滴の線。
(まだ、何もつたえていない、これからなのに。三人で、笑いあった短い日々、もっと笑いあっていたかった。二人に守られた、この命、あんた達はもういない。願わくば、冥界で二人の魂が、寄り添えるように、一筋の光があらんことを願う)
天を仰ぎ呟くと、もう二度と会えない百佳と夏夜の事を思い……どうしようもなく
入れ替わりに一人の男が里に現れた。
三太郎三十二歳今だ独身が、里に帰ってきたのである。
お役目が終わっても、遊女遊びと好きな女を追い掛け回してたおかげで、命拾いした男。
「え?…………な、な、な……なんじゃこりゃぁああああああ!!」
三太郎の間の抜けた叫びが、山々を木霊し響き渡った、小雨振る朝方の日。
その後の里を脱出した者と小梅、三太郎の行方を知る者はいない。
日ノ本の国から、小さな里が一つ消えた。
戦国の世の、有り触れた出来事の一つに過ぎない事であった。
次から少し転生編を絡め、リムル達のいる世界へ転移します。
では、次回も呼んで頂けたら幸いです。
ここまで読んで頂き、本当にありがとうございます!